JP4298993B2 - 繊維補強セメント板のフローオン抄造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、繊維補強セメント板のフローオン抄造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、脱水ベルト上に供給され、展開する、セメント及び補強繊維を主成分とするセメントスラリーから形成されたグリーンシートの脱水後の含水率のばらつきを低減し、脱水品の品質向上を図ることのできる繊維補強セメント板のフローオン抄造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
外壁材、屋根材、塀材等の建築用外装材に用いられる繊維補強セメント板の製造技術としてフローオン抄造方法が知られている。このフローオン抄造方法では、セメント及びパルプ等の補強繊維を主成分とし、シリカ等が適宜添加された原料を水と混練し、固形分濃度が25〜65%程度の比較的高濃度若しくは高濃度としたセメントスラリーを、フローボックスから脱水ベルト上に供給する。脱水ベルトは、たとえばフェルト製等の透水性を有するものであり、無端状に形成され、駆動ロール及び従動ロールに懸架されて周回移動する。この脱水ベルト上に供給されたセメントスラリーは抄造幅に展開し、グリーンシートとなるが、フローオン抄造方法では、そのグリーンシートを振動装置により加振し、表面のならしを行い、次いで脱水ベルトの下方に配設されたサクションボックスを介してグリーンシート中に含まれる水分を脱水ベルトの下方に減圧脱水する。
【0003】
このようにフローオン抄造方法では、グリーンシートを形成するセメントスラリーが、前述のとおり、比較的高濃度若しくは高濃度の難脱水材料であるため減圧脱水を行っているが、脱水効率を考慮し、グリーンシートを不透水性シートで覆い、この不透水性シートを介してグリーンシートに振動を与えることが考えられている(たとえば、特許文献1参照)。また、離型フィルムをグリーンシートの上に重ね、表面に弾性体層が被覆された加圧ロールにより圧搾することが考えられてもいる(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−57722号公報(第2−3頁、第2−3欄、段落0017−0018)
【特許文献2】
特開平9−248810号公報(第2−3頁、第2−3欄、段落0006−0007)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された技術はいずれも下方のみからの脱水である。なぜならば、特許文献1記載の技術では不透水性シートが用いられ、特許文献2記載の技術では離型フィルムにはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、フッ素樹脂フィルムなどが使用されるからである。このような下方のみからの脱水により含水率を十分下げるには、ある程度時間をかけて脱水を行う必要がある。特に、特許文献1記載の技術の場合、加振すると、グリーンシートの表層に内部から水が浮き上がるが、不透水性シートを用いているがゆえに、一旦は表層に浮き上がった水を再びグリーンシートの内部を通過させて下方に脱水しているからなおさらである。
【0006】
このように、時間をかけて脱水を行わないと、脱水品の含水率はばらつき、品質が良好とはならないのである。
【0007】
この出願の発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、脱水ベルト上に供給され、展開する、セメント及び補強繊維を主成分とするセメントスラリーから形成されたグリーンシートの脱水後の含水率のばらつきを低減し、脱水品の品質向上を図ることのできる繊維補強セメント板のフローオン抄造方法を提供することを解決すべき課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するために、セメント及び補強繊維を主成分とするセメントスラリーをフローボックスから脱水ベルト上に供給し、脱水ベルト上に展開するグリーンシートを振動装置により加振し、表面のならしを行った後、グリーンシート中に含まれる水分を脱水ベルトの下方に減圧脱水する繊維補強セメント板のフローオン抄造方法において、グリーンシートの表面上に透水性シートを配置し、振動装置により加振するとともに、グリーンシートの進行方向に関して振動装置より下流側に配置され、ばねによってグリーンシートの厚みに追随して高さが変化するスクレーパーにより、振動装置による表面のならしによってグリーンシートの表層に浮き上がる浮き水を擦り取り、擦り取った浮き水を吸引装置によりグリーンシートの上方に排出することを特徴としている。
【0009】
また、この出願の発明は、セメント及び補強繊維を主成分とするセメントスラリーをフローボックスから脱水ベルト上に供給し、脱水ベルト上に展開するグリーンシートを振動装置により加振し、表面のならしを行った後、グリーンシート中に含まれる水分を脱水ベルトの下方に減圧脱水する繊維補強セメント板のフローオン抄造方法において、グリーンシートの表面上に透水性シートを配置し、振動装置により加振するとともに、グリーンシートの進行方向に関して振動装置より下流側に配置されたスクレーパーにより、振動装置による表面のならしによってグリーンシートの表層に浮き上がる浮き水を擦り取り、擦り取った浮き水を吸引装置によりグリーンシートの上方に排出し、スクレーパーの高さを、グリーンシートの進行方向に関して透水性シートより上流側でグリーンシートの厚みを測定し、得られた厚みデータに基づいて自動的に調整し、グリーンシートの厚みに追随させてスクレーパーの高さを変化させることを特徴としている。
【0010】
以下、図面に沿ってこの出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法についてさらに詳しく説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1<a><b>は、それぞれ、この出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法の一実施形態を概略的に示した平面図、側面図である。
【0012】
たとえば図1<a><b>に示したように、この出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法では、これまでと同様に、セメント及び補強繊維を主成分とするセメントスラリー(1)をフローボックス(2)からフェルト製等の透水性を有する脱水ベルト(3)上に供給し、この脱水ベルト(3)上に展開するグリーンシート(4)を振動装置(5)により加振し、表面のならしを行った後、グリーンシート(4)中に含まれる水分を脱水ベルト(3)の下方にサクションボックス(6)を介して減圧脱水し、脱水品(7)を得る。
【0013】
一方、この出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法では、図1<a><b>に示したように、グリーンシート(4)の表面上に透水性シート(8)を配置する。透水性シート(8)は、脱水ベルト(3)と同様に透水性を有するものであり、また、脱水ベルト(3)と同様に無端状に形成することができる。さらに、無端状の透水性シート(8)は、グリーンシート(4)の進行方向に周回移動させることができる。
【0014】
この出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法では、以上の透水性シート(8)上で振動装置(5)により加振する。また、グリーンシート(4)の進行方向に関して振動装置(5)より下流側にスクレーパー(9)を配置する。したがって、この出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法では、スクレーパー(9)により、振動装置(5)による表面のならしによってグリーンシート(4)の表層に浮き上がる浮き水(10)を擦り取ることができる。このようなスクレーパー(9)の材質については特に制限はなく、たとえばネオプレンゴム、ウレタンゴム、ポリエステル等の適宜なものとすることができる。
【0015】
スクレーパー(9)で擦り取った浮き水(10)は、この出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法では、スクレーパー(9)の付近に配置することのできる吸引装置(11)によりグリーンシート(4)の上方に排出する。吸引装置(11)は、図1<a><b>に示した実施形態のように、スクレーパー(9)を一体とすることができる。別体とすることも可能であるが、この場合、吸引装置(11)は、スクレーパー(9)が擦り取った浮き水(10)を吸引して排出することができる位置に配置する。このような吸引装置(11)には、図1<a>に示したように、浮き水(10)を吸引するために、底面に円形、角形等の複数の吸引孔(12)を形成したり、図2に示したようなスリット状の吸引孔(12)等を形成したりすることができる。
【0016】
このように、この出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法では、振動装置(5)による加振にともなってグリーンシート(4)の表層に浮き上がる浮き水(10)をグリーンシート(4)の下方より減圧脱水するのではなく、グリーンシート(4)からそのまま上方に排出することができる。
【0017】
しかも、この出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法では、スクレーパー(9)は、図1<b>に示したように、グリーンシート(4)の厚みに応じて高さ調整可能とされている。具体的には、スクレーパー(9)の高さは、脱水ベルト(3)上に展開するグリーンシート(4)の厚みに追随して変化する。このため、グリーンシート(4)の厚みにばらつきが生じたり、厚みに変動が起こったりしても、スクレーパー(9)のグリーンシート(4)への接触圧は常に一定となり、十分に浮き水(10)を擦り取ることができる。
【0018】
したがって、この出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法では、脱水品(7)の含水率のばらつきが低減されるとともに、厚みや比重のばらつきも低減され、脱水品(7)の品質が向上する。
【0019】
なお、スクレーパー(9)をグリーンシート(4)の厚みに応じて高さ調整可能とし、グリーンシート(4)の厚みに追随させてスクレーパー(9)の高さを変化させるための手段として、図1<a><b>に示した実施形態では、弾性手段(13)が採用されている。弾性手段(13)は、具体的にはばねである。その個数、固定位置等は特に制限はなく、また、弾性手段(13)としてのばねは、図1<a><b>に示したように、スクレーパー(9)が吸引装置(11)と一体となっている場合には、吸引装置(11)に取り付けることができる。
【0020】
図1<a><b>図中に示した符号14は、自然脱水ボックスであり、フローボックス(2)から脱水ベルト(3)上に供給されたセメントスラリー(1)が展開する際に、また、振動装置(5)による加振により自然に流下する水を受け、下方に流すものである。スクレーパー(9)の配置位置は、図1<a><b>に示した実施形態では、減圧脱水が行われるサクションボックス(6)の上方としているが、この位置に限定されることはなく、自然脱水ボックス(14)の上方に配置することもできる。
【0021】
さらに、スクレーパー(9)をグリーンシート(4)の厚みに応じて高さ調整可能とする方法としては、グリーンシート(4)の進行方向に関して透水性シート(8)より上流側でグリーンシート(4)の厚みを測定し、得られた厚みデータに基づいて自動的にスクレーパー(9)の高さを調整することも例示される。この場合を示したのが図3の側面図である。図3に示した実施形態では、グリーンシート(4)の進行方向に関して透水性シート(8)より上流側に厚みセンサー(15)を配置し、厚みセンサー(15)でグリーンシート(4)の厚みを測定し、測定されたグリーンシート(4)の厚みデータに基づいて、スクレーパー(9)を上下動させるパワーシリンダー(16)等の動作を自動制御することができる。
【0022】
この他、この出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法では、図4及び図5に示したように、スクレーパー(9)及び吸引装置(11)は2対以上の複数対配置することができる。図4に示した実施形態では、スクレーパー(9)及び吸引装置(11)は、グリーンシート(4)の進行方向に2対順に並置されている。図5に示した実施形態では、スクレーパー(9)及び吸引装置(11)は、グリーンシート(4)の幅方向に2対並べて配置している。スクレーパー(9)及び吸引装置(11)を複数対配置する場合は、図4及び図5に示した形態のいずれでもよく、また、図4及び図5に示した形態を組み合わせて配置することも可能である。すなわち、グリーンシート(4)の進行方向に順に並置するとともに、その各々においてグリーンシート(4)の幅方向に複数対並べて配置することができる。
【0023】
【実施例】
[実施例1]
セメント:普通ポルトランドセメント 50重量%
補強繊維:パルプ 5重量%
シリカ 45重量%
を配合した原料に水を加え、十分に攪拌、分散させて固形分濃度40%のセメントスラリーを作製した。このセメントスラリーを図1<a><b>に示したフローボックス(2)から速度15m/分で移動する脱水ベルト(3)上に供給した。抄造幅は1000mmとした。脱水ベルト(3)には、通気度100±10cc/cm2/秒の日本フェルト製のフェルトを用いた。
【0024】
透水性シート(8)には目開き1.2mm×1.2mm程度のものを用い、図1<a><b>に示したような無端状に形成し、脱水ベルト(3)の上方に数本のロールにより懸架してその一部をグリーンシート(4)の表面に接触させた。
【0025】
振動装置(5)には、自重20kgで、アンバランスウェイト方式の振動機付き振動板を用い、加振力を40kg、3600rpmとした。
【0026】
図1<a><b>に示したように、グリーンシート(4)の進行方向に関して振動装置(5)より下流側にスクレーパー(9)をグリーンシート(4)の幅方向の全長に配置した。スクレーパー(9)には、ネオプレンゴム製のものを用い、ばねによりグリーンシート(4)の厚みに応じて高さ調整可能とした。また、図1<a><b>に示したように、吸引装置(11)と一体とした。吸引装置(11)には水封式ポンプ(5kW)のものを使用し、その吸引圧は1〜3kPaとした。
【0027】
サクションボックス(6)での減圧脱水は、真空度40kPaで行った。
【0028】
得られた脱水品(7)について脱水後の含水率、脱水性、表面地合、含水率のばらつき、厚みのばらつき及び比重のばらつきを測定し、評価した。その結果を示したのが表1である。
【0029】
【表1】
表1に示したように、脱水品(7)の脱水性は特に良好であり、表面地合も良好であった。また、脱水品(7)の含水率のばらつきは小さく、厚み及び比重のばらつきも小さく、良好な品質が得られた。
[比較例1]
実施例1において、スクレーパー(9)を高さ調整可能とせず、一定の高さに固定した。
【0030】
その結果、表1に示したように、脱水品(7)の含水率、厚み、比重にばらつきが現れた。
[比較例2]
実施例1において、スクレーパー(9)及び吸引装置(11)を省略した。
【0031】
その結果、脱水性が悪くなり、表面地合が劣化した。
【0032】
もちろん、この出願の発明は、以上の実施形態及び実施例によって限定されるものではない。細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
【0033】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、脱水ベルト上に供給され、展開する、セメント及び補強繊維を主成分とするセメントスラリーから形成されたグリーンシートの脱水後の含水率のばらつきを低減し、脱水品の品質向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】<a><b>は、それぞれ、この出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法の一実施形態を概略的に示した平面図、側面図である。
【図2】吸引装置の一形態を示した底面図である。
【図3】この出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法の一実施形態を概略的に示した側面図である。
【図4】この出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法の一実施形態を概略的に示した平面図である。
【図5】この出願の発明の繊維補強セメント板のフローオン抄造方法の一実施形態を概略的に示した平面図である。
【符号の説明】
1 セメントスラリー
2 フローボックス
3 脱水ベルト
4 グリーンシート
5 振動装置
6 サクションボックス
7 脱水品
8 透水性シート
9 スクレーパー
10 浮き水
11 吸引装置
12 吸引孔
13 弾性手段
14 自然脱水ボックス
15 厚みセンサー
16 パワーシリンダー
Claims (2)
- セメント及び補強繊維を主成分とするセメントスラリーをフローボックスから脱水ベルト上に供給し、脱水ベルト上に展開するグリーンシートを振動装置により加振し、表面のならしを行った後、グリーンシート中に含まれる水分を脱水ベルトの下方に減圧脱水する繊維補強セメント板のフローオン抄造方法において、グリーンシートの表面上に透水性シートを配置し、振動装置により加振するとともに、グリーンシートの進行方向に関して振動装置より下流側に配置され、ばねによってグリーンシートの厚みに追随して高さが変化するスクレーパーにより、振動装置による表面のならしによってグリーンシートの表層に浮き上がる浮き水を擦り取り、擦り取った浮き水を吸引装置によりグリーンシートの上方に排出することを特徴とする繊維補強セメント板のフローオン抄造方法。
- セメント及び補強繊維を主成分とするセメントスラリーをフローボックスから脱水ベルト上に供給し、脱水ベルト上に展開するグリーンシートを振動装置により加振し、表面のならしを行った後、グリーンシート中に含まれる水分を脱水ベルトの下方に減圧脱水する繊維補強セメント板のフローオン抄造方法において、グリーンシートの表面上に透水性シートを配置し、振動装置により加振するとともに、グリーンシートの進行方向に関して振動装置より下流側に配置されたスクレーパーにより、振動装置による表面のならしによってグリーンシートの表層に浮き上がる浮き水を擦り取り、擦り取った浮き水を吸引装置によりグリーンシートの上方に排出し、スクレーパーの高さを、グリーンシートの進行方向に関して透水性シートより上流側でグリーンシートの厚みを測定し、得られた厚みデータに基づいて自動的に調整し、グリーンシートの厚みに追随させてスクレーパーの高さを変化させることを特徴とする繊維補強セメント板のフローオン抄造方法。
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