以下、本発明の一実施形態について図1〜図7に基づいて説明する。図1には本発明の一実施形態に係る露光装置100の全体構成が概略的に示されている。
露光装置100は、照明系10、マスクとしてのレチクルRを保持するレチクルステージRST、投影光学系PL、物体としてのウエハWが搭載されるウエハステージWST、及び装置全体を統括制御する主制御装置20等を備えている。
前記照明系10は、例えば特開平6-349701号公報(対応する米国特許第5,534,970号)などに開示されるように、光源、オプティカルインテグレータを含む照度均一化光学系、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド(マスキングブレードとも呼ばれる)、及びダイクロイックミラー等(いずれも不図示)を含んで構成されている。この照明系10では、回路パターン等が描かれたレチクルR上のレチクルブラインドで規定されたスリット状の照明領域を照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。
ここで、照明光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの遠紫外光、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、あるいはF2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光などが用いられる。照明光ILとして、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)を用いることも可能である。また、オプティカルインテグレータとしては、フライアイレンズ、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)、あるいは回折光学素子等が用いられる。
前記レチクルステージRST上には、レチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動部(不図示)によって照明系10の光軸(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直なXY平面内で微少駆動可能であるとともに、所定の走査方向(ここでは図1における紙面内左右方向であるY軸方向とする)に指定された走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのステージ移動面内の位置は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16によって、移動鏡15を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計16からのレチクルステージRSTの位置情報はステージ制御装置19及びこれを介して主制御装置20に供給される。ステージ制御装置19では、主制御装置20からの指示に応じ、レチクルステージRSTの位置情報に基づいてレチクルステージ駆動部(図示省略)を介してレチクルステージRSTを駆動制御する。
レチクルRの上方には、一対のレチクルアライメント系22(但し、図1における紙面奥側のレチクルアライメント系は不図示)が、配置されている。この一対のレチクルアライメント系22としては、例えば特開平7−176468号公報などに開示されるものと同様の構成のものが用いられている。
前記投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置され、その光軸AXの方向がZ軸方向とされている。投影光学系PLとしては、例えば両側テレセントリックな縮小系が用いられている。この投影光学系PLの投影倍率は例えば1/4、1/5あるいは1/8等である。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルRが照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明光の照射領域(前述の照明領域)内のレチクルRの回路パターンの縮小像(部分像)が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上に形成される。
投影光学系PLとしては、図1に示されるように、複数枚、例えば10〜20枚程度の屈折光学素子(レンズ素子)13のみから成る屈折系が用いられている。この投影光学系PLを構成する複数枚のレンズ素子13のうち、物体面側(レチクルR側)の複数枚のレンズ素子は、不図示の駆動素子、例えばピエゾ素子などによって、Z軸方向(投影光学系PLの光軸方向)にシフト駆動、及びXY面に対する傾斜方向(すなわちX軸回りの回転方向(θx方向)及びY軸回りの回転方向(θy方向))に駆動可能な可動レンズとなっている。そして、結像特性補正コントローラ48が、主制御装置20から供給される情報に基づいて各可動レンズを個別に駆動することにより、投影光学系PLの種々の結像特性(倍率、ディストーション、非点収差、コマ収差、像面湾曲など)が調整されるようになっている。なお、結像特性補正コントローラ48は、光源を制御して照明光ILの中心波長をシフトさせることができ、可動レンズの移動と同様に中心波長のシフトにより結像特性を調整可能となっている。
前記ウエハステージWSTは、投影光学系PLの図1における下方で、不図示のベース上に配置され、例えばリニアモータ等を含むウエハステージ駆動部24によってY軸方向及びこれに直交するX軸方向(図1における紙面直交方向)に所定ストロークで駆動されるとともに、Z軸方向、θx方向、θy方向及びθz方向(Z軸回りの回転方向)に微小駆動可能な構成となっている。このウエハステージWST上には、ウエハホルダ25が載置され、このウエハホルダ25上にウエハWが例えば真空吸着等によって固定されている。
ウエハステージWSTのXY平面内での位置は、その上面に設けられた移動鏡17を介して、ウエハレーザ干渉計システム18によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。ここで、実際には、ウエハステージWST上には、走査方向(Y軸方向)に直交する反射面を有するY移動鏡と非走査方向(X軸方向)に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられ、これに対応してウエハレーザ干渉計もY移動鏡に垂直に干渉計ビームを照射するY干渉計と、X移動鏡に垂直に干渉計ビームを照射するX干渉計とが設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡17、ウエハレーザ干渉計システム18として示されている。すなわち、本実施形態では、ウエハステージWSTの移動位置を規定する静止座標系(直交座標系)が、ウエハレーザ干渉計システム18のY干渉計及びX干渉計の測長軸によって規定されている。以下においては、この静止座標系をステージ座標系と呼び、ステージ座標系における位置座標を(X、Y)と表すものとする。
ウエハステージWSTのステージ座標系における位置情報(又は速度情報)はステージ制御装置19及びこれを介して主制御装置20に供給される。ステージ制御装置19は、主制御装置20から供給される情報と、ウエハステージWSTの上記位置情報(又は速度情報)とに基づき、ウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTを制御する。
また、ウエハステージWST上のウエハWの近傍には、基準マーク板FMが固定されている。この基準マーク板FMの表面は、ウエハWの表面と同じ高さに設定され、この表面にはアライメント系のベースライン計測用の基準マーク及びレチクルアライメント用の基準マークその他の基準マークが形成されている。
投影光学系PLの側面には、オフアクシス方式のアライメント系ASが設けられている。このアライメント系ASとしては、ここでは、例えば特開平2−54103号公報(対応する米国特許第4,962,318号)などに開示されているような(Field Image Alignment(FIA)系)のアライメントセンサが用いられている。アライメント系ASはアライメントマーク(及び基準マーク板FM上の基準マーク)の撮像結果を、主制御装置20へ向けて出力する。
露光装置100には、さらに不図示の多点フォーカス検出系を備えている。この多点フォーカス検出系としては、例えば特開平6−283403号公報(対応する米国特許第5,448,332号)などに開示されるものと同様の構成のものが用いられている。ステージ制御装置19はこの多点フォーカス検出系からのウエハ位置情報に基づいてウエハステージWSTをウエハステージ駆動部24を介してZ軸方向及び傾斜方向(θx方向及びθy方向)に微小駆動して、ウエハWのフォーカス・レベリング制御を行う。
主制御装置20は、マイクロコンピュータ又はワークステーション、ハードディスクなどを含んで構成され、露光装置の各部を統括して制御する。
次に、本実施形態の露光装置100によるウエハWの露光処理について、図2〜図7に基づいて説明する。
図2には、露光装置100を構成する主制御装置20によるウエハの露光処理に関する処理アルゴリズムが概略的に示されている。なお、図2に示される露光処理のアルゴリズムの実行の前提として、露光対象となるウエハWは、既に1層以上の露光が行われているものとする。
まず、ステップ401において露光準備を行う。具体的には,不図示のレチクルローダによりレチクルステージRST上にレチクルRをロードし、レチクルアライメント系22、アライメント系AS、及び基準マーク板FMを用いてレチクルアライメント及びアライメント系ASのベースライン計測を行なう。なお、レチクルアライメント及びベースラインの計測手法に関しては、例えば特開平7-176468号公報(対応する米国特許5,646,413号)等に開示され、公知であるので、詳細説明は省略する。
次のステップ403では、不図示のウエハローダを用いて図1のウエハホルダ25上の露光処理済みのウエハとウエハWとを交換する。但し、ウエハホルダ25上にウエハがない場合は、ウエハWをウエハホルダ25上に単にロードする。
次のステップ405では、ウエハホルダ25上にロードされたウエハWのサーチアライメントを行う。具体的には、例えば、ウエハWの中心点を対称に、ウエハWの周辺部に位置する一対のサーチアライメントマーク(以下、「サーチマーク」と略述する)をアライメント系ASを用いて検出する。これらの一対のサーチマークの検出は、それぞれのサーチマークがアライメント系ASの検出視野内に位置するように、ウエハステージWSTを順次位置決めしつつ、かつアライメント系ASの倍率を低倍率に設定して行われる。そして、アライメント系ASの検出結果(アライメント系ASの指標中心と各サーチマークとの相対位置関係)と各サーチマーク検出時のウエハ干渉計システム18の計測値とに基づいて2つのサーチマークのステージ座標系における位置座標を求める。しかる後、2つのマークの位置座標からステージ座標系におけるウエハWの中心の位置座標(X0、Y0)および、残留回転誤差を算出し、この残留回転誤差がほぼ零となるようにウエハホルダ25を、ウエハWの中心の位置座標(X0、Y0)を中心に微小回転させる。これにより、ウエハ上の基準点を原点とする直交座標系(ウエハ座標系)のX軸とY軸がステージ座標系のX軸及びY軸にほぼ平行となる。本実施形態では説明の便宜上基準点をウエハ中心とし、ウエハ座標系における位置座標を(x、y)と表すものとする。
次のステップ407では、ウエハW上の全てのショット領域SAmnのステージ座標系における位置座標(Xmn、Ymn)を計測する。具体的には、アライメント系ASを用いて(但し、アライメント系ASの倍率を高倍率に設定して)、ショット領域SAmnに付設されたウエハマークを計測し、各ショット領域SAmnのステージ座標系における位置座標(Xmn、Ymn)を求める。
次のステップ409では、ステージ座標系における位置座標(Xmn、Ymn)を、ウエハ座標系における位置座標(xwmn、ywmn)に変換する。ステージ座標系の位置座標(X、Y)はウエハ座標系の位置座標(x、y)とステージ座標系におけるウエハ中心の位置座標(X0、Y0)を用いると次式(1)のように示される。
(x、y)=(X−X0、Y−Y0)…(1)
したがって、各ショット領域SAmnのステージ座標系における位置座標(Xmn、Ymn)を上記式(1)へ代入することにより、ウエハ座標系における位置座標(xwmn、ywmn)を算出することができる。
次のステップ411では、ウエハ座標系における各ショット領域SAmnの設計上の位置座標(xmn、ymn)と、上記ステップ411で算出した位置座標(xwmn、ywmn)とを比較して、各ショット領域SAmnについて設計上の位置座標(xmn、ymn)からの位置ずれ量(dxmn、dymn)をそれぞれ算出する。以下、図3に示されるように、設計上のX軸方向の一辺の長さがMx、Y軸方向の一辺の長さがMyであるショット領域を基準ショット領域SA’mnと呼ぶものとする。そして、ウエハ中心Oを原点とし、基準ショット領域SA’mnが配置されるウエハ座標系における位置座標を基準座標(xmn、ymn)と呼ぶものとする。
次のステップ411では、上記ステップ413の処理の結果算出された、各ショット領域SAmnの基準座標(xmn、ymn)からの位置ずれ量(dxmn、dymn)と、予め決定されたモデル式とに基づいて補間完関数を決定する。
具体的には、ショット領域SAmnの基準座標(xmn、ymn)に対するX軸方向の位置ずれ量を示す関数fx(xmn、ymn)、及びY軸方向の位置ずれ量を示す関数fy(xmn、ymn)それぞれに関して、一例として、次式(2)に示されるモデル式を設定し、先に求めた各ショット領域SAmnの基準座標(xmn、ymn)に対する位置ずれ量(dxmn、dymn)を用いて、モデル式の各係数X0〜X9及びY0〜Y9を最小二乗法によって求める。
次のステップ415では、関数fx(xmn、ymn)及びfy(xmn、ymn)の変数xmn及びymnに関する微分値に基づいてショット領域SAmnの形状を推定する。以下ショット形状SAmnの推定方法について、図3〜図5(B)に基づいて説明する。
なお、本実施形態では前提として、ショット中心はショット領域の位置座標と一致するものとし、説明の便宜上、ウエハW上にはX軸方向にのみ位置ずれが生じたショット領域SAmnが形成され、ステップ413の処理では、一例として、補間関数が次式(3)のように決定されたものとする。
fx(xmn、ymn)=k1・xmn 2+k2・ymn 2(k1、k2は定数) …(3)
図3には、上述した15×15の基準ショット領域SA’ mnと、これらの基準ショット領域SA’ mnそれぞれに対応する位置ずれ量が上記式(3)で表わされる15×15のショット領域SAmnが示されている。
図3に示されるショット領域及び以下の説明では、ウエハ座標系の原点O(x0、y0)を位置座標とする基準ショット領域をSA’ 00と表わし、この基準ショット領域SA’00を基点とし+X方向に1番目の基準ショット領域をSA’10、2番目の基準ショット領域をSA’20のように表わし、+Y方向に1番目の基準ショット領域をSA’01、2番目の基準ショット領域をSA’02、のように表わすものとする。そして、これらの基準ショット領域SA’mn、(m=−7、−6、…、0、…、6、7、n=−7、−6、…、0、…、6、7)に対応するショット領域をSA mn、(m=−7、−6、…、0、…、6、7、n=−7、−6、…、0、…、6、7)と表すものとする。
図4には、図3において点線で囲まれた範囲S内のショット領域SAmnが拡大して示され、各ショット領域SAmnの位置座標(ショット中心)が黒点で示されている。図3に示されたショット領域SAmnの位置ずれ量は上述したようにfx(xmn、ymn)=k1・xmn 2+k2・ymn 2と表わされる。したがって、例えば、ショット領域SAmnの基準座標(xmn、ymn)のうちのY座標が一定値hである場合には、X軸方向の位置ずれ量はウエハ座標系のX座標の2乗に比例して増加し、ショット領域SAmnの基準座標のうちのX座標が一定値jである場合には、Y軸に関する傾きはウエハ座標系のY座標の2乗に比例して大きくなる。ここではまず、X軸方向に関する基準座標が(xmn、ymn)である基準ショット領域SA’mnに対応するショット領域SAmnに関して、そのX軸方向の大きさMx(xmn,ymn)(以下「倍率Mx(xmn,ymn)」という」)を推定する方法について説明する。
図5(A)には、一例として、図4に示されるショット領域のうち、基準座標(xmn,ymn)のY座標ymnの値を共通の値hとする任意の一列のショット領域SA0n〜SA5nが実線で示され、このショット領域SA0n〜SA5nそれぞれに対応する基準ショット領域SA’0n〜SA’5nが、図の錯綜を回避するためにショット領域SA0n〜SA5nからY方向へ所定距離だけずらした位置に一点鎖線で示されている。図5に示されるように、ショット領域SA0n〜SA5nの基準ショット領域SA’0n〜SA’5nに対するX軸方向の位置ずれ量は、次式(4)で示され、X座標の増加量の2乗に比例して増加する。
fx(xmn、h)=k1・xmn 2+k2・h2…(4)
また、ショット領域SAmnのX軸方向の倍率Mx(xmn、h)は、図5(A)に点線で示された基準ショット領域SAmnの大きさMxと比較して、基準座標のX座標がx0nからx5nへ増加するほど大きくなり、その増加量はX座標のほぼ2乗に比例する。このため、倍率Mx(xmn、h)の変化量は、ショット領域SAmnの位置ずれ量に比例するといえる。
したがって、ショット領域SAmnの倍率Mx(xmn、h)は、基準ショット領域SA’mnの倍率Mxと、位置ずれ量を示す式fx(xmn、h)のxmnによる微分値を用いて次式(5)のように示される。
次に、Y軸に関するショット形状の傾きRy(xmn,ymn)の推定方法について説明する。図5(B)には、一例として、図4中に示されるショット領域のうち、基準座標(xmn,ymn)のX座標の値を共通の値jとする任意の一列のショット領域SAm0〜SAm5が示されている。各ショット領域SAm0〜SAm5の基準座標のX座標は一定値jであるため、図9(B)中に一点鎖線で示された設計上のショット領域 SA’m0〜SA’m5のショット中心に対する位置ずれ量fx(j、ymn)は、次式(6)で示され、Y座標の増加量の2乗に比例して増加する。
fx(j、ymn)=k1・j2+k2・ymn 2…(6)
ここで、図5(B)に示されるように、ショット領域SAm0〜SAm5のY軸方向の境界線は、上記式(6)で表される曲線に平行(正確には、任意のY座標における傾きが同一)となる。したがって、ショット領域SAmnのY軸に関する傾きは、次式(7)に示されるように、上記式(6)をymnで微分することによって推定することができる。
以上説明したように、X軸方向の位置ずれ量を示す補間関数fx(=k1・x2+k2・y2)を決定すると、この補間関数fxに基づいて、ショット領域SAmnのX軸方向の倍率Mx(xmn、ymn)とY軸に関する傾きRy(xmn、ymn)を推定することができる。例えば、ショット領域SAmnの基準座標(xmn、ymn)を上記式(5)及び式(7)に代入することにより、倍率Mx(xmn、ymn)と、傾きRy(xmn、ymn)を推定することができる。上記式(5)、式(7)を一般式で表すと次式(8)のようになる。
また、Y軸方向について位置ずれが生じている場合には、Y軸方向の位置ずれ量を示す補間関数fy(xmn,ymn)を用いて、Y軸方向の倍率My(xmn、ymn)と、X軸に関する傾きRx(xmn,ymn)とを次式(9)を用いて推定することができる。
図2に戻り、次のステップ417では、結像特性補正コントローラ及びウエハステージWSTを制御することにより、ウエハW上の各ショット領域SAmnに対し重ね合わせ露光を行う。
ショット領域SAmnに位置ずれがない場合には、ショット領域SAmnは、基準ショット領域SA’mnと一致する。そこで、まず基準ショット領域SA’mnに対する重ねあわせ露光動作(以下「基本露光動作」という)について、図6を参照しつつ説明する。図6には、投影光学系PLの有効フィールドPL’に内接する、X軸方向の長さをMx、Y軸方向の長さをwとするスリット状の照明領域(レチクルR上の照明領域と共役な領域;以下、「照明スリット」という)STとショット長Myのショット領域SA’mnとの関係が示されている。実際には、基準ショット領域SA’mnが照明スリットSTに対して矢印Yと反対方向に移動することで露光が行なわれるが、説明の都合上、図6では照明スリットSTが基準ショット領域SA’mnに対し移動するように示されている。
まず、露光手順としては、基準ショット領域SA’mnの端部から所定量離れた加速開始位置P1に照明スリットSTのスリット中心が位置するようにウエハステージWSTを移動させ、加速開始位置P1からウエハステージWSTの加速が開始される。それと同時にレチクルRとウエハWの同期制御が開始され、レチクルステージRSTは、ウエハステージWSTと反対向き、かつウエハステージWSTの速度の投影倍率の逆数倍の速度で、ウエハステージWSTの動きに追従するように同期移動を開始する。ウエハステージWSTは加速を開始して一定の速度に達すると加速を終了する。そしてスリット中心が露光開始位置P2に到達すると、基準ショット領域SA’mnの露光を開始する。露光が行われている間は、スリット中心は一定の速度で露光終了位置P3まで移動し、露光終了位置P3に到達すると露光を終了する。これにより、X軸方向及びY軸方向の倍率をそれぞれMx、Myとし、X軸及びY軸に対する傾きが零である基準ショット領域SA’mnに対し重ねあわせ露光が行われる。
以後、ウエハW上のすべての基準ショット領域SA’mnの重ね合わせ露光が終了するまで、各基準ショット領域SA’mnの加速開始位置P1にウエハWを順次移動させる動作と、露光開始位置P1から露光終了位置P3までウエハWをスキャンする動作とを繰り返し、ステップ・アンド・スキャン方式による重ね合わせ露光を行う。
次に、一例として、ショット領域SAmnに、式(3)に示される位置ずれが生じている場合の露光方法について、図4に示されるショット領域SA55をとりあげて説明する。
図7には、実線でショット領域SA55が示され、破線でこれに対応する基準ショット領域SA’55が示されている。基準ショット領域SA’55に対し基本露光動作を行う場合には、上述したように、ウエハステージWST及びレチクルステージRSTをY軸方向に相対移動して、X軸方向の長さがMxのスリットSTを加速開始位置P1から+Y方向に所定の速度まで加速移動した後、所定の速度で露光開始位置P2から露光終了位置P3まで等速移動する。ショット領域SA55に位置ずれが生じている場合には、まず、基準座標(x55、y55)からの位置ずれ量を考慮したショット領域SA55のショット中心SCの位置座標(SCx55、SCy55)(=(x55+fx(x55、y55)、y55))を基準に露光開始位置P2及び露光終了位置P3を決定する。
図7に示される直線L2はショット中心SCを通り、先に求めたショット領域SA55の傾Ry(x55、y55)(=2k2・y55)と同一の傾きを持つ直線である。したがって、ショット領域SA55に対し重ねあわせ露光を行う際は、基準ショット領域SA’55における露光開始位置P2及び露光終了位置P3の位置座標を直線L2上に補正すればよい。補正後の露光開始位置P2’の位置座標(P2’x55、P2’y55)及び、露光終了位置P3’の位置座標(P3’x55、P3’y55)はショット中心SCの位置座標(SCx55、SCy55)を用いると次式(10)のように示される。
ここでwはY方向の倍率Myの変化量とMy/2の積に相当する量であるが、Ry(x55、y55)はもともと微小量であり、微小量の掛け算としてRy(x55、y55)×(w/2)は無視できるので式(10)は次式(10’)のように表記できる。
露光開始位置P2’及び、露光終了位置P3’の位置座標を算出すると、主制御装置20は、図2のステップ417での処理で求めた倍率Mx(x55、y55)に基づいて、結像特性補正コントローラ48を介してスリットSTのX軸方向の長さをMx(x55、y55)となるように調整し、スリットSTの中心が補正後の露光開始位置P2’から、露光終了位置P3’まで所定の速度で移動するようにウエハWをステージ制御装置19を介して駆動することにより、重ね合わせ露光を行う。
また、上記式(10’)は一般式では、次式(11)のように示すことができる。
なお、式(2)で示されるY軸方向の位置ずれ量fy(xmn、ymn)が生じている場合には、式(9)を変形した次式(12)で示されるショット領域SAmnの倍率My(xmn、ymn)と基準ショット領域SA’mnの倍率Myとの差分の1/2だけ、露光開始位置P2’のY座標を−Y方向へ補正し、露光終了位置P3’を+Y方向へ補正すればよい。
また、式(9)に示される傾きRx(xmn、ymn)については、次式(13)によりショット領域SAmnのX軸に対する角度θxmnを算出し、スリットSTとウエハ座標系のX軸の角度がθxmnとなるように露光開始位置P2’を中心にウエハWを回転駆動した後に、スリットSTを露光開始位置P2’から露光終了位置P3’までスキャンさせればよい。
θxmn=tan-1(Rx(xmn、ymn)) …(13)
次のステップ419では、ウエハ上の全てのショット領域SAmnに対し重ねあわせ露光が終了したか否かを判断し、ここでの判断が否定された場合は、ステップ417へ戻り以後ステップ419での判断が肯定されるまで、すなわちウエハWについて露光が終了するまでステップ417の処理を繰り返す。
以上詳細に説明したように、本実施形態によると、ウエハW上に形成された各ショット領域SAmnのウエハ座標系における基準座標(xmn、ymn)からの位置ずれ量を計測し(ステップ407〜ステップ411)、この位置ずれ量から、最小二乗法を用いた統計演算により、予め決定された補間関数(多項式)の各係数を決定する(ステップ413)。
次に、補間関数のショット領域SAmnの基準座標(xmn、ymn)の微分値に基づいて、ショット領域SAmnのX軸方向及びY軸方向の倍率、X軸及びY軸に対する傾きをもとめ、ショット形状を推定する(ステップ415)。
次に、推定結果に基づいて、露光開始位置P2’及び露光終了位置P3’を決定し、これら各位置に基づいてウエハWを照明光に対し走査することにより重ね合わせ露光が行われる(ステップ417)。
したがって、ウエハWの歪等に基づく基準位置からの位置ずれが生じたショット領域に対しても好適に重ね合せ露光を行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、式(2)に示されるようにモデル式を3次の多項式として、各係数を最小二乗法を用いて求める場合について説明したが、これに限らず、次式(14)で示されるような3次以上の項を含む一般式をモデル式として決定し、各項の係数Ai・j、Bi・jをショット領域の位置ずれ量に基づいて決定することとしてもよい。
また、モデル式としては多項式に限らずフーリエ級数を用いることもできる。以下、モデル式としてフーリエ級数を用いた場合のステップ413の処理の変形例について説明する。
《ステップ415の変形例》
この変形例では、上記ステップ312の処理中に算出した全てのショット領域の位置座標(実測値)とそれぞれの基準座標との差である位置ずれ量と、所定の評価関数とに基づいて、ウエハWの非線形歪みを評価し、この評価結果に基づいて補間関数を決定する。以下、補間関数の決定方法について、図8及び図9を参照して説明する。
ウエハWの非線形歪み、すなわち非線形成分の規則性及びその度合いを評価するための評価関数としては、例えば次式(15)で示される評価関数W1(s)が用いられる。
図8には、上式(15)の評価関数の意味内容を説明するためのウエハWの平面図が示されている。図8において、ウエハW上には複数の区画領域としてのショット領域SA(総ショット数N)がマトリクス状配置で形成されている。各ショット領域内に矢印で示されるベクトルrk(k=1、2、……、i、……N)は、各ショット領域の位置ずれ量(配列ずれ)を示すベクトルである。
上式(15)において、NはウエハW内のショット領域の総数を示し、kはそれぞれのショット領域のショット番号を示す。また、sは、図8に示される着目するショット領域SAkの中心を中心とする円の半径を示し、iは、着目するk番目のショット領域から半径sの円内に存在するショット領域のショット番号を示す。また、式(15)中のi∈sが付されたΣは、着目するk番目のショット領域SAkから半径sの円内に存在する全てのショット領域についての総和をとることを意味する。
いま、上式(15)の右辺のかっこ内部分の関数を次式(16)のように定義する。
上式(16)の関数fk(s)の意味するところは、着目するショット領域の位置ずれベクトルrk(第1ベクトル)と、その周囲(半径sの円内)のショット領域における位置ずれベクトルriが成す角度をθikとした場合のcosθikの平均値である。従って、この関数fk(s)の値が1ならば、半径sの円内の全てのショット領域における位置ずれベクトルは、全て同じ方向を向いていることになる。0ならば、半径sの円内の全てのショット領域における位置ずれベクトルはお互いに全くランダムな方向を向いているということになる。すなわち、関数fk(s)は、着目するショット領域の位置ずれベクトルrkとその周囲の複数のショット領域の各位置ずれベクトルriとの方向に関する相関を求めるための関数であり、これはウエハW上の部分領域について非線形歪みの規則性や程度を評価するための評価関数である。
従って、式(16)の評価関数W1(s)は、着目するショット領域SAkをショット領域SA1からSANに順次変更した際の関数fk(s)の加算平均にほかならない。
図9には、図8に示されるウエハWに対応する具体的な評価関数W1(s)の一例が示されている。この図9から明らかなように、評価関数W1(s)によると、sの値に応じてW1(s)の値が変化するので、経験則に頼ることなく、ウエハWの非線形歪みの規則性や程度を評価することができ、この評価結果を用いることにより、次のようにして、位置ずれ量の非線形成分を表現する補間関数を決定することができる。
まず、補間関数として、例えば次式(17)、(18)でそれぞれ示されるようなフーリエ級数展開された関数を定義する。
上式(17)において、Apq、Bpq、Cpq、Dpqは、フーリエ級数係数であり、また、fx(x,y)は、基準座標(x,y)のショット領域の位置ずれ量の非線形成分のX成分(補間値、すなわち補正値)を示す。また、dX(x,y)は基準座標(x,y)でのショット領域の位置ずれ量の非線形成分のX成分である。
同様に、上式(18)において、Apq’、Bpq’、Cpq’、Dpq’は、フーリエ級数係数であり、また、fy(x,y)は、基準座標(x,y)のショット領域の位置ずれ量のY成分(補間値、すなわち補正値)を示す。また、dY(x,y)は、基準座標(x,y)のショット領域の位置ずれ量のY成分である。また、式(17)、(18)において、DはウエハWの直径を示す。
上式(17)、(18)の関数では、ショット領域の位置ずれ量の変動がウエハの直径当たり何周期存在するかを決定するパラメータp、qの最大値pmax=P、qmax=Qの決定が重要である。
その理由は、次の通りである。すなわち、今、ウエハWの全ショット領域について得られたショット領域の位置ずれ量を上式(17)、(18)で展開することを考える。この場合において、ショット領域の位置ずれ量の変動がショット領域毎に生じているものとして、パラメータp、qの最大値pmax=P、qmax=Qを1周期がショットピッチとなる場合に相当する最大値にした場合に、いずれかのショット領域として、アライメント誤差が他のショット領域に比べて大きい所謂「跳びショット」が含まれている場合を考える。このような跳びショットは、ウエハマークの崩れ等に起因する計測エラー、又はウエハ裏面の異物等に起因する局所的な非線形歪みにより発生するものである。このような場合、その跳びショットの計測結果までも含んで補間関数で表現してしまうことになる。これを防ぐためには、P,Qを1周期がショットピッチとなる場合に相当する上述した最大値よりも小さな値にする必要がある。すなわち、跳びショットの計測結果などに起因する高周波成分は除去し、最適な低周波成分のみを補間関数で表現することが望ましい。
そこで、本実施形態では、前述した式(16)の評価関数W1(s)を用いて、パラメータp、qの最大値pmax=P、qmax=Qを決定することとした。このようにすると、仮に、跳びショットが存在したとしても、その跳びショットと周囲のショット領域との間には相関は殆どない。従って、その跳びショットの計測結果は、式(16)で示されるW1(s)の値を増加させる要因にはならないので、結果的に式(16)を用いることにより跳びショットの影響を低減あるいは除去することが可能になる。すなわち、図8において、例えばW1(s)>0.7であるような半径s内の領域を互いに相関がある領域とみなし、その領域を1つの補間値で表現することを考えると、図9より、そのようなsはs=3である。P,Qはこの値s=3、及びウエハの直径Dを用いて次のように書くことができる。
P=D/s=D/3,Q=D/s=D/3 …(19)
これにより、最適なP,Qを決定することができ、これにより式(17)、(18)の補間関数を決定することができる。
また、本実施形態では、ショット領域の位置座標に応じた補間関数の微分値を用いてショット領域の形状の推定を行なったが、これに限らず、補間関数において設計上のショット中心を含む適当な区間を定めて、この区間内の補間関数の傾きを用いてショット領域の形状を推定してもよい。上述したように、ショット領域SAmnの倍率Mx(xmn、ymn)の変化量は、ショット領域SAmnのX軸方向の位置ずれ量に比例し、倍率My(xmn、ymn)の変化量は、ショット領域SAmnのY軸方向の位置ずれ量に比例し、傾きRy(xmn、ymn)は、X軸方向の位置ずれ量のY座標における変化量に比例し、傾きRx(xmn、ymn)は、Y軸方向の位置ずれ量のX座標における変化量に比例する。したがって、ショット領域SAnmの基準座標(xmn、ymn)に対し、例えば起点を(xmn−x1、ymn−y1)とし、終点を(xmn+x2、ymn+y2)とすると、ステップ415で用いた一般式は次式(20)で近似することができる。
また、本実施形態ではウエハ上の各ショット領域の基準座標からの位置ずれ量に基づいて補間関数を決定し、この補間関数の変化度合いに基づいてショット領域の形状を推定し、重ね合わせ露光を行ったが、これに限らず、例えば、重ね合わせ露光の対象となるショット領域を露光した露光装置のステージ座標系と、重ね合わせ露光を行う露光装置100のステージ座標系の号機間の重ね合わせ誤差を予め計測しておき、この重ね合わせ誤差に基づいて、露光装置100におけるショット領域の位置座標を原点とするショット内座標系と、露光対象となるショット領域のショット内座標系との位置ずれ量を示す関数を算出する。そして、この関数に基づいて間接的に、ショット領域SAmnの倍率My(xmn、ymn)、傾きRy(xmn、ymn)を求めることも可能である。なお、この場合の倍率My(xmn、ymn)、傾きRy(xmn、ymn)の決定方法は、先に説明した場合の決定方法がショット領域の位置ずれ量に基づく補間関数を用いるのに対し、ショット領域のショット中心を原点とする座標系のずれ量を示す補正関数を用いる点で相違する。以下、倍率My(xmn、ymn)、傾きRy(xmn、ymn)の算出方法について説明する。
まず、基準ウエハを、露光装置100以外の露光装置(以下、「他の露光装置」という)及び露光装置100で、EGA処理を行った状態で走査露光を行う。この露光装置100及び他の露光装置の双方によって露光された基準ウエハを不図示の計測装置に搬入し、各ショット領域における他の露光装置のショット内座標系の、露光装置100のショット内座標系に対するずれ量(dxp、dyp)を計測する。
次に、このずれ量(dxp、dyp)を用いて、次式(21)に示される露光装置100における各ショット領域SAmnのショット内座標(xs、ys)における位置ずれ量を示すモデル式の各係数k0〜k10を最小二乗法により決定する。なお、各係数k0〜k10の決定はショット領域毎に行なうため、補正関数はショット領域の数(m×n)だけ存在することとなる。
ここで、ウエハ座標系、ショット内座標系にずれ量がない、いわゆる設計上の理想座標である場合には、ショット内座標系はショット中心を原点とするため、ショット領域SAmnのショット内座標における位置座標(xs、ys)はウエハ座標系において(xmn+xs、ymn+ys)と表される。また、走査露光の際には、ショット内座標系におけるY軸に沿って(xs=0)走査露光が行われる。
したがって、ショット領域SAmnを走査露光する際のショット内座標系の位置座標(0、ys)におけるX軸方向の位置ずれ量は、ウエハ座標系においては位置座標(xmn、ymn+ys)でのX軸方向への位置ずれ量から、ショット中心(xmn、ymn)でのX軸方向への位置ずれ量の差に等しいため、式(2)及び式(21)から次式(22)が導かれる。
上記式(22)を展開すると補正関数fxmn(xs、ys)の係数k5、k4は、次式(23)のようになる。
上記k5、は式(8)のRy(xmn、ymn)に一致し、上記k4は式(9)のMy(xmn、ymn)におけるfy(xmn、ymn)の一回偏微分に一致する。したがって、式(21)の補正関数の係数k5及びk4を導きだすことにより、偏微分を行なうことなく倍率My及び傾きRyを間接的に求めることができる。
また、ショット領域の位置ずれに再現性がある場合などには、例えば、ロットの先頭のウエハについて補間関数を算出し、同一ロット内の2枚目以降のウエハの重ね合わせ露光については、先に求めた補間関数に基づいてショット形状の推定を行ってもよい。
また、号機間誤差以外は無視できるような場合には、重ね合わせ測定器等により各ロットの先頭から数枚のウエハまたはパイロットウエハなどを予め測定することにより、露光に用いられる全ての露光装置の位置ずれ成分を検出し、この位置ずれに基づいて補間関数のモデル式となる多項式の各係数を決定してもよい。
また、上記実施形態では、重ね合わせ露光の際に、重ね合わせ露光の対象となるショット領域の形状にウエハステージWSTの位置制御及び投影光学系PLの制御を行なったが、未露光のウエハWに一層目の露光を行う場合に、ウエハW上に設計上のショット領域を想定し、このショット領域について図2におけるステップ407〜ステップ415の処理を行うことも可能である。この場合の処理は、設計上のショット領域を基準値とした補正を行うことと等価である。
また、上記実施形態では、一例として、重ね合わせ露光の際に加速開始位置P1、露光開始位置P2、露光終了位置P3を決定したが、本実施形態がこれに限られるものではないことは勿論である。要は、推定したショット形状に応じて、すなわち、ショット領域の倍率Mx、My、傾きRx、Ryに基づいて、ウエハステージWST、投影光学系PLを制御して、精度良く重ね合わせ露光ができればよい。
なお、上記実施形態では、マーク検出系として、オフアクシス方式のFIA系(結像式のアライメントセンサ)を用いる場合について説明したが、これに限らずいかなる方式のマーク検出系を用いても構わない。すなわち、TTR(Through The Reticle)方式、TTL(Through The Lens)方式、またオフアクシス方式の何れの方式であっても、更には検出方式がFIA系などで採用される結像方式(画像処理方式)以外、例えば回折光又は散乱光を検出する方式などであっても構わない。例えば、ウエハ上のアライメントマークにコヒーレントビームをほぼ垂直に照射し、当該マークから発生する同次数の回折光(±1次、±2次、……、±n次回折光)を干渉させて検出するアライメント系でも良い。この場合、次数毎に回折光を独立に検出し、少なくとも1つの次数での検出結果を用いるようにしても良いし、波長が異なる複数のコヒーレントビームをアライメントマークに照射し、波長毎に各次数の回折光を干渉させて検出しても良い。
また、本発明の露光装置はこれに限定されるものではない。すなわち、主制御装置20のCPUによって実行されるプログラムに従う処理によって実現した各部の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしてもよい。
また、本発明は上記実施形態の如き、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に限らず、ステップ・アンド・リピート方式、又はプロキシミティ方式の露光装置(X線露光装置等)を始めとする各種方式の露光装置にも全く同様に適用が可能である。
また、上記実施形態では、光源として、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザなどの遠紫外光源や、F2レーザなどの真空紫外光源、紫外域の輝線(g線、i線等)を発する超高圧水銀ランプなどを用いることができる。この他、真空紫外域の光を露光用照明光として用いる場合に、上記各光源から出力されるレーザ光に限らず、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(Er)(又はエルビウムとイッテルビウム(Yb)の両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
更に、露光用照明光としてEUV光、X線、あるいは電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置に本発明を適用しても良い。この他、例えば国際公開WO99/49504号などに開示される、投影光学系PLとウエハとの間に液体が満たされる液浸型露光装置などにも本発明を適用しても良い。
なお、本発明は、半導体製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、及び撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、有機EL、DNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、螢石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
なお、上記実施形態では、デバイス製造装置の一例として露光装置を用いて説明したが、本発明がこれに限定されないことは勿論である。例えば、重ね合わせ計測装置その他の広義の検査装置は勿論、物体上に形成された複数の区画領域に対して所定の処理を施す装置であれば、本発明は適用が可能である。例えば、上記実施形態において、各ショット領域SAmnの位置情報を示す式(5)に基づいて算出した、各ショット領域SAmnの形状を定義する各要素、すなわち、倍率Mx(xmn、ymn)、倍率My(xmn、ymn)、傾きRx(xmn、ymn)、及び傾きRy(xmn、ymn)を設計上の倍率、傾きと比較することにより、ウエハWに形成されたショット領域の形状を評価することが可能である。例えば、ショット領域の倍率Mx(xmn、ymn)、倍率My(xmn、ymn)、傾きRx(xmn、ymn)、及び傾きRy(xmn、ymn)が設計値と比較して、その偏差が予め決定された閾値以上であるか否かにより、パターンの転写精度を検査することが可能である。したがって、本発明は、広義の検査装置に好適に適用することができるものである。
《デバイス製造方法》
次に上記実施形態の露光装置をリソグラフィ工程で使用するデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
図10には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図11に示されるように、まず、ステップ801(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ802(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ803(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップ804(ウエハ処理ステップ)において、ステップ801〜ステップ803で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ805(デバイス組立てステップ)において、ステップ804で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ805には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
最後に、ステップ806(検査ステップ)において、ステップ805で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
図11には、半導体デバイスにおける、上記ステップ804の詳細なフロー例が示されている。図11において、ステップ811(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ812(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ813(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ814(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ811〜ステップ814それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ815(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ816(露光ステップ)において、上で説明した露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ817(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ818(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ819(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
以上説明したように、本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップ716)において、上記実施形態に係る露光装置及び露光方法が用いられるので、ウエハ上のショット領域に対し高精度の重ね合わせ露光を行うことが可能となる。すなわち、より微細な回路パターンを高精度にウエハ上のショット領域に転写することが可能となる。
また、上記デバイス製造方法を実現するデバイス製造装置は、実施形態の露光装置の他、ダイシング工程、ボンディング工程、パケージング工程等を行う各処理装置によって構成することができる。
18…ウエハレーザ干渉計システム(検出装置の一部)、20…主制御装置(検出装置の一部、関数作成装置、演算装置、処理装置の一部)、100…露光装置、19…ステージ制御装置(処理装置の一部)、W…ウエハ(物体)、WST…ウエハステージ(処理装置の一部)、AS…アライメント系AS(検出装置の一部)。