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JP4986199B2 - ポリエチレン製微多孔膜及びそれを用いた電池 - Google Patents
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ポリエチレン製微多孔膜及びそれを用いた電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエチレン製微多孔膜、特に負極として、リチウムイオンを挿入可能な炭素材料、金属リチウム、リチウム合金等を用いている電池に使用されるイオン透過性、機械特性、安全性に優れるポリエチレン製微多孔膜、及びそれを使用した電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ、PDAといった情報関連機器の目覚しい発達に伴い、小型軽量で且つ高エネルギー容量の電池が要求されている。各種電池が研究・開発・販売されている中、特にリチウムイオン電池が市場を拡大させており、それに用いられるセパレータとしてポリエチレン製微多孔膜が用いられている。
【0003】
このリチウムイオン電池を始めとした電池用のセパレータとしては、優れた電池特性を発揮することができる高いイオン透過性、電池組立時や取り扱い時に耐え得る優れた機械特性、過充電時等の温度上昇時に孔が閉塞してイオンの流れを遮断し電流を流れなくする(フューズ効果)といった優れた安全性、等が要求される。
上記「フューズ効果」についてより詳しく述べる。電池内にセパレータとして組み込まれているポリエチレン製微多孔膜は、その融点近傍になるまで熱がかかると、孔が閉塞してイオンの流れを遮断し電流を流れなくすることにより、その後の電池の発熱を抑えることができ、安全性を保つことができる。しかしながら、電池に極めて急激に熱がかかった場合は、孔の閉塞に遅れが生じてイオンの流れを遮断することができない可能性がある。このような場合でも確実に孔が閉塞してイオンの流れを遮断し電流を流れなくする機能を持つセパレータが求められていた。
【0004】
上記問題を解決するための一つの手段として、低融点(95〜125℃)のポリエチレンを添加するという方法が提案されている(例えば、特開平11−269289公報)。しかしながら、融点が低過ぎるものが添加されていると、孔が閉塞してしまうために微多孔膜製造時の熱固定(ヒートセット)温度を上げることができず、その結果熱収縮の大きなセパレータとなってしまう、という問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、生産性,特性に優れ、且つ完全なヒューズ効果により実現される優れた安全性を持つ電池に用いられるポリエチレン製微多孔膜、及びそれを用いた電池を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、
(1)少なくとも、粘度平均分子量が10万〜400万の高密度ポリエチレン10〜95重量%と、融点が125℃を越えて132℃以下のポリエチレン5〜90重量%を含有していることを特徴とするポリエチレン製微多孔膜、
(2)融点が125℃を越えて132℃以下のポリエチレンが、エチレンと炭素数が4以上のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする上記(1)記載のポリエチレン製微多孔膜、
(3)上記(1)又は(2)記載のポリエチレン製微多孔膜からなる電池用セパレータ、
(4)上記(1)又は(2)記載のポリエチレン製微多孔膜をセパレータとして使用した電池、を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエチレン製微多孔膜は、少なくとも粘度平均分子量が10万〜400万の高密度ポリエチレン10〜95重量%と、融点が125を越えて132℃以下のポリエチレン5〜90重量%を含有している組成物からなることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に用いられる高密度ポリエチレンとは、密度が0.941g/cm3以上であり、粘度平均分子量が10万〜400万、好ましくは15万〜200万、より好ましくは17万〜100万、さらに好ましくは20万以上70万未満である。ここで、粘度平均分子量が10万未満であると、微多孔膜としたときの強度が不十分となる。また400万を超えると微多孔膜製造時の混練及び成形が困難になる。尚、粘度平均分子量Mvは、デカリン溶液中で極限粘度[η]を測定し、以下の式により求める;
ポリエチレン:[η]=6.77×10-4Mv0.67
ポリプロピレン:[η]=1.10×10-4Mv0.80
本発明に用いられる融点が125℃を越え132℃以下のポリエチレンの一つとして、エチレンとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンは炭素数が4以上のものが好ましい。このような共重合体は、チーグラー型触媒を用いて、常圧から100kg/cm2の圧力下でイオン重合により作り出すことができる。
【0009】
上記共重合体としては、構造不均一性の小さいポリエチレンを用いることができる。このときの共重合体の密度は0.86〜0.95g/cm3であることが好ましい。且つ、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn)は3.5〜8.0の範囲であることが好ましい。このような共重合体は、活性点が1種類の均一系触媒であるシングルサイト触媒によっても重合することができる。シングルサイト触媒としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロライドのようなメタロセン触媒が挙げられる。尚、Mw及びMnは以下の方法により測定する;
Figure 0004986199
【0010】
また、本発明に用いられる融点が125℃を越えて132℃以下のポリエチレン、及びエチレンと炭素数が4以上のα−オレフィンとの共重合体で融点が125℃を越えて132℃以下のポリエチレンとしてはポリエチレン中の1000個の炭素原子当たり0.3個以上の末端ビニル基を有するものでもよい。このようなポリエチレンは、クロム化合物担持系触媒によって重合することができる。ここでクロム化合物担持系触媒とは、例えば、特公平1−12777号公報に示されているようなものである。
【0011】
このような触媒を用いて重合した場合、チーグラー型触媒を用いて重合した場合とは異なり、重合体中の1000個の炭素原子当たり0.3個以上の末端ビニル基が見られる。理由は明らかではないが、末端ビニル基の存在が多いほど、微多孔膜の孔の閉塞温度が低くなり好ましい。尚、重合体中の1000個の炭素原子当たりの末端ビニル基数は以下の方法により導出する;
ポリマーを加熱プレスし、シート状に無孔化したサンプルのIRスペクトルを測定し、910cm-1付近の末端ビニル基を示すピークのベースラインからの高さ(吸光度:A)を求める。これを次式に代入し、ポリマー中の1000個の炭素原子当たりの末端ビニル基数nを求める;
n=1.14×A/(ρ×t)
上式中、ρ:サンプルの真密度(g/cm3),
t:サンプルの厚み(mm)
尚、本発明における融点とは、示差走査熱量計(DSC)によって得られる吸熱ピークトップの温度のことを指している。
【0012】
さらに、セパレータの耐熱性を上げたりすること等の目的でポリエチレン以外のポリオレフィン、例えばポリプロピレンを含有させても良い。このときの含有量は1〜30重量%であり、より好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは3〜10重量%である。
また、無機物を充填することも可能であるが、本願においては充填しない方が好ましい。
【0013】
次に、本発明のポリエチレン製微多孔膜の製法について説明する。
まず、原料となるポリエチレンを混合し、これをダイが装着された押出し機内で、その融点以上、分解温度未満の温度で可塑剤中で溶解させ溶融混練させる。これをダイリップより押出して冷却ロール上にキャストすることにより数十μmから数mm厚のシート状にし、ゲル状組成物とする。
ここでいう可塑剤とは、沸点以下の温度でポリエチレンと均一な溶液を形成し得る有機化合物のことをいう。具体的には、流動パラフィン,デカリン,キシレン,ジオクチルフタレート,ジブチルフタレート,ステアリルアルコール,オレイルアルコール,デシルアルコール,ノニルアルコール,ジフェニルエーテル,n−デカン,n−ドデカン等が挙げられ、特に流動パラフィン,デカリンが好ましい。
【0014】
可塑剤中のポリエチレン濃度は10〜70重量%、好ましくは25〜50重量%の範囲である。70重量%を超えると適当な気孔率を得ることができず、10重量%未満では粘度が低下して連続シート成形が困難となる。
尚、加熱溶解時にはポリエチレンの酸化を防止するために、酸化防止剤を添加しておくことが好ましい。
このゲル状組成物を加熱して延伸を行い、延伸膜とする。
延伸温度は常温から高分子ゲルの融点の範囲、好ましくは80〜130℃,より好ましくは100〜125℃の範囲である。
【0015】
延伸方法はテンター法,ロール法,インフレーション法,圧延法もしくはこれらの方法の組み合わせ等により所定の倍率で行う。一軸延伸,二軸延伸でも構わないが、二軸延伸が好ましく、二軸延伸の場合は縦横同時延伸でも逐次延伸でも構わない。
延伸倍率は面積倍率で4〜400倍、好ましくは8〜200倍、より好ましくは16〜100倍の範囲である。延伸倍率が4倍未満であると、セパレータとしての強度が不十分であり、400倍を超えると、延伸が困難となる。
【0016】
次に、延伸膜から可塑剤を抽出することにより微多孔膜とする。
抽出方法として有機溶剤による抽出があるが、このときの溶剤としては、メチルエチルケトン,塩化メチレン,ヘキサン,ジエチルエーテル等が使用され、その後、加熱,風乾により乾燥する。可塑剤としてデカリン等の低沸点化合物を使用する場合は加熱乾燥によりこれを除去することも可能である。何れの場合においても、膜の収縮による物性低下を防ぐため、膜を拘束した状態で行うことが望ましい。
【0017】
以上の後に、寸法安定性を高めたり、熱収縮率を低減させたりする目的で、熱固定(ヒートセット)を行うことが望ましい。このときの温度としては、結晶分散温度から融点の範囲で行うことが好ましい。また、熱固定時には幅方向の延伸を同時に行うが、このときの延伸倍率としては1.01〜2.00倍の範囲で行われ、1.10〜1.80倍の範囲であることが好ましい。
以上のようにして製造されたセパレータの諸物性について以下に述べる。
膜厚は1〜100μmの範囲であり、好ましくは5〜50μmである。膜厚が1μm未満であると機械的強度が不十分であり、100μmを越えると硬くなって電池として捲回し難くなる上に、電池容量としても不利となる。尚、膜厚はダイヤルゲージ(尾崎製作所製:PEACOCK No.25)にて測定する。
【0018】
気孔率は20〜80%、好ましくは30〜55%である。気孔率が20%未満であるとイオン透過性が不十分であり、80%より大きいと機械強度が不十分である。尚、気孔率は以下の方法により算出する;
気孔率={1−(10000×M/ρ)/(X×Y×T)}×100
上式中、X,Y:サンプルの縦,横長(cm)
T:サンプル厚み(μm)、M:サンプル重量(g)
ρ:樹脂の真密度(g/cm3
透気度は10〜2000sec./100cc、好ましくは30〜1500sec./100cc、より好ましくは50〜1000sec./100ccである。2000sec./100ccを超えるとイオン透過性の観点から好ましくない。尚、透気度は以下の方法により測定する;
[測定装置]JIS P−8117準拠のガーレー式透気度計
このとき、圧力:0.01276atm,膜面積:6.424cm2,透過空気量:100cc
【0019】
突刺強度は50g以上、好ましくは100g以上、より好ましくは150g以上である。50g未満であると、電池生産時の収率が下がり好ましくない。尚、突刺強度は以下の方法により測定する;
[測定装置]ハンディ圧縮試験機(カトーテック製:KES−G5)
このとき、針先端曲率半径:0.5mm,突刺速度:2mm/sec.
孔径は0.01〜1μm、好ましくは0.03〜0.7μm、さらに好ましくは0.05〜0.5μmである。孔径が0.01μmより小さいとイオン透過性が十分ではなく、1μmより大きいと、析出したデンドライトや、活物質粒子による内部短絡の可能性があり、フューズ効果によるイオンの遮断が遅れることも考えられる。尚、孔径は以下の方法により測定する;
[測定装置]水銀ポロシメータ(島津製作所製:オートポア9220)
[測定条件]約25mm幅に切断したサンプル0.1〜0.2gを折りたたんでセルに入れ、初期圧20kPaから測定する。
[孔径導出]微分細孔体積曲線(横軸:孔径,縦軸:圧入水銀体積変化量を孔径変化量で割った値)を描き、その曲線のピークトップにおける孔径(モード径)をセパレータの孔径として代表させる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施形態について、実施例を挙げてさらに説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0021】
【実施例1】
(1)セパレータの作製
原料ポリエチレンとして、粘度平均分子量が28万である高密度ポリエチレン80重量%と、メタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン(粘度平均分子量:7万,融点:127℃,共重合しているα−オレフィンの炭素数:6,密度0.94g/cm3,Mw/Mn:4.2)20重量%を用いる。これらポリエチレン45重量部に対して、55重量部の流動パラフィン,0.3重量部の酸化防止剤と共に240℃で溶融混練し、Tダイより押し出して、冷却ロール上にキャストすることにより、シート状にする。これを同時二軸延伸機により、115〜125℃の範囲で巻取り方向7倍×幅方向7倍に延伸する。この後、メチルエチルケトンにて流動パラフィンを抽出して、乾燥する。さらに110〜130℃の範囲でヒートセットを行うと共に、幅方向に1.3倍延伸する。このようにして作製できるポリエチレン製微多孔膜は、厚み25μm,気孔率40%である。
【0022】
(2)正極の作製
活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoO2を100重量部、導電剤としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.5重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.5重量部をN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製する。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の両面にダイコーターで塗付し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形する。このとき、正極の活物質塗付量は250g/m2、活物質かさ密度は3.00g/cm3になるようにする。これを幅約40mmに切断して帯状にする。
【0023】
(3)負極の作製
活物質としてグラファイト化したメソフェーズピッチカーボンファーバー(MCF)90重量部とリン片状グラファイト10重量部、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4重量部とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス1.8重量部を精製水中に分散させてスラリーを調製する。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の両面にダイコーターで塗付し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形する。このとき、負極の活物質塗付量は106g/m2、活物質かさ密度は1.35g/cm3になるようにする。これを幅約40mmに切断して帯状にする。
(4)非水電解液の調整
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.0mol/リットルとなるように溶解させて調整する。
【0024】
(5)電池組立
上記の微多孔膜セパレータ,帯状正極及び帯状負極を、帯状負極、セパレータ、帯状正極、セパレータの順に重ねて渦巻状に複数回捲回することで電極板積層体を作製する。
この電極板積層体を平板状にプレス後、アルミニウム製容器に収納し、アルミニウム製リードを正極集電体から導出して電池蓋に、ニッケル製リードを負極集電体から導出して容器底に溶接する。さらにこの容器内に前記した非水電解液を注入し封口する。こうして作製されるリチウムイオン電池は、縦(厚み)6.3mm,横30mm,高さ48mmの大きさで、公称放電容量は620mAhである。
【0025】
(6)電池評価
上記のようにして組み立てたリチウムイオン電池25℃雰囲気下、310mA(0.5C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、さらに4.2Vを保持するようにして電流値を310mAから絞り始めるという方法で、合計6時間電池作製後の最初の充電を行った。充電終了直前の電流値はほぼ0の値となっていた。そして、25℃雰囲気下で1週間放置した。
その後、25℃雰囲気下、620mAの電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、さらに4.2Vを保持するようにして電流値を620mAから絞り始めるという方法で、合計3時間充電を行い、そして620mAの電流値で電池電圧3.0Vまで放電するというサイクルを10回繰り返した。
さらに、上記と同様な方法で4.2V充電状態にした後、過充電試験を行った。電流値は620mA(1.0C)で、電流が絞られる電圧値(充電最大電圧値)を10Vとした。
【0026】
【実施例2】
原料ポリエチレンとして、粘度平均分子量が200万である高密度ポリエチレン20重量%と、クロム化合物担持系触媒を用いて重合されたポリエチレン(粘度平均分子量:40万,融点:132℃,ポリマー中の1000個の炭素原子当たりの末端ビニル基数:0.5)80重量%を用いる、という事以外は実施例1と同様にする。
【0027】
【比較例1】
原料ポリエチレンとして、粘度平均分子量が28万である高密度ポリエチレンを単独で用いる、という事以外は実施例1,2と同様にする。
[過充電試験結果]
実施例1,2ではフューズ効果により発熱が抑えられたのに対し、比較例1ではフューズ効果が十分でなく、発熱が見られた。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリエチレン製微多孔膜は優れたフューズ効果を持っているため、安全性に優れた電池を作製することができる。

Claims (3)

  1. 少なくとも、粘度平均分子量が10万〜400万の高密度ポリエチレン10〜95重量%と、融点が125℃を越えて132℃以下のポリエチレン5〜90重量%を含有している組成物からなることを特徴とするポリエチレン製微多孔膜からなるリチウムイオン電池用セパレータ
  2. 融点が125℃を越えて132℃以下のポリエチレンが、エチレンと炭素数が4以上のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン電池用セパレータ
  3. 請求項1又は2記載のリチウムイオン電池用セパレータを使用したリチウムイオン電池。
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