JP4207286B2 - 酸度測定装置及び酸度測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食用油等の油に含まれる遊離脂肪酸、果物の果汁や果実飲料に含まれるクエン酸やリンゴ酸や酒石酸、アルコール飲料に含まれる有機酸、コーヒー中のクロロゲン酸等の有機酸、または血清に酵素を作用させて分離した遊離脂肪酸等の酸度を測定することができる酸度測定装置及び酸度測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品は健康や安全面から一定の水準以上の品質が要求されるようになってきている。中でも食品中に含有された酸は食品の品質に大きな影響を与えるものである。また、最近では酸度の低い食品が専ら嗜好される傾向にある。このように各種食品の酸度は食品の消費に大きな影響を及ぼすが、その影響する程度や測定法は食品によってそれぞれ異なるものである。そこで、以下、こうした食品の代表例として▲1▼食用油,▲2▼ジュース等の果実飲料,▲3▼ウィスキーや酒、ワイン等のアルコール飲料,▲4▼コーヒー,▲5▼みかん、葡萄等の果物に含まれる果汁について、従来それぞれの酸がどのようなものでどのように測定されていたのか、従来技術の説明をする。
【0003】
まず▲1▼の食用油に含まれる酸について説明する。わが国の食生活は急速に変化しつつあるが、その流れをみると、第1にインスタント化という大きな流れがあり、第2に手作り嗜好などに代表される多様化の流れがあるように思われる。とくにこのインスタント指向は時代を映し出しているともいえるもので、多くの加工食品が増大傾向にある。中でもフライ食品の増加は著しい。というのはフライ食品は嗜好的にも好まれ、比較的腐敗を受けにくいという性質があるからである。しかしこのフライ食品も、温度や光の影響を受ける環境に長時間さらすと、空気中の酸素により油脂が自動酸化して、変敗臭が生成したり、その他品質の劣化がもたらされる。こうした理由から食用油脂および油脂加工品などの変敗、劣化に関して一般的に関心が高まり、例えば、油揚げの地域食品認証制度が発足したり、あるいは油菓子の規制が行われたりしており、また弁当や惣菜の指導要項などでも油脂の劣化について法規制が検討されている。
【0004】
ところでこうした油脂の傷み具合、とくに加熱された油脂の劣化度を知る方法としては、酸価、過酸化物価、粘度、ヨウ素価などを測定するいくつかの分析方法があるが、上記したように食品の劣化に大きな影響を与えるのが温度や加湿、光であり、劣化の初期には酸度の変化が大きいことを考慮すると、酸度を直接測る酸価の測定が劣化の判定を行うために適当であり、また通常これが多く用いられている。
【0005】
▲2▼の果実飲料の酸について説明する。ジュース等の果実飲料は原料果実を搾汁機にかけて得た汁液であるが、果実飲料の多くは、新鮮な果実の搾汁をそのまま用いるよりも、濃縮果汁または冷凍果汁を原料として製品を作る場合が多い。
【0006】
例えばオレンジジュースの場合、みかんの病害果や未熟果を除去した後に、表皮を洗浄し、これを圧搾して果肉と果汁を取り出し、さらに果汁から果皮、じょうのう膜等を取り除いている。そしてこの時点で日本農林規格に適合するように糖度や酸度などを調合するが、その際に酸度を測定している。さらに濃縮果汁や冷凍果汁からオレンジジュースを作る場合は、濃縮果汁や冷凍果汁に水を加えてオレンジジュースを作る際にも酸度を測定している。
【0007】
次に▲3▼のアルコール飲料について説明すると、ウィスキーや焼酎に代表される、蒸留を何度も繰り返してエタノールの収率を上げる蒸留酒、あるいは酒やワインに代表される素材そのものを発酵させて濾過することで得られる醸造酒、そしてその他果実酒やビール等の発泡酒等のようにアルコール飲料には色々と種類があってその製造過程もまちまちである。しかし、いずれのアルコール飲料の製造においても、工程の中で製品の品質確保のために酸度の測定を行っている。
【0008】
▲4▼のコーヒーの酸について説明すると、コーヒーの味を左右する酸味を与える物質は以下述べるように多種類にわたるが、酸含有量がコーヒーの酸味評価の指標として重要である。コーヒー中に含まれる酸の代表としてはクロロゲン酸類が挙げられる。その含有量はコーヒー豆の焙煎の過程でも変動する。その他にも、コーヒーの酸味に関与する物質は、コーヒー酸、キナ酸、更にはクエン酸など多くの化合物がある。そしてそれぞれの酸の含有量は微量でありながら、微妙なバランスとその総量が酸味の決め手になっていると考えられる。
【0009】
▲5▼のみかん等果実中の果汁の酸について説明すると、みかんの栽培過程特にハウス栽培において糖度を増加させるために、水抜きという管理を行う。これは、水の量を制限することで果汁中の糖及び酸の濃度を高める栽培法である。ところが、果汁の中で糖度が増加する分は味覚の上昇となるが、酸度の増加は味覚を損なう。そこで、先般の水切り後酸度を測定してモニターしながら適度の水分と温度でみかんに呼吸を起こさせて酸度を消費させることによって酸度を減少させるという方法が採られている。
【0010】
このように各種の食品において、その製造工程上でそれぞれの酸度を測定することが行われているが、その測定方法には様々なものがある。従来の酸測定方法の一例を上げると、基準油脂分析法,日本農林規格,JIS,日本薬局方油脂試験法,衛生試験法飲食物試験法,上水試験方法などで定められた方法があるが、いずれもその測定の基本はフェノールフタレインを指示薬とした中和滴定法である。そこで、この中和滴定方法を説明するため、上水試験方法と基準油脂分析法で規定されている中和滴定法を以下説明する。
【0011】
上水試験方法での酸度は、試料1リットル中に含まれている炭酸カルシウムに酸を換算したときのmg数として定義される。具体的には試験水100mLを採り、フェノールフタレイン指示薬を約0.2mL前記試験水に加え、0.02モル/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、密栓して軽く揺り動かし、紅色が消えたならば、さらに微紅色が消えずに残るまで滴定を続けたときを中和の終点としその水酸化ナトリウムのmL数aを求める。そのときの酸度の計算は、
酸度(炭酸カルシウム換算mg/L)=a×10
で計算するものである。
【0012】
このように上水の酸度は炭酸カルシウム換算mg/L数で表現されるが、このほか代表的な酸度がどのような指標で表現されるか、例をあげて説明すると次のようになる。例えば果汁の酸度の場合、みかんの酸度の場合は酸をクエン酸に換算したときのクエン酸の重量%数、葡萄の酸度の場合は酸を酒石酸に換算したときの酒石酸の重量%数がそれぞれ酸度の指標となる。また油脂については、以下で詳しく述べるが、油脂1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を酸価と称し、この酸価をもって酸度としている。このように試料ごとに酸度を表す指標が規定されている。
【0013】
そこで上記した油脂に関し、基準油脂分析法で規定されている中和滴定法を説明する。基準油脂分析法での酸価の定義は、試料1g中に含まれている遊離脂肪酸を中和するに要する水酸化カリウムのmg数をいう。液体試料の場合、試料をその推定酸価(例えば酸価1以下は20gを採取、酸価1を越えて4以下は10gを採取、酸価が4を越えて15以下は2.5gを採取)に応じて採取して三角フラスコに正しく計り取る。これに中性溶剤100mLを加え、試料が完全に溶けるまで充分に振る。但し、ここでいう中性溶剤とはエチルエーテル、エタノール1:1の混合溶剤100mLにフエノールフタレイン指示薬約0.3mLを加え、使用直前に1/10規定(N)水酸化カリウムーエタノール溶液で中和したものである。
【0014】
固体試料の場合は水浴上で加温溶融したのち溶剤を加えて溶解する。これを、1/10規定(N)水酸化カリウムーエタノール標準液で滴定し、指示薬の色変化が30秒続いたときを中和の終点と定める。そしてこのときの水酸化カリウムのmg数を計算するものである。
【0015】
ところで、この油脂および果汁および酒類および茶・コーヒー類の酸価の測定では、このような中和滴定法によらず、ボルタンメトリーによって脂肪酸および有機酸を測定する方法がある。なお、当該公報では遊離脂肪酸の測定を開示しているが、他の有機酸でも同様に測定可能なものである。これは特開平5−264503号公報で開示されたもので、遊離脂肪酸とナフトキノン誘導体が共存する測定電解液を電位規制法によるボルタンメトリーによって測定するものである。ナフトキノン誘導体の還元前置波の電流値の大きさが、蟻酸のような低級脂肪酸からオレイン酸やリノール酸のような高級脂肪酸まで全ての脂肪酸について、遊離脂肪酸の濃度に比例し、各脂肪酸の電流値を重ね合わせた値が脂肪酸の総濃度に対応することを利用している。すなわち、ナフトキノン誘導体の還元前置波の電流値の大きさを測ることにより酸濃度を測定するものである。この方法で測定したデータを図26の実線で示す。図26は従来のナフトキノン誘導体と酸が共存する測定電解液のボルタンメトリーによる酸度測定の電流−電位関係図である。図17において、横軸は比較電極に銀−塩化銀、作用電極にφ3のグラッシーカーボンを用いたときの、比較電極に対する作用電極の電位、縦軸はこのとき対極に流れる電流値を示す。但し、電流値は作用電極の表面積の大きさや酸の濃度といった条件によって変わるものである。これに対して横軸の電圧値は酸の濃度によって若干の変動はあるものの無視できる程度のものである。図26のAが酸濃度に比例した還元前置波を示すプレピークであり、Cがナフトキノン誘導体の本ピークを示すものである。
【0016】
しかしながら、特開平5−264503号公報で開示された方法で脂肪酸および有機酸の酸度測定を行うには、還元前値波電流値を得るために電位掃引を行う必要があり、溶液の攪拌、静置、電位掃印等の時間が必要であった。また、電位掃引を行うために作用電極と対極に加えて、比較電極を必要不可欠とするものであり、複雑な構成であった。
【0017】
次に、以上説明した食品等とは別のものになるが、溶液中の脂肪酸もしくは有機酸を直接測定する適当な方法がなかったため、従来、何段階もの反応をさせた上で、測定したい脂肪酸や有機酸とは別の物質を測定しているものがある。血清中の脂質成分の測定である。以下、詳細に説明する。
【0018】
食の洋風化や飲酒機会の増加、運動不足、ストレス等のため、最近では血清中のコレステロール、中性脂肪(グリセリン脂肪酸エステル)あるいはリン脂質の各濃度検査において正常値から外れた値を示す者が急増している。これらの脂質のうち、コレステロールの値は糖尿病,動脈硬化症,甲状腺機能低下症などで代表される生活習慣病のリスクファクターとして利用され、中性脂肪(グリセリン脂肪酸エステル)の値は脂質代謝異常症,脳血管障害,心筋梗塞,狭心症,糖尿病のリスクファクターとして利用されている。さらにリン脂質の値は脂質代謝異常症,脳血管障害,心筋梗塞,狭心症,糖尿病のリスクファクターとして、また同時に脂質代謝異常症,閉塞性肝障害,甲状腺機能亢進症,劇症肝炎のリスクファクターとして健康の指標にされている。
【0019】
これらの指標となる脂質成分の測定は従来主として酵素法で行われており、酵素によって脂肪酸と他の成分に分解して、脂肪酸でなく、この他の成分を測定することで測定されている。例えば上記の中性脂肪を例にとって説明すると、まず、血清へ酵素リポプロテインリパーゼを作用させて中性脂肪をグリセロールと3脂肪酸に分解する。そしてこのグリセロールに作用する酵素グリセロールキナーゼとマグネシウムイオンとアデノシン3リン酸(ATP)を追加して、グリセロールをグリセロール−1−リン酸とアデノシン2リン酸(ADP)に分解する。更に、このグリセロール−1−リン酸に作用する酵素グリセロール−1−リン酸オキシターゼを追加して、グリセロール−1−リン酸をジヒドロキシアセトン−1−リン酸と過酸化水素に分解する。最後に、過酸化水素に作用するペルオキシターゼと4−アミノアンチピリンとジメチルアニリンを追加して赤色キノン色素を発生させて測定し、換算によって中性脂肪の量を算出している。なお、これらの反応は血清量3〜20μL程度で結果が得られるものである。
【0020】
ところで、このように何段階もの反応工程を経た上で得られる過酸化水素を測定する理由は、この酵素リポプロテインリパーゼ等の酵素を作用させた血清に対しては、上記した中和滴定法も、特開平5−264503号の技術も適用が難しいからである。というのは、血清では指示薬による色変化を読み取りづらいし、血清中には酸素が含まれているからである。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように従来の酸度測定装置は、中和滴定法を用いているため測定者がフェノールフタレイン指示薬による色変化を判断して滴定の終点としており、測定者によってその終点がまちまちとなって、酸度が測定者によって変化する可能性があった。
【0022】
そして基準油脂分析法の脂肪酸の中和滴定法によると、中性溶剤としてエーテルとエタノールの混合溶液を用いており、エーテルの沸点が34.6℃と引火しやすいため取り扱いが難しい。しかも、試料の色が濃い、例えば揚げ物を大量に揚げた油や、ジュース、ワイン等の素材そのものに色が着色している場合は、滴定終点付近におけるフェノールフタレインの色の変化を的確に把握できず、終点を読み間違えて測定値がバラつくという問題があった。そして、試料の量も数10g、中性溶剤が100mL必要であり1回の測定に大量の試料が必要となり、測定数が増加することが負担になるという問題もあった。
【0023】
また、特開平5−264503号公報に開示されているとおり、従来は、ナフトキノン誘導体以外のキノンは、不安定で正確な酸の測定に耐えるものはないと考えられていた。すなわち、キノン類は結晶状態であっても光に対して不安定であり、溶液状態ではとくに光分解を受けやすいという性質がある。中でもベンゾキノンの水溶液は、日光に曝されると赤紫色に変色し、紫外および可視部に新しい吸収極大が生じ、有機溶剤ではこの分解がさらに容易になるために、ベンゾキノンを使用しても光分解が発生して、正確な測定ができないと考えられていた。従って従来はナフトキノン誘導体を用いる方法が唯一と考えられ、ナフトキノン誘導体が抱える上記の問題は解決が難しいと考えられていた。
【0024】
さらに特開平5−264503号公報の技術では、ボルタンメトリー測定法による酸度測定法であり、必ず3電極を必要とする電位掃印を行う測定法であった。この電位掃引とは、作用電極の電位を、比較電極の電位に対して一定時間に所定の電位で連続的に変化する様に、作用電極と対極間に印加する電圧を変化させる方法であり、制御部において、作用電極と比較電極間の電位をリアルタイムでフィードバックしながら、作用電極と対極間に印加する電圧を制御しなければならず、複雑な回路構成を必要とする。この様に、電位掃引による還元前値波電流値に基づく酸度測定法は、原理的に優れた技術ではあるが、実使用上においては多数の高精度な操作、処置を必要とし、熟練を要するものであり、このため汎用性に劣るものであった。
【0025】
そこで本発明は、扱い易く、酸度を簡単、迅速に且つ高精度に測定することができる酸度測定装置を提供することを目的とする。
【0026】
さらに本発明は、酸度を簡単、迅速且つ高精度に測定することができる酸度測定方法を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解決するため本発明の酸度測定装置は、オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、有機溶媒、電解質及び酸含有の被測定資料を混合した共存電解液を収容する容器と、前記容器に設けられ前記共存電解液に浸漬された作用電極と対極と比較電極部と、前記比較電極の電位に対して所定のパルス状電位またはステップ状電位を前記作用電極と前記対極間に印加する制御部と、前記酸によって生じる前記作用電極と前記対極間を流れる還元電流の時間変化を検出する検出部と、検出した還元電流の時間変化に基づいて酸度を算出する演算部を、備えたことを特徴とする。
【0028】
これにより、扱い易く、酸度を簡単、迅速且つ高精度に測定することができる。
【0029】
さらに本発明の酸度測定方法は、オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、有機溶媒、電解質を酸含有の被測定資料と混合して共存電解液をつくり、該共存電解液に作用電極と対極と比較電極部を浸漬し、前記比較電極の電位に対して所定のパルス状電位またはステップ状電位を前記作用電極と前記対極の間に印加し、このとき前記作用電極と前記対極間を流れる還元電流の時間変化を検出して酸度を算出することを特徴とする。
【0030】
これにより、酸度を簡単、迅速且つ高精度に測定することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載された発明は、オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、有機溶媒、電解質及び酸含有の被測定資料を混合した共存電解液を収容する容器と、前記容器に設けられ前記共存電解液に浸漬された作用電極と対極と比較電極部と、前記比較電極の電位に対して所定のパルス状電位またはステップ状電位を前記作用電極と前記対極間に印加する制御部と、前記酸によって生じる前記作用電極と前記対極間を流れる還元電流の時間変化を検出する検出部と、検出した還元電流の時間変化に基づいて酸度を算出する演算部を、備えたことを特徴とする酸度測定装置であるから、制御部が比較電極の電位に対して所定のパルス状電位またはステップ状電位を作用電極と対極間に印加することで、簡単な電気化学的処理で、迅速に酸度測定が可能である。
【0032】
請求項2に記載された発明は、オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、有機溶媒、電解質及び酸含有の被測定資料を混合した共存電解液を収容する容器と、前記容器に設けられ前記共存電解液に浸漬された作用電極と対極と比較電極部と、前記比較電極の電位に対して所定のステップ状電位を前記作用電極と前記対極間に印加する制御部と、前記酸によって生じる前記作用電極と前記対極間を流れる還元電流の時間変化を検出する検出部と、検出した還元電流の時間変化に基づいて酸度を算出する演算部を、備えたことを特徴とする酸度測定装置であるから、制御部が比較電極の電位に対して所定のパルス状電位またはステップ状電位を作用電極と対極間に印加することで、簡単な電気化学的処理で迅速に酸度測定ができる。
【0033】
請求項3に記載された発明は、オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、有機溶媒、電解質及び酸含有の被測定資料を混合した共存電解液を収容する容器と、前記容器に設けられ前記共存電解液に浸漬された作用電極と対極と、前記作用電極と前記対極間に所定のパルス状電位またはステップ状電位を印加する制御部と、前記酸によって生じる前記作用電極と前記対極間を流れる還元電流の時間変化を検出する検出部と、検出した還元電流の時間変化に基づいて酸度を算出する演算部を、備えたことを特徴とする酸度測定装置であるから、制御部が所定のパルス状電位またはステップ状電位を作用電極と対極間に印加することで、簡単な電気化学的処理で迅速に酸度測定ができる。
【0034】
請求項4に記載された発明は、オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、有機溶媒、電解質及び酸含有の被測定資料を混合した共存電解液を収容する容器と、前記容器に設けられ前記共存電解液に浸漬された作用電極と対極と、前記作用電極と前記対極間に所定のステップ状電位を印加する制御部と、前記酸によって生じる前記作用電極と前記対極間を流れる還元電流の時間変化を検出する検出部と、検出した還元電流の時間変化に基づいて酸度を算出する演算部を、備えたことを特徴とする酸度測定装置であるから、制御部が所定のステップ状電位を作用電極と対極間に印加することで、簡単な電気化学的処理で迅速に酸度測定ができる。
【0035】
請求項5に記載された発明は、検出部が、パルス状電位またはステップ状電位が印加されている間の還元電流値の時間変化に基づいてピーク電流値を検出し、演算部が前記ピーク電流値を基に酸度を算出することを特徴とする請求項1または3に記載の酸度測定装置であるから、ピーク電流値は測定し易く短時間で安定した測定ができる。
【0036】
請求項6に記載された発明は、検出部が、パルス状電位またはステップ状電位が印加されている間の還元電流値の時間変化に基づいて、印加開始から一定時間後の電流値を検出し、演算部が該印加開始から一定時間後の電流値を基に酸度を算出することを特徴とする請求項2または4に記載の酸度測定装置であるから、一定時間を計時することで簡単に必要な電流値を測定することができ、酸度を測定できる。
【0037】
請求項7に記載された発明は、検出部が、パルス状電位またはステップ状電位が印加されている間の還元電流値の時間変化に基づいて、電流ピークが形成された後に生じる減衰の時間変化を検出し、演算部が該減衰の時間変化と基準の減衰の時間変化の比例係数から酸度を算出することを特徴とする請求項1または3に記載の酸度測定装置であるから、この比は電極の面積変動等による電流値の変動に影響されずに酸度にのみ依存して得らればらつきが少なく、安定した測定ができる。
【0038】
請求項8に記載された発明は、検出部が、パルス状電位またはステップ状電位が印加されている間の還元電流値の時間変化に基づいて、前記還元電流値の時間積分をして電荷量を検出し、演算部が前記電荷量から酸度を算出することを特徴とする請求項1または3に記載の酸度測定装置であるから、電荷量が電流値の時間積分でもあることにより初期条件の微妙の変化にも影響を受けにくく、且つそのものが還元に要した分子数と比例関係にあり安定しており、測定誤差が少なく確実で安定した測定ができる。
【0039】
請求項9に記載された発明は、パルス状電位またはステップ状電位に代えて、ステップ状電位を印加することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の酸度測定装置であるから、測定し易く短時間で安定した測定ができる。
【0040】
請求項10に記載された発明は、オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、有機溶媒、電解質を酸含有の被測定資料と混合して共存電解液をつくり、該共存電解液に作用電極と対極と比較電極部を浸漬し、前記比較電極の電位に対して所定のパルス状電位またはステップ状電位を前記作用電極と前記対極の間に印加し、このとき前記作用電極と前記対極間を流れる還元電流の時間変化を検出して酸度を算出することを特徴とする酸度測定方法であるから、酸度を簡単、迅速且つ高精度に測定することができる。
【0041】
請求項11に記載された発明は、オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、有機溶媒、電解質を酸含有の被測定資料と混合して共存電解液をつくり、該共存電解液に作用電極と対極と比較電極部を浸漬し、前記比較電極の電位に対して所定のステップ状電位を前記作用電極と前記対極の間に印加し、このとき前記作用電極と前記対極間を流れる還元電流の時間変化を検出して酸度を算出することを特徴とする酸度測定方法であるから、酸度を簡単、迅速且つ高精度に測定することができる。
【0042】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図26を用いて説明する。
【0043】
(実施の形態1)
まず本発明の一実施の形態の酸度測定装置について、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態における酸度測定装置の概略外観図である。図1において、1は測定部をカバーする上蓋、2は上蓋1を開放するための開放ボタン、3は測定酸度を表示する表示手段であるところのLCD、4は酸度の大きさによって領域を切り替えるためのボタン、5は測定を開始するためのスタート・ストップボタン、6は本装置の電源をON,OFFする電源ボタン、14は本体カバーである。
【0044】
次に図2は本発明の一実施の形態における酸度測定装置の上蓋を開放した概略外観図、図3は本発明の一実施の形態における酸度測定装置の測定容器を示す図、図4は本発明の一実施の形態における酸度測定装置の比較電極部10の詳細図である。図1において上蓋1を開放するための開放ボタン2を押すと、上蓋1が開放され、図2に示すように酸度測定装置の内部空間に取り外し自在の測定容器がセットできるようになっている。上蓋1を閉じると再び図1の状態に復帰する。次に図3において、7はオルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体,有機溶媒,電解質及び被測定試料を混合した共存電解液を収容する容器であり、8は対極、9は作用電極、10は比較電極部である。比較電極部10の詳細に関しては後述する。上記した測定容器は、容器7内にこの共存電解液を収容するとともに、対極8,作用電極9,比較電極部10を取り付けた容器カバーを共存電解液に各電極を浸漬した状態で容器7にセットしたものである。対極8の材料としては共存電解液中でも腐食しないで化学的に安定な白金、黒鉛、金が望ましいが、腐食しないステンレス、アルミニウム及びその合金等であってもよい。作用電極9の材料としては、共存電解液中でも腐食しないで化学的に安定な、白金、黒鉛、金が望ましいが、炭素もしくはグラッシーカーボンと呼ばれるガラス状炭素や、PFCと呼ばれるプラスチックフォームを1000℃〜2000℃で燒結した炭素が適当である。
【0045】
次に比較電極部10の説明をする。図4に示すように比較電極部10は、ガラス容器内に突出された電極11と、ガラス容器内に収容した内部液12と、ガラス容器に設けた液絡部13から構成される。電極11の材料としては銀−塩化銀がよいが、飽和カロメル、銀−銀イオン、水銀−飽和硫酸水銀でもよい。なお、例えば銀−塩化銀などというのは、銀の電極11の表面を塩化銀で被覆していることを示すものである。内部液12の材料としては、塩化銀、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム等の塩化物、アセトニトリル、硫酸銅その他の電極11の酸化還元反応において緩衝作用を示す溶液が適当である。また、液絡部13は内部液12と共存電解液の間に位置され、これらの溶液は通過させないが、電子もしくはイオンは通過させる作用をもつものであり、多孔質のセラミックスや多孔質のバイコールガラス等から構成される。本発明の実施の形態1では、比較電極部10の構成は以上のような構成からなるが、電位が安定し経時変化が少なければ電極11そのものだけであってもよい。なお、図1,2において図示はしていないが、対極8,作用電極9,比較電極部10を後述する制御回路に接続するコネクタが酸度測定装置本体に設けられている。
【0046】
続いて容器7に収容する共存電解液の説明をすると、本実施の形態1では食用油の酸価を測定するため電解質として過塩素酸リチウムを使用している。本実施の形態1の共存電解液は、溶媒としてエタノール65%にイソオクタン35%を混合して5mLとし、オルトベンゾキノン10mM(ミリモル/L)、過塩素酸リチウム50mMを溶解したもので、この溶媒に被測定試料100μLを混合して用いている。エタノールは電解質を容易に溶解することができ、同時に電極表面を洗浄する作用効果も合わせもっている。また、イソオクタンは熱劣化した油であっても溶解させることができ、エタノールとの溶解性も相性がよいものである。ただ熱劣化した油はイソオクタンの含有率が35%以上でないと溶解しないため、イソオクタンを最低でも35%混合することが必要である。そして油の熱劣化度が大きくなった場合には、これに対応してイソオクタンの含有率を増加する必要がある。このようにイソオクタンを35%以上混合するため、プロトン性の有機溶媒であるエタノールに劣化油を溶解させることができるし、従来の技術のように撹拌と遠心分離をせずとも酸度の測定が可能になる。
【0047】
次に実施の形態1のような油ではなく、水で戻すインスタントコーヒーや濃縮還元ジュースを含む水系の被測定物全般には、(1)イソプロピルアルコール10%以上,水40%以下,エタノール50%以上に混合した溶媒を使用すると沈殿物や溶液分離を生じることなく測定することが可能である。アルコール含有量76.9%〜81.4%というのが日本薬局方で決められた通常利用される消毒エタノールのアルコール含有量であることからみても、(1)の溶媒の場合倉庫に保管するときでも安全性を確保できる。また、電解質の材料に関しても、水で希釈することにより塩化ナトリウムの使用が可能となる。
【0048】
次に、水で戻すインスタントコーヒーや濃縮還元ジュース以外の果汁,アルコール飲料においては、(2)100%エタノール溶媒を使用してもよい。この場合キノン類の溶媒に対する溶解量が大きいため、等量のキノン類を使用しても電気化学的な特性が(1)のときより向上する。沈殿物も溶液分離も生じない。これは、(1)の溶媒より(2)の溶媒の方が溶媒中でのキノン類の拡散レートが良くなるために、より多くの反応が起こるからである。
【0049】
そして、(1)の場合イソプロビルアルコール,水,エタノールの混合比率を変化させると、必要なキノン類含有量も変化する。従って、(1),(2)を含めて、被測定液の特性を考慮して溶媒を選定する必要がある。
【0050】
ところで、本発明では共存電解液としてオルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体を混合することを特徴にしている。図5は、オルトベンゾキノン誘導体が遊離酸の付加なしで還元される際の反応スキーム図である。オルトベンゾキノン誘導体は、電極表面上で電子を受取りアニオンラジカル化され活性化された状態となる。活性化されたアニオンラジカルが、系中のエタノール等のアルコールや水等のプロトン性溶媒からプロトンを引き抜いてヒドロキノンにまで還元するものである。なお、図示はしないが酸素原子の位置が異なるだけでこれはパラベンゾキノン誘導体でも同様である。
【0051】
図6は、オルトベンゾキノン誘導体に遊離酸が付加されて還元される際の反応スキーム図である。系中に脂肪酸もしくは有機酸から遊離したプロトンが存在する場合には、この遊離したプロトンが、ベンゾキノン誘導体の酸素原子に付加されてプロトン化されたキノン(以下、プロトン付加ベンゾキノン誘動体)を形成し、電極表面上で電子を受け取りベンゾキノン単体よりも容易にヒドロキノンにまで還元される。還元される際に電極から受け取る電荷量は、ベンゾキノンに付加する酸の量に関係しており、電流信号(還元電流)として得られる。この関係はパラベンゾキノン誘導体でも基本的に全く同様である。このように、比較電極部10と作用電極9間の電位を掃引して印加(ボルタンメトリー)していったとき作用電極9と対極8の間には還元電流が流れるが、遊離したプロトンが存在する場合には、アニオンラジカルを経てヒドロキノンに還元される前に、脂肪酸や有機酸の量に比例した量が還元の容易なプロトン付加ベンゾキノン誘動体を生成して還元されるため、脂肪酸や有機酸がない場合に流れる還元電流の前に還元電流の前置波が形成される。これが、オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体を脂肪酸や有機酸に混合し、還元電流の前置波の電流値を測定すれば、逆に脂肪酸や有機酸の量を測定できるという原理である。
【0052】
そこで、この作用電極9の比較電極部10からの電位を掃引してボルタンメトリーしたとき、対極8と作用電極9間に流れる還元電流について説明する。図7はオルトベンゾキノン誘導体と酸が共存する測定電解液のボルタンメトリーによる酸度測定の電流―電位関係図である。図7において、横軸は比較電極に銀−塩化銀、作用電極にφ2のプラスチックフォームドカーボンを用いたときの、比較電極に対する作用電極の電位、縦軸はこのとき対極に流れる電流値である。図7によれば還元前置波が0mV近傍に現われているのが分かる。なお、電流値は作用電極の表面積の大きさや酸の濃度といった条件によって変わるものである。これに対して横軸のピークの現れる電位は酸の濃度によって若干変動はあるものの無視できる程度のものである。
【0053】
ところで、このようにキノン類を含んだ共存電解液のボルタンメトリーにおいては、キノン類が光で分解して測定の精度が低下するという光安定性の問題と、他のプロトン供給原として存在する溶液中の溶存酸素の影響をどのようにして断つかという矛盾した傾向をもつ2つの大きな問題がある。すなわち、溶存酸素の還元電流はボルタンメトリーする際に測定の外乱要因となるが、この影響を減らすことができるキノン類は概ね光で分解し易いといった傾向をもつという問題である。このため従来は光安定性の高いナフタキノンを用い、溶存酸素は不活性ガスなど利用して除酸素していた。そこで本発明ではこの2つの問題を同時に解決するため、オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体を用いている。この2種の誘導体は光安定性が高く、溶存酸素の影響を事実上無視できるものである。以下、これらの物質の光安定性と除酸素について詳細に説明する。
【0054】
図7に示すように、ベンゼン環に側鎖をもつオルトベンゾキノン誘導体のボルタモグラムは、溶存酸素の還元波形が出現する領域から正電位側に大きく離れて出現している。実線がオルトベンゾキノン誘導体のボルタモグラムであり、破線が溶存酸素の還元波形を示すものである。図7によれば、プレピーク波形は0mV付近から正電位側にかけて存在し、溶存酸素の還元波形が存在する負電位側から約400mVの幅でシフトされている。本ピークの位置においても溶存酸素の還元の影響はほとんどない。この様に、オルトベンゾキノン誘導体を還元するための電位は、溶存酸素の影響のない電位領域である。このため、予め溶存酸素を除去しなくても、溶存酸素の影響を受けることなく、従ってバラつきもなく酸度を正確に測ることができるものである。
【0055】
図8はパラベンゾキノン誘導体と酸が共存する測定電解液のボルタンメトリーによる酸度測定の電流―電位関係図である。図8に示すように、パラベンゾキノン誘導体のボルタモグラムのプレピークは、溶存酸素の還元波形が出現する領域に若干掛かる程度にシフトして出現している。実線がパラベンゾキノン誘導体のボルタモグラムであり、破線が溶存酸素の還元波形を示すものである。図8によれば、プレピーク波形は溶存酸素の還元波形が存在する負電位側から約200mVの幅でシフトされている。本ピークの位置では溶存酸素の還元の影響が若干認められるが、酸の測定には影響はほとんどない。この様にパラベンゾキノン誘導体を還元するための電位は、溶存酸素の影響の少ない電位領域である。このため、予め溶存酸素を除去しなくても、溶存酸素の影響は無視できるものであり、従ってバラつきもなく酸度を正確に測ることができるものである。
【0056】
また、ベンゼン環に側鎖をもつオルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体は、溶存酸素の還元電位と離れた位置にプレピークを出現させるという上記の特性の外に、さらに、キノン類に多い光分解を起こすことなく安定した測定をすることができる特性を併せもっている。図9はオルトベンゾキノン誘導体の構造を示す図、図10はパラベンゾキノン誘導体の構造を示す図である。図9のオルトベンゾキノン誘導体、図10のパラベンゾキノン誘導体は、側鎖であるR部分が存在するために、光によって分解のエネルギーを与えられたとしても、側鎖Rの分子内伸縮や側鎖Rの回転のための運動エネルギーに光のエネルギーを消費するために光分解を受けにくい。さらに、図11は3,5−ジ−tert−ブチル−1,2−ベンゾキノンの構造を示す図、図12は2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノンの構造を示す図である。オルトベンゾキノンの中でも、図11に示す3,5−ジ−tert−ブチル−1,2−ベンゾキノンと、図12に示すパラベンゾキノンの中でも2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノンを用いると、構造的にtert−ブチルやメチル基がベンゼン環の中に電子を供与するため、分子構造が共役構造を取り易くなり、さらに光のエネルギーが多く吸収されるため光分解がほとんど起こらず、安定した測定が可能になるものである。
【0057】
ところで、これらのキノン類の光に対する安定性と、酸付加による還元電位すなわちボルタモグラムのプレピーク電位が溶存酸素の還元電位からどの程度離れているかについて、次のような矛盾した関係がある。すなわち、光に対する安定性が高いナフトキノン誘導体のようなキノン類は、安定性が向上するに従って、ボルタモグラムのプレピーク電位が次第に負電位側によっていき、溶存酸素の還元波形と重なるような傾向をもつ。また逆に、光に対する安定性が悪いキノン類は、光に対する安定性が悪くなるに従って、溶存酸素の還元波形と重ならない方向へシフトする傾向をもつ。このため光の影響によって電解液自身に変化を生じ、測定値がバラついて電解液として実用性が悪くなる。以上のような理由から、光に対する十分な安定性を備え、同時にボルタモグラムのプレピーク電位が少なくとも溶存酸素の還元波形と重ならないキノン類であれば、酸度測定装置の電解液として適した特性をもつものということができる。このようなキノン類として、ベンゼン環の3,5位置に側鎖をもつオルトベンゾキノン誘導体、中でも3,5−ジ−tert−ブチル−1,2−ベンゾキノン、またベンゼン環の2,6位置に側鎖をもつパラベンゾキノン誘導体、中でも2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノンが優れた特性をもっている。これらは光分解を起こすことなく安定した測定をすることができ、図7と図8に示すように溶存酸素の還元電位からプレピークが分離しているものである。
【0058】
ところで、脂肪酸や有機酸にベンゾキノン誘導体のプロトン付加体を混合したときの特徴的な還元電流は、図7,8に記載したボルタンメトリーによって得られるが、脂肪酸や有機酸の還元電位よりも負側でパルス状もしくはステップ状電位を印加すること(クロノアンペロメトリー)でも得られる。図13はオルトベンゾキノン誘導体が共存する測定電解液のパルス状定電圧印加時での時間−電圧関係図である。このとき横軸は電位を印加する際の時間、縦軸はこのとき作用電極と対極間に印加する電圧値である。図14はオルトベンゾキノン誘導体が共存する測定電解液のパルス状定電圧印加時での時間−電流関係図である。横軸は電圧を印加する際の時間、縦軸はこのとき前記作用電極と前記対極間に流れる電流値である。但し、電流値は作用電極の表面積の大きさや酸の濃度といった条件によって変わるものである。また、図15はオルトベンゾキノン誘導体が共存する測定電解液のステップ状定電圧印加時での時間−電圧関係図である。横軸は電位を印加する際の時間、縦軸はこのとき作用電極と対極間に印加する電圧値である。さらに、図16はオルトベンゾキノン誘導体が共存する測定電解液のステップ状定電圧印加時での時間−電流関係図である。横軸は電圧を印加する際の時間、縦軸はこのとき作用電極と対極間に流れる電流値である。但し、電流値はパルス状電位またはステップ状電位の場合と同様で作用電極の表面積の大きさや酸の濃度といった条件で変わるものである。図17はオルトベンゾキノン誘導体が共存する測定電解液のパルス状もしくはステップ状定電圧印加時での時間−電流関係図の詳細説明図で、この時間変化が少なくともA、B、Cの特徴的な3段階を含むものであることを示している。すなわち、この還元電流の時間変化は、
A段階:電気二重層充電による電流の立ち上がり
B段階:電子移動による電流の急激な減衰
C段階:物質輸送によるファラデー電流の緩やかな減衰
の3段階を含んでいる。
【0059】
A段階における急激な電流値の立ち上がりは、作用表面上の電気二重層の形成に伴うものである。 図18は作用電極9表面上の電気二重層の構成図を示すものである。測定対象の脂肪酸や有機酸の還元電位より負の所定の電位をかけてからほぼ100msecの時間内に、測定電解液内のわずかな量のイオンが動いて作用電極9界面上の電気二重層に電荷分布ができる。この際に流れる還元電流の立ち上がりは、電気二重層形成時のイオン量に関連するものであり、これにはプロトン付加ベンゾキノン誘導体も含まれる。またプロトン付加ベンゾキノン誘導体は、正電荷を帯びており、作用電極9が負極となる際には、ベンゾキノン誘導体よりも作用電極9に移動しやすく、また還元もされ易い。そのため還元電流のピーク電流値は、プロトン付加ベンゾキノン誘導体の量に比例して増加する。図19は本発明の一実施の形態における酸度測定装置の、酸度とピーク電流値の関係図である。脂肪酸もしくは有機酸の量が増加すなわち酸度が増加するにつれて、プロトン付加ベンゾキノン誘導体が増加するため、ピーク電流値も増加しており、ピーク電流値と酸度は比例関係にある。これより、図19の様な既知の検量線に、未知の酸度試料から得られたピーク電流値を当てはめることで、その未知の酸度試料の酸度がわかるものである。
【0060】
次に、B段階の説明を行う。B段階における急激な電流値の減衰は、プロトン付加ベンゾキノン誘導体の電子移動を示唆するものである。電子移動過程の還元電流値は電子移動律速の反応を表すものであり、ファラデー電流と呼ばれる。ファラデー電流は、プロト、ン付加ベンゾキノン誘導体の濃度には影響しない。ファラデー電流の減衰は、ほぼ500msecの時間内に終わる様な、短寿命減衰である。従って、このB段階の電流の減衰は酸度の測定では事実上無視できる程度のものである。
【0061】
C段階における緩やかな電流値の減衰は、物質輸送過程を示唆するものである。パルス状もしくはステップ状電圧印加開始からほぼ500msec以降の時間域でおこる現象である。作用電極9表面上でプロトン付加ベンゾキノン誘導体の還元反応が進み、酸化体の表面濃度が減るにつれて拡散・対流・泳動等による物質移動を示す。プロトン付加ベンゾキノン誘導体の表面濃度は、輸送でバルク層から補給される速さと、作用電極表面上の電子移動反応で還元されて消費される速さとの、兼ね合いで決まる。電子移動反応速度が大きければ、プロトン付加ベンゾキノン誘導体は、やがてほとんど無くなる。この後の電流は、拡散・対流・泳動等の物質輸送だけによって決まり、電子移動の情報は無くなる。物質輸送のみによる過程では、電流値は時間の−1/2乗に比例して減衰していく。その際の減衰の変化関数はC0・t−1/2であり、このC0・t−1/2と基準関数t−1/2の比例係数C0は、反応物であるプロトン付加ベンゾキノン誘導体の濃度に等しい。そこで検出部と演算部において、還元電流の減衰の時間変化のグラフを、横軸である時間を−1/2乗の値に変換する操作を加えると直線状のグラフが得られる。この直線状のグラフの傾きが比例係数C0に相当するから、この比例係数が酸度に比例する。還元電流値が、時間の−1/2乗に比例する現象は、プロトン付加ベンゾキノン誘導体の、電極表面での還元反応の後の拡散を示唆する現象である。
【0062】
図20は、本発明の一実施の形態における酸度測定装置の、酸度1,3,5の各試料の還元電流−時間の関係図である。図20にみられる様に、プロトン付加ベンゾキノン誘導体の還元電流値は、酸度の増加に伴なって増加していることがわかる。図21は、前記図20の時間軸を時間の−1/2乗に変換した図である。例としての酸度1、3、5(wt%)の各試料とも直線が得られる。また酸度1、3、5(wt%)の各試料は、いずれも直線状となる。この直線の傾きは試料の酸度に比例して増加する。図22は、本発明の一実施の形態における酸度測定装置の、酸度1,3,5の各試料の還元電流―時間の−1/2乗変換における、傾きと酸度の関係図である。この各試料の酸度と図21での傾きは直線関係となる。
【0063】
この様に、図21に示す横軸を時間の−1/2乗に変換して得られる直線の傾きが、図22に示すように酸度に対して比例するという関係を利用して、酸度を求めることが出来る。すなわち、未知の酸試料に対するパルス状もしくはステップ状定電位印加時の還元電流値の減衰から、図20の還元電流値の時間変化が得られ、その横軸である時間軸を時間の−1/2乗に変換した図21の直線グラフに基づいて傾きが得られ、その傾きを図22の様な既知の酸を用いた検量線にあてはめることで、未知の酸試料の酸度を求めることが出来るものである。また、パルス状もしくはステップ状の電位を印加してからB段階を経てC段階に入った状態であれば、印加開始から一定時間t後の電流値から直接酸度を算出することが出来る。
【0064】
ところで、電流値を時間積分すると通電時に流れる電荷量を与えるが、これは作用電極9表面上での反応したプロトン付加ベンゾキノン誘導体の分子数そのものである。ファラデーの法則より、電極表面上での電子の授受を伴う反応は、反応に関与した電子のモル数/クーロン数に密接に関連する。すなわち、電流値の時間積分値は電荷量そのものであって、これを計測することは直接的にプロトン付加ベンゾキノン誘導体の還元された量を計測することであり、これにより酸度を算出することができる。
【0065】
図23は、前記図20の電流値を時間積分して得られる、電荷量と酸度の関係図である。この酸度への換算は、後述する検出部と演算部において実行するものである。ここで対象となる電荷量は電流値の時間積分でもあることから、初期条件の微妙の変化に対しても影響を受けにくく、安定した換算酸度を得ることができる。このように反応電荷量を用いた酸度換算方法は、プロトン付加ベンゾキノン誘導体の電極表面での還元反応量を用いて酸度を測定する方法であり、電荷量そのものが還元に要したプロトン付加ベンゾキノン誘導体分子数と比例関係にあるため、安定した酸度が得られ、未知の酸試料に対してパルス状もしくはステップ状定電位印加時の還元電流値の減衰状態を測定すれば、図23の様な検量線にあてはめることで未知の酸試料の酸度を求めることが出来るものである。
【0066】
さて、本実施の形態1の酸度測定装置を操作する時の装置の動作の説明をする。溶媒5mLに対して被測定試料である果汁を100μL容器7内で混合、さらに撹拌した後、対極8と作用電極9と比較電極部10を設けた測定カバーを装着して酸度測定装置内にセットし、酸度測定装置の上蓋1を閉じて測定可能状態にする。次いで電源ボタン6とスタート・ストップボタン5を押して測定開始すると、制御部15が比較電極部10の電極11電位を基準にして作用電極9の電位を測って作用電極9と対極8の間に電圧を印加する。このとき、作用電極9と対極8の間に流れる電流の時間変化より、果汁の酸度が算出される。
【0067】
ここで、本実施の形態1の酸度測定装置の制御を行う制御回路について説明する。図24は本発明の一実施の形態における酸度測定装置の制御回路図である。図24において、5’はスタート・ストップボタン5によって動作するスタート・ストップスイッチ、6’は電源ボタン6を押すと動作する電源ON−OFFスイッチ、15はマイクロコンピューター等から構成される制御部、16は発振子、17は分周回路、18はタイマー、19はD/Aコンバーター、20はオペアンプ、21はモニタリング回路、22は抵抗器、23は作動アンプ、24はA/Dコンバーター、25はマイクロコンピューター等からなる酸度算出手段である。
【0068】
図1の電源ボタン6を押すとLCD3が動作可能となる。次にスタート・ストップボタン5を押すと、制御部15は発振子16により発生される信号を基に分周回路17によって内部でクロックを作り、そのクロックをカウントしてタイマー18が計時を開始する。タイマー18に同期して制御部15はD/Aコンバータ19へ印加電圧整形用のデータを表すデジタル信号を送る。D/Aコンバーター19では、このデジタル信号が図13または図15のようなパルス状もしくはステップ状のアナログ信号に変換され、このアナログ信号がモニタリング回路21に入力される。なお、この実施の形態1ではD/Aコンバータ19を用いたが、これに代えて、制御部15から出力されるデジタル信号でトランジスタ等のスイッチング素子を動作し、パルス状もしくはスラップ状のアナログ信号にするのでもよい。
【0069】
モニタリング回路21においては、出力端側の対極8の電圧をアナログ信号に従って制御し、−入力端側の比較電極部10の電極11の電圧がアナログ信号と同じになるようにする。これにより電極11と作用電極9との間の電位差は所定の値+1000mV〜−1000mVの範囲となる。一方、対極8に流れる電流は、抵抗器22の両端の電圧を差動アンプ23を通すことにより電圧へ変換され、A/Dコンバーター24を介してアナログ信号からディジタル信号へ変換されて、さらに制御部15へ入力される。
【0070】
ここで制御部15は、所定の値で印加される電位に対して、電流値やその時間変化値を検出する。本実施の形態1においては3,5−ジ−tert−ブチル−1,2−ベンゾキノンを含有させた共存電解液を用いている。制御部15では、還元電流の特性値として、既に説明した還元電流のピーク電流値の検出や、還元電流の時間変化の時間t−1/2への換算と傾きからの比例係数の検出、電荷量の算出を行う。酸度算出手段25には、予め酸度が分かっている標準試薬を作成した、ピーク電流値と酸度、比例係数と酸度、電荷量と酸度の関係を示す検量線データがそれぞれメモリされている。制御部15において検出されたピーク電流値や、算出された比例係数、電荷量は酸度を演算するために酸度算出手段25に送られ、酸度算出手段25において検量線に基づいて酸度が算出される。
【0071】
このように本実施の形態の酸度測定装置は、溶存酸素や光安定性に優れ、扱い易く、ボルタンメトリーするための回路より比較的簡単な回路で、迅速に且つ高精度に測定することができる。
【0072】
(実施の形態2)
次いで本発明の実施の形態2の酸度測定装置について、図面に基づいて詳細に説明する。実施の形態1と異なる点は、比較電極を必要としない形態である点である。そのため図1及び図2、図5〜図23は実施の形態2でも同様であり、詳細な説明は実施の形態1における説明に譲る。そして、実施の形態1を示す図3においては比較電極部10が設けられているが、実施の形態2ではこれが設けられていない。上蓋1、開放ボタン2、LCD3、ボタン4、スタート・ストップボタン5、電源ボタン6、容器7、対極8、作用電極9、本体カバー14などはすべて両者で共通であり、実施の形態1で説明した通りである。
【0073】
さて、本実施の形態2の酸度測定装置の特徴である作用電極、対極を備えた制御回路と、これがどのように制御されるのかについて図25に基づいて説明する。図25は本発明の本実施の形態2における酸度測定装置の制御回路図である。図25において、5’はスタート・ストップボタン5によって動作するスタート・ストップスイッチ、6’は電源ボタン6を押すと動作する電源ON−OFFスイッチ、15はマイクロコンピューター等から構成される制御部、16は発振子、17は分周回路、18はタイマ手段、19はD/Aコンバータ、20はオペアンプ、21はモニタリング回路、22は抵抗器、23は作動アンプ、24はA/Dコンバータ、25は酸度算出手段である。モニタリング回路21へはD/Aコンバータ19からの出力と、対極8の電圧が入力される。
【0074】
図1の電源ボタン6を押すとLCD3が動作可能となる。次にスタート・ストップボタン5を押すと、制御部15は発振子16により発生される信号を基に分周回路17によって内部でクロックを作り、そのクロックをカウントしてタイマー18が計時を開始する。タイマー18に同期して制御部15はD/Aコンバータ19へ印加電圧整形用のデータを表すデジタル信号を送る。D/Aコンバーター19では、このデジタル信号が図13または図15に示すようなパルス状もしくはステップ状のアナログ信号に変換され、このアナログ信号がモニタリング回路21を経て、対極8に出力される。対極8とモニタリング回路21はフィードバックされているから、これにより対極8と作用電極9との間の電位差は所定の値+1000mV〜−1000mVの範囲となるように制御される。一方、対極8に流れる電流は、抵抗器22の両端の電圧を差動アンプ23を通すことにより電圧へ変換され、A/Dコンバーター24を介してアナログ信号からディジタル信号へ変換され、さらに制御部15へ入力される。
【0075】
制御部15は、実施の形態1と同様、所定の値で印加される電位に対して電流値やその時間変化値を検出する。本実施の形態2においても3,5−ジ−tert−ブチル−1,2−ベンゾキノンを含有させた共存電解液を用いている。制御部15では、実施の形態1と同じく還元電流のピーク電流値の検出や、還元電流の時間変化の時間t−1/2への換算と傾きからの比例係数の検出、電荷量の算出を行う。酸度算出手段25には、ピーク電流値と酸度、比例係数と酸度、電荷量と酸度の関係を示す検量線データがそれぞれメモリされている。制御部15において検出されたピーク電流値や、算出された比例係数、電荷量は酸度を演算するために酸度算出手段25に送られ、酸度算出手段25において酸度が算出される。
【0076】
本実施の形態2の酸度測定装置は、比較電極部を使用しないから安価で、扱い易く、実施の形態1よりさらに簡単な回路で、迅速に且つ高精度に測定することができる。
【0077】
(実施の形態3)
実施の形態3は測定に際し、被測定試料に前処理を施す必要がある血清の場合である。本実施の形態3では、予め内部に酵素を入れた酵素反応容器を別途用意しておき、この酵素反応容器内に血清を導いて血清中の脂質成分を分解して遊離脂肪酸を生成して測定するものである。
【0078】
酵素反応容器内に血清を導入すると、内部の酵素により、導入された血清中の脂質成分は分解され、遊離脂肪酸を発生する。例えば脂質成分が中性脂肪である場合は、酵素としてリポプロテインリパーゼを作用させると、加水分解してグリセロールと遊離脂肪酸を生成する。また、脂質成分がコレステロール(コレステロール脂肪酸エステル)の場合は、酵素としてコレステロールエステラーゼを作用させると、加水分解して遊離型コレステロールと遊離脂肪酸を生成する。リン脂質のときはホスホリパーゼAを作用させると、脂肪酸と脱脂肪酸リン脂質が得られる。
【0079】
そして、酵素により発生した遊離脂肪酸を含む血清を被測定試料として、そのまま酵素反応容器から実施の形態1または2で説明した測定容器に移し、その遊離脂肪酸の量をこれらの酸度測定装置で測定する。次いでこの値から酵素反応を起こさせる前の血清中の脂質成分の量を換算して測定するものである。なお、酵素反応容器の以外の装置に関しては、実施の形態1または2で説明した通りである。また、実施の形態3においては、この遊離脂肪酸の量から血清中の脂質成分に換算する演算機能を酸度算出手段に与えている。ただ、この脂質成分に換算する機能を有する脂質換算手段を酸度算出手段とは別に設けてもよい。
【0080】
このように、酵素を作用させて遊離脂肪酸を発生させた血清を被測定試料として、そのまま酵素反応容器から実施の形態1または2の測定容器に移し、その遊離脂肪酸をこれらの酸度測定装置で測定した後、その値より血清中の元の脂質成分の量を換算して測定するものである。酵素反応容器の以外の装置に関しては、実施の形態1または2に説明を譲ってここでは省略する。遊離脂肪酸の量から血清中の脂質成分を換算する演算機能を酸度算出手段に追加して組み込んでおいてもよい。
【0081】
【発明の効果】
本発明の酸度測定装置は、パルス状もしくはステップ状の定電圧を印加してプロトン付加ベンゾキノン誘導体が電極表面上で還元される際に流れる還元電流の時間変化を測定することにより、扱い易く、酸度を簡単、迅速に且つ高精度に測定することができる酸度測定装置を提供することを目的とする。
【0082】
さらに本発明の酸度測定方法は、酸度を簡単、迅速且つ高精度に測定することができる酸度測定方法を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における酸度測定装置の概略外観図
【図2】本発明の一実施の形態における酸度測定装置の上蓋を開放した概略外観図
【図3】本発明の一実施の形態における酸度測定装置の測定容器を示す図
【図4】本発明の一実施の形態における酸度測定装置の比較電極部の詳細図
【図5】オルトベンゾキノン誘導体が遊離酸の付加なしで還元される際の反応スキーム図
【図6】オルトベンゾキノン誘導体に遊離酸が付加して還元される際の反応スキーム図
【図7】オルトベンゾキノン誘導体と酸が共存する測定電解液のボルタンメトリーによる酸度測定の電流−電位関係図
【図8】パラベンゾキノン誘導体と酸が共存する測定電解液のボルタンメトリーによる酸度測定の電流−電位関係図
【図9】オルトベンゾキノン誘導体の構造を示す図
【図10】パラベンゾキノン誘導体の構造を示す図
【図11】 3,5−ジ−tert−ブチル−1,2−ベンゾキノンの構造を示す図
【図12】 2,6−ジ・メチル−1,4−ベンゾキノンの構造を示す図
【図13】オルトベンゾキノン誘導体が共存する測定電解液のパルス状定電圧印加時での時間−電圧関係図
【図14】オルトベンゾキノン誘導体が共存する測定電解液のパルス状定電圧印加時での時間−電流関係図
【図15】オルトベンゾキノン誘導体が共存する測定電解液のステップ状定電圧印加時での時間−電圧関係図
【図16】オルトベンゾキノン誘導体が共存する測定電解液のステップ状定電圧印加時での時間−電流関係図
【図17】オルトベンゾキノン誘導体が共存する測定電解液のパルス状もしくはステップ状定電圧印加時での時間−電流関係図の詳細説明図
【図18】作用電極表面上での電気二重層の構成図
【図19】本発明の一実施の形態における酸度測定装置の、酸度とピーク電流値の関係図
【図20】本発明の一実施の形態における酸度測定装置の、酸度1,3,5の各試料の還元電流−時間の関係図
【図21】前記図20の時間軸を時間の−1/2乗に変換した図
【図22】本発明の一実施の形態における酸度測定装置の、酸度1,3,5の各試料の還元電流―時間の−1/2乗変換における、傾きと酸度の関係図
【図23】前記図20の電流値を時間積分して得られる、電荷量と酸度の関係図
【図24】本発明の一実施の形態1における酸度測定装置の制御回路図
【図25】本発明の一実施の形態2における酸度測定装置の制御回路図
【図26】従来のナフトキノン誘導体と酸が共存する測定電解液のボルタンメトリーによる酸度測定の電流−電位関係図
【符号の説明】
1 上蓋
2 開放ボタン
3 酸価度表示窓
5 スタート・ストップボタン
5’ スタート・ストップスイッチ
6 電源ON・OFFボタン
6’ 電源ON−OFFスイッチ
7 測定電解液
8 対極
9 作用電極
10 比較電極部
11 電極
12 内部液
13 液絡部
14 本体
15 制御部
16 振動子
17 分周回路
18 タイマー
19 D/Aコンバーター
20 オペアンプ
21 モニタリング回路
22 抵抗器
23 差動アンプ
24 A/Dコンバーター
25 酸度算出手段
Claims (11)
- オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、有機溶媒、電解質及び酸含有の被測定試料を混合した共存電解液を収容する容器と、前記容器に設けられ前記共存電解液に浸漬された作用電極と対極と比較電極部と、前記比較電極の電位に対して所定のパルス状電位またはステップ状電位を前記作用電極と前記対極間に印加する制御部と、前記酸によって生じる前記作用電極と前記対極間を流れる還元電流の時間変化を検出する検出部と、検出した還元電流の時間変化に基づいて酸度を算出する演算部を、備えたことを特徴とする酸度測定装置。
- オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、有機溶媒、電解質及び酸含有の被測定試料を混合した共存電解液を収容する容器と、前記容器に設けられ前記共存電解液に浸漬された作用電極と対極と比較電極部と、前記比較電極の電位に対して所定のステップ状電位を前記作用電極と前記対極間に印加する制御部と、前記酸によって生じる前記作用電極と前記対極間を流れる還元電流の時間変化を検出する検出部と、検出した還元電流の時間変化に基づいて酸度を算出する演算部を、備えたことを特徴とする酸度測定装置。
- オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、有機溶媒、電解質及び酸含有の被測定試料を混合した共存電解液を収容する容器と、前記容器に設けられ前記共存電解液に浸漬された作用電極と対極と、前記作用電極と前記対極間に所定のパルス状電位またはステップ状電位を印加する制御部と、前記酸によって生じる前記作用電極と前記対極間を流れる還元電流の時間変化を検出する検出部と、検出した還元電流の時間変化に基づいて酸度を算出する演算部を、備えたことを特徴とする酸度測定装置。
- オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、有機溶媒、電解質及び酸含有の被測定試料を混合した共存電解液を収容する容器と、前記容器に設けられ前記共存電解液に浸漬された作用電極と対極と、前記作用電極と前記対極間に所定のステップ状電位を印加する制御部と、前記酸によって生じる前記作用電極と前記対極間を流れる還元電流の時間変化を検出する検出部と、検出した還元電流の時間変化に基づいて酸度を算出する演算部を、備えたことを特徴とする酸度測定装置。
- 検出部が、パルス状電位またはステップ状電位が印加されている間の還元電流値の時間変化に基づいてピーク電流値を検出し、演算部が前記ピーク電流値を基に酸度を算出することを特徴とする請求項1または3に記載の酸度測定装置。
- 検出部が、ステップ状電位が印加されている間の還元電流値の時間変化に基づいて、印加開始から一定時間後の電流値を検出し、演算部が該印加開始から一定時間後の電流値を基に酸度を算出することを特徴とする請求項2または4に記載の酸度測定装置。
- 検出部が、パルス状電位またはステップ状電位が印加されている間の還元電流値の時間変化に基づいて、電流ピークが形成された後に生じる減衰の時間変化を検出し、演算部が該減衰の時間変化と基準の減衰の時間変化の比例係数から酸度を算出することを特徴とする請求項1または3に記載の酸度測定装置。
- 検出部が、パルス状電位またはステップ状電位が印加されている間の還元電流値の時間変化に基づいて、前記還元電流値の時間積分をして電荷量を検出し、演算部が前記電荷量から酸度を算出することを特徴とする請求項1または3に記載の酸度測定装置。
- パルス状電位またはステップ状電位に代えて、ステップ状電位を印加することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の酸度測定装置。
- オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、有機溶媒、電解質を酸含有の被測定試料と混合して共存電解液をつくり、該共存電解液に作用電極と対極と比較電極部を浸漬し、前記比較電極の電位に対して所定のパルス状電位またはステップ状電位を前記作用電極と前記対極の間に印加し、このとき前記作用電極と前記対極間を流れる還元電流の時間変化を検出して酸度を算出することを特徴とする酸度測定方法。
- オルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、有機溶媒、電解質を酸含有の被測定試料と混合して共存電解液をつくり、該共存電解液に作用電極と対極と比較電極部を浸漬し、前記比較電極の電位に対して所定のステップ状電位を前記作用電極と前記対極の間に印加し、このとき前記作用電極と前記対極間を流れる還元電流の時間変化を検出して酸度を算出することを特徴とする酸度測定方法。
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