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JP5003589B2 - 短絡相特定方法 - Google Patents
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Description

本発明は、電気自動車及びハイブリッド自動車等のモータ制御装置の短絡相特定方法に関し、特に、モータの連れ回りにより発生する電流からモータ制御装置の短絡相を特定する短絡相特定方法に関する。
近年、環境にやさしい自動車として電気自動車やハイブリッド自動車の需要が高まっている。ハイブリッド自動車では、エンジンからの出力は、第1のモータ・ジェネレータが設けられた動力分割機構を介して、その一部が駆動軸に伝達され、残りの動力が第1のモータ・ジェネレータにより電力として回生され、回生された電力は、二次電池の充電や第2のモータ・ジェネレータの駆動に用いることが可能である。
従来より、電気自動車及びハイブリッド自動車等のモータ制御装置では、交流モータが用いられ、各相毎に駆動電流のフィードバック制御を伴って行われる。モータ制御装置では、検出した電流センサの信号から電流オフセットを適切に検出し、電流を経時的に学習するような構成として電流センサの測定精度を高め、適切なフィードバック制御、モータジェネレータの状況モニタ及び故障検知を実現している。
上述のハイブリッド自動車において、例えば、第1のモータ・ジェネレータに一相短絡が発生したときには、逆回転方向のトルクによりエンジンに対してブレーキトルクが加わることになり、不快なトルク変動が発生する場合がある。そこで、特許文献1には、第1のモータジェネレータの短絡故障時のブレーキトルクに起因する問題を解決する技術が開示されている。
また、特許文献2には、複数の故障モードの検出を精度よく行うことができる故障診断装置に関し、特に、オフセット補正された電流センサを用いて昇圧コンバータや、インバータ回路の故障を切り分けることのできる故障診断装置に関する技術が開示されている。
特開2007−28733号公報 特開2006−246564号公報
特許文献1には、モータ・ジェネレータの一相又は二相が短絡故障したときに残りの相も短絡させて三相短絡状態にする三相短絡制御を実行すると共に、短絡故障時にモータ・ジェネレータの回転速度が所定範囲に滞留しないように内燃機関の回転速度を制御する短絡故障時制御手段を有していることが示されている。
ここで、モータ・ジェネレータの一相又は二相が短絡故障において、インバータの各相アームの上下に設けられたトランジスタが短絡故障を起こした場合、無通電状態であっても電流が流れるため、零点調整により電流センサのオフセット値が変更される。このため、故障によるオフセット値の変更により、その後のフィードバック制御、状況モニタ及び故障診断に悪影響を与えてしまうという問題があった。
そこで、本発明は、モータ制御装置の短絡相を特定する短絡相特定方法を提供することを目的とする。
以上のような目的を達成するために、本発明に係る短絡相特定方法は、車両に搭載された交流モータの各相に電力を切り替えて供給する上下段のトランジスタを含むインバータ回路と、交流モータの各相に供給される電流を検出する電流検出器と、を含み、インバータ回路の制御信号と電流検出器によって検出した各相の電流とによりモータ制御装置の短絡相を特定する短絡相特定方法において、電流検出器により検出された各相の電流に基づいて、交流モータの低回転状態における各相の無通電状態を判定する無通電判定工程と、検出された各相の電流に対してスムージング処理を行い、スムージング処理後の電流の絶対値を取った信号と、検出された各相の電流の絶対値をスムージング処理して得られた信号と、の差分と、予め決められた一相短絡、二相短絡及び三相短絡の各電流レベルと、に基づき、無通電判定工程にて無通電状態が検出できない場合、故障と判定する故障検知工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る短絡相特定方法において、故障検出工程は、さらに、短絡した各相を流れる電流の方向からインバータ回路の上段又は下段のトランジスタの短絡を検出することを特徴とする。
また、本発明に係る短絡相特定方法において、さらに、故障検知工程からの情報により、短絡したインバータ回路のトランジスタを検知し、検知したトランジスタ側の残りの上段又は下段のトランジスタを全てオンすることで、交流モータが他の動力により連れ回りで回転させられる自由回転工程を含むことを特徴とする。
さらに、本発明に係る短絡相特定方法において、自由回転工程により交流モータを自由回転状態とした場合、他方のインバータ回路によって交流モータに電力を供給して車両を駆動させ、他方の交流モータの回転により当該短絡相を再度検出する再検出手段を含むことを特徴とする。
本発明を用いたモータ制御装置の短絡相を特定する短絡相特定方法によれば、インバータ故障時に故障したトランジスタ又は短絡相を特定し、近隣のサービス工場まで退避走行を可能とするばかりでなく、故障時の修理を迅速に行うことができるという効果がある。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。
図1は電気自動車又はハイブリッド(HV)自動車等に搭載された車両駆動装置1の全体構成を示し、モータ制御装置18を含む車両駆動装置1を示している。車両駆動装置1は、直流電源であるバッテリ15と、バッテリ15の電圧を昇圧するコンバータ27と、車両を駆動するMG1モータ11に接続されたインバータ28と、モータ又は発電機として機能するMG2モータ・ジェネレータ12に接続されたインバータ29と、これらのモータを制御するモータ制御装置18と、モータ制御装置18を制御するHV制御装置19と、を含んでいる。
さらに、車両駆動装置1には、各インバータ28,29の無通電状態を判定する無通電判定器13,14と、バッテリ電圧VBを検出する電圧計16と、昇圧された電圧VHを検出する電圧計17と、インバータの各相アーム(31〜36)からモータに印加される電流を検出する電流計41,42,43,44と、が設けられており、これらの信号及び無通電判定器13,14からのIMG1,IMG2信号等がモータ制御装置18へ送られる。
コンバータ27及びインバータ28,29には、大電流用のトランジスタであるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が上下に配置され、各IGBTにはダイオードが並列接続され、各相アームを有するアームモジュール(21〜26)が構成される。また、インバータ28,29は、リアクトルL1とIGBTとを有するコンバータ27に平滑コンデンサC1を介して接続されている。
モータ制御装置18は、各IGBT(Q1〜Q14)に駆動信号を出力することで、コンバータ27やインバータ28,29を作動させることができる。各相アーム(31〜36)はMG1モータ11やMG2モータ・ジェネレータ12に接続され、モータ等に印加される電流を各電流計(41,42,43,44)にて検出し、モータ制御装置18及び無通電判定器13へ出力する。
無通電判定器13,14は、モータ制御装置18によって制御されるインバータ28,29の各IGBTへの駆動信号と、各電流計で検出した電流値と、に基づいて正常な無通電状態を判定してモータ制御装置18へ判定信号(IMG1,IMG2)を出力する。一般的に、インバータ28,29は、上下のIGBTが同時にオンとならないように、オン時の立ち上がり特性に遅れを持たせているため、低回転時、かつ、正常にIGBTが作動する場合においては、無通電状態を検出することが可能である。
モータ制御装置18は、上位の制御装置であるHV制御装置19からの指示に基づいて、コンバータ27及びインバータ28,29を作動させることでMG1モータ11やMG2モータ・ジェネレータ12を駆動する。
図2は、車両駆動装置1の主要電子回路の短絡故障状況を示し、また、図5は、車両駆動装置1における短絡電流波形の変化を示している。図2及び図5には、上から(1)U相のみの一相短絡、(2)V相とU相の二相短絡、(3)V相とU相とW相との三相短絡が示されている。図2に示す主要電子回路では、コンバータ27に接続されたインバータ28はV相アーム31と、U相アーム32と、W相アーム33と、を有している。ここで、(1)の一相短絡時では、U相アーム32のIGBT(Q3)が短絡し(その他のIGBTはオフ状態)となった状況を示している。
図2と図5の(1)一相短絡において、IGBT(Q3)が短絡すると、各アームの上側の短絡したIGBT及びダイオード(D1,D5)のアノード側からカソード側に循環電流が流れることになり、短絡したIGBT(Q3)に電流Iが流れると仮定すると、V相のダイオード(D1)とW相のダイオード(D5)には、I/2づつ流れることになる。次に、(2)二相短絡では、V相とU相とが短絡することで、W相のダイオードにV相とU相の短絡したIGBTに流れる電流の合成値が流れることになる。さらに、(3)三相短絡では、V相、U相、W相のIGBTが短絡することで、三つのダイオードに分散して電流が流れることにより図5(3)に示すような循環電流となる。
図3は、モータ制御装置18によるインバータ故障判定の処理の流れを示し、図4は、多相短絡故障判定の処理の流れを示している。故障判定の処理は、ステップS10において、低回転時の無通電判定器13,14からの判定信号にて、インバータ異常を検知することで開始される。次に、ステップS10において、全てのIGBTをオフにして再度、インバータの異常を検知すると、図1のMG1モータ11又はMG2モータ・ジェネレータ12の低回転時に実行される零点調整を停止し、前回の零点情報を用いて以後の電流値を検出してステップS12において、上下アームのIGBTをOFF状態とする。これにより、図5に示すように外力によりモータが自由回転すると循環電流が発生することになる。
ステップS14において、各電流センサ値を電流センサ(41,42)からV相とW相の電流を検出し、残りのU相は、V相とW相との電流から算出する。得られた各電流値が、予め設定されている最小検知電流値よりも大きい場合は、短絡故障の可能性があると判断してステップS18へ移動する。もし、最小検知電流値以下の場合は、ステップS16において短絡以外の故障と判定し、インバータの故障判定からメインルーチンに戻る。
上述した短絡故障の可能性が有る場合は、ステップS18の各相電流の電流レベルを判定することにより、故障したIGBTを判定することができる。以下に、各送電流の電流レベルを判定する場合の処理式を示す。本実施形態にて特徴的な事項は、二つのスムージング処理によって得られる「なまし絶対値」と「絶対なまし値」である。

(1)なまし絶対値:スムージング処理によって得られた信号の絶対値を取り、常に正電流値として取り出した値。
|Bn+1|=(今回値Bn−前回なまし値Bn-1)/なまし定数*サンプリング時間+前回なまし値Bn-1・・・(式1)

(2)絶対なまし値:スムージング処理に用いる信号を絶対値としてスムージングして取り出した値。
Cn+1=(|今回値Bn|−前回なまし値Cn-1)/なまし定数*サンプリング時間+前回なまし値Cn−1・・・(式2)

(3)差分電流:交流成分を含む電流値では(式1)により得られた絶対なまし値と(式2)によって得られた正負の電流値を有するなまし絶対値との差分は所定の値を持ち、ゼロにならないため、差分電流値を用いて一相短絡、二相短絡及び三相短絡を電流レベルで判定する。
Dn=(絶対なまし値Cn−なまし絶対値Bn)・・・(式3)
図6には、車両駆動装置における一相短絡電流波形の一例が示され、図7には、二相短絡電流波形の一例が示されている。なお、図6及び図7の波形は、縦軸に電流センサで検出した電流値、横軸に時間を取り、モータが低回転数(例えば、約100rpm)時の電流波形である。なお、図6(A)は電流センサによる検出値であり、図6(B)は、なまし絶対値であり、図6(C)は、絶対なまし値であり、図6(D)は、差分電流である。以下、図1におけるインバータ28の故障時における処理について示す。
図3のステップS18において、予め実験により求められた判定用の一定値と比較し、一定値より差分電流が大きい場合には多相短絡故障と判定し、ステップS20へ移動後、後述する多相短絡故障判定に移る。また、差分電流が一定値以下の場合には、一相短絡判定としてステップS22へ移動する。
ステップS22の一相短絡判定では、U相、V相、W相における差分電圧を算出し、各相の差分電流の所定時間における平均値をさらに算出する。次に、ステップS24において、各相の差分電流の平均値から最大電流相を検出する。例えば、図6(D)及び拡大図において、U相、V相、W相の内、電流が大きい相はU相であることが分かる。ステップS26において、他の二相が短絡電流の1/2であるか判定し、1/2である場合にはステップS30へ移る。もし、1/2とならない場合には、S28において電流センサ異常と判定し、メインルーチンに戻る。
ステップS30において、U相の電流の流れる方向から上下アームを特定し、ステップS32において、特定された上又は下の短絡アーム側のV相とW相をオンにしてモータの引きずりを防止して自由回転状態にする。さらに、ステップS34において、図1に示す他のインバータ29にてMG2モータ・ジェネレータ12を駆動して退避走行を行い、メインルーチンへ戻る。なお、上述した一相短絡を判定する上で使用した一定値は、図6(D)に示したように低い差分電流値になるため、故障時における零点調整を停止して測定する必要がある。
図4は、多相短絡故障判定の処理の流れが示されており、図7には二相短絡電流波形が示されている。二相短絡や三相短絡の故障は頻度としては非常に少ないが、一例として二相短絡について示す。図7(A)にはU相とV相の二相短絡における二相短絡電流波形が示されている。ステップS40において、全相電流値(U相、V相、W相)が一定値を超えている場合は、三相同アーム短絡と判定してステップS42に移り、その後ステップS54にて他のインバータ29にて退避走行を実行すべく、メインルーチンに戻る。
ステップS40において、二相電流値(U相、V相)のみ、一定値を超える場合は、ステップS46にて二相同アーム短絡として判定する。なお、ステップS44において、二相電流値が一定値以下の場合には、ステップS48に移り、二相上下アーム短絡としてメインルーチンに戻る。
ステップS46において、二相同アーム短絡と判定した場合、ステップS50にて電流の方向より、上下アームを特性し、ステップS52において、上又は下側の短絡アームのその他の相をオンして、ステップS54に移り、他のインバータ29にて退避走行を実行するため、故障判定処理を終了してメインルーチンに戻る。
また、図8には、他のインバータにて退避走行を行った場合における被駆動系の一相短絡から三相ON(又は三相短絡)までのモータの短絡電流波形と回転数との関係が示されている。図8に示すように、モータの回転数が、約1,000rpmを超えると一相短絡と二相短絡及び三相ONとの短絡電流値が大幅に異なり、モータの回転数と短絡電流との関係から、一相短絡、二相短絡及び三相ONの状態を検出することが可能となる。
そこで、本実施形態では、図8に示した特性を用いて、図3のモータ制御装置18によるインバータ故障判定の処理の流れで判定した結果の再確認を、例えば、4,000rpm付近の低回転領域において判定することにより、より正確な判定を実施している。
以上、上述したように、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、正確な故障判定と短絡相の特定が可能となる。さらに、近隣のサービス工場まで退避走行を可能とするばかりでなく、故障時の修理を迅速に行うことができる。なお、本実施形態を説明する上で使用した各種波形及び波形に示される数値は、これに限定するものではなく、車両のパラメータにより調整されるべきものであることはいうまでもない。
本実施形態に係るモータ制御装置を含む車両駆動装置の全体構成図である。 車両駆動装置の主要電子回路の構成図に短絡故障の状況を示した説明図である。 本実施形態に係るモータ制御装置によるインバータ故障判定の処理の流れを示すフローチャート図である。 本実施形態に係るモータ制御装置による多相短絡故障判定処理の流れを示すフローチャート図である。 車両駆動装置における短絡電流波形の変化を説明する説明図である。 車両駆動装置における一相短絡電流波形の一例を説明する説明図である。 車両駆動装置における二相短絡電流波形の一例を説明する説明図である。 一相短絡から三相ONまでのモータの短絡電流波形と回転数との関係を説明する説明図である。
符号の説明
1 車両駆動装置、11 MG1モータ、12 MG2モータ・ジェネレータ、13,14 無通電判定器、15 バッテリ、16,17 電圧計、18 モータ制御装置、19 HV制御装置、21,22,23,24,25,26 アームモジュール、27 コンバータ、28,29 インバータ、31,32,33,34,35,36 相アーム、41,42,43,44 電流計。

Claims (4)

  1. 車両に搭載された交流モータの各相に電力を切り替えて供給する上下段のトランジスタを含むインバータ回路と、交流モータの各相に供給される電流を検出する電流検出器と、を含み、インバータ回路の制御信号と電流検出器によって検出した各相の電流とによりモータ制御装置の短絡相を特定する短絡相特定方法において、
    電流検出器により検出された各相の電流に基づいて、交流モータの低回転状態における各相の無通電状態を判定する無通電判定工程と、
    検出された各相の電流に対してスムージング処理を行い、スムージング処理後の電流の絶対値を取った信号と、検出された各相の電流の絶対値をスムージング処理して得られた信号と、の差分と、予め決められた一相短絡、二相短絡及び三相短絡の各電流レベルと、に基づき、無通電判定工程にて無通電状態が検出できない場合、故障と判定する故障検知工程と、
    を含むことを特徴とする短絡相特定方法。
  2. 請求項1に記載の短絡相特定方法において、
    故障検出工程は、さらに、短絡した各相を流れる電流の方向からインバータ回路の上段又は下段のトランジスタの短絡を検出することを特徴とする短絡相特定方法。
  3. 請求項1又は2に記載の短絡相特定方法において、さらに、
    故障検知工程からの情報により、短絡したインバータ回路のトランジスタを検知し、検知したトランジスタ側の残りの上段又は下段のトランジスタを全てオンすることで、交流モータが他の動力により連れ回りで回転させられる自由回転工程を含むことを特徴とする短絡相特定方法。
  4. 請求項3に記載の短絡相特定方法において、
    自由回転工程により交流モータを自由回転状態とした場合、他方のインバータ回路によって交流モータに電力を供給して車両を駆動させ、他方の交流モータの回転により当該短絡相を再度検出する再検出手段を含むことを特徴とする短絡相特定方法。
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