JP4617566B2 - 吸水性樹脂を含有する樹脂組成物および該樹脂組成物を有効成分とする接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸水性樹脂と架橋性ポリマーとを含有する樹脂組成物、該樹脂組成物を有効成分とする接着剤、ならびに、該接着剤と被着体とからなる積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
被着体に接着剤を積層してなる積層体は、自動車用品、事務用品、家電製品、建材、エレクトニクス製品などに数多く使用されている。最近、被着体をリサイクル(再利用)するために、被着体を積層体から回収し得る接着剤が求められており、例えば特開平5−69906号公報には、発泡剤とウレタン樹脂とを含有する接着剤が提案され、該接着剤を用いた積層体は、加熱されることにより該接着剤が発泡し、被着体を剥離、回収し得ることが報告されている
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発泡剤を含有する接着剤は、通常、120℃程度以上の高温で加熱しなければならず、被着体の耐熱温度が低い場合には被着体を再利用することが困難であることが明らかになった。さらに、本発明者らが上記公報に記載の接着剤を用いた積層体について検討したところ、該積層体を加熱すると被着体は積層体から剥離されるものの、剥離した被着体には接着剤層が付着してしまい、被着体をそのまま再利用することは困難であることが明らかになった。
本発明の目的は、積層体を使用する時には被着体に高い接着性を与えること(高接着性)、被着体を回収する際には低温で処理できること(低温剥離性)、処理した後には積層体から被着体を容易に剥離せしめ、しかも回収された被着体に接着剤をほとんど付着することなく容易にリサイクル(再利用)に供し得ること(易剥離性)などの特性に優れた樹脂組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決するべく、架橋性ポリマーについて鋭意検討した結果、吸水性樹脂を含有せしめた樹脂組成物が、高接着性、低温剥離性および易剥離性のいずれにも優れる接着剤であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、架橋性ポリマーおよび吸水性樹脂を含有することを特徴とする樹脂組成物、および該樹脂組成物を有効成分とする接着剤である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に検討する。
本発明における吸水性樹脂としては、例えば、水と接触すると吸水・膨潤して水全体をゲル状にする樹脂などが挙げられる。吸水性樹脂の吸水力は、吸水性樹脂固形分重量に対して、通常、2〜2000倍程度、好ましくは20〜1000倍程度である。
具体的な吸水性樹脂としては、デンプンへのアクリル酸および架橋剤のグラフト重合体、デンプンのカルボキシジメチル化体などのデンプン系樹脂;セルロース系樹脂;ポリアクリル酸塩系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリアクリルアミド系樹脂;ポリオキシエチレン系樹脂などが挙げられる。
吸水性樹脂として、2種類以上の吸水性樹脂を使用しても良い。
【0006】
吸水性樹脂としては、中でも、デンプンへのアクリル酸および架橋剤のグラフト重合体、ならびに、ポリアクリル酸塩系樹脂が好ましく、とりわけ、ポリアクリル酸塩系樹脂が好適である。
また、吸水性樹脂として、例えば、住友精化(株)製「アクアキープ(登録商標)」や、三洋化成工業(株)製「サンウエット(登録商標)」のように、平均粒径10〜1000μm程度を有する球体などの市販品が好ましく用いられる。
【0007】
本発明の架橋性ポリマーとは、接着前には塗布可能な溶融物であって、接着したのち分子内架橋して3次元高分子となるポリマーであり、通常、水による不溶分が約80%以上である。ここで水への不溶分の測定方法としては、例えば、3次元高分子となった後の架橋性ポリマーを500mlの水に48時間浸漬したのち200メッシュの金網で濾過回収した不溶分を乾燥した重量から求めることができる。
架橋性ポリマーとしては、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。
【0008】
ここで、光硬化性樹脂としては、通常、光硬化性を有するオリゴマーおよび/またはモノマーと、光重合開始剤とを含有する樹脂である。光硬化性を有するオリゴマーおよび/またはモノマーとしては、例えば、光ラジカル重合し得るような少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有するオリゴマーおよび/またはモノマー、光マイケル付加重合し得るような分子末端に二重結合を有するオリゴマーとポリチオールとの組み合わせ、ならびに光カチオン重合し得るような脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。中でも、少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有するオリゴマーおよび/またはモノマーを使用することが好ましい。
【0009】
不飽和炭素−炭素結合を有するオリゴマーとしては、通常、アクリロイル基、メタクリロイル基およびビニル基等から選ばれる少なくとも1種類の不飽和基を有するオリゴマー等が使用される。具体的には、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート等のウレタンアクリレート類、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート等のエポキシアクリレート類、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート等のポリエステルアクリレート類、メラミンアクリレート、メラミンメタリレート等のメラミンアクリレート類、アクリル樹脂アクリレート類、不飽和ポリエステル類およびポリエン類などが例示される。
【0010】
ウレタンアクリレート類としては、例えば、有機ポリイソシアネート、ポリオールおよびヒドロキシアクリレート系化合物等を反応せしめて得られたものであっても、有機ポリイソシアネートおよびヒドロキシアクリレート系化合物を反応せしめて得られたものであっても良い。
エポキシアクリレート類としては、例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にアクリル酸および/またはメタクリル酸等を反応せしめて得られたもの等が挙げられる。
ポリエステルアクリレート類としては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸とから合成されるポリエステルポリオールにアクリル酸および/またはメタクリル酸等を反応せしめて得られたもの等が挙げられる。
メラミンアクリレート類としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアミン等をホルマリン等と縮重合せしめて得られるメラミン樹脂にβ−ヒドロキシエチルアクリレート等と脱アルコール反応せしめて得られたもの等が挙げられる。
アクリル樹脂アクリレート類としては、例えば、アクリル樹脂に含まれるカルボン酸基、水酸基、グリシジル基等の官能基にアクリル酸および/またはメタクリル酸等を反応せしめて得られたもの等が挙げられる。
不飽和ポリエステル類としては、例えば、フマル酸、無水マレイン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸にポリオールを反応せしめて得られたもの等が挙げられる。
ポリエン類としては、例えば、有機ポリイソシアネートにアリルアルコールおよび/またはビニルアルコール等を反応せしめて得られたもの等が挙げられる。
【0011】
一方、不飽和炭素−炭素結合を有するモノマーとしては、通常、単官能アクリル系モノマー類、多官能アクリル系モノマー類およびビニル基含有モノマー類等から選ばれる少なくとも1種類の不飽和基含有モノマー等が使用される。
【0012】
単官能アクリル系モノマー類としては、通常、分子内に1個のアクリレート基またはメタクリレート基を含む化合物等が使用され、具体的には、イソボロニルアクリレート、イソボロニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレートおよびベンジルメタクリレート等の環構造を含有するモノマー類ならびに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートおよび2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート等の水酸基を含有するモノマー類等が挙げられる。
また、上記環構造を含有するモノマー類における原料アルコールまたはフェノールを予めアルキレンオキサイドで変性した単官能アクリル系モノマー類等も使用することができる。特に、アルキレンオキサイドの炭素数が2〜3の変性物が好ましく、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、フェニルオキシエチルアクリレートおよびフェニルオキシエチルアクリレート等が挙げられる。
【0013】
多官能アクリル系モノマー類としては、通常、分子内に2個以上のアクリレート基またはメタクリレート基を含む化合物等が使用され、その代表として、アクリレート基含有化合物について例示すると、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス[アクリロキシエチル]イソシアネート等が挙げられる。
【0014】
ビニル基含有モノマー類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、分岐脂肪酸ビニル等のビニルエステル、スチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等の含窒素ビニル等が挙げられる。
【0015】
光硬化性を有するオリゴマーおよび/またはモノマーとしては、例えば、1種類以上のモノマー、1種類以上のオリゴマー、1種類以上のモノマーと1種類以上のオリゴマーの混合物等が挙げられるが、得られる光硬化性樹脂の粘度、硬化性および接着性等から、1種類以上のオリゴマーと1種類以上のモノマーの混合物を使用することが好ましい。
【0016】
光硬化性樹脂に含有される光重合開始剤としては、例えば、カルボニル化合物、硫黄化合物、アゾ化合物、過酸化物等が挙げられる。中でも、カルボニル化合物が好適であり、具体的にはベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、および2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の紫外光を吸収するカルボニル化合物ならびにカンファーキノンおよび3−ケトクマリン等の可視光を吸収するカルボニル化合物等が例示される。
【0017】
光重合開始剤として、2種類以上の光重合開始剤を使用してもよい。また、光硬化性樹脂には、必要に応じて、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン、p-N,N-ジメチル安息香酸エチル等の光重合開始助剤または光増感剤等を含有していてもよい。
光硬化性樹脂における光重合開始剤の使用量としては、光硬化性を有するオリゴマーおよび/またはモノマー100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部程度である。
【0018】
光硬化性樹脂として、例えば、「スミフラッシュ XR−235、 XR−98」(住友化学工業(株)製光硬化性樹脂)、「ダイキュア SD1700」(大日本インキ工業(株)製光硬化性樹脂)などの市販品の光硬化性樹脂を使用してもよい。
【0019】
本発明の架橋性ポリマーとして使用される熱硬化性樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、イミド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、末端に反応性シリル基を導入したシリル基末端ポリエーテルなどの変性シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられ、中でも、エポキシ樹脂が好適である。
【0020】
ここで、エポキシ樹脂について詳しく説明すると、エポキシ樹脂としては、エポキシ基を含有する主剤と硬化剤とを含有し、通常、吸水性樹脂と混合する際には硬化していないか、一部硬化していても被着体に塗布し得る粘度を有しており、接着後には硬化してなる樹脂などが挙げられる。
主剤としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;ブタジエン、ペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンチルエーテル等の二重結合をエポキシ化した脂環式エポキシ樹脂;ポリオール、水酸基含有シリコン樹脂等とエピハロヒドリンと反応によって得られるポリグリシジル化合物類等;N,N-ジグリシジルアニリン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノールなどのグリシジルアミン系樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル-p-オキシ安息香酸などのグリシジルエステル系樹脂などが挙げられる。
尚、主剤として2種類以上の主剤を使用しても良い。主剤としては、中でもグリシジルエーテル系エポキシ樹脂およびグリシジルアミン系樹脂が好ましく、とりわけビスフェノールA型エポキシ樹脂が好適である。
【0021】
エポキシ樹脂に含有される硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ピペリジン、N-アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン、m-キシレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン;2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、ビス(ジメチルアミノエチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のジメチルアミノアルキルフェノール類;メタンフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォンなどの芳香族アミン、無水トリメット酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの酸無水物;ダイマー酸にポリアミンを反応させるポリアミノポリアミド;2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾールなどのイミダゾール類;三フッ化ホウ素-アミン錯体;ジシアンジアミド;芳香族ジアゾニウム塩;ポリスルフィド類などが挙げられる。
尚、硬化剤として2種類以上の硬化剤を使用しても良い。硬化剤として、中でもジメチルアミノアルキルフェノール類、ポリアミノポリアミドが好適である。
【0022】
エポキシ樹脂の主剤と硬化剤の混合方法としては、例えば、吸水性樹脂との混合の前に主剤と硬化剤を混合する方法、主剤と吸水性樹脂を混合し、接着前に硬化剤を混合する方法、硬化剤と吸水性樹脂を混合し、接着前に主剤を混合する方法、主剤、硬化剤、吸水性樹脂等を一括して混合する方法などが挙げられる。また、エポキシ樹脂にその他の熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などを混合しても良い
。
【0023】
エポキシ樹脂として、例えば、「アラルダイト ラピッド」(チバスペシャリティケミカルズ社製エポキシ接着剤)、「ER−10」(日本エヌエスシー社製エポキシ樹接着剤)、「ボンドクイック5」(コニシ社製エポキシ接着剤)、「EP−330」(セメダイン社製エポキシ接着剤)などの市販品のエポキシ樹脂を使用してもよい。
【0024】
本発明における架橋性ポリマーには、接着性および易剥離性を損なわない範囲で他の樹脂を配合しても良い。これらの樹脂としては、不飽和ポリエステルなどの重合性二重結合含有モノマー類およびそのプレポリマー類;ポリブタジエン、マレイン化ブタジエン、エポキシ化ブタジエン、マレイン化ブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体およびそのカルボキシル基含有樹脂、ポリクロロプレン、マレイン化ブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体およびそのカルボキシル基含有樹脂、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブチルゴム、フッ素ゴム、天然ゴムなどの低分子量液状〜高分子量エラストマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリスチレン、AS樹脂、MBS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン−プロピレン共重合体、テトラフッ化エチレン−ヘキサフッ化プロピレン共重合体類;ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイドなどの高分子量ポリマーおよびそれらの低分子量プレポリマーもしくはオリゴマー;ポリウレタン;多官能性マレイミド類;ガスバリア性を有するポリビニルアルコールなどが例示される。
【0025】
また、架橋性ポリマーに無機および有機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、消泡剤、分散剤、難燃剤、光沢剤、チキソ性付与剤、密着付与剤、界面活性剤などの表面調整剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、酸化防止剤および帯電防止剤などの添加剤、トルエンやメタノール等の溶剤等を配合せしめても良い。
【0026】
本発明の樹脂組成物は、架橋性ポリマーと吸水性樹脂とを混合してなるものである。
本発明の樹脂組成物における吸水性樹脂の含有量としては、被着体に対して十分接着力を有するとともに、加熱して被着体を回収する時には、接着剤層が被着体から容易に剥離し得る程度に接着力が低下するのに必要な量である。具体的には、吸水性樹脂の種類によっても異なるが、例えば、吸水性樹脂がポリアクリル酸塩系樹脂の場合には、架橋性ポリマー(固形分)100重量部に対して、通常、吸水性樹脂(固形分)10〜120重量部程度であり、好ましくは、30〜80重量部程度である。
【0027】
かくして得られた樹脂組成物は、例えば、接着剤などに使用することができる。そして、該接着剤を介して被着体を接着せしめることにより、本発明の積層体を得ることができる。
ここで、被着体としては、例えば、鉄、鋼鉄、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、ガラス、石膏、陶磁器、セラミックスなどの無機物、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ、ポリウレタン、ABS、ゴム等のプラスチックあるいは合成繊維、綿、麻、絹、などの天然繊維、ビスコートレーヨン、酢酸セルロースなどの化繊、木材、紙、皮革などが挙げられる。中でも、金属、プラスチックが好ましい。
【0028】
被着体として、繊維強化複合材料、無機充填剤を含有するプラスチックなどの複合材料を使用しても良い。
また、被着体には、必要に応じて、離型剤、メッキなどの被膜、塗装などのプレコート、プラズマやレーザーなどによる表面改質、表面酸化、エッチングなどの表面処理を実施しても良い。
【0029】
被着体への本発明の接着剤の塗工方法としては、例えば、ロールコーター塗工、スプレー塗工、ブレードコータ塗工、スクリーン塗工、アプリケーターを用いる方法、スピンコートを用いる方法等が挙げられる。
これらの方法によって得られる接着剤の厚みとしては、通常、5〜400μm程度である。
【0030】
本発明の積層体の積層順序として、例えば、(A):被着体/本発明の接着剤/被着体、(B):被着体/本発明の接着剤/通常の接着剤/本発明の接着剤/被着体、(C):被着体/吸水性樹脂を含有しない接着剤/本発明の接着剤/被着体などの順序で積層している積層体が挙げられる。
(A)、(B)など、本発明の接着剤が被着体の表面に塗工されている積層体は、いずれの被着体も回収することができる。
また、(C)など、一方の被着体がただちに再利用しないものである場合、具体的には、被着体が、回収後焼却してしまう表面装飾材などや、溶融したのち再利用する金属などである場合には、ただちに再利用しない被着体の表面には、吸水性樹脂を含有しない接着剤を塗工し、再利用する被着体の表面には、本発明の被着体を塗工する。そして、ただちに再利用しない被着体には接着剤層が付着するものの、本発明の接着剤を表面塗工された被着体には接着剤層が付着せず、そのまま再利用することができる。
【0031】
本発明における積層体からの被着体の回収方法としては、例えば、水槽などの水中に積層体を浸漬し、接着剤層を膨潤せしめて被着体を回収する方法、スチーム、水などを積層体に注水、噴水(スプレイ)あるいは放水などを実施して接着剤層を膨潤せしめて被着体を回収する方法、などが挙げられる。
また、上記の回収方法に使用される水およびスチームの温度は、被着体の耐熱温度によって異なるが、通常、5〜100℃程度であり、温度が高いほど吸水・膨潤が速い傾向があり好ましい。
さらに、吸水性樹脂に吸水される水に界面活性剤やアルコールなどの浸水促進剤等を添加しても良い。
【0032】
かくして回収された被着体は接着剤層がほとんど付着していないか、接着剤層が付着していても、被着体から容易に剥離し得る程度であり、回収された被着体は、再利用することができるのである。
また、被着体が、金属、熱可塑性プラスチックなどの場合には、被着体を溶融成形して再利用することもできる。
【実施例】
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。例中の部および%は、特に断らないかぎり重量基準を意味する。
【0033】
<被着体:A>
被着体として以下の試験片を使用した。
A−1:アルミニウム(AL)板 25mm × 100mm、厚み 1 mm
(住友軽金属(株)製 A1050P HB(鏡面仕上))
A−2:ポリカーボネート(PC)板 25mm × 100mm、厚み 2 mm
(タキロン(株)製 タキロン1600)
【0034】
<吸水性樹脂含有架橋性ポリマーの作成:(B)>
「光硬化性樹脂+吸水性樹脂」:(B−1)
光硬化性樹脂「スミフラッシュ XR−98」(商品名;住友化学工業(株)製、以下「XR98」とする)66部に吸水性樹脂「アクアキープ SA60」(商品名;住友精化(株)製、以下「SA60」とする)34部配合してなる樹脂組成物を作成した。
「熱硬化性樹脂+吸水性樹脂」:(B−2)
二液エポキシ接着剤「ER−10」(商品名;日本エヌエスシー(株)製、以下「ER10」とする)の二液1:1混合物66部に吸水性樹脂「スミカゲルS−50」(商品名;住友化学工業(株)製、以下「S50」とする)34部を配合してなる樹脂組成物を作成した。
【0035】
<架橋性ポリマー:(C)>
C−1:XR98
C−2:二液エポキシ接着剤「アラルダイト ラピッド」
(商品名;チバスペシャリティケミカルズ製、以下「AR」とする)
【0036】
<接着性試験>
試験片のそれぞれの端を、25mm×25mm(=625mm2)の面積にて貼り合わせ、JIS K 6850に準じた引っ張り試験により、水浸漬処理前の被着体同士の接着力を測定した。
【0037】
<実施例1>
再利用し得る被着体としてPC板(A−2)を用い、その片面に接着剤(B−1)を約400μmの厚さになるようにバーコートにて塗工し、400mJ/cm2の照射量でUV照射を行い硬化させた。吸水性樹脂を含有しない接着剤(C−2)を再利用しない被着体としてAL板(A−1)を用い、その片面に約100μmの厚さになるようにバーコートにて塗工し、(B−1)と(C−2)の接着層表面同士を重ねて貼り合せ、圧着した状態で常温にて7日間養生硬化させ積層体を完成した。
得られた積層体を80℃の温水にて12時間浸漬した後に取り出したところ、積層体は2つに剥離していた。剥離したPC板には接着剤層が付着していたが、水洗浄にて容易に剥離した。
【0038】
<実施例2>
再利用し得る被着体としてAL板(A−1)を用い、その片面に接着剤(B−2)を約100μmの厚さになるようにバーコートにて塗工し、直ちにPC板(A−2)と貼り合せ、圧着した状態で常温にて7日間養生硬化させ積層体を完成した。
得られた積層体を80℃の水にて12時間浸漬した後に取り出したところ、積層体は2つに剥離していた。剥離したAL板(A−1)には接着剤層が付着していたが、水洗浄にて容易に剥離した。
【0039】
<比較例1>
PC板(A−2)の片面に「XR98」(C−1)を約20μmの厚さになるようにスピンコートにて塗工し、400mJ/cm2の照射量でUV照射を行い硬化させた。一方、AL板(A−1)の片面に「AR」(C−2)を約100μmの厚さになるようにバーコートにて塗工したのち、直ちに、これら塗工された被着体を接着剤層表面同士を重ねて貼り合せ、圧着した状態で常温にて7日間養生硬化させ積層体を完成した。
得られた積層体を80℃の温水にて12時間浸漬した後に取り出したところ、剥離はみられず、1N/mm2の引っ張り試験を実施したが、剥離しなかった。
【0040】
<比較例2>
AL板(A−1)の片面に「ER-10」を約100μmの厚さになるようにバーコートにて塗工し、直ちにPC板(A−2)を貼り合せ、圧着した状態で常温にて7日間養生硬化させ積層体を完成した。
得られた積層体を80℃の温水にて12時間浸漬した後に取り出したところ、剥離はみられず、1N/mm2の引っ張り試験を実施したが、剥離しなかった。
【0041】
実施例1および2、ならびに、比較例1および2についての結果を表1にまとめた。表1の水浸漬処理後の剥離状態について、実施例1を例として説明すると、再利用しない被着体A−1については接着剤層が付着していたことから×、再利用する被着体A−2には接着剤層が付着していなかったことから○として表した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物を有効成分とする接着剤は、積層体を使用する時には被着体に高い接着性を与え、被着体を回収する際には低温で処理でき、処理した後には積層体から被着体を容易に剥離せしめ、しかも回収された被着体に接着剤をほとんど付着することなく容易にリサイクル(再利用)に供し得るという特性を有する。
そして、被着体の再利用が求めている、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、電子レンジ、掃除機、テレビ等の家電製品、パソコン、プリンター、複写機、電話、家具等の事務用品、バンパーなどの自動車部品、住宅構造材、シーリング材などの建材、液晶パネル、半導体、プリント配線板、集積回路等のエレクトロニクス製品、二次電池などの電池材料におけるベアセルのパッケージなどに使用し得る。
さらに、回収された被着体はリサイクル(再利用)することができる。
Claims (8)
- 熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂及びそれらの混合物からなる群から選ばれる架橋性ポリマー100重量部に対して吸水性樹脂を30〜80重量部含有し、該吸水性樹脂の吸水力が吸水性樹脂固形分重量に対して20〜1000倍であることを特徴とする樹脂組成物。
- 吸水性樹脂がポリアクリル酸塩系樹脂及び/又はデンプン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の樹脂組成物を有効成分とする接着剤。
- 請求項3に記載の接着剤と、被着体とからなることを特徴とする積層体。
- 被着体が、金属、無機物、プラスチック、合成繊維、天然繊維、化繊、木材、紙、皮革から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項4に記載の積層体。
- 請求項3に記載の接着剤を使用することを特徴とする被着体の回収方法。
- 請求項4又は5に記載の積層体を、水中に浸漬する、又は、該積層体に注水することを特徴とする被着体の回収方法。
- 請求項6又は7に記載の回収方法により得られた被着体を再利用することを特徴とする被着体のリサイクル方法。
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