JP4730635B2 - 炭化水素ガスセンサ及び炭化水素ガス濃度測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は炭化水素ガスセンサ及び炭化水素ガス濃度測定方法に関する。更に詳しくは、プロトン導電性を示す固体電解質体上に形成された電極間の電位差を測定することで対象ガスの濃度を測定する炭化水素ガスセンサ及び炭化水素ガス濃度の測定方法に関する。本発明の炭化水素ガスセンサは、各種ガスの濃度測定に用いることができるが、なかでも内燃機関の排気ガス中に含まれる炭化水素ガスの濃度測定に好適である。
【0002】
【従来の技術】
近年、酸素イオン導電性を有する固体電解質体を利用したガスセンサが多く開発され、特表平8−51084号公報及び特開2000−146902号公報等に開示された技術が知られている。しかし、これらは何れも酸素イオンの導電を利用するため元来酸素濃度の影響を受け易く、更に、水素や一酸化炭素等と炭化水素ガスとを区別して濃度測定することは難しい。このため、酸素濃度の影響を小さくする特殊な技術及び水素や一酸化炭素等と炭化水素ガスとを区別するための特殊な技術等を必要とする。
一方、プロトン導電性を有する固体電解質体を利用したガスセンサとして、特開平6−242060号公報及び特開平9−127055号公報等が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このうち特開平6−242060号公報に開示される炭化水素センサは、2つの電極の両方を被測定雰囲気に曝す必要がある。これは一方の電極の表面で炭化水素を燃焼させて水蒸気を発生させ、炭化水素を燃焼させない他方の電極との水蒸気分圧の差を測定することで炭化水素の濃度を測定しようとするものだからである。しかし、大量の水蒸気を含有する内燃機関の排気ガス中などでは使用することが困難である。
一方、特開平9−127055号公報には、BaCeO3系酸化物をプロトン導電性酸化物として用いた(1)特開平6−242060号公報と同様な両電極の水蒸気分圧差を測定する炭化水素センサ、(2)電流検知式の炭化水素センサ及び(3)水素ポンプ素子を備える起電力式の炭化水素センサが各々開示されている。更に、(4)SrCeO3系酸化物を用いた電流検知式の炭化水素ガスセンサも上記公報には開示されている。しかし、実使用を鑑みると被測定ガスの有無による起電力差がより大きなガスセンサが望まれる。更に、制御性に優れる起電力式のガスセンサであることが望ましい。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するものであり、内燃機関等のように水蒸気が多い場所であっても使用することができ、更には水素、一酸化炭素及び一酸化窒素等を検知しない炭化水素ガスセンサ及び炭化水素ガス濃度測定方法を提供することを目的とする。更に、BaCeO3系酸化物と比較して測定時の電位差が大きい電位差測定式の炭化水素ガスセンサ及び炭化水素ガス濃度測定方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の炭化水素ガスセンサは、炭素数3〜4の炭化水素ガスの濃度を測定する炭化水素ガスセンサであって、プロトン導電性を示す固体電解質体と、該固体電解質体の表面に形成された一対の電極とを備え、該電極のうちの一方は被測定雰囲気と接触し、他方は大気雰囲気と接触することを特徴とする。
また、本発明の炭化水素ガス濃度測定方法は、炭素数3〜4の炭化水素ガスの濃度を測定する炭化水素ガス濃度測定方法であって、プロトン導電性を示す固体電解質体の表面に形成された一対の電極の一方は被測定雰囲気と接触させ、他方は大気雰囲気と接触させ、該一対の電極間に生じる電位差を測定することを特徴とする。
【0006】
上記「プロトン導電性を示す固体電解質体」(以下、単に「固体電解質体」という)は、特に限定されないが、例えば、SrCeO3系プロトン導電性酸化物、SrZrO3系プロトン導電性酸化物、BaCeO3系プロトン導電性酸化物、CaZrO3系プロトン導電性酸化物等(以下、これら「プロトン導電性酸化物」を単に「酸化物」ともいう)から構成することができる。
これらの酸化物には、各々のBサイト(ABO3系酸化物として表した場合のBの位置)にSc、Y、In、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちの少なくとも1種が固溶された酸化物も含まれる。例えば、SrCeO3系酸化物としてはSr(Ce,Yb)O3系酸化物、SrZrO3系酸化物としてはSr(Zr,Y)O3系酸化物及びSr(Zr,Yb)O3系酸化物、BaCeO3系酸化物としてはBa(Ce,Y)O3系酸化物及びBa(Ce,Nd)O3系酸化物、CaZrO3系酸化物としてはCa(Zr,In)O3系酸化物等を挙げることができる。
【0007】
これらの酸化物を各々A(B1,B2)O3系酸化物(AB1O3系酸化物のBサイトにB2が固溶していることを表す)として表した場合に、B1元素及びB2元素の合計と、Oとの組成比は、B1元素、B2元素、O元素の組成比B1:B2:Oをy1:y2:3−δとすると、0.8≦y1≦0.95、0.05≦y2≦0.2、0.025≦δ≦0.1であることが好ましい。
【0008】
更に、Sr(Ce,Yb)O3系酸化物では0.9≦y1≦0.98、0.02≦y2≦0.1であることが好ましく、Sr(Zr,Y)O3系酸化物では0.9≦y1≦0.98、0.02≦y2≦0.1であることが好ましく、Ba(Ce,Y)O3系酸化物では0.7≦y1≦0.9、0.1≦y2≦0.3であることが好ましく、Ca(Zr,In)O3系酸化物では0.85≦y1≦0.95、0.05≦y2≦0.15であることが好ましい。
これらのプロトン導電性酸化物の中でも、上記のSrCeO3系酸化物及びSrZrO3系酸化物のうちの少なくとも一方を用いることが特に好ましい。これらの酸化物によると、被検知ガスとの接触により特に大きな電位差を生じさせることができる。
【0009】
また、この固体電解質体の大きさ、形状等は特に限定されない。固体電解質体の形状は、例えば、有底円筒型、板型(長方形型、円盤型等、厚さ10μm以上)、薄膜型(厚さ10μm未満)などを適宜選択して用いることができる。
【0010】
上記「一対の電極」のうち被測定雰囲気と接触する一方の電極(以下、単に「検知電極」という)は、固体電解質体の表面に形成され、被測定雰囲気に直接的又は間接的(被毒物質等から検知電極を保護する多孔性保護層等を介して)に接触する電極である。また、他方の電極(以下、単に「基準電極」という)は、固体電解質体の表面に形成されて基準ガスである大気雰囲気と接触する電極である。
【0011】
これら検知電極及び基準電極は、電気抵抗率が10−2Ω・cm以下(通常 Ω・cm以上、Ω・cmとは試料の大きさにおいて1×1×1cm3当たりの抵抗値を示す)であることが好ましい。更に、耐熱性及び耐食性に優れ、また、固体電解質体上に被膜を形成した場合に密着性に優れることが好ましい。このため、貴金属及び貴金属を含有する導電材を検知電極及び基準電極として用いることが好ましい。更に、これらの導電材の種類によりガスセンサから取り出せる起電力にも差ができるため、より大きな起電力を取り出すことができるものを用いることが好ましい。
【0012】
このような導電材としては、Osを除く貴金属の少なくとも1種を主成分(導電材全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上含有する)とすることが好ましく、なかでも、Pt及びPdの少なくとも一方を主成分とすることが好ましい。尚、検知電極及び基準電極において導電材を同一にする必要はない。
【0013】
また、検知電極及び基準電極の形状、大きさ及び厚さなどは特に限定されないが、その厚さは2μm以上(更には2〜15μm、特に5〜12μm)とすることが好ましい。2μm未満であると十分な導通を図ることが困難となる場合がある。また、検知電極においては、その厚さは50μm以下とすることが好ましい。50μmを超えて厚い場合は被測定ガス(被測定雰囲気中に含まれる測定対象ガス)が、検知電極と固体電解質体とが接する三相界面(被測定ガスと検知電極と固体電解質体の3相)に達することが困難となり、感度の低下を招くことがある。
【0014】
本発明の他の炭化水素ガスセンサは、炭素数3〜4の炭化水素ガスの濃度を測定する炭化水素ガスセンサであって、SrCeO3系プロトン導電性酸化物及びSrZrO3系プロトン導電性酸化物のうちの少なくとも一方からなる固体電解質体と、該固体電解質体の表面に形成された一対の電極とを備え、該電極のうちの一方は被測定雰囲気と接触し、他方は水素ガスと接触することを特徴とする。
また、本発明の他の炭化水素ガス濃度測定方法は、炭素数3〜4の炭化水素ガスの濃度を測定する炭化水素ガス濃度測定方法であって、SrCeO3系プロトン導電性酸化物及びSrZrO3系プロトン導電性酸化物のうちの少なくとも一方からなる固体電解質体の表面に形成された一対の電極の一方は被測定雰囲気と接触させ、他方は水素ガスと接触させ、該一対の電極間に生じる電位差を測定することを特徴とする。
【0015】
上記「SrCeO3系プロトン導電性酸化物」及び上記「SrZrO3系プロトン導電性酸化物」は前述におけると同様である。
上記「一対の電極」のうち、被測定雰囲気と接触する電極は前記検知電極におけると同様である。また、他方の電極は水素ガスと接触すること以外は前記基準電極と同様である。
上記「水素ガス」は、基準電極が接触する雰囲気全体に対して90体積%(尚、以下において割合を表す単位には単に「%」又は「ppm」と記す)以上含有されることが好ましい。また、水素ガスの濃度の変化は10%以下であることが好ましい。
【0016】
この基準電極を水素と接触させる方法は特に限定されないが、例えば、密閉された空間内に保持された水素中に基準電極を曝すことで接触させることができる。また、別途用意された貯蔵器から流出させた水素が流通する空間内に基準電極をおくことによって接触させることができる。更に、本発明の炭化水素ガスセンサを構成する固体電解質体とは別体のプロトン導電性固体電解質体の表裏に一対の電極を設けた水素ポンプ素子を用い、この水素ポンプ素子により供給される水素に曝すことによって接触させることができる。また、本発明の固体電解質体の表面に形成された基準電極の固体電解質体に対向しない面を密封し、測定前に検知電極と基準電極との間に電圧を印加することにより固体電解質体と基準電極との間に水素を一定圧力まで充填することができる。このように固体電解質体と基準電極との間に貯めることで基準電極と水素を接触させることができる。
【0017】
これら本発明の炭化水素ガスセンサを用いる温度は特に限定されないが、特に高い精度を必要とする場合は、固体電解質体(炭化水素ガスセンサとして用いる固体電解質)の温度は600℃以下(より好ましくは550〜600℃、更に好ましくは565〜585℃)に保持されることが好ましく、更に、狭い温度範囲(例えば温度差10℃以内)に保たれることが好ましい。この固体電解質体が600℃を超える高い温度ではその温度の上昇に伴い次第に起電力が小さくなる傾向にあるためである。
【0018】
例えば、SrCeO3系プロトン導電性酸化物及びSrZrO3系プロトン導電性酸化物のうちの少なくとも一方からなる固体電解質体を用いた場合、この固体電解質体を600℃以下(通常500℃以上)に保持することにより、プロペンが含有されない時と、プロペンが1000ppm含有される時との電位差を30mV以上(好ましくは40mV以上、好ましくは100mV以下、通常200mV以下)とすることができる。更に、この固体電解質体の温度を550〜600℃に保持することで上記と同様な電位差の温度変化に伴う変動を小さく(絶対値で20mV以下、更には15mV以下)することができる。
【0019】
また、このように600℃以下であってもより適切な温度に固体電解質体を保つためにヒータ素子を別体又は一体に設けることが好ましい。更に、固体電解質体自体の抵抗は固体電解質体の温度に依存するため、その抵抗を測定し、これをフィードバックしてヒータの可動・停止を制御するヒータ制御手段を設けることもできる。これらにより更に精度のよいガス濃度測定を行うことができる。
【0020】
これら本発明の炭化水素ガスセンサ及び本発明の炭化水素ガス濃度測定方法を用いると、水素、一酸化炭素及び一酸化窒素等に対する感度は非常に小さく(各成分ガスが含有されない時の起電力と、1000ppm含有される時の起電力との電位差が5mV未満)、ほとんど検知しない。これに対して、炭素数が3〜4の炭化水素{脂肪族炭化水素、環状炭化水素及び芳香族炭化水素(これらの炭化水素が飽和、不飽和、直鎖、分枝を有するものはこれらも含む)など}、CH2=CHX、CH2=CHCH2X、C3H7X及びCH3−CHX−CH3等のハロゲン化炭化水素(但し、Xはハロゲン原子)、C2H5OH等のアルコール類、CH3NO2等のニトロ化合物類、CH3NH2等のアミン化合物類、CH3COOH等のカルボン酸化合物類、CH3CHO等のアルデヒド化合物類、アセトン等のケトン化合物類、CH3OCH3等のエーテル化合物類及びNH3等に対する起電力は十分に有するため各種可燃性ガスの検知及び濃度測定に好適である。本発明の炭化水素ガスセンサ及び炭化水素ガス濃度測定方法は、これらの中でも特に炭素数3〜4のアルケンに対する検知に優れている。
【0024】
これら本発明の炭化水素ガスセンサ及び本発明の炭化水素ガス濃度測定方法を用いると、水素、一酸化炭素及び一酸化窒素等に対する感度は非常に小さく(各成分ガスが含有されない時の起電力と、1000ppm含有される時の起電力との電位差が絶対値で5mV未満)、ほとんど検知しない。これに対して、炭素数が3〜4の炭化水素、特に不飽和炭化水素に対する感応性に優れる{各成分ガスが含有されない時と、1000ppm含有される時との電位差が絶対値で20mV以上(更には30mV以上、特に40mV以上、通常200mV以下)}。
【0025】
また、本発明の炭化水素ガスセンサ及び本発明の炭化水素ガス濃度測定方法において、プロペンを測定基準として使用した場合に、プロペンが含有されない時とプロペンが1000ppm含有される時のとの電位差を絶対値で20mV以上(更には30mV以上、特に40mV以上、通常200mV以下)}とすることができる。
更に、1−ブテン(n−ブテン)を測定基準として使用した場合に、1−ブテンが含有されない時と1−ブテンが1000ppm含有される時のとの電位差を絶対値で30mV以上(更には35mV以上、特に40mV以上、通常200mV以下)}とすることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]炭化水素ガスセンサの製造
(1)本発明の炭化水素ガスセンサ及び炭化水素ガス濃度測定装置の製造
組成がSrCe0.95Yb0.05O3−α(以下、単に「SCY」と記す)で表され、直径14mm、厚さ0.8mmの円盤状プロトン導電性固体電解質体1の表裏面の中央部0.5cm2にPt粉末を71〜76質量%含有する白金ペーストを塗布した。次いで、900℃に1時間加熱して、円盤状プロトン導電性固体電解質体の表裏面に塗布した白金ペーストを焼き付けて厚さ5〜30μmの電極層21、22を形成した。次いで、この電極層の各々に金線32が延設された金メッシュ31(全体の71〜76質量%が金)を接触させてガスセンサを得た。その後、この金メッシュを接触させたプロトン導電性固体電解質体を、内部に細径の内管41(直径9mm)を有するアルミナセラミック製の2本の二重管(外管42直径13mm)の間にガラスシール材5を介して挟み、金線を管外まで導出してガラスシール材を封着した。次いで、検知電極に接続された金線をプラスとして、基準電極及び検知電極に接続された金線にエレクトロメータ(北斗電工株式会社製、形式「HE−104」)を接続して炭化水素ガス濃度測定装置を得た。
【0027】
同様にして、組成がSrZr0.9Y0.1O3−α(以下、単に「SZY」と記す)、BaCe0.8Y0.2O3−α(以下、単に「BCY」と記す)で各々表される円盤状プロトン導電性固体電解質体を用いた炭化水素ガスセンサと、炭化水素ガス濃度測定装置を製造した。
【0028】
(2)炭化水素ガス濃度の測定
(1)で得られた本発明の炭化水素ガスセンサを備える炭化水素ガス濃度測定装置の各々を加熱炉内に表1に示す温度に保って載置した。次いで、基準電極側の二重管内に大気を毎分100mlの速度で流入させた。更に、検知電極側の二重管内には酸素を10%含有するアルゴンガスからなる基ガスと、基ガス内での濃度が1000ppmとなるプロペンとを各々別の貯蔵器から合わせて毎分100mlの速度で流入させた。このような各装置においてプロペンを流入させた時と流入させなかった時との電極間の電位差を測定し、その電位差の差異を算出し、表1に併記した。
【0029】
【表1】
【0030】
その結果、プロペンの流入の有無により、いずれの炭化水素ガスセンサを用いた場合にも起電力の差が生じており、各々プロペンに対する感応性を有することが分かる。特に、SCY及びSZYを用いた場合には起電力の差が35mV以上と大きく、優れた感応性を有することが分かる。
【0031】
(3)電極材料の検討
(1)と同様にして、SCYを用いて炭化水素ガスセンサを形成した。但し、電極となるペーストとして、(1)におけると同様の白金ペースト、Pd粉末を71〜76質量%%含有するパラジウムペースト、Au粉末を71〜76質量%%含有する金ペーストの3種を用い、電極材料の異なる3種類の炭化水素ガスセンサを得た。次いで、(1)と同様にして、炭化水素ガス濃度測定装置を得た。
その後、得られた炭化水素ガス濃度測定装置を用いて(2)と同様にして起電力の差を測定した。この結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
この結果より、いずれの電極を用いても起電力の差を検知することができるこことが分かるが、特にPt又はPdを用い場合には30mV以上の大きな起電力の差を生じていることが分かる。
【0034】
(4)ガス種による感度差の検討
(1)で得られたSCYを用い、検知電極及び基準電極ともに白金ペーストから形成された炭化水素ガスセンサを用いた炭化水素ガス濃度測定装置を用い、検知電極側の二重管内に酸素を10%含有するアルゴンガスを基ガスとし、基ガスとは別にメタン、エタン、エテン、エチン、プロパン、プロペン、ブタン、1−ブテン、2−メチルプロペン、水素、一酸化炭素、一酸化窒素の各1種づつを次第に流入させる濃度を濃くしながら(200ppm、400ppm、600ppm、800ppm、1000ppm)流入させた。この時の各濃度における起電力を測定して図2及び図3に示した。
【0035】
この結果より、水素、一酸化炭素及び一酸化窒素にはほとんど感応性を有しない一方、炭素数3〜4であるアルケンに対しては被測定ガスの濃度が200ppmであっても40mV以上の起電力を発生しており、アルケンに対する感応性には特に優れていることが分かる。
【0036】
(5)測定温度の検討
(1)で得られたSCYを備えるガス濃度測定装置を用い、この装置を保持する温度を500、550、600、650及び700℃に変化させたこと以外は(2)と同様にして起電力の測定を行い、SCYの温度に対する依存性を検討した。この結果を図4に示す。
その結果、600℃を超えると急激に起電力が低下し始めていることが分かる。従って、本発明の炭化水素ガスセンサは600℃以下の温度において使用することが好ましいことが分かる。
【0037】
(6)水蒸気依存性の検討
(1)で得られた白金から形成された検知電極及び基準電極を有するSCYを備える炭化水素ガス濃度測定装置を用い、検知電極側の二重管内に酸素を10%含有するアルゴンガスを基ガスとし、基ガスとは別にプロペンを常時1000ppm流入させ、更に、水蒸気を流入させる基体全体に対する割合が0.6%及び2.3%となるように変化させて流入させ、この時の起電力を測定して図5に示した。
この結果より、水蒸気の含有量に依存することなくガス濃度の測定が可能であることが分かる。特に、水蒸気の含有量が0.5%以上においては全く影響を受けることがない。
【0038】
(7)酸素依存性の検討
(1)で得られた白金から形成された検知電極及び基準電極を有するSCYを備える炭化水素ガス濃度測定装置を用い、検知電極側の二重管内にアルゴンガスを基ガスとし、基ガスとは別にプロペンを常時1000ppm流入させ、更に、酸素を流入させる基体全体に対する割合が1%、5%及び10%となるように変化させて流入させ、この時の起電力を測定して図6に示した。尚、比較例としてSCYの変わりに酸素イオン導電性のYSZを用いて{検知電極及び基準電極は(1)と同様の白金ペーストから形成}形成した炭化水素ガス濃度測定装置を用いて同様な測定を行った結果を示した。
この結果より、酸素イオン導電性固体電解質体を用いる場合に比べて酸素濃度の影響を受け難いことが分かる。即ち、酸素濃度が1%以下では多少の変化が見られるが、実使用時の酸素濃度域ではほとんど変化していないことが分かる。
【0039】
(8)比較のためのYSZによる各種ガスに対する感応性
プロトン導電性固体電解質体を用いた場合と、酸素イオン導電性固体電解質体を用いた場合とで、水素、一酸化炭素及び一酸化窒素に対する感応性にどのような差がでるかを検討するために、比較例であるYSZを用いて(1)と同様なガス濃度測定装置を製造した。このガス濃度測定装置を用いて、(2)と同様にして測定した水素、一酸化炭素及び一酸化窒素による電位差を測定し、図7に示した。
この結果より、酸素イオン導電性を有する固体電解質体に比べて、プロトン導電性を有する固体電解質体を用いることで、特に、水素及び一酸化炭素の影響を受けることなく被測定雰囲気に中に含有される所定の炭化水素ガス濃度を測定できることが分かる。
【0041】
【発明の効果】
本発明の炭化水素ガスセンサ及び炭化水素ガス濃度測定方法によると、内燃機関等のように水蒸気量が多い場所であっても正確に目的の炭素数3〜4の炭化水素ガスの濃度を測定することができ、更には、水素、一酸化炭素及び一酸化窒素を検知しない濃度測定を行うことができる。また、電位差測定式の炭化水素ガスセンサ及び炭化水素ガス濃度測定方法において、測定時の電位差が大きいため感度が良好で精度の高い測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の炭化水素ガスセンサを用いた炭化水素ガス濃度測定装置の一例である。
【図2】 本発明の炭化水素ガスセンサにおける各種炭化水素ガスの濃度と起電力との相関である。
【図3】 本発明の炭化水素ガスセンサにおける各種炭化水素ガスの濃度と起電力との相関である。
【図4】 本発明の炭化水素ガスセンサにおける測定温度と起電力との相関である。
【図5】 本発明の炭化水素ガスセンサにおける水蒸気の濃度と起電力との相関である。
【図6】 本発明の炭化水素ガスセンサ及び比較例であるYSZを用いた炭化水素ガスセンサにおける酸素の濃度と起電力との相関である。
【図7】 比較例であるYSZを用いた炭化水素ガスセンサにおける各種ガスの濃度と起電力との相関である。
【符号の説明】
1;プロトン導電性固体電解質体、21;検知電極、22;基準電極、31;金メッシュ、32;金線、41;内管、42;外管、5;ガラスシール。
Claims (8)
- 炭素数3〜4の炭化水素ガスの濃度を測定する炭化水素ガスセンサであって、プロトン導電性を示す固体電解質体と、該固体電解質体の表面に形成された一対の電極とを備え、該電極のうちの一方は被測定雰囲気と接触し、他方は大気雰囲気と接触することを特徴とする炭化水素ガスセンサ。
- 上記固体電解質体はSrCeO3系プロトン導電性酸化物及びSrZrO3系プロトン導電性酸化物のうちの少なくとも一方である請求項1記載の炭化水素ガスセンサ。
- 炭素数3〜4の炭化水素ガスの濃度を測定する炭化水素ガスセンサであって、SrCeO3系プロトン導電性酸化物及びSrZrO3系プロトン導電性酸化物のうちの少なくとも一方からなる固体電解質体と、該固体電解質体の表面に形成された一対の電極とを備え、該電極のうちの一方は被測定雰囲気と接触し、他方は水素ガスと接触することを特徴とする炭化水素ガスセンサ。
- 上記電極はPt及びPdのうちの少なくとも一方を含有する請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の炭化水素ガスセンサ。
- 上記固体電解質体は600℃以下に保持される請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の炭化水素ガスセンサ。
- 炭素数3〜4の炭化水素ガスの濃度を測定する炭化水素ガス濃度測定方法であって、プロトン導電性を示す固体電解質体の表面に形成された一対の電極の一方は被測定雰囲気と接触させ、他方は大気雰囲気と接触させ、該一対の電極間に生じる電位差を測定することを特徴とする炭化水素ガス濃度測定方法。
- 炭素数3〜4の炭化水素ガスの濃度を測定する炭化水素ガス濃度測定方法であって、SrCeO3系プロトン導電性酸化物及びSrZrO3系プロトン導電性酸化物のうちの少なくとも一方からなる固体電解質体の表面に形成された一対の電極の一方は被測定雰囲気と接触させ、他方は水素ガスと接触させ、該一対の電極間に生じる電位差を測定することを特徴とする炭化水素ガス濃度測定方法。
- 上記固体電解質体を温度600℃以下に保持する請求項6又は7に記載の炭化水素ガス濃度測定方法。
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