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JP4342044B2 - 空調設備ユニットおよびその風量調整方法 - Google Patents
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JP4342044B2 - 空調設備ユニットおよびその風量調整方法 - Google Patents

空調設備ユニットおよびその風量調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の天井裏に配置され空調機から供給された空調空気を室内への吹き出し口へ分配するための空調設備ユニットに係り、特に分配用のチャンバを小型化するとともに全ての分配流路への供給流量を一様化できるようにした空調設備用ユニットおよびその風量調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の冷房や暖房等の空気調和は、機械室に空調機を設備しておき、天井裏に施工した配管を経由して各室の空調用吹き出し口に供給し、この吹き出し口から冷風や温風を吹き出すというのが基本である。このような空気調和のための設備において、天井裏に設ける配管はダクトを利用したものであり、このダクトの流路末端を吹き出し口に直に接続するという施工が殆どである。そして、ダクトによる施工では、ダクト施工図に基づいて予め複数のダクトを製作してこれらを現場に搬入し、ダクト施工図に従って接続していく作業が行なわれる。
【0003】
なお、本明細書でいう「吹き出し口」とは、ダクトの流路末端に接続されて室内側に臨む面に吹き出し用の開口を備えた構成としたものが典型例である。具体的には、空気調和設備の分野において使用されるたとえば吹き出し用の内部空間を持つボックスやハウジングまたはその機能を有するものを備えた各種の吹き出し機構の総称である。
【0004】
ところが、天井裏が狭い作業空間であることとダクトの接続作業にはかなりの熟練を要することなどから、施工性及び作業性の面での限界があることが従来から指摘されていた。特に、ダクト施工図に基づいてダクトを製作していても、たとえば建築物の梁の大きさや施工位置が設計と多少違っていたり、電気系統の導管やスプリンクラーの配管などが干渉したりして、施工にかなりの影響を及ぼすことが避けられず、施工面での問題は大きい。これに対して、現場での曲げ加工に対応できるようなダクトも開発されているものの、施工面では必ずしも万全ではないとされていた。
【0005】
そこで、このような施工性や作業性を改善するための設備として、空調空気を分配して吹き出し口に送り込むための空調設備ユニットが近来では広く採用されるようになった。この空調設備ユニットは、空調機側からのダクトの末端に接続されるチャンバ本体と、このチャンバ本体の側壁に開けた複数の分配口に接続されるフレキシブルダクトとから構成されたもので、その概略を図9に示す。
【0006】
図9の(a)は空調機とその配管系統とともに示す従来の空調設備ユニットの切欠平面図、(b)は同図(a)の切欠右側面図である。
【0007】
図9において、建築物の機械室などに設置された空調機50にセントラル空調方式として複数に分岐させたもののうちの1本のダクト51の末端に空調設備ユニットのチャンバ本体52が直結され、空調機50からの空調空気がこのチャンバ本体52に供給される。チャンバ本体52は長方形の平面形状を持つ扁平な箱であり、一方の短辺側の側壁に主配管51を接続するとともに長辺方向の側壁にそれぞれ3個ずつの等しい内径の排出ポート52a,52b,52cを設けたものである。そして、これらの合計6個所に配置された排出ポート52a〜52cのそれぞれにフレキシブルダクト53が接続され、これらのフレキシブルダクト53は天井に設置された空調用の吹き出し口(図示せず)に連結されてそれぞれ流路を接続する。
【0008】
このような空調設備ユニットを備える場合では、空調機50からダクト51を施工した後にチャンバ本体52を設置して主配管51と流路接続し、更にフレキシブルダクト53を排出ポート52a〜52cと接続する施工要領となる。なお、フレキシブルダクト53を予め排出ポート52a〜52cに連結したものを天井裏に設置する施工としてもよい。そして、フレキシブルダクト53はチャンバ本体52の設置の後に吹き出し口に流路接続することで、空調機50から各吹き出し口への流路が形成される。すなわち、チャンバ本体52とこれに接続したフレキシブルダクト53とから主体が構成される空調設備ユニットでは、チャンバ本体52が空調空気の分配を担い、フレキシブルダクト53の末端を吹き出し口に接続するだけの作業で済むので、施工性が大幅に改善されることになる。
【0009】
また、チャンバ本体52の本来の機能は、これに接続された全ての吹き出し口への空調空気の流量を均一化して分配し、吹き出し口への風量バランスをとるというものである。このようなチャンバ本体52が持つ機能によって、試運転で行なう煩わしい風量調整は全く不要となり、これによっても施工性が改善された。すなわち、チャンバ本体52とこれから分岐させたフレキシブルダクト53とによる空調設備ユニットは、各吹き出し口への風量バランスを図ることを最重要の課題としてこれを解決したものである。したがって、もしチャンバ本体52を備えていても風量バランスをとるのに十分に機能しないのであれば、このような空調設備は全く用をなさない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
空調用の吹き出し口への流路配管は、先に述べたように建築物の天井裏の空間を利用して施工されるのが殆どであり、狭い施工空間での作業となる。また、建築物の梁の大きさや施工位置が設計と多少違っていたり電気配線系統やスプリンクラーなどの配管及び給排水のための配管が複雑に交錯したりするので、ダクト配管スペースが十分に確保できないことも多々ある。
【0011】
一方、図9に示した空調設備ユニットでは、チャンバ本体52が占める嵩が最も大きく、このチャンバ本体52が梁や配管などに干渉しないようにすることが実際の現場施工では重要である。たとえば、干渉を避けるためにチャンバ本体52を不適切な位置に設置してしまうと、チャンバ本体52から各吹き出し口までの距離も変わる。このため、フレキシブルダクト53の長さも当初の設計値からずれてしまい、各フレキシブルダクト53のそれぞれの圧力損失もばらつく。その結果、吹き出し口からの空調空気の流量や流速も微妙に変化し、空調効果に影響を及ぼすことになる。
【0012】
以上のことから、チャンバ本体52を小型化すれば、他の部材との干渉がなくなるほかハンドリングもしやすくなるので、施工性の向上が期待される。ところが、チャンバ本体52は先に述べたように、複数のフレキシブルダクト53に空調空気を均等に分配することが本来の役目であり、チャンバ本体52の内容積を不適切に小さくしてしまうと分配性能が保てなくなる。また、分配性能が維持できなければ、試運転時の風量調整の作業が必要となり、チャンバ本体52を備える空調設備の設備上での主たる効用が失われてしまう。このように、チャンバ本体52の小型化による分配性能の喪失はきわめて重要な問題であり、以下、この分配性能の劣化について以下に説明する。
【0013】
図9の(a)に示すようにダクト51から供給される空調空気は、その流線方向の末端に位置しているチャンバ本体52の短辺内壁52dに向けて流れ込む。この流れ込みの間では、チャンバ本体52側の流路断面積がダクト51側よりも大きいので、チャンバ本体52内で空気流は拡散する。したがって、空気流の一部はそのまま排出ポート52a〜52cからフレキシブルダクト53内の先行流れに吸引されるようにして排出される。しかしながら、空気流のほとんどはダクト51の出口から短辺内壁52dに向けて進むので、この短辺内壁52dに衝突して跳ね返り、チャンバ本体52内を巡る流れとなる。そして、ダクト51からは連続して空調空気がチャンバ本体52内に押し込まれるので、この押し込み流れによりチャンバ本体52内の空調空気が排出ポート52a〜52cからフレキシブルダクト53へと送り出される。
【0014】
一方、排出ポート52a〜52cからの空気流量は一様化しておかないと、吹き出し口からの吹き出し空気量がばらつき、空調環境に影響を及ぼす。このため、排出ポート52a〜52cのそれぞれについて一様な押し出し空気量となるようにすることが必要である。このような押し出し空気量の設定は、全ての排出ポート52a〜52c部分での空調空気の流動圧をほぼ一様とすれば達成できる。すなわち、短辺内壁52dからの跳ね返りの流れがそのまま排出ポート52a〜52cから出ていくとすると短辺内壁52dに最も近い排出ポート52cからの排出流量が最も多くなり、流量の均一化は図れない。したがって、跳ね返りの流れの影響を受けないように、チャンバ本体52内で空気流が淀み点を持てる程度の内容積としておけば、各排出ポート52a〜52cからほぼ一様な流量で空気を吹き出し口に送ることができる。
【0015】
ところが、空調空気は複数の吹き出し口へ同時に供給されるので、ダクト51からチャンバ本体52に流入する空調空気の流量はかなり大きい。このため、チャンバ本体52内で淀み点を持たせるためには、その内容積を或る程度大きくする必要がある。すなわち、チャンバ本体52の内容積が或る臨界値よりも小さければ、ダクト51からの空調空気が淀み点を生じないままか一時的に滞留しないまま排出ポート52a〜52cから排出され、流量の一様化は図れない。
【0016】
このように、チャンバ本体52を小型化すると、流入した空調空気の流動を一旦緩衝させるようにして排出させる作用は格段に低下する。すなわち、チャンバ本体52内の流れに対して淀みまたは一時的な滞留による緩衝が作用しない程度の内容積であると、各排出ポート52a〜52cについての均等な流量分配は不可能になる。
【0017】
一方、チャンバ本体52を従来構造のものと比較して小型化すると、先に述べたようにハンドリングしやすく施工性が向上するなどの多くの利点を生む。たとえば、チャンバ本体52を従来品の1/2〜1/3程度まで小型にしたとすると、工場出荷から現場搬入までの輸送過程では、トラック等の輸送車両への積載数量を2〜3倍に増やすことができる。このため、輸送に必要なトラックの延べ台数も1/2〜1/3程度まで減らすことができ、その経済効果は非常に大きい。また、現場に搬入した後の施工まで資材として保管する場合でも、保管スペースの嵩は小さく、狭い現場への対応性も向上する。更に、高層ビルへの搬入では、各階への移送に工事用の仮設エレベータを使用することになるが、その使用回数も少なくてすみ、搬入時間が大幅に短縮される。また、天井裏空間に搬入して据え付けるとき、チャンバ本体52が大型であると複数の作業員であっても施工しづらく、チャンバ本体52をリフター等の揚重機を利用して持ち上げて天井スラブに打ち込んだ吊りボルトで保持する要領となり、作業性が悪い。これに対し、チャンバ本体52を小型化すれば、このような煩わしい作業は不要となり、施工性が格段に改善される。そしてこのような施工において、チャンバ本体52が小さければ小さいほど、建築物の梁や電気系統や給排水系統等の配管との干渉が避けられ、さらに一層施工しやすいくなる。
【0018】
このように、空調設備ユニットにおけるチャンバ本体52の小型化は経済的な面から施工性の面まで広汎な利点をもたらすが、先に延べた空調空気流量の均一化の点で問題があるため、実用化の対象とされていないのが現状である。
【0019】
本発明は、チャンバ本体の内容積を小さくして吹き出し口への空調空気流量を均一化できる空調設備ユニットおよびその風量調整方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の空調用設備ユニットは、空調機からの供給流路に接続され且つ複数の空調用吹き出し口へそれぞれ向かう分配流路を接続して各空調用吹き出し口へ空調空気を分配するチャンバ本体を含む空調設備ユニットであって、横断面及び縦断面が長方形の容器状の前記チャンバ本体の体積(m3)と前記分配流路の総流路面積(m2)との大きさの比係数を0.15〜1.0(m)となる関係とし、前記チャンバ本体から前記分配流路へ至るそれぞれの流路構造は、全ての分配流路について相互に流量を均一化し合うための流路抵抗機構を持つことを特徴とする。
【0021】
なお、本発明においては、分配流路へ至る流路構造の全てについて流量抵抗機構を備える構成としてもよいし、任意の複数のものまたは1つの流路構造に含まれるものとしてもよい。すなわち、全ての分配流路に対して相互に流量を均一化し合うために必要な条件を満たすように流路抵抗機構を備えればよく、どの分配流路への流路構造に組み込むかや、全ての流路構造のうちのいくつに備えるかは任意である。
【0022】
先の構成において、前記流路抵抗機構は、前記チャンバ本体の周壁に開けられて前記分配流路に連通するオリフィスとすることができる。
【0023】
また、前記流路抵抗機構は、流路抵抗が予め設定された流量調整部材、または流路抵抗を変更操作可能な流量調整部材としてもよい。この場合、前記流量調整部材は、前記チャンバ本体の周壁に開けられて前記分配流路のそれぞれに連通する開口に着脱自在な構成とすることができる。
【0024】
更に、空調設備ユニットにおける風量調整方法は、空調機からの供給流路に接続され且つ複数の空調用吹き出し口へそれぞれ向かう分配流路を接続して各空調用吹き出し口へ空調空気を分配するチャンバ本体を含み、横断面及び縦断面が長方形の容器状の前記チャンバ本体の体積(m3)と前記分配流路の総流路面積(m2)との大きさの比係数を0.15〜1.0(m)となる関係とした空調設備ユニットにおける風量調整方法であって、前記分配流路へのそれぞれの流路抵抗の変更操作によって、全ての分配流路についての流量を均一化することを特徴とする。
【0025】
このような風量調整方法において、前記流路抵抗の変更操作は、前記チャンバ本体の周壁に開けられて前記分配流路に連通するオリフィスの流路抵抗の設定によるものとすることができる。
【0026】
また、前記流路抵抗の変更操作は、前記チャンバ本体から前記分配流路へ至るそれぞれの流路に配置され予め流路抵抗を設定した流量調整部材によるものでもよい。
【0027】
更に、前記流路抵抗の変更操作は、前記チャンバ本体から前記分配流路へ至るそれぞれの流路に配置され流路抵抗を可変とした流量調整部材によるものとしてもよい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態における空調設備ユニットの概略を示すブロック図である。
【0029】
本発明の空調設備ユニットは建築物の天井裏に設置されるもので、図示のように機械室に備えた空調機5からの供給管5a流路に接続されるチャンバ本体1と、このチャンバ本体1に接続された複数のフレキシブルダクト2a,2b,2c,2d,2e,2fとから構成されたものである。そして、これらのフレキシブルダクト2a〜2fは、天井(図示せず)に設置され室内に空調空気を送り込む吹き出し口3a,3b,3c,3d,3e,3fにそれぞれ流路を接続している。すなわち、従来構造と同様にチャンバ本体1は6箇所の吹き出し口3a〜3fへの空調空気の分配器としての役割をする。
【0030】
なお、図1の例では1個のチャンバ本体1を図示しているが、空調機5からの供給管5aは複数に分岐されそれぞれの末端にチャンバ本体を接続して空調を行なうセントラル空調方式としたり、1台の空調機に1個のチャンバ本体を接続した個別空調方式としたりすることは任意である。
【0031】
図2はチャンバ本体1の詳細であって、(a)は空調機からの接続流路を含めて示す横断面図、(b)は縦断面図である。
【0032】
チャンバ本体1は長方形の容器状であって、底板1a,天板1b,短辺側板1c,1d,長辺側板1e,1fによって外郭が構成されている。これらの外郭材は薄肉金属板の鈑金加工によって形成され、空調断熱のためのグラスウールなどの断熱材4を内壁に貼り付けたものである。このようにチャンバ本体1は薄肉金属板による外郭材とその内面の断熱材4によって構成されるが、外郭材が占める体積と内部容積とは実質的にほぼ同じである。すなわち、外郭材は1〜2mm程度の厚さであることと断熱材4は見掛け上の嵩があるものの空気層を含みやすいことから、チャンバ本体1の体積と内部流路の容積の大きさに格段の差はなく、チャンバ本体1の体積を内部流路の大きさとして代表させることができる。
【0033】
チャンバ本体1の一方の短辺側板1cには空調機5からの供給管5aが接続され、長辺側板1e,1fにはそれぞれ3本ずつのフレキシブルダクト2a〜2fを本実施の形態における分配流路として接続している。これらのフレキシブルダクト2a〜2fはいずれも同じ大きさであり、全て等しい流路断面積と単位長さ当たりの管摩擦係数を持つものとする。
【0034】
供給管5aは円形のダクトであり、空調最大負荷のときの空調機5からの空気流量に対応できる大きさの流路断面積を持ち、その軸線を短辺側板1cに直交させてチャンバ本体1に連結されている。短辺側板1c,1dの高さ及び幅寸法はいずれも供給管5aの外径より少し大く、チャンバ本体1の縦断面はほぼ正方形である。また、長辺側板1e,1fの長さは図示の例では短辺側板1c,1dの1辺の長さの約2.5倍程度であるが、このような寸法比に制限されるものではない。このような形状のチャンバ本体1の体積(≒内容積)は、ひとつには、標準的な空調負荷によって決まる流量を基準として決められる。そして本発明では、施工性の向上のために、チャンバ本体1をできるだけ小さくする。
【0035】
長辺側板1e,1fにはそれぞれ3個ずつの円形の開口としたオリフィス6a,6b,6c,6d,6e,6fを設け、これらのオリフィス6a〜6fの開口部分に対応させて断熱材4も開口してチャンバ本体1内と各フレキシブルダクト2a〜2fとの間の流路を接続する。長辺側板1eに設けるオリフィス6a〜6cの流路面積は、供給管5aとの連結部に最も近いオリフィス6a,その隣のオリフィス6b及び下流端側のオリフィス6cの順に小さくなる。また、長辺側板1f側の3個のオリフィス6d〜6fも同様の関係であり、それぞれ長辺側板1e側の対応するオリフィス6a〜6cと同じ流路面積を持つ。
【0036】
ここで、空調機5からの空調空気は供給管5aからチャンバ本体1内に圧送され、オリフィス6a〜6fを抜けてフレキシブルダクト2a〜2fを経由して各吹き出し口3a〜3fに供給される。このとき、従来例でも述べたように、チャンバ本体1内に流入する空調空気は、供給管5a内流れの履歴と流れ自身の流動圧によって殆どが下流端の短辺側壁1dに衝突して跳ね返った後に各オリフィス6a〜6fからフレキシブルダクト2a〜2fに向かう。このような空調空気の流れでは、供給管54aからの押し込み流れの履歴が残る短辺側板1d部分の内部流れ圧が最も高く、オリフィス6a〜6fを開口させている長辺側板1e,1fに沿って供給管5a側に向かう内部流れ圧は次第に低くなる。その結果、チャンバ本体1から押し出される空調空気の流量は、オリフィス6a〜6fの開口面積が同一であれば、短辺側板1dに近いオリフィス6c,6fからのものが最も多くなり、オリフィス6a,6d側に向かうに連れて少なくなる。
【0037】
したがって、このようなチャンバ本体1での内部流れに対し、図2に示したように短辺側板1dに近いオリフィス6c,6fは流路面積が小さく、離れた位置のオリフィス6a,6dに向かうに連れて流路面積を大きくすれば、各吹き出し口3a〜3fへの空気流量の一様化が期待できる。すなわち、図2に示した各オリフィス6a〜6fの流路面積の関係とすれば、全てのフレキシブルダクト2a〜2fへの空調空気の流量をほぼ一様化でき、加えてフレキシブルダクト2a〜2fのそれぞれの圧力損失も一定となるようにしてさえおけば、各吹き出し口3a〜3fからの吹き出し量を均一化できる。
【0038】
以上のことから、チャンバ本体1内での空調空気の淀みまたは一時的な滞留が起きない流れであっても、オリフィス6a〜6fの流路面積の関係によって、吹き出し口3a〜3fへの供給流量の一様化の達成は理論上では可能である。したがって、チャンバ本体1を従来構造に比べて大幅に小型化してその内部で空気流の淀み点や滞留が起きるまでの容積を持たなくても、吹き出し口3a〜3fへの流量を均一化できることも十分に期待できる。
【0039】
ところが、チャンバ本体1を小型化すると、長辺側板1e,1fの長さも短くなり、長辺側板1e側の3個のオリフィス6a,6b,6cどうしの間の間隔は短くなる。また、長辺側板1f側の3個のオリフィス6d,6e,6fについても同様である。このようにオリフィス6a〜6fどうしの間の間隔が短くなると、たとえば、短辺側板1dからの跳ね返りの空気流が各排オリフィス6a〜6fに沿って通過するときの圧力変化も微小となる。圧力変化が微小であることによる均等分配への影響は小さいと推測されるものの、ほかの何らかの要因との相乗作用によって増加する可能性もあり、各吹き出し口3a〜3fへの均等な流量分配は十分には補償されない。
【0040】
一方、各オリフィス6a〜6fを通じての各フレキシブルダクト2a〜2fへの流量の均等分配は、チャンバ本体1内から流出する空気流の振る舞いだけでなく、供給管5aからチャンバ本体1に流れ込む空気流の挙動にも大きく影響される。すなわち、フレキシブルダクト2a〜2fへ向かう空気流は殆どが短辺側板1dに衝突した後の跳ね返りの流れであるが、この跳ね返り流れよりも供給管5aからの流入空気の流動圧のほうが大きいので、オリフィス6a〜6fからフレキシブルダクト2a〜2fへ流出する流れに干渉する。そして、この流れの干渉の度合いはチャンバ本体1が小さいほど大きくなり、オリフィス6a〜6fに向かうまでの流れ自体が不安定となってしまう。その結果、これらのオリフィス6a〜6fからフレキシブルダクト2a〜2fに流出する流量の均等な分配も果たし得なくなる。
【0041】
このように、チャンバ本体1を小型化すると、主として淀み点や滞留が起きるような空間的な余裕がないことから、供給管5aからの空気の流入と各フレキシブルダクト2a〜2fへの流出とが直接的に結び付けられることになる。すなわち、チャンバ本体1内での流入及び流出のそれぞれの空気流の流れの形態や流量との間にそれぞれ最適な相関を持たせない限り、全てのフレキシブルダクト2a〜2fへの空調空気の均等分配は不可能である。
【0042】
これに対し、本発明者らは、チャンバ本体1内での流入及び流出の流れの形態と流量とを決める最も重要な因子は、供給管5aからチャンバ本体1への流入空気の拡散であることを知見によって得た。この流入空気の拡散とは、供給管5aからの空気がチャンバ本体1に入った後にこのチャンバ本体1の流路断面及び内容積に対して占める時間的な量比の変化と定義できる。
【0043】
ここで、流入空気の拡散が小さいと短辺側壁1dで跳ね返って各オリフィス6a〜6fに向かう流出方向への流れに対する干渉は小さく、拡散が大きければ干渉力も強くなる。すなわち、供給管5aからの空気流量を一定とすれば、チャンバ本体1の内容積が小さいほど一気に流路断面を満たす流れとなるので、流入空気の拡散の度合いは大きくなり、流出方向への流れの干渉が大きく影響して各フレキシブルダクト2a〜2fへの均等分配ができない。これは、チャンバ本体1を小型化した場合に流出空気の均等分配に影響を及ぼすことを示すに他ならない。一方、このような流入空気の拡散は各オリフィス6a〜6fへ向かって流出する流れによって逆に干渉されるものともなる。したがって、流出空気による干渉を利用して流入空気の拡散を抑えることが可能である。
【0044】
このように、供給管5aからの流入空気の拡散と各オリフィス6a〜6fからフレキシブルダクト2a〜2fに向かう流出空気による拡散に対する干渉は、チャンバ本体1を小型化したときに流れの形態及び流量を決める重要な因子である。そして、流入空気の拡散はチャンバ本体1の大きさ自体に関係し、この拡散を抑える流出空気の流れは各フレキシブルダクト2a〜2fの流路面積に関係することは明らかである。したがって、チャンバ本体1の体積と、各フレキシブルダクト2a〜2f内の流量もしくはこの流量を決める総流路面積との間の関係を最適化すれば、チャンバ本体1が小さくても各フレキシブルダクト2a〜2fへの空調空気を均等分配することができる。
【0045】
以上の知見に基づき、本発明者らは鋭意研究した結果、チャンバ本体1の体積V(m3 )と全てのフレキシブルダクト2a〜2fの総流路面積A(m2 )の大きさの比係数V/A=0.15〜1.0(m)の範囲であることが、各フレキシブルダクト2a〜2fへの流路の均等分配に必要な条件であることを確認した。そして、このような比係数V/Aの範囲を前提として、オリフィス6a〜6fの開口面積すなわち流路抵抗の相互の関係を適切にすることで、均等な風量バランスの設定が確実に達成される。
【0046】
本発明者らが実験したところによると、たとえば、最適な例としては、チャンバ本体1の大きさを縦×横×長さ=0.275×0.275×0.7(単位:m)として体積V(≒内容積)をV=0.053m3 、各フレキシブルダクト2a〜2fのそれぞれの流路面積aを0.0177m2 (この場合、先の式においてA=6×a) 程度としたとき、オリフィス6a,6dの開口面積は0.0154m2 程度、オリフィス6b,6eの開口面積は0.0094m2 程度、オリフィス6c,6fの開口面積は0.0086m2 程度であった。この設定においては、比係数V/Aの値は0.5(m)である。
【0047】
このように、チャンバ本体1の体積V(m3 )と全てのフレキシブルダクト2a〜2fの総流路面積A(m2 )との間の比係数V/A(m)の範囲を決めることで、供給管5aからの流入空気の拡散を抑えることができる。そして、短辺側板1dからの跳ね返り流れに対しても各オリフィス6a〜6fのそれぞれの相互の開口面積を設定することで、全てのフレキシブルダクト2a〜2fへの供給流量を均等化できる。したがって、チャンバ本体1を小型化しても、各吹き出し口3a〜3fから室内側に吹き込まれる空調空気流量も一様化され、良好な空調空間を造り出すことができる。
【0048】
図3及び図4は別の実施の形態であって、先の例と同じ構成部材については共通の符号で指示し、その詳細な説明は省略する。また、チャンバ本体1,フレキシブルダクト2a〜2f,供給管5aはいずれも先の例と同じ大きさである。
【0049】
図3の例はチャンバ本体2の長辺側壁1e,1fにそれぞれ等しい円形の開口7a,7b,7c,7d,7e,7fを開け、上流側の開口7a,7dはそのままフレキシブルダクト2a,2dに接続し、開口7b,7c,7e,7fにはオリフィス8a,8b,8c,8dを組み込んだ構成としたものである。オリフィス8b,8dは図2の例のオリフィス6c,6fの開口面積に等しく、オリフィス8a,8cは図2の例のオリフィス6b,6eの開口面積に等しい。また、開口7a,7dはダクト2a,2dの内径とほぼ同様のものとして図示しているが、実際には図2のオリフィス6a,6dと同じ開口面積を持つものとする。このことは、図5〜図8の各例についても同様である。
【0050】
したがって、先の例と同様のチャンバ本体1の内容積と総流出面積及びオリフィス8a〜8dと開口7a,7dの大きさの関係を持つので、各フレキシブルダクト2a〜2fに均等に空気を分配することができる。
【0051】
図4の例はフレキシブルダクト2a〜2fのより具体的な接続構造を示すものである。
【0052】
図4において、図2で示したオリフィス6a〜6fのそれぞれに同軸上にスリーブ6a−1〜6f−1が外に向けて突き出され、これらのスリーブ6a−1〜6f−1にそれぞれフレキシブルダクト2a〜2fが嵌合され、その周囲をダクトバンドなどの拘束具20で縛り付けたものである。この例でも図2の構成と同様に各フレキシブルダクト2a〜2fに均等に空調空気を分配できる。
【0053】
図5〜図8は更に別の実施の形態であり、図3の同じ大きさの開口7a〜7fを備えるチャンバ本体1に対して流出側の流路面積を変えるためのノズルなどの部材を設ける例である。なお、これらの図5〜図8の例ではフレキシブルダクト2a〜2fの取付け構造は図4のものとして示している。
【0054】
図5は図3の例におけるオリフィス8a〜8dに相当する部分をノズル9a,9b,9c,9dとしたものである。これらのノズル9a〜9bは薄肉金属板によって製造される長辺側板1e,1fをバーリング加工よって外側に膨出させたもので、それぞれの絞り部の流路面積は図3の例におけるオリフィス8a,8b,8c,8dと等しい。このようなノズル9a〜9d及び上流側の開口7a,7dの配置によって、図3の例と同様に各フレキシブルダクト2a〜2fへ均等に空気を分配できる。また、ノズル9a〜9dは流出側へ向けての流路面積を次第に絞っていくので、流量が大きいときでも風切り音がなく、騒音レベルを下げることができる。
【0055】
図6は図3の例におけるオリフィス8a〜8dに相当する部分を網体10a,10b,10c,10dとしたものである。網体10aは同図の(b)に示すように小さい孔10a−1を開けたパンチングメタルを用いたもので、その他の網体10b〜10dも同様である。各網体10a〜10dに開ける孔の分布数または内径を変えることで流路面積がそれぞれ設定される。すなわち、短辺側板1dに近い網体10b,10dは図3の例におけるオリフィス8b,8dと同じ流路面積を持つように孔を分布させ、上流側の網体10a,10cは図3の例におけるオリフィス8a,8cと同じ流路面積を持たせる。したがって、図3の例と同様に、各フレキシブルダクト2a〜2fに均等に流量分配できる。なお、パンチングメタルに代えて、メッシュの大きさを変更できる金網などを網体としてもよい。
【0056】
図7は図3の例におけるオリフィス8a〜8dに相当する部分をスリット部材11a,11b,11c,11dとしたものである。スリット部材11aは同図の(b)に示すように複数のスリット孔11a−1を切開したもので、その他のスリット部材11b〜11dも同様である。そして、図6の例と同様に各スリット部材11a〜11dのスリット孔のそれぞれの流路面積を図3の例のオリフィス8a〜8dに対応するように設定することで、各フレキシブルダクト2a〜2fに向かう空気の流量を均等化できる。
【0057】
図8は図3の例における開口7a,7dとオリフィス8a〜8dに相当する部分を簡易なダンパ部材12a,12b,12c,12d,12e,12fとしたものである。ダンパ部材12aは同図の(b)に示すように複数の開度調整可能な羽根12a−1を備えたもので、その他のダンパ部材12b〜12fも同様である。そして、同図の(a)に示すように各ダンパ部材12a〜12fのそれぞれの羽根の開度を設定して、図6及び図7の例と同様に流路面積を図3の例のオリフィス8a〜8dに対応させることで、各フレキシブルダクト2a〜2fに向かう空気の流量を均等化できる。
【0058】
【発明の効果】
本発明では、チャンバ本体の体積と分配流路の総流路面積との比係数の範囲を設定した設計とすると同時に全ての分配流路について流量を均一化する流路構造を備えているので、チャンバ本体を小型化しても空調空気を均一に分配流路に送り込むことができ、室内空調などの機能が損なわれることがない。そして、チャンバ本体の小型化によって、施工性も格段に向上させることができる。
【0059】
また、チャンバ本体の周壁にオリフィスを開けるだけの簡単の構成で流路抵抗機構の機能を持たせることができるほか、ノズルなどの流路抵抗が予め設定された流量調整部材やダンパなどの流路抵抗を変える流量調整部材を利用することで風量条件に適合した施工が可能となる。そして、これらの流量調整部材をチャンバ本体に着脱自在としておけば、施工現場での風量の実情に対応した適切な施工が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における空調設備ユニットの概略を示すブロック図である。
【図2】 (a)は空調機からの接続流路を含めて示す要部の横断面図、(b)は縦断面図である。
【図3】 チャンバ本体に開けた開口にオリフィスを組み込む構成とした例での要部を示す横断面図である。
【図4】 図2の例においてフレキシブルダクトを接続するためのスリーブを設けた例の要部を示す縦断面図である。
【図5】 チャンバ本体に設けるノズルによって流量調整する構成を示す要部の横断面図である。
【図6】 チャンバ本体に設ける網体によって流量調整する例であって、(a)は要部の横断面図、(b)は網体を流路軸線方向に観た正面図である。
【図7】 チャンバ本体に設けるスリット部材によって流量調整する例であって、(a)は要部の横断面図、(b)はスリット部材を流路軸線方向に観た正面図である。
【図8】 チャンバ本体に設けるダンパ部材によって流量調整する例であって、(a)は要部の横断面図、(b)はダンパ部材を流路軸線方向に観た正面図である。
【図9】 従来構造のチャンバ本体とその周りの流路接続構造の概略であって、(a)は要部の横断面図、(b)は要部の縦断面図である。
【符号の説明】
1 チャンバ本体
1a 底板
1b 天板
1c,1d 短辺側板
1e,1f 長辺側板
2a,2b,2c,2d,2e,2f フレキシブルダクト
3a,3b,3c,3d,3e,3f 吹き出し口
4 断熱材
5 空調機
5a 供給管
6a,6b,6c,6d,6e,6f オリフィス
7a,7b,7c,7d,7e,7f 開口
8a,8b,8c,8d,8e,8f オリフィス
9a,9b,9c,9d ノズル
10a,10d,10c,10e 網体
11a,11b,11c,11d スリット部材
12a,12b,12c,12d,12e,12f ダンパ部材
20 拘束具

Claims (9)

  1. 空調機からの供給流路に接続され且つ複数の空調用吹き出し口へそれぞれ向かう分配流路を接続して各空調用吹き出し口へ空調空気を分配するチャンバ本体を含む空調設備ユニットであって、横断面及び縦断面が長方形の容器状の前記チャンバ本体の体積(m3)と前記分配流路の総流路面積(m2)との大きさの比係数を0.15〜1.0(m)となる関係とし、前記チャンバ本体から前記分配流路へ至るそれぞれの流路構造は、全ての分配流路について相互に流量を均一化し合うための流路抵抗機構を持つことを特徴とする空調設備ユニット。
  2. 前記流路抵抗機構は、前記チャンバ本体の周壁に開けられて前記分配流路に連通するオリフィスであることを特徴とする請求項1記載の空調設備ユニット。
  3. 前記流路抵抗機構は、流路抵抗が予め設定された流量調整部材であることを特徴とする請求項1記載の空調設備ユニット。
  4. 前記流路抵抗機構は、流路抵抗を変更操作可能な流量調整部材であることを特徴とする請求項1記載の空調設備ユニット。
  5. 前記流量調整部材は、前記チャンバ本体の周壁に開けられて前記分配流路のそれぞれに連通する開口に着脱自在としたことを特徴とする請求項3または4記載の空調設備ユニット。
  6. 空調機からの供給流路に接続され且つ複数の空調用吹き出し口へそれぞれ向かう分配流路を接続して各空調用吹き出し口へ空調空気を分配するチャンバ本体を含み、横断面及び縦断面が長方形の容器状の前記チャンバ本体の体積(m3)と前記分配流路の総流路面積(m2)との大きさの比係数を0.15〜1.0(m)となる関係とした空調設備ユニットにおける風量調整方法であって、前記分配流路へのそれぞれの流路抵抗の変更操作によって、全ての分配流路についての流量を均一化することを特徴とする空調設備ユニットにおける風量調整方法。
  7. 前記流路抵抗の変更操作は、前記チャンバ本体の周壁に開けられて前記分配流路に連通するオリフィスの流路抵抗の設定によることを特徴とする請求項6記載の空調設備ユニットにおける風量調整方法。
  8. 前記流路抵抗の変更操作は、前記チャンバ本体から前記分配流路へ至るそれぞれの流路に配置され予め流路抵抗を設定した流量調整部材によることを特徴とする請求項6記載の空調設備ユニットにおける風量調整方法。
  9. 前記流路抵抗の変更操作は、前記チャンバ本体から前記分配流路へ至るそれぞれの流路に配置され流路抵抗を可変とした流量調整部材によることを特徴とする請求項6記載の空調設備ユニットにおける風量調整方法。
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