JP4409706B2 - 送信信号処理装置、基地局、移動局およびディジタル無線通信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、送信信号処理装置、基地局、移動局およびディジタル無線通信システムに関する。特に本発明は、周波数分割多元接続方式ディジタル無線通信において、狭帯域の信号を送信する送信信号処理装置、基地局、移動局およびディジタル無線通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、従来の周波数分割多元接続方式ディジタル無線通信に利用されていた無線通信送受信装置10を示す。従来の無線通信送受信装置10は、空中線12、送受信部14およびベースバンド処理部16を有する。送受信部14は、受信部20、送信部40、送信信号調整用帰還部60、共用部22、アナログ・ディジタル変換部36およびディジタル・アナログ変換部42を有する。さらに、ベースバンド処理部16は、歪補償部80、変調部82、帯域フィルタ100、直交検波部102、同期部104および復号部106を有する。
【0003】
次に、従来の無線通信送受信装置10の受信系の動作について説明する。空中線12は、アナログ受信信号を受信し、共用部22に出力する。共用部22は、アナログ受信信号を他の信号と相互作用がないように送信部40に出力する。送信部40において、増幅部24、帯域フィルタ26、周波数変換部28、帯域フィルタ30、周波数変換部32および低域フィルタ34は、通過するアナログ受信信号を調整し、アナログ・ディジタル変換部36に出力する。アナログ・ディジタル変換部36は、アナログ受信信号を対応するディジタル受信信号に変換し、ベースバンド処理部16に出力する。ベースバンド処理部16において、帯域フィルタ100、直交検波部102、同期部104および復号部106は、通過するディジタル受信信号を調整し、他の構成(図示せず)に出力する。
【0004】
次に、従来の無線通信送受信装置10の送信系の動作について説明する。送信部40より出力されたアナログ送信信号は分波し、その一部が送信信号調整用帰還部60に入力される。送信信号調整用帰還部60において、レベル調整部62、周波数変換部64、帯域フィルタ66、増幅部68および直交検波部70は、通過するアナログ送信信号を調整し、アナログ帰還信号としてアナログ・ディジタル変換部72に出力する。アナログ・ディジタル変換部72は、アナログ帰還信号を、対応するディジタル帰還信号に変換し、歪補償部80に設けられた誤差計算部88および係数更新部に92に出力する。
【0005】
また、変調部82で変調されたディジタル変調信号は、プレディストーション部84、電力計算部86および誤差計算部88に入力される。電力計算部86は、ディジタル変調信号に基づく信号電力を計算し、係数テーブル90に出力する。係数テーブル90は、信号電力に対応する波形歪を補償するための係数を調整する。
【0006】
誤差計算部88は、入力されたディジタル変調信号とディジタル帰還信号の差分である信号誤差を計算し、信号誤差を係数更新部92に出力する。係数更新部92は、信号誤差とディジタル帰還信号に基づいて、波形歪を補償するための係数を計算する。さらに係数更新部92は、波形歪を補償するための係数を係数テーブル90に出力することにより、係数テーブル90に格納されている波形歪を補償するための係数を更新する。
【0007】
係数テーブル90は、係数更新部92により更新された係数を有している。しかし、実際には、アナログ送信信号が送信部40において、アナログ処理されるときにアナログ送信信号に波形歪が生じる。そのため、係数更新部92において、波形歪を補償するための係数を更新する必要がある。
【0008】
係数テーブル90は、信号電力に対応する波形歪を補償するための係数を、プレディストーション部84へ出力する。プレディストーション部84は、波形歪を補償するための係数に基づいて、変調部82より入力されたディジタル変調信号を調整する。さらに、プレディストーション部92は、補償されたディジタル変調信号であるディジタル補償信号をディジタル・アナログ変換部42へ出力する。
【0009】
ディジタル・アナログ変換部42は、ディジタル補償信号を対応するアナログ補償信号に変換し、送信部40へ出力する。送信部40において、低域フィルタ44、直交変調部46、周波数変換部48、帯域フィルタ50、増幅部52、帯域フィルタ54、電力増幅部56および低域フィルタ58は、通過するアナログ補償信号を調整し、アナログ送信信号を共用部22に出力する。共用部22は、アナログ送信信号を空中線208に出力することにより送信する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図1に示される従来の無線通信送受信装置10の送信系においては、送信信号の波形歪を補償するために、送信信号調整用帰還部60を設けて、閉回路が構成されている。この閉回路においては、ディジタル変調信号とディジタル帰還信号との誤差が所定の値以下となるまで閉ループ処理が行われていたため、アナログ送信信号の収束に時間がかかるという問題が生じていた。
【0011】
また、現在、携帯端末を小型化および軽量化する開発が盛んに行われている。従来の無線通信送受信装置10は、送信信号の波形歪を補償するための送信信号調整用帰還部60を有しているので、送受信部14の回路規模を小型化することが困難であるという問題を有している。
【0012】
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる送信信号処理装置、基地局、移動局およびディジタル無線通信システムを提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の第1の形態によると、周波数分割多元接続方式ディジタル無線通信に利用される送信信号処理装置であって、データ内容を示すディジタル信号を、アナログ信号に変換するディジタル・アナログ変換部と、ディジタル・アナログ変換部から出力されたアナログ信号をアナログ処理するアナログ処理部と、アナログ処理部の温度を測定する温度測定部と、温度測定部で測定された温度に対応する、アナログ処理部で処理されるアナログ信号の波形歪を補償するための補償値を用いて、ディジタル・アナログ変換部に出力されるディジタル信号を調整する歪補償部とを備えることを特徴とする送信信号処理装置を提供する。
【0014】
さらに、歪補償部が、アナログ処理部の温度に対応する補償値を予め格納した補償値テーブルを有してもよく、アナログ処理部が電力増幅部を有し、温度測定部が電力増幅部の温度を測定し、歪補償部が、電力増幅部の温度に対応する補償値を予め格納した補償値テーブルを有してもよい。
【0015】
また、本発明の第2の形態によると、周波数分割多元接続方式ディジタル無線通信に利用される移動局であって、データ内容を示すディジタル信号を、アナログ信号に変換するディジタル・アナログ変換部と、ディジタル・アナログ変換部から出力されたアナログ信号をアナログ処理するアナログ処理部と、アナログ処理部の温度を測定する温度測定部と、温度測定部で測定された温度に対応する、アナログ処理部で処理されるアナログ信号の波形歪を補償するための補償値を用いて、ディジタル・アナログ変換部に出力されるディジタル信号を調整する歪補償部とを備えることを特徴とする移動局を提供する。
【0016】
また、本発明の第3の形態によると、周波数分割多元接続方式ディジタル無線通信に利用される基地局であって、データ内容を示すディジタル信号を、アナログ信号に変換するディジタル・アナログ変換部と、ディジタル・アナログ変換部から出力されたアナログ信号をアナログ処理するアナログ処理部と、アナログ処理部の温度を測定する温度測定部と、温度測定部で測定された温度に対応する、アナログ処理部で処理されるアナログ信号の波形歪を補償するための補償値を用いて、ディジタル・アナログ変換部に出力されるディジタル信号を調整する歪補償部とを備えることを特徴とする基地局を提供する。
【0017】
また、本発明の第4の形態によると、周波数分割多元接続方式を用いたディジタル無線通信システムであって、データ内容を示すディジタル信号を、アナログ信号に変換するディジタル・アナログ変換部と、ディジタル・アナログ変換部から出力されたアナログ信号をアナログ処理するアナログ処理部と、アナログ処理部の温度を測定する温度測定部と、温度測定部で測定された温度に対応する、アナログ処理部で処理されるアナログ信号の波形歪を補償するための補償値を用いて、ディジタル・アナログ変換部に出力されるディジタル信号を調整する歪補償部とを有する移動局と、移動局より送信された送信信号を受信する基地局とを備えることを特徴とするディジタル無線通信システムを提供する。
【0018】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態はクレームにかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態であるディジタル無線通信システム110を示す。ディジタル無線通信システム110は、複数の移動局150、基地局130および制御局120を備える。制御局120は、複数の基地局130を制御する。基地局130と制御局120は、有線伝送路によって接続されている。基地局130と移動局150の間には、無線回線が構成される。
【0021】
図3は、本発明の一実施形態である基地局130の構成を示す。基地局130は、空中線132、送受信部134、ベースバンド処理部136、基地局制御部138、伝送部140および温度測定部142を備える。空中線132はアンテナであって、送受信部134で形成された信号を送信し、また、図2における移動局150より送信された信号を受信する。送受信部134は、送信信号および受信信号の増幅処理、変調処理などのアナログ処理、アナログ・ディジタル変換およびディジタル・アナログ変換などの処理を行う。ベースバンド処理部136は、送信信号および受信信号のベースバンド処理を行う。基地局制御部138は、基地局130に含まれるベースバンド処理部136などの構成の制御を行う。伝送部140は、図2における制御局120との信号の伝送処理を行う。温度測定部142は、送受信部134に含まれる所定の構成の温度を測定する。そして、温度測定部142は、測定された測定温度を信号に変換してベースバンド処理部136に出力する。
【0022】
図4は、本発明の一実施形態である移動局150の構成を示す。移動局150は、空中線152、送受信部154、ベースバンド処理部156、移動局制御部158および温度測定部160を備える。空中線132はアンテナであって、送受信部134で形成された信号を送信し、また、図2における基地局130より送信された信号を受信する。送受信部154は、送信信号および受信信号の増幅処理、変調処理などのアナログ処理、アナログ・ディジタル変換およびディジタル・アナログ変換などの処理を行う。ベースバンド処理部156は、送信信号および受信信号のベースバンド処理を行う。移動局制御部158は、移動局150に含まれるベースバンド処理部156などの構成の制御を行う。温度測定部160は、送受信部154に含まれる所定の構成の温度を測定する。さらに温度測定部160は、測定された測定温度を信号に変換してベースバンド処理部156に出力する。
【0023】
図5は、本発明の一実施形態である無線送受信装置200を示す。図2を参照して、無線送受信装置200は、無線通信システム110において、移動局150および/または基地局130に組み込まれるのが好ましい。無線送受信装置200は、信号の送受信処理を行う送受信部134、信号のベースバンド処理を行うベースバンド処理部136、送受信部134に含まれる所定の構成の温度を測定する温度測定部142、および信号の送受信を行う空中線208を備える。
【0024】
送受信部134は、送信信号および受信信号の相互作用なく、空中線208を使用できるようにする共用部212を有する。また、送受信部134は、受信系として、受信部210およびアナログ・ディジタル変換部226を有する。受信部210は、信号の増幅処理を行う増幅部214、所定の周波数帯域を有する信号だけを通過させる帯域フィルタ216、信号の周波数を変換する周波数変換部218、所定の周波数を有する信号だけを通過させる帯域フィルタ220、信号の周波数を変換する周波数変換部222、および所定の周波数より低い周波数の信号だけを通過させる低域フィルタ224を有する。
【0025】
また、送受信部134は、送信系として、送信部であるアナログ処理部230およびディジタル・アナログ変換部232を有する。送信部であるアナログ処理部230は、所定の周波数より低い周波数の信号だけを通過させる低域フィルタ234、信号の直交変調処理を行う直交変調部236、信号の周波数変換処理を行う周波数変換部238、所定の周波数帯域を有する信号だけを通過させる帯域フィルタ240、信号の増幅処理を行う増幅部242、所定の周波数帯域を有する信号だけを通過させる帯域フィルタ244、信号の電力増幅処理を行う電力増幅部246、および所定の周波数より低い周波数の信号だけを通過させる低域フィルタ248を有する。
【0026】
ベースバンド処理部136は、受信系として、所定の周波数帯域を有する信号だけを通過させる帯域フィルタ280、信号の直交検波処理を行う直交検波部282、信号の同期処理を行う同期部284、信号の復号処理を行う復号部286を有する。また、ベースバンド処理部136は、送信系として信号の変調処理を行う変調部262、および信号の歪補償処理を行う歪補償部260を有する。
【0027】
歪補償部260は、信号の電力を計算する電力計算部266、信号の歪補償処理を行うための補償値を予め格納した補償値テーブル268、および補償値を用いて信号の歪補償処理を行うプレディストーション部264を有する。
【0028】
温度測定部142は、送信部であるアナログ処理部230の温度を測定する温度センサ252、温度センサ252で測定された温度に基づくアナログ温度信号を対応するディジタル温度信号に変換するアナログ・ディジタル変換部254を有する。
【0029】
次に、無線送受信装置200の受信動作について説明する。空中線132より受信されたアナログ受信信号を、共用部212、増幅部214、帯域フィルタ216、周波数変換部218、帯域フィルタ220、周波数変換部222および低域フィルタ224が調整し、アナログ・ディジタル変換部226に出力する。アナログ・ディジタル変換部226は、アナログ受信信号を対応するディジタル受信信号に変換し、ベースバンド処理部136に出力する。ベースバンド処理部136において、帯域フィルタ280、直交検波部282、同期部284および復号部286が、通過したディジタル受信信号を復調し、さらに他の処理部へ出力する。
【0030】
続いて、無線送受信装置200の送信動作について説明する。変調部82が出力したディジタル変調信号は、歪補償部260に入力される。歪補償部260は、ディジタル変調信号の電力および温度測定部142より入力されたディジタル温度信号に基づいて、変調ディジタル信号を補償する。さらに歪補償部260は、補償された変調ディジタル信号であるディジタル補償信号を、ディジタル・アナログ変換部232に出力する。
【0031】
ディジタル・アナログ変換部232は、入力されたディジタル補償信号を、対応するアナログ補償信号に変換し、送信部であるアナログ処理部230に出力する。
【0032】
送信部であるアナログ処理部230において、低域フィルタ234、直交変調部236、周波数変換部238、帯域フィルタ240、増幅部242、帯域フィルタ244、電力増幅部246および低域フィルタ248は、通過するアナログ補償信号を調整する。さらに送信部であるアナログ処理部230は、調整されたアナログ補償信号であるアナログ送信信号を共用部212に出力する。共用部212は、アナログ送信信号を空中線132に出力することにより、アナログ送信信号を送信する。
【0033】
アナログ処理部230は、オペアンプ等のアナログ集積回路により形成される。アナログ処理部230は温度変化の影響を受け、動作特性を変化させ易い。結果として、アナログ処理部230自身の温度変化の影響により、アナログ処理部230で処理されるアナログ送信信号に、波形歪が生じ易くなる。
【0034】
送信信号の波形歪は、受信品質を劣化させる。特に、狭帯域におけるディジタル無線通信では、波形歪による受信品質の劣化は顕著である。この送信信号の波形歪を補償するために、本発明による無線送受信装置200は、送信信号処理装置206を有する。送信信号処理装置206は、送受信部134におけるアナログ処理部230およびディジタル・アナログ変換部232、ベースバンド処理部136における歪補償部260、および温度測定部142を有する。
【0035】
また、本発明による送信信号処理装置206は、使用周波数帯が、例えば400MHzまたは150MHzにおける狭帯域ディジタル通信方式のうち、特に周波数分割多元接続方式による公共業務用を含む業務用のディジタル無線通信システムに使用される。狭帯域ディジタル無線通信のうち、周波数分割多元接続方式によるディジタル無線通において、信号の送受信に使用できる周波数帯間隔は、例えば6.25kHzと非常に狭い。このため、送信信号および受信信号は、隣接する他の周波数帯域を使用している他の信号の波形歪の影響を受け易い。従って、狭帯域ディジタル無線通信のうち、周波数分割多元接続方式ディジタル無線通信では、送信信号の波形歪の補償は非常に重要である。
【0036】
アナログ処理部230により生じる波形歪は、主としてアナログ処理部230の温度変化により、出力特性が変化することに起因する。特に波形歪は、アナログ処理部230に含まれる電力増幅部246の温度変化による出力変化に大きく影響する。本発明において、送信信号処理装置206は、アナログ処理部230の温度に対応する補償値を用いて、波形歪を補償する。以下に、変調部262より供給されるディジタル変調信号を調整する送信信号処理装置206の動作について説明する。
【0037】
変調部262は、π/4シフト4位相偏移変調方式により、ディジタル変調信号Zを形成する。ディジタル変調信号を複素数jを用いて複素数表示したときに、ディジタル変調信号は、次式で示す実数部分を示すI成分および虚数部分を示すQ成分を有する。
Z=I+jQ
さらにディジタル変調信号Zは、次式で示される振幅Aおよび位相Tを有する。
A=√(I2+Q2)
T=arctan(Q/I)
そして、変調部262は、ディジタル変調信号を、歪補償部260に含まれるプレディストーション部264および電力計算部266に出力する。
【0038】
電力計算部266が、入力されたディジタル変調信号に基づいて信号電力αを、次式により計算する。
α=I2+Q2
そして電力計算部266は、信号電力を補償値テーブル268に出力する。
【0039】
また、温度センサ252がアナログ処理部230の温度を測定する。温度センサ252は、アナログ処理部230全体の温度を測定してもよいが、アナログ送信信号に波形歪を生じさせる主たる要因となる部位を測定してもよい。本実施形態においては、温度センサ252が、波形歪を生じさせる部位として電力増幅部246の温度を測定する。温度センサ252は、アナログ処理部230の測定温度を、測定温度を示すアナログ温度信号としてアナログ・ディジタル変換部254へ出力する。アナログ・ディジタル変換部254は、アナログ温度信号を対応する測定温度を示すディジタル温度信号に変換し、補償値テーブル268に出力する。
【0040】
補償値テーブル268は、変調ディジタル信号の信号電力に対応して波形歪を補償するための電力補償データと、アナログ処理部230の温度に対応して電力補償データを補正するための温度補正データとを予め格納する。本実施形態において、温度補正データは、電力増幅部246の温度に対応して電力補償データを補正するためのデータである。このように、補償値テーブル268は、電力補償データと温度補正データの2種類のデータを有してもよいが、別の実施例においては、電力補償データと温度補正データの対応関係をまとめた補償値データを有しても良い。
【0041】
補償値テーブルへの補償値の格納は、図6で説明する補償値設定用冶具300を用いて行われる。アナログ処理部230より出力された送信アナログ信号が分波し、補償値設定用冶具300に入力される。また、補償値設定用冶具300より出力された信号は、歪補償部260に入力される。
【0042】
補償値テーブル268は、ディジタル変調信号の信号電力に対応する電力補償データと、電力増幅部246の温度を示す温度ディジタル信号に対応する温度補正データとに基づいて、アナログ送信信号の波形歪を補償するための補償値hpを生成する。補償値hpは、アナログ処理部230の非線形歪特性の逆特性を有する。補償値hpは、プレディストーション部264に出力される。
【0043】
プレディストーション部264は、入力された補償値hpに基づいて、ディジタル変調信号Zを次式により補償し、ディジタル補償信号Z’を形成する。
Z’=Z×hp
また、補償値hpを用いて補償された、ディジタル補償信号Z’の振幅A’および位相T’は次式で表される。
A’=√((hp×I)2+(hp×Q)2)
T’=arctan((hp×Q)/(hp×I))
ディジタル変調信号ZのI成分およびQ成分に対して、補償値hpを、それぞれ独立に設定することにより、ディジタル補償信号Z’を形成してもよい。プレディストーション部264は、ディジタル補償信号をディジタル・アナログ変換部232に出力する。
【0044】
ディジタル・アナログ変換部232は、ディジタル補償信号を対応するアナログ補償信号に変換し、アナログ処理部230に出力する。予めアナログ処理部230の温度に基づいて補償されたアナログ補償信号を、アナログ処理部230に入力することにより、アナログ処理部230を見かけ上、線形動作させることができる。そしてアナログ処理部230は、アナログ補償信号を調整し、波形歪の低減されたアナログ送信信号を形成することができる。さらにアナログ処理部230は、アナログ送信信号を共用部212に出力し、共用部212は、アナログ送信信号を空中線132に出力することにより送信する。
【0045】
本実施形態による無線送受信装置200においては、従来設けられていた閉回路が存在しない。そのため、従来よりも回路規模を縮小することが可能となり、また、信号を閉ループ処理することにより信号の収束に時間がかかるという従来の問題を解決することが可能となる。
【0046】
図6は、図5を参照して、無線送受信装置200における補償値テーブル268に、温度補正データおよび電力補償データ、ないしは補償値データを設定する補償値設定用冶具300を示す。補償値設定用冶具300は、信号のレベルを調整するレベル調整部310、信号の周波数を変換する周波数変換部312、所定の周波数帯域を有する信号だけを通過させる帯域フィルタ314、信号を増幅する増幅部316、信号の直交検波を行う直交検波部318およびアナログ信号を対応するディジタル信号に変換するアナログ・ディジタル変換部320を備える。
【0047】
補償値設定用冶具300は、無線送受信装置200における温度補正データおよび電力補償データ、ないしは補償値データなどを予め設定し、無線送受信装置200に含まれる補償値を格納するための補償値テーブル268に、補償値を書き込むために使用する。補償値設定冶具300は、無線送受信装置200が外部とデータ内容の入出力を行うための外部入出力端子に接続されることにより使用されるのが好ましい。また、温度補正データおよび電力補償データ、ないしは補償値データなどを、移動局または基地局を使用する前に、例えば、工場出荷時などに、補償値設定用冶具300を用いて設定するのが好ましい。
【0048】
補償値設定用冶具300の動作について説明する。無線送受信装置200の送信部であるアナログ処理部230より送信されるアナログ送信信号が、補償値設定用冶具300に入力される。レベル調整部310、周波数変換部312、帯域フィルタ314、増幅部316、直交検波部318は、通過するアナログ送信信号を調整し、アナログ・ディジタル変換部320にアナログ帰還信号として出力する。アナログ・ディジタル変換部320は、アナログ帰還信号を対応するディジタル帰還信号に変換し、無線送受信装置200に含まれるベースバンド処理部136の一部である歪補償部260に出力する。
【0049】
歪補償部260は、歪補償部260に入力された送信信号を示すディジタル変調信号、送信部であるアナログ処理部230の測定温度を示すディジタル温度信号、およびディジタル帰還信号に基づいて、当該測定温度における最適な補償値を、補償値テーブル268に書き込む。以上の動作を各々の温度において繰り返し行うことにより、各々の温度における最適な補償値を有する補償値テーブルを作成することができる。
【0050】
また、補償値テーブルへの補償値の書き込みは、補償値設定用冶具300により制御されてもよい。その場合、補償値設定用冶具300は、無線送受信装置200に含まれる補償値テーブル268に、補償値を書き込む制御を行う書き込み制御部を有すればよい。
【0051】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0052】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本発明によれば、送信信号の波形歪を補償するために必要な時間を短縮することができ、また送信信号処理装置を小型化することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の周波数分割多元接続方式ディジタル無線通信に利用されていた無線通信送受信装置10を示す。
【図2】本発明の一実施形態であるディジタル無線通信システム110を示す。
【図3】本発明の一実施形態である基地局130の構成を示す。
【図4】本発明の一実施形態である移動局150の構成を示す。
【図5】本発明の一実施形態である無線送受信装置200を示す。
【図6】無線送受信装置200における補償値テーブル268に、温度補正データおよび電力補償データ、ないしは補償値データを設定する補償値設定用冶具300を示す。
【符号の説明】
10・・無線通信処理装置、12・・空中線、14・・送受信装置、16・・ベースバンド処理部、20・・受信部、22・・共用部、24・・増幅部、26・・帯域フィルタ、28・・周波数変換部、30・・帯域フィルタ、32・・周波数変換部、34・・低域フィルタ、36・・アナログ・ディジタル変換部、40・・送信部、42・・ディジタル・アナログ変換部、44・・低域フィルタ、46・・直交変調部、48・・周波数変換部、50・・帯域フィルタ、52・・増幅部、54・・帯域フィルタ、56・・電力増幅部、58・・低域フィルタ、60・・送信信号調整用帰還部、62・・レベル調整部、64・・周波数変換部、66・・帯域フィルタ、68・・増幅部、70・・直交検波部、72・・アナログ・ディジタル変換部、80・・歪補償部、82・・変調部、84・・プレディストーション部、86・・電力計算部、88・・誤差計算部、90・・係数テーブル、92・・係数更新部、100・・帯域フィルタ、102・・直交検波部、104・・同期部、106・・復号部、110・・ディジタル無線通信システム、120・・制御局、130・・基地局、150・・移動局、130・・基地局、132・・空中線、134・・送受信部、136・・ベースバンド処理部、138・・基地局制御部、140・・伝送部、150・・移動局、152・・空中線、154・・送受信部、156・・ベースバンド処理部、158・・移動局制御部、160・・温度測定部、200・・無線送受信装置、206・・送信信号処理装置、210・・受信部、212・・共用部、214・・増幅部、216・・帯域フィルタ、218・・周波数変換部、220・・帯域フィルタ、222・・周波数変換部、224・・低域フィルタ、226・・アナログ・ディジタル変換部、230・・アナログ処理部、232・・ディジタル・アナログ処理部、234・・低域フィルタ、236・・直交変調部、238・・周波数変換部、240・・帯域フィルタ、242・・増幅部、244・・帯域フィルタ、246・・電力増幅部、248・・低域フィルタ、252・・温度センサ、254・・アナログ・ディジタル変換部、260・・歪補償部、262・・変調部、264・・プレディストーション部、266・・電力計算部、268・・補償値テーブル、280・・帯域フィルタ、282・・直交検波部、284・・同期部、286・・復号部、300・・補償値設定用冶具、310・・レベル調整部、312・・周波数変換部、314・・帯域フィルタ、316・・増幅部、318・・直交検波部、320・・アナログ・ディジタル変換部
Claims (1)
- 周波数分割多元接続方式ディジタル無線通信に利用される送信信号処理装置であって、
データ内容を示すディジタル信号を、アナログ信号に変換するディジタル・アナログ変換部と、
前記ディジタル・アナログ変換部から出力されたアナログ信号をアナログ処理するアナログ処理部と、
前記アナログ処理部の温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部で測定された温度に対応する、前記アナログ処理部で処理されるアナログ信号の波形歪を補償するための補償値を用いて、前記ディジタル・アナログ変換部に出力されるディジタル信号を調整する歪補償部とを備え、
前記アナログ処理部が電力増幅部を有し、
前記温度測定部が前記電力増幅部の温度を測定し、
前記歪補償部は、前記電力増幅部の温度に対応する前記補償値を予め格納した補償値テーブルを有し、
前記アナログ処理部は、前記ディジタル・アナログ変換部から出力された温度に基づいて補償されたアナログ補償信号を入力することにより線形動作することを特徴とする送信信号処理装置。
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