JP4365507B2 - 歪補償増幅器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歪補償増幅器に関する。特に本発明は、温度調整装置を備えた歪補償増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、従来の歪補償増幅器10を示す。従来の歪補償増幅器10は、帰還処理部20と、歪補償部30と、送信部40とを備える。帰還処理部20は、周波数変換部14と、直交検波部16と、補償値更新部18とを有する。歪補償部30は、補償値テーブル32と、電力計算部34と、信号調整部36とを有する。送信部40は、直交変調部42と、周波数変換部44と、増幅部46とを有する。
【0003】
従来の歪補償増幅器10の動作について説明する。送信部40より出力された送信信号は分波し、その一部が帰還信号として帰還処理部20に入力される。帰還処理部20において、周波数変換部22は、帰還信号の周波数を変換し、直交検波部24は、帰還信号の直交検波処理を行い、補償値更新部26は、帰還信号に基づいて、アルゴリズム処理を行い、補償値を最適化し、補償値テーブル32に出力する。
【0004】
また、歪補償部30に入力された変調信号は、信号調整部36および電力計算部34に入力される。電力計算部64は、変調信号に基づく信号電力を計算し、補償値テーブル32に出力する。補償値テーブル32は、信号電力に対応する波形歪を補償するための補償値を、信号調整部36に出力する。
【0005】
動作中に、送信信号が増幅部46において、増幅処理されるときに送信信号に波形歪が生じる。そのため、補償値更新部26において、波形歪を補償するための補償値を更新する必要がある。補償値更新部26は、歪補償部30に入力される変調信号と、帰還信号に基づいて、アルゴリズム処理を行い、補償値を算出し、補償値テーブルに出力することにより、補償値を更新する。
【0006】
補償値テーブル32は、信号電力に対応する波形歪を補償するための補償値を、信号調整部36へ出力する。信号調整部36は、波形歪を補償するための補償値に基づいて、変調信号を調整する。信号調整部36は、補償された変調信号である補償信号を送信部40へ出力する。
【0007】
送信部40において、直交変調部42は、補償信号の直交変調処理を行い、周波数変換部44は、補償信号の周波数変換処理を行い、増幅部46は、補償信号の増幅処理を行うことにより調整し、調整された補償信号である送信信号を出力する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図1に示される従来の歪補償増幅器10においては、送信信号の波形歪を補償するために、帰還部20を設けて、閉回路が構成されている。従来の歪補償増幅器10は、送信信号の波形歪を補償するための帰還部20を有しているので、歪補償増幅器10の回路が非常に複雑なものとなり、また、回路規模を小型化することが困難であるという問題を有している。
【0009】
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる歪補償増幅器を提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の一形態によると、データ内容を示す信号を増幅する増幅部と、増幅部の温度状態に対応し、増幅部で増幅される信号の波形歪を補償するための複数の補償値を予め格納した補償値テーブルを有する補償値テーブル部と、増幅部の温度を測定する温度測定部と、増幅部の測定温度に基づいて、増幅部の温度を、補償値テーブルに対応する温度に調整する温度調整部と、測定温度に基づいて、補償値テーブル部から、測定温度に対応する補償値テーブルを選択するセレクタと、選択された補償値テーブルに含まれる補償値を用いて、信号の波形歪を補償する信号調整部とを備えることを特徴とする歪補償増幅器を提供する。
【0011】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態はクレームにかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態である、図3において後述する歪補償増幅器を備える基地局330の構成を示す。基地局330は、空中線332、送信部である歪補償増幅器100、受信部334、処理部336、基地局制御部338、および伝送部340を備える。空中線332はアンテナであって、歪補償増幅器100で形成された信号を送信し、また、移動局(図示せず)より送信された信号を受信する。受信部334は、受信信号の増幅処理、変調処理などの処理を行う。歪補償増幅器100は、送信信号の増幅処理、歪補償増幅器100の温度に基づく送信信号の波形歪の補償処理、歪補償増幅器100の温度調整、変調処理などの処理を行う。処理部336は、送信信号および受信信号のベースバンド処理などを行う。基地局制御部338は、基地局330に含まれる処理部336などの構成の制御を行う。伝送部340は、制御局(図示せず)との信号の伝送処理を行う。
【0014】
図3は、本発明の一実施形態である歪補償増幅器100を示す。歪補償増幅器100は、信号を送信処理する送信部140と、送信部140の温度を測定する温度測定部120と、信号の波形歪を補償する歪補償部130と、送信部140の温度を調整する温度調整部200とを備える。
【0015】
送信部140は、信号の直交変調処理を行う直交変調部142と、信号の周波数を変換処理する周波数変換部144と、データ内容を示す信号を増幅する増幅部146とを有する。歪補償部130は、信号の電力を計算する電力計算部134と、信号の波形歪を補償するための複数の補償値を予め格納した複数の補償値テーブルを有する補償値テーブル部132と、補償値を用いて信号の波形歪を補償する信号調整部136と、温度測定部120で測定された温度に基づき、補償値テーブル部132から測定温度に対応する補償値テーブルを選択するセレクタ138とを有する。
【0016】
温度調整部200は、送信部140の温度を調整する温度調整装置204と、温度調整装置204を制御する温度調整装置制御部202とを有する。温度調整装置204は、例えばペルチエ素子などの、電力を用いて加熱および冷却することにより温度調整が可能な素子や装置であってもよく、また、温度調整装置204は、冷却または加熱だけの機能を有してもよい。温度調整装置204が、冷却または加熱だけの機能を有する場合には、温度調整装置204は、冷却ファンやヒーターなどの装置であることが好ましい。本実施例において、温度調整装置204は、冷却ファンを有し、温度調整装置制御部202は、当該冷却ファンの回転数を制御することにより、増幅部146の温度を調整する。
【0017】
次に、歪補償増幅器100の動作について説明する。歪補償部130に入力された変調信号は、変調信号の電力および温度測定部140より入力された温度信号に基づいて、変調信号を補償する。さらに、歪補償部130は、補償された変調信号である補償信号を、送信部140に出力する。送信部140において、直交変調部142、周波数変換部144、および増幅部146は、通過する補償信号を処理し、出力する。
【0018】
送信部140により生じる信号の波形歪は、主として送信部140の温度変化により、出力特性が変化することに起因する。特に信号の波形歪は、送信部140に含まれる増幅部146の温度変化による出力変化に大きく影響する。本発明において、歪補償増幅器100は、増幅部146の温度に対応する補償値テーブル部132に含まれる補償値テーブルに格納された補償値を用いて、波形歪を補償する。そして、歪補償増幅器100は、温度調整部200により、増幅部146の温度を、補償値テーブル部132に含まれる補償値テーブルに対応する温度に調整するように増幅部146の温度を調整する。以下に、本発明の一実施形態である、プリディストーション方式による歪補償増幅器100の動作について説明する。
【0019】
歪補償部130に入力される、π/4シフト4位相偏移変調方式により形成された変調信号Zは、変調信号を複素数jを用いて複素数表示したときに、次式で示す実数部分を示すI成分および虚数部分を示すQ成分を有する。
Z=I+jQ
さらに変調信号Zは、次式で示される振幅Aおよび位相Tを有する。
A=√(I2+Q2)
T=arctan(Q/I)
そして、変調信号は、歪補償部130に含まれる信号調整部36および電力計算部134に入力される。
【0020】
電力計算部134は、入力された変調信号に基づいて信号電力αを、次式により計算する。
α=I2+Q2
そして電力計算部134は、当該信号電力をセレクタ138に出力する。
【0021】
また、温度測定部120が送信部140の温度を測定する。温度測定部120は、送信部140全体の温度を測定してもよいが、アナログ送信信号に波形歪を生じさせる主たる要因となる部位を測定してもよい。本実施例においては、温度測定部120が、波形歪を生じさせる部位として増幅部146の温度を測定する。温度測定部120は、送信部140の測定温度を、測定温度を示す温度信号としてセレクタ138へ出力する。
【0022】
歪補償部130は、増幅部146の温度状態に対応する補償値テーブル含む補償値テーブル部132を有する。補償値テーブルは、増幅部146で増幅される信号の波形歪を補償するための複数の補償値を予め格納する。また、別の実施例において、補償値テーブル部132は、増幅部146の温度状態に対応する、複数の補償値テーブルの対応関係をまとめた1つの補償値テーブルを有してもよい。
【0023】
本実施例において、温度調整部200は、増幅部146の温度を、温度測定部120から出力された増幅部146の測定温度に基づいて、補償値テーブル部132に含まれる複数の補償値テーブルのうち、いずれかに対応する温度である調整温度に調整する。好ましくは、温度調整部200は、増幅部146の温度を、温度測定部140から出力された増幅部146の測定温度に基づいて、補償値テーブル部132に含まれる複数の補償値テーブルのうち、最も近い温度を有する補償値テーブルの温度に調整する。
【0024】
温度調整装置204は、冷却だけの機能を有する冷却装置である冷却ファンや、加熱だけの機能を有する加熱装置であるヒータであってもよい。温度調整装置204が、例えば冷却ファンである場合に、温度調整部200は、増幅部146の温度を、温度測定部140から出力された増幅部146の測定温度に基づいて、補償値テーブル部132に含まれる複数の補償値テーブルのうち、増幅部146の測定温度に最も近く、且つ増幅部146の測定温度より低い温度を有する補償値テーブルに対応する温度に調整してもよい。
【0025】
温度調整部200を有さない歪補償増幅器は、増幅部146の温度に対応できるように、多くの温度状態に対応する補償値テーブルを有する必要がある。特に、増幅部146の温度変化が急峻な場合には、各補償値テーブルが対応する温度域を、非常に狭くする必要があるため、その結果、補償値テーブル部132は、非常に多くの補償値テーブルを有さなくてはならない。そこで、本発明による歪補償増幅器100は、温度調整部200を有することにより、増幅部146の温度を、補償値テーブル部132に含まれる複数の補償値テーブルに対応する温度に調整する。そして、補償値テーブル部132に含まれる補償値テーブルの数を大幅に減らすことができ、その結果、歪補償増幅器100の小型化が可能となる。
【0026】
セレクタ138は、補償値テーブル部132に含まれる複数の補償値テーブルから、温度測定部120で測定された、増幅部146の測定温度に対応する補償値テーブルを選択する。そして、セレクタ138は、電力計算部134から入力された信号電力αに基づいて、選択された補償値テーブルに含まれる補償値hpを選択し、信号調整部136に出力する。補償値hpは、増幅部146の非線形歪特性の逆特性を有する。
【0027】
信号調整部136は、入力された補償値hpに基づいて、変調信号Zを次式により補償し、補償信号Z’を形成する。
Z’=Z×hp
また、補償値hpを用いて補償された、補償信号Z’の振幅A’および位相T’は次式で表される。
A’=√((hp×I)2+(hp×Q)2)
T’=arctan((hp×Q)/(hp×I))
信号調整部136は、補償信号を送信部140に出力する。
【0028】
送信部140において、直交変調部142は、補償信号の直交変調を行い、周波数変換部144は、補償信号の周波数変換処理を行い、さらに、増幅部146は、補償信号の増幅処理を行うことにより、通過する補償信号を処理し、出力する。予め送信部140の温度に基づいて補償された補償信号を、送信部140に入力することにより、送信部140を見かけ上、線形動作させることができる。そして送信部140は、補償信号を調整し、波形歪の低減された送信信号を形成することができる。
【0029】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0030】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本発明によれば、信号の波形歪を補償するための補償値を有する補償値テーブルの数を低減することができ、その結果、歪補償増幅器を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の歪補償増幅器10を示す。
【図2】本発明の一実施形態である、図3において後述する歪補償増幅器を備える基地局330の構成を示す。
【図3】本発明の一実施形態である歪補償増幅器100を示す。
【符号の説明】
10・・歪補償増幅器、20・・帰還処理部、22・・周波数変換部、24・・直交検波部、26・・補償値更新部、30・・歪補償部、32・・補償値テーブル、34・・電力計算部、36・・信号調整部、40・・送信部、42・・直交変調部、44・・周波数変換部、46・・増幅部、100・・歪補償増幅器、120・・温度測定部、130・・歪補償部、132・・補償値テーブル部、134・・電力計算部、136・・信号調整部、140・・送信部、142・・直交変調部、144・・周波数変換部、146・・増幅部、200・・温度調整部、202・・温度調整装置制御部、204・・温度調整装置、330・・基地局、332・・空中線、334・・受信部、336・・処理部、338・・基地局制御部、340・・伝送部
Claims (1)
- データ内容を示す信号を増幅する増幅部と、
前記増幅部の温度状態に対応し、前記増幅部で増幅される信号の波形歪を補償するための複数の補償値を予め格納した補償値テーブルを有する補償値テーブル部と、
前記増幅部の温度を測定する温度測定部と、
前記増幅部の測定温度に基づいて、前記増幅部の温度を、前記補償値テーブルに対応する温度に調整する温度調整部と、
前記測定温度に基づいて、前記補償値テーブル部から、前記測定温度に対応する前記補償値テーブルを選択するセレクタと、
選択された前記補償値テーブルに含まれる前記補償値を用いて、前記信号の波形歪を補償する信号調整部と
を備えることを特徴とする歪補償増幅器。
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