JP4283469B2 - 相溶性−多相有機溶媒システムによりアミノ酸を逐次的に付加する液相ペプチド合成法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペプチド、蛋白質、DNA、RNA、多糖類などオリゴマーまたはポリマー類、特にペプチドを、これらを構成する一種類または複数種類のユニット分子、特にアミノ酸を制御された順序で結合させて前記オリゴマーまたはポリマー類の合成法、特に液相ペプチド合成法に関する。特に設計されたオリゴマーまたはポリマー類、特にペプチドの合成の制御が容易であり、反応生成物の回収が容易である溶媒システムを用いた液相ペプチド合成法に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学反応において、試薬、触媒、反応補助剤、副生成物などと、目的とする生成物を容易に分離することができれば、分離操作を大幅に低減させるだけでなく、工程で使用される薬剤を少なくすることができ、環境に有害な廃棄物を発生させることを極力抑制することができる。ところで、
これまでに、ペプチドやDNAなどのオリゴマーおよびポリマー類は、それを設計に従って複数のユニット化合物を逐次変えながら結合させ伸長して合成されている。該合成には、固体表面に合成すべきオリゴマーおよびポリマー類を形成させる官能基、例えば、ペプチドの場合、不溶性樹脂表面にペプチドのカルボキシ末端のアミノ酸残基を導入したものを溶媒中に分散させた状態でペプチド類を合成する固相合成法が用いられていた。
しかしながら、この反応系においては、固体表面で化学反応を行わなければならないため、試薬が固体表面に接近しにくく、一般に反応性、反応速度が低い。また、目的の反応が進行したことを簡便に確認することができないという問題点があった。また、固相合成では反応スケールを大きくするとは困難であるとともに、固相担体の価格が高いものが多く、経済性の点でも問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明課題は、前記従来技術の、固相表面反応を液相反応としながら、得られた反応生成物の分離を極めて容易に実現する溶液ペプチド合成法を確立することである。前記問題点を解決すべく鋭意検討する中で、これまで本発明者らが開発した、温度を制御すことにより相溶性の状態と相分離の状態とに可逆的に状態を制御できる溶媒システムを用いてペプチドを合成する方法を確立することを考えた。そのためには従来の固相反応ペプチド合成法におけるペプチドの形成を開始するアミノ酸単位の結合部を有し、アミノ酸単位を順次結合させ伸長させたペプチド鎖を担持する機能と、更に前記ペプチドの合成開始前のアミノ酸単位の結合部を有する化合物および合成中のペプチド鎖の結合した化合物を一方の溶媒または混合溶媒系に溶解させる機能を持つ化合物残基を見出す必要がある。本明細書では該化合物残基に要求される技術的特性から、担体と称する。
そして、一方の溶媒または混合溶媒Aとして非極性有機溶媒からなるものを用い、前記Aと組み合わせる他方の溶媒または混合溶媒Bとして極性有機溶媒からなる溶媒システムと組み合わせて使用する担体として前記一般式Aの化合物を用いることにより前記固相反応ペプチド合成法に習った液相ペプチド合成法システムを確立し、前記課題を解決することができた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、温度を制御すことにより相溶性の状態と相分離の状態とに可逆的に状態を制御できる溶媒システムを用いてペプチドを合成する方法において、合成すべきペプチドのカルボキシ末端のアミノ酸残基を導入する残基として、前記状態を制御できる溶媒システムを構成する一方の溶媒または混合溶媒Aに対して溶解度を高める化合物から誘導される担体を用い、該溶媒または混合溶媒Aと該担体との組み合わせにより、該合成すべきペプチドのカルボキシ末端のアミノ酸残基を担体と結合したペプチド開始化合物および前記ペプチド開始化合物に順次アミノ酸を導入してペプチド鎖を伸長した化合物を該溶媒または混合溶媒Aへの溶解度を高め、該溶媒または混合溶媒Aと組み合わせる他方の溶媒または混合溶媒Bとして、前記相溶性の状態を形成する温度以下においては前記ペプチド鎖の伸長に用いる種々のアミノ酸を優先的に溶解し、前記相溶性の状態を形成する温度以上では前記Aと相溶性状態の溶媒を形成して前記ペプチド開始化合物を溶解するものを用いて、種々のα位アミノ基に保護基を結合した保護アミノ酸を溶解した前記Bを、相分離の状態において順次設計されたペプチドを合成するアミノ酸を溶解したものと置換し、置換後相溶性状態を呈する温度に加熱することにより、前記アミノ酸を順次結合させることを特徴とする液相ペプチド合成法である。好ましくは、一方の溶媒または混合溶媒Aが有機溶媒からなり、該溶媒または混合溶媒Aと組み合わせる他方の溶媒または混合溶媒Bも有機溶媒からなることを特徴とする前記液相ペプチド合成法であり、より好ましくは、一方の溶媒または混合溶媒Aを構成する有機溶媒がシクロアルカン系の化合物からなり、該溶媒または混合溶媒Aを構成する有機溶媒と組み合わせる他方の溶媒または混合溶媒Bを構成する有機溶媒がニトロアルカン、ニトリル、アルコール、ハロゲン化アルキル、アミド化合物およびスルフスルフォキサイドからなる群から選択される少なくとも一種から構成されたものであることを特徴とする前記液相ペプチド合成法であり、一層好ましくは、ニトロアルカンのアルキル基は炭素数が1、2または3であり、ニトリルのアルキル基の炭素数が1、2または3であり、アミド化合物はN−ジアルキルまたはN−モノアルキルアミドのアルキル基およびアシル基またはホルミル基の炭素数の合計は6以下であり、アルコールは炭素数が8以下であり、スルフォキサイドのアルキル基は炭素数が1、2または3であり、またハハロゲン化アルキルのアルキル基は炭素数が6以下であることを特徴とする前記液相ペプチド合成法であり、より一層好ましくは、ペプチド開始化合物を形成する担体は、親シクロアルカン系溶媒部分とアミノ酸と結合する官能基を有するものであることを特徴とする前記一般式Aで表される芳香族炭化水素環または炭素数10以上の炭化水素基の基本骨格化合物からの残基からなることを特徴とする前記の各液相ペプチド合成法であり、好ましくは前記化合物群Bで表されるものであることを特徴とする前記液相ペプチド合成法である。
【0005】
従来の固相反応ペプチド合成法では、固相にアミノ酸結合基が存在するためアミノ酸との反応性悪く、大過剰量のアミノ酸を反応系に供給することにより、固体表面における反応を完結しなければならないという問題があった。しかし、本発明の液相ペプチド合成法では、ペプチド合成の反応は、相溶状態の均一溶液系で進行するため、反応効率が極めて高く、担体に結合したアミノ酸結合基に対して、外部から添加して反応させるためのアミノ酸分子の量は過剰量必要としない。
【0006】
【本発明の実施の態様】
本発明をより詳細に説明する。
A.本発明の溶媒システムは、少なくとも、わずかな温度変化により、可逆的に均一相溶混合溶媒系の状態と複数相に分離した分離溶媒系の状態とを取り得る二種以上の単一有機溶媒または混合有機溶媒から成り、かつ、一方の有機溶媒または混合有機溶媒は、分離溶媒系の状態においてペプチド開始化合物およびこれに順次アミノ酸を結合させ伸長したペプチド鎖を結合した化合物を溶解するが、前記結合させるアミノ酸を溶解せず、他方の有機溶媒または混合有機溶媒は、分離溶媒系の状態において前記結合させるアミノ酸を溶解するが、前記ペプチド開始化合物およびこれに順次アミノ酸を結合させ伸長したペプチド鎖を結合した化合物を溶解しない特性を持つことが基本である。
【0007】
1,一方の単一有機溶媒または混合有機溶媒は、前記基本特性に基づいて選択されるが、基本的には低極性有機溶媒であり、該溶媒を構成する化合物群としては、アルカン、シクロアルカン、アルケン、アルキン、芳香族化合物などを挙げることができ、好ましいものとしては、シクロアルカン系の化合物を挙げることができ、特に好ましいものとしてシクロヘキサンを好ましいものとして挙げることができる。シクロヘキサンのイス型−舟形配座異性体の変換が他の溶媒との関連で温度的に比較的穏やかな条件で起こることに関連して、前記本発明の溶媒システムが実現されていることと推測することができる。シクロヘキサンは融点が6.5℃と比較的高く、反応後の生成物などを固化して分離できるという利点があり、この面からも好ましい溶媒と言うことができる。
【0008】
2、前記1、と組み合わされる単一有機溶媒または混合有機溶媒としては、1、と同様に前記基本特性に基づいて選択されるが、基本的には、高極性有機溶媒である。好ましくは、ニトロアルカン、ニトリル、アルコール、ハロゲン化アルキル、アミド化合物およびスルフォキサイドからなる群から選択される。
【0009】
3、前記溶媒システムと組み合わせて本発明の液相ペプチド合成法を確立するのはペプチド開始化合物に、分離溶媒系の状態において一方の単一の有機溶媒または混合有機溶媒に溶解性を高め、前記一方の単一の有機溶媒または混合有機溶媒と組み合わせる他方の単一の有機溶媒または混合有機溶媒に溶解しないものを選択することが重要であり、このようなものとして下記一般式Aで表される残基および炭素数10以上の炭化水素基の基本骨格化合物からの残基から選択される。
【0010】
【化4】
【0011】
一般式Aにおいて、L1は、アミノ酸と結合する水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基と結合する単結合、該水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基と結合する原子団、または点線と結合して2環の縮合芳香族環を形成する原子団であり、点線はHとの結合または前記L1と結合して前記縮合芳香族環を形成する原子団であり、XはO、S、N、エステル基、スルフィド基またはイミノ基であり、Rは、シクロアルカン系の溶剤への溶解性を高めるO、S、またはNを結合原子として含んでいても良い炭素数10以上の炭化水素基である。nは1〜5の整数である。
【0012】
前記一般式Aの具体例としては、下記の一般式群Bの化合物を挙げることができる。
【0013】
【化5】
【0014】
各一般式において、X、Rおよびnは一般式Aと同じ。Qは、単結合または炭化水素基であり、R2はアミノ酸と結合する水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基であり、R3およびR4は、下記の一般式Cの基である。
【0015】
【化6】
【0016】
R5は、アミノ酸と結合する水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基である。
【0017】
4、本発明の液相ペプチド合成法に用いられるアミノ酸は、従来の固相反応ペプチド合成法に用いられる保護アミノ酸、例えば、Fmoc(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−アミノ酸、Boc(t−ブトキシカルボニル)−アミノ酸、Cbz(ベンジルオキシカルボニル)−アミノ酸などを用いることができる。
【0018】
ここでは、更に具体的な例を実施例として示すが、これは本発明をより理解し易くするためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0019】
実施例1
可溶性担体〔SC〕−バリン(Val)−グリシン(Gly)−フェニルアラニン(Phe)−Fmoc 〔(SC)−Val−Gly−Phe−Fmoc) 〕の液相合成。
可溶性担体〔SC〕として、一般式群Bにおいて、RがC18H37−であり、XがOであり、nが3であり、QがCH2であり、R2がOHである、
(3,4,5−トリオクタデシルオキシフェニル)メタン−1−オール、〔(3,4,5-trioctadecyloxyphenyl)methan-1-ol 〕を用いる。
【0020】
工程1)Fmoc−Val(170mg)をジクロロメタン3mLに溶解し、さらにジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)125mgを添加する。本溶液を室温にて15分間撹拌した後、ろ過。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮乾固した後、得られた残渣をジメチルホルムアミド(DMF)3mL に溶解する。続いて可溶性担体〔SC〕を溶解したシクロヘキサン溶液(可溶性担体50mg/3mL)3mLをDMF溶液に添加する。されに4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)6.5mgを添加し、反応溶液を50℃に加温し、30分反応を行う。このときシクロヘキサン層とDMF層に分離していた溶液系は均一溶液系になる。反応終了後、反応溶液を室温に戻し、反応溶液を再び二相に分離させる。下層のDMF相を分離、除去し、10%ジエチルアミン/DMF溶液を3mL添加し、50℃で20分間攪拌する。反応液を冷却し、シクロヘキサン層を分離する。このシクロヘキサン層には可溶性担体結合バリン−NH2(〔SC〕−Val−NH2) が回収される。(収率95%)
【0021】
工程2)Fmoc−Gly57mg、HOBt55mg、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCD)25mgをDMF2mLに溶解し、150分間室温で攪拌する。この溶液を活性化したFmoc−グリシン−OH/DMF溶液として用いる。すなわち、この溶液2mLを5℃に冷却後、工程1)で得た〔SC〕−Val−NH2/シクロヘキサン溶液(2mL)を添加する。反応液は5℃から50℃まで一時間かけて穏やかに上昇させ、さらに50℃で30分放置する。最後に、反応液を室温まで冷却すると、再び2層に分離するので、上層(シクロヘキサン層)から目的の生成物〔SC〕−Val−Gly−Fmoc)を分離する。Fmoc基は同溶液にジエチルアミンを添加することにより、脱離し〔SC〕−Val−Gly−NH2 を得る。
図1に、この合成反応の概略を示す。
【0022】
工程3)つぎに、Fmoc−Phe57mg、HOBt55mg、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCD)25mgをDMF 2mLに溶解し、150分間室温で攪拌する。この溶液を活性化したFmoc−フェニルアラニ(Phe)−OH/DMF溶液として用いる。すなわち、この溶液2 mlを5℃に冷却後工程2)で得た〔SC〕−Val−Gly−NH2/シクロヘキサン溶液(2mL)を添加する。反応液は5℃から50℃まで一時間かけて穏やかに上昇させ、さらに50℃で30分放置する。最後に、反応液を室温まで冷却すると、再び2層に分離するので、上層(シクロヘキサン層)から目的の生成物〔SC〕−Val−Gly−Phe−Fmoc)を分離する。
以上の操作を繰り返すことにより、可溶性担体に逐次アミノ酸を結合させ、目的とするオリゴペプチドが合成される。
【0023】
構造確認
〔SC〕シクロヘキサン可溶性担体;(3,4,5−トリオクタデシルオキシフェニル)メタン−1−オール〔(3,4,5-trioctadecyloxyphenyl)methan-1-ol 〕。
1H−NMR(400MHz)δ;5.54(2H、s)、4.58(2H、d、J=5.1Hz)、3.96(4H、t、J=6.6Hz)、3.96(3H、s)、1.82−1.70(6H、m)、1.50−1.41(6H、m)、1.38−1.20(84H、br)、0.88(9H,6,8Hz)、13C−NMR(100Hz);(100MHz δ:153.2,137.4,136.0,105.2、73.4、69.1、65.7、32.0、30.4、29.8、29.7、29.5、26.2、22.8、14.2、;MALDI TOF−MS(pos)、C61H116O4に対する計算値 〔M+Na〕+935、実験値935.
【0024】
〔SC〕−Val−Fmoc
;1H−NMR(CDCl3)δ7.76(2H、d、J=7.7Hz)、7.60(2H、d、J=7.7Hz)、7.40(2H、dt、J=2.6、7.3Hz)、7.31(2H、t、J=7.3Hz)、6.53(2H、s)、5.31(1H、d、J=9.2Hz)、5.11(1H、d、J=12.1Hz)、5.05(1H、d、J=12.1Hz)、4.38(2H、m)、4.23(1H、t、J=7.3Hz)、3.94(6H、m)、2.19(1H、m)、1.78(4H、m)、1.73(2H、m)、1.45(6H、m)、1.35−1.23(84H、br.)、0.95(3H、d、J=7.0Hz)、0.88(12H、m)、;13C−NMR(CDCl3)δ172.0、156.2、153.2、143.9、143.8、141.3、138.4、130.2、128、3、127.7、127.1、125.1、120.0、107.1、73.4、69.2、67.4、67.1、59.0、47.2、32.0、31.4、30.3、29.8、29.7、29.5、29.4、26.1、22.7、14.1;TOF−MS(pos)MF、C81H135NO7〔M+Na〕+に対する計算値1257、実験値1257
【0025】
〔SC〕−Val−NH2
1H−NMR(400 MHz)δ: 6.54(2H、s)、5.07(1H、d、J=12.1Hz)、503(1H、d、J=12.1 Hz)、3.95(4H、t、J=6.6 Hz)、3.94(2H、t、J=6.6 Hz)、3.33(2H、d、J=5.1 Hz)、2.07−2.01(1H、m)、1.81−1.77(4H、m)、1.76−1.71(2H、m)、1.49−1.43(6H、m)、1.37−1.23(84H、br)、0.96(3H、d、J=7.0 Hz)、0.89−0.86(12H、m)、;13C−NMR(150 MHz)δ、175.4、153.2、138.3、130.7、107.1、73.4、69.2、66.8、59.9、32.2、32.0、30.3、29.8、29.7、29.6、29.4、26.1、22.7、19.3、17.1、14.1;TOF−MS(pos)C66H125NO5〔M+Na〕+に対する計算値1034、実験値1034
【0026】
〔SC〕−Val−Gly−Fmoc
1H−NMR(400 MHz)δ:7.77(2H、d、J=7.3 Hz)、7.59(2H、d、J=7.3Hz)、7.40(2H、t、J=7.3Hz)、
7.31(2H、dt、J=0.7、7.3Hz)、6.52(2H、s)、6.38(1H、d、J=8.4 Hz)、5.44−5.37(1H、br)、5.10(1H、d、J=12.1 Hz)、5.02(1H、d、J=12.1 Hz)、4.62(2H、dd、J=8.4、4.8 Hz)、4.42(2H、d、J=7.0 Hz)、4.24(1H、t、J=7.0 Hz)、3.96−3.92(8H、m)、2.21−2.16(1H、m)、1.81−1.76(4H、m)、1.75−1.70(2H、m)、1.48−1.43(6H、m)、1.37−1.21(84H、br)、0.91(3H、d、J=7.0 Hz)、0.88(9H、t、J=7.0 Hz)、0.86(3H、d、J=7.0 Hz)、;13C−NMR(150 MHz)δ:171.5、168.7、156.5、153.1、143.6、141.2、138.3、130.0、127.7、127.0、125.0、120.0、107.0、73.4、69.2、67.5、67.4、57.1、47.1、32.0、31.4、30.4、29.8、29.7、29.5、29.4、26.1、22.8、19.0、17.7、14.2、;MALDI TOF−MS(pos)C83H138N2O8〔M+Na〕+に対する計算値1314、実験値1314
【0027】
〔SC〕−Val−Gly−NH2
1H−NMR(600 MHz)δ:7.74(1H、d、J=9.2 Hz)、6.53(2H、s)、5.11(1H、d、J=12.1 Hz)、5.02(1H、d、J=12.1 Hz)、4.61(1H、dd、J=9.2、5.1 Hz)、3.95(4H、t、J=6.6 Hz)、3.94(2H、t、J=6.6 Hz)、3.39(2H、s)、2.24−2.18(1H、m)、1.81−1.76(4H、m)、1.75−1.71(2H、m)、1.49−1.44(6H、m)、1.37−1.20(84H、br)、0.93(3H、d、J=7.0 Hz)、0.90−0.86(12H、m)、;13C−NMR(150 MHz)δ:172.6、171.8、153.1、130.3、125.5、106.9、73.4、69.2、67.2、56.6、44.8、32.0、31.3、30.4、30.3、29.8、29.7、29.5、29.4、26.2、22.8、19.1、17.8、14.2;MALDITOF−MS(pos)C68H128N2O6〔M+Na〕+に対する計算値1091、実験値1091
【0028】
〔SC〕−Val−Gly−Phe−Fmoc
1H−NMR(600 MHz)δ:7.75(2H、d、J=7.7 Hz)、7.53−7.49(2H、m)、7.39(2H、dd、J=7.3、2.2Hz)、7.30−7.27(4H、m)、7.25−7.21(1H、m)、7.20−7.15(2H、br)、6.76−6.69(1H、br)、6.60−6.55(1H、br)、6.50(2H、s)、5.40−5.34(1H、br)、5.07(1H、d、J=12.1 Hz)、4.99(1H、d、J=12.1 Hz)、4.56(1H、dd、J=8.8、4.8 Hz)、4.46−4.30(2H、m)、4.17(1H、t、J=7.0 Hz)、4.10−4.03(1H、m)、3.92(6H、t、J=6.6 Hz)、3.83−3.76(2H、m)、3.18−3.11(1H、m)、3.10−3.02(1H、m)、2.20−2.13(1H、m)、1.79−1.69(6H、m)、1.48−1.41(6H、m)、1.35−1.23(84H、br.m)、0.91−0.85(15H、m);13C−NMR(150 MHz)δ:171.5、171.3、168.3、156.0、153,1、143.6、141.2、138.2、136.2、130.1、129.1、128.8、127.7、127.1、127.0、125.0、124.9、120.0、107.0、73.4、69.2、67.5、67.1、57.3、47.2、32.0、31.3、30.4、29.8、29.7、29.5、29.4、26.2、22.8、19.0、17.8、14.2;MALDI TOF−MS(pos)C92H147N3O9〔M+Na〕+に対する計算値1461、実験値1461
【0029】
〔SC〕−Val−Gly−Phe−NH2
1H−NMR(400 MHz)δ:7.99−7.93(1H、m)、7.35−7.30(2H、m)、7.27−7.21(3H、m)、6.66(1H、d、J=8.8 Hz)、6.52(2H、s)、5.11(1H、d、J=12.1)、5.02(1H、d、J=12.1Hz)、4.58(1H、dd、J=8.8、4.8 Hz)、4.05(1H、d、J=5.9 Hz、minor)、4.01(1H、d、J=5.9 Hz、major)、3.98−3.91(7H、m)、3.66(1H、d、J=10.0 Hz)、3.32(1H、dd、J=13.6、3.9 Hz)、2.67(1H、dd、J=13.6、10.0 Hz)、2.24−2.15(1H、m)、1.82−1.69(6H、m)、1.50−1.39(6H、m)、1.37−1.21(84H、br)、0.92(3H、d、J=6.8 Hz)、0.90−0.85(12H、m);13C−NMR(150 MHz)δ:175.2、171.5、168.9、153.1、151.4、137.7、129.2、128.8、126.9、125.5、107.0、73.5、69.2、67.5、57.2、56.5、43.4、40.9、32.0、31.3、30.4、29.8、29.7、29.5、29.4、26.2、22.8、19.1、17.7、14.2;MALDI TOF−MS(pos)C77H137N3O7〔M+Na〕+に対する計算値1239、実験値1239
【0030】
実施例2
〔SC〕−バリン−フェニルアラニン−Fmoc(〔SC〕―Val―Phe―Fmoc)の液相合成
Fmoc−Phe 63mg、HOBt 63mg、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCD)25mgをDMF2mLに溶解し、150分間室温で攪拌する。この溶液を活性化したFmoc−Phe/DMF溶液として用いる。すなわち、この溶液2mLを5℃に冷却後、実施例1の工程1)で得た〔SC〕−Val−NH2/シクロヘキサン溶液(2mL)を添加する。反応液は5℃から50℃まで一時間かけて穏やかに上昇させ、さらに50℃で30分放置する。最後に、反応液を室温まで冷却すると、再び2層に分離するので、上層(シクロヘキサン層)から目的の生成物〔SC〕−Val−Phe−Fmoc)を分離する。
以上の操作を繰り返すことにより、可溶性担体に逐次アミノ酸を結合させ、目的とするペプチドが合成される。
【0031】
実施例3
〔SC〕−バリン−プロリン−Fmoc(〔SC〕―Val―Pro―Fmoc)
の液相合成
Fmoc−Pro53mg、HOBt 57mg、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCD)25mgをDMF2mLに溶解し、150分間室温で攪拌する。この溶液を活性化したFmoc−Pro−OH/DMF溶液として用いる。すなわち、この溶液2 mlを5℃に冷却後、実施例1の1)で得た〔SC〕−Val−NH2/シクロヘキサン溶液(2ml)を添加する。反応液は5℃から50℃まで一時間かけて穏やかに上昇させ、さらに50℃で30分放置する。最後に、反応液を室温まで冷却すると、再び2層に分離するので、上層(シクロヘキサン層)から目的の生成物〔SC〕−Val−Pro−Fmoc)を分離する。
以上の操作を繰り返すことにより、可溶性担体に逐次アミノ酸を結合させ、目的とするペプチドが合成される。
【0032】
実施例4
可溶性担体−バリン−アラニン−Fmoc(〔SC〕−Val−Ala−Fmoc)
の液相合成
Fmoc−Ala 50mg、HOBt53mg、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCD)25mgをDMF2mLに溶解し、150分間室温で攪拌する。この溶液を活性化したFmoc−Ala−OH/DMF溶液として用いる。すなわち、この溶液2mLを5℃に冷却後、実施例1の工程1)で得た〔SC〕−Val−NH2/シクロヘキサン溶液(2 ml)を添加する。反応液は5℃から50℃まで一時間かけて穏やかに上昇させ、さらに50℃で30分放置する。最後に、反応液を室温まで冷却すると、再び2層に分離するので、上層(シクロヘキサン層)から目的の生成物〔SC〕−Val−Ala−Fmoc)を分離する。
以上の操作を繰り返すことにより、可溶性担体に逐次アミノ酸を結合させ、目的とするペプチドが合成される。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の方法により、合成すべきペプチドのカルボキシ末端のアミノ酸残基を導入した化合物として、それ自身およびペプチドを結合した化合物を反応溶媒システムを構成する一方の溶媒に可溶にする担体と組み合わせることにより、固相反応ペプチド合成に比べて、制御が容易であり、かつ、反応生成物の回収が容易である液相ペプチド合成法が提供されるという、優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液相ペプチド合成法の一態様の概略
Claims (6)
- 温度を制御することにより相溶性の状態と相分離の状態とに可逆的に状態を制御できる溶媒システムを用いてペプチドを合成する方法であって、合成すべきペプチドのカルボキシ末端のアミノ酸残基を導入する残基として、前記状態を制御できる溶媒システムを構成する一方の溶媒または混合溶媒Aに対して溶解度を高める化合物から誘導される担体との組み合わせを用い、該溶媒または混合溶媒Aと該担体との組み合わせにより、該合成すべきペプチドのカルボキシ末端のアミノ酸残基を担体と結合したペプチド開始化合物および前記ペプチド開始化合物に順次アミノ酸を導入してペプチド鎖を伸長した化合物を該溶媒または混合溶媒Aへの溶解度を高め、該溶媒または混合溶媒Aと組み合わせる他方の溶媒または混合溶媒Bとして、前記相溶性の状態を形成する温度以下においては前記ペプチド鎖の伸長に用いる種々のアミノ酸を優先的に溶解し、前記相溶性の状態を形成する温度以上では前記Aと相溶性状態の溶媒を形成して前記ペプチド開始化合物を溶解するものを用いて、種々のα位アミノ基に保護基を結合した保護アミノ酸を溶解した前記Bを、相分離の状態において順次設計されたペプチドを合成するアミノ酸を溶解したものと置換し、置換後相溶性状体を呈する温度に加熱することにより、前記アミノ酸を順次結合させることを特徴とする液相ペプチド合成法。
- 一方の溶媒または混合溶媒Aが有機溶媒からなり、該溶媒または混合溶媒Aと組み合わせる他方の溶媒または混合溶媒Bも有機溶媒からなることを特徴とする請求項1に記載の液相ペプチド合成法。
- 一方の溶媒または混合溶媒Aを構成する有機溶媒がシクロアルカン系の化合物からなり、該溶媒または混合溶媒Aを構成する有機溶媒と組み合わせる他方の溶媒または混合溶媒Bを構成する有機溶媒がニトロアルカン、ニトリル、アルコール、ハロゲン化アルキル、アミド化合物およびスルフォキサイドからなる群から選択される少なくとも一種から構成されたものであることを特徴とする請求項2に記載の液相ペプチド合成法。
- ニトロアルカンのアルキル基は炭素数が1、2または3であり、ニトリルのアルキル基の炭素数が1、2または3であり、アミド化合物はN−ジアルキルまたはN−モノアルキルアミドのアルキル基およびアシル基またはホルミル基の炭素数の合計は6以下であり、アルコールは炭素数が8以下であり、スルフォキサイドのアルキル基は炭素数が1、2または3であり、またハロゲン化アルキルのアルキル基は炭素数が6以下であることを特徴とする請求項3に記載の液相ペプチド合成法。
- ペプチド開始化合物を形成する担体は、親シクロアルカン系溶媒部分とアミノ酸と結合する官能基を有するものであることを特徴とする下記の一般式Aで表される芳香族炭化水素環または炭素数10以上の炭化水素基の基本骨格化合物からの残基からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液相ペプチド合成法。
〔一般式Aにおいて、L1は、アミノ酸と結合する水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基と結合する単結合、該水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基と結合する原子団、または点線と結合して2環の縮合芳香族環を形成する原子団であり、点線はHとの結合または前記L1と結合して前記縮合芳香族環を形成する原子団であり、XはO、S、N、エステル基、スルフィド基またはイミノ基であり、Rは、シクロアルカン系の溶剤への溶解性を高めるO、S、またはNを結合原子として含んでいても良い炭素数10以上の炭化水素基である。nは1〜5の整数である。〕。また、前記炭素数10以上の炭化水素基が親シクロアルカン系溶媒への溶解性を高めるものである場合には、前記アミノ酸と結合する官能基を有する分枝鎖および/または置換基を有するものである。
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