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JP4231781B2 - ポリグリコール酸及びその製造方法 - Google Patents
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JP4231781B2 - ポリグリコール酸及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、グリコリドやラクチドなどの環状エステルを開環重合してなる生分解性を有するポリグリコール酸との製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、生分解性速度が制御され、着色が抑制されたポリグリコール酸の製造方法に関する。特に、本発明は、溶融安定性に優れ、かつ、着色の少ないポリグリコール酸(即ち、ポリグリコリド)とその製造方法に関する。
リグリコール酸やポリ乳酸、あるいはこれらの共重合体などのポリヒドロキシカルボン酸は、シート、フィルム、繊維、その他の各種成形品、複合材料(例えば、多層フィルム、多層容器)などとして有用である。
ヒドロキシカルボン酸の2分子間環状エステル(「環状二量体」ともいう)を開環重合すると、ポリヒドロキシカルボン酸を得ることができる。このような環状エステルとしては、グリコール酸の2分子間環状エステルであるグリコリド、乳酸の2分子間環状エステルであるラクチドなどが代表的なものである。グリコリドを開環重合するとポリグリコール酸(即ち、ポリグリコリド)が得られる。ラクチドを開環重合するとポリ乳酸(即ち、ポリラクチド)が得られる。
環状エステルを開環重合して得られるポリグリコール酸やポリ乳酸、あるいはラクチドとグリコリドとの開環共重合体などのポリヒドロキシカルボン酸は、生分解性高分子材料として知られており、古くから手術用の縫合糸などの用途に適用することが提案されている(例えば、米国特許第3,297,033号明細書、米国特許第3,636,956号明細書)。
特にポリグリコール酸は、他の生分解性高分子材料に比べて、耐熱性、ガスバリヤー性、機械的強度等に優れているため、シート、フィルム、容器、射出成形品などとして、新たな用途展開が図られている(特開平10−60136号公報、特開平10−80990号公報、特開平10−138371号公報、特開平10−337772号公報)。
これらのポリヒドロキシカルボン酸は、生分解性を有しており、環境に優しい高分子材料ではあるものの、その生分解性の速度を制御することが困難であった。従来、ポリヒドロキシカルボン酸の生分解性速度は、一般に、その平均分子量に依存していると考えられていた。生分解性速度は、例えば、ポリヒドロキシカルボン酸成形品を土中に埋設し、崩壊する期間を観察することによって、ある程度の定量化が可能である。この方法を土中崩壊性試験という。
そこで、ポリヒドロキシカルボン酸成形品の土中崩壊性試験を行った場合、ポリヒドロキシカルボン酸の重量平均分子量が大きくなるほど、崩壊に長期間を必要とし、重量平均分子量が小さくなるほど、短期間で崩壊すると考えられていた。もちろん、ポリヒドロキシカルボン酸の重量平均分子量が極めて小さい場合には、一般に、短期間で土中崩壊性を示す。
しかし、本発明者らの検討結果によれば、ポリヒドロキシカルボン酸の生分解性速度は、必ずしも重量平均分子量などの平均分子量には依存しないことが判明した。平均分子量の指標として、重量平均分子量以外に、溶液粘度、溶融粘度などを用いても同様である。
一般に、生分解性速度が速い場合には、使用済みのポリヒドロキシカルボン酸成形品を生分解させたり、コンポスト化するのが容易であるという利点があるが、成形品の用途は、極めて短期間での使用目的の分野や低強度製品の分野などに限定される。
フィルムや容器などのポリヒドロキシカルボン酸成形品であって、通常のプラスチック成形品と同様の耐久性や外観保持性が期待される用途分野で用いられる場合、生分解性速度が速すぎると、成形品の強度が早期に低下したり、製品外観を長期に保持することが困難になる。そこで、ポリヒドロキシカルボン酸の高分子量化を図ることにより、生分解性を損うことなく、耐久性や外観保持性に優れた成形品を得ようと試みられてきた。
ところが、予期に反して、高分子量のポリヒドロキシカルボン酸を用いただけでは、早期の生分解性を充分に抑制して、強度や外観を保持することが困難であることが判明した。また、ポリヒドロキシカルボン酸の製造ロット毎の生分解性速度のバラツキもあり、均一な品質の製品を製造することが困難であった。また、グリコリドの開環重合体などのポリグリコール酸は、重合温度を高くして長時間重合させると、着色しやすくなる。
このように、ポリヒドロキシカルボン酸の着色を抑制しつつ、生分解性速度を制御することは困難であり、そのための手段については、未だ提案されていない。
ポリヒドロキシカルボン酸の中でもポリグリコール酸は、その製造技術が未だ充分に確立していないため、溶融安定性に優れ、かつ、着色の少ない成形品を与えることができるポリグリコール酸を製造することは困難であった。
ポリグリコール酸の溶融安定性が悪いと、安定して溶融成形加工を行うことができない。ポリグリコール酸が着色しやすいものであると、製品価値が損われ、衛生上も問題が生じる。ポリグリコール酸の生分解性が急速であると、コンポスト化が容易であるものの、製品寿命を制御することが困難である。
米国特許第3,297,033号明細書には、重合触媒を混合したグリコリドをガラス管に仕込み、185〜190℃で開環重合を行ったこと、そして、冷却後に白色ポリマーが得られたことが記載されている(実施例1)。このように、ポリグリコール酸の融点(約220℃)以下の温度で開環重合を行うと、着色の少ないポリマーを得ることができる。
しかし、重合温度を低くすると、重合反応中に生成ポリマーが結晶固化しやすく、それによって、重合反応が不均一になりやすい。その結果、得られたポリグリコール酸は、溶融安定性が悪く、シート、フィルム、繊維などの各種成形品に押出成形する際に、溶融粘度が大きく変化し、安定して押出成形を行うことが困難である。
米国特許第3,468,853号明細書には、重合触媒を混合したグリコリドを205〜235℃の温度で、実質的に粘度が平衡に達するまで、開環重合を行う方法が開示されている。しかし、高温で長時間の開環重合を行うと、生成ポリグリコール酸が着色して、商品価値が大きく下がる場合が多かった。
米国特許第2,668,162号明細書には、重合触媒を混合したグリコリドを150〜200℃で開環重合して低分子量のポリマーを生成させた後、220〜245℃に昇温して溶融粘度を向上させるポリグリコール酸の製造方法が開示されている。しかし、この方法は、昇温に時間がかかりやすく、また、急激に昇温すると、加熱ムラが発生しやすいため、生成ポリグリコール酸の着色を防止することが困難であった。
本発明の目的は、生分解性速度が制御され、かつ、着色が抑制されたポリグリコール酸との製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、早期に強度や外観保持性が低下することがなく、かつ、均一な品質を示す成形品を与えることができるポリグリコール酸を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、溶融安定性が顕著に改善され、同時に、着色が抑制されたポリグリコール酸とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、ポリヒドロキシカルボン酸の生分解性速度が必ずしも平均分子量に依存することがない原因について探究したところ、従来のポリヒドロキシカルボン酸では、その分子量分布が充分に制御されていない点に着目した。ポリヒドロキシカルボン酸の分子量分布が広いと、平均値では高い重量平均分子量や溶融粘度などを示すものの、低分子量領域にあるポリヒドロキシカルボン酸(低分子量物)が早期に生分解を受けてしまい、これが製品全体の強度を低下させたり、外観を悪化させてしまう。また、早期に生分解を受けやすい低分子量物が多量に存在すると、ポリヒドロキシカルボン酸成形品全体の生分解性速度が早くなってしまう。
そこで、本発明者らは、さらに研究を進めた結果、重量平均分子量が特定の範囲内にあり、かつ、比較的シャープな分子量分布を有するポリヒドロキシカルボン酸が、実用的な強度特性を示すとともに、生分解性速度が制御され、そして、均一な品質の成形品を与えることを見出した。
ポリヒドロキシカルボン酸の分子量分布が狭いと、生分解性を受けやすい低分子量物が少なく、全体がほぼ均一に生分解を受けることになる。その結果、生分解性が制御され、かつ、生分解性速度のバラツキが小さなポリヒドロキシカルボン酸を得ることができる。分子量分布を狭く調整し、そして、ポリヒドロキシカルボン酸の重量平均分子量を調整することにより、生分解性速度を任意に制御することができる。
一方、ポリヒドロキシカルボン酸の分子量分布を調整するために、高い重合温度で長時間の重合反応を行うと、生成ポリマーが着色しやすくなることが判明した。これに対して、重合温度を低くすると、分子量分布が広くなる傾向を示す。そこで、ポリヒドロキシカルボン酸の重合を行った後、重合温度よりも低い温度で延長重合を行ったところ、着色を顕著に抑制しつつ、分子量分布がシャープに制御されたポリヒドロキシカルボン酸の得られることを見出した。この方法では、最初のポリヒドロキシカルボン酸の重合を比較的高温かつ短時間の条件で行うことが好ましい。
さらに、本発明者らは、グリコリドを溶融状態で開環重合した後、生成ポリマーを溶融状態から固体状態に変換し、次いで、固体状態のポリマーを加熱下に溶融混練することにより、溶融安定性が顕著に改善され、黄色度(YI)が小さなポリグリコール酸の得られることを見出した。固体状態に変換後、所望により、固相重合を行ってから溶融混練してもよい。
本発明の方法によれば、250℃で予熱5分間後に測定した初期粘度(η)に対する250℃で60分間保持後に測定した粘度(η60)の割合〔(η60/η)×100〕として定義される溶融粘度保持率が40%以上、及び/またはプレス成形後、結晶化させたシートの黄色度(YI)が40以下である溶融安定性に優れたポリグリコール酸を得ることができる。
本発明のポリグリコール酸(以下、溶融安定性ポリグリコール酸ともいう)は、溶融成形加工時の溶融安定性に優れ、しかも色調に優れたシート、フィルム、繊維などの成形品を提供することができる。また、ポリグリコール酸の重量平均分子量と分子量分布を調整することにより、ポリグリコール酸の生分解性を制御することが可能である。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
かくして、本発明によれば、グリコリドまたはコモノマーとして全仕込みモノマーの10重量%以下の割合で環状コモノマーを含有するグリコリドを開環重合して得られるポリグリコール酸であって、
(a)重量平均分子量(Mw)が20,000〜800,000の範囲であり、
(b)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布が1.0〜2.5の範囲であり、かつ、
(c)プレス成形後、結晶化させたシートの黄色度(YI)が40以下であるポグリコール酸が提供される。
また、本発明によれば、グリコリドまたはコモノマーとして全仕込みモノマーの10重量%以下の割合で環状コモノマーを含有するグリコリドを120〜250℃で3分間から50時間開環重合させた後、該重合温度より10〜50℃低い温度で1〜50時間延長重合を行うことを特徴とする
(a)重量平均分子量(Mw)が20,000〜800,000の範囲であり、
(b)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布が1.0〜2.5の範囲であり、かつ、
(c)プレス成形後、結晶化させたシートの黄色度(YI)が40以下であるポリグリコール酸の製造方法が提供される。
さらに、本発明の実施の一態様によれば、グリコリドまたはコモノマーとして全仕込みモノマーの10重量%以下の割合で環状コモノマーを含有するグリコリドを130〜240℃で5分間から30時間開環重合させた後、該重合温度より20〜45℃低い温度で1.5〜30時間延長重合を行う前記のポリグリコール酸の製造方法が提供される。
さらにまた、本発明によれば、(1)グリコリドまたはコモノマーとして全仕込みモノマーの10重量%以下の割合で環状コモノマーを含有するグリコリドを130〜240℃の溶融状態で開環重合する工程、
(2)生成したポリマーを溶融状態から固体状態に変換する工程、
(3)所望により、120℃以上220℃未満の温度範囲、かつ0.1〜20時間の時間範囲で、固体状態でさらに固相重合する工程、及び
(4)5〜20分間の時間範囲で、固体状態のポリマーを加熱下に溶融混練する工程
を含む
(a)重量平均分子量(Mw)が20,000〜800,000の範囲であり、
(b)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布が1.0〜2.5の範囲であり、
(c)プレス成形後、結晶化させたシートの黄色度(YI)が40以下であり、
(d)250℃で予熱5分間後に測定した初期粘度(η )に対する250℃で60分間保持後に測定した粘度(η 60 )の割合〔(η 60 /η )×100〕として定義される溶融粘度保持率が40%以上であり、かつ、
(e)流速10ml/分の窒素気流下、50℃から2℃/分の昇温速度で加熱したとき、50℃での重量からの重量減少率が1%になる温度が200℃以上であるポリグリコール酸の製造方法が提供される。
1.環状エステル
状エステルとしては、ヒドロキシカルボン酸の2分子間環状エステルを用いることができる。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、L−乳酸、D−乳酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシカプロン酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、α−ヒドロキシヘプタン酸、α−ヒドロキシオクタン酸、α−ヒドロキシデカン酸、α−ヒドロキシミリスチン酸、α−ヒドロキシステアリン酸、及びこれらのアルキル置換体などを挙げることができる。
環状エステルの中でも、グリコール酸の2分子間環状エステルであるグリコリド、乳酸の2分子間環状エステルであるL−ラクチド及びD−ラクチドなどが好ましく、グリコリドが特に好ましい。グリコリドを開環重合すると、ポリグリコール酸が得られ、ラクチドを開環重合させると、ポリ乳酸が得られる。グリコリドとラクチドは、共重合させることができる。
グリコリドの製造方法は、特に限定されないが、一般的には、グリコール酸オリゴマーを熱解重合することにより得ることができる。グリコール酸オリゴマーの解重合法として、例えば、米国特許第2,668,162号明細書に記載の溶融解重合法、特開2000−119269号公報に記載の固相解重合法、特開平9−328481号公報に記載の溶液解重合法などを採用することができる。K.ChujoらのDie Makromolekulare Cheme,100(1967),262−266に報告されているクロロ酢酸塩の環状縮合物として得られるグリコリドも用いることができる。
グリコリドやラクチドは、他のコモノマーと共重合させることができる。コモノマーとしては、シュウ酸エチレン(すなわち、1,4−ジオキサン−2,3−ジオン)、ラクトン類(例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、βーメチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等)、トリメチレンカーボネート、及び1,3−ジオキサンなどの環状モノマー;乳酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールと、こはく酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそのアルキルエステルとの実質的に等モルの混合物;またはこれらの2種以上を挙げることができる。
これの中でも、共重合させやすく、物性に優れた共重合体が得られやすい点で、ラクトン類、トリメチレンカーボネートなどの環状化合物;乳酸、グリコール酸などのヒドロキシカルボン酸;が好ましい。
コモノマーは、全仕込みモノマーの通常45重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは10重量%以下の割合で使用する。本発明のポリグリコール酸は、コモノマーとして、環状コモノマーを全仕込みモノマーの10重量%以下の割合で用いる。共重合することにより、所望の物性を有する開環共重合体を得ることができる。例えば、グリコリドと他のモノマーとを開環共重合することにより、ポリグリコール酸の融点を低下させて加工温度を下げたり、結晶化速度を制御して押出加工性や延伸加工性を改善することができる。
2.ポリヒドロキシカルボン酸
リグリコール酸やポリ乳酸、グリコリド/ラクチド共重合体などのポリヒドロキシカルボン酸は、その重量平均分子量(Mw)が10,000〜1,000,000の範囲であり、かつ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布(多分散度ともいう)が1.0〜2.5の範囲であることが、生分解性速度を制御する上で必要である。
本発明のポリグリコール酸などのポリヒドロキシカルボン酸の重量平均分子量(Mw)が10,000〜1,000,000の範囲内にあることにより、溶融成形加工性と機械的強度が良好であり、また、重量平均分子量を調整することにより生分解性速度を制御することができる。重量平均分子量は、20,000〜800,000、好ましくは30,000〜600,000であり、多くの場合、50,000〜500,000の範囲で良好な物性を得ることができる。重量平均分子量が小さすぎると、成形品が脆くなりやすく、大きすぎると、溶融成形加工が困難になる。
リヒドロキシカルボン酸の分子量分布(Mw/Mn)を1.0〜2.5の範囲内にすることによって、早期の生分解性を受けやすい低分子量領域の重合体成分(低分子量物)の量を低減させて、生分解性速度を制御することができる。分子量分布が大きすぎると、生分解性速度がポリヒドロキシカルボン酸の重量平均分子量(あるいは溶融粘度若しくは溶液粘度)に依存しなくなりやすい。この分子量分布は、好ましくは1.3〜2.4、より好ましくは1.5〜2.3である。
重量平均分子量を上記範囲内とし、かつ、分子量分布を上記範囲内に調整することにより、生分解性を制御することができる。より具体的には、ポリヒドロキシカルボン酸からなる成形品を土中で崩壊させた場合、その崩壊速度(生分解性速度)を長くすることができる。分子量分布が大きすぎると、重量平均分子量を大きくしても、生分解性速度が大きくなり、生分解性速度が分子量に依存しにくくなりやすい。また、分子量分布が狭いと、生分解性速度を重量平均分子量により制御することも可能となる。
リヒドロキシカルボン酸は、プレス成形後、結晶化させたシートの黄色度(YI)が40以下と小さく、着色が顕著に抑制されている。この黄色度は、好ましくは35以下、より好ましくは30以下である。黄色度は、多くの場合25以下、さらには20以下にまで低減させることができる。黄色度は、可能な限り低いことが望ましいが、通常5以上で、多くの場合8以上である。黄色度が大きすぎると、成形物が褐色になるなど着色が著しくなり、商品価値が下がるとともに、着色剤を用いて所望の色調に着色することが困難になる。また、着色が大きいと、食品包装材料や医療用具などの用途分野では、衛生上の問題点も指摘されるようになる。
リヒドロキシカルボン酸は、溶融成形加工時の溶融安定性に優れていることが好ましい。より具体的に、リヒドロキシカルボン酸は、250℃で予熱5分間後に測定した初期粘度(η)に対する250℃で60分間保持後に測定した粘度(η60)の割合〔(η60/η)×100〕として定義される溶融粘度保持率が40%以上である溶融安定性に優れたポリヒドロキシカルボン酸であることが好ましい。
また、リヒドロキシカルボン酸は、流速10ml/分の窒素気流下、50℃から2℃/分の昇温速度で加熱したとき、50℃での重量からの重量減少率が1%になる温度が200℃以上であることが、溶融安定性の観点から望ましい。
3.溶融安定性ポリグリコール酸
リヒドロキシカルボン酸は、溶融安定性に優れたポリグリコール酸であることが好ましい。そこで、以下、本発明の溶融安定性ポリグリコール酸について、さらに詳細に説明する。
本発明の溶融安定性ポリグリコール酸は、溶融成形加工時の溶融安定性に優れ、かつ、着色の少ないポリグリコール酸である。溶融安定性は、250℃で予熱5分間後に測定した初期粘度(η)に対する250℃で60分間保持後に測定した粘度(η60)の割合〔(η60/η)×100〕として定義される溶融粘度保持率によって客観的に評価することができる。
本発明の溶融安定性ポリグリコール酸は、溶融粘度保持率が40%以上であり、多くの場合、50%以上、さらには60%以上にすることが可能である。溶融粘度保持率は、可能な限り高いことが望ましいが、通常80%以下、多くの場合75%以下である。
ポリグリコール酸を押出成形などの一般的溶融成形加工法を適用して成形加工するには、成形加工時の溶融粘度の変化が小さいほど安定して成形加工を行うことができる。ポリグリコール酸の溶融粘度保持率が低すぎると、例えば、押出成形時に、押出トルクの変動が起こったり、押出中のシートやフィルムなどの破断が起こったりして、安定して成形を行うことが困難である。また、溶融安定性が低すぎるポリグリコール酸を用いると、押出中に揮発分の発生量が多く、ロールなどの部材へ揮発物が付着することがある。
本発明の溶融安定性ポリグリコール酸は、プレス成形後、結晶化させたシートの黄色度(YI)が40以下と小さく、着色が顕著に抑制されている。
本発明の溶融安定性ポリグリコール酸は、流速10ml/分の窒素気流下、50℃から2℃/分の昇温速度で加熱したとき、50℃での重量からの重量減少率が1%になる温度が200℃以上であることが望ましい。重量減少率が1%になる温度が200℃未満であると、溶融成形加工時に揮発ガスが多量に発生しやすく、それが成形品に付着して外観を損ねたり、あるいは成形機の各部に付着して汚染し易くなる。この温度は、好ましくは210℃以上、より好ましくは220℃以上である。この温度は、高いほど望ましいが、通常245℃以下、多くの場合240℃以下である。
本発明の溶融安定性ポリグリコール酸は、温度240℃、剪断速度122/秒で測定した溶融粘度が10〜100,000Pa・sの範囲であることが好ましい。この溶融粘度は、好ましくは50〜20,000Pa・s、より好ましくは100〜10,000Pa・sである。ポリグリコール酸の溶融粘度が低すぎると、成形品の機械的強度が低下して脆くなりやすく、高すぎると、溶融成形加工が困難になる。
本発明の溶融安定性ポリグリコール酸は、重量平均分子量(Mw)が10,000〜1,000,000で、かつ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布(すなわち、多分散度)が1.0〜2.5の範囲にあることが、溶融成形加工性と生分解性の制御の観点から好ましい。
本発明の溶融安定性ポリグリコール酸は、長さ1〜10mm、厚み1〜10mmのペレットとして供給されることが好ましい。ペレットは、成形を安定的に行う上で効果的な形状である。ペレットの大きさ(長さと厚み)が上記範囲より小さすぎると、成形時に静電気により樹脂が成形機に付着しやすくなり、大きすぎると、溶融に時間がかかったり、過剰な熱履歴を与える必要が生じて着色しやすくなる。
4.ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法
前記の如き環状エステルを開環重合(開環共重合を含む)することにより、ポリヒドロキシカルボン酸を製造することができる。通常は、環状エステルを塊状で開環重合することにより、ポリヒドロキシカルボン酸を得ている。
ポリヒドロキシカルボン酸の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)が所定の範囲内になるように調整するには、例えば、(i)重合触媒の種類と量、(ii)分子量調節剤の種類と量、(iii)重合装置や重合温度、重合時間などの重合条件、(iv)重合後の後処理、及びこれらの組み合わせなどを工夫することが重要である。
生成ポリヒドロキシカルボン酸の着色を抑制しつつ、分子量分布を制御する方法としては、最初の開環重合(「前段重合」ともいう)後、その重合温度より10〜50℃低い温度で1〜50時間延長重合(「後段重合」ともいう)を行う方法が好ましい。
重合触媒としては、例えば、ハロゲン化スズ(例えば、二塩化スズ、四塩化スズ)、有機カルボン酸スズ(例えば、オクタン酸スズ)などのスズ系化合物;アルコキシチタネートなどのチタン系化合物;アルコキシアルミニウムなどのアルミニウム系化合物;ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウム系化合物;ハロゲン化アンチモンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。重合触媒は、例えば、環状エステルに対して重量比で、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは3〜300ppmの範囲内で用いられる。
重量平均分子量の調節ために、ラウリルアルコールのような高級アルコールを分子量調節剤として添加することができる。また、物性改良の目的で、グリセリンのような多価アルコールを添加してもよい。
重合装置としては、押出機型、パドル翼を持った縦型、ヘリカルリボン翼を持った縦型、押出機型やニーダー型の横型、アンプル型、管状型など様々な装置の中から、適宜選択することができる。
開環重合(前段重合)における重合温度は、実質的な重合開始温度である120℃から250℃の範囲内で設定することができる。重合温度は、好ましくは130〜240℃、より好ましくは140〜230℃、特に好ましくは150〜225℃である。重合温度が低すぎると、生成ポリマーの分子量分布が広くなりやすい。重合温度が高くなりすぎると、生成ポリマーが熱分解を受けやすくなる。
開環重合(前段重合)における重合時間は、3分間〜50時間の範囲から選択される。重合温度が高いほど、重合時間を短くすることが、生成ポリマーの着色を抑制する上で望ましい。また、比較的高い重合温度で、比較的短時間の重合条件を採用することが、生成ポリマーの着色を抑制しつつ、分子量分布をシャープにする上で好ましい。重合時間は、好ましくは5分間〜30時間の範囲内である。重合時間が短すぎると、重合が充分に進行し難く、長すぎると、生成ポリマーが熱分解を受けやすくなる。
延長重合(後段重合)は、前記開環重合(前段重合)での重合温度より10〜50℃低い重合温度で、1〜50時間の重合時間という重合条件下で行う。延長重合における重合温度は、前段重合での重合温度よりも好ましくは15〜48℃、より好ましくは20〜45℃低い温度とすることが望ましい。延長重合での重合時間は、好ましくは1.5〜30時間、より好ましくは2〜20時間、特に好ましくは3〜15時間という比較的長時間とすることが望ましい。延長重合での重合温度が低いほど、重合時間を長くすることが望ましい。
従来、生成ポリマーの熱分解や着色を避けるために、比較的低温で開環重合が行われていたが、重合温度を低くすると、重合反応中に生成ポリマーが結晶固化しやすく、それによって、重合反応が不均一になりやすい。その結果、分子量分布が広いポリヒドロキシカルボン酸が生成する。一方、重合温度を高めると、生成ポリマーの分子量分布がシャープになりやすいが、その場合でも、触媒量や分子量調節剤の種類と量を調整することが望ましい。
前段重合において、比較的低温で開環重合を行う場合には、重合反応の終了後に、重合反応系の温度を220〜250℃に上昇させたり、生成ポリマーを溶融混練したりすることが、低分子量物を低減させて、分子量分布をシャープにする上で好ましい。
5.溶融安定性ポリグリコール酸の製造方法
リヒドロキシカルボン酸の中でも、特に溶融安定性に優れたポリグリコール酸を製造するには、以下に述べる製造方法を採用することが好ましい。
本発明のポリグリコール酸は、下記の反応式に示されるように、グリコール酸の2分子間環状エステルであるグリコリドの開環重合により製造することができる。
Figure 0004231781
溶融安定性に優れたポリグリコール酸を製造するには、下記の一連の工程によりグリコリドの開環重合を行う。
(1)グリコリドを溶融状態で開環重合する工程、
(2)生成したポリマーを溶融状態から固体状態に変換する工程、
(3)所望により、固体状態で更に固相重合する工程、及び
(4)固体状態のポリマーを加熱下に溶融混練する工程。
本発明の製造方法では、先ず、溶融状態でグリコリドの開環重合を行い、次いで、固体状態に変換後、溶融混練する。固体状態に変換後、さらに固相重合を行い、しかる後、溶融混練してもよい。このような製造方法を採用することにより、前記工程(1)での開環重合条件を調整して生成ポリマーの着色を防止し、そして、前記工程(4)での溶融混練により、黄色度が上昇するのを抑制しつつ、短時間で均一な溶融状態での熱処理を可能とし、それによって、分子量分布が狭く、溶融粘度保持率が高いポリマーを生成させることができる。
前記工程(1)では、グリコリドを、少量の重合触媒の存在下に、120℃〜250℃の重合温度で開環重合させる。グリコリドの製造方法は、特に限定されないが、一般的には、グリコール酸オリゴマーを熱解重合することにより得ることができる。
グリコリドを単独で使用することにより、ポリグリコール酸の単独重合体を得ることができる。グリコリドと他のコモノマーとを併用することにより、ポリグリコール酸の共重合体を得ることができる。コモノマーとしては、前述のものを使用することができる。
コモノマーの中でも、共重合させやすく、物性に優れた共重合体が得られやすい点で、ラクチド、カプロラクトン、トリメチレンカーボネートなどの環状化合物;乳酸、グリコール酸などのヒドロキシカルボン酸;が好ましい。コモノマーは、全仕込みモノマーの通常45重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは10重量%以下の割合で使用する。本発明では、10重量%以下の割合で使用する。共重合することにより、ポリグリコール酸の融点を低下させて加工温度を下げたり、結晶化速度を制御して押出加工性や延伸加工性を改善することができる。
重合触媒としては、前述のスズ系化合物、チタン系化合物、アルミニウム系化合物、ジルコニウム系化合物、ハロゲン化アンチモンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。重量平均分子量の調節ために、ラウリルアルコールのような高級アルコールを分子量調節剤として添加することができる。また、物性改良の目的で、グリセリンのような多価アルコールを添加してもよい。
重合装置としては、押出機型、パドル翼を持った縦型、ヘリカルリボン翼を持った縦型、押出機型やニーダー型の横型、アンプル型、管状型など様々な装置の中から、適宜選択することができる。
重合温度は、実質的な重合開始温度である120℃から250℃の範囲内で目的に応じて設定することができる。重合温度は、好ましくは130〜240℃、より好ましくは140〜230℃、特に好ましくは150〜225℃である。重合温度が高くなりすぎると、生成したポリマーが熱分解を受けやすくなる。重合時間は、3分間〜20時間、好ましくは5分間〜18時間の範囲内である。重合時間が短すぎると、重合が充分に進行し難く、長すぎると、生成ポリマーが着色しやすい。
重合時間は、重合温度や重合触媒量などによって最適な時間が選ばれるが、重合温度が225℃を越える場合には、反応時間が長いと着色しやすいので反応時間を短くすることが好ましい。重合温度が225℃を越える場合の反応時間は、3〜20分間、好ましくは5〜10分間の範囲である。多くの場合、工程(1)において、溶融状態での開環重合を225℃以下の温度で行うことが着色を防ぐ上で好ましい。
前記工程(2)において、工程(1)で生成したポリマーを溶融状態から固体状態に変換する。固体状態への変換は、(i)ポリマーが溶融状態にある重合温度から冷却する方法、(ii)溶融状態の重合温度を最終ポリマーの融点より低い温度で行うことにより、析出や結晶固化させる方法、(iii)核剤(タルク、クレー、酸化チタンなど)を添加する方法などにより行うことができる。
前記工程(3)では、所望により、固体状態でさらに固相重合を行う。溶融状態でグリコリドを開環重合させ、次いで、生成物を固体状態に変換後、さらに固相重合を行った後、溶融混練すると、溶融粘度保持率を高くするのに有効である。その理由の詳細は不明だが、固相重合は、ポリマーの重合度分布を狭くする効果があるものと推定される。固相重合は、ポリマーが固体状態を維持する温度で行う。固相重合温度は、通常、120℃以上220℃未満、好ましくは140〜200℃である。固相重合時間は、通常、0.1〜20時間、好ましくは1〜15時間である。
前記工程(4)では、固体状態のポリマーを加熱下に溶融混練する。開環重合により得られたポリマーを溶融混練することによって、黄色度の昂進を抑制しつつ、溶融安定性を向上させることができる。溶媒混練の方法は、適時選択されるが、ロール、ニーダー、押出機などが好んで用いられる。特に、二軸のニーダーや押出機は、混練を効率よく行うことができるので好ましい。また、目的に応じて、溶融混練を複数回行うことにより、本発明の目的を達成させることができる場合もある。
溶融混練条件は、樹脂温度が好ましくは220〜250℃、より好ましくは225〜245℃の範囲内になるように設定することが好ましい。溶融混練時の樹脂温度が低すぎると、混練が充分ではなく、溶融安定性を向上させることが困難になる。樹脂温度が高すぎると、ポリマーが着色しやすくなる。溶融混練する工程で、ポリマーに熱安定剤を添加してもよい。
熱安定剤としては、重金属不活性化剤、ペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステル、少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つの長鎖アルキルエステル基とを持つリン化合物、炭酸金属塩などが好ましい。これらの化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ホスファイト系酸化防止剤などのリン系化合物の多くは、むしろポリグリコール酸の溶融安定性を阻害する作用を示すことが判明した。これに対して、下記式(I)
Figure 0004231781
で表されるペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステルは、特異的にポリグリコール酸の溶融安定性を向上させる作用を示す。
このようなペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステルの具体例としては、式(1)
Figure 0004231781
で表されるサイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、式(2)
Figure 0004231781
で表されるサイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、式(3)
Figure 0004231781
で表されるホスファイト系酸化防止剤、及び式(4)
Figure 0004231781
で表されるホスファイト系酸化防止剤が挙げられる。
これらの中でも、前記式(1)で表されるサイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトは、少量の添加でも、ポリグリコール酸の3%熱重量減少温度を顕著に高める作用を有するため特に好ましい。
また、リン系化合物の中では、式(II)
Figure 0004231781
で表される少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つの長鎖アルキルエステル基とを持つリン化合物が好ましい。長鎖アルキルの炭素原子数は、8〜24個の範囲が好ましい。このようなリン化合物の具体例としては、式(5)
Figure 0004231781
で表されるモノまたはジ−ステアリルアシッドホスフェートが挙げられる。
重金属不活性剤としては、例えば、式(6)
Figure 0004231781
で表される2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−ベンズアミド、及び式(7)
Figure 0004231781
で表されるビス〔2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジン〕ドデカン二酸が挙げられる。
炭酸金属塩としては、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムなどが挙げられる。
これらの熱安定剤の配合割合は、結晶性ポリグリコール酸100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.003〜3重量部、より好ましくは0.005〜1重量部である。熱安定剤は、極少量の添加でも溶融安定性の改善効果のあるものが好ましい。熱安定剤の配合量が多すぎると、効果が飽和したり、透明性を阻害するなどの不都合を生じるおそれがある。
溶融混練の時間は、通常1〜20分間、好ましくは3〜15分間、特に好ましくは5〜10分間である。混練時間が短すぎると、溶融混練に溶融安定性の工場効果が小さく、長すぎると、ポリマーが着色しやすくなる。
溶融混練後、ポリグリコール酸をペレット形状で回収することが、成形加工時の粉体性状による押出ムラが発生しないため望ましい。ペレットの好ましい形状は,前述のとおりである。
前記工程(1)乃至(4)によりポリグリコール酸を製造することにより、(I)250℃で予熱5分間後に測定した初期粘度(η)に対する250℃で60分間保持後に測定した粘度(η60)の割合〔(η60/η)×100〕として定義される溶融粘度保持率が40%以上、及び/または(II)プレス成形後、結晶化させたシートの黄色度(YI)が40以下である溶融安定性に優れたポリグリコール酸を得ることができる。
また、前記製造方法によれば、(III)流速10ml/分の窒素気流下、50℃から2℃/分の昇温速度で加熱したとき、50℃での重量からの重量減少率が1%になる温度が200℃以上であるポリグリコール酸、(IV)温度240℃、剪断速度122/秒で測定した溶融粘度が10〜100,000Pa・sの範囲であるポリグリコール酸、並びに(V)重量平均分子量(Mw)が10,000〜1,000,000で、かつ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布が1.0〜2.5の範囲にあるポリグリコール酸を製造することができる。
本発明の溶融安定性ポリグリコール酸の製造方法は、(1)グリコリドまたはコモノマーとして全仕込みモノマーの10重量%以下の割合で環状コモノマーを含有するグリコリドを130〜240℃の溶融状態で開環重合する工程、
(2)生成したポリマーを溶融状態から固体状態に変換する工程、
(3)所望により、120℃以上220℃未満の温度範囲、かつ0.1〜20時間の時間範囲で、固体状態でさらに固相重合する工程、及び
(4)5〜20分間の時間範囲で、固体状態のポリマーを加熱下に溶融混練する工程を含む製造方法である。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。物性等の測定法は、下記のとおりである。
(1)重量平均分子量及び分子量分布:
重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置を用いて、以下の条件で行う。
ヘキサフルオロイソプロパノール(セントラル硝子株式会社製の製品を蒸留してから使用)に、トリフルオロ酢酸ナトリウム塩(関東化学製)を加えて溶解し、5mMトリフルオロ酢酸ナトリウム塩溶媒(A)を作成する。
溶媒(A)を40℃、1ml/分の流速でカラム(HFIP−LG+HFIP−806M×2:SHODEX製)中に流し、分子量82.7万、10.1万、3.4万、1.0万、及び0.2万の5つの分子量既知のポリメタクリル酸メチル(POLYMER LABORATORIES Ltd.製)の各10mgと溶媒(A)とで10mlの溶液とし、そのうちの100μlをカラム中に通し、屈折率(RI)検出による検出ピーク時間を求める。5つの標準試料の検出ピーク時間と分子量とをプロットすることにより、分子量の検量線を作成する。
次に、試料10mgに溶媒(A)を加えて10mlの溶液とし、そのうちの100μlをカラム中に通して、その溶出曲線から重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)を求める。計算には、島津製作所製C−R4AGPCプログラムVer1.2を用いた。
(2)溶融粘度:
ポリヒドロキシカルボン酸10gをアルミシートに挟んで、240℃に加熱されているプレス機にセットし、予熱30秒間後、5Mpaで15秒間加圧し、しかる後、急冷してシートを作成する。得られた非晶シートを150℃で30分間オーブン中で加熱して結晶化させる。得られた結晶化シートを、幅5mm、長さ50〜75mmの長方形の短冊状に切り出して、溶融粘度測定用サンプルとする。測定用サンプルの重量は、7gとする。このサンプルを東洋精機株式会社製キャピログラフ3Cの240℃に設定した内径9.55mmのシリンダー内に投入し、5分間の予熱後、内径1mm、長さ10mmのダイスから剪断速度122/秒で樹脂を押し出し、そのときの応力から溶融粘度(Pa・s)を求める。
(3)黄色度(YI):
ポリヒドロキシカルボン酸10gをアルミシートで挟んで、240℃に加熱されているプレス機にセットし、予熱30秒間後、5Mpaで15秒間加圧し、しかる後、急冷してシートを作成する。得られた非晶シートを150℃で30分間オーブン中で加熱して結晶化させる。東京電色株式会社製カラーアナライザーTC−1800MKIIを用いて、結晶化シートの黄色度(YI)を求める。2度視野、標準光C、反射光測定の条件で3回測定し、その平均値を算出してポリヒドロキシカルボン酸の黄色度(YI)とする。
(4)土中崩壊性:
ポリヒドロキシカルボン酸を240℃で30秒間加熱・加圧し、しかる後、急冷してシートを作成した。このシートを、日本国福島県いわき市内の民家のジャガイモ畑の深さ15cmのところに埋めた。具体的には、シートを深さ15cmに掘った地中に、地面に水平にシートが重ならないように置いて、土をかけて埋めた。所定期間経過後、土を慎重に掘り起こして、シートの形状を確認し、以下の基準で評価した。
A:シートの形状保持している、
B:シートの形状が一部崩壊している、
C:崩壊している。
(5)溶融粘度保持率:
レオメトリックス社製RSDIIを用い、窒素雰囲気下、ポリグリコール酸2gを1/2インチ径のパラレルプレートの間にセットし、ギャップ長1.5mmとする。250℃で予熱5分間の後、10rad/sの角速度でポリグリコール酸の初期粘度(η;Pa・s)を測定する。一方、250℃で60分間保持した後、10rad/sの角速度でポリグリコール酸の粘度(η60;Pa・s)を測定する。溶融粘度保持率は、下記式により算出される。
溶融粘度保持率(%)=〔(η60)/(η)〕×100
(6)重量減少率:
メトラー社製TG50を用い、流速10ml/分で窒素を流し、この窒素雰囲気下、ポリグリコール酸を50℃から2℃/分の昇温速度で加熱して、重量減少率を測定した。50℃におけるポリグリコール酸の重量(W50)に対し、該重量が1%減少したときの温度を正確に読み取り、その温度をポリグリコール酸の重量減少率が1%となる温度とする。
(7)成形性
ポリグリコール酸を、200mm幅のTダイを装着した内径20mmのシリンダーを有する単軸押出機に投入し、シート状に溶融押出し、冷却ロールで巻き取ることによりシートの成形を行った。成形性は、以下の基準で評価した。
A:長時間にわたって安定した押出成形が可能であり、かつ、成形シートは、透明でほぼ無色である、
B:安定した押出成形が可能であるが、成形シートは、褐色を呈している、
C:シートの押出成形中、押出トルクの変動が観察され、また、押出中にシートの破断が見られ、安定した成形が困難である。
[実施例1]
グリコリド100gと四塩化スズ5mgとラウリルアルコール50mgをガラス製試験管に投入し、200℃で3時間重合を行った。重合後、160℃で12時間延長重合を行った。重合後、冷却してからポリマーを取り出し、粉砕し、アセトンで洗浄した。しかる後、30℃で真空乾燥してポリマーを得た。得られたポリグリコール酸の性状と、土中崩壊性試験の結果を合わせて表1に示す。
[実施例2]
ラウリルアルコールの量を40mgに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリグリコール酸を製造した。結果を表1に示す。
[実施例3]
ラウリルアルコールの量を5mgに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリグリコール酸を製造した。結果を表1に示す。
[比較例1]
延長重合を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてポリグリコール酸を製造した。結果を表1に示す。
[比較例2]
延長重合を行わなかったこと以外は、実施例3と同様にしてポリグリコール酸を製造した。結果を表1に示す。
[比較例3]
グリコリド100gと四塩化スズ5mgとラウリルアルコール5mgをガラス製試験管に投入し、240℃で2時間重合を行った。重合後、冷却してからポリマーを取り出し、粉砕し、アセトンで洗浄した。しかる後、30℃で真空乾燥してポリマーを得た。得られたポリグリコール酸の性状と、土中崩壊性試験の結果を合わせて表1に示す。
Figure 0004231781
表1の結果から明らかなように、分子量分布が広い場合(比較例1〜2)には、重量平均分子量の大きさに拘わらず、土中崩壊性試験でいずれも早期の崩壊性をしめす。これに対して、分子量分布をシャープにした場合(実施例1〜3)には、早期の土中崩壊性を抑制することができるだけではなく、重量平均分子量を調整することによって、生分解性速度を制御できることが分かる。
[実施例4]
グリコリド100gと4mgの二塩化スズ2水和塩をガラス製試験管に投入し、200℃で1時間攪拌した後、3時間静置して開環重合を行った。重合終了後、冷却してから生成ポリマーを取り出し、粉砕し、アセトンで洗浄した。その後、30℃で真空乾燥してポリマーを回収した。次いで、このポリマーを230℃に設定した東洋精機株式会社製ラボプラストミルに投入し、10分間溶融混練した。
このようにして得られたポリグリコール酸は、溶融粘度保持率が59%、結晶化シートの黄色度(YI)が27.2、重量減少率1%の温度が225℃、重量平均分子量(Mw)が24.5万、分子量分布(Mw/Mn)が2.1、溶融粘度が500Pa・sであった。
同様の方法で得られたポリグリコール酸10kgを、200mm幅のTダイを装着した内径20mmのシリンダーを有する単軸押出機に投入し、シート状に溶融押出し、冷却ロールで巻き取ることによりシートを成形した。得られたシートは、透明でほぼ無色であった。押出開始から6時間経過しても、安定した成形が可能であった。結果を表2に示す。
[実施例5]
5mm穴のダイス付き東洋精機株式会社製LT−20を用いて、回転数15rpm、200〜240℃の温度設定(樹脂温度240℃)とし、300ppmの四塩化スズ5水和物を加えたグリコリドをホッパーから投入して開環重合を行った。ダイスからでてきたストランドをホットカットして、ペレット(長さ6mm、厚み3mm)を得た。色を染めたペレットをホッパー口から投入して、着色した樹脂が留出するまでの時間(滞留時間)を測定したところ、7分間であった。さらに、得られたポリマーを230℃に設定した東洋精機社製ラボプラストミルに投入し、15分間溶融混練した。
このようにして得られたポリグリコール酸は、溶融粘度保持率が41%、結晶化シートの黄色度(YI)が16.5、重量減少率1%の温度が220℃、重量平均分子量(Mw)が12.0万、分子量分布(Mw/Mn)が2.2、溶融粘度が300Pa・sであった。
同様の方法で得られたポリグリコール酸10kgを、200mm幅のTダイを装着した内径20mmのシリンダーを有する単軸押出機に投入し、シート状に溶融押出し、冷却ロールで巻き取ることによりシートを成形した。得られたシートは、透明でほぼ無色であった。押出開始から6時間経過しても、安定した成形が可能であった。結果を表2に示す。
[実施例6]
グリコリド100gと4mgの二塩化スズ2水和塩をガラス製試験管に投入し、180℃で2時間開環重合を行った。反応終了時、生成ポリマーは、固化していた。固体状態のポリマーを160℃で10時間静置して、さらに固相重合を行った。重合終了後、冷却してからポリマーを取り出し、粉砕し、アセトンで洗浄した。次いで、30℃で真空乾燥してポリマーを回収した。次に、このポリマーを230℃に設定した東洋精機株式会社製ラボプラストミルに投入し、10分間溶融混練した。
このようにして得られたポリグリコール酸は、溶融粘度保持率が65%、結晶化シートの黄色度(YI)が15.8、重量減少率1%の温度が231℃、重量平均分子量(Mw)が29.0万、分子量分布(Mw/Mn)が1.8、溶融粘度が800Pa・sであった。
同様の方法で得られたポリグリコール酸10kgを、200mm幅のTダイを装着した内径20mmのシリンダーを有する単軸押出機に投入し、シート状に溶融押出し、冷却ロールで巻き取ることによりシートを成形した。得られたシートは、透明でほぼ無色であった。押出開始から6時間経過しても、安定した成形が可能であった。結果を表2に示す。
[実施例7]
グリコリド100gと5mgの二塩化スズ2水和塩をガラス製試験管に投入し、180℃で4時間静置して開環重合を行った。重合終了時、生成ポリマーは、固化していた。冷却後、ポリマーを取り出して粉砕し、アセトンで洗浄した。次いで、30℃で真空乾燥してポリマーを回収した。得られたポリマーを5mm穴のダイス付き東洋精機社製LT−20を用いて、回転数30rpm、200〜240℃の温度設定(樹脂温度240℃)で押し出し、ダイスからでてきたストランドをホットカットしてペレット(長さ6mm、厚み3mm)を作成した。色を染めたペレットをホッパー口から投入し、着色した樹脂が留出するまでの時間(滞留時間)を測定したところ、5.5分間であった。
このようにして得られたポリグリコール酸は、溶融粘度保持率が61%、結晶化シートの黄色度(YI)が10.2、重量減少率1%の温度が230℃、重量平均分子量(Mw)が26.0万、分子量分布(Mw/Mn)が1.9、溶融粘度が780Pa・sであった。
同様の方法で得られたポリグリコール酸10kgを、200mm幅のTダイを装着した内径20mmのシリンダーを有する単軸押出機に投入し、シート状に溶融押出し、冷却ロールで巻き取ることによりシートを成形した。得られたシートは、透明でほぼ無色であった。押出開始から12時間経過しても、安定した成形が可能であった。結果を表2に示す。
[実施例8]
実施例7と同様にして、グリコリド100gと5mgの二塩化スズ2水和塩をガラス製試験管に投入し、180℃で4時間静置して開環重合を行った。回収したポリグリコール酸100重量部に対して、熱安定剤として、前記式4で表されるホスファイト系酸化防止剤(旭電化工業株式会社製PEP−8)0.03重量部を添加した混合物を、LT−20押出機に投入し、実施例7と同様にして、ペレットを作成した。結果を表2に示す。
[実施例9]
グリコリド100g及び二塩化スズ2水和塩3mgを用い、170℃で24時間重合を行った。重合後、冷却してからポリマーを取り出し、粉砕し、アセトンで洗浄した。次いで、このポリマーを230℃に設定した東洋精機株式会社製ラボプラストミルに投入し、10分間溶融混錬した。
このようにして得られたポリグリコール酸は、溶融粘度保持率が60%、結晶化シートの黄色度(YI)が13.4、重量減少率1%の温度が229℃、重量平均分子量(Mw)が23.9万、分子量分布(Mw/Mn)が2.2、溶融粘度が770Pa・sであった。
同様の方法で得られたポリグリコール酸10kgを、200mm幅のTダイを装着した内径20mmのシリンダーを有する単軸押出機に投入して、シート状に溶融押出し、冷却ロールで巻き取ることによりシートを形成した。得られたシートは、透明でほぼ無色であった。押出開始から6時間経過しても、安定した成形が可能であった。結果を表2に示す。
[比較例4]
グリコリド100gと5mgの二塩化スズ2水和塩をへリカルリボン翼付き反応器に投入し、230℃で2時間攪拌して開環重合を行った。反応終了後、ポリマーを掻き出し、アセトンで洗浄した。次いで、30℃で真空乾燥してポリマーを回収した。
このようにして得られたポリグリコール酸は、溶融粘度保持率が42%、結晶化シートの黄色度(YI)が67.8、重量減少率1%の温度が230℃、重量平均分子量(Mw)が25.0万、分子量分布(Mw/Mn)が2.2、溶融粘度が750Pa・sであった。
同様の方法で得られたポリグリコール酸10kgを、200mm幅のTダイを装着した内径20mmのシリンダーを有する単軸押出機に投入し、シート状に溶融押出し、冷却ロールで巻き取ることによりシートを成形した。得られたシートは、褐色であった。安定した押出成形が可能であったが、色調が不満足であった。結果を表2に示す。
[比較例5]
グリコリド100gと5mgの二塩化スズ2水和塩をガラス製試験管に投入し、180℃で4時間静置して開環重合を行った。重合終了時、ポリマーは固化していた。冷却後、ポリマーを取り出し、粉砕し、アセトンで洗浄した。次いで、30℃で真空乾燥してポリマーを回収した。
このようにして得られたポリグリコール酸は、溶融粘度保持率が21%、結晶化シートの黄色度(YI)が10.1、重量減少率1%の温度が190℃、重量平均分子量(Mw)が25.0万、分子量分布(Mw/Mn)が2.7、溶融粘度が970Pa・sであった。
同様の方法で得られたポリグリコール酸10kgを、200mm幅のTダイを装着した内径20mmのシリンダーを有する単軸押出機に投入し、シート状に溶融押出し、冷却ロールで巻き取ることによりシートを成形した。得られたシートは、透明でほぼ無色であった。しかし、押出トルクの変動が観察され、押出中に何度もシートの破断が見られ、安定した成形が困難であった。また、押出中に揮発分の発生量が多く、ロールへの揮発物の付着が観察された。結果を表2に示す。
Figure 0004231781
表2の結果から明らかなように、本発明の溶融安定性ポリグリコール酸(実施例4〜7)は、溶融粘度保持率が高く、かつ、黄色度(YI)が小さく、その結果、押出成形性に優れ、透明でほぼ無色のシートを安定して得ることができる。また、本発明の溶融安定性ポリグリコール酸(実施例4〜7)は、重量平均分子量(Mw)と分子量分布を適切な範囲に調整することにより、生分解性を制御することができる。
これに対して、開環重合後、溶融混練を行っていないポリグリコール酸は、分子量分布(Mw/Mn)が小さくなるような重合条件を採用しても(比較例4)、黄色度(YI)が大きく、成形品が褐色を呈する。また、開環重合後、溶融混練を行っていないポリグリコール酸は、黄色度(YI)が低くなるような重合条件を採用しても(比較例5)、溶融粘度保持率が極めて低く、重量減少率1%となる温度も低く、溶融安定性の悪いものであり、成形性に劣る。また、比較例2のポリグリコール酸は、生分解性の程度を制御することが困難である。
本発明によれば、生分解性速度が制御され、かつ、着色が抑制されたポリグリコール酸が提供される。また、本発明によれば、早期に強度や外観保持性が低下することがなく、また、均一な品質を示す成形品を与えることができるポリグリコール酸が提供される。さらに、本発明によれば、溶融安定性に優れ、かつ、着色の少ないポリグリコール酸及びその製造方法が提供される。特に、本発明の溶融安定性ポリグリコール酸は、生分解性を有し、ガスバリヤー性、耐熱性、成形加工性、機械的強度等に優れている。
本発明のポグリコール酸は、シート、フィルム、繊維、その他の各種成形品、複合材料(例えば、多層フィルム、多層容器)などとして有用である。本発明のポグリコール酸は、生分解性速度を制御することができるので、各種分野での使用目的に適合させることが容易である。

Claims (8)

  1. グリコリドまたはコモノマーとして全仕込みモノマーの10重量%以下の割合で環状コモノマーを含有するグリコリドを開環重合して得られるポリグリコール酸であって、
    (a)重量平均分子量(Mw)が20,000〜800,000の範囲であり、
    (b)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布が1.0〜2.5の範囲であり、かつ、
    (c)プレス成形後、結晶化させたシートの黄色度(YI)が40以下であるポリグリコール酸。
  2. (d)250℃で予熱5分間後に測定した初期粘度(η)に対する250℃で60分間保持後に測定した粘度(η60)の割合〔(η60/η)×100〕として定義される溶融粘度保持率が40%以上であり、かつ、
    (e)流速10ml/分の窒素気流下、50℃から2℃/分の昇温速度で加熱したとき、50℃での重量からの重量減少率が1%になる温度が200℃以上である請求項1記載のポリグリコール酸。
  3. グリコリドまたはコモノマーとして全仕込みモノマーの10重量%以下の割合で環状コモノマーを含有するグリコリドを120〜250℃で3分間から50時間開環重合させた後、該重合温度より10〜50℃低い温度で1〜50時間延長重合を行うことを特徴とする
    (a)重量平均分子量(Mw)が20,000〜800,000の範囲であり、
    (b)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布が1.0〜2.5の範囲であり、かつ、
    (c)プレス成形後、結晶化させたシートの黄色度(YI)が40以下であるポリグリコール酸の製造方法。
  4. (1)グリコリドまたはコモノマーとして全仕込みモノマーの10重量%以下の割合で環状コモノマーを含有するグリコリドを130〜240℃の溶融状態で開環重合する工程、
    (2)生成したポリマーを溶融状態から固体状態に変換する工程、
    (3)所望により、120℃以上220℃未満の温度範囲、かつ0.1〜20時間の時間範囲で、固体状態でさらに固相重合する工程、及び
    (4)5〜20分間の時間範囲で、固体状態のポリマーを加熱下に溶融混練する工程
    を含む
    (a)重量平均分子量(Mw)が20,000〜800,000の範囲であり、
    (b)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布が1.0〜2.5の範囲であり、
    (c)プレス成形後、結晶化させたシートの黄色度(YI)が40以下であり、
    (d)250℃で予熱5分間後に測定した初期粘度(η )に対する250℃で60分間保持後に測定した粘度(η 60 )の割合〔(η 60 /η )×100〕として定義される溶融粘度保持率が40%以上であり、かつ、
    (e)流速10ml/分の窒素気流下、50℃から2℃/分の昇温速度で加熱したとき、50℃での重量からの重量減少率が1%になる温度が200℃以上であるポリグリコール酸の製造方法。
  5. 生成したポリマーを溶融状態から固体状態に変換する工程(2)を、
    (i)該ポリマーが溶融状態にある重合温度から冷却する方法、
    (ii)溶融状態での重合を最終ポリマーの融点より低い温度で行って、析出または結晶固化させる方法、または
    (iii)核剤を、該ポリマーに添加する方法
    により行う請求項記載の製造方法。
  6. 工程(4)において、220〜250℃の温度範囲で溶融混練を行う請求項または記載の製造方法。
  7. 工程(4)において、ロール、ニーダー、または押出機を用いてポリマーの溶融混練を行う請求項乃至のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 工程(4)において、重金属不活性剤、ペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステル、少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つの長鎖アルキルエステル基とを持つリン化合物、及び炭酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの熱安定剤を固体状態のポリマーに加える請求項乃至のいずれか1項に記載の製造方法。
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