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JP4500255B2 - 廃棄物溶融炉用マッド材とそれに用いられる耐火原料配合物 - Google Patents
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JP4500255B2 - 廃棄物溶融炉用マッド材とそれに用いられる耐火原料配合物 - Google Patents

廃棄物溶融炉用マッド材とそれに用いられる耐火原料配合物 Download PDF

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Description

本発明は、都市ごみ、産業廃棄物、あるいは焼却灰等の廃棄物を溶融する廃棄物溶融炉における出湯口を閉塞する廃棄物溶融炉用マッド材と、この廃棄物溶融炉用マッド材の原料として用いられる耐火原料配合物とに関する。
現在、大半の廃棄物は焼却方式で処理されているが、焼却方式では焼却灰の埋め立て処分場を必要とする等の欠点がある。そこで、廃棄物溶融炉を用いて廃棄物を溶融することで減容化し、さらに安定物質として再利用する技術が開発されている。
図1は、従来から知られている廃棄物溶融炉を例示した概略図である。この廃棄物溶融炉1は、直接溶融炉(シャフト炉)と称されるタイプのものであり、たて型の炉1の上部に装入口2及び排気口3を有し、下部に羽口4及び出湯口5を有する。出湯口5の下方には水槽6が配置される。
出湯口5は、図示しないマッドガン(圧入機)により注入されたマッド材7で閉塞されている。装入口2から廃棄物、コークス及び石灰石等を炉1内に装入する。装入された廃棄物等は、羽口4から供給される酸素富加空気によりその一部が燃焼され、燃焼の過程で発生する水蒸気、熱分解ガス、及び微細ダスト等は、排気口3から排出される。一方、廃棄物の灰分、非燃焼物、コークス、及び石炭等は、高温に加熱されつつ炉1の底部へと下がっていき、1300℃〜1650℃の溶融状態で炉1の底に溜まる。
出湯口5に充填されたマッド材7は、廃棄物溶融炉1の熱で焼成される。焼結したマッド材7を、先端にビットが形成されたロッドを備えた開孔機8で掘削し、出湯口5を開孔する。すると、炉1の底に溜まった廃棄物溶融スラグが出湯口5を通して炉1の外へ排出される。排出された廃棄物溶融スラグは、樋9を通って水槽6に流れ込み、急冷されて砂状の粒となる。砂状の粒となった廃棄物スラグは、磁選機によって、金属分と灰分とに分離され、金属分は重機のカウンターウエイト等として、また灰分は路盤その他コンクリート製品の骨材等として再利用される。
ところで従来、廃棄物溶融炉1の出湯口5を閉塞するマッド材7には、高炉の出湯口を閉塞する高炉用マッド材がそのまま流用されている。高炉用マッド材は、粒度調整された粉末状の耐火原料配合物にバインダを加えて練り込んだ練り土状の材料であり、バインダにタールやピッチ等の石炭又は石油分留物を用いたタイプのもの(特許文献1等参照)、フェノール樹脂等の合成樹脂を用いたタイプのもの(特許文献2等参照)、及び石炭又は石油分留物と合成樹脂との両方を用いたタイプのもの(特許文献3等参照)に大別される。
本明細書において、バインダとは、粉末状の耐火原料配合物を練り土状とするために耐火原料配合物に加える混練液であって、石炭若しくは石油分留物、及び/又は合成樹脂をいうものとする。また、本明細書において、「〜」の記号は、両端点を含む意味で用いるものとする。また、本明細書において、Al、SiO、C等のように化学式で表記したものは化学成分を意味し、アルミナ質原料、シリカ質原料、カーボン質原料のようにカタカナで表記したものは不可避的不純物を含有する可能性のある現実の耐火原料を意味するものとする。
特開平11−278949号公報 特開平10−036178号公報 特開平11−349383号公報
廃棄物溶融スラグが出湯する過程で、マッド材7の一部が廃棄物溶融スラグに溶出したり、あるいはマッド材7の掘削屑等が廃棄物溶融スラグに混入することがある。高炉においては、仮にスラグ中にマッド材の一部が溶出又は混入しても、それらは後の製鋼過程で除外されるため、鋼製品の品質に影響を与えず何ら問題は生じない。ところが、廃棄物の溶融処理では、廃棄物溶融スラグからマッド材の溶出成分等を除去することはなく、廃棄物溶融スラグがマッド材の溶出成分等を含んだままの状態で水槽6に流れ込む。この結果、ごく僅かではあるが、廃棄物スラグや水槽6内の貯留水がベンツピレン等の有害物質を含有することとなる。
従来においても、廃棄物スラグや水槽6内の貯留水が含有する有害物質の量は安全基準を充分にクリアしており、例えば廃棄物スラグ(上記灰分)は、天然砂並みに無害で安全である。しかし、仮に廃棄物スラグや水槽6内の貯留水が含有する有害物質の量をさらに低減することができれば、貯留水を排水するための処理も簡略化できるし、また廃棄物スラグの再利用の用途の可能性が広がることとなり、業界に与える利益は大である。
発明者らは、廃棄物スラグや水槽6内の貯留水への有害物質の溶出は、マッド材を構成するバインダに原因の一つがあるのではないかとの考えに至った。調査の結果、廃棄物スラグ等への有害物質の溶出は、バインダに石炭又は石油分留物を用いたタイプのマッド材を用いる場合に特に顕著となり、またバインダに合成樹脂を用いたタイプのマッド材を用いる場合にも、バインダに起因した有害物質の溶出が少なからず発生し得ることが判った。本発明の目的の一つは、廃棄物スラグや水槽内の貯留水等への有害物質の混入を従来よりも低減することができる廃棄物溶融炉用マッド材を提供することにある。
また、出湯口の開孔は、高炉においては、例えば3時間に1回程度の割合で行われるが、廃棄物溶融炉の場合、30分〜1時間に1回程度の割合で行われる。このため、炉前における作業負荷の低減及び作業環境の改善の観点から、廃棄物溶融処理においては、高炉における場合よりも、例えばマッド材の開孔容易性(快削性)及びマッド材掘削時における粉塵発生の抑制が特に強く望まれる。この点、従来の上記各タイプの高炉用マッド材は、熱間強度及び焼結強度に優れる反面、過度の強度発現が粉塵の発生及び開孔容易性の低下を招く原因となっていると考えられる。本発明の他の目的は、炉前における作業負荷の低減及び作業環境の改善を図ることができる廃棄物溶融炉用マッド材を提供することにある。
また、廃棄物溶融炉で生成される廃棄物スラグは、高炉で生成されるスラグと比べてCaO/SiOの質量比(以下、C/Sと記す。)が低く、例えば0.5〜1.2程度である。このため、廃棄物溶融炉においては、高炉における場合よりもマッド材が侵食されやすいという課題がある。本発明のさらに他の目的は、廃棄物溶融スラグに対しても充分な耐食性を発揮することができる廃棄物溶融炉用マッド材を提供することにある。
発明者らは、粉末状の耐火原料配合物を練り込むための液状体としてバインダを用いずに水を用いれば、廃棄物スラグや水槽内の貯留水等への有害物質の混入を回避できるとの着想を得た。しかし、単にバインダに代えて水を使用するだけでは、廃棄物溶融炉用マッド材として機能するために必要な特性、特に焼結時の強度を付与することができない。マッド材焼結時の強度が小さ過ぎると、炉の稼動時に湯がマッド材から漏れ出してしまう原因となる。
廃棄物溶融炉用マッド材の強度としては、マッド材を40mm×40mm×160mmの形状に成形圧力10.2MPa(100kg/cm)で加圧成形し、1500℃で1時間焼成したときの常温曲げ強さをJIS−R2575に則って測定した値が、1MPa以上であることが必要である。
発明者らは、鋭意研究の結果、耐火原料配合物の化学成分構成等の選定に加えて、粒度構成の最適化により、バインダやセメント等の硬化促進剤を配合しなくても、マッド材に上述した必要な強度を付与し得るとの知見を得、下記発明の完成に至ったものである。
本発明の第1の態様によれば、Al及びSiOを、好ましくはSiO/Alの質量比が0.2〜5、より好ましくは1〜4となる条件で合計80質量%以上、NaO及びKOを合計で0.3〜3質量%含有してなる化学成分構成を有し、且つ粒径0.045mm以下のもの30〜70質量%、粒径0.045mm超で0.21mm以下のもの5〜30質量%、粒径0.21mm超で3mm以下のもの50質量%以下、粒径3mm超のもの10質量%以下よりなる粒度構成を有した粉末状の耐火原料配合物100質量%を、これに対する外掛け13〜25質量%の水で練り込んだ廃棄物溶融炉用マッド材が提供される。
本発明の第2の態様によれば、上記耐火原料配合物が、さらにCを1〜15質量%含有した廃棄物溶融炉用マッド材も提供される。
本発明の他の観点によれば、Al及びSiOを合計で80質量%以上、NaO及びKOを合計で0.3〜3質量%、好ましくはCを1〜15質量%含有してなる粉末状の耐火原料配合物を水で練り込んで得られ、成形圧力10.2MPa(100kg/cm)で40mm×40mm×160mmの形状に加圧成形し、1500℃で1時間焼成したときの常温における曲げ強さをJISR2575に則って測定した値が、1MPa以上、好ましくは1.5MPa以上、より好ましくは2MPa以上、30MPa以下、好ましくは25MPa以下、より好ましくは10MPa以下である廃棄物溶融炉用マッド材も提供される。
本発明のさらに他の観点によれば、上記各廃棄物溶融炉用マッド材の原料として用いられる前記粉末状の耐火原料配合物も提供される。
本発明の第1の態様によると、耐火原料配合物の化学成分構成の選定に加えて、粒度構成を最適化したことにより、次の効果を奏する。即ち、混練液として水を採用するにも関らず、マッド材に必要な強度を付与できるため、バインダを用いる必要がなくなり、バインダの使用に起因した、廃棄物スラグや水槽内の貯留水等への有害物質の溶出を回避できる。一方、バインダに起因した過度の強度発現を防止できるので、バインダを用いた従来のマッド材に比べると、開孔容易性は良好である。また、開孔時における粉塵の発生を抑制できるため、炉前における作業環境の改善が図られる。さらに、C/Sの低い廃棄物溶融スラグに対しても充分な耐侵食性を発揮できる。
本発明の第2の態様によると、上記効果に加えて、Cを含有せしめたことにより、マッド材が廃棄物溶融スラグに濡れ難くなるため、その耐侵食性のさらなる向上が図られる。また、特定量のCがマッド材の焼結を適度に抑制することにより、マッド材に必要な強度は維持しつつ、開孔容易性のさらなる向上が図られる。
以下、本発明の実施形態を説明する。まず、化学成分構成について説明する。実施形態によるマッド材は、その原料たる耐火原料配合物が、Al及びSiOを合計で80質量%以上含有する。これにより、C/Sが例えば1.5程度以下の廃棄物溶融スラグに対しても充分な耐侵食性を発揮できる。耐侵食性のさらなる向上等の観点からは、耐火原料配合物に占めるAl及びSiOの合計の含有率は、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
Alの耐火原料配合物に占める割合は、20〜50質量%であることが好ましい。Alの含有率の上限を50質量%とすることにより、焼結の遅れを防止して熱間強度をより適度な値に設定することができる。また、Alの含有率の下限を20質量%とすることにより、マッド材の融点の低下を防止でき、その耐用性及び耐侵食性をさらに向上させることができる。これらの効果を考慮すると、Alの含有率は、30〜40質量%であることが好ましく、35〜40質量%であることがより好ましい。
SiOの耐火原料配合物に占める割合は、30〜60質量%であることが好ましい。SiOの含有率の上限を60質量%とすることにより、マッド材の耐侵食性及び耐摩耗性の低下を一層抑制でき、長時間の安定した出湯が可能となる。また、SiOの含有率の下限を30質量%とすることにより、マッド材の過度の熱間強度の発現を抑え、開孔容易性をさらに向上させることができる。これらの効果を考慮すると、SiOの含有率は、40〜50質量%であることが好ましく、40〜45質量%であることがより好ましい。
また、耐火原料配合物は、NaO及びKOを合計で0.3〜3質量%含有する。NaO及びKOの含有率の下限を0.3質量%としたことにより、マッド材に亀裂や孔切れ等が発生することを抑制し、且つマッド材の強度を適度な値に設定できる。バインダを使用しない本発明では、NaO及びKOを含有せしめることが特に重要である。また、NaO及びKOの含有率の上限を3質量%としたことにより、マッド材の耐侵食性の低下を防止できる。これらの効果を考慮すると、NaO及びKOの合計の含有率は、0.4〜1質量%であることが好ましい。
また、耐火原料配合物は、Cを1〜15質量%含有する。Cを少なくとも1質量%含有せしめることにより、マッド材が廃棄物溶融スラグに濡れ難くなるため、その耐侵食性のさらなる向上が図られる。また、Cがマッド材の焼結を適度に抑制することにより、マッド材に必要な強度は少なくとも維持しつつ、開孔容易性のさらなる向上が図られる。この結果、開孔機におけるビットの磨耗を抑制できるとともに、マッド材の開孔に要する時間を短縮でき、廃棄物溶融炉の稼働率を向上できる。但し、Cの含有量が15質量%を超えると、マッド材の焼結が抑制されすぎるため、マッド材に必要な強度を発現させることが困難となる。このような観点から、Cの含有率は、5〜13質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。
なお、耐火原料配合物の残部の化学成分は、例えばMgO、CaO、Fe、TiO等の不可避的成分で構成され得る。
次に、粒度構成について説明する。耐火原料配合物は、JIS−Z8801に規定する標準ふるいを用いた測定で、粒径0.045mm以下のもの30〜70質量%、粒径0.045mm超で0.21mm以下のもの5〜30質量%、粒径0.21mm超で3mm以下のもの50質量%以下、粒径3mm超のもの10質量%以下よりなるように粒度調整する。
粒径3mmを超えるものの配合率が10質量%を超えると、マッド材を出湯口へ充填する際の圧入抵抗が大きくなりすぎる。粒径3mmを超えるものの配合率は、好ましくは7質量%以下である。ここで、粒径3mmを超えるものは任意成分であり、この粒度域を含めないこととしてもよい。
粒径0.045mm以下のものの配合率が30質量%未満であると、マッド材に充分な可塑性を付与できず、孔切れ等のトラブルを招く。一方、粒径0.045mm以下のものの配合率が70質量%を超えると、マッド材掘削時に粉塵が多く発生してしまうといった問題が生じる。このような観点から、粒径0.045mm以下のものの配合率は、35〜65質量%であることが好ましい。
粒径0.045mm超で0.21mm以下のものの配合率を5〜30質量%とした理由、及び粒径0.21mm超で3mm以下のもの配合率を50質量%以下とした理由は、それぞれ他の粒度域の配合率及び化学成分構成との組み合わせにおいて、マッド材に必要な強度を付与するとともに、マッド材に適度な保形性を付与して作業性を向上する等の効果を得るためであり、その配合率は発明者らによる試行錯誤の結果見出されたものである。ここで、粒径0.21mm超で3mm以下のものは任意成分であり、この粒度域を含めないこととしてもよい。なお、粒径0.045mm超で0.21mm以下のものの配合率は、10〜21質量%であることが好ましく、粒径0.21mm超で3mm以下のもの配合率は45質量%以下であることが好ましい。
耐火原料配合物は、上記化学成分構成、及び粒度構成を有する条件で、例えば、ボーキサイト、ダイアスポア、バン土頁岩、電融アルミナ、焼結アルミナ、仮焼アルミナ、焼結スピネル、電融スピネルといったアルミナ質原料、ケイ石、シリカフラワー、溶融シリカといったシリカ質原料、ロー石、シャモット、合成ムライト、電融ムライト、カオリン、粘土、セリサイト、シリマナイト(ケイ線石)、アンダリューサイトといったアルミナシリカ質原料、鱗状黒鉛や土状黒鉛等の天然又は人造の黒鉛(表面処理したものを含む)、カーボンブラック等の無定形炭素といったカーボン質原料(但し、タールやピッチ等の石炭又は石油分留物その他ベンツピレンを含有するものを除く。)で構成され得る。
なお、耐火原料配合物には、他の添加物をさらに配合してもよい。添加物としては、例えばNaClやKCl等の塩類が挙げられる。塩類を添加することにより、マッド材にこしを付与でき、保形性を高め得るといった効果が得られる。
マッド材は、上記耐火原料配合物を、水で練り込むことで得られる。耐火原料配合物の化学成分構成及び粒度構成を上記のように規定したので、バインダを使用しなくても、マッド材に必要な強度を付与できる。バインダを使用しなくて済むので、バインダの使用に起因した、廃棄物スラグ及び水槽内の貯留水への有害物質の溶出を回避できる。また、バインダに起因した出湯開始直後の発煙を抑制でき、炉前の作業環境を改善できる。また、バインダに起因した過度の強度発現を回避できるので、開孔に要する時間を短縮して廃棄物溶融炉の稼動率を高めることができる。
なお、耐火原料配合物に添加する水の量が多すぎると、廃棄物溶融炉の熱でマッド材にバブリングが生じ、廃棄物溶融スラグが炉外に漏れ出す原因となる。一方、添加する水の量が少なすぎると、マッド材に充分な可塑性が付与されず、マッドガンへの充填作業が困難になる。このような観点から、耐火原料配合物に添加する水の量は、耐火原料配合物100質量%に対する外掛けで、13〜25質量%であることが好ましく、17〜22質量%であることがより好ましい。
なお、耐火原料配合物を練り込むための水には、澱粉その他の、人体に有害な物質を含まない増粘剤(作業性改善剤)を含有せしめてもよい。有害物質を含有しない増粘剤を用いても、廃棄物スラグや水槽内の貯留水等への有害物質の溶出を回避する効果は損なわれない。さらに、本発明の効果を損なわない範囲において、マッド材には極微量のバインダを添加してもよい。
本発明のマッド材は、直ちに使用しない場合は、硬化を防ぐため、必要に応じてブロック状等の適宜の形に成形した後、ビニール、ポリエチレン、ゴム等の耐水性シートで包装する等して、水分の蒸発防止措置を施した状態でストックすることが好ましい。なお、マッド材を予め練り込み成形したプレフォームタイプとして提供することにより、マッド材の品質のばらつきを防止でき、出湯時間をより安定させることができる等の利点が得られる。但し、マッド材の原料たる耐火原料配合物を粉末の状態で提供することもでき、この場合は、炉前等の現場で混練作業が必要となるが、混練後に直ちにマッドガンにセットできるので、マッド材の水分の蒸発による硬化を考慮する必要がなくなる。
表1に、実施例及び比較例によるマッド材の配合と評価結果を示す。化学成分の測定は、JIS−R2216に規定する蛍光X線分析法により行った。粒度構成の測定は、JIS−Z8801に規定する標準ふるいを用いて行った。なお、表1中の空欄は、その材料を含まないことを示す。
また、比較例1及び3のマッド材以外は、いずれも耐火原料配合物100質量%を、これに対する外掛け17質量%の水のみで練り込んで得た。比較例1のマッド材は、耐火原料配合物を水ではなくバインダで練り込んで得、比較例3のマッド材は、耐火原料配合物100質量%を、これに対する外掛け28質量%の水で練り込んで得た。
Figure 0004500255
表1の各評価項目について説明する。
開孔容易性:開孔機が備えるビットの使用可能回数に基づいて評価した。ビットの使用可能回数とは、ビットが磨耗して使用不能になるまでの間に出湯孔を何回形成できるかを表す値である。簡単のために、表1には、実施例1のマッド材に対するビットの使用可能回数を100とした場合の、各マッド材に対するビットの使用可能回数の相対値である使用可能指数を示した。使用可能指数が大きいほど開孔が容易であり、使用可能指数が小さいほどビッドの磨耗が早く、開孔が困難であることを示す。
粉塵の発生量:図1に示した廃棄物溶融炉において実機試験を行った。炉の操業時において炉底部に溜まった廃棄物溶融スラグの温度は、約1300℃〜1650℃であり、この熱で焼成されたマッド材を、ビットを有する開孔機で掘削したときの粉塵の発生量を肉眼による目視観察で評価した。表1中、○は、粉塵の発生量が比較的少ないことを示す。△は、多くの粉塵が見られたことを示す。×は、非常に多くの粉塵が見られたことを示す。
耐食性:溶損指数で評価した。溶損指数とは、廃棄物溶融スラグを侵食剤として使用し、1500℃〜1550℃、3時間の条件で行った回転ドラム侵食試験による侵食量を、実施例2のマッド材の侵食量を100とした場合の相対値として表したものである。溶損指数は、値が小さいほど耐侵食性に優れていることを示す。
曲げ強さ:マッド材を成形圧力10.2MPa(100kg/cm)で40mm×40mm×160mmの形状に加圧成形し、1500℃で1時間焼成したときの常温(20〜25℃程度)における曲げ強さをJIS−R2575に則って測定した値である。
作業性:マッド材を出湯孔へ圧入する際の圧入抵抗の大きさの観点から、○・・・良好、△・・・やや不良、×・・・不良の三段階で評価した。
表1に示すように、実施例1〜3のマッド材は、いずれもバインダを含まないので有害物質を含有しない。このため、廃棄物スラグや水槽内の貯留水への有害物質の溶出を回避できる。また、表1に示す通り、実施例1〜3によるマッド材は、いずれも開孔容易性及び耐食性に優れ、かつ粉塵の発生も抑制できる。曲げ強さも19〜25MPaの範囲であり、必要な強度を有する。さらに、作業性も良好である。
実施例4〜6によるマッド材は、Cを含有せしめたことに起因して、曲げ強さが2.7〜18MPaと実施例1〜3のマッド材よりも低下している。但し、廃棄物溶融炉に用いるにはこの程度の曲げ強さ(より広い観点からいうと例えば1〜20MPa程度)で充分であるとともに、むしろこの程度の曲げ強さに設定することでマッド材の開孔容易性のさらなる向上が図られる。なお、Cの含有率が高い程、開孔容易性が向上することが分かるが、これはCがマッド材の焼結を抑制する機能を発揮するためである。また、耐食性も実施例4〜6のものより向上している。Cの含有率が高い程、耐食性が向上することが分かるが、これはCがマッド材の廃棄物溶融スラグに対する濡れ難さを向上させるためである。なお、Cの原料としては、99質量%以上をCが占めるカーボンブラックを用いた。
これに対して、比較例1のマッド材は、バインダに液状タール及びフェノール樹脂溶液を使用したことに起因して、有害物質を0.6質量%含有する。この有害物質は、主として液状タールに含まれるベンツピレンであるが、フェノール樹脂に起因したフェノール、ホルムアルデヒド、あるいはアンモニア等も含まれ得る。また、バインダに起因したカーボン結合の形成によるためか、過度の強度発現が生じ、開孔容易性が悪化した。さらに、Al及びSiOの合量が少なすぎるため、耐食性が悪化した。
比較例2のマッド材は、粒径3mm超の粗粒の配合量が多すぎるため、粉塵の発生は抑制できたものの、充填圧入抵抗が増し、充填作業性が悪化した。また、曲げ強さも、18MPaと不充分な値となった。
比較例3のマッド材は、0.045mm以下の微粉で構成されるので、緻密で耐食性に優れるものの、開孔容易性が著しく低下し、開孔作業に多くの時間を要した分だけ炉の稼働率が低下した。また、掘削時に非常に多くの粉塵が発生し、炉前の作業環境が悪化した。さらに、微粉のみで構成されるため、可塑性を得るために多くの混練水を必要とし、出湯孔への充填状態においてバブリング発生の懸念が生じた。
比較例4のマッド材は、粒径0.21mm以下で0.045mm超のものの配合割合が多すぎるため、開孔容易性が低下するとともに、粉塵発生量がやや多く、また作業性がやや不良であった。さらに、曲げ強さが15MPaと不充分な値となった。なお、開孔容易性及び曲げ強さの低下は、Alの含有率が多すぎることも原因していると考えられるが、仮に粒径0.21mm以下で0.045mm超のものの配合割合を本発明規定の範囲とすると、Alの含有率が多すぎることの欠点を緩和できると考えられる。
比較例5のマッド材は、粒径3mm以下で0.021mm超のものの配合割合が多すぎるため、粉塵の発生は抑制できたものの、耐食性及び曲げ強さが不十分であるとともに、充填圧入抵抗が増し、充填作業性が悪化した。なお、耐食性の低下は、SiOの含有率が多すぎることも原因していると考えられるが、仮に粒径3mm以下で0.021mm超のものの配合割合を本発明規定の範囲とすると、SiOの含有率が多すぎることの欠点を緩和できると考えられる。
比較例6のマッド材は、Cを含有することで開孔容易性が極めて良好であるものの、Cの含有率が高すぎるため、曲げ強さが0.6MPaと極めて低い値となった。この値では、廃棄物溶融炉用マッド材として用いるには不充分であり、湯漏れの懸念が生じる。
廃棄物溶融炉には、例えば灰溶融炉とガス化溶融炉とがある。灰溶融炉とは、焼却炉等で一旦焼却された焼却灰を処理対象として溶融処理するプラントであり、灰溶融炉としては、例えば電気炉タイプのものがある。また、ガス化溶融炉とは、廃棄物から熱分解ガスを発生させ、その熱分解ガスによる熱で焼却灰等の残渣を溶融するプラントであり、ガス化溶融炉としては、例えばシャフトタイプのものがある。図1には、このシャフトタイプのガス化溶融炉を示したが、本発明のマッド材は、これに限られず、上記電気炉タイプの灰溶融炉その他の間欠出湯タイプの廃棄物溶融炉に対して広く利用することができる。
廃棄物溶融炉の一例を示す概念図。
符号の説明
1 廃棄物溶融炉
2 装入口
3 排気口
4 羽口
5 出湯口
6 水槽
7 マッド材
8 開孔機
9 樋

Claims (3)

  1. Al及びSiOを合計で80質量%以上、NaO及びKOを合計で0.3〜3質量%含有してなる化学成分構成を有し、且つ粒径0.045mm以下のもの30〜70質量%、粒径0.045mm超で0.21mm以下のもの5〜30質量%、粒径0.21mm超で3mm以下のもの0〜50質量%、粒径3mm超のもの0〜10質量%よりなる粒度構成を有した粉末状の耐火原料配合物100質量%を、これに対する外掛け13〜25質量%の水で練り込んだ廃棄物溶融炉用マッド材。
  2. 前記耐火原料配合物が、さらにCを1〜15質量%含有した請求項1に記載の廃棄物溶融炉用マッド材。
  3. 請求項1又は2に記載の廃棄物溶融炉用マッド材の原料として用いられる前記粉末状の耐火原料配合物。
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