JP5132529B2 - 機能剤を含むレーヨン繊維及びその製造方法 - Google Patents
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上記脂肪酸と上記機能剤とを含む混合液を添加した後のビスコース液をガラス板上に薄く塗布して光学顕微鏡(320倍、(株)ニコン、“エクリプスE600”)で拡大観察した画像において、任意の100μm角の範囲内にある粒子のうち、粒径の大きい10点を抽出して粒径を測定し、平均した値を平均粒子径とした。
1.第一段階で上記脂肪酸と上記機能剤(水溶性の機能剤を除く)とを混合し、機能剤を脂肪酸中に均一に分散させる。
2.第二段階で上記機能剤が均一に分散された脂肪酸をアルカリ金属の水酸化物で処理することで、脂肪酸の一部がアルカリ金属に置換され、親水性部分と疎水性部分が共存した状態になる。
3.第三段階でノニオン系界面活性剤を使用することで均一な水分散系を形成させ、ビスコース原液に添加する混合液を調整する。なお、上記第三段階までの調整については、攪拌はペラ式の攪拌機のような攪拌強度の比較的弱い攪拌で十分可能である。
4.上記の混合液をビスコース原液に定量ポンプで添加し、ホモミキサーで攪拌・分散することで、上記機能剤を含む脂肪酸は、ビスコース液中に微小粒子のエマルジョンとして分散する。
5.この状態で上記機能剤の一部はビスコース液中のアルカリ金属の水酸化物に接触して低下するが、他の大部分は上記脂肪酸を含むエマルジョン(粒子)の内部に存在するため、アルカリ環境から守られることとなる。上記のように脂肪酸がアルカリ金属の水酸化物で鹸化されて親水性部分と疎水性部分が共存した状態となるため、エマルジョンにおいて脂肪酸の親水性部分と疎水性部分が共存した界面が存在し、それがビスコース液中のアルカリに接触すると疑似カプセルが形成されることで、上記脂肪酸内に含まれた機能剤はアルカリから保護されると推定される。また、この状態では、ビスコース中に微小なエマルジョン状態で存在し、フィルターなどに捕捉されることもなく、また濾過障害を起こすこともない。
6.その後、ノズルから定量押し出され、硫酸酸性下でセルロースが凝固再生されるが、ビスコース液(ビスコースを含む紡糸液)が凝固再生浴と接触して凝固再生する際には、ビスコースと紡糸浴の界面より凝固再生が開始されるため、始めにセルロース被膜が形成され、そのセルロース被膜により、微分散している上記機能剤と上記脂肪酸とを含むエマルジョンは脱離することなく、ビスコース液中で形成したエマルジョンの状態のまま凝固・再生され、即ち機能剤は脂肪酸が形成した微小孔中に存在する状態で繊維化され、硫酸による酸性条件下でも失活したり、機能が大幅に低下したりしない。
1.第一段階で脂肪酸をアルカリ金属の水酸化物で処理することで、脂肪酸の一部がアルカリ金属に置換され、親水性部分と疎水性部分が共存した状態になる。
2.第二段階でノニオン系界面活性剤を使用することで均一な水分散系を形成させる。
3.第三段階で機能剤を混合し、ビスコース原液に添加する混合液を調整する。なお、上記第三段階までの調整については、攪拌はペラ式の攪拌機のような攪拌強度の比較的弱い攪拌で十分可能である。
4.上記の混合液をビスコース原液に定量ポンプで添加し、ホモミキサーで攪拌・分散することで、上記機能剤を含む脂肪酸は、ビスコース液中に微小粒子のエマルジョンとして分散する。
5.この状態で上記機能剤の一部はビスコース液中のアルカリ金属の水酸化物に接触して低下するが、他の大部分は上記脂肪酸を含むエマルジョンの内部に存在するため、アルカリ環境から守られることとなる。上記のように脂肪酸がアルカリ金属の水酸化物で鹸化されて親水性部分と疎水性部分が共存した状態となるため、エマルジョンにおいて脂肪酸の親水性部分と疎水性部分が共存した界面が存在し、それがビスコース液中のアルカリに接触すると疑似カプセルが形成されることで、上記脂肪酸内に含まれた機能剤はアルカリから保護されると推定される。また、この状態では、ビスコース中に微小なエマルジョン状態で存在し、フィルターなどに捕捉されることもなく、また濾過障害を起こすこともない。
6.その後、ノズルから定量押し出され、硫酸酸性下でセルロースが凝固再生されるが、ビスコース液(ビスコースを含む紡糸液)が凝固再生浴と接触して凝固再生する際には、ビスコースと紡糸浴の界面より凝固再生が開始されるため、始めにセルロース被膜が形成され、そのセルロース被膜により、微分散している上記機能剤と上記脂肪酸とを含むエマルジョンは脱離することなく、ビスコース液中で形成したエマルジョンの状態のまま凝固・再生され、即ち機能剤は脂肪酸が形成した微小孔中に存在する状態で繊維化され、硫酸による酸性条件下でも失活したり、機能が大幅に低下したりしない。
任意の繊維断面を10個サンプリングし、その断面を5500倍に拡大して画像処理により孔を抽出し、孔数及び各孔それぞれの断面積を測定することにより得た。
(2)繊維中の油脂分
試料綿をメタノールに含浸させてプレス式抽出機にて油脂分を抽出し、その抽出分を測定した。
(3)臭気判定(芳香性)
揮発性物質の香りの残存性を、官能評価を行い、強く感じられるのをA、若干感じられるのをB、まったく感じられないのをCとして評価した。また、サンプル原綿10gを500mlの水に浸漬後に圧搾し、乾燥(60℃,1時間)したものについても同様にして官能評価を行ない、湿潤再乾燥後時の芳香性の耐久性を確認した。
(4)洗濯処理
JIS L 0217 103法に準じ、負荷布なし、中性洗剤使用の条件下で洗濯処理した。なお、洗濯処理は(財)日本化学繊維検査協会で実施した。
(5)抗酸化性
<ヨウ素還元法>
20℃、65%RH(相対湿度)で24時間放置した試料綿1.5gに、N/50(0.01M)−ヨウ素(I2)溶液5mL及びデンプン指示薬を注加後、N/50−チオ硫酸ナトリウムで滴定する。その滴定値から綿1gで還元されるヨウ素量の換算を行い、ヨウ素還元量(I2(mg)/綿(g))として、抗酸化性の評価指標とした。具体的には、下記式によりヨウ素還元量を算出する。なお、空試験は、試料綿なしによる測定をいう。
ヨウ素還元量(I2(mg)/綿(g))=((空試験滴定量−測定滴定量)/(N/50−ヨウ素溶液ファクター))×(N/50−ヨウ素溶液濃度)/1.5
上記式において、N/50−ヨウ素溶液ファクター=空試験滴定量(mL)/5(mL)であり、N/50−ヨウ素溶液濃度(g/L)=0.01×253.81である。
<DPPH法>
30μM/Lの1,1−diphenyl−2−picrylhydrazyl(DPPH)のエタノール溶液20mlに、試料綿0.5gを投入し、DPPH呈色状態(紫色)を8時間後に確認した。なお、DPPHの呈色が完全に消失したものをA、ほぼ消失したものをB、呈色が薄くなったものをC、変化が認められないものをDとして抗酸化性の指標とした。
(6)促進試験
試料綿を促進試験1では70℃(定温乾燥機、アズワン(株)、“DO300−FA”)、促進試験2では70℃、70%RH(恒温恒湿器、ヤマト科学(株)、“IG420”)の各環境下で30日間放置した後に繊維強度を測定、処理前後の比較により繊維の経時促進状態の評価を行った。繊維強度測定はJIS L 1015に準じて実施した。
(7)剛軟度
JIS L 1096カンチレバー法に準じて剛軟度の評価を実施した。具体的には、まず、測定試料として、セミランダムカードで作製した試料綿のウェブから水流交絡法により150g/m2の不織布を作製した。次に、上記の不織布から切り出した幅2cm、長さ15cmの不織布試料片を台上で水平に送り出して45°の斜面に達するまでの送り出し長さを測定した。試料片は縦方向(MD)、横方向(CD)で各5枚ずつ採取し、それぞれの測定の平均値をミリ単位で表した。なお、測定数値が大きいほど硬く、小さいほど柔らかいことを示す。
[ビスコース液(ビスコースを含む紡糸液)条件]
オレイン酸9質量%、フィトンチッド3質量%、水酸化ナトリウム1.47質量%、ノニオン系界面活性剤(ベロール社“ビスコ32”)2.7質量%を含む混合液をサタケ式攪拌機(阪和化工機(株)製“KP4001B−3”、回転速度300rpm)で簡易に攪拌して混合液を調製した。その混合液を、オレイン酸添加量がセルロースに対して0.9質量%、フィトンチッド添加量がセルロースに対して0.3質量%となるように、原料ビスコース(ビスコース原液)に添加し、混合機にて攪拌混合を行った。原料ビスコースはセルロース8.5質量%、水酸化ナトリウム5.7質量%、二硫化炭素2.7質量%を含むものを用いた。
[紡糸条件]
上記において得られたビスコース液(ビスコースを含む紡糸液)を、2浴緊張紡糸法により、紡糸速度60m/分、延伸率50%で紡糸し、繊度1.4dtexの繊維を得た。第1浴(凝固再生浴)として、硫酸を100g/L、硫酸亜鉛を15g/L、硫酸ナトリウムを350g/L含むミューラー浴(50℃)を用いた。また、ビスコースを吐出する紡糸口金には、孔径0.06mmのホールを4000個有するノズルを用いた。紡糸中、単糸切れなどの不都合は生じず、混合ビスコースの紡糸性は良好であった。
[精練条件]
このようにして得られたビスコースレーヨンの糸条を、51mmにカットし、精練処理を行った。精練工程は、熱水処理後に水洗を行い、その後圧縮ローラーで余分な水分を繊維から落とした後、乾燥処理(60℃、7時間)を施すことにより行い、繊維Aを得た。
添加液として、オレイン酸9質量%、ヒバオイル6質量%、水酸化ナトリウム1.47質量%、ノニオン系界面活性剤2.7質量%を含む混合液を使用し、オレイン酸添加量がセルロースに対して3質量%、ヒバオイル添加量がセルロースに対して2質量%となるように添加したこと以外は繊維Aと同様にして繊維Bを得た。
添加液として、オレイン酸9質量%、ゼラニウムオイル3質量%、水酸化ナトリウム1.47質量%、ノニオン系界面活性剤2.7質量%とを含む混合液を使用し、オレイン酸添加量がセルロースに対して0.9質量%、ゼラニウムオイル添加量がセルロースに対して0.3質量%となるように添加したこと以外は繊維Aと同様にして繊維Cを得た。
添加液として、オレイン酸4.5質量%、ブドウ果汁(濃縮還元100%、商品名“ウェルチ”、カルピス社)91質量%、水酸化ナトリウム0.8質量%、ノニオン系界面活性剤1.35質量%とを含む混合液を使用し、オレイン酸添加量がセルロースに対して3質量%、ブドウ果汁添加量がセルロースに対して60.7質量%となるように添加したこと以外は繊維Aと同様にして繊維Dを得た。
添加液として、オレイン酸4.5質量%、アスコルビン酸ナトリウム1.7質量%、水酸化ナトリウム0.74質量%、ノニオン系界面活性剤1.35質量%を含む混合液を使用し、オレイン酸含有量がセルロースに対して3質量%、アスコルビン酸含有量がセルロースに対して1質量%となるように添加したこと以外は繊維Aと同様にして繊維Eを得た。
添加液として、オレイン酸3質量%、アスコルビン酸ナトリウム1.7質量%、水酸化ナトリウム0.49質量%、ノニオン系界面活性剤0.9質量%を含む混合液を使用し、オレイン酸含有量がセルロースに対して1質量%、アスコルビン酸含有量がセルロースに対して0.5質量%となるように添加したこと以外は繊維Aと同様にして繊維Fを得た。
添加液として、リノール酸4.5質量%、アスコルビン酸ナトリウム1.7質量%、水酸化ナトリウム0.74質量%、ノニオン系界面活性剤1.35質量%を含む混合液を使用し、リノール酸含有量がセルロースに対して3質量%、アスコルビン酸含有量がセルロースに対して1質量%となるように添加したこと以外は繊維Aと同様にして繊維Gを得た。
添加液として、オレイン酸9質量%、水酸化ナトリウム1.47質量%、ノニオン系界面活性剤2.7質量%を含む混合液を使用し、オレイン酸添加量がセルロースに対して3質量%となるように添加したこと以外は繊維Aと同様にして繊維Hを得た。
添加液として、リノール酸9質量%、水酸化ナトリウム1.47質量%、ノニオン系界面活性剤2.7質量%を含む混合液を使用し、リノール酸含有量がセルロースに対して10質量%となるように添加したこと、精練工程を熱水処理、水硫化処理、漂白、酸洗いの順で実施したこと以外は繊維Aと同様にして繊維Iを得た。漂白は、次亜塩素酸ソーダ水溶液(0.03質量%)を用いて実施した。
添加液として、ブドウ果汁(濃縮還元100%、商品名“ウェルチ”、カルピス社)を使用し、ブドウ果汁添加量がセルロースに対して60.7質量%となるように添加したこと以外は繊維Aと同様にして繊維Jを得た。
何も添加せずに繊維Iと同様の処理を行い、繊維Kを得た。
1.繊維A〜Iの繊維断面の結果から、脂肪酸又は脂肪酸と機能剤との混合物をビスコース原液中に添加することによって、微小孔を内在する繊維が生産可能であることが確認できた。
2.臭気判定の結果から、脂肪酸と機能剤としての揮発性物質とを含む繊維A〜Cは、芳香性を有することが分かった。また、湿潤再乾燥後の臭気判定の結果から、繊維A〜Cが有する芳香性は、耐久性を有することが分かった。これは、上記と同様、本発明のレーヨン繊維において、上記揮発性物質は脂肪酸が形成した微小孔中に含まれているためであると推定される。
3.ヨウ素還元量による測定結果及びDPPH法による測定結果から、脂肪酸と機能剤としての水溶性抗酸化剤とを含む繊維D〜Gは、優れた抗酸化性を有することが分かった。また、洗濯後のDPPH法による測定結果から、繊維D〜Gが有する抗酸化性が洗濯に対して耐久性を有することが分かった。一方、水溶性抗酸化剤のみを添加した繊維Jにおいては、ある程度の抗酸化性を有するものの、洗濯に対する耐久性が弱いことが分かった。これは、上記と同様、本発明のレーヨン繊維において、上記水溶性抗酸化剤は脂肪酸が形成した微小孔中に含まれているためであると推定される。
4.繊維A〜Gにおいて、繊維強度は、促進試験などにおいてもあまり低下せず、繊維物性が安定していることが分かった。また、繊維H及びIと繊維D〜Gの比較から、脂肪酸のみを添加した場合に生じる促進試験における繊維強度の低下が脂肪酸と水溶性抗酸化剤の併用により抑制されることが分かった。
5.繊維A〜Gの剛軟度は、機能剤としての水溶性抗酸化剤のみを含む繊維J、並びに脂肪酸及び機能剤の何も添加していない繊維K(通常のセルロース繊維)の剛軟度と比較して低く、通常のセルロース繊維より柔らかいことが分かった。なお、脂肪酸を含む繊維E及びFの剛軟度も繊維Kの剛軟度と比較して低く、通常のセルロース繊維より柔らかいことが分かった。
Claims (10)
- レーヨン繊維内に脂肪酸及び/又はその塩と機能剤(但し、脂溶性の抗酸化剤及び茶由来成分を除く)とが含まれ、
前記レーヨン繊維内のセルロースと脂肪酸及び/又はその塩とは非相溶状態であり、
前記レーヨン繊維内において、前記脂肪酸及び/又はその塩は微分散されてセル状領域を形成し、前記機能剤は前記セル状領域中に含まれていることを特徴とするレーヨン繊維。 - 前記機能剤が、水溶性及び/又は脂溶性の機能剤である請求項1に記載のレーヨン繊維。
- 前記機能剤が、前記レーヨン繊維外に徐々に放出される及び/又は徐々に脱離する機能剤である請求項1又は2に記載のレーヨン繊維。
- 前記機能剤が、pH6.5〜7.5領域以外の溶液中、あるいは塩基性物質(アルカリ)及び/又は酸性物質(酸)との作用により機能が低下する機能剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーヨン繊維。
- 前記機能剤が水溶性抗酸化剤であり、前記水溶性抗酸化剤が、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、フラボノイド、フェノール酸、ポリフェノール及び水に可溶なカルテノイドからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーヨン繊維。
- 前記機能剤が、揮発性物質である請求項1〜4に記載のレーヨン繊維。
- 前記揮発性物質が水溶性及び/又は脂溶性の揮発性物質であり、フィトンチッド、ヒバオイル、ヒノキチオールからなる群から選ばれる少なくとも一種の植物由来の精油、又は植物由来のハーブオイルである請求項6に記載のレーヨン繊維。
- 脂肪酸及び/又はその塩と機能剤(但し、脂溶性の抗酸化剤及び茶由来成分を除く)とを含むレーヨン繊維の製造方法であって、
前記脂肪酸及び/又はその塩を含む水溶液に、前記機能剤を添加・混合して混合液を調整し、
セルロースを含むビスコース原液に、前記混合液を添加・混合してビスコース液を調整し、
前記ビスコース液をノズルより押し出して紡糸し、凝固再生して、
レーヨン繊維内のセルロースと脂肪酸及び/又はその塩とは非相溶状態であり、レーヨン繊維内において、前記脂肪酸及び/又はその塩が微分散されてセル状領域を形成し、前記機能剤が前記セル状領域中に含まれているレーヨン繊維を得ることを特徴とするレーヨン繊維の製造方法。 - 前記脂肪酸及び/又はその塩を含む水溶液に、アルカリ金属の水酸化物、ノニオン系又はアニオン系界面活性剤をこの順番に添加・混合した後、前記機能剤を添加・混合して混合液を調整する請求項8に記載のレーヨン繊維の製造方法。
- 前記脂肪酸及び/又はその塩を含む水溶液と前記機能剤を混合した後、アルカリ金属の水酸化物、ノニオン系又はアニオン系界面活性剤をこの順番で添加・混合して混合液を調整する請求項8に記載のレーヨン繊維の製造方法。
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