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JP5091457B2 - 揺変性付与剤及びその製造方法 - Google Patents
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JP5091457B2 - 揺変性付与剤及びその製造方法 - Google Patents

揺変性付与剤及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、揺変性付与剤及びその製造方法に関する。更に詳しくは、特に溶剤型塗料の塗膜の垂れが抑えられる揺変性付与剤及びその製造方法に関する。
塗料等を被塗材に塗布したとき、乾燥するまでの間に塗膜が流動し、垂れてしまうことがある。この塗膜の垂れを抑えるため、塗料には揺変性付与剤が配合されることが多く、従来、ポリアミド系等の揺変性付与剤が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。また、顔料沈降防止剤として用いられることが多い酸化ポリエチレン系等の揺変性付与剤も用いられている(例えば、特許文献2参照。)。更に、アミド誘導体にポリイソシアネート類を反応させてなる揺変性付与剤も知られている(例えば、特許文献3参照。)。
特開昭60−223876号公報 米国特許第3123488号公報 特開昭48−8398号公報
しかし、例えば、ポリアミド系の揺変性付与剤では、塗膜の垂れは抑えられるものの、一旦垂れが発生してしまうと、流動した塗膜の表面が荒れ、外観が低下するという問題がある。また、酸化ポリエチレン系の揺変性付与剤では、垂れが発生したときの塗膜の外観はポリアミド系の揺変性付与剤を用いた場合より良好であるが、垂れを抑える性能はポリアミド系の揺変性付与剤に比べて劣っている。
更に、特許文献3に記載された、アミド誘導体にポリイソシアネート類を反応させてなる揺変性付与剤では、塗料の溶剤として、全量又は多くの質量割合でキシレン等の揮散し易く、且つ溶解力の強い溶剤が用いられているため、塗膜の表面荒れは問題にならなかった。しかし、近年、人体への悪影響、及び環境汚染等のため、溶剤型塗料における溶剤としてキシレン等を用いることは極力避けられている。従って、キシレン等が含有されていない、又は含有量が少ない溶剤が用いられる傾向にあるが、このような溶剤を用いた場合に、アミド誘導体にポリイソシアネート類を反応させてなる揺変性付与剤では、塗膜の表面荒れが生じるか否か不明であった。
このように、特にキシレン等が含有されていない、又は含有量が少ない溶剤を用いたときであっても、塗膜の垂れが抑えられ、且つ垂れが発生したときの塗膜の表面荒れも十分に抑制される揺変性付与剤は提供されておらず、揺変性付与剤の更なる改良が必要とされている。
本発明は、上記の従来の状況に鑑みてなされたものであり、特に溶剤型塗料の塗膜の垂れが抑えられる揺変性付与剤及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は以下のとおりである。
1.12−ヒドロキシステアリン酸及びヒマシ油脂肪酸と、ポリアミン類との反応生成物と、ポリイソシアネート類とを反応させてなることを特徴とする揺変性付与剤。
2.上記12−ヒドロキシステアリン酸と上記ヒマシ油脂肪酸との合計を100質量%とした場合に、該ヒマシ油脂肪酸は5〜95質量%である上記1.に記載の揺変性付与剤。
3.上記ヒマシ油脂肪酸は25〜75質量%である上記2.に記載の揺変性付与剤。
4.上記1.乃至.のうちのいずれか1項に記載の揺変性付与剤の製造方法であって、上記反応生成物に105〜135℃の温度範囲で上記ポリイソシアネート類を添加し、その後、95〜125℃であり、且つ上記添加の温度より5〜20℃低い温度範囲で反応させる工程を備えることを特徴とする揺変性付与剤の製造方法。
5.上記反応の時間が2〜4時間である上記.に記載の揺変性付与剤の製造方法。
脂肪酸として、12−ヒドロキシステアリン酸とヒマシ油脂肪酸とを併用した本発明の揺変性付与剤によれば、特に溶剤型塗料の塗膜の垂れが十分に抑えられ(垂れ防止性)、且つ垂れたときの塗膜表面の荒れも抑制され(肌荒れ抑制性)、優れた外観を有する被膜を形成することができる。
また、12−ヒドロキシステアリン酸とヒマシ油脂肪酸との合計を100質量%とした場合に、ヒマシ油脂肪酸が5〜95質量%である場合は、垂れ防止性及び肌荒れ抑制性ともにより優れており、更に優れた外観を有する被膜を形成し得る揺変性付与剤とすることができる。
更に、ヒマシ油脂肪酸が25〜75質量%である場合は、垂れ防止性が特に良好であるとともに、優れた肌荒れ抑制性を有する揺変性付与剤とすることができる。
本発明の揺変性付与剤の製造方法によれば、特定の温度範囲でポリイソシアネート類を添加し、且つ反応させることにより、本発明の揺変性付与剤を容易に製造することができる。
また、反応時間が2〜4時間である場合は、より優れた性能の揺変性付与剤を製造することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
[1]揺変性付与剤及び肌荒れ抑制型揺変性付与剤
本発明の揺変性付与剤は、12−ヒドロキシステアリン酸及びヒマシ油脂肪酸と、ポリアミン類との反応生成物と、ポリイソシアネート類とを反応させてなる。
また、参考発明の揺変性付与剤は、ヒマシ油脂肪酸とポリアミン類との反応生成物と、ポリイソシアネート類とを反応させてなる。
参考発明の肌荒れ抑制型揺変性付与剤は、12−ヒドロキシステアリン酸とポリアミン類との反応生成物と、ポリイソシアネート類とを反応させてなる。
上記「12−ヒドロキシステアリン酸」は、12位の炭素原子にヒドロキシル基が1個結合した炭素数18の飽和脂肪酸であり、本発明では一般に提供されている12−ヒドロキシステアリン酸を特に限定されることなく用いることができる。この12−ヒドロキシステアリン酸としては、ヒマシ油脂肪酸であるリシノール酸に水素添加してなる12−ヒドロキシステアリン酸が用いられることが多い。また、12−ヒドロキシステアリン酸としてはオリゴマーを用いることもできる。このオリゴマーとしては、2〜7量体、特に3〜5量体が好ましく、より多量体とすることもできる。
上記「ヒマシ油脂肪酸」は、ヒマシ油から得られる脂肪酸であり、通常、リシノール酸とオレイン酸等との混合物である。このヒマシ油脂肪酸はリシノール酸のみであってもよい。また、ヒマシ油脂肪酸としてはオリゴマーを用いることもできる。このオリゴマーとしては、2〜7量体、特に3〜5量体が好ましく、より多量体とすることもできる。
本発明の揺変性付与剤において用いる12−ヒドロキシステアリン酸とヒマシ油脂肪酸との質量割合は特に限定されないが、12−ヒドロキシステアリン酸とヒマシ油脂肪酸との合計を100質量%とした場合に、ヒマシ油脂肪酸は5〜95質量%、特に25〜75質量%とすることが好ましい。12−ヒドロキシステアリン酸も5〜95質量%、特に25〜75質量%とすることが好ましい。各々の質量割合が5〜95質量%であれば、十分な垂れ防止性と肌荒れ抑制性とを併せて有する揺変性付与剤とすることができる。また、ヒマシ油脂肪酸の質量割合が25〜75質量%であれば、特に優れた垂れ防止性を有する揺変性付与剤とすることができる。
上記「ポリアミン類」としては、アミノ基(-NH)及び二級アミン構造[-NHR(Rは炭化水素残基である。)]の少なくとも一方を有し、アミノ基と二級アミン構造との合計が2個以上であるポリアミン類を用いることができる。このポリアミン類としては、アミノ基を有するポリアミン類が好ましく、2個以上のアミノ基を有するポリアミン類がより好ましい。アミノ基を有するポリアミン類は反応性が高く、ポリアミン類と12−ヒドロキシステアリン酸及び/又はヒマシ油脂肪酸とを反応させてなる反応生成物を効率よく生成させることができる。また、ポリアミン類としては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン及び脂環式ポリアミンのいずれも用いることができる。これらのうちでは脂肪族ポリアミンが好ましい。
脂肪族ポリアミンは特に限定されず、各種の脂肪族ポリアミンを用いることができる。この脂肪族ポリアミンとしては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、ビスアミノプロピルプロピレンジアミン、ヒドロキシエチルエチレンジアミン(アミノエチルエタノールアミン)等が挙げられる。
また、芳香族ポリアミンも特に限定されず、各種の芳香族ポリアミンを用いることができる。この芳香族ポリアミンとしては、フェニレンジアミン(o−体、m−体及びp−体のいずれでもよい。)、キシリレンジアミン(o−体、m−体及びp−体のいずれでもよい。)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
更に、脂環式ポリアミンも特に限定されず、各種の脂環式ポリアミンを用いることができる。この脂環式ポリアミンとしては、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
これらのポリアミンは1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。また、2種以上を併用する場合、脂肪族ポリアミン類、芳香族ポリアミン類及び脂環式ポリアミン類のうちの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミン類としては、分子量当たり、より多くのアミノ基及び/又は二級アミン構造を有するポリアミンが好ましい。従って、脂肪族ポリアミンとしては、エチレンジアミン等、芳香族ポリアミンとしては、フェニレンジアミン等、が好ましい。脂環式ポリアミンとしては、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等が好ましい。
上記「反応生成物」は、12−ヒドロキシステアリン酸及び/又はヒマシ油脂肪酸と、ポリアミン類とを反応させてなる生成物である。反応に用いる12−ヒドロキシステアリン酸及び/又はヒマシ油脂肪酸と、ポリアミン類との量比は特に限定されないが、ポリアミン類のモル数(M)と、12−ヒドロキシステアリン酸及び/又はヒマシ油脂肪酸のモル数(M)との比(M/M)を、0.3〜0.7、特に0.4〜0.6とすることが好ましい。
上記「ポリイソシアネート類」は特に限定されず、例えば、脂肪族、芳香族及び脂環式の各種ポリイソシアネートを用いることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、粗TDI、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗MDI、水添MDI、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びトリフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、粗HDI、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環式ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート及び4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
これらのポリイソシアネートは1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。また、2種以上を併用する場合、芳香族ポリイソシアネート類、脂肪族ポリイソシアネート類及び脂環式ポリイソシアネート類のうちの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリイソシアネート類としては、上記の各々のポリイソシアネートのウレタン変性体、二量体、三量体、カルボジイミド変性体、アロハネート変性体、ウレア変性体、ビウレット変性体、ブロック化物(フェノール類、オキシム類、イミド類、メルカプタン類、アルコール類、ε−カプロラクタム、エチレンイミン、α−ピロリドン、マロン酸ジエチル、亜硫酸水素ナトリウム及びホウ酸等でブロック化したポリイソシアネート類)、及びプレポリマーなどを用いることもできる。
更に、ポリイソシアネート類としては、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、TDIがより好ましい。また、TDIには異性体として2,4−異性体である2,4−TDIと、2,6−異性体である2,6−TDIとがあるが、これらの異性体の混合物が特に好ましい。この混合物としては、2,4−TDIと2,6−TDIとの合計を100質量%とした場合に、2,4−TDIが50〜90質量%含有される混合物が好ましく、70〜90質量%、特に75〜85質量%含有される混合物がより好ましい。このような異性体の混合物としては、市販されている、所謂、TDI65(2,4−TDIの含有量が65質量%である。)、及びTDI80(2,4−TDIが80質量%含有されている。)をそのまま用いることができ、TDI80がより好ましい。また、2,4−TDIの含有量が80質量%であるTDI(TDI80)としては、TDI65及び同様に市販されているTDI100(2,4−TDIの含有量が100質量%である。)を適量混合して用いてもよい。
尚、特に耐侯性が必要な場合は、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の無黄変ポリイソシアネートを用いることもできる。
以上、詳述したように、本発明の揺変性付与剤及び参考発明の他の揺変性付与剤並びに参考発明の肌荒れ抑制型揺変性付与剤では、ポリアミン類としてエチレンジアミンを使用し、且つポリイソシアネート類として2,4−TDIと2,6−TDIとの合計を100質量%とした場合に、2,4−TDIが70〜90質量%、特に75〜85質量%含有されるTDIの混合物を用いることが好ましい。また、反応生成物として12−ヒドロキシステアリン酸及びヒマシ油脂肪酸との反応生成物を使用し、且つポリアミン類としてエチレンジアミン、ポリイソシアネート類として上記のTDIの混合物を用いた本発明の揺変性付与剤は、特に垂れ防止性に優れ、この点でより好ましい。更に、反応生成物として12−ヒドロキシステアリン酸の反応生成物を使用し、且つポリアミン類としてエチレンジアミン、ポリイソシアネート類として上記のTDIの混合物を用いた参考発明の肌荒れ抑制型揺変性付与剤は、特に肌荒れ抑制性に優れ、この点でより好ましい。
揺変性付与剤及び肌荒れ抑制型揺変性付与剤は、反応生成物と、ポリイソシアネート類とを反応させてなる。反応に用いる反応生成物と、ポリイソシアネート類との量比は特に限定されないが、反応生成物のモル数(M)と、ポリイソシアネート類のモル数(M)との比(M/M)を、0.9〜1.2、特に1.0〜1.1とすることが好ましい。
本発明の揺変性付与剤及び参考発明の揺変性付与剤並びに参考発明の肌荒れ抑制型揺変性付与剤の用途は特に限定されず、溶剤型塗料、シーリング材、防水材及び接着剤等に用いることができ、これらの塗膜の垂れが抑えられ、併せて垂れたときの塗膜表面の荒れが抑制される。溶剤型塗料等に用いられる溶剤は特に限定されず、脂肪族系溶剤、芳香族系溶剤、及び脂肪族系溶剤と芳香族系溶剤との混合溶剤等を用いることができる。
脂肪族系溶剤としては、ヘプタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、及び脂肪族炭化水素を主成分とする灯油、揮発油等が挙げられる。また、芳香族系溶剤としては、キシレン、トルエン、及びトリメチルベンゼン等の炭素数9以上の芳香族炭化水素、ソルベッソ100(登録商標である。ほぼ全量が芳香族分である。)などが挙げられる。更に、混合溶剤としては、芳香族分の少ない(通常、30質量%以下である。)ミネラルスピリット[芳香族分の少ない製品(Low Aromatic White Spirit)であり、以下、これを「LAWS」(登録商標である。)という。]、芳香族分の多い(通常、50質量%以上である。)ミネラルスピリット[芳香族分の多い製品(High Aromatic White Spirit)である。]等が挙げられる。これらの混合溶剤には更に脂環族系溶剤が含有されていてもよい。溶剤としては、この他に、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類などを用いることもできる。
溶剤型塗料等の主成分が、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の合成樹脂である場合、これらの合成樹脂を容易に溶解させ、且つ低粘度の溶剤型塗料等とするためには溶解力の強い溶剤を用いることが好ましい。そのためにはトルエン及び/又はキシレンを用いることが好ましいが、これらの溶剤は人体への悪影響、及び環境汚染等の観点では好ましくない。この場合、人体への悪影響、及び環境汚染等の問題が小さい脂肪族系溶剤及び混合溶剤等を用いてもよいが、トルエン及び/又はキシレンに比べて揮散し難く、且つ溶解力が弱いため、通常、塗膜の垂れを生じ易く、且つ垂れたときに塗膜表面が荒れるという問題がある。
本発明の揺変性付与剤及び参考発明の揺変性付与剤では、溶剤として、上記の脂肪族系溶剤及び混合溶剤等の、揮散し難く、且つ溶解力の弱い溶剤を用いた場合であっても、塗膜が垂れ難く、且つ垂れた場合の塗膜表面の荒れも抑制される。従って、人体への悪影響、及び環境汚染等の観点から、本発明の揺変性付与剤及び参考発明の揺変性付与剤では、溶剤としてトルエン及び/又はキシレンの含有量が少ない溶剤を用いることが好ましい。このトルエン及び/又はキシレンの含有量が少ない溶剤としては、上記の各種の脂肪族系溶剤及び混合溶剤等を特に限定されることなく、用いることができる。
更に、参考発明の肌荒れ抑制型揺変性付与剤も、本発明の揺変性付与剤及び参考発明の揺変性付与剤と同様に、塗膜が垂れたときの塗膜表面の荒れが生じ難い。特に、用いられる溶剤の全量を100質量%とした場合に、トルエン及び/又はキシレンの含有量(トルエン及びキシレンの両方が含有されるときは合計含有量)が10質量%以下、特に7質量%以下、更に3質量%以下[0質量%でもよい(測定限界値未満)。]である溶剤型塗料であっても、塗膜表面の荒れが生じ難い。また、溶剤が、トルエン及び/又はキシレンを除く他の溶剤として、トリメチルベンゼン等の炭素数9以上の芳香族炭化水素を含む芳香族系溶剤と脂肪族系溶剤とを含有する混合溶剤であり、且つ混合溶剤の沸点が140℃以上である、所謂、弱溶剤であっても、塗膜表面の荒れが生じ難い。更に、上記の合成樹脂等を主成分とする溶剤型塗料であっても、塗膜表面の荒れが生じ難い。そのため、参考発明の肌荒れ抑制型揺変性付与剤は、溶剤型塗料であって、主成分として上記の各種の合成樹脂を含有し、且つ溶剤として上記のような特定の溶剤を用いた場合であっても十分に有用である。
尚、混合溶剤における炭素数9以上の芳香族炭化水素を含む芳香族系溶剤と脂肪族系溶剤との質量割合は特に限定されないが、これらの合計を100質量%とした場合に、炭素数9以上の芳香族炭化水素を含む芳香族系溶剤は20〜80質量%であればよく、20〜60質量%、特に20〜50質量%、更に20〜40質量%であることが好ましい。また、この炭素数9以上の芳香族系溶剤の炭素数の上限は特に限定されないが、通常、9又は10個である。更に、この混合溶剤には脂環族系溶剤が含有されていてもよい。
[2]揺変性付与剤及び肌荒れ抑制型揺変性付与剤の製造方法
本発明の揺変性付与剤の製造方法は特に限定されず、例えば、本発明の揺変性付与剤の製造方法により製造することができる。
また、参考発明の肌荒れ抑制型揺変性付与剤の製造方法も特に限定されず、例えば、参考発明の肌荒れ抑制型揺変性付与剤の製造方法により製造することができる。
即ち、12−ヒドロキシステアリン酸及びヒマシ油脂肪酸と、ポリアミン類との反応生成物、ヒマシ油脂肪酸とポリアミン類との反応生成物、又は12−ヒドロキシステアリン酸とポリアミン類との反応生成物、に105〜135℃の温度範囲でポリイソシアネート類を添加し、その後、95〜125℃であり、且つポリイソシアネート類を添加する温度より5〜20℃低い温度範囲で反応させる工程を備える製造方法により製造することができる。
これらの製造方法において、12−ヒドロキシステアリン酸、ヒマシ油脂肪酸、ポリアミン類及びポリイソシアネート類については、前記[1]における各々に係る記載をそのまま適用することができる。また、本発明の揺変性付与剤の製造において用いる12−ヒドロキシステアリン酸と、ヒマシ油脂肪酸との質量割合についても前記[1]における質量割合をそのまま適用することができる。
上記の各々の反応生成物の作製方法は特に限定されない。例えば、攪拌装置、冷却器等を備える反応容器に、12−ヒドロキシステアリン酸及び/又はヒマシ油脂肪酸、並びにポリアミン類を投入し、加熱しながら攪拌し、生成する水を除去しながら反応させることにより作製することができる。反応雰囲気は不活性雰囲気でも大気雰囲気でもよいが、窒素ガス雰囲気、及びアルゴンガス雰囲気等の不活性ガス雰囲気などの不活性雰囲気で反応させることが好ましい。反応温度及び反応時間は特に限定されず、反応温度は150〜250℃、特に170〜230℃とすることが好ましく、反応時間は2〜6時間、特に3〜5時間とすることが好ましい。
この反応生成物の作製方法における12−ヒドロキシステアリン酸及び/又はヒマシ油脂肪酸と、ポリアミン類との量比(モル比)については、前記[1]における記載をそのまま適用することができる。
上記のようにして反応生成物を作製し、その後、反応生成物に溶剤を添加して溶解させ、次いで、反応生成物を溶解させた溶液を加熱して徐々に昇温させ、その後、ポリイソシアネート類を徐々に添加して反応させることにより揺変性付与剤、又は肌荒れ抑制型揺変性付与剤を製造することができる。反応雰囲気は不活性雰囲気でも大気雰囲気でもよいが、窒素ガス雰囲気、及びアルゴンガス雰囲気等の不活性ガス雰囲気などの不活性雰囲気で反応させることが好ましい。即ち、上記の反応生成物の作製における不活性雰囲気のまま、連続して揺変性付与剤、又は肌荒れ抑制型揺変性付与剤を製造することが好ましい。
ポリイソシアネート類を徐々に添加するときの温度は105〜135℃であり、110〜130℃とすることが好ましい。また、反応生成物とポリイソシアネート類との反応温度は、95〜125℃であり、100〜115℃とすることが好ましい。更に、反応時間は特に限定されず、揺変性付与剤の場合は、2〜4時間、特に2.2〜3.8時間とすることが好ましい。また、肌荒れ抑制型揺変性付与剤の場合は、20分から4時間、特に1〜4時間とすることが好ましい。この反応時間は20〜30分でもよいが、1時間以上であれば、より安定して所定性能を有する肌荒れ抑制型揺変性付与剤とすることができる。更に、反応生成物とポリイソシアネート類との反応温度は、ポリイソシアネート類を添加するときの温度より5〜20℃、特に7〜15℃低いことが好ましい。
この揺変性付与剤及び肌荒れ抑制型揺変性付与剤の製造方法における反応生成物と、ポリイソシアネート類との量比(モル比)については、前記[1]における記載をそのまま適用することができる。
本発明の揺変性付与剤及び参考発明の揺変性付与剤並びに参考発明の肌荒れ抑制型揺変性付与剤の各々の製造方法は、上記の工程の他に、必要に応じて種々の工程を併せて備えていてもよい。また、それぞれの製造方法によって製造された揺変性付与剤、又は肌荒れ抑制型揺変性付与剤は、そのまま溶剤型塗料等に配合して用いることもでき、溶剤を添加して適宜の濃度に調整された揺変性付与剤、又は肌荒れ抑制型揺変性付与剤として用いることもできる。例えば、10〜30質量%程度の不揮発分を含有する溶液として用いることもできる。この濃度調整に用いる溶剤は特に限定されないが、例えば、ベンジルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素類、及び前記の「LAWS」等の混合溶剤などを用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]肌荒れ抑制型揺変性付与剤及び揺変性付与剤の製造
参考例1
攪拌装置、温度計、水冷式コンデンサ、滴下ロート及び窒素ガス導入口を備える反応装置に、12−ヒドロキシステアリン酸217g(0.70モル)及びエチレンジアミン21g(0.35モル)を仕込んだ。その後、混合物を加熱して徐々に昇温させ、反応により生成した水を留去させながら200℃で4時間反応させ、反応生成物を作製した。次いで、ミネラルスピリットを560g投入して反応生成物を溶解させ、120℃に調温された溶液にトリレンジイソシアネート(2,4−異性体が80質量%含有される異性体混合物を用いた。)55g(0.325モル)を滴下し、その後、110℃で3時間反応させ、肌荒れ抑制型揺変性付与剤を製造した。次いで、ベンジルアルコールを添加して希釈し、不揮発分濃度を20質量%に調整した。
実施例
脂肪酸として、12−ヒドロキシステアリン酸108.5g(0.35モル)とヒマシ油脂肪酸108.5g(0.35モル)とを用いた他は、参考例1と同様にして揺変性付与剤を製造し、同様にベンジルアルコールを添加して希釈し、不揮発分濃度を20質量%に調整した。
参考
脂肪酸として、ヒマシ油脂肪酸217g(0.70モル)を用いた他は、参考例1と同様にして揺変性付与剤を製造し、同様にベンジルアルコールを添加して希釈し、不揮発分濃度を20質量%に調整した。
以下、参考例1の肌荒れ抑制型揺変性付与剤及び実施例及び参考の揺変性付与剤を、併せて揺変性付与剤という。
[2]性能評価
(1)試験用塗料の製造
参考例1、実施例1及び参考例2の揺変性付与剤及び市販の揺変性付与剤の各々の揺変性(表1〜3では垂れ限界膜厚により評価した。)及び肌荒れ抑制性を評価するための試験用塗料を以下のようにして製造した。
アクリル樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名「アクリディック A−188」)57質量部、ミネラルスピリット(シェルケミカルズジャパン株式会社製、商品名「LAWS」)17質量部、及び白色顔料(石原産業株式会社製、商品名「タイペーク R−930」)26質量部を、直径2mmのガラスビーズを用いたバッチ式サンドグラインダに投入して分散させ、混合させた。その後、混合物からガラスビーズを除去し、白色の試験用塗料を製造した。
(2)LAWS品、揺変性付与剤を配合した参考品1、実施品1、参考品2及び比較品1〜4の製造
上記(1)で製造した試験用塗料に、参考例1、実施例1及び参考例2の揺変性付与剤、及び比較品1〜4に用いた市販の揺変性付与剤を、揺変性付与剤が有効成分で0.75質量%となるように、ディスパーを用いて3000rpmの回転速度で15分間分散させ、混合させた。即ち、有効成分の含有量が20質量%の揺変性付与剤の場合は、試験用塗料92.50質量部に、揺変性付与剤3.75質量部及びLAWS3.75質量部を配合し、分散させ、混合させた。また、有効成分の含有量が10質量%の揺変性付与剤の場合は、試験用塗料92.50質量部に、揺変性付与剤7.50質量部を配合し、分散させ、混合させた。
上記の比較品1〜4の製造に用いた市販の揺変性付与剤は下記のとおりである。
比較品1に用いた揺変性付与剤;脂肪酸アミド系膨潤ペースト(不揮発分20質量%)であり、下記の伊藤製油株式会社ではない他社の製品
比較品2に用いた揺変性付与剤;脂肪酸アミドと酸化ポリエチレンとを含有する複合系ペースト、不揮発分10質量%
比較品3に用いた揺変性付与剤;脂肪酸アミド系膨潤ペースト、不揮発分20質量%、伊藤製油株式会社製、商品名「A−S−A T−380−20BS」
比較品4に用いた揺変性付与剤;脂肪酸アミド系膨潤ペースト、不揮発分10質量%、伊藤製油株式会社製、商品名「A−S−A T−380−10BS」
また、表1に記載の「LAWS品」は、試験用塗料92.50質量部にLAWSを7.50質量部配合して調製した、揺変性付与剤を用いない比較品である。
(3)性能評価
上記(2)で製造したLAWS品、参考品1、実施品1、参考品2及び比較品1〜4を25℃で24時間静置し、その後、KU値、粘度、T.I.値及び光沢を測定した。また、垂れ限界膜厚及び肌荒れ抑制性を評価した。それぞれの測定方法及び評価方法は以下のとおりである。
(a)KU値
ストーマー粘度計を用いて25℃で測定した。
(b)粘度及びT.I.値
B型粘度計を用いて1分間攪拌した後、粘度及びT.I.値を測定した。
(c)垂れ限界膜厚
サグテスターを用いて、試験紙の表面に、一方側から他方側へと順次厚さの異なる複数の帯状の塗膜を形成し、直ちに厚膜側を下方として試験紙を垂直に縦置きにした。そして、塗料の流動が止まった後、塗料の流れの状態を目視で観察し、帯状の塗膜間の無塗装部に塗料が流れ出していないときは垂れがないとした。この垂れのない塗膜のうちの最大厚さの塗膜にくし形ウェットフィルム膜厚計を直角に軽く押し当て、膜厚を測定した。この膜厚を垂れ限界膜厚とする。
(d)光沢
ガラス板にアプリケータを用いて各々の塗料を塗布し、厚さ150μmの塗膜を形成した。それぞれの塗料について2枚のガラス板に塗膜を形成し、一方は水平に、他方は垂直に静置し、塗料が乾燥した後、塗膜の光沢をガラス板に対して20°及び60°の方向からデジタル変角光沢計(スガ試験機株式会社製、型式「UGV−5D」)を用いて測定した。
(e)光沢保持性及び肌荒れ抑制性
上記(d)で用いたと同様のガラス板の一端側に各々の塗料を適量載せ、この塗料を載せた側を上方として垂直に縦置きにし、塗料を流動させた(これを表1では「垂らし塗り」と表記する。)。塗料が乾燥した後、流動した塗膜の光沢をガラス板に対して20°及び60°の方向から上記(d)と同様の装置を用いて測定した。また、この流動した塗膜の光沢と、上記(d)における塗膜の光沢とから下記式のようにして光沢保持率を算出し、肌荒れ抑制性の指標とした。
光沢保持率(%)=[流動した塗膜の光沢/上記(d)における塗膜の光沢]×100
尚、肌荒れ抑制性は、この光沢保持率と、上記(d)における塗膜の目視による観察結果とにより評価した。
評価結果を表1に記載する。
(4)希釈品の調製及び性能評価
上記(2)で製造した参考品1、実施品1参考品2及び比較品1、3,4をLAWSによりKU値(25℃)を75に調製した表2に記載の希釈品、及びKU値(25℃)を70に調製した表3に記載の希釈品を調製した。また、これらの希釈品を用いて上記(3)と同様にして粘度、T.I.値及び光沢を測定し、垂れ限界膜厚及び肌荒れ抑制性を評価した。各々の測定方法及び評価方法は上記(3)に記載のとおりである。
KU値(25℃)が75の場合の評価結果を表2に、KU値(25℃)が70の場合の評価結果を表3にそれぞれ記載する。
尚、表1〜3に記載の肌荒れ抑制性の評価結果は、◎;塗膜表面に模様がなく滑らかである、○;塗膜表面に僅かに模様がみられる程度である、△;塗膜表面に立体的なザラザラの模様がみられるが、膜切れが発生する状態ではない、×;膜切れが発生し、下地のガラス板が露出している部分もある、である。
また、表1〜3における比較品1の垂らし塗り及び光沢保持率の数値に括弧が付してあるのは、膜切れが発生し、下地のガラス板が露出している部分があるため、光沢の測定値が十分に定まらないためである。
実施例の効果
表1〜3の結果によれば、参考品1に用いられた参考例1の揺変性付与剤では、垂れ限界膜厚が厚く、優れた揺変性を有しており、且つ光沢保持率も高く、十分な肌荒れ抑制性を併せて有していることが分かる。また、実施品に用いられ、12−ヒドロキシステアリン酸とヒマシ油脂肪酸とを併用した実施例の揺変性付与剤では、比較品1に用いられた市販の揺変性付与剤より粘度が低いにもかかわらず、垂れ限界膜厚が比較品1よりも厚く、且つ肌荒れ抑制性もより優れており、極めて優れた揺変性と肌荒れ抑制性とを併せて有していることが分かる。更に、参考に用いられた参考の揺変性付与剤では、垂れ限界膜厚が参考品1の場合より厚く、より優れた揺変性を有しており、且つ実施品と同等の光沢保持率を有し、十分な肌荒れ抑制性を併せて有していることが分かる。
一方、表1に記載のLAWS品は、揺変性付与剤は配合されておらず、溶剤により希釈されているのみであるため、垂れ限界膜厚は25μm以下と極めて劣っており、肌荒れ抑制性は良好であるが実用に供することはできない。また、比較品1に用いられた市販の揺変性付与剤では、垂れ限界膜厚は参考品1よりも優れているが、光沢保持率は極めて低く、肌荒れ抑制性に劣ることが分かる。
更に、比較品2に用いられた市販の揺変性付与剤では、粘度が低いわりには垂れ限界膜厚が厚いが、十分な厚さとはいえず、肌荒れ抑制性も不良である。また、比較品3に用いられた市販の揺変性付与剤では、粘度がそれほど低くはないわりには垂れ限界膜厚が極めて薄く、更には肌荒れ抑制性も不良である。更に、比較品4に用いられた市販の揺変性付与剤では、比較品3に比べて垂れ限界膜厚は良好であるが、肌荒れ抑制性に劣り(光沢保持率が低い。)、実用上、十分であるとはいえない。
(5)鮮映性
上記(4)で調製したKU値(25℃)が75の場合の参考品1、実施品1及び比較品1、3を用いて、上記(3)、(d)と同様にしてガラス板の表面に塗膜を形成した。その後、塗膜面が上面となるようにして蛍光灯の斜め下に静置し、塗膜面に写った蛍光灯の鮮明度によって鮮映性を評価した。
図1は参考品1、図2は実施品、図3は比較品1,図4は比較品3を、それぞれ用いた場合の結果である。
図1〜4によれば、参考品1、実施品1では、蛍光灯が相当に鮮明に写っており、鮮映性が高く、肌荒れが十分に抑制されていることが分かる。一方、比較品1では、肌荒れが極めて激しく、蛍光灯が写っていることがほとんど確認できず、鮮映性が極めて劣っている。また、比較品3では、蛍光灯のようなものが写ってはいるが、複数の蛍光灯であることはまったく確認できず、肌荒れが激しく、鮮映性が劣っていることが分かる。
(6)本発明の揺変性付与剤において12−ヒドロキシステアリン酸と、ヒマシ油脂肪酸との質量割合を変化させた場合の垂れ防止性及び肌荒れ抑制性の評価
実験例1〜11
12−ヒドロキシステアリン酸と、ヒマシ油脂肪酸との質量割合を表4に記載のように変化させた他は、実施例等と同様にして揺変性付与剤等を製造し、同様にベンジルアルコールを添加して希釈し、不揮発分濃度を20質量%に調整した。その後、このようにして製造した揺変性付与剤を、上記(1)で製造した試験用塗料に、上記(2)のようにして分散させて混合させ、上記(3)と同様にして垂れ防止性及び肌荒れ抑制性を評価した。
結果を表4に記載する。
尚、表4において、「12HSA」は12−ヒドロキシステアリン酸、「CO−FA」はヒマシ油脂肪酸、「EDA」はエチレンジアミン、「T−80」は2,4−TDIが80質量%含有されているTDIである。
表4の結果によれば、実験例1〜11のすべての組成において十分な垂れ防止性及び肌荒れ抑制性が得られている。また、ヒマシ油脂肪酸の質量割合が30〜70質量%の実験例4〜8では、特に垂れ防止性に優れていることが分かる。
(7)本発明の揺変性付与剤においてポリアミン類又はポリイソシアネート類の種類を変化させた場合の垂れ防止性及び肌荒れ抑制性の評価
実験例12〜19
ポリアミン類又はポリイソシアネート類を表5に記載のように変化させた他は、実施例と同様にして揺変性付与剤を製造し、同様にベンジルアルコールを添加して希釈し、不揮発分濃度を20質量%に調整した。その後、このようにして製造した揺変性付与剤を、上記(1)で製造した試験用塗料に、上記(2)のようにして分散させて混合させ、上記(3)と同様にして垂れ防止性及び肌荒れ抑制性を評価した。
結果を表5に記載する。
尚、表5において、「12HSA」は12−ヒドロキシステアリン酸、「CO−FA」はヒマシ油脂肪酸、「EDA」はエチレンジアミン、「TMDA」はテトラメチレンジアミン、「HMDA」はヘキサメチレンジアミン、「MXDA」はメタキシレンジアミン、「PXDA」はパラキシレンジアミン、「1,3−BAC」は1,3ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、「T−80」は2,4−TDIが80質量%含有されているTDI、「T−100」は全量が2,4−TDIであるTDI、「T−65」は2,4−TDIが65質量%含有されているTDIである。
表5の結果によれば、ポリイソシアネート類をT−80とし、ポリアミン類の種類を変化させた実験例12〜17では、ポリアミン類の種類によらず十分な垂れ防止性を有しており、肌荒れ抑制性も優れている。また、EDAは優れた垂れ防止性を有しており、好ましいポリアミン類であることが分かる。更に、ポリアミン類をEDAとし、ポリイソシアネート類を変化させた実験例18、19では、十分な性能が得られているが、総合評価ではT−80に比べて少し劣っており、T−80がより好ましいポリイソシアネート類であることが分かる。
(8)本発明の揺変性付与剤においてポリイソシアネート類の添加温度、反応温度及び反応時間を変化させた場合の垂れ防止性及び肌荒れ抑制性の評価
実験例20〜28
ポリイソシアネート類を添加するときの温度、反応温度及び反応時間を表6に記載のように変化させた他は、実施例と同様にして揺変性付与剤を製造し、同様にベンジルアルコールを添加して希釈し、不揮発分濃度を20質量%に調整した。その後、このようにして製造した揺変性付与剤を、上記(1)で製造した試験用塗料に、上記(2)のようにして分散させて混合させ、上記(3)と同様にして垂れ防止性及び肌荒れ抑制性を評価した。
結果を表6に記載する。
尚、表6において、「12HSA」は12−ヒドロキシステアリン酸、「CO−FA」はヒマシ油脂肪酸、「EDA」はエチレンジアミン、「T−80」は2,4−TDIが80質量%含有されているTDIである。
表6の結果によれば、T−80の添加温度及び反応温度を変化させた実験例20〜22では、肌荒れ抑制性は温度によらず優れているが、垂れ防止性は温度の影響が大きく、添加温度115〜120℃、反応温度100〜110℃の実験例20、21が良好であり、これより高温である実験例22では性能が低下している。また、添加温度を120℃、反応温度を110℃とし、反応時間を変化させた実験例23〜28では、肌荒れ抑制性は時間によらず優れており、垂れ防止性は反応時間2.5時間及び3.5時間の実験例25、26の場合に、特に優れていることが分かる。
(9)参考発明の揺変性付与剤においてポリアミン類を変化させた場合の垂れ防止性及び肌荒れ抑制性の評価
実験例29〜34
ポリアミン類を表7に記載のように変化させた他は、参考と同様にして揺変性付与剤を製造し、同様にベンジルアルコールを添加して希釈し、不揮発分濃度を20質量%に調整した。その後、このようにして製造した揺変性付与剤を、上記(1)で製造した試験用塗料に、上記(2)のようにして分散させて混合させ、上記(3)と同様にして垂れ防止性及び肌荒れ抑制性を評価した。
結果を表7に記載する。
尚、表7において、「CO−FA」はヒマシ油脂肪酸、「EDA」はエチレンジアミン、「TMDA」はテトラメチレンジアミン、「HMDA」はヘキサメチレンジアミン、「MXDA」はメタキシレンジアミン、「PXDA」はパラキシレンジアミン、「1,3−BAC」は1,3ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、「T−80」は2,4−TDIが80質量%含有されているTDIである。
表7の結果によれば、ポリイソシアネート類をT−80とし、ポリアミン類の種類を変化させた実験例29〜34では、肌荒れ抑制性はいずれも良好であるが、垂れ防止性はEDAがより優れており、好ましいポリアミン類であることが分かる。
(10)参考発明の肌荒れ抑制型揺変性付与剤においてポリアミン類又はポリイソシアネート類の種類を変化させた場合の垂れ防止性及び肌荒れ抑制性の評価
実験例35〜45
ポリアミン類又はポリイソシアネート類を表8に記載のように変化させた他は、参考例1と同様にして揺変性付与剤を製造し、同様にベンジルアルコールを添加して希釈し、不揮発分濃度を20質量%に調整した。その後、このようにして製造した揺変性付与剤を、上記(1)で製造した試験用塗料に、上記(2)のようにして分散させて混合させ、上記(3)と同様にして垂れ防止性及び肌荒れ抑制性を評価した。
結果を表8に記載する。
尚、表8において、「12HSA」は12−ヒドロキシステアリン酸、「EDA」はエチレンジアミン、「TMDA」はテトラメチレンジアミン、「HMDA」はヘキサメチレンジアミン、「MXDA」はメタキシレンジアミン、「PXDA」はパラキシレンジアミン、「1,3−BAC」は1,3ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、「T−80」は2,4−TDIが80質量%含有されているTDI、「HDI」はヘキサメチレンジイソシアネート、「T−100」は全量が2,4−TDIであるTDI、「水添XDI」はメタキシレンジイソシアネートの水添物、「IPDI」はイソホロンジイソシアネート、「水添MDI」はジフェニルメタンジイソシアネートの水添物である。
表8の結果によれば、ポリイソシアネート類をT−80とし、ポリアミン類の種類を変化させた実験例35〜40では、ポリアミン類の種類によらず十分な垂れ防止性を有しているが、EDAがより優れていることが分かる。また、肌荒れ抑制性はポリアミン類の種類によらず優れている。更に、ポリアミン類をEDAとし、ポリイソシアネート類を変化させた実験例41〜45では、また、肌荒れ抑制性はポリイソシアネート類の種類によらず優れているが、垂れ防止性はT−100が他のポリイソシアネート類に比べてより優れており、TDIが好ましいポリイソシアネート類であることが分かる。
(11)参考発明の肌荒れ抑制型揺変性付与剤において反応生成物とポリイソシアネート類との反応時間を変化させた場合の垂れ防止性及び肌荒れ抑制性の評価
実験例46〜51
反応生成物とポリイソシアネート類との反応時間を表9に記載のように変化させた他は、参考例1と同様にして揺変性付与剤を製造し、同様にベンジルアルコールを添加して希釈し、不揮発分濃度を20質量%に調整した。その後、このようにして製造した揺変性付与剤を、上記(1)で製造した試験用塗料に、上記(2)のようにして分散させて混合させ、上記(3)と同様にして垂れ防止性及び肌荒れ抑制性を評価した。
結果を表9に記載する。
尚、表9において、「12HSA」は12−ヒドロキシステアリン酸、「EDA」はエチレンジアミン、「T−80」は2,4−TDIが80質量%含有されているTDIである。
表9の結果によれば、T−80の反応時間を変化させた実験例46〜51では、垂れ防止性及び肌荒れ抑制性ともに十分な性能が得られており、特に反応時間が0.5〜3.5時間の場合に、より優れた垂れ防止性が得られていることが分かる。
本発明の揺変性付与剤及び参考発明の揺変性付与剤並びに参考発明の肌荒れ抑制型揺変性付与剤は、垂直面又は斜面に施工されることがある塗料、シーリング材、防水材及び接着剤等、特に溶剤型塗料などに配合し、塗膜の垂れを抑え、且つ垂れたときの肌荒れを抑制する用途に好適に用いることができる。
参考品1(KU値75)を用いたときの鮮映性を表す説明図である。 実施品(KU値75)を用いたときの鮮映性を表す説明図である。 比較品1(KU値75)を用いたときの鮮映性を表す説明図である。 比較品3(KU値75)を用いたときの鮮映性を表す説明図である。

Claims (5)

  1. 12−ヒドロキシステアリン酸及びヒマシ油脂肪酸と、ポリアミン類との反応生成物と、ポリイソシアネート類とを反応させてなることを特徴とする揺変性付与剤。
  2. 上記12−ヒドロキシステアリン酸と上記ヒマシ油脂肪酸との合計を100質量%とした場合に、該ヒマシ油脂肪酸は5〜95質量%である請求項1に記載の揺変性付与剤。
  3. 上記ヒマシ油脂肪酸は25〜75質量%である請求項2に記載の揺変性付与剤。
  4. 請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の揺変性付与剤の製造方法であって、
    上記反応生成物に105〜135℃の温度範囲で上記ポリイソシアネート類を添加し、その後、95〜125℃であり、且つ上記添加の温度より5〜20℃低い温度範囲で反応させる工程を備えることを特徴とする揺変性付与剤の製造方法。
  5. 上記反応の時間が2〜4時間である請求項に記載の揺変性付与剤の製造方法。
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