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JP5048935B2 - 保湿剤 - Google Patents
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本発明は、水分保持作用が高く、使用感の良い保湿剤に関し、更に詳細には、皮膚に対する保湿作用を増強させ、同時にベタツキ感や肌馴染み等の使用感の低下を生じさせない保湿剤および該保湿剤を含有する化粧料に関する。
健康な皮膚には、生理的に水分を保つ機能が備わっているので、皮膚に十分な水分が保持されていれば、皮膚の柔軟性が維持され、良好な肌状態を保つことができる。
しかし、紫外線、乾燥、酸化等の種々の要因により、皮膚の水分量が低下すると、皮膚の柔軟性が損なわれ、肌荒れが生じる。このような肌荒れの改善については、まず皮膚の水分量を維持する為、天然保湿因子、水溶性高分子、多価アルコール等が保湿成分として利用されてきた。また、肌荒れにより炎症が生じ、炎症により更に肌荒れが悪化するという悪循環が生じるような場合には、甘草抽出物やビタミン類などを肌荒れ改善剤として投与することも行われている(非特許文献1)。
しかしながら、保湿成分を利用し、皮膚に保湿作用を持たせることには限界があり、その効果は十分なものではなかった。また、十分な保湿作用を持たせようとして保湿成分を多く使用するとベタツキ感や肌馴染みの低下等が生じ、使用感が損なわれるという問題があった。
化粧品辞典、90〜95頁、日本化粧料技術者会編、丸善株式会社、平成15年12月15日発行
従って、本発明は、皮膚において十分な水分量を保持することができ、皮膚の柔軟性や保湿性を維持し、化粧料に配合した場合でもベタツキ感や肌馴染み等の使用感の低下を生じさせない保湿剤を提供することをその課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するため、保湿性を有する成分について鋭意研究を行った結果、特定のβ−グルカンと乳酸菌やビフィズス菌の培養液とを組み合わせることで、高い保湿効果を有しながら使用感の低下を生じさせない保湿剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は次の成分(a)および(b)、
(a)カルボキシメチル−β−グルカンおよび/またはその塩
(b)乳酸菌培養液および/またはビフィズス菌培養液
を有効成分として含有することを特徴とする保湿剤を提供するものである。
また、本発明は上記保湿剤を含有する化粧料を提供するものである。
本発明の保湿剤は、皮膚において十分な水分量を保持することができ、皮膚の柔軟性や保湿性を維持することができるものである。また、本発明の保湿剤は化粧料に配合した場合であっても、ベタツキ感や肌馴染み等の使用感が低下しない優れたものである。
本発明の保湿剤に用いられる成分(a)であるカルボキシメチル−β−グルカンまたはその塩は、酵母、茸類、菌類、海藻類、穀物等から得られる天然多糖体の1種であるβ−グルカンまたはその塩の水酸基をカルボキシメチル基に置換すること(以下、これを「カルボキシメチル化」という)により得られるものである。
成分(a)を製造するための、β−グルカンまたはその塩をカルボキシメチル化する方法は、特に限定されないが、例えば、特開平3−204804号公報や特表2002−529549号公報等に記載の方法等が挙げられる。これら公報に開示の方法では、カルボキシメチル化に加えて架橋処理も行われているが、本発明の成分(a)を得るためには、架橋処理は行わなくとも良い。
本発明の成分(a)におけるβ−グルカンの水酸基がカルボキシメチル化されている割合(以下、「カルボキシメチル化率」という)は、特に限定されないが、40%以上、好ましくは50〜100%、より好ましくは70〜100%である。また、成分(a)の中でも、特に水への溶解性の高さ、入手のしやすさの理由から、カルボキシメチル−β−グルカンナトリウムが好ましい。このカルボキシメチル−β−グルカンナトリウムとしては、ミベール社(スイス)から販売されているCM−グルカンJ、CM−グルカンJ−P(いずれもカルボキシメチル化率70〜100%)やコスモファーム社(オランダ)から販売されているグルケアー S(GluCare S:カルボキシメチル化率50〜75%)等の市販品を用いることもできる。
これら成分(a)の保湿剤中での配合量は、特に限定されるものではなく、最終的な剤形や目的に応じて適宜調整すれば良いが、例えば化粧品や皮膚外用剤等の最終製品全量に対して0.0002〜0.4質量%、好ましくは0.001〜0.1質量%配合すればよい。配合量が、0.0002質量%未満では本発明の効果は期待できない場合があり、0.4質量%以上を超えるとコストが高くなる等経済性の点で好ましくない場合がある。
一方、本発明の保湿剤に用いられる成分(b)である乳酸菌培養液および/またはビフィズス菌培養液は、乳酸菌またはビフィズス菌を各種培地で培養することにより得られるものである。
この成分(b)を得るために用いられる、乳酸菌またはビフィズス菌としては、特に限定されるものではないが、ラクトバチルス・ラクチス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・ブルガリカス( Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)等のラクトバチルス属の乳酸菌、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)等のビフィズス菌が挙げられる。
また、成分(b)を得るための培養に用いられる培地としては、牛乳培地、乳様培地等の獣乳培地の他に、豆乳、アロエ等の植物抽出物を含有する培地が挙げられ、これらの培地は2種以上を組み合わせて用いても良い。更に、これら培地を用いた上記乳酸菌またはビフィズス菌の培養は常法により行うことができるが、例えば牛乳を含有する培地で乳酸菌を培養する方法としては、例えば特開昭56−147706号公報、特開昭58−192811号公報に記載されており、豆乳を含有する培地でビフィズス菌を培養する方法としては特許第3184114号、特許第3618296号等に記載されており、アロエを含有する培地で乳酸菌を培養する方法としては特開2004−196664号公報等に記載されているので、これを参考に培養することもできる。
このようにして得られた培養液はそのまま成分(b)として用いても良いが、保存安定性等の点から培養液のろ過上清を成分(b)として用いることが好ましい。また、これらの培養液は1種以上を組み合わせて用いてもよい。更に、乳酸菌培養液としては、化粧品原料基準外成分規格に記載のホエイ(1)、ホエイ(2)、ホエイ(3)およびホエイ末を利用することもできる。
これら成分(b)の保湿剤中への配合量は、特に限定されるものではなく、最終的な剤形や目的に応じて適宜配合すれば良いが、例えば化粧品や皮膚外用剤等の最終製品全量に対し0.0002〜30質量%配合することが好ましく、より好ましくは0.001〜20質量%、特に好ましくは0.01〜20質量%である。配合量が、0.0002質量%未満であると本発明の効果が期待できない場合があり、30質量%以上になると、コストがかかるという問題が生じるので好ましくない。
また、本発明の保湿剤には、上記成分(a)および(b)に加えて、更に、成分(c)として水溶性高分子および/または多価アルコールを配合することができる。
この成分(c)である水溶性高分子および/または多価アルコールとしては、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、クインスシード、ポリアクリル酸アミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等の多価アルコールを挙げることができる。
これら成分(c)は1種以上を組み合わせて用いることができ、その保湿剤中への配合量は、例えば化粧品や皮膚外用剤等の最終製品全量に対して0.0006〜30質量%が好ましく、特に0.006〜10質量%が好ましい。配合量が0.006質量%未満であると発明の効果が期待できないことがあり、30質量%以上になると、使用感が損なわれることもある。
更に、本発明の保湿剤には、成分(d)として皮膚機能改善作用を有する成分を配合することができる。
この成分(d)である皮膚機能改善作用を有する成分としては、(1)セラミド、コレステロール、フィトステロール、脂肪酸等の脂質類及び脂質類の誘導体、(2)アミノ酸、ピロリドンカルボン酸等の天然保湿因子及びそれらの誘導体・塩類、(3)ビタミンCやビタミンE類またはこれらの誘導体である抗酸化剤、(4)ビタミンA類やビタミンB類または甘草抽出物またはこれらの誘導体である抗炎症剤等が挙げられる。これら皮膚機能改善作用を有する成分の中でも、ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンE類および甘草抽出物が好ましい。
これら成分(d)の保湿剤中への配合量は、例えば化粧品や皮膚外用剤等の最終製品全量に対して0.001〜5質量%が好ましく、特に0.01〜3質量%が好ましい。配合量が0.001質量%未満であると効果が確認されないことがあり、5質量%以上であるとコスト的な問題が生じるので好ましくない。
本発明の保湿剤は、前記した成分(a)および成分(b)を必須成分として配合し、必要により成分(c)および成分(d)を配合する以外は、常法に従って製造することができる。
また更に、上記保湿剤には、上記成分の他に、本発明の効果を損なわない程度で、界面活性剤、粘剤、油剤、粉体、防腐剤、香料、保湿剤、薬剤、キレート剤、着色剤、塩類、pH調整剤等を配合できる。
本発明の保湿剤は、皮膚に保湿を与えることが要求される組成物、例えば、化粧品や皮膚外用剤に配合して使用される。このうち、化粧料としては、従来保湿剤が配合されている化粧料であれば特に制限なく使用され、その例としては、化粧水、クリーム、乳液等が挙げられる。
斯くして得られる本発明の保湿剤は、これを化粧品あるいは皮膚外用剤に配合して皮膚に適用した場合は、皮膚の水分量を保持するとともに、皮膚の柔軟性や保湿性を維持することができるものである。しかも、これを十分な効果が認められる量で化粧料や皮膚外用剤に配合した場合であってもベタツキ感や肌馴染み等の使用感が低下することがない優れたものである。
次に、実施例および参考例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。
参 考 例 1
乳酸菌培養液上清の製造:
約3.7質量%の脱脂粉乳水を加熱殺菌後に乳酸菌(ストレプトコッカス・サーモフィルス)を接種し、37℃で48時間培養を行い、乳酸菌培養物を得た。
得られた培養物を4,000rpmの遠心分離機で10分間遠心分離し、ほとんど菌体のみからなる沈殿物を除去して透明な乳酸菌培養液上清を得た。このものは化粧品原料基準外成分規格に記載のホエイ(2)に相当する。
参 考 例 2
乳酸菌アロエ培養液上清の製造:
アロエベラ(Aloe barbadensis Miller)の凍結葉を解凍後破砕し、その2倍量の水及び0.05%となる量のクエン酸を加え、40℃にてセルラーゼ処理(セルラーゼ“オノズカ”3S;ヤクルト薬品工業社製)を3時間行った。その後、一旦90℃まで加熱し、次いで室温まで冷却してろ過し、Brix3.5になるまで減圧濃縮を行ってアロエベラ抽出液を得た。
得られたアロエベラ抽出液(pH3.7)を121℃で15分間蒸気滅菌した。これに乳酸菌(ラクトバチルス・プランタラムYIT0102)の菌液を1%接種した後、30℃で72時間静置培養し、更にろ過(ろ過板、アドバンテック社製NA−12、保留粒子径0.8μm)して乳酸菌アロエ培養液上清を得た。
参 考 例 3
ビフィズス菌豆乳培養液上清の製造:
大豆を水洗し、水に一夜浸漬して十分に吸水させた後、4倍量の水を加えミキサーでペースト状に粉砕した。これを100℃で30分間加熱して冷却後、濾過して豆乳を得た(固型分濃度約10質量%)。得られた豆乳を100℃で90分間蒸気滅菌して発酵用素豆乳を調製した。
前培養しておいたビフィズス菌(ビフィドバクテリウム ブレーベ YIT 4065)の菌液をこれに接種した後、37℃で24時間静置培養して発酵豆乳を得た。この発酵豆乳に培養液の3倍量のブチレングリコールを添加し、更にろ過(濾紙、アドバンテック社製No.131、保留粒子径3.0μm)してビフィズス菌豆乳培養液上清を得た。
実 施 例 1
化粧水の製造:
以下の表1に示した組成の化粧水を次の製造方法で製造した。まず、7を加熱溶解させた後、8〜10と混合し12に添加する。さらに1〜6を逐次投入・溶解させ化粧水を得た。これらの化粧水について、しっとり感およびベタツキ感を以下の評価基準により評価し、更に角質水分量については以下の方法により測定した。
(使用感の測定)
化粧水の使用感は健常被験者5名に化粧水を前腕内側部に塗布後、下記の5段階評価基準に従って評価をしてもらった。更に、評点の平均を3段階評価基準に従って判定した。
<5段階評価>
(評点) (内容)
2点 : 非常に良い
1点 : 良い
0点 : どちらとも言えない
−1点 : やや悪い
−2点 : 悪い
《3段階判定》
(評点の平均) (評価)
1.5点以上: ◎(非常に良好)
0点以上 : ○(良好)
0点未満 : ×(不良)
(角質水分量の測定)
角質水分量は健常被験者5名の前腕内側部に化粧水を塗布し、皮膚に良くなじませた後および化粧水塗布15分後に角質水分量測定器(SKICON-20EX、I.B.S.社製)を用いて測定した。なお、測定値は5回の測定をし、その平均値を四捨五入したものである。
Figure 0005048935
この試験結果から、例1ないし4の本発明の化粧水は使用感を損ねることなく、十分な水分を角質に維持、または高い保湿感を寄与できることが明らかとなった。
実 施 例 2
化粧水の製造:
以下の表2に示した組成の化粧水を次の方法で製造した。まず、5を加熱溶解させた後、6〜8と混合し10に添加する。さらに1〜4を逐次投入・溶解させ化粧水を得た。これらの化粧水について、しっとり感およびベタツキ感を実施例1と同様に評価し、更に角質水分量についても同様に測定した。
Figure 0005048935
この試験結果から、カルボキシメチル−β−グルカンナトリウムを含む本発明の化粧水(例5)は使用感を損ねることなく、十分な水分を角質に維持、または高い保湿感を寄与できることが明らかとなった。
実 施 例 3
クリームの製造:
以下の表3に示した組成のクリームを次の製造方法で製造した。まず、下記成分のうち、油相成分(7〜10)を加熱溶解し、同様に水相成分(1〜6、13)も加熱溶解させる。加熱した水相に油層を投入しホモジナイザーで攪拌した後アルカリ(11)を投入し冷却する。冷却の途中で添加剤(12)を投入・混合しクリームを得た。これらのクリームについて、しっとり感およびベタツキ感を実施例1と同様に評価し、更に角質水分量についても同様に測定した。
Figure 0005048935
クリームの試験結果から、カルボキシメチル−β−グルカンナトリウムを含む本発明(例7)は使用感を損ねることなく、十分な水分を角質に維持、または高い保湿感を寄与できることが明らかとなった。
実 施 例 4
化粧水:
表4に記載の成分のうち、12を加熱溶解させた後、13〜16と混合し18に添加する。さらに1〜11を逐次投入・溶解させる。最後に17を用いてpHを弱酸に調整し、化粧水を得た。
Figure 0005048935
この化粧水は保湿効果に優れ、しっとり感があるものであった。また、この化粧水にはベトツキ感はなかった。
実 施 例 5
乳液:
表5に記載の成分のうち、油相成分(11〜15)を加熱溶解し。同様に水相成分(1〜9、18)も加熱溶解させる。加熱した水相に油層を投入しホモジナイザーで攪拌した後アルカリ(10)を投入し冷却する。冷却の途中で添加剤(16、17)を投入・混合し乳液を得た。
Figure 0005048935
この乳液は保湿効果に優れ、しっとり感があるものであった。また、この乳液にはベトツキ感はなかった。
実 施 例 6
クリーム:
表6に記載の成分のうち、油相成分(12〜19)を加熱溶解し。同様に水相成分(1〜10、21)も加熱溶解させる。加熱した水相に油層を投入しホモジナイザーで攪拌した後アルカリ(11)を投入し冷却する。冷却の途中で添加剤(20)を投入・混合しクリームを得た。
Figure 0005048935
このクリームは保湿効果に優れ、しっとり感があるものであった。また、この化粧水にはベトツキ感はなかった。
本発明の保湿剤は、皮膚での十分な水分量を保持することができ、皮膚の柔軟性や保湿性を維持することができるものである。従って、本発明の保湿剤は、化粧水、乳液、クリーム等の化粧料や皮膚外用剤に配合することにより、皮膚に対する保湿効果を与えることができる。

Claims (4)

  1. 保湿剤有効成分として、次の成分(a)、(b)および(c)、
    (a)水酸基中、カルボキシメチル化されているものの割合が、70〜100%であるカルボキシメチル−β−グルカンまたはその塩
    (b)乳酸菌培養液および/またはビフィズス菌培養液
    (c)ヒアルロン酸および/またはヒアルロン酸ナトリウム
    を含み、全量中の配合量で、成分(a)が0.001〜0.1質量%、成分(b)が0.01〜20質量%、成分(c)が0.006〜10質量%であることを特徴とする化粧料。
  2. 成分(b)の乳酸菌培養液および/またはビフィズス菌培養液が、乳酸菌培養液上清、乳酸菌アロエ培養液上清およびビフィズス菌豆乳培養上清から選ばれたものである請求項第1項記載の化粧料。
  3. 更に、成分(d)として皮膚機能改善作用を有する成分を含有する請求項第1項または第2項記載の化粧料。
  4. 成分(d)の皮膚機能改善作用を有する成分が、ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンE類および甘草抽出物からなる群より選択される1種または2種以上である請求項第項記載の化粧料。
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