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JP5096538B2 - 硫酸塩被膜除去装置および硫酸塩被膜除去方法 - Google Patents
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JP5096538B2 - 硫酸塩被膜除去装置および硫酸塩被膜除去方法 - Google Patents

硫酸塩被膜除去装置および硫酸塩被膜除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉛蓄電池の電極において発生した硫酸塩被膜を除去する技術に関する。
鉛蓄電池の性能を低下させる要因の一つとして、鉛蓄電池の正電極および負電極に発生する硫酸塩被膜(サルフェーション)が知られている。硫酸塩被膜は、鉛蓄電池を使用(放電)する際に、希硫酸電解質溶液と、正極(酸化鉛電極)および負極(鉛電極)とが以下の電気化学反応を起こすことによって両電極上に形成される。なお、充電時には逆向きの電気化学反応が生じる。
PbO2+4H++SO4 2-+2e-→PbSo4+2H2O (正極)
Pb+SO4 2-→PbSo4+2e- (負極)
正極および負極の表面(充電に寄与する電極表面)が硫酸塩(硫酸鉛)被膜によって覆われることによって、各電極と電解質溶液との間で生じる、所期の電気化学反応が阻害され、鉛蓄電池の充電性能および放電性能が低下してしまう。
硫酸塩被膜に起因して低下した鉛蓄電池の性能を回復させる技術として、鉛蓄電池に対してパルス電流を印加する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
特許第3902212号公報
しかしながら、上記従来技術では、放電時における鉛蓄電池の性能低下抑制については考慮されているものの、既に使用された鉛蓄電池の電極に発生した硫酸塩被膜の除去、あるいは、鉛蓄電池の性能回復については検討されておらず、また、硫酸塩被膜の除去に要する時間の短縮並びに硫酸塩被膜の除去に際して除去装置の温度上昇について何ら考慮されていなかった。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、鉛蓄電池における硫酸塩被膜の除去時における発熱を抑制しつつ、硫酸塩被膜の除去に要する時間の短縮させることを目的とする。
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は以下の種々の態様を採る。
第1の態様は、鉛蓄電池における硫酸塩被膜除去装置を提供する。第1の態様に係る硫酸塩被膜除去装置は、前記鉛蓄電池の電極に接続される電極接続部と、前記電極接続部を介して前記鉛蓄電池の前記電極から取り出した電流を用いてパルス波形駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記電極接続部を介して前記鉛蓄電池の前記電極から取り出した電流を300mA以上の電流に調整するための抵抗部と、前記駆動信号生成部および抵抗部と接続され、前記生成されたパルス波形駆動信号に応じて動作するスイッチング部であって、前記パルス波形駆動信号の立ち下がりエッジに同期して、逆起電力および逆電流を前記鉛蓄電池に供給するスイッチング部とを備える。
第1の態様に係る硫酸塩被膜除去装置によれば、パルス波形駆動信号の立ち下がりエッジに同期して、逆起電力および逆電流が鉛蓄電池に供給されるので、硫酸塩被膜の除去に要する時間の短縮させることができる。
第1の態様に係る硫酸塩被膜除去装置において、前記駆動信号生成部は、前記硫酸塩被膜除去装置の上昇温度が所定温度以下となるパルス幅の前記パルス波形駆動信号を生成しても良い。この場合には、鉛蓄電池における硫酸塩被膜の除去時における発熱を抑制しつつ、硫酸塩被膜の除去に要する時間の短縮させることができる。
第1の態様に係る硫酸塩被膜除去装置において、前記駆動信号生成部は、既知のパルス幅Pwbaseに対する既知の上昇温度がTbaseであり、許容上昇温度をTmaxとする場合に、以下の式によって求められるパルス幅Pwmax以下のパルス幅の前記パルス波形駆動信号を生成しても良い。この場合には、硫酸塩被膜除去装置の上昇温度を許容上昇温度以下とすることができる。
Figure 0005096538
第1に態様に係る硫酸塩被膜除去装置において、前記駆動信号生成部は、前記鉛蓄電池の出力電圧が高くなるに連れて、前記パルス幅が小さなパルス波形駆動信号を生成しても良い。この場合には、鉛蓄電池の出力電圧に応じて、鉛蓄電池における硫酸塩被膜の除去時における発熱を抑制することができる。
第1の態様に係る硫酸塩被膜除去装置はさらに、前記駆動信号生成部によって生成されたパルス波形駆動信号からのこぎり波形駆動信号を生成する波形整形部を備えても良い。この場合には、硫酸塩被膜の除去効率を向上させることができる。
第1の態様に係る硫酸塩被膜除去装置において、前記駆動信号生成部は、周波数が15000Hz〜20000Hzであって、パルス幅が1μsec〜2μsecである前記パルス波形駆動信号を生成し、前記抵抗部は、前記鉛蓄電池の前記電極から取り出した電流を300〜500mAの電流に調整しても良い。この場合には、鉛蓄電池における硫酸塩被膜の除去時における発熱を抑制しつつ、硫酸塩被膜の除去に要する時間の短縮させることができる。
第2の態様は、鉛蓄電池における硫酸塩被膜除去方法を提供する。第2の態様に係る硫酸塩被膜除去方法は、前記鉛蓄電池の電極から取り出した電流を用いてパルス波形駆動信号を生成し、前記鉛蓄電池の前記電極から取り出した電流を300mA以上の電流に調整し、前記パルス波形駆動信号の立ち下がりエッジに同期して、前記300mA以上の電流に起因する、逆起電力および逆電流を前記鉛蓄電池に供給する、各工程を繰り返し実行することを備える。
第2の態様に係る硫酸塩被膜除去方法によれば、第1の態様に係る硫酸塩被膜除去装置と同様の作用効果を得ることができると共に、第1の態様に係る硫酸塩被膜除去装置と同様にして種々の態様にて実現され得る。
第2の態様に係る硫酸塩被膜除去方法は、硫酸塩被膜除去プログラムとして実現され得ると共に、硫酸塩被膜除去プログラムが記録されたコンピューター読み取り可能な媒体として実現され得る。
本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置の回路構成を機能的に示すブロック図である。 本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置が備える波形整形回路の等価回路を示す説明図である。 本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置が備えるパルス発生回路によって生成されたパルス波形駆動信号の一例を示す説明図である。 本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置が備える波形整形回路によって生成されるのこぎり波形駆動信号の一例を示す説明図である。 本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置と鉛蓄電池との接続態様の一例を示す説明図である。 本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置と鉛蓄電池との間における電流変化を模式的に示す説明図である。 比較例としての硫酸塩被膜除去装置による鉛蓄電池の性能回復の検証結果を示す説明図である。 本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置による鉛蓄電池の性能回復の検証結果を示す説明図である。 比較例としての硫酸塩被膜除去装置の動作時における温度変化を示す説明図である。 本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置の動作時における温度変化を示す説明図である。
以下、本発明に係る硫酸塩被膜除去装置および硫酸塩被膜除去方法について、図面を参照しつつ、実施例に基づいて説明する。
図1は本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置の回路構成を機能的に示すブロック図である。本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置10は、電源回路110、パルス発生回路120、波形整形回路130、スイッチング回路140、保護回路150、表示灯11、正側端子T1および負側端子T2を備えている。正側端子T1は図示しない鉛蓄電池の正極と接続されており、鉛蓄電池の正電極から得られた電流を電源回路110に供給する駆動信号用電流線Ldを介して電源回路110と接続され、また、鉛蓄電池の正電極から得られた電流をスイッチング回路140に供給する電源電流線Lpを介してスイッチング回路140と接続されている。駆動信号用電流線Ldには、電源回路110から正側端子T1への電流の逆流を防止するためのダイオードD1が配置されている。電源電流線Lpには、スイッチング回路140から正側端子T1への電流の逆流を防止するためのダイオードD2、スイッチング回路140に供給される電流を所定値に調整するための抵抗R1が配置されている。表示灯11は、硫酸塩被膜除去装置10が通電中(動作中)である場合に点灯し、例えば、発光ダイオードが用いられる。
電源回路110は、信号線を介してパルス発生回路120と接続されており、パルス発生回路120は、信号線を介して波形整形回路130に接続されている。波形整形回路130は、信号線を介してスイッチング回路140に接続されており、スイッチング回路140は上述のように電源電流線Lpと接続されている。波形整形回路130には、保護回路150が接続されている。負側端子T2は信号接地されている。なお、図1においては、スイッチング回路140のみ明示的に信号接地されているが、他の各回路についても同様に信号接地されていることは言うまでもない。
電源回路110は鉛蓄電池から供給される電圧(12V〜48V)を駆動信号用の電圧(制御回路電圧)である10Vに降圧するためのDC/DCコンバータである。電源回路110によって降圧された駆動信号用電流は、パルス発生回路120に供給される。パルス発生回路120は、電源回路110から供給された駆動信号用電流を用いて、スイッチング回路140を駆動するためのパルス信号波形を生成する回路であり、内部に発振器を備えており、予め定められたパルス幅の矩形波を予め定められた周波数個分有するパルス波形駆動信号を出力する。すなわち、予め定められたパルス幅の矩形波信号を予め定められた周期(1/周波数)で連続して出力する。
本実施例におけるパルス発生回路120は、硫酸塩被膜除去装置10の上昇温度が所定温度以下となるパルス幅のパルス波形駆動信号を生成する。より具体的には、周波数15000〜20000Hz、既知のパルス幅Pwbaseに対する既知の上昇温度がTbaseであり、許容上昇温度をTmaxとする場合に、以下の式によって求められるパルス幅Pwmax以下のパルス幅のパルス波形駆動信号を生成する。
Figure 0005096538
具体的なパルス幅の値としては、1〜2μsecのパルス幅、より具体的には、1.4〜1.7μsec程度のパルス幅を有するパルス波形駆動信号を生成する。たとえば、既知のパルス幅Pwbase=1.6、既知の上昇温度Tbase=28℃であり、許容上昇温度Tmax=60℃の場合には、約3.4μsecが最大許容パルス幅となる。
波形整形回路130は、パルス発生回路120によって生成されたパルス波形駆動信号をのこぎり波形に整形して出力する。図2は本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置が備える波形整形回路の等価回路を示す説明図である。図3は本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置が備えるパルス発生回路によって生成されたパルス波形駆動信号の一例を示す説明図である。図4は本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置が備える波形整形回路によって生成されるのこぎり波形駆動信号の一例を示す説明図である。
波形整形回路130は公知の回路であり、例えば、並列接続されている2つの抵抗R21、R22と、抵抗R22に並列接続されているキャパシタC1と、抵抗R22に直列接続されているダイオードD3を備えている。波形整形回路130によれば、図3に示すパルス波形を、図4に示すのこぎり波形に整形することができる。すなわち、立ち上がりは緩やかで、立ち下がりが急峻である波形を生成することができる。したがって、立ち下がりエッジをトリガとして作動する回路、例えばスイッチング回路140のスイッチ動作を迅速に実行させることができる。
スイッチング回路140は、整形されたパルス波形駆動信号によってオン、オフ動作を実現する回路であり、本実施例においては、オン動作時に電源電流線Lpを介してバッテリから電流を取り出し、オフ動作時にバッテリからの電流の取り出しを停止する。したがって、スイッチング回路140は、バッテリからパルス電流を流し出させることができる。スイッチング回路140としては、例えば、電界効果型トランジスタ(FET)、その他のスイッチング素子を用いることができる。
保護回路150は、波形整形回路130から出力されるパルス波形駆動信号が常時ハイ状態(スイッチング回路140に対してオン動作を指示する信号レベル状態)となった場合に、抵抗R1を焼き切れ等の不具合から保護するための回路である。例えば、当業者にとって周知であるように、ツェナーダイオードとトランジスタを用いる回路によって実現される。
抵抗R1はスイッチング回路140に供給される電源電流の値を調整するために用いれ、300〜500mAの電流値となるよう、使用対象となるバッテリBTの電圧に応じて抵抗値が選択される。以下では、500mAの電流が用いられる。
本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置10の動作について説明する。図5は本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置と鉛蓄電池との接続態様の一例を示す説明図である。図6は本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置と鉛蓄電池との間における電流変化を模式的に示す説明図である。硫酸塩被膜除去装置10は、バッテリBTに接続されて用いられる。具体的には、硫酸塩被膜除去装置10の正側端子T1に接続されている正側ケーブルL1をバッテリBTの正極T+に接続し、負側端子T2に接続されている負側ケーブルL2をバッテリBTの負極T−に接続して用いられる。硫酸塩被膜除去装置10は、バッテリBTから供給される電流を用いて動作する。すなわち、バッテリBTから正側端子T1を介して取り出された電流は、駆動信号用電流線Ldを介して、各回路に供給される。
既述のように、硫酸塩被膜除去装置10は、パルス波形駆動信号に従って、バッテリBTからパルス状の電流を取り出すことができる。すなわち、スイッチング回路140がパルス波形駆動信号に従ってオンすることによって、抵抗R1によって500mAとされた電流がスイッチング回路140からグラウンドへと流れ込み、スイッチング回路140がパルス波形駆動信号に従ってオフすることによって、グラウンドに対する500mAとされた電流の流れ込みが停止される。この結果、パルス状の電流がバッテリBTから取り出される。硫酸塩被膜除去装置10(スイッチング回路140)がパルス波形駆動信号の立ち下がりエッジに応じて電流の取り出しを停止すると、正側および負側ケーブルL1、L2並びにバッテリBTを含めたインダクタンス成分に起因する逆起電力および逆電流が発生し、バッテリBTに対して、硫酸塩被膜除去装置10からみてマイナスの(バッテリBTからの取り出しをプラスとした場合)スパイク状の電圧および電流が印加される。例えば、バッテリBTに対して、図6に示すようなスパイク状の電流が印加される。本実施例では、スイッチング回路140に入力されるパルス波形駆動信号はのこぎり波形を有するように波形整形回路130によって整形されるので、スイッチング回路140はオン動作時には比較的緩やかにオン状態に移行するが、オフ動作時には瞬時にオフ状態に移行する。この結果、ピーク(高さ)が高く、幅の短いスパイク状電流および電圧をバッテリBTに提供することができる。バッテリBTに供給されるスパイク状の逆電流の値は、例えば、2〜3Aであり、使用電流(電源電流)が大きくなるに連れて大きな値を取る。なお、図6の電流波形はバッテリBTの電極に抵抗を直列に接続し、抵抗の両端の電圧波形を測定することによって得ることができる。
このスパイク状の電流および電圧がバッテリの正極および負極に作用することで、正極および負極に析出した硫酸塩被膜(鉛蓄電池においては硫酸鉛被膜)が各電極から分子状に剥離、分離され、硫酸塩被膜によって覆われていた各電極の表面積のうち充電に関わる充電面積が初期の充電面積にまで回復される。電解液中に分離された分子状の硫酸塩被膜は、鉛蓄電池の充電時に分解され、鉛イオンおよび硫酸イオンとして電解液中に溶解する。また、充電時には鉛蓄電池放電時に生成されるH2Oの生成も停止し、この結果、鉛蓄電池であるバッテリBTの電解質比重が良好値である1.280に向かって回復する。
検証結果
以下、本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置10並びに比較例としての硫酸塩被膜除去装置を用いた各種の検証結果について説明する。
バッテリ性能回復:
図7は比較例としての硫酸塩被膜除去装置による鉛蓄電池の性能回復の検証結果を示す説明図である。図8は本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置による鉛蓄電池の性能回復の検証結果を示す説明図である。検証条件は以下の通り。
比較例:パルス周波数:20000Hz、電流値:200mA、バッテリ:GSユアサ製48Vバッテリ、
実施例:パルス周波数:20000Hz、電流値:500mA、バッテリ:GSユアサ製48Vバッテリ。
この検証によれば、本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置10によって比重値が回復することが確認され、上記したスパイク状電流による硫酸塩被膜の除去、溶解のメカニズムが立証される。
図7に示す比較例では、平均電解液比重値の初期値は1.255であり、装着開始から34日経過後における平均電解液比重値は1.266、装着開始から87日経過後における平均電解液比重値は1.280である。一般的に、鉛蓄電池の比重値は1.28が良好値の目安とされており、87日経過後に達成している。一方、初期値に対する平均比重値の改善率、すなわち、比重増加率に着目すると、34日経過時点で1.0087、87日経過時点で1.0199となっており、約3ヶ月経過時点での比重増加率は1.0199に止まる。これに対して、本実施例では、平均電解液比重値の初期値は1.219であり、装着開始から20日経過後における平均電解液比重値は1.268である。一方、初期値に対する平均比重値の改善率に着目すると、20日経過時点で1.040となっており、約半月経過時点での比重増加率は1.040に達している。
実施例と比較例との相違は電流値にあり、電流値が大きな本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置10によれば、比較例の硫酸塩被膜除去装置に対して約1/3〜1/4の期間でバッテリの性能を回復させることができる。改善結果が得られるまでに要する期間が3〜4ヶ月といったように長い場合、装置ユーザは改善効果を有効に検証し難いという問題が生じるが、本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置10によれば、半月から1ヶ月程度で改善効果を検証することが可能となり、装置ユーザの要望に応えることができる。
バッテリBTに印加する電流値が大きい場合に、良好な改善結果を得られることは上記の検証結果によって示されたが、バッテリBTに印加する電流値を単に増大させると、硫酸塩被膜除去装置の動作時温度が上昇する(抵抗が損傷を受ける)という問題が生じる。
温度変化:
図9は比較例としての硫酸塩被膜除去装置の動作時における温度変化を示す説明図である。図10は本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置の動作時における温度変化を示す説明図である。検証は、硫酸塩被膜除去装置のケース本体および電流調整抵抗の温度を赤外線温度計で計測することによって行われた。図9に示す比較例は、パルス周波数:20000Hz、パルス波形駆動信号のパルス幅4μsecの条件のもと、硫酸権被膜除去装置のスイッチング回路に供給される電流を200mAから500mAに上昇させた結果得られた温度変化を示している。図9の結果から、電流値が増加するに連れて、ケース温度が上昇し、500mAではケース温度は47℃、上昇温度は19℃に達した。また、発熱源である抵抗の温度は114℃に達する。したがって、自動車のエンジンルーム内に配置されているバッテリに装着されて用いられる場合には、使用環境温度が60〜70℃程度の条件下で使用されることになり、抵抗の温度は150℃を大きく超えることとなり、一般的用途の抵抗を用いる場合、抵抗が損傷する可能性が高くなる。
これに対して、本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置10は、パルス幅1.6μsec、周波数20000Hzのパルス波形駆動信号によって駆動される。図10に示す検証では、36Vバッテリ、48Vバッテリに対して硫酸塩被膜除去装置10を装着し、スイッチング回路140に供給される電流として200mAと500mAの場合について検証を行った。
電源200mAの比較例では、36Vおよび48Vバッテリのそれぞれについて、ケース温度は31℃、34℃であり、上昇温度は6℃、8℃であった。これに対して、電流500mAの実施例では、36Vおよび48Vバッテリのそれぞれについて、ケース温度は32℃、35℃であり、上昇温度は5℃、8℃であった。したがって、図9に示す比較例では、19℃であった温度上昇を8℃まで低減することが可能となり、比較例における200mAの電流使用時と同等の温度上昇に抑制することを実現した。
ここで、1.6μsecのパルス幅は、従来の温度上昇と同程度の温度上昇を実現するために選択された値に過ぎず、より温度上昇を低減するためには、より小さなパルス幅が用いられれば良く、温度上昇の低減要求が緩い場合には、より大きなパルス幅が用いられても良い。また、使用電流が500mA未満の場合には抵抗R1における発熱量も低下するので、より大きなパルス幅が用いられても良く、使用電流が500mAより大きい場合には抵抗R1における発熱量も増加するので、より小さなパルス幅が用いられることが望ましい。さらに、バッテリBTの電圧が高くなるに連れて、抵抗R1における発熱量も増大するので、バッテリBTの電圧が高くなるに連れて、より小さなパルス幅が用いられても良い。
以上説明したように、本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置10によれば、従来200mAであった電流値を500mAとすることによって、バッテリBTの性能回復に要する期間を従来の1/3〜1/4の期間に短縮することができる。すなわち、従来の硫酸塩被膜除去装置よりも強力にバッテリBTの電極に析出した硫酸塩被膜を除去することができる。
また、500mAの電流を用いることによって問題となる硫酸塩被膜除去装置10(抵抗R1)の温度上昇については、パルス波形駆動信号のパルス幅を従来の1/2.5程度である1.6μsecとすることによって、500mAの電流使用時における硫酸塩被膜除去装置10の温度上昇を200mAの電流使用時と同等に抑制することができる。
したがって、本実施例に係る硫酸塩被膜除去装置10によれば、硫酸塩被膜除去時における発熱を抑制しつつ、硫酸塩被膜の除去に要する時間の短縮させることができる。
・変形例:
(1)上記実施例では、周波数20000Hzのパルス波形駆動信号を用いる例について検証したが、周波数は20000Hz未満であっても良く、20000Hzより高くても良い。
(2)上記実施例では、電流値が500mAの場合を例にとって説明したが、300〜500mA、あるいは、500mAよりも大きな電流を用いても良い。
(3)上記実施例では、パルス発生回路120によって生成されるパルス波形駆動信号のパルス幅は一定であるが、スイッチ操作によって複数の値に変更可能であっても良い。また、上記実施例では抵抗R1は固定の抵抗値を有する抵抗であるが、スイッチ操作によって複数の値に変更可能な可変抵抗であっても良い。これらの場合には、バッテリBTの電圧に応じて、抵抗値を変更することによって、1つの硫酸塩被膜除去装置10によって、複数のバッテリ電圧に対応することができる。また、バッテリBTの電圧に応じて、電流を適宜変更ができると共に、ユーザにおいて、使用環境に応じた所望の設定値を見出し、設定することが可能となり、硫酸塩被膜除去装置10の使い勝手を向上させることができる。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
10…硫酸塩被膜除去装置
11…表示灯
110…電源回路
120…パルス発生回路
130…波形整形回路
140…スイッチング回路
150…保護回路
BT…バッテリ
C1…キャパシタ
D1、D2、D3…ダイオード
L1…正側ケーブル
L2…負側ケーブル
Ld…駆動信号用電流線
Lp…電源電流線
R1、R21、R22…抵抗
T+…正極
T−…負極
T1…正側端子
T2…負側端子

Claims (7)

  1. 鉛蓄電池における硫酸塩被膜除去装置であって、
    前記鉛蓄電池の電極に接続される電極接続部と、
    前記電極接続部を介して前記鉛蓄電池の前記電極から取り出した電流を用いて前記硫酸塩被膜除去装置の上昇温度が所定温度以下となるパルス幅のパルス波形駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
    前記電極接続部を介して前記鉛蓄電池の前記電極から取り出した電流を300mA以上の電流に調整するための抵抗部と、
    前記駆動信号生成部および抵抗部と接続され、前記生成されたパルス波形駆動信号に応じて動作するスイッチング部であって、前記パルス波形駆動信号の立ち下がりエッジに同期して、逆起電力および逆電流を前記鉛蓄電池に供給するスイッチング部と、
    を備える硫酸塩被膜除去装置。
  2. 請求項に記載の硫酸塩被膜除去装置において、
    前記駆動信号生成部は、既知のパルス幅Pwbaseに対する既知の上昇温度がTbaseであり、許容上昇温度をTmaxとする場合に、以下の式によって求められるパルス幅Pwmax以下のパルス幅の前記パルス波形駆動信号を生成する、硫酸塩被膜除去装置。
    Figure 0005096538
  3. 請求項に記載の硫酸塩被膜除去装置において、
    前記駆動信号生成部は、前記鉛蓄電池の出力電圧が高くなるに連れて、前記パルス幅が小さなパルス波形駆動信号を生成する、硫酸塩被膜除去装置。
  4. 請求項1から請求項のいずれかに記載の硫酸塩被膜除去装置はさらに、
    前記駆動信号生成部によって生成されたパルス波形駆動信号からのこぎり波形駆動信号を生成する波形整形部を備える、硫酸塩被膜除去装置。
  5. 請求項1から請求項のいずれかに記載の硫酸塩被膜除去装置において、
    前記駆動信号生成部は、周波数が15000Hz〜20000Hzであって、パルス幅が1μsec〜2μsecである前記パルス波形駆動信号を生成し、
    前記抵抗部は、前記鉛蓄電池の前記電極から取り出した電流を300〜500mAの電流に調整する、
    硫酸塩被膜除去装置。
  6. 硫酸塩被膜除去装置用いる、鉛蓄電池における硫酸塩被膜除去方法であって、
    前記鉛蓄電池の電極から取り出した電流を用いて前記硫酸塩被膜除去装置の上昇温度が所定温度以下となるパルス幅のパルス波形駆動信号を生成し、
    前記鉛蓄電池の前記電極から取り出した電流を300mA以上の電流に調整し、
    前記パルス波形駆動信号の立ち下がりエッジに同期して、前記300mA以上の電流に起因する、逆起電力および逆電流を前記鉛蓄電池に供給する、
    各工程を繰り返し実行する、硫酸塩被膜除去方法。
  7. 請求項6に記載の硫酸塩被膜除去方法において、
    前記パルス波形駆動信号の生成は、周波数が15000Hz〜20000Hzであって、パルス幅が1μsec〜2μsecである前記パルス波形駆動信号を生成することによって実行され、
    前記鉛蓄電池の前記電極から取り出した電流の調整は、前記鉛蓄電池の前記電極から取り出した電流を300〜500mAの電流に調整することによって実行される、
    硫酸塩被膜除去方法。
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