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JP4716738B2 - 管路の評価方法 - Google Patents
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Description

本発明は、管路の評価方法に関する。
近年、水道事業において、既設の管網の状態を把握するとともにこの管網についての更新計画などを立てるといった維持管理を行うことは極めて重要となっている。例えば、管網に関するコンサルティング業務においては、管路に漏水等の事故が発生することにより管網全体に大きな影響を与える重要な管路はどれなのかを評価し、その結果を顧客などに提供している。
上記の重要な管路は、管網に対して行う管網計算の結果をもとに評価することができる。管網計算とは、水源の水頭、管路の配置、管路の口径、水の需要点としての節点から取り出される水の需要量(以下、取り出し水量と記す)などの与条件下で、各管路の流量や各節点の水頭を計算することをいう。
ここで、管網計算の結果をもとに管路を評価する方法を図6〜図17を用いて説明する。この評価方法は、評価を行うための準備工程と、この準備工程の結果を用いて評価のために用いる評価値を算出する計算工程と、計算工程後に評価の対象となる管路を設定する評価対象管路の設定工程と、算出した評価値をもとに各管路を評価する評価工程とを有する。なお、例えば、図6に示すような、水源S1、管路K1〜K8および節点N1〜N6のネットワーク関係から構成される管網に対して管網計算を行うにあたっては、図7および図8に示すような、種々の初期データが与えられている。
すなわち、水源S1については、水源の水頭としてのLWL(Low Water Level)〔m〕および水源S1の設置高さの水頭である地盤高〔m〕、節点N1〜N6については、単位時間当りの取り出し水量〔m/s〕およびその節点の水頭である地盤高〔m〕、管路K1〜K8については、始点、終点、流速係数、管路長さ〔m〕、管内径〔mm〕が与えられている。さらに、人間1人当り且つ1日当りの水の使用量W〔リットル/日・人〕も初期データとして与えられている。
また、管網計算においては、水が管路の一端側から他端側に流れた時の損失水頭を求めるヘーゼン・ウイリアムスの実験式(下記数1に示す)を用いる。
Figure 0004716738
数1において、hは損失水頭〔m〕、qは流量〔m/s〕、Cは流速係数、Dは管内径〔m〕、Lは管路長さ〔m〕であり、rを管路の抵抗係数とする(以下、管路抵抗と記す)。この管路抵抗rは、流速係数C、管内径Dおよび管路長さLにより決定する定数である。また、損失水頭h〔m〕を流量q〔m/s〕で偏微分したときの値をr´とすると、r´は数2で表される。
Figure 0004716738
なお、以下において、このr´を変分抵抗と記す。
以上のような条件において、図6に示す管網に対して、メッシュ流量法により管網計算を行うには、まず、準備工程を行うため、図9に示すように、ステップ1(S001)として、図7および図8に示すような、管網の初期データの読み込みを行う。このとき、読み込むデータは、例えば、図7および図8に示すような数値データである。
次に、ステップ2(S002)として、ステップ1にて読み込んだデータに基づいて、図10に示すように、水源S1、節点N1〜N6、管路K1〜K8を連結し、管網におけるネットワーク関係を構築する。
このとき、管路E1を介して水源S1と連結されている節点N7は、各節点N1〜N6からの取り出し水量c1〜c6がそれぞれ一定とされている管網計算に電気回路網の計算理論を応用するために仮想的に設けられる基準節点(水頭=0)であり、この仮想的に設けられる基準節点N7および管路E1は、公知の手法により作成することができる。このため、ここでは基準節点N7および管路E1の作成についての詳しい説明は避ける。なお、図中の矢印は、管路K1〜K8および管路E1の方向を示している。このとき、管路K1〜K8の方向は任意でよいが、管路E1の方向は、基準節点N7に向かうように設定しておく。また、管路E1についてのデータを図11に示す。図11に示すように、管路E1の始点は水源S1、終点は基準節点N7であり、この基準節点N7の水頭を0〔m〕と設定しているので、始点と終点との水頭差はA〔m〕となっている。
次に、図9に示すように、ステップ3(S003)として、グラフ理論に基づいて広さ優先木を検索する。一般に、グラフ理論における木とは、全ての点(節点)を含み、かつ、閉回路(ループ)を持たない部分グラフ(ここでは管路に相当する)と定義されており、広さ優先木は、根(基準節点)からできるだけ枝分かれするように探索して得られる木である。
この広さ優先木の検索についても公知の手法により行うことができるので、ここではその手法についての詳しい説明は避ける。なお、ステップ3において行った広さ優先木検索の結果を図12に示す。図12に示すように、広さ優先木が張られた管路を木枝として実線で表し、広さ優先木が張られなかった管路を補木枝として破線で表している。
次に、ステップ4(S004)において、ステップ3において補木枝とされた管路K4およびK5には水が流れないものとし、各節点N1〜N6から取り出される取り出し水量が図7のようにc1〜c6(=定数)であることに基づいて、木枝とされた管路K1〜K3、K6〜K8、E1の固定流量a(=定数)を設定する。このとき、例えば、管路K1の固定流量a(K1)は、管路K1の下流側の全ての節点の取り出し水量c1〜c6の和で表される。また、基準節点N7から取り出される水の量は無く、逆に水源S1から全ての節点Nの取り出し水量c1〜c6の和が供給される取り扱いになるので、管路E1の固定流量a(E1)には、負の符号を付する。したがって、管路K1〜K8およびE1のそれぞれの固定流量a(K1)〜a(K8)およびa(E1)は下記数3のようになる。なお、この固定流量aは各管路の管路抵抗rに関係しない設定値である。また、以下において、どの管路の固定流量であるのかを説明上特定する必要がない場合には固定流量aと記す。
Figure 0004716738
次に、ステップ5(S005)として、管網内に形成されたメッシュどうしの隣接関係を検索する。ここでいうメッシュとは、平面グラフにおいて枝(木枝、補木枝)に囲まれ、かつ、内部に枝を含まない領域である。
図7および図8に示した条件や、ステップ2の結果から、管網におけるメッシュは、図13に示すように、メッシュ1とメッシュ2であること、およびメッシュ1とメッシュ2とは管路K8を共有して隣接していることを認識する。
そして、メッシュ1およびメッシュ2に、任意の方向(図示においては右回り方向)に流れが発生していると仮定し、かつ、そのときのメッシュを循環する循環流量(以下、メッシュ流量と記す)をm1およびm2〔m/s〕(=変数)とする。なお、このメッシュ流量m1およびm2も上記の固定流量aと同様、各管路の管路抵抗rに関係しない設定値である。また、以下において、どのメッシュの流量であるのかを説明上特定する必要がない場合にはメッシュ流量mと記す。
それぞれの枝(管路)の流量qは、固定流量aとメッシュ流量mとの和であるので、固定流量aとメッシュ流量mとの値から、各枝(管路)における流量q(K1)〜q(K8)およびq(E1)を導く。流量qを導く際に、固定流量aの向きとメッシュ流量mの向きが同じ向きなら、固定流量aの値にメッシュ流量mの値を加え、固定流量aの向きとメッシュ流量mの向きが逆向きなら、固定流量aの値からメッシュ流量mの値を減ずる。このようにすると、各管路の流量qは、メッシュ流量m1、m2を用いて数4のように表される。なお、どの枝(管路)の流量であるのかを説明上特定する必要がない場合には流量qと記している。
Figure 0004716738
ここで、図14に示すように、メッシュに任意の方向(図示においては右回り方向)に流れが発生していると仮定したとき、これと同じ向きの流れの管路の損失水頭hに正、逆向きの流れの管路の損失水頭hに負の符号を与えると、このメッシュを構成する各管路の損失水頭の総和Σhは0となることから、図13に示すように、メッシュ1およびメッシュ2に関しては数5が成り立つ。
Figure 0004716738
このとき、数1より、数5にて表した式を数6のように表現する。
Figure 0004716738
数3より、各取り出し水量c1〜c6および固定流量aは定数であることから、数6で表される式は、メッシュ1のメッシュ流量m1およびメッシュ2のメッシュ流量m2を変数とする非線形連立方程式となる。
この非線形連立方程式の解は、あとの計算工程でニュートン・ラフソン法による反復計算により求める。このときには数7に示す計算式を用いることは既に公知である。
Figure 0004716738
Jはヤコビ行列であり、ΔMはM=(m1、m2)(Tは転置行列を表す)の値を修正する修正ベクトルである。このとき、このヤコビ行列Jの成分〔jij〕は、数8に示す式
Figure 0004716738
により求められるが、特にメッシュ流量法を用いた管網計算時におけるヤコビ行列Jの成分〔jij〕は、経験上、上記において検索したメッシュ同士の隣接関係、つまりステップ2で構築したネットワーク関係に基づいて求めることができる。したがって、ステップ6(S006)においては、ステップ5の結果より、ヤコビ行列Jを、数9に示すように決定する。
Figure 0004716738
詳細には、管網内に形成されているメッシュの数が2個であるから、ヤコビ行列Jを2×2の行列と決定し、そして、このヤコビ行列Jの対角成分であるj11の値を、メッシュ1を構成している管路K2、K3、K4、K8の変分抵抗の和とし、かつ、j22の値を、メッシュ2を構成している管路K5、K6、K7、K8の変分抵抗の和とする。
さらに、このヤコビ行列Jの非対角成分であるj12およびj21値を、メッシュ1とメッシュ2とが共有している管路K8の変分抵抗の値(共有している管路が複数の場合には、それらの変分抵抗の和の値、共有していない場合は0)とし、かつ、メッシュ1の流れ方向とメッシュ2との流れ方向が逆であることからその符号を負(同方向なら正)にする。以上のようにして、ヤコビ行列Jを決定し、数7に示した計算式を決定する。ただし、この時点では各管路の変分抵抗は未知である。
ここで、ステップ6において決定したヤコビ行列Jの逆行列J−1を後の工程において算出しやすくするために、一般的に用いられるLU分解などをヤコビ行列Jに施しておいてもよい。
以上のステップ1〜ステップ6により管路の評価を行うための準備工程を行ったが、上記の準備工程は、水源、管路および節点のネットワーク関係が決定すればこれに基づいて行える工程であり、特に、各管路の管路抵抗rなどに関係なく行える工程である。
次に、計算工程として、図9に示すように、ステップ7(S007)として、メッシュ流量m1およびm2に、ニュートン・ラフソン法による反復計算を開始するための任意の初期値を設定し、ステップ8(S008)において、数4より各管路における流量qの値を算出する。
次に、各管路における流量qの値を求めると、ステップ9(S009)として、数2より各管路における変分抵抗r´を求める。そして、ステップ10(S010)として、各管路の流量qを数6に代入してF(M)を算出する。
次に、ステップ11(S011)において、ステップ10において求めたf1(M)、f2(M)のそれぞれの値の絶対値が、例えば、閾値として設定されている1.0×10−6よりも小さいかどうかを判断する。
このとき、f1(M)、f2(M)のそれぞれの値の絶対値が閾値10−6よりも小さくない場合には、メッシュ流量mの値が、数5を満たすメッシュ流量mの値よりも大きくずれているとしてステップ12(S012)に進む。
ステップ12において、ステップ9で算出した各管路の変分抵抗r´の値を、ステップ6で決定したヤコビ行列Jに代入し、それに基づいて、ヤコビ行列Jの逆行列J−1を算出し、数10を導く。
Figure 0004716738
そして、数10に示す連立1次方程式を解いて、修正ベクトルΔMの値を算出する。
次に、ステップ13(S013)において、算出した修正値Δm1、Δm2により、今回の計算に使用したメッシュ流量m1、m2の値(初回の計算の場合には初期値)を修正する。すなわち、k回目の計算時におけるMをMと表したときに、次回の計算において使用するMk+1をMk+1=M+ΔMとする。
そして、ステップ8に戻り、メッシュ流量を、修正後の値であるMk+1として、ステップ8〜ステップ11の計算を行い、f1(M)、f2(M)が閾値の条件を満たすまで、ニュートン・ラフソン法による反復計算を行う。
ステップ11において、f1(M)、f2(M)のそれぞれの値が、閾値10−6よりも小さくなった場合には、このときの計算において使用したメッシュ流量mの値が、数5を満たす解に十分に近づいたとして反復計算を終了し、ステップ14(S014)に進む。
ステップ14において、今回の計算に使用したメッシュ流量m1、m2の値を、非線形連立方程式の解とする。そして、このメッシュ流量m1、m2の値を利用して、数4に基づき、各管路における流量qを求め、そして、数1から、各管路における損失水頭h(K1)〜h(K8)を求める。なお、どの管路の損失水頭であるのかを説明上特定する必要がない場合には損失水頭hと記している。
そして、図15に示すように、LWLと動水位との差が損失水頭h、動水位と地盤高との差が圧力水頭としての有効水頭という関係があるので、あらかじめ初期データとして与えられているLWLと地盤高H、および算出した損失水頭hの値より、各節点N1〜N6における有効水頭P(N1)〜P(N6)〔m〕および水源S1の有効水頭P(S1)を評価値として算出する。
例えば、節点N1,N6の有効水頭P(N1),P(N6)と水源S1の有効水頭P(S1)とは下記式数11によって求められる。
Figure 0004716738
尚、上記以外の有効水頭P(N2)〜P(N5)も同様にして求められる。
そして、算出して得られた流量q、損失水頭h、有効水頭Pなどの値を記録する。なお、どの節点における有効水頭であるのかを説明上特定する必要がない場合には有効水頭Pと記している。
上記のようにして求められた有効水頭Pは正常な状態(完全な状態)の管網に対するものである。
次に、評価対象管路の設定工程として、ステップ15(S015)において、評価の対象となる管路を消去していればもとの位置に戻すが、最初に行う計算は、評価対象となる管路を消去することなく正常な状態の管網に対して行っているので、そのままステップ16(S016)に進む。
ステップ16において他に評価対象となる管路があるか否かを判断する。上述のように、最初に行う管網計算は、管路を消去することなく正常な状態の管網に対して行っており、次に各管路を評価しなければならないので、評価対象となる管路があるとしてステップ17(S017)に進む。
ステップ17において、評価対象となる管路を、例えば管路K2とすれば、図16に示すように、管網から管路K2を消去する。
正常な状態の管網から評価対象となる管路K2を削除すると、管路2が消去されたうえでの水源S、節点N、管路Kの連結関係すなわち管網のネットワーク関係を新たに構築する必要があるので、図9に示すように、ステップ2へ戻る。
そして、管路K2が消去された状態の管網に対して、管網のネットワーク関係の構築、広さ優先木の検索などの準備工程を行い、管路K2が消去された状態の管網における評価値を算出するための計算式を導出する。
すなわち、準備工程において、再度、ステップ2〜ステップ6の行程を実行する。図17に、管路K2が消去された状態の管網における広さ優先木検索の結果を示す。この場合の管路K1、K3〜K8、E1の固定流量aは数12のように示される。
Figure 0004716738
また、図17に示すように、管網にはメッシュ1が形成され、メッシュ1を用いた各管路の流量qは下記数13のように表される。
Figure 0004716738
これにより、メッシュ1に関しては下記数14が成り立つ。
Figure 0004716738
このとき、数1より、数14にて表した式を下記数15のように表現する。
Figure 0004716738
また、上記数7におけるΔM、F(M)はそれぞれ下記数16のように示される。
Figure 0004716738
さらに、管網内に形成されているメッシュの数が1個であるから、ヤコビ行列Jは、下記数17のように、1×1の行列で示される。
Figure 0004716738
そして、計算工程に移り、再度ステップ7〜ステップ14を実行してニュートン・ラフソン法による反復計算を行い、メッシュ1の流量m1を求め、流量m1に基づいて、管路K2が消去された状態の管網における各管路の流量q、損失水頭hおよび各節点N1〜N6および水源S1の有効水頭Pを求める。
上記のようにして求められた有効水頭Pは管路K2が消去された状態の管網に対するものである。
その後、ステップ15において、今回は管路K2を消去した場合の計算を行ったため、管路K2を元の位置に戻す。
その後、上記管路K2と同様に、ステップ16、ステップ17を経て、順次、管路K3〜K8,K1を1本ずつ消去し、各管路K3〜K8,K1が消去された状態の管網における各管路の流量q、損失水頭hおよび各節点N1〜N6と水源S1との有効水頭Pを求める。
そして、評価対象となる管路が無くなれば、ステップ18(S018)に移る。
評価工程として、ステップ18では、管網全体に大きな影響を与える重要な管路はどれなのかを評価するための指標を算出する。ここでは、評価指標として、低圧化対象人口を求める。
上記低圧化対象人口は、評価対象管路が断水した場合に圧力低下で断水の影響を受ける人口を示す指標であり、下記数18に基づいて算出される。
Figure 0004716738
上記数18において、LDaは評価対象管路を消去した場合の低圧化対象人口〔人〕である。また、Sは、各節点N1〜N6に設定されている給水人口であり、図7で示した初期データとしての各節点N1〜N6からの単位時間当りの取出し水量c1〜c6[m/s]と人間1人当り且つ1日当りの水の使用量W〔リットル/日・人〕とで下記数19に基づいて算出され、各節点N1〜N6ごとにおいて一定値となる。
Figure 0004716738
また、上記Fは、各節点N1〜N6における断水の有無に対応する値であり、各節点N1〜N6における有効水頭P(N1)〜P(N6)が10m(=0.098MPa:所定値)以下となった場合は断水有りと判断して1とし、10mより大きい場合は断水無しと判断して0とする。
例えば、管路K2を消去した場合、各節点N1〜N6対応するF〜Fの値が下記表1のようになったとすると、管路K2を消去した場合の低圧化対象人口LDa(K2)は下記数20のようになる。
Figure 0004716738
Figure 0004716738
さらに、上記と同様にして、順次、管路K3〜K8,K1を消去した場合に対応する各低圧化対象人口LDa(K3)〜LDa(K8),LDa(K1)を算出する。このようにして求められた各低圧化対象人口LDa(K1)〜LDa(K8)のうち、値が大きいものほど断水の影響を受ける人口が多いことを意味しており、これにより、各低圧化対象人口LDa(K1)〜LDa(K8)の値が大きくなる管路から順に重要度が高い管路であると評価する。上記従来の例においては、図6に示すように、管網に8本の管路K1〜K8を設けているため、評価対象管路を1本ずつ消去して低圧化対象人口を算出する場合、合計8種類の低圧化対象人口LDa(K1)〜LDa(K8)を算出することになる。
なお、特許文献1には、管網についての計算を行うコンピュータのメモリを効率的に活用しつつ、管網解析を行うことができる技術が記載されている。
特開平6−274576号公報
上記の従来形式では、各管路K1〜K8がいずれか1本ずつ使用不能になるといった考え方に基づいて、評価対象管路として各管路K1〜K8を1本ずつ消去して低圧化対象人口LDa(K1)〜LDa(K8)を算出し、各管路K1〜K8の重要度を1本ずつ評価している。
しかしながら、実際には、管網中にバルブが設けられ、管網中の管路のいずれか1本が事故により使用不能になった場合、近隣のバルブを閉じることとなり、事故が発生した管路のみならず、複数の管路が同時に使用不能に陥ることがある。
したがって、上記従来の方法では、管路がいずれか1本ずつ使用不能な状態に陥るという考えに基づいて、各管路を1本ずつ消去して各管路の重要度を評価しているため、同時に複数の管路が使用不能になる実際の管網の状態とは異なった状態で管路の評価が行われることになり、算出される評価結果の正確さが劣ることが危惧される。
本発明は、同時に複数の管路が使用不能になる可能性がある実際の管網により近い状態で、管網に影響を与える管路の評価を行って、より正確な評価結果を得ることが可能な管路の評価方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本第1発明は、任意の数の水源と、複数の水の需要点と、水源または需要点が両端に接続される複数の管路とのネットワーク関係から構成される管網にて、上記管網に影響を与える管路を評価する際に、評価を行うための準備工程と、準備工程の結果を用いて上記評価のために用いる評価値を算出する計算工程と、評価対象グループの設定を行う設定工程と、評価工程とを行う管路の評価方法であって、
上記準備工程において、ネットワーク関係を構築し、管路を複数のグループに分け、管網における各管路の流量を算出する計算式を上記ネットワーク関係に基づいて導出し、
上記計算工程において、上記計算式を用いて各管路の流量を算出し、算出した各管路の流量を、下記ヘーゼン・ウイリアムスの式(a)に代入して各管路の損失水頭を算出し、上記算出した各管路の損失水頭をもとに上記評価値を算出し、
上記設定工程において、各グループの中から評価対象グループを決定し、評価対象グループ内に含まれている管路を管網から削除し、
上記管路削除後、上記準備工程に戻り、評価対象グループ内の管路が削除された管網に対してネットワーク関係を新たに構築し、この新たなネットワーク関係に基づいて上記準備工程と上記計算工程とを行って評価値を算出し、
上記評価工程において、上記評価値を用いて、上記評価対象グループが管網に与える影響を評価するものである。
h=r×q×|q|0.85 ・・・式(a)
h:管路の損失水頭
r:管路の抵抗係数
q:管路の流量
これによると、管路を複数のグループに分け、これらグループの中から評価対象グループを決定し、評価対象グループごとに管路を消去して、評価対象グループが管網に与える影響を評価するため、バルブの開閉等によって同時に使用不能に陥る可能性のある複数の管路を1つのグループとすることで、従来の管路を一本ずつ消去する方法に比べて、実際の管網の状態により近い状態で管路を評価することができ、より正確な評価結果を得ることが可能になる。
本第2発明は、任意の数の水源と、複数の水の需要点と、水源または需要点が両端に接続される複数の管路とのネットワーク関係から構成される管網にて、上記管網に影響を与える管路を評価する際に、評価を行うための準備工程と、準備工程の結果を用いて上記評価のために用いる評価値を算出する計算工程と、評価対象グループの設定を行う設定工程と、評価工程とを行う管路の評価方法であって、
上記準備工程において、ネットワーク関係を構築し、管路を複数のグループに分け、管網における各管路の流量を算出する計算式を上記ネットワーク関係に基づいて導出し、
上記計算工程において、上記計算式を用いて各管路の流量を算出し、算出した各管路の流量を、下記ヘーゼン・ウイリアムスの式(a)に代入して各管路の損失水頭を算出し、上記算出した各管路の損失水頭をもとに上記評価値を算出し、
上記設定工程において、各グループの中から評価対象グループを決定し、評価対象グループ内に含まれている管路における抵抗係数をその管路の通常時の抵抗係数よりも大きく設定して評価対象グループ内の管路を水の流れ難い管路に設定変更し、
上記設定変更後、上記計算工程に戻り、上記評価対象グループ内の管路の抵抗係数を大きくした状態で、各管路の流量と損失水頭と評価値とを算出し、
上記評価工程において、上記評価値を用いて、上記評価対象グループが管網に与える影響を評価するものである。
h=r×q×|q|0.85 ・・・式(a)
h:管路の損失水頭
r:管路の抵抗係数
q:管路の流量
これによると、管路を複数のグループに分け、これらグループの中から評価対象グループを決定し、評価対象グループごとに管路の抵抗係数を通常時の抵抗係数よりも大きく設定して評価対象グループ内の管路を水の流れ難い管路に設定変更し、評価対象グループが管網に与える影響を評価するため、バルブの開閉等によって同時に使用不能に陥る可能性のある複数の管路を1つのグループとすることで、従来の管路を一本ずつ消去する方法に比べて、実際の管網の状態により近い状態で管路を評価することができ、より正確な評価結果を得ることが可能になる。
また、評価対象グループの管路を管網から消去しなくても、管網から評価対象グループの管路を消去した場合と同等の影響を管網に生じさせることができ、この状態の管網に対して計算工程を行うことで、評価対象グループを設定した時の管網における評価値を算出することができる。したがって、上記第1発明のように評価対象グループの管路を管網から消去する方法では、評価対象グループの管路を消去した後の管網について、ネットワーク関係の構築等の準備工程を行う必要があるが、本第2発明のように評価対象グループの管路を消去せず、評価対象グループの管路を水の流れ難い管路に設定変更することで、管路抵抗の値に関係しない準備工程を省略することができる。したがって、上記第1発明の方法に比べて、管網に影響を与える管路の評価を迅速に行うことができる。
本第3発明は、初期データとして、水源の水頭と、各需要点の地盤高と、各需要点からの単位時間当りの取出し水量と、一人当り且つ単位時間当りの水の使用量とが与えられており、
計算工程において、上記初期データとしての水源の水頭の値および各需要点の地盤高と、計算工程中に算出した管路の損失水頭とに基づいて、各需要点における有効水頭を求め、
上記各需要点における有効水頭を評価値とし、
評価工程において、評価対象グループ内の管路を断水した場合に圧力低下で断水の影響を受ける人口を示す低圧化対象人口を下記式(b)に基づいて求め、
LDa=Σ(S×F) ・・・式(b)
上記式(b)において、
LDaは評価対象グループの低圧化対象人口であり、
は、各需要点に設定されている給水人口であり、初期データとしての各需要点からの単位時間当りの取出し水量と、一人且つ単位時間当りの水の使用量とから求められる値であり、
は、各需要点における断水の有無に対応する値であり、各需要点における有効水頭が所定値以下となった場合は断水有りと判断して1とし、所定値より大きい場合は断水無しと判断して0とするものである。
これによると、評価の指標として低圧化対象人口を算出することで、この値の大きさを比べるだけで、管路の評価をグループごとに容易に行うことができる。また、評価対象グループの管路を消去した場合又は評価対象グループの管路の抵抗係数を大きく設定した場合における低圧化対象人口の大きさの順番が、管網における断水の影響を受ける人口の多さの順番を意味することになるので、この結果から、管路の重要度をグループごとに判断することができる。
以上のように本発明によれば、バルブの開閉等によって同時に使用不能に陥る可能性のある複数の管路を1つのグループとすることで、従来の管路を一本ずつ消去する方法に比べて、実際の管網の状態により近い状態で管路を評価することができ、より正確な評価結果を得ることが可能になる。
以下、本発明の第1の実施の形態における管路の評価方法を図1〜図4に基づいて説明する。尚、この評価方法において、従来と同じ内容の部分は詳細な説明を省略する。
図1に示すように、管網は、従来のものと同様に、水源S1と、複数の管路K1〜K8と、複数の節点N1〜N6(水の需要点に相当)とのネットワーク関係から構成されている。また、管網計算の際に与えられる初期データも図7および図8に示した初期データと同じである。
管路の評価方法は、(1)評価を行うための準備工程と、(2)準備工程の結果を用いて上記評価のために用いる評価値を算出する計算工程と、(3)評価対象グループの設定を行う設定工程と、(4)管網全体に大きな影響を与える重要なグループはどれなのかを評価する評価工程とで構成されている。
図2に示すように、先ず、(1)準備工程をステップ1(S001)〜ステップ7(S007)に基づいて説明する。
従来と同様に、ステップ1(S001)において管網の初期データを読み込み、ステップ2(S002)において管網のネットワーク関係を構築する。その後、ステップ3(S003)において、図1で示すように、各管路K1〜K8を、節点N1〜N6を介して接続されたもの同士の複数のグループG1〜G4に分ける。その後、ステップ4(S004)〜ステップ7(S007)によって、管網における各管路K1〜K8の流量q(K1)〜q(K8)を算出する計算式を導出する。この場合、正常な状態(完全な状態)の管網に対して行う最初の計算であるため、広さ優先木は従来の図12に示したものと同じであり、固定流量は従来の数3に示したものと同じであり、非線形連立方程式は従来の数6に示したものと同じであり、ヤコビ行列Jは従来の数9に示したものと同じである。尚、上記ステップ4(S004)〜ステップ7(S007)は、図9に示した従来のステップ3(S003)〜ステップ6(S006)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
次に、(2)計算工程を図2のステップ8(S008)〜ステップ15(S015)に基づいて説明する。
計算工程は、上記準備工程で導出された計算式を用いて各管路K1〜K8の流量q(K1)〜q(K8)を算出し、算出した各管路K1〜K8の流量q(K1)〜q(K8)を、上記数1で示したヘーゼン・ウイリアムスの式に代入して各管路K1〜K8の損失水頭h(K1)〜h(K8)を算出し、上記算出した各損失水頭h(K1)〜h(K8)と予めデーターとして与えられているLWLおよび地盤高の値より、各節点N1〜N6における有効水頭P(N1)〜P(N6)および水源S1における有効水頭P(S1)を求める。
尚、計算工程のステップ8(S008)〜ステップ15(S015)は、図9に示した従来のステップ7(S007)〜ステップ14(S014)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
次に、(3)評価対象グループの設定工程を図2のステップ16(S016)〜ステップ18(S018)に基づいて説明する。
ステップ16(S016)において、最初に行う計算は、評価対象となるグループG1〜G4を消去することなく、正常な状態の管網に対して行っているので、そのままステップ17(S017)に進む。
ステップ17(S017)において、他に評価対象となるグループが有るか否かを判断する。上述のように、最初に行う管網計算は、グループG1〜G4を消去することなく、正常な状態の管網に対して行っており、次に各グループG1〜G4を評価しなければならないので、評価対象となるグループ(以下、評価対象グループと言う)が有るとしてステップ18(S018)に進む。
ステップ18(S018)において、グループG1〜G4のうち、評価対象グループをG1とすれば、図3に示すように、評価対象グループG1の各管路K4,K5,K8を管網から消去する。この場合、節点N6に設置されたバルブ(図示せず)で管路K8方向への流入を止め、節点N2,N4のバルブ(図示せず)で管路K4,K5への流れを止めたと仮定できる。このような評価対象グループG1の消去は、例えば、管路K8が事故等で使用不能に陥った場合、上記各バルブを閉めて各管路K4,K5,K8を閉鎖し、同時に三本の管路K4,K5,K8が使用不能になる状態に相当している。
正常な状態の管網から評価対象グループG1を削除すると、各管路K4,K5,K8が消去されたうえでの水源S、節点N、管路Kの連結関係すなわち管網のネットワーク関係を新たに構築する必要があるので、図2に示すように、ステップ18(S018)からステップ2(S002)へ戻る。
そして、評価対象グループG1の管路K4,K5,K8が消去された状態の管網に対して、管網のネットワーク関係の構築、広さ優先木の検索等の準備工程を行い、管網における評価値を算出するための計算式を導出する。
すなわち、準備工程において、再度、ステップ2〜ステップ7の工程を実行する。図3
に、評価対象グループG1の管路K4,K5,K8が消去された状態の管網における広さ優先木検索の結果を示す。この場合の管路K1〜K3、K6、K7、E1の固定流量aは数21のように示される。
Figure 0004716738
また、図3に示すように、評価対象グループG1の管路K4,K5,K8を消去した場合、管網にメッシュは形成されない。したがって、各管路の流量は下記数22のように、取出し水量c1,c2,c4〜c6(定数)のみで示される。
Figure 0004716738
尚、上記のように管網にメッシュが形成されない場合は、ヤコビ行列Jは不要になるため、準備工程において図2のステップ6、ステップ7を抜かし、さらに、計算工程においてステップ8〜ステップ14を抜かして、ステップ15を行う。
すなわち、ステップ15において、上記数20の関係式に基づいて、取出し水量c1〜c6(定数)から各管路の流量q(この場合、流量q(K1)〜q(K3),q(K6),q(K7))を求め、これら流量qから損失水頭h(この場合、損失水頭h(K1)〜h(K3),h(K6),h(K7))を求め、さらに、各節点(この場合、N1,N2,N4〜N6)および水源S1の有効水頭P(この場合、P(N1),P(N2),P(N4)〜P(N6),P(S1))を求める。尚、今回は評価対象グループG1の管路K4,K5,K8を消去しているため、節点N3の有効水頭P(N3)は0mとなる。
その後、ステップ16において、今回はグループG1の管路K4,K5,K8を消去した場合の計算を行ったため、グループG1の管路K4,K5,K8を元の位置に戻す。
その後、上記グループG1と同様に、図2のステップ17、ステップ18を経て、順次、各グループG2〜G4を評価対象グループとして1グループずつ消去していく。
例えば、次に、評価対象グループG2を削除した場合、図2に示すように、ステップ18(S018)からステップ2(S002)へ戻り、再度、ステップ2〜ステップ7の準備工程を実行し、評価対象グループG2の管路K2,K3が消去された状態の管網に対して、管網のネットワーク関係の構築、広さ優先木の検索等の準備工程を行って、管網における評価値を算出するための計算式を導出する。
図4に、評価対象グループG2の管路K2,K3が消去された状態の管網における広さ優先木検索の結果を示す。この場合の管路K1、K4〜K8、E1の固定流量aは数23のように示される。
Figure 0004716738
また、図4に示すように、管網にはメッシュ1が形成され、メッシュ1を用いた各管路の流量qは下記数24のように示される。
Figure 0004716738
これにより、メッシュ1に関しては下記数25が成り立つ。
Figure 0004716738
このとき、数1より、数25にて表した式を下記数26のように表現する。
Figure 0004716738
また、上記数7におけるΔM、F(M)はそれぞれ下記数27のように示される。
Figure 0004716738
さらに、管網内に形成されているメッシュの数が1個であるから、ヤコビ行列は、下記数28のように、1×1の行列で示される。
Figure 0004716738
そして、計算工程に移り、再度、ステップ8〜ステップ15を実行して、メッシュ1の流量m1を求め、流量m1に基づいて、評価対象グループG2の管路K2,K3が消去された状態の管網における各管路の流量q、損失水頭hおよび各節点および水源S1の有効水頭Pを求める。尚、この場合の節点N1の有効水頭P(N1)は0mとなる。
上記のようにして各グループG1〜G4を評価対象グループとして順次消去した状態の管網における各節点N1〜N6の有効水頭P(N1)〜P(N6)を求める。そして、評価対象となるグループが無くなれば、(4)評価工程に移る。
(4)評価工程では、図2のステップ19(S019)において、上記数18に基づき、各グループG1〜G4を評価対象グループとして消去した場合の低圧化対象人口を算出する。例えば、グループG1を消去した場合、上記計算工程(S008〜S015)で求められた各節点N1〜N6の有効水頭P(N1)〜P(N6)に基づいてF〜Fの値が下記表2のようになったとすると、グループG1を消去した場合の低圧化対象人口LDa(G1)は下記数29のようになる。尚、各節点N1〜N6における給水人口S〜Sは従来と同じ値である。
Figure 0004716738
Figure 0004716738
さらに、上記と同様にして、順次、グループG2〜G4を消去した場合に対応する各低圧化対象人口LDa(G2)〜LDa(G4)を算出する。このようにして求められた各低圧化対象人口LDa(G1)〜LDa(G4)のうち、値が大きいものほど重要度が高いグループであると評価する。
本第1の実施の形態では、各管路K1〜K8を4つのグループG1〜G4に分けているため、合計4種類の低圧化対象人口LDa(G1)〜LDa(G4)を算出することになる。
以上説明したように、本第1の実施の形態では、バルブの開閉等によって同時に使用不能に陥る可能性のある複数の管路を1つのグループとし、グループごとに管路を消去して、グループごとの重要度を評価しており、これによって、従来の管路を一本ずつ消去する方法に比べて、実際の管網の状態により近い状態で管路を評価することができ、より正確な評価結果を得ることが可能になる。
以下、本発明の第2の実施の形態における管路の評価方法を図5に基づいて説明する。尚、この評価方法において、従来および先述した第1の実施の形態と同じ内容の部分は詳細な説明を省略する。
管路の評価方法は、(1)準備工程と、(2)計算工程と、(3)評価対象グループの設定を行う設定工程と、(4)評価工程とで構成されている。このうち、(1)準備工程と(2)計算工程と(4)評価工程とは、先述した第1の実施の形態と同じ内容である。また、各管路K1〜K8の管路抵抗をr〜rと示す。
図5に示すように、先ず、(1)準備工程においてステップ1(S001)〜ステップ7(S007)を実行する。この場合、正常な状態の管網に対して行う最初の計算であるため、広さ優先木は従来の図12に示したものと同じであり、固定流量は従来の数3に示したものと同じであり、非線形連立方程式は従来の数6に示したものと同じであり、ヤコビ行列Jは従来の数9に示したものと同じである。
その後、(2)計算工程においてステップ8(S008)〜ステップ15(S015)を実行し、正常な状態の管網に対して、各節点N1〜N6における有効水頭P(N1)〜P(N6)を求める。
次に、(3)評価対象グループの設定工程をステップ16(S016)〜ステップ18(S018)に基づいて説明する。
ステップ16(S016)において、最初に行う計算は、いずれのグループG1〜G4をも評価対象にしておらず、正常な状態の管網に対して行っているので、そのままステップ17(S017)に進む。
ステップ17(S017)において、他に評価対象となるグループが有るか否かを判断する。上述のように、最初に行う管網計算は、グループG1〜G4を消去することなく、正常な状態の管網に対して行っており、次に各グループG1〜G4を評価しなければならないので、評価対象となるグループ(以下、評価対象グループと言う)が有るとしてステップ18(S018)に進む。
ステップ18(S018)において、グループG1〜G4のうち、評価対象グループをG1とすれば、この評価対象グループG1の各管路K4,K5,K8の各管路抵抗r,r,rの大きさを、これら各管路K4,K5,K8の通常時の管路抵抗よりも十分に大きく設定して、評価対象グループG1の各管路K4,K5,K8を水の流れ難い管路に設定変更する。この場合、節点N6に設置されたバルブ(図示せず)で管路K8方向への流入を止め、節点N2,N4のバルブ(図示せず)で管路K4,K5への流れを止めたと仮定できる。このような評価対象グループG1の管路の設定変更は、例えば、管路K8が事故等で使用不能に陥った場合、各バルブを閉めて各管路K4,K5,K8を閉鎖し、同時に三本の管路K4,K5,K8が使用不能になる状態に相当している。
このように、評価対象グループG1の各管路K4,K5,K8を水の流れ難い管路に設定変更して、評価対象グループG1の各管路K4,K5,K8を詰らせたように表現することで、先述した第1の実施の形態のように評価対象グループG1の各管路K4,K5,K8を管網から消去しなくても、管網から評価対象グループG1の各管路K4,K5,K8を消去した場合と同等の影響を管網に生じさせることができる。しかもこの場合、管網のネットワーク関係に変更が生じず、したがって、ネットワーク関係に基づいて行われた準備工程の結果も変わらない。すなわち、広さ優先木は従来の図12に示したものと変わらず、固定流量は従来の数3に示したものと変わらず、非線形連立方程式は従来の数6に示したものと変わらず、ヤコビ行列Jは従来の数9に示したものと変わらない。これにより、評価対象グループG1を設定した管網における評価値を算出するときには、ネットワーク関係に基づいて行われ、かつ、管路抵抗r,r,rの値に関係しない準備工程(=図5のステップ1〜ステップ7)を省略することができる。
これにより、評価対象グループG1を設定した管網における評価値を算出する際には、管路抵抗r,r,rの大きさによって計算結果が異なってくるステップ8以降から行うことができる。
以上のことから、図5に示すように、ステップ18からステップ8に戻り、従来と同様に、(2)計算工程として、ステップ8〜ステップ15を行う。ステップ12において、f1(M)、f2(M)の絶対値が閾値10−6よりも小さくなると、ニュートン・ラフソン法による反復計算を終了し、ステップ15に進む。
ステップ15において、今回の計算に使用したメッシュ流量m1、m2の値を上記数6に示した非線形連立方程式の解とする。そして、このメッシュ流量m1、m2の値を用いて、各管路K1〜K8における流量q(K1)〜q(K8)と損失水頭h(K1)〜h(K8)を求め、さらに、各節点N1〜N6および水源S1における有効水頭P(N1)〜P(N6)、P(S1)を算出する。
その後、ステップ16において、今回は評価対象にしたグループG1の各管路K4,K5,K8の各管路抵抗r,r,rを通常時よりも十分に大きく設定して計算したため、グループG1の各管路K4,K5,K8の各管路抵抗r,r,rを通常時の値に戻す。
その後、上記グループG1と同様に、ステップ17、ステップ18を経て、順次、各グループG2〜G4を評価対象グループとし、各評価対象グループの管路抵抗を通常時よりも十分に大きく設定して、各節点N1〜N6および水源S1における有効水頭P(N1)〜P(N6)、P(S1)を算出する。例えば、グループG2を評価対象とする場合、ステップ18において、評価対象グループG2の各管路K2,K3の各管路抵抗r,rの大きさを、これら各管路K2,K3の通常時の管路抵抗よりも十分に大きく設定し、ステップ8〜ステップ15を行って、各節点N1〜N6および水源S1における有効水頭P(N1)〜P(N6)、P(S1)を算出する。
このようにして、各グループG1〜G4を評価対象グループとした管網における各節点N1〜N6の有効水頭P(N1)〜P(N6)を求める。そして、評価対象となるグループが無くなれば、(4)評価工程に移る。
(4)評価工程では、ステップ19において、上記数18に基づき、各グループG1〜G4を評価対象グループとした場合の低圧化対象人口を算出する。例えば、評価対象グループをグループG1とした場合、上記計算工程(S008〜S015)で求められた各節点N1〜N6の有効水頭P(N1)〜P(N6)の値に基づいてF〜Fの値が下記表3のようになったとすると、グループG1を消去した場合の低圧化対象人口LDa(G1)は下記数30のようになる。尚、各節点N1〜N6における給水人口S〜Sは従来と同じ値である。
Figure 0004716738
Figure 0004716738
さらに、上記と同様にして、順次、グループG2〜G4を評価対象グループとした場合に対応する各低圧化対象人口LDa(G2)〜LDa(G4)を算出する。このようにして求められた各低圧化対象人口LDa(G1)〜LDa(G4)のうち、値が大きいものほど重要度が高いグループであると評価する。本第2の実施の形態では、各管路K1〜K8を4つのグループG1〜G4に分けているため、合計4種類の低圧化対象人口LDa(G1)〜LDa(G4)を算出することになる。
以上説明したように、本第2の実施の形態では、バルブの開閉等によって同時に使用不能に陥る可能性のある複数の管路を1つのグループとし、グループごとに管路抵抗を通常時よりも大きく設定して、グループごとの重要度を評価しており、これによって、従来の管路を一本ずつ消去する方法に比べて、実際の管網の状態により近い状態で管路を評価することができ、より正確な評価結果を得ることが可能になる。
また、本第2の実施の形態では、評価対象グループの管路抵抗を大きくして水の流れ難い管路に設定変更して計算することにより、評価対象グループを設定した管網における評価値を算出する際、管路抵抗の値に関係しない準備工程(=図5のステップ1〜ステップ7)を省略することができるため、本第1の実施の形態の方法に比べて、管網に影響を与える管路の評価を迅速に行うことができる。
上記第1および第2の実施の形態では、図1に示すように、管網に水源S1と節点N1〜N6と管路K1〜K8を設けているが、水源S1の数は複数でもよく、節点や管路の数も図1のものに限定されない。また、管路K1〜K8を4つのグループG1〜G4に分けているが、4つ以外の複数のグループに分けてもよい。また、図10に示すように、完全な管網においては、2つのメッシュが形成されるが、3つ以上のメッシュが形成される管網であってもよい。尚、管網にN個のメッシュが形成される場合、ヤコビ行列JはN×Nの行列になる。また、1つのグループに属する管路の数は複数又は単数のどちらでもよい。さらに、管網に、グループに属さない管路が存在してもよい。
また、上記第1および第2の実施の形態では、図1に示すように、管路K1〜K8を、節点N1〜N6を介して接続された(連続した)もの同士のグループG1〜G4に分けているが、上記節点を介して接続されていない複数の管路が同時に破損した場合も評価できるように、1つのグループ内に、上記節点を介して接続されていない管路同士を含んでもよい。
また、上記第1および第2の実施の形態では、各節点における有効水頭が10m以下となった場合は断水有りと判断してF=1とし、10mより大きい場合は断水無しと判断してF=0としているが、所定値は10mの水頭に限定されるものではなく、10m以外の水頭であってもよい。
また、上記第1および第2の実施の形態では、各節点N1〜N6における有効水頭P(N1)〜P(N6)を評価値とし、これら有効水頭P(N1)〜P(N6)を用いて低圧化対象人口LDaを求め、求めた低圧化対象人口LDaを評価指標としているが、各管路K1〜K8の有効水頭を評価値とし、これら各管路K1〜K8の有効水頭を用いて平均圧力変化量を求め、求めた平均圧力変化量を評価値としてもよい。
本発明の第1の実施の形態における管路によって形成された完全な管網の図であり、管路を複数のグループに分けた状態を示す。 同、管路の評価方法を示すフローチャートである。 同、評価対象グループG1の管路を消去した管網の図である。 同、評価対象グループG2の管路を消去した管網の図である。 本発明の第2の実施の形態における管路の評価方法を示すフローチャートである。 従来の評価の対象となる管網の完全な状態の図である。 図6に示した管網における水源と節点とに与えられている初期データを示す図表である。 図6に示した管網における管路に与えられている初期データを示す図表である。 従来の管路の評価方法を示すフローチャートである。 同、管網におけるネットワーク関係を構築した状態を示す図である。 図10における管路E1のデータを示す図表である。 図10に示した管網における広さ優先木の検索結果を示す図である。 図12に示した管網におけるメッシュを示す図である。 管網のメッシュにおける損失水頭の条件式を示す図である。 同、管網におけるLWL、動水位、損失水頭、地盤高、有効水頭の関係を示す図である。 図6に示した管網において、管路K2を消去した状態を示す図である。 図16に示した管路K2を消去した管網における広さ優先木の検索結果を示す図である。
符号の説明
S1 水源
K1〜K8 管路
N1〜N6 節点(水の需要点)
G1〜G4 グループ
q(K1)〜q(K8) 各管路の流量
h(K1)〜h(K8) 各管路の損失水頭
P(N1)〜P(N6) 各節点における有効水頭(評価値)
LDa 低圧化対象人口
r 管路抵抗(抵抗係数)
c1〜c6 単位時間当りの取出し水量
W 一人当り且つ単位時間当りの水の使用量
給水人口
断水の有無に対応する値

Claims (3)

  1. 任意の数の水源と、複数の水の需要点と、水源または需要点が両端に接続される複数の管路とのネットワーク関係から構成される管網にて、上記管網に影響を与える管路を評価する際に、評価を行うための準備工程と、準備工程の結果を用いて上記評価のために用いる評価値を算出する計算工程と、評価対象グループの設定を行う設定工程と、評価工程とを行う管路の評価方法であって、
    上記準備工程において、ネットワーク関係を構築し、管路を複数のグループに分け、管網における各管路の流量を算出する計算式を上記ネットワーク関係に基づいて導出し、
    上記計算工程において、上記計算式を用いて各管路の流量を算出し、算出した各管路の流量を、下記ヘーゼン・ウイリアムスの式(a)に代入して各管路の損失水頭を算出し、上記算出した各管路の損失水頭をもとに上記評価値を算出し、
    上記設定工程において、各グループの中から評価対象グループを決定し、評価対象グループ内に含まれている管路を管網から削除し、
    上記管路削除後、上記準備工程に戻り、評価対象グループ内の管路が削除された管網に対してネットワーク関係を新たに構築し、この新たなネットワーク関係に基づいて上記準備工程と上記計算工程とを行って評価値を算出し、
    上記評価工程において、上記評価値を用いて、上記評価対象グループが管網に与える影響を評価することを特徴とする管路の評価方法。
    h=r×q×|q|0.85 ・・・式(a)
    h:管路の損失水頭
    r:管路の抵抗係数
    q:管路の流量
  2. 任意の数の水源と、複数の水の需要点と、水源または需要点が両端に接続される複数の管路とのネットワーク関係から構成される管網にて、上記管網に影響を与える管路を評価する際に、評価を行うための準備工程と、準備工程の結果を用いて上記評価のために用いる評価値を算出する計算工程と、評価対象グループの設定を行う設定工程と、評価工程とを行う管路の評価方法であって、
    上記準備工程において、ネットワーク関係を構築し、管路を複数のグループに分け、管網における各管路の流量を算出する計算式を上記ネットワーク関係に基づいて導出し、
    上記計算工程において、上記計算式を用いて各管路の流量を算出し、算出した各管路の流量を、下記ヘーゼン・ウイリアムスの式(a)に代入して各管路の損失水頭を算出し、上記算出した各管路の損失水頭をもとに上記評価値を算出し、
    上記設定工程において、各グループの中から評価対象グループを決定し、評価対象グループ内に含まれている管路における抵抗係数をその管路の通常時の抵抗係数よりも大きく設定して評価対象グループ内の管路を水の流れ難い管路に設定変更し、
    上記設定変更後、上記計算工程に戻り、上記評価対象グループ内の管路の抵抗係数を大きくした状態で、各管路の流量と損失水頭と評価値とを算出し、
    上記評価工程において、上記評価値を用いて、上記評価対象グループが管網に与える影響を評価することを特徴とする管路の評価方法。
    h=r×q×|q|0.85 ・・・式(a)
    h:管路の損失水頭
    r:管路の抵抗係数
    q:管路の流量
  3. 初期データとして、水源の水頭と、各需要点の地盤高と、各需要点からの単位時間当りの取出し水量と、一人当り且つ単位時間当りの水の使用量とが与えられており、
    計算工程において、上記初期データとしての水源の水頭の値および各需要点の地盤高と、計算工程中に算出した管路の損失水頭とに基づいて、各需要点における有効水頭を求め、
    上記各需要点における有効水頭を評価値とし、
    評価工程において、評価対象グループ内の管路を断水した場合に圧力低下で断水の影響を受ける人口を示す低圧化対象人口を下記式(b)に基づいて求め、
    LDa=Σ(S×F) ・・・式(b)
    上記式(b)において、
    LDaは評価対象グループの低圧化対象人口であり、
    は、各需要点に設定されている給水人口であり、初期データとしての各需要点からの単位時間当りの取出し水量と、一人且つ単位時間当りの水の使用量とから求められる値であり、
    は、各需要点における断水の有無に対応する値であり、各需要点における有効水頭が所定値以下となった場合は断水有りと判断して1とし、所定値より大きい場合は断水無しと判断して0とすることをことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管路の評価方法。
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