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JP4453122B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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JP4453122B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムマンガン複合酸化物を正極材料とする非水電解質二次電池の、特に、その負極の技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動体通信機器,携帯電子機器の主電源として利用されている非水電解質二次電池は、起電力が高く、高エネルギー密度である特長を有している。この非水電解質二次電池に用いる正極材料としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2 ),ニッケル酸リチウム(LiNiO2 ),マンガン酸リチウム(LiMn2 4 等)等のリチウムと3d軌道に電子を有する遷移金属との複合酸化物が知られている。特に、リチウムマンガン酸化物は、他の酸化物に比べ、低公害性で安価であるという利点を有し、この観点から研究開発が盛んになってきている。
【0003】
この研究開発では、電池容量や安全性を向上させる検討の他に、以下のような課題に対しても検討がなされている。
【0004】
非水電解質二次電池は、特に携帯用移動端末の電源としてのニーズが高いため、様々な使用環境が想定されるので、電池開発においては、環境試験が必要不可欠な要素となっている。例えば、高温多湿の雰囲気での使用や低温環境での使用を想定した試験等が必要である。
【0005】
特に、夏期の車中といった高温環境下において、非水電解質二次電池が使用されたり、または保存されたりすると、電池容量の損失やサイクル特性の低下といった電池性能が損なわれることがある。
【0006】
また、このような高温環境下に保存された非水電解質二次電池が、その電池性能を劣化させることは、リチウムマンガン複合酸化物を正極材料に用いた非水電解質二次電池において、さらに深刻な問題となってきている。
【0007】
これは高温環境下に保存することによって、正極活物質であるリチウムマンガン複合酸化物中からマンガンイオンが溶出することが直接的な原因となっており、この観点より、正極材料からのマンガンイオンの溶出を抑制させるような材料の検討がなされてきた。例えば、特開平9−73902号公報においては、リチウムマンガン複合酸化物中に含まれるナトリウムを0.1〜0.8モル%にすることにより、原材料中に含まれる不純物を取り除いてマンガンイオンの溶出を抑制する技術が開示されている。また、特開平9−82360号公報においては、正極材料であるリチウムマンガン複合酸化物の表面にリチウムイオン伝導性固体電解質を被覆することにより、マンガンイオンの溶出を抑制する技術が開示されている。
【0008】
これらいずれの開示も、高温環境下において使用したり、保存したりした場合、電池特性の劣化を抑えるのには効果があり、これらの技術は、電解液と正極活物質との反応性を低減させるという観点に立ったものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の技術にあっては、正極材料としての原材料を調製する過程やリチウムマンガン複合酸化物を合成する過程で、洗浄や再熱処理といった工程の追加が必要となり、このことから原材料や正極活物質の調製に対して合成時間とコストがかかるという問題点を有していた。さらに、これら従来の技術では、電池を高温環境下に保存した場合の電池特性の劣化は抑制されるが、マンガンイオンの溶出を完全に止めることはできないという問題点があった。正極材料からマンガンイオンが微量でも溶出すると、電池容量が損失するといった電池特性の劣化が発生する。
【0010】
そこで、本発明はこのような従来の問題点を解決するもので、夏期の自動車内のような高温環境下で使用したり、保存されたりした場合でも、高い電池容量を維持できる非水電解質二次電池を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明の非水電解質二次電池は、リチウムマンガン複合酸化物を正極に用い、負極にナトリウム,カリウム,カルシウム,ストロンチウムからなる化合物の少なくとも1種を含有させたものであり、この化合物が、、NaOH,Na ,Na CO ,NaNH ,KOH,Ca(OH) ,またはSr(OH) のいずれかであるものである。これにより、マンガンイオンの溶出が抑制され、高温環境下における電池の保存特性およびサイクル特性を改善することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、正極材料にリチウムマンガン複合酸化物を、負極材料にリチウムを吸蔵・放出可能な材料を備えた非水電解質二次電池において、負極に、ナトリウム,カリウム,カルシウム,ストロンチウムの群から選ばれた元素からなる化合物の少なくとも1種を含有させたものであり、この化合物が、NaOH,Na ,Na CO ,NaNH ,KOH,Ca(OH) ,またはSr(OH) のいずれかであるものである。
【0013】
上記のような正極材料を備えた非水電解質二次電池の高温環境下における劣化メカニズムの理由について、以下に述べる。
【0014】
一般に、三価の酸化状態を含むマンガン酸化物は、酸等の共存下では、式1のような不均化反応を起こして溶解する。
【0015】
2Mn(三価)→ Mn(四価)+Mn(二価) (1)
このマンガンの溶解現象は、非水電解液中においても生じ、非水電解液二次電池の場合も、正極材料中にあるマンガンと非水電解液が反応してマンガンの一部が溶解し、さらに、高温の環境下においては、この溶解をもたらす不均化反応は加速される。
【0016】
溶解したマンガンは、式1のMn(二価)として電解液中に溶解し、プラス電荷を有したこのマンガンイオンは、卑な電位である負極材料側へと移動し、その後、負極材料上でマンガン化合物として生成される。この負極材料上で生成したマンガン化合物が、非水電解質二次電池における本来の電荷移動体であるリチウムイオンの移動を阻害する。さらに、生成したマンガン化合物は絶縁体に近いので、電池のインピーダンスが上昇する原因ともなっている。以上のようにして、高温環境下における非水電解質二次電池は、保存後の電池容量の損失を惹起するものと考えられる。
【0017】
そして、非水電解質二次電池の高温環境下における保存後の電池特性の劣化を低減させるには、正極材料からマンガンイオンを溶出させないこと、あるいは、マンガンイオンが溶出したとしても負極上にマンガン化合物が生成しないようにさせることが必要不可欠となる。
【0018】
しかし、正極材料からのマンガンイオンの溶出を完全に止めることは難しいので、負極上でマンガン化合物が生成しないような状態にすることが必要となる。
【0019】
そこで、負極中にナトリウム,カリウム,カルシウム,ストロンチウムのいずれかの元素からなる化合物を含有させると、絶縁性の高い上記マンガン化合物とは異なるマンガン化合物、すなわち、絶縁性の低い別のマンガン化合物が負極上に生成するため、電池のインピーダンスの上昇は少なく、容量損失は少なくなると考えられる。
【0020】
本発明の負極において含有させるナトリウム,カリウム,カルシウム,ストロンチウムの群からなる元素の含有量は、負極材料,結着剤,添加剤等からなる負極合剤全体に対して0.01重量%以上10重量%であることが好ましい。含有量が少量すぎると電池性能の改善の十分な効果が得られず、含有量が多量すぎると負極全体に対する負極材料の量が減り実用的な電池容量が得られないからである。さらに好ましい含有量は0.01重量%以上5重量%以下である。
【0021】
ナトリウムの場合は、NaOH,Na ,Na CO ,NaNH を用い、カリウムの場合は、KOHを用い、カルシウムの場合は、Ca(OH) 用い、さらに、ストロンチウムの場合は、Sr(OH) を用いる
【0022】
負極中にナトリウム,カリウム,カルシウム,ストロンチウム等を含ませるのは、上記化合物を負極材料,結着剤等に添加して負極合剤層中に含ませる方法、または、負極材料の製造工程で上記化合物を混合し焼成することにより、負極材料の結晶中に含ませる方法等があげられる。
【0023】
本発明で用いられるリチウムマンガン複合酸化物としては、例えば、LiMn24 ,LiMnO2(斜方晶系,六方晶系),Li2Mn49 ,Li4Mn512,Li2MnO3 ,LiMn36 等があげられる。特にLiMn24 ,斜方晶系のLiMnO2 が好ましい。
【0024】
LiMn24 は、比表面積が2.0m2/g以下、平均粒径が3μm以上30μm以下、および格子定数aが8.25Å以下であることが好ましく、斜方晶系のLiMnO2 においては、比表面積が5.0m2/g以下、平均粒径が3μm以上30μm以下、および格子定数a,b,cがそれぞれ2.75Å以上,5.70Å以上,4.55Å以上であるのが好ましい。これらの物性値を有するものを用いると、電池容量の損失の原因となるマンガン(二価)イオンの溶出が比較的少ないからである。
【0025】
本発明に用いられる正極および負極は、リチウムイオンを電気化学的かつ可逆的に挿入・放出できる正極材料や負極材料に導電剤,結着剤等を含む合剤層を集電体の表面に塗着して作製されたものである。
【0026】
本発明に用いられる正極材料には、上記リチウムマンガン複合酸化物を用いることができる。
【0027】
本発明で使用される正極用導電剤は、用いる正極材料の充放電電位において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等),人造黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック,ケッチェンブラック,チャンネルブラック,ファーネスブラック,ランプブラック,サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維,金属繊維等の導電性繊維類、フッ化カーボン,アルミニウム等の金属粉末類、酸化亜鉛,チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類、酸化チタン等の導電性金属酸化物あるいはポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料等を単独またはこれらの混合物として含ませることができる。これらの導電剤のなかで、人造黒鉛,アセチレンブラックが特に好ましい。導電剤の添加量は、特に限定されないが、正極材料に対して1〜50重量%が好ましく、特に1〜30重量%が好ましい。カーボンやグラファイトでは、2〜15重量%が特に好ましい。
【0028】
本発明に用いられる正極用結着剤としては、熱可塑性樹脂,熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。本発明において好ましい結着剤は、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),スチレンブタジエンゴム,テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体,テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP),テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体,フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体,エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂),ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE),フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体,プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体,エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE),フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体,フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体,エチレン−アクリル酸共重合体または前記材料の(Na+ )イオン架橋体,エチレン−メタクリル酸共重合体または前記材料の(Na+ )イオン架橋体,エチレン−アクリル酸メチル共重合体または前記材料の(Na+ )イオン架橋体,エチレン−メタクリル酸メチル共重合体または前記材料の(Na+ )イオン架橋体をあげることができ、これらの材料を単独または混合物として用いることができる。またこれらの材料のなかでより好ましい材料はポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0029】
本発明に用いられる正極用集電体としては、用いる正極材料の充放電電位において化学変化を起こさない電子伝導体であれば何でもよい。例えば、材料としてステンレス鋼,アルミニウム,チタン,炭素,導電性樹脂等の他に、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボンあるいはチタンを処理させたものが用いられる。特に、アルミニウムあるいはアルミニウム合金が好ましい。これらの材料の表面を酸化して用いることもできる。また、表面処理により集電体表面に凹凸を付けることが望ましい。形状は、フォイルの他、フィルム,シート,ネット,パンチされたもの,ラス体,多孔質体,発泡体,繊維群,不織布体の成形体等が用いられる。厚みは、特に限定されないが、1〜500μmのものが用いられる。
【0030】
本発明に用いられる負極材料としては、リチウム金属,リチウム合金,合金,金属間化合物,炭素,有機化合物,無機化合物,金属錯体,有機高分子化合物等のリチウムイオンを吸蔵・放出できる化合物であればよい。これらは単独でも、また組み合わせて用いてもよい。
【0031】
リチウム合金としては、Li−M(M=Al,Ga,Cd,In,Pb,Bi,Mg),Li−Al−M(M=Mn,Mg,Sn,In,Cd,Te)等があげられる。
【0032】
合金,金属間化合物としては珪素,亜鉛,アルミニウムもしくはスズと遷移金属の化合物等があげられる。
【0033】
炭素質材料としては、コークス,熱分解炭素類,天然黒鉛,人造黒鉛,メソカーボンマイクロビーズ,黒鉛化メソフェーズ小球体,気相成長炭素,ガラス状炭素類,炭素繊維(ポリアクリロニトリル系,ピッチ系,セルロース系,気相成長炭素系),不定形炭素,有機物の焼成された炭素等があげられ、これらは単独でも、組み合わせて用いてもよい。なかでもメソフェーズ小球体を黒鉛化したもの,天然黒鉛,人造黒鉛等の黒鉛材料が好ましい。
【0034】
無機化合物としては例えば、スズ化合物,珪素化合物、無機酸化物としては、例えば、チタン酸化物類,タングステン酸化物類,モリブデン酸化物類,ニオブ酸化物類,バナジウム酸化物類,鉄酸化物類等があげられる。また、無機カルコゲナイドとしては、例えば、硫化鉄,硫化モリブデン,硫化チタン等があげられる。有機高分子化合物としては、ポリチオフェン,ポリアセチレン等の高分子化合物、窒化物としては、コバルト窒化物類,銅窒化物類,ニッケル窒化物類,鉄窒化物類,マンガン窒化物類等を用いることができる。
【0035】
本発明に用いられる負極用導電剤は、電子伝導性材料であれば何でもよい。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等),人造黒鉛,膨張黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック,ケッチェンブラック,チャンネルブラック,ファーネスブラック,ランプブラック,サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維,金属繊維等の導電性繊維類、銅,ニッケル等の金属粉末類およびポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料等を単独またはこれらの混合物として含ませることができる。これらの導電剤のなかで、人造黒鉛,アセチレンブラック,炭素繊維が特に好ましい。導電剤の添加量は、特に限定されないが、負極材料に対して1〜50重量%が好ましく、特に1〜30重量%が好ましい。また本発明の負極材料はそれ自身電子伝導性を有するため、導電剤を添加しなくても電池として機能させることは可能である。
【0036】
本発明に用いられる負極用結着剤としては、熱可塑性樹脂,熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。本発明において好ましい結着剤は、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),スチレンブタジエンゴム,テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体,テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP),テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体,フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体,エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂),ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE),フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体,プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体,エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE),フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体,フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体,エチレン−アクリル酸共重合体または前記材料の(Na+ )イオン架橋体,エチレン−メタクリル酸共重合体または前記材料の(Na+ )イオン架橋体,エチレン−アクリル酸メチル共重合体または前記材料の(Na+ )イオン架橋体,エチレン−メタクリル酸メチル共重合体または前記材料の(Na+ )イオン架橋体をあげることができ、これらの材料を単独または混合物として用いることができる。またこれらの材料のなかでより好ましい材料は、スチレンブタジエンゴム,ポリフッ化ビニリデン,エチレン−アクリル酸共重合体または前記材料の(Na+ )イオン架橋体,エチレン−メタクリル酸共重合体または前記材料の(Na+ )イオン架橋体,エチレン−アクリル酸メチル共重合体または前記材料の(Na+ )イオン架橋体,エチレン−メタクリル酸メチル共重合体または前記材料の(Na+ )イオン架橋体である。
【0037】
本発明に用いられる負極用集電体としては、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導体であれば何でもよい。例えば、材料としてステンレス鋼,ニッケル,銅,チタン,炭素,導電性樹脂等の他に、銅やステンレス鋼の表面にカーボン,ニッケルあるいはチタンを処理させたもの等が用いられる。特に、銅あるいは銅合金が好ましい。これらの材料の表面を酸化して用いることもでき、また、表面処理により集電体表面に凹凸を付けてもよい。形状は、フォイルの他、フィルム,シート,ネット,パンチングされたもの,ラス体,多孔質体,発泡体,繊維群の成形体等が用いられる。厚みは、特に限定されないが、1〜500μmのものが用いられる。
【0038】
正極または負極の電極合剤には、導電剤や結着剤の他、フィラー,分散剤,イオン伝導体,圧力増強剤およびその他の各種添加剤を用いることができる。フィラーは、構成された電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー,ガラス,炭素等の繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、電極合剤に対して0〜30重量%が好ましい。
【0039】
本発明における負極板と正極板の構成は、少なくとも正極合剤面の対向面に負極合剤面が存在していることが好ましい。
【0040】
本発明に用いられる非水電解質は、溶媒と、その溶媒に溶解するリチウム塩とから構成されている。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC),プロピレンカーボネート(PC),ブチレンカーボネート(BC),ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC),ジエチルカーボネート(DEC),エチルメチルカーボネート(EMC),ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類、ギ酸メチル,酢酸メチル,プロピオン酸メチル,プロピオン酸エチル等の樹脂族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1,2−ジメトキシエタン(DME),1,2−ジエトキシエタン(DEE),エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン,2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド,1,3−ジオキソラン,ホルムアミド,アセトアミド,ジメチルホルムアミド,ジオキソラン,アセトニトリル,プロピルニトリル,ニトロメタン,エチルモノグライム,リン酸トリエステル,トリメトキシメタン,ジオキソラン誘導体,スルホラン,メチルスルホラン,1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン,3−メチル−2−オキサゾリジノン,プロピレンカーボネート誘導体,テトラヒドロフラン誘導体,エチルエーテル,1,3−プロパンサルトン,アニソール,ジメチルスルホキシド,N−メチルピロリドン等の非プロトン性有機溶媒をあげることができ、これらの1種または2種以上を混合して使用する。なかでも環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合系または環状カーボネートと鎖状カーボネートおよび脂肪族カルボン酸エステルとの混合系が好ましい。
【0041】
これらの溶媒に溶解するリチウム塩としては、例えばLiClO4 ,LiBF4 ,LiPF6 ,LiAlCl4 ,LiSbF6 ,LiSCN,LiCl,LiCF3SO3 ,LiCF3CO2 ,Li(CF3SO22 ,LiAsF6 ,LiN(CF3SO22 ,LiB10Cl10 ,低級脂肪族カルボン酸リチウム,LiCl,LiBr,LiI,クロロボランリチウム,四フェニルホウ酸リチウム,イミド類等をあげることができ、これらを使用する電解液等に単独または2種以上を組み合わせて使用することができるが、特にLiPF6 を含ませることがより好ましい。
【0042】
本発明における特に好ましい非水電解質は、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを少なくとも含み、支持塩としてLiPF6 を含む電解液である。これら電解質を電池内に添加する量は、特に限定されないが、正極材料や負極材料の量や電池のサイズによって必要量を用いることができる。支持電解質の非水溶媒に対する溶解量は、特に限定されないが、0.2〜2モル/リットルが好ましい。特に、0.5〜1.5モル/リットルとすることがより好ましい。
【0043】
また、電解液の他に次のような固体電解質も用いることができる。固体電解質としては、無機固体電解質と有機固体電解質に分けられる。無機固体電解質には、Liの窒化物,ハロゲン化物,酸素酸塩等がよく知られている。なかでも、Li4SiO4 ,Li4SiO4−LiI−LiOH,xLi3PO4−(1−x)Li4SiO4 ,Li2SiS3 ,Li3PO4−Li2S−SiS2 ,硫化リン化合物等が有効である。有機固体電解質では、例えば、ポリエチレンオキサイド,ポリプロピレンオキサイド,ポリホスファゼン,ポリアジリジン,ポリエチレンスルフィド,ポリビニルアルコール,ポリフッ化ビニリデン,ポリヘキサフルオロプロピレン等やこれらの誘導体,混合物,複合体等のポリマー材料が有効である。
【0044】
また、電解質にアルミニウム,ホウ素,カルシウム等の元素を添加することにより、負極上への絶縁体であるマンガン酸化物の生成をさらに抑制することができる。これは、添加元素のイオン種がマンガンイオンよりも優先的に溶媒和させることにより、電解液中をマンガンイオンが移動できなくなるからである。例えば、LiAl(OCH34 ,AlF3 ,LiAlH4 ,LiBF4 ,LiBH4 ,LiB47 ,Ca(BF42 ,CaB47 ,Ca(ClO42 ,CaCO3 ,CaF2 等の化合物を用いることができる。添加量としては0.01モル%以上5モル%以下であることが好ましい。
【0045】
さらに、放電容量や充放電特性を改良する目的で、他の化合物を電解質に添加することも有効である。例えば、トリエチルフォスファイト,トリエタノールアミン,環状エーテル,エチレンジアミン,n−グライム,ビリジン,ヘキサリン酸トリアミド,ニトロベンゼン誘導体,クラウンエーテル類,第四級アンモニウム塩,エチレングリコールジアルキルエーテル等をあげることができる。
【0046】
本発明に用いられるセパレータとしては、大きなイオン透過度を持ち、所定の機械的強度を持ち、絶縁性の微多孔性薄膜が用いられる。また、一定温度以上で孔を閉塞し、抵抗をあげる機能を持つことが好ましい。耐有機溶剤性と疎水性からポリプロピレン,ポリエチレン等の単独または組み合わせたオレフィン系ポリマーあるいはガラス繊維等から作られたシートや不織布または織布が用いられる。セパレータの孔径は、電極シートより脱離した正負極材料,結着剤,導電剤が透過しない範囲であることが望ましく、例えば、0.01〜1μmであるものが望ましい。セパレータの厚みは、一般的には、10〜300μmが用いられる。また、空孔率は、電子やイオンの透過性と素材や膜圧に応じて決定されるが、一般的には30〜80%であることが望ましい。
【0047】
また、ポリマー材料に、溶媒とその溶媒に溶解するリチウム塩とから構成される有機電解液を吸収保持させたものを正極合剤,負極合剤に含ませ、さらに有機電解液を吸収保持するポリマーからなる多孔性のセパレータを正極,負極と一体化した電池を構成することも可能である。このポリマー材料としては、有機電解液を吸収保持できるものであればよいが、特にフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体が好ましい。
【0048】
電池の形状はコイン型,ボタン型,シート型,積層型,円筒型,偏平型,角型,電気自動車等に用いる大型のもの等いずれにも適用できる。
【0049】
また、本発明の非水電解質二次電池は、携帯情報端末,携帯電子機器,家庭用小型電力貯蔵装置,自動二輪車,電気自動車,ハイブリッド電気自動車等に用いることができるが、特にこれらに限定されるわけではない。
【0050】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)
図1に本実施例で用いた円筒型電池の縦断面を示す。図1において1は耐有機電解液性のステンレス鋼板を加工した電池ケース、2は安全弁を設けた封口板、3は絶縁パッキングを示す。4は極板群であり、正極板5および負極板6がセパレータ7を介して複数回渦巻状に巻回されて電池ケース1内に収納されている。そして上記正極板5からは正極リード5aが引き出されて封口板2に接続され、負極板6からは負極リード6aが引き出されて電池ケース1の底部に接続されている。8は絶縁リングで極板群4の上下部にそれぞれ設けられている。
【0052】
負極板6は、負極材料としてのロンザ社製人造黒鉛94重量%と結着剤であるポリフッ化ビニリデン樹脂6重量%に、添加剤として水酸化ナトリウム(NaOH)を、負極合剤全体に対しNa含有量が5重量%となるように混合し、これらを脱水N−メチルピロリジノンに分散させてスラリーを作製し、銅箔からなる負極集電体上に塗布し、乾燥後、圧延して作製した。このとき乾燥状態の負極合剤中のNa含有量は5重量%であった。
【0053】
一方、正極板5は、比表面積0.95m2/g,平均粒径11.5μm,立方晶系(空間群Fd3m)に属する格子定数がa=8.20Åのマンガン酸リチウム粉末90重量%に対し、導電剤の炭素粉末5重量%と結着剤のポリフッ化ビニリデン樹脂5重量%を混合し、これらを脱水N−メチルピロリジノンに分散させてスラリーを作製し、アルミニウム箔からなる負極集電体上に塗布し、乾燥後、圧延して作製した。
【0054】
また、非水電解液には、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの体積比1:1の混合溶媒、LiPF6 を1.5モル/リットルの濃度になるように溶解したものを使用した。
【0055】
正極板5と負極板6を、セパレータ7を介して渦巻上に巻回し、直径18mm,高さ65mmの電池ケース1に収納した。そして、上記電解液を極板群4に注入した後、電池を密封口し、円筒型電池を作製した。
【0056】
(実施例2)
乾燥状態の負極合剤中のNa含有量を10重量%とした以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0057】
(実施例3)
乾燥状態の負極合剤中のNa含有量を0.01重量%とした以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0058】
(実施例4)
負極の添加剤を炭酸ナトリウム(Na2CO3)とした以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0059】
(実施例5)
負極の添加剤をナトリウムアミド(NaNH2)とした以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0060】
(実施例6)
負極の添加剤を酸化ナトリウム(Na22)とした以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0061】
(実施例7)
負極の添加剤を水酸化カリウム(KOH)とし、乾燥状態の負極合剤中のK含有量を5重量%とした以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0062】
(実施例8)
乾燥状態の負極合剤中のK含有量を10重量%とした以外は、実施例7と同様に円筒型電池を作製した。
【0063】
(実施例9)
乾燥状態の負極合剤中のK含有量を0.01重量%とした以外は、実施例7と同様に円筒型電池を作製した。
【0064】
(実施例10)
負極の添加剤を水酸化カルシウム(Ca(OH)2 )とし、乾燥状態の負極合剤中のCa含有量を5重量%とした以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0065】
(実施例11)
乾燥状態の負極合剤中のCa含有量を10重量%とした以外は、実施例10と同様に円筒型電池を作製した。
【0066】
(実施例12)
乾燥状態の負極合剤中のCa含有量を0.01重量%とした以外は、実施例10と同様に円筒型電池を作製した。
【0067】
(実施例13)
負極の添加剤を水酸化ストロンチウム〔Sr(OH)2〕とし、乾燥状態の負極合剤中のSr含有量を5重量%とした以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0068】
(実施例14)
乾燥状態の負極合剤中のSr含有量を10重量%とした以外は、実施例13と同様に円筒型電池を作製した。
【0069】
(実施例15)
乾燥状態の負極合剤中のSr含有量を0.01重量%とした以外は、実施例13と同様に円筒型電池を作製した。
【0070】
(実施例16)
正極板5に、比表面積2.02m2/g,平均粒径10.7μm,立方晶系(空間群Fd3m)に属す格子定数がa=8.20Åのマンガン酸リチウム粉末を用いる以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0071】
(実施例17)
正極板5に、比表面積2.93m2/g,平均粒径10.9μm,立方晶系(空間群Fd3m)に属す格子定数がa=8.20Åのマンガン酸リチウム粉末を用いる以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0072】
(実施例18)
正極板5に、比表面積0.97m2/g,平均粒径3.1μm,立方晶系(空間群Fd3m)に属す格子定数がa=8.20Åのマンガン酸リチウム粉末を用いる以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0073】
(実施例19)
正極板5に、比表面積1.05m2/g,平均粒径1.2μm,立方晶系(空間群Fd3m)に属す格子定数がa=8.20Åのマンガン酸リチウム粉末を用いる以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0074】
(実施例20)
正極板5に、比表面積1.08m2/g,平均粒径30.5μm,立方晶系(空間群Fd3m)に属す格子定数がa=8.20Åのマンガン酸リチウム粉末を用いる以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0075】
(実施例21)
正極板5に、比表面積0.95m2/g,平均粒径9.7μm,立方晶系(空間群Fd3m)に属す格子定数がa=8.25Åのマンガン酸リチウム粉末を用いる以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0076】
(実施例22)
正極板5に、比表面積1.03m2/g,平均粒径10.3μm,立方晶系(空間群Fd3m)に属す格子定数がa=8.30Åのマンガン酸リチウム粉末を用いる以外は、実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0077】
(比較例1)
負極板6に、添加剤の水酸化ナトリウム(NaOH)を混合しないこと以外は実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
【0078】
これらの電池を100mAの定電流で、まず4.3Vになるまで充電した後、100mAの定電流で3.0Vになるまで放電する充放電サイクルを繰り返した。また充放電は60℃の恒温槽の中で行った。なお、充放電は100サイクルまで繰り返し行い、初期の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の比を容量維持率として表1および表2に示した。
【0079】
【表1】
Figure 0004453122
【0080】
【表2】
Figure 0004453122
【0081】
表1より、実施例1〜12で作製した非水電解質二次電池は、比較例1で作製した電池に比べて、高温環境下でのサイクル劣化が抑制されていることがわかる。また、表1の実施例1と実施例2、実施例7と実施例8、実施例10と実施例11、実施例13と実施例14の結果から、Na,K,Ca,Srは乾燥状態の負極合剤に対して10重量%を超える量で含有させてもさらなる劣化抑制効果が見込めないことが予測できる。また、Na,K,Ca,Srの含有量を増加させると、負極活物質量が相対的に減少して電池容量が低下する。従って、Na,K,Ca,Srの含有量を10重量%以下とすることが好ましいことがわかる。
【0082】
また、比較例1と実施例3,実施例9,実施例12,実施例15の結果から、Na,K,Ca,Srは乾燥状態の負極合剤に対して0.01重量%を超える量で含有させないと十分な劣化抑制効果が得られないことがわかる。
【0083】
以上のことから、乾燥状態の負極合剤中のNa,K,Ca,Sr含有量を0.01〜10重量%とすることが合理的であることがわかる。
【0084】
また、実施例1,実施例4,実施例5,実施例6の結果から、負極合剤に添加する際、その化合物種の如何を問わず、Naの含有量が同一であれば、同様の劣化抑制効果を得られることがわかる。
【0085】
表2の実施例1と実施例16,実施例17,実施例21,実施例22の結果から、正極のマンガンリチウム複合酸化物の比表面積が2m2/gより大きいとNaを含有させても劣化抑制効果は小さくなり、正極格子定数が8.25Åより大きい場合も同様に、劣化抑制効果が小さくなることがわかる。
【0086】
実施例1と実施例18,実施例19,実施例20の結果から、正極のマンガンリチウム複合酸化物の平均粒径が3μmより小さいと劣化抑制効果は小さくなり、逆に平均粒径が大きくなると容量維持率は上昇することがわかる。しかし、正極平均粒径が30μmを超えると電池作製が困難であった。
【0087】
以上のことから、正極のマンガンリチウム複合酸化物は、比表面積2.0m2/g以下,平均粒径3〜30μm,立方晶系(空間群Fd3m)に属す格子定数がa=8.25Å以下とすることが好ましいことがわかる。
【0088】
なお、斜方晶系のLiMnO2 においても同様の実験を行ったところ、比表面積が5.0m2/g以下、平均粒径が3μm以上30μm以下、および格子定数a,b,cがそれぞれ2.75Å以上,5.70Å以上,4.55Å以上であるもので、Na等を含有させることによる容量維持率の上昇がみられた。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、非水電解質二次電池の特にリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質とした非水電解質二次電池の、高温環境下での保存特性,高温サイクル特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例ならびに比較例における円筒型電池の縦断面図
【符号の説明】
1 電池ケース
2 封口板
3 絶縁パッキング
4 極板群
5 正極板
5a 正極リード
6 負極板
6a 負極リード
7 セパレータ
8 絶縁リング

Claims (4)

  1. リチウムマンガン複合酸化物を正極材料とする正極と、リチウムの吸蔵・放出が可能な材料を負極材料とし、ナトリウム,カリウム,カルシウム,ストロンチウムの群から選ばれた元素からなる化合物の少なくとも1種を含有する負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池であって、
    前記化合物が、NaOH,Na ,Na CO ,NaNH ,KOH,Ca(OH) ,またはSr(OH) のいずれかである非水電解質二次電池
  2. ナトリウム,カリウム,カルシウム,ストロンチウムの群から選ばれた元素の含有量は、負極合剤に対して0.01重量%以上10重量%以下とした請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 正極に立方晶系に属するマンガンリチウム複合酸化物を用い、前記マンガンリチウム複合酸化物は、比表面積が2.0m/g以下、平均粒径が3μm以上30μm以下、格子定数aが8.25Å以下とした請求項1または2記載の非水電解質二次電池。
  4. 正極に斜方晶系に属するマンガンリチウム複合酸化物を用い、前記マンガンリチウム複合酸化物は、比表面積が5.0m/g以下、平均粒径が3μm以上30μm以下、格子定数aが2.75Å以上、bが5.70Å以上、cが4.55Å以上とした請求項1または2記載の非水電解質二次電池。
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