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JP4246809B2 - 排水処理方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排水中のセレン(特に6価Se)が化学的な手法で容易かつ効果的に除去できる排水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、排水中のセレンを除去する化学的方法としては、特開平8−192166号公報(従来例1)、特開平8−276190号公報(従来例2)、及び特開平9−308891号公報(従来例3)に記載されたものが知られている。
このうち従来例1の方法は、セレン含有水に、チオ尿素をその濃度が100〜700mg/リットルとなるよう添加したのち酸を加えてpHを2以下に調整し、60〜100℃に加熱し、さらに、アルカリを加えてpHを6〜10に調整したのち高分子凝集剤を添加して固液分離するものである。
【0003】
また従来例2の方法は、セレンを含む排水に、ヒドラジンないしヒドラジニウム塩および鉱酸を加え、酸性下で50℃以上に加熱してセレン含有澱物を生成させ、該澱物を固液分離するものである。
また従来例3の方法は、元素周期表の第VIII族に属する一種以上の金属或いは銅族から選ばれた金属を触媒として、排水中の6価Se又は/及び4価Seを単体Seに還元し、その後固液分離して排水中から除去するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の排水処理方法は、以下のような問題点を有していた。
まず、従来例1及び従来例2の方法は、50℃〜100℃の加熱処理が必ず必要であるため、多大な熱エネルギーが必要になる点で経済的でなく、またプロセスも複雑になる。
また従来例3の方法は、元素周期表の第VIII族に属するパラジウムやロジウムなどの高価な金属を触媒として使用するため、設備のコスト低減の観点から、より安価で入手し易い触媒を利用した方法が要望されていた。さらにこの従来例3の方法は、引火爆発等の危険性が高い水素ガスを還元剤として使用しているために、安全性の面で取扱いが難しいという問題点も有していた。
【0005】
またいずれの方法も、6価Se又は4価Seを単体Seまで還元する構成をとっているために、pH2以下の強酸性領域で還元処理を行う必要がある。このため、還元処理を行う反応器等の材料として高価な高耐食性材料を使用したり、高級なコーティングを施したりする必要がある。また、単体Seまで還元するために、還元処理を行う反応器等において機器材料又は触媒の表面に還元により析出した単体Seが相当量付着し、この付着した単体Seの分離除去作業にかなりの手数がかかるとともに、場合によっては触媒が短期間で使用不能になるといった問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、比較的安価で入手し易い触媒を利用したより低い温度条件での還元処理により、Se(特に6価Se)を排水中から効果的に除去できる排水処理方法を提供することを第1の目的としている。
また、機器材料に強酸性に耐える高級材料などを使用する必要がなく、機器材料や触媒の表面への単体Seの付着が格段に抑制できる排水処理方法を提供することを第2の目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、発明者らが鋭意研究を進めたところ、元素周期表の第VIIA族に属する金属(例えばマンガン)、及び、第VIIA族に属する金属と第VIII族の金属(例えば白金)とを組合せた触媒が、6価Seの還元促進作用を有することが判明した。
また、処理条件としてのpHを調整することで、6価Seの還元反応を4価Seまでの還元に止めておく操作が可能であることを見出した。本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、以下のような特徴により、上述した課題を解決している。
【0008】
請求項1記載の排水処理方法は、排水から6価Se又は/及び4価Seを除去する排水処理方法であって、元素周期表の第VIIA族に属する金属から選ばれる少なくとも一種以上の金属を担体に担持した触媒に、還元剤として、ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、チオ尿素、第1鉄イオン、第2鉄イオン、鉄粉、亜硫酸ガス、亜硫酸イオン、フェニルヒドラジン、またはギ酸を添加した前記排水を接触させることにより、前記排水中の6価Se又は/及び4価Seを4価Se又は/及び単体Seに還元して排水中から除去することを特徴とする。
【0009】
また請求項2記載の排水処理方法は、排水から6価Se又は/及び4価Seを除去する排水処理方法であって、元素周期表の第VIIA族に属する金属から選ばれる少なくとも一種以上の金属と、第VIII族に属する金属から選ばれる少なくとも一種以上の金属とを組合せて担体に担持した触媒に、還元剤として、ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、チオ尿素、第1鉄イオン、第2鉄イオン、鉄粉、亜硫酸ガス、亜硫酸イオン、フェニルヒドラジン、またはギ酸を添加した前記排水を接触させることにより、前記排水中の6価Se又は/及び4価Seを4価Se又は/及び単体Seに還元して排水中から除去することを特徴とする。
【0010】
また請求項3記載の排水処理方法は、前記還元剤が、ヒドラジン、チオ尿素及び亜硫酸イオンのうちの少なくとも一種以上であることを特徴とする。
【0011】
また請求項4記載の排水処理方法は、排水から少なくとも6価Seを除去する排水処理方法であって、元素周期表の第 VIIA 族に属する金属から選ばれる少なくとも一種以上の金属を含む触媒の存在下にpH3以上の条件で前記排水中の6価Seを還元剤と反応させることにより、前記排水中の6価Seを主に4価Seに還元し、次に、不溶化剤として、FeCl 3 、Fe 2 ( SO 4 ) 3 、キレート剤、又は高分子重金属捕集剤を添加することにより、4価Seを固形分として析出または沈殿して排水中から除去することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の各例を図面に基づいて説明する。
(第1例)
図1は、本発明の排水処理方法を固定床を利用した連続方式で実施した場合の一例(第1例)を説明する図である。
難処理性の6価Se(主形態:セレン酸SeO4 2-)及び4価Se(主形態:亜セレン酸SeO3 2-)を含む原液1は、原液受槽5に供給される。この原液受槽5は、スチーム2により所定の温度、好ましくは30〜60℃に温度コントロールされており、pH調整剤3として塩酸が、また還元剤4としてヒドラジンが供給される。
【0013】
ここでpH調整剤3は、原液受槽5内の液のpHが1〜5、好ましくは1〜3になるように加えられる。なおこのpH調整剤としては、塩酸に限らず、例えば硫酸その他の一般的な酸を使用できることはいうまでもない。
また還元剤4のヒドラジンは、原液受槽5内の濃度が1〜1000mg/l、好ましくは10〜100mg/lになるように添加される。なおこの還元剤4も、ヒドラジンに限らず、一般的な還元剤(例えば硫酸ヒドラジン、チオ尿素、第1鉄イオン、第2鉄イオン、鉄粉、亜硫酸ガス、亜硫酸イオン、フェニルヒドラジン、ギ酸等)が使用可能である。
【0014】
原液受槽5からの液はポンプ6及びバルブ7を介して反応器8の下部に導入される。この反応器8には、例えばチタニア系担体に酸化マンガンを担持させたペレット状触媒9が充填されている。
なおここではマンガンよりなる触媒を示したが、これに限られず、例えば元素周期表の第VIIA族に属するマンガン以外の金属(例えばレニウム)、或いは、元素周期表の第VIIA族に属する一種以上の金属と、第VIII族に属する金属から選ばれた一種以上の金属とを組合せたものでもよい。また、触媒を担持する担体としては、チタニアに限らず、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア、ゼオライトなど、或いはこれらの組合せが使用可能である。
【0015】
また、担体も含む触媒全体に含まれる触媒本体の含有量は、0.01〜5重量%の範囲で適宜設定可能であるが、性能面及び経済面を考慮すると0.1〜1重量%が適当である。また、下記式で示されるSV値(h-1)が10以下になるように、触媒の充填量を設定するのが好ましい。
SV値=処理液流量(m3/h)/触媒量(m3
【0016】
この場合反応器8では、下記式(1)〜(3)で示される反応により、原液1中の6価Seが還元される。
【0017】
【化1】
SeO4 2- +MnOx → MnOx-O +SeO3 2- (1)
SeO3 2- +2MnOx +2H+ → 2MnOx-O +Se +H2O (2)
MnOx-O +Red → MnOx +H2O +OX (3)
ここでRedは還元剤であり、OXは還元処理により生じた酸化物である。
【0018】
そして、反応器8で還元処理された液は、バルブ10及びライン11を介して処理液槽12に流入する。この処理液槽12に流入する液は、セレン濃度が0.1mg/リットル以下となるため、例えばそのまま放流が可能である。
一方、長期間この排水処理を継続すると触媒9の表面への単体Seの付着量が増大し、触媒9の活性が低下する恐れがある。このため本例では、ライン13及びバルブ14を介して例えば定期的に逆洗水が導入されるようになっており、この逆洗水が反応器8の上部から導入され、バルブ15及びライン16を経由して反応器8の下部から排出されることにより、触媒9が洗浄されるとともに、析出した単体Seが排出されるようになっている。なお、こうして排出された逆洗水中の単体Seは、図示省略した固液分離処理などにより別途回収される。
【0019】
なお、上記逆洗水を流して洗浄する際には、バルブ7,10を閉めて本来の還元処理を中止する必要があるが、例えば反応器8を複数並列に設けておき、そのうちの特定の反応器のみを順次洗浄するようにすれば、全体の処理は略一定の処理性能で継続することができる。また触媒等の性能によっては、反応器8を複数直列に設けて、前記還元処理を複数回行うようにし、これにより目標のSe濃度(0.1mg/リットル以下)を達成する構成も有り得る。
【0020】
いずれにしろ、上述したような触媒を使用した処理によれば、触媒を使用しない場合よりも格段に低い温度条件での還元処理により、Se(特に6価Se)を排水中から効果的に除去でき、高温を維持するための加熱に要するエネルギーが不要になるために運転コストの大幅な削減が可能となる。しかも本例の場合には、比較的低価格で入手し易いマンガンを触媒として使用しているため、その分設備のコスト低減が図れるという利点がある。
また、元素周期表の第VIIA族に属する金属と、第VIII族に属する金属とを組合せた触媒を使用することにより、高価な第VIII族に属する金属(例えば、白金)の含有量を大幅に減ずることができ経済的に有利である。
【0021】
(第2例)
次に図2は、石炭焚き排煙脱硫装置の除塵塔の排水処理(Se除去処理)に本発明を適用した一例(第2例)を示す図である。なお以下では、第1例と同様の構成要素には同符号を使用して重複する説明を省略する。
石炭焚きボイラからの排ガス21は、排煙脱硫装置の除塵塔22に導入され、ポンプ26及びライン27を介してノズル24から噴出される液溜め25の液との接触により粉塵が除かれ、除塵後排ガス23として排出され、脱硫吸収塔(図示省略)に導かれ硫黄酸化物が除去される。また除塵塔22では、排ガス21中のフライアッシュに付着していたSeO2などが液中に溶解し、液溜め25の液はセレン濃度が排出基準よりも高い液となる。またこの液には、排ガス21中の硫黄酸化物の一部が溶解するため、そのpHは通常1〜2程度の値となる。
【0022】
液溜め25の液は、ライン28を介して除塵塔シックナ29に入り、ここでフライアッシュ等の固形物が分離される。なおこの固形物は、図示省略しているが、除塵塔シックナ29の下部から排出され、廃棄物として別途処理されるか、或いはセメント原料などとして再利用される。
除塵塔シックナ29の上澄液は、ライン30を介して原液受槽5に導入され、後流の反応器8において第1例と同様の還元処理がなされ、Se濃度の十分低い液として処理液槽12に送られる。
ここで、除塵塔シックナ29の上澄液には、亜硫酸イオンが多量に含まれているため、通常は還元剤を投入する必要はないが、場合によってはヒドラジンに代表される還元剤4を投入することができる。
【0023】
なおこの場合には、液のpHが前述したように強酸性領域にあるため、pH調整剤を添加する必要はない。また、排ガス21の熱により液の温度も高温となっているので、第1例のようにスチームを投入する必要性は、全くないか或いは少なくてすむ。
このため本例によれば、脱硫装置の除塵塔の排水処理(Se除去処理)が、より低コストに、またより簡素な設備で可能となる。なお、脱硫吸収塔の排水についても、pHを調整して適宜還元剤を添加することにより、同様にSe除去が可能であることはいうまでもない。
【0024】
(第3例)
図3は、本発明の排水処理方法を固定床を利用した連続方式で実施した場合の他の例(第3例)を説明する図である。
この例は、還元処理におけるpHの値を積極的に3以上(好ましくは、5以上)として第1例と同様の還元処理を行った後、還元処理後の液に4価Seの不溶化剤を添加して反応させ、さらに固液分離処理を行う点に特徴を有する。
【0025】
すなわち図3に示すように、処理液槽12内には、液中の4価Seを不溶化させるための不溶化剤41(この場合には、FeCl3)が必要量投入され、必要に応じて攪拌操作がなされる。また、処理液槽12内の液は、ポンプ42により固液分離器43(例えば、シックナ、遠心分離器、真空式ベルトフィルタなど)に送られて固液分離され、固形分45と排液44に分離されて排出される。
また、pH調整剤3としての塩酸の投入量は、原液受槽5内の液のpHが3以上(好ましくは、5以上)になるように調整される。なお、原液1のpHが3未満の場合には、塩酸の代りに苛性ソーダなどのアルカリが供給され、pHが3以上(好ましくは、5以上)とされる。
【0026】
なお、ここで不溶化剤41としては、FeCl3の他に、Fe2(SO4)3や、キレート剤(例えば、ミヨシ樹脂製:エポラス MX−7)、或いは高分子重金属捕集剤(例えば、ミヨシ樹脂製:エポフロック L−1)など、4価Seを固形分として析出或いは沈殿させることができる各種薬剤が使用できることはいうまでもない。
【0027】
本例によれば、pHが3以上とされているため、後述の実験で実証されるように、反応器8における還元反応は4価Seまでの還元(前述の反応式(1)の反応)で止り、前述の反応式(2)の反応はほとんど起こらない。つまり、単体Seの析出はほとんどなく、Seのほとんどは4価Seの形態で液中に溶解したまま処理液槽12に送られる。
そして、この液中の4価Seは、処理液槽12で添加される不溶化剤41と、下記式(4)〜(5)で示される反応を起こして亜セレン酸鉄となって析出し、無害な固形分45として排出され、例えば廃棄物として処理される。一方排液44は、4価Seが除去されることにより、結局全Se濃度の極めて低い液として放流等が可能となる。
【0028】
【化2】
FeCl3 → Fe3+ + 3Cl- (4)
2Fe3+ + 3SeO3 2- → Fe2(SeO3)3↓ (5)
【0029】
したがって本例によっても、排水中からの効果的なセレン除去処理が可能となる。しかも、還元処理において単体Seをほとんど析出させないので、反応器8内の洗浄という面倒な作業を不要にできるか、或いはその頻度を極端に低減することができ、また還元触媒9の寿命を大幅に向上できる。
なお後述の実験例で示すように、例えば白金単独での触媒においては、触媒の還元促進作用が強く、pHを高くしても単体Seまで還元が進み、4価Seまでの還元に止めておくことが困難である。
ところが本例のように、第VIIA族に属する金属を含む触媒を使用した場合、或いは特に、第VIIA族に属する金属と第VIII族に属する金属とを組合せた触媒を使用した場合には、Seの還元促進作用は若干劣るが、前述の如く単体Seの析出を防止して還元触媒の寿命を大幅に向上させるとともに、6価Seを4価Seに還元する能力を高めることができ、性能及び経済性の両面で有利となる。
また本例では、pH3以上の条件で還元処理を行うため、還元処理を行う反応器8などの機器に高級材料(又は高級コーティング)を適用する必要がなくなり、この点でも設備コストが大きく低減できる。
【0030】
【実施例】
次に、本発明の排水処理方法の実施例又は比較例として、発明者らが行った実験について、以下説明する。
(実験1.)
まず実験1は、チタニア系担体に活性金属を種々担持させた触媒1g、原液としてセレン酸イオン100mgSe/リットル、及び還元剤としてヒドラジン1000mg/リットルを含む溶液50mリットルを、100mリットルのビーカに入れ、pHが1、温度30℃の条件下で1時間攪拌し反応を行わせた。また、比較実験として触媒を添加しない以外は、同様の条件で実験を行った。
その結果を表1に示す。なお、処理水中の亜セレン酸イオン(4価Se)の濃度は、0.1mgSe/リットル以下であり、ほとんど増加していなかった。
【0031】
【表1】
Figure 0004246809
【0032】
難処理性のセレン酸(6価Se)を触媒を使用して還元処理した本実験の結果、第VIIA族に属するマンガン又はレニウム、及びこれら金属と第VIII族に属する白金とを組合せたものが、セレン酸の還元に触媒作用を示すことが確認された。なお、処理水中に亜セレン酸イオンがほとんど検出されないことから、この場合には単体Seまで還元されたものと考えられる。また、同族に属する他の金属も同様の触媒作用を発揮できると考えられる。
また、比較実験として示した触媒なしの場合には、セレン酸イオン濃度の減少が極めて少なく、還元効果が極端に少ないことが分る。
【0033】
(実験.2)
次に実験2は、チタニア系担体にレニウムを担持させた触媒(レニウム含有量は1重量%)1g、原液としてセレン酸イオン100mgSe/リットル、及び各種還元剤1000mg/リットルを含む溶液50mリットルを、100mリットルのビーカに入れ、pHが1、温度30℃の条件下で1時間攪拌し反応を行わせた。また、比較実験として触媒を添加しない以外は、同様の条件で実験を行った。
その結果を表2に示す。なお、処理水中の亜セレン酸イオンの濃度は、0.1mgSe/リットル以下であり、ほとんど増加していなかった。
【0034】
【表2】
Figure 0004246809
【0035】
ヒドラジン、チオ尿素、亜硫酸ナトリウムの各種還元剤によりセレン酸を還元処理した本実験の結果、いずれの還元剤を用いた場合でも触媒が有効に作用することを確認できた。
また、比較実験として示した触媒なしの場合には、セレン酸イオン濃度の減少が極めて少なく、還元効果が極端に少ないことが分る。
【0036】
(実験.3)
次に実験3は、チタニア系担体にレニウムを担持させた触媒(レニウム含有量は1重量%)1g、原液としてセレン酸イオン100mgSe/リットル、及び還元剤としてヒドラジン1000mg/リットルを含む溶液50mリットルを、100mリットルのビーカに入れ、pHが1、温度30℃,45℃,60℃の条件下で1時間攪拌し反応を行わせた。また、比較実験として触媒を添加しない以外は、同様の条件で実験を行った。
その結果を表3に示す。なお、処理水中の亜セレン酸イオンの濃度は、0.1mgSe/リットル以下であり、ほとんど増加していなかった。
【0037】
【表3】
Figure 0004246809
【0038】
本実験の結果、触媒の存在下においても、温度を上昇させることにより、難処理性のセレン酸の減少量が多くなり、還元速度が上昇することが実証されたが、触媒を使用しない場合には、60℃においてもセレン酸の減少量が少なく、還元性能が十分でないことが分った。
【0039】
(実験.4)
次に実験4は、チタニア系担体に活性金属を種々担持させた触媒1g、原液としてセレン酸イオン100mgSe/リットル、及び還元剤としてヒドラジン1000mg/リットルを添加し、各種pHに調整した溶液50mリットルを、100mリットルのビーカに入れ、温度30℃の条件下で1時間攪拌し反応を行わせた。その結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
Figure 0004246809
【0041】
表4から分るように、低pHにおいては処理水中に亜セレン酸イオンがほとんど検出されず、セレン酸は単体セレンまで還元されるが、pH3〜5(特にpH5)においてはその多くが亜セレン酸イオンとして液相中に残存する。
したがって、pHを調整しつつ触媒による還元処理を行うことにより、セレンの還元状態を任意にコントロールできることが分る。例えば触媒表面への単体Seの付着を少なくしたい場合には、前述の第3例のようにpHを高くして還元処理を行えば、6価セレンを主に4価のセレンとして容易に処理できる。
なお、比較のため示した白金単独の場合には、pHを高くしても、セレン酸のほとんどが単体Seまで還元され、触媒の表面に付着する。触媒の表面に単体Seが付着すると、触媒性能が低下し、触媒寿命が短くなる欠点がある。
【0042】
(実験.5)
次に実験5は、チタニア系担体に活性金属として白金及びマンガンを担持させた触媒1g、原液としてセレン酸イオン100mgSe/リットル、及び還元剤としてヒドラジン1000mg/リットルを含む溶液50mリットルを、100mリットルのビーカに入れ、pHが5、温度30℃の条件下で1時間攪拌し反応を行わせた。その後、触媒を取り出し、50mリットルの純水で10分間攪拌洗浄し、再度その触媒を使用して上記実験を繰り返し実施して、6価Seの還元率の変化を調べた。その結果を図4に示す。
【0043】
図4から分るように、活性金属として白金単独を使用した場合には、触媒を繰り返し使用することにより、6価Seの還元率が低下する。これは、触媒の表面に生成した単体Seが付着し、触媒担体に目詰りが生じたものと考えられる。一方、活性金属としてマンガンと白金を組合せて使用した触媒の場合には、触媒を繰り返し使用することによる6価Seの還元率の低下は格段に少ない。これは、セレン酸が還元される際、亜セレン酸イオンとして液相中に存在する量が多く、単体Seの生成が少ないためと考えられる。
【0044】
触媒を使用するうえにおいて、触媒の寿命をいかに長くし、劣化を防止するかが、一番のポイントであり、まして、高価な触媒を使用するに当っては、触媒の寿命を向上さすことが、経済性の面から非常に重要である。白金単独のように、6価Seが単体Seまで還元されると、微粒子の単体Seが触媒の表面に付着し性能が低下するため、触媒の洗浄を頻繁に実施する必要がある。また、その洗浄を実施しても、触媒の担体に目詰りが生じた場合には、なかなか除去することが難しく、ついには、性能が回復せず、触媒を取替える必要性が生じる。単体Seの生成が少ない条件で運用すれば、触媒寿命を格段に向上さすことができて、また、洗浄頻度が低減でき、経済性の面で有利となる。
【0045】
(実験.6)
次に実験6は、チタニア系担体に酸化マンガンと白金を担持させたペレット状触媒(マンガン含有量は0.4重量%、白金含有量は0.1重量%)30mリットルを、20mmφ×100mmHの固定床反応器に充填し、恒温器で50℃にコントロールした後、反応器下部から次の組成及びpHの原液を30mリットル/hで流し反応させた。
[原液組成及びpH]
6価セレン; 2.3mgSe/リットル
4価セレン; 0.14mgSe/リットル
ヒドラジン; 10mg/リットル
pH ; 1
【0046】
その結果、反応器出口の処理液中のセレン濃度は、6価セレンが0.05mgSe/リットルであり、また4価セレンが0.01mgSe/リットル以下となっており、セレンの還元反応が十分進行しているのが分る。
【0047】
(実験.7)
次に実験7は、実験6における還元剤をヒドラジンから亜硫酸ナトリウムに代えて、その他は実験6と同一の条件で反応させた。
[原液組成及びpH]
6価セレン ; 2.3mgSe/リットル
4価セレン ; 0.14mgSe/リットル
亜硫酸ナトリウム ; 10mg/リットル
pH ; 1
【0048】
その結果、反応器出口の処理液中のセレン濃度は、6価セレンが0.06mgSe/リットルであり、また4価セレンが0.01mgSe/リットル以下となっており、セレンの還元反応が十分進行しているのが分る。
【0049】
(実験.8)
次に実験8は、図2に示す脱硫装置の除塵塔の排水を使用して実験を実施した。すなわち、チタニア系担体にレニウムを担持させたペレット状触媒(レニウム含有量は0.5重量%)30mリットルを、固定床反応器に充填し、45℃にコントロールした後、反応器下部から次の組成及びpHの除塵塔排水を30リットル/hで流し反応させた。
[除塵塔排水の組成及びpH]
6価セレン; 0.25mgSe/リットル
4価セレン; 2.13mgSe/リットル
pH ; 1.4
【0050】
その結果、反応器出口の処理液中のセレン濃度は、6価セレンが0.03mgSe/リットルであり、また4価セレンが0.04mgSe/リットルとなっており、セレンの還元反応が十分進行しているのが分る。
なおここで、除塵塔排水には、亜硫酸イオンが十分含有されており、別途に還元剤を添加する必要がなく、またpHも1.4と低かったため、pH未調整で実験を実施した。
【0051】
【発明の効果】
請求項1又は2記載の触媒を使用した排水処理によれば、触媒を使用しない場合よりも格段に低い温度条件での還元処理により、Se(特に難処理性の6価Se)を排水中から効果的に除去でき、高温を維持するための加熱に要するエネルギーが不要になるために運転コストの大幅な削減が可能となる。しかも本発明では、比較的低価格で入手し易いマンガンなどの金属を触媒として使用するため、その分設備のコスト低減が図れるという利点がある。
なお請求項3記載のような還元剤を使用した場合には、引火爆発等の危険性がなく、安全性の面で有利となる。
【0052】
また請求項4記載の排水処理によっても、やはり触媒作用により排水中からの効果的なセレン除去が低い温度条件で可能となる。しかもこの場合には、還元処理において単体Seの析出が少ないので、還元処理を行う反応器内の洗浄という面倒な作業を不要にできるか、或いはその頻度を極端に低減することができ、また触媒の寿命を向上できる。なお、触媒を長期間使用することができれば、その材料として触媒作用が高く高価な白金等の金属を使用することも実用上容易となり、性能及び経済性の両面で有利となる。
また、pH3以上の条件で還元処理を行うため、還元処理を行う反応器などの機器に高級材料(又は高級コーティング)を適用する必要がなくなり、この点でも設備コストが大きく低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1例の排水処理方法を示す図である。
【図2】本発明の第2例の排水処理方法を示す図である。
【図3】本発明の第3例の排水処理方法を示す図である。
【図4】本発明の作用を実証する実験結果を示す図である。
【符号の説明】
1 原液
3 pH調整剤
4 還元剤
8 反応器
9 触媒

Claims (6)

  1. 排水から6価Se又は/及び4価Seを除去する排水処理方法であって、
    元素周期表の第VIIA族に属する金属から選ばれる少なくとも一種以上の金属を担体に担持した触媒に、還元剤として、ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、チオ尿素、第1鉄イオン、第2鉄イオン、鉄粉、亜硫酸ガス、亜硫酸イオン、フェニルヒドラジン、またはギ酸を添加した前記排水を接触させることにより、前記排水中の6価Se又は/及び4価Seを4価Se又は/及び単体Seに還元して排水中から除去することを特徴とする排水処理方法。
  2. 排水から6価Se又は/及び4価Seを除去する排水処理方法であって、
    元素周期表の第VIIA族に属する金属から選ばれる少なくとも一種以上の金属と、第VIII族に属する金属から選ばれる少なくとも一種以上の金属とを組合せて担体に担持した触媒に、還元剤として、ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、チオ尿素、第1鉄イオン、第2鉄イオン、鉄粉、亜硫酸ガス、亜硫酸イオン、フェニルヒドラジン、またはギ酸を添加した前記排水を接触させることにより、前記排水中の6価Se又は/及び4価Seを4価Se又は/及び単体Seに還元して排水中から除去することを特徴とする排水処理方法。
  3. 前記還元剤が、ヒドラジン、チオ尿素及び亜硫酸イオンのうちの少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の排水処理方法。
  4. 排水から少なくとも6価Seを除去する排水処理方法であって、
    元素周期表の第VIIA族に属する金属から選ばれる少なくとも一種以上の金属を含む触媒の存在下にpH3以上の条件で前記排水中の6価Seを還元剤と反応させることにより、前記排水中の6価Seを主に4価Seに還元し、次に、不溶化剤として、FeCl3、Fe2(SO4)3、キレート剤、又は高分子重金属捕集剤を添加することにより、4価Seを固形分として析出または沈殿して排水中から除去することを特徴とする排水処理方法。
  5. 前記担体も含む前記触媒全体に含まれる前記第VIIA族に属する金属の含有量が、0.01〜5重量%の範囲である請求項1記載の排水処理方法。
  6. 前記担体も含む前記触媒全体に含まれる前記第VIIA族に属する金属と第VIII族に属する金属の含有量が、0.01〜5重量%の範囲である請求項2記載の排水処理方法。
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