JP4698061B2 - 高圧蒸気滅菌用インジケーター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧蒸気滅菌用インジケーターに関する。
【0002】
【従来の技術】
高圧蒸気滅菌は、医療分野、食品加工分野等のさまざまな分野で利用されている。医療分野では、例えば医療機器、医療用具等の滅菌、殺菌等に使用されている。
【0003】
この場合、滅菌が完了したか否かを確認する方法として、生物学的な方法と化学的な方法に大別されるが、簡便性、取扱い性等の点で後者の方法が優れている。化学的な方法としては、変色性のインキ組成物で変色層を形成したインジケーターを用いる方法が主流となっている。このようなインキ組成物としては、例えば、塩基性炭酸銅、硫黄及び塩基性炭酸マグネシウムを主成分とし、塩化ゴム等の結着剤を含む高圧蒸気滅菌用インジケータインキ(特開昭61-287972号)、水に不溶又は難溶のビスマス化合物とチオ尿素化合物及び合成ゴム系樹脂を含有する湿熱検知用インジケーター組成物(特開平2-211162号)、特定のモノアゾ染料と有機酸又は無機酸の金属塩の少なくとも1種を含有する湿熱検知用インジケーター組成物(特開平4-89565号)、メチン系染料と軟化点が180℃以上のマレイン酸樹脂及び/またはスチレン-マレイン酸樹脂と有機溶剤よりなる湿熱滅菌用インジケーター組成物(特公平6-81816号)等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの高圧蒸気滅菌用インジケーターは、日本薬局方の基準である121℃-15分の滅菌条件では好適にインジケーターの機能を果たすことが出来る。しかし、クロイツフェルト・ヤコブ病の感染源とされるPrionを死滅させる滅菌条件である134〜138℃-18分の滅菌条件で使用した場合、これらのインジケーターは134℃-5〜10分程度で完全に変色してしまい、滅菌条件が十分に達していない事を正確に検知する事が出来ないという問題がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、134〜138℃-18分の滅菌条件で、滅菌処理のモニタリングが可能な高圧蒸気滅菌用インジケーターを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる従来技術の問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の構成をもつインジケーターにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の高圧蒸気滅菌用インジケーターに関わるものである。
【0008】
請求項1の発明は、紙基材表面に高圧蒸気雰囲気下で変色する変色インキを浸透させ、変色層を形成されていることを特徴とする高圧蒸気滅菌用インジケーターであり、当該構成により変色スピードを任意に遅らせることができるものである。また、請求項2の発明は、紙の米坪量が157.0g/m2以上であり、変色層を形成させる面が非塗工である上質紙を基材として用いてなる請求項1記載の高圧蒸気滅菌用インジケーターであり、変色インキが浸透し易いものである。さらに、請求項3の発明は、基材がケント紙である請求項1〜2に記載の高圧蒸気滅菌用インジケーターであり、本発明のより実用的な発明である。請求項4の発明は、 変色層が、1)メチン系染料及びシアニン系染料の少なくとも1種ならびに2)カルボキシル基及び/またはフェノール性水酸基を有する油溶性樹脂を含有する請求項1〜3に記載の高圧蒸気滅菌用インジケーターであり、変色性がよく、識別性に優れた発明である。また、請求項5の発明は、変色層上にプラスチックフィルム層が形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の高圧蒸気滅菌用インジケーターであり、インジケーターに水滴等が付着しても当該水滴等より変色層を保護する効果のある発明である。
【0009】
【発明の実施の形態】
高圧蒸気滅菌用インジケーター
本発明の高圧蒸気滅菌用インジケーターは、紙基材表面に高圧蒸気雰囲気下で変色する変色インキを浸透させて、変色層を形成されていることを特徴とする。
【0010】
基材に使用する紙の種類は、変色層を形成させる面が体質顔料や樹脂でコートしていない非塗工上質紙を基材として用いることが好ましい。更に好ましくは、サイズ性が良く、水が付着しても比較的破れにくいケント紙を用いると良い。コート紙やアート紙などの塗工紙を用いて塗工面に変色層を形成させた場合、セルロース繊維に変色インキが浸透せず、所望のインジケーターを形成出来なくなるという問題がある。
【0011】
基材に使用する紙の米坪量は、157.0g/m2以上のものを用いることが好ましい。更に好ましくは、米坪量が180g/m2以上のものを用いると良い。紙の米坪量が157.0g/m2未満であると、滅菌処理した時に、変色層に水滴が付着した場合、裏面にインクが滲み被滅菌物を汚染するなどの不具合を生じる場合がある。なお、「米坪量」とは、1m2の用紙の重さをグラム数で表した単位をいう。
【0012】
変色層は、高圧蒸気雰囲気下で変色するものであれば限定的ではなく、公知の高圧蒸気滅菌用インジケーターにおける変色層と同じ物を採用することが出来る。例えば、メチン系染料、シアニン系染料等の変色色素と樹脂と溶剤等よりなる変色インキを基材に塗布した変色層がある。特に、本発明では、1)メチン系染料及びシアニン系染料の少なくとも1種ならびに2)カルボキシル基及びフェノール性水酸基を有する樹脂成分を含有する変色層を採用することが好ましい。
【0013】
メチン系染料及びシアニン系染料は、公知のもの又は市販品を使用することが出来る。例えば、C.I.ベイシックエロー11、12、13、14、21、22、23、24、28、29、33、35、40、43、44、45、48、49、51、52、53、C.I.ベイシックレッド12、13、14、15、27、35、36、37、45、48、49、52、53、66、68、C.I.ベイシックバイオレット7、15、16、20、21、39、40、C.I.ベイシックオレンジ27、42、44、46、C.I.ベイシックブルー62、63等が挙げられる。これらの中でも、溶解性が良く、発色性及び消色性が良好であるという点でC.I.ベイシックエロー11、13、C.I.ベイシックレッド12、13、14、15、37、C.I.ベイシックバイオレット15、16等を好適に使用出来る。
【0014】
変色層中の染料の含有量は、用いる染料の種類、所望の検知性度等に応じて適宜決定すればよいが、通常は0.001〜5重量%程度、好ましくは0.01〜3重量%とすれば良い。
【0015】
カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を有する油溶性樹脂も公知のもの又は市販品を使用することが出来る。カルボキシル基及びフェノール性水酸基は、それぞれ1又は2以上有していても良い。このような油溶性樹脂としては、例えばガムロジン、水添ロジン、重合ロジン、超淡色ロジン等のロジン系樹脂、フェノール性樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等のフェノール系の樹脂、マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、スチレン-マレイン酸コポリマー等のマレイン酸系樹脂、アクリル酸樹脂、スチレン-アクリル酸コポリマー等のアクリル酸系樹脂を挙げることが出来る。これらの中でも、溶解性が良く、優れた消色性に寄与できるという見地より、超淡色ロジン、アルキルフェノール樹脂、スチレン-マレイン酸コポリマー、スチレン-アクリル酸コポリマー等が好ましく使用出来る。
【0016】
変色層中の油溶性樹脂の含有量は、用いる油溶性樹脂の種類、所望の検知精度等に応じて適宜決定すれば良いが、通常は10〜99重量%程度、好ましくは30〜99重量%とすれば良い。
【0017】
変色層には、必要に応じて定着色素を含有させても良い。定着色素を配合することにより、いっそう明瞭な変色を起こさせることが出来る。定着色素としては、有機溶剤に溶解又は分散し、アルカリ性下で反応しないものが好ましく使用できる。例えば、C.I.ダイレクトエロー12、27、98、C.I.ダイレクトレッド1、4、28、C.I.ダイレクトオレンジ8、26、29、C.I.ダイレクトブラウン2、44、58、106、209、C.I.アシッドオレンジ74、C.I.アシッドレッド111、C.I.アシッドブルー113、117、120、C.I.アシッドグリーン9、19、44、C.I.アシッドブラウン13、C.I.モルダントブラウン19、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントエロー16、21、29、56、61、C.I.ソルベントオレンジ1、2、14、37、40、C.I.ソルベントレッド1、8、23、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ソルベントバイオレット8、21、27、C.I.ソルベントブラウン20、油溶性担体樹脂と着色顔料とを予め混練してなる加工顔料等を挙げることが出来る。
ここで、上記油溶性担体樹脂としては、ポリビニルブチラール、ロジン系樹脂、エチルセルロース、スチレン-マレイン酸コポリマー等を挙げることが出来る。また、上記着色顔料としては、縮合アゾエロー、ジスアゾエロー、イソインドリンエロー、アントラキノンエロー、ペリノンオレンジ、モノアゾレッド、キナクリドンレッド、ペリレンレッド、アントラキノンレッド、モノアゾブラウン、ジオキサジンバイオレッド、フタロシアニンブルー、セレンブルー、フタロシアニングリーン等を挙げることが出来る。これらの定着色素の中でも、耐アルカリ性に優れ、溶解性が良好であるという点で、C.I.ソルベントエロー16、29、61、C.I.ソルベントブルー5、12、70、上記加工顔料等が好ましい。
【0018】
上記定着色素の含有量は、用いる定着色素の種類等に応じて適宜設定すればよいが、通常は油溶性樹脂100重量部に対し、1〜30重量部程度、好ましくは2〜20重量部とすれば良い。
【0019】
本発明では、必要に応じて変色層上にプラスチックフィルム層が形成されていても良い。プラスチックフィルム層を形成することによって、より優れた耐水性を付与することが出来る。プラスチックフィルムとしては限定的ではなく、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリ塩化ビニリデン等のフィルムが挙げられる。プラスチックフィルム層は、予めフィルム化されたプラスチックを変色層上に積層したり、あるいはプラスチックを含む溶液または分散液をコートすることにより形成することが出来る。
【0020】
プラスチックフィルム層の厚さは、用いるプラスチックの種類、所望の耐水性等により適宜決定すれば良いが、通常は5〜100μm程度、好ましくは10〜30μmとすれば良い。
【0021】
本発明では、変色層のほかに、必要に応じてオゾンの存在下でも変色しない層である非変色層を設けることも出来る。非変色層の形成により、変色がより容易に識別でき、かつ、デザインも自由に出来る。非変色層は、通常は高圧蒸気雰囲気下で変色しないインキによって形成する事が出来る。
【0022】
変色層は、含有される成分を有機溶剤に溶解又は分散させてなるインキを好適に用いることが出来る。この成分は、前記と同じものを採用すればよい。必要に応じて体質顔料、増粘剤、消泡剤、浸透剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の公知の添加剤が配合されていても良い。
【0023】
有機溶剤の種類は特に限定されず、用いる樹脂製分の種類、変色層の形成方法等に応じて適宜選択することが出来る。本発明では、公知の印刷方法によって変色層を形成することが好ましいことから、蒸発速度が印刷に適した有機溶剤が好ましく使用出来る。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコ−ルエ−テル類を例示することが出来る。これらの中でも、適度な乾燥速度をもつという点において、脂肪族アルコールとグリコールエーテル類との混合溶剤、グリコールエーテル類の単独溶剤が好ましい。
【0024】
変色インキ中における各成分の含有量は特に制限されないが、通常は油溶性樹脂100部に対して有機溶剤50〜2000重量部(好ましくは100〜1000重量部)、染料0.5〜50重量部程度(好ましくは1〜25重量部)とすれば良い。また、定着色素を用いる場合は、油溶性樹脂100重量部に対して定着色素1〜30重量部(好ましくは2〜20重量部)とすれば良い。
【0025】
変色層の形成は、変色インキを用いて公知の印刷方法により形成すれば良い。例えば、シルクスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷等の公知の印刷方法に従って行う事が出来る。その他にも、ローラー、刷毛塗り、スプレー等によっても形成出来る。
【0026】
本発明では、非変色層をもうける場合、高圧蒸気雰囲気下で変色しないインキによって非変色層を形成することが出来る。非変色層を形成するためのインキとしては、高圧蒸気雰囲気下で変色しない限りいずれのインキも用いることが出来る。このようなインキとして、市販の普通色インキも使用出来る。例えば、水性インキ、油性インキ、無溶剤型インキ等を用いることが出来る。また、印刷する場合は印刷方法に応じて公知の凸版インキ、グラビアインキ、スクリーンインキ、オフセットインキ等を適宜使い分けることが出来る。これらのインキは、そのまま単独で用いたり、あるいは2種以上を混合して調色しても良い。また、非変色層におけるインキには、公知のインキに配合されている成分(例えば、樹脂系バインダー、増量剤、溶剤等)が含まれていても良い。
【0027】
本発明インジケーターは、これを高圧蒸気雰囲気中に設置することによって、変色層が変色し、その色差(デルタE*ab)によって、より正確かつ迅速に滅菌の完了を確認することが出来る。高圧蒸気雰囲気の条件は限定的ではなく、公知の各種滅菌装置における雰囲気中で使用して滅菌の完了を確認することが出来る。かかる点より、本発明のインジケーターは、食品加工分野、医療分野等の各種分野における滅菌に適用することが出来る。
【0028】
【発明の効果】
本発明インジケーターは、紙基材表面に変色インキを浸透させ、変色層を形成させるため、浸透させるインキ量を操作することにより変色時間を任意に遅らせることができるため、簡単に幅広い滅菌条件に対応することが出来る。これにより、134〜138℃18分という滅菌条件に対しても、より精度の高い検知性能を達成することが出来る。
【0029】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより詳細に説明する。但し、本発明の範囲は、これら実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1
(1)変色インキの調整
シアニン染料(C.I.ベイシックレッド37)3重量部、油溶性樹脂(商品名「スプラパールAP−30」、BASF社製、スチレン-マレイン酸コポリマー)20重量部、定着色素(商品名「スプラパールグリーン8730」、BASF社製)2.5重量部及び有機溶剤(エチレングリコールモノエチルエーテル)74.5重量部を混合し、60℃で2時間撹拌溶解し、赤色のインキを得た。
(2)インジケーターの作製
ケント紙(商品名「OKロイヤルケント」米坪209.3g/m2、王子製紙製)上に変色インキを150メッシュ印刷版でシルクスクリーン印刷し、変色層を形成し、インジケーターを作製した。
【0031】
実施例2
紙基材にケント紙(商品名「ピュアーケント」米坪186.1g/m2、東京製紙製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてインジケーターを作製した。
【0032】
実施例3
実施例1のインジケーターの変色層を10μmOPPフィルムでラミネートすることにより、インジケーターを得た。
【0033】
比較例1
基材と変色層の間に隔離層を設けたインジケーターである市販のインジケーター(商品名「ICカードS」サクラクレパス製)を用いた。
【0034】
試験例1
各実施例及び比較例で得られたインジケーターを用いて高圧蒸気滅菌雰囲気下での変色性(色差)を調べた。条件は134℃の飽和水蒸気雰囲気下で実施した。その変色色差の結果を表1に示す。
【0035】
【0036】
実施例1〜3のインジケーターは、3分ではスタートの赤色から殆ど変色しないが、10分ではあずき色に変色し、18分で緑色に変色した。各時間での変色は、目視により容易に判別がついた。これに対して、比較例1のインジケーターは、基材と変色の間に隔離層があるため変色インキの浸透がないので変色スピードが速く、3分で赤みを帯びた緑色に変色し、10分で鮮やかな緑色に変色し、18分では10分の色と比較して目視では見分けがつかなかった。
Claims (5)
- 紙基材表面に134℃〜138℃の飽和水蒸気雰囲気下で変色する変色インキを浸透させ、変色層を形成させる高圧蒸気滅菌用インジケーターにおいて、上記紙基材が米坪量が157.0g/m2以上であり、変色層を形成させる面が非塗工である上質紙を基材として用いることを特徴とする134〜138℃-18分の滅菌条件にて使用する高圧蒸気滅菌用インジケーター。
- 前記紙基材が米坪量が180g/m2以上である請求項1に記載の高圧蒸気滅菌用インジケーター。
- 基材がケント紙である請求項1又は請求項2に記載の高圧蒸気滅菌用インジケーター。
- 変色層が、1)メチン系染料及びシアニン系染料の少なくとも1種ならびに2)カルボキシル基及び/またはフェノール性水酸基を有する油溶性樹脂を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の高圧蒸気滅菌用インジケーター。
- 変色層上にプラスチックフィルム層が形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の高圧蒸気滅菌用インジケーター。
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