以下、本発明に係る固体撮像素子の各実施形態について図面を用いて詳しく説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る固体撮像素子101を示すブロック図である。固体撮像素子101は、M×N個の画素P(x,y)と、垂直信号線VLINE(y)と、定電流源PW(y)と、カラムアンプCAMP(y)と、垂直走査回路102と、水平出力回路103と、バッファBF(y)とで構成される。ここで、xは1〜Mの自然数で行番号を表し、yは1〜Nの自然数で列番号を表す。M×N個の画素P(x,y)は、固体撮像素子101の撮像部を構成し、M行N列のマトリクス状に配置されている。以降、特定の回路を例に挙げて説明する場合以外は、同様の回路を代表する形で(x),(y)および(x,y)のように表記するものとする。
各画素P(x,y)から読み出される信号は、それぞれの列に対応する垂直信号線VLINE(y)に読み出される。また、各列の垂直信号線VLINE(y)には、ソースフォロワ回路を構成する定電流源PW(y)が列毎に配置される。尚、各画素P(x,y)の接地は、各列毎に列方向に配置された画素接地線PGND(y)に接続される。さらに、画素接地線PGND(y)は、行方向に配置された少なくとも行の長さに相当する長さの第1の接地線105の各列位置a(y)で接続される。
各画素P(x,y)から読み出される信号を増幅するカラムアンプCAMP(y)の正入力端子には、レファレンス電圧線106によってリファレンス電圧VREFが与えられる。また、バッファBF(y)は、行方向に配置された少なくとも行の長さに相当する長さの第2の接地線107の各列位置b(y)で接地される。そして、第1の接地線105と第2の接地線107は、行の両端位置(図1の場合では、左端の接続点G1および右端の接続点G2)で外部の接地GNDに接続される。
ここで、本実施形態に係る固体撮像素子101は、カラムアンプCAMP(y)の後段にバッファBF(y)を配置する回路構成になっている。尚、バッファBF(y)をカラムアンプCAMP(y)の後段に配置する理由は以下の通りである。固体撮像素子101の高感度化を図るためにカラムアンプCAMP(y)のゲインを高く(例えば10倍以上)設定した場合、負帰還量が低下してアンプの帯域幅が減少し、特に負荷容量が大きい場合は出力が静定するまでに時間がかかるため、読み出し時間が大幅に増加するという問題が生じる。例えば図1のn列目において、バッファBF(n)がない場合且つカラムアンプCAMP(n)のゲインを高くした場合は、水平出力回路103のドライブのために比較的容量が大きいコンデンサCdまたはコンデンサCsが負荷容量となるので、上述の問題が顕著となる。そこで、この間題を解決するために、各列のカラムアンプCAMP(y)の後段にバッファBF(y)を配置する技術が知られている。
ところが、カラムアンプCAMP(y)の後段にバッファBF(y)を設けた場合、上記の問題が解決されて読み出し時間を短縮できるものの高輝度被写体撮影時における横スミア特性が大幅に悪化するという問題が新たに生じる。尚、バッファBF(y)を設けた場合に、高輝度被写体撮影時における横スミア特性が大幅に悪化する理由は以下の通りである。従来技術ではバッファBF(y)の接地GNDと、カラムアンプCAMP(y)および画素接地線PGND(y)とが行方向に配置された同じ接地線に接続されていたため、高輝度被写体によってバッファBF(y)の接地電位が大きく変動した場合に、カラムアンプCAMP(y)および画素接地線PGND(y)の接地電位も変動し、その結果、横スミアとなって撮影画像に現れていた。尚、接地電位の変動メカニズムについては後で詳しく説明する。
本実施形態に係る固体撮像素子101は、バッファBF(y)の接地GNDを接続する接地線と、カラムアンプCAMP(y)および画素接地線PGND(y)の接地GNDを接続する接地線とを分けることにより、カラムアンプCAMP(y)の後段にバッファBF(y)を配置した回路構成でも横スミアの発生を防止できる回路構成になっている。
次に、図1に示す固体撮像素子101の各部の回路について詳しく説明する。垂直走査回路102は、画素P(x,y)の信号を行単位で各列毎に配置された垂直信号線VLINE(y)に読み出すためのタイミング信号を出力する。例えば、m行目においては、画素P(m,1)から画素P(m,N)までのN列全ての画素に、タイミング信号φSEL(m),タイミング信号φRES(m),タイミング信号φTX(m)を与える。
ここで、画素P(x,y)の構成について図2を用いて説明する。図2はm行n列目の画素P(m,n)の回路図を示している。尚、M×N個の各画素P(x,y)も同じ回路構成である。図2において、画素P(m,n)は、フォトダイオードPDと、転送用トランジスタTr1と、増幅用トランジスタTr2と、選択用トランジスタTr3と、リセット用トランジスタTr4とで構成される。尚、VDDは電源、GNDは接地、FDはフローティングデフュージョン部(浮遊拡散領域)を示している。また、タイミング信号φSEL(m),タイミング信号φRES(m),タイミング信号φTX(m),垂直信号線VLINE(n)は図1と同じものを示す。画素P(m,n)の接地GNDは画素接地線PGND(n)に接続され、さらに画素接地線PGND(n)は各列位置a(n)で第1の接地線105に接続される。
図2において、フォトダイオードPDに入射した光は光電変換され電荷として蓄積される。フォトダイオードPDに蓄積された電荷は、タイミング信号φTX(m)が転送用トランジスタTr1のゲートに入力されるとFD部に転送され、増幅用トランジスタTr2によって増幅される。増幅用トランジスタTr2によって増幅された信号は、タイミング信号φSEL(m)が選択用トランジスタTr3のゲートに入力されると垂直信号線VLINE(n)に読み出される。尚、リセット用トランジスタTr4のゲートにタイミング信号φRES(m)が入力されると、FD部をリセット電圧(VDD−Vt−ΔVt)にリセットする。ここで、Vtはしきい値電圧、ΔVtはバックゲート効果による変動分である。尚、各タイミング信号の動作については後で詳しく説明する。
このようにして、画素P(x,y)の信号は、対応するそれぞれの垂直信号線VLINE(y)に読み出された後、各列毎に配置されたカラムアンプCAMP(y)に入力される。
ここで、図2において、垂直信号線VLINE(n)に読み出される信号について説明する。垂直信号線VLINE(n)に読み出される信号は、各画素P(m,n)から撮影画像の光情報を含む画像信号、または画像信号蓄積前のノイズ成分を含むダーク信号である。フォトダイオードPDに入射した被写体光は、フォトダイオードPDで電荷に光電変換される。電荷は、転送トランジスタTr1によってFD部に転送され、電荷に応じた電位が増幅トランジスタTr2のゲート電極に印加される。画像信号は、この時に選択トランジスタTr3を介して垂直信号線VLINE(n)に読み出された信号である。一方、ダーク信号は、リセットトランジスタTr4によってFD部に保持されている電荷をリセットした時にFD部の電位を増幅トランジスタTr2および選択トランジスタTr3を介して垂直信号線VLINE(n)に読み出された信号である。ここで、FD部の電位は、画素接地線PGND(n)に接続された画素の接地GNDに対する値である。
このようにして、画素P(m,n)から垂直信号線VLINE(n)に画像信号またはダーク信号が読み出され、カラムアンプCAMP(n)に入力される。尚、ここでは、画素P(m,n)について説明したが、他の画素P(x,y)についても同様である。
次に、n列目のカラムアンプCAMP(n)について説明する。尚、他のカラムアンプCAMP(1)からCAMP(N)までについてもn列目のカラムアンプCAMP(n)と同様に動作する。
図1のカラムアンプCAMP(n)は、コンデンサCfとコンデンサCinを含み、これらのコンデンサの容量値の比で決まる増幅率の反転増幅器である。また、カラムアンプCAMP(n)の帰還回路のコンデンサCfの両端には、アンプリセット用トランジスタTr5のソースとドレインが接続されている。タイミング信号φCARSTをトランジスタTr5のゲートに与えると、コンデンサCfに蓄積された電荷は放電してリセットされる。尚、本固体撮像素子101は、リセット後に画素から読み出したダーク信号をコンデンサCinに蓄積し、次いで画像信号を読み出す。これにより、カラムアンプCAMP(n)は、読み出す際に画像信号からダーク信号を減算し、画素間のばらつきを除去する。
カラムアンプCAMP(n)の出力側は、画像信号蓄積用トランジスタTr6およびダーク信号蓄積用トランジスタTr7のドレインに接続される。カラムアンプCAMP(n)がリセットされた後、タイミング信号φTDがダーク信号蓄積用トランジスタTr7のゲートに入力されるとダーク信号蓄積用トランジスタTr7がオンして、コンデンサCdがカラムアンプCAMP(n)の出力電圧になるまで充電される。画素から画像信号が読み出された後、タイミング信号φTSが画像信号蓄積用トランジスタTr6のゲートに入力されると、画像信号蓄積用トランジスタTr6がオンして、コンデンサCsがカラムアンプCAMP(n)の出力電圧になるまで充電される。コンデンサCsの電圧は画像信号として、コンデンサCdの電圧はダーク信号(カラムアンプCAMPのオフセット信号)として、それぞれ水平出力回路103に入力される。
水平出力回路103は、各列毎のコンデンサCsに蓄積された画像信号と、コンデンサCdに蓄積されたダーク信号とをそれぞれ入力して、行単位で列順に外部に出力する。この時、カラムアンプCAMP(y)の列間のばらつきを少なくするために、水平出力回路103の出力用差動アンプ(非図示)でコンデンサCsに蓄積された画像信号からコンデンサCdに蓄積されたダーク信号を引き算し、カラムアンプCAMP(y)の列間ばらつきを除去した信号を固体撮像素子101の外部に出力する。尚、画像信号からダーク信号を引き算する処理は、固体撮像素子101内で行っても構わないし、固体撮像素子101から画像信号とダーク信号とを別々に出力して外部で画像信号からダーク信号を引き算するようにしても構わない。
ここで、各画素P(x,y)からダーク信号および画像信号を読み出して、各列のコンデンサCdおよびコンデンサCsに各信号が保持されるまでの一連の動作について、図3のタイミングチャートを用いて説明する。
図3は、m行目と(m+1)行目から信号を読み出す時のタイミングを示している。図3において、期間T1は(m−1)行目のN個の画素P(m−1,y)から読み出した1行分の信号を列順に水平出力回路103から読み出して固体撮像素子101の外部に出力する期間を示している。
次の期間T2は、m行目の各画素P(m,y)から1行分のダーク信号および画像信号を読み出して、各列のコンデンサCdおよびコンデンサCsに各信号が保持されるまでの期間を示している。期間T2の開始時、先ず、タイミング信号φSEL(m)が期間T5でオンになると同時に、タイミング信号φRES(m)が期間T5でオフになる。タイミング信号φSEL(m)がオン,タイミング信号φTX(m)がオフ,タイミング信号φRES(m)がオフなので、図2で説明したように、リセット時のFD部の電荷、つまりダーク信号が増幅トランジスタTr2および選択トランジスタTr3を介して垂直信号線VLINE(y)に読み出される。
次に、期間T6でタイミング信号φTD(m)がオンになるので、期間T6の間、垂直信号線VLINE(y)に読み出されたダーク信号は、カラムアンプCAMP(y)およびトランジスタTr7を介してタイミング信号φTD(m)がオフするまで各列のコンデンサCdに蓄積される。
次に、タイミング信号φTD(m)がオフした後、タイミング信号φTX(m)が期間T7でオンになる。期間T7では、被写体光を入射するフォトダイオードPDに蓄積された電荷は、転送トランジスタTr1を介してFD部に転送される。FD部に転送された電荷に対応する電位が増幅トランジスタTr2のゲートに印加され、画像信号が増幅トランジスタTr2から出力されて、選択トランジスタTr3を介して垂直信号線VLINE(y)に読み出される。
次に、期間T8でタイミング信号φTSがオンになるので、垂直信号線VLINE(y)に読み出された画像信号は、カラムアンプCAMP(y)およびトランジスタTr6を介してタイミング信号φTSがオフするまで各列のコンデンサCsに蓄積される。
ダーク信号と画像信号とがそれぞれ各列のコンデンサCdとコンデンサCsとに蓄積されると、m行目の各画素P(m,y)から1行分のダーク信号および画像信号の読み出しは終了し、タイミング信号φSEL(m)はオフに、タイミング信号φRES(m)はオンに戻る。
次の期間T3では、水平出力回路103は、各列のコンデンサCdとコンデンサCsとにそれぞれ蓄積されたm行目のN列分のダーク信号と画像信号とを列順に読み出して固体撮像素子101の外部に出力する。
次の期間T4では、期間T2の各タイミング信号φSEL(m),φRES(m),φTX(m)と同様に、(m+1)行目の各タイミング信号φSEL(m+1),φRES(m+1),φTX(m+1)によって、(m+1)行目の各画素P(m+1,y)からダーク信号と画像信号とを読み出して、それぞれ各列のコンデンサCdとコンデンサCsとに蓄積する。各列のコンデンサCdとコンデンサCsとにそれぞれ蓄積された(m+1)行目のN列分のダーク信号と画像信号は、水平出力回路103によって列順に読み出され、固体撮像素子101の外部に出力される。
次に、本実施形態に係る固体撮像素子101の特徴とする部分について詳しく説明する。本実施形態に係る固体撮像素子101は、カラムアンプCAMP(y)の後段に配置されたバッファBF(y)の接地GNDが接続される第2の接地線105と、カラムアンプCAMP(n)の接地GNDおよび画素接地線PGND(n)が接続される第1の接地線105とが独立して別に配線されていることである。
ここで、本実施形態の特徴が分かり易いように、n列目のカラムアンプCAMP(n)およびバッファBF(n)の回路部分を抜き出した図4を用いて詳しく説明する。尚、図1と同符号のものは同じものを示す。図4において、バッファBF(n)の接地GNDが接続される第2の接地線107と、カラムアンプCAMP(n)の接地GNDおよび画素接地線PGND(n)が接続される第1の接地線105とは、それぞれ行の両端の接続点G1および接続点G2の位置で互いに接続される以外は別系統の独立した接地配線として固体撮像素子101の行方向に並列に配置されている。
図4に示したように、バッファBF(n)の接地GNDを接続する第2の接地線107と、カラムアンプCAMP(n)の接地GNDおよび画素接地線PGND(n)を接続する第1の接地線105とを分離して行方向に配置することにより、カラムアンプCAMP(n)の後段にバッファBF(n)を配置した回路構成においてバッファBF(n)の接地電位が変動した場合でもカラムアンプCAMP(n)および画素接地線PGND(n)の接地電位の変動を抑えることができ、この結果、高輝度被写体が撮影画面内にある場合でも横スミアの発生を防止することができる。
ここで、バッファBF(n)の接地GNDと、カラムアンプCAMP(n)の接地GNDおよび画素接地線PGND(n)とを共通の接地線に接続する場合の接地線の電位変動について、図5を用いて説明する。尚、図5において、図1および図4と同符号のものは同じものを示す。図5は、共通の接地線201の各列に、定電流源PW(y)とカラムアンプCAMP(y)とバッファBF(y)の3つの電流源が接続点p(y)で接続されている。尚、接地点p(y)は、各列の画素接地線PGND(y)の接続点でもある。また、図5では接地点p(y)の一点に接続されているように描いてあるが、実際の回路パターンでは、定電流源PW(y)とカラムアンプCAMP(y)とバッファBF(y)の接続点は接地線201上で完全に同一であるとは限らず、互いに近傍位置に接続されている場合を含むが、図5では分かり易いように各列毎にほぼ同一点と見なして描いてある。
図5において、電流I1(y)は定電流源PW(y)の負荷電流、電流I2(y)はカラムアンプCAMP(y)のコモン電流源の負荷電流、電流I3(y)はバッファBF(y)のコモン電流源の負荷電流をそれぞれ示している。ここで、特に画素数の多い固体撮像素子の場合、接地線201には数千個の定電流源PW(y)とカラムアンプCAMP(y)とバッファBF(y)が各列毎の接地点p(y)で共通の接地線201に接続される。そして、マスク・パターンの構成上、接地線201の左右端(チップの左右端)で外部GNDに接地される。
ところが、比較的大型の固体撮像素子では、接地線201の全長が数十ミリオーダーにもなるため、そのライン上に並列配置された数千個の各列の回路から動作電流が接地線201に流れ込む。この結果、この電流と分布抵抗rによって生じる電位差が列間で積算されるので、行の中心付近の接地線201の電位が高くなり、行の両端の外部GNDに向けて低くなるように接地線201の各列位置によって電位が変化する。また、各列の画素接地線PGND(y)も接地線201を基点として垂直方向に配線されているため、各画素P(x,y)の接地電位も水平方向に同様に分布する。図5のグラフ(a)は、接地線201が列間の抵抗rで分布した配線路であると仮定した場合の接地線201の行方向の電位変化の様子を示した図で、紙面上方に描いた接地線201の行方向の位置に対応させて描いてある。従って、横軸は上図に対応する接地線201の行方向の位置を示し、縦軸は外部GNDに対する電位を示す。
図5のグラフ(a)において、先に説明したように、接地線201の行の両端は外部GNDに接地されているので電位は0(外部接地電位)であるが、特性301のように行の中央に向かって接地線201の電位が高くなっていく。理想的には、特性303のように、各列の接地点p(y)によらず一定の電位にならなければならないが、各画素P(x,y)のFD部は、VDDを基準としてリセットされ、ダーク信号や画像信号もそのリセット電位を基準として発生するので、画素間の接地電位に差が生じても、時間的な変化がなく一定であれば、読み出し時に相殺されるので信号出力に影響を与えることはない。
ところが、2次元マトリクス状に配置された有効画素領域に、照明などの高輝度被写体が含まれる場合、バッファBF(y)のコモン電流源から接地線201の接地点p(y)に流れ込む電流も大きく変動し、列間抵抗rで分布した接地線201の当該行の電位が全体的に高くなってしまう。尚、各列の個々のバッファBF(y)のコモン電流源の電流変化が数μA程度の僅かであっても、高輝度被写体の大きさが数百から数千列分にもなると、総合的な電流変動は数mAから数十mAにもなることがある。このため、このような高輝度被写体が含まれる行が選択された場合、リセット時の接地線201の電位に対して、各画素P(x,y)から信号を読み出した時のの接地線201の電位が数十から数百μVのオーダーで変化する。そして、高輝度被写体がある行のダーク信号を読み出す際の接地線電位が隣接する高輝度被写体がない行の接地線電位と比べて僅かなレベル差が生じ、このレベル差は画素のFDの接地電位の差となるため、ダーク信号の出力電圧にも僅かなレベル差が生じる。この結果、撮影画像の高輝度被写体部分の両側に白スミアが発生することになる。実際の画像では、夜間の街灯のように照明が極端に明るく、背景が極端に暗い画像において、微小なレベル差であっても知覚できる程度の横方向スミアとなって現れてしまう。尚、バッファBF(y)のコモン電流源の電流が大きく変動する理由については第2の実施形態の等価回路図で詳しく説明する。
上記の現象により、例えばグラフ(a)において、高輝度被写体がない行のダーク信号の接地線201の電位変化を特性302、高輝度被写体がある行のダーク信号の接地線201の電位変化を特性301とすると、特性301の電位は特性302の電位に比べて高くなり、実際には僅かな電位差が生じる。この電位差は各画素P(x,y)のFD部の接地電位の差となって増幅トランジスタTr2に伝わるため、ダーク信号の出力に僅かの差が生じ、最終的に出力される画像の高輝度部分がある行に横スミアが現れることになる。尚、従来は、接地線のインピーダンスをできるだけ低くなるように、GND配線幅を太くする対策などが行われていたが、太さにもチップ面積の増大など設計上の限界があり、残留抵抗分があるため本質的な問題は解決されていなかった。
本実施形態に係る固体撮像素子101は、図1に示したように、バッファBF(y)の接地GNDが接続される第2の接地線107と、カラムアンプCAMP(y)の接地GNDおよび画素接地線PGND(y)が接続される第1の接地線105とが、それぞれ行の両端の接続点G1および接続点G2を除いて別系統の接地配線として並列に配置されている。これにより、図6に示すように、バッファBF(y)の接地GNDが接続される第2の接地線107と、カラムアンプCAMP(y)の接地GNDおよび画素接地線PGND(y)とに別々に負荷電流が流れることになり、カラムアンプCAMP(y)の接地GNDおよび画素接地線PGND(y)に対するバッファBF(y)のコモン電流源の負荷電流の変動の影響がなくなる。
このように、本実施形態に係る固体撮像素子101は、撮影画像に高輝度被写体がある場合でも横スミアの原因となるバッファBF(y)の接地電位の変動の影響を排除できるので、横スミアのない高画質な画像を得ることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る固体撮像素子101bについて説明する。本実施形態に係る固体撮像素子101bが第1の実施形態に係る固体撮像素子101と異なる点は、第2の接地線107がなく、カラムアンプCAMP(y)の接地GNDと画素接地線PGND(y)とバッファBF’(y)の接地GNDが全て第1の接地線105に接続されていることと、バッファBF’(y)の回路構成が異なることである。尚、図7において、図1の固体撮像素子101と同符号のものは同じものを示す。また、固体撮像素子101bの各画素の構成および動作タイミングは、図2および図3で説明した画素の構成および動作タイミングと全く同じなので重複する説明は省略する。
本実施形態に係る固体撮像素子101bは、カラムアンプCAMP(y)の接地GNDと画素接地線PGND(y)とバッファBF’(y)の接地GNDが全て第1の接地線105に接続されるので、第1の実施形態で説明した図5の接地線201が第1の接地線105に対応することになる。しかし、本実施形態では、バッファBF’(y)の回路構成を工夫して、横スミアの問題を回避できるようになっている。
次に、本実施形態の特徴であるバッファBF’(y)の回路構成について説明する。図8は、n行目のカラムアンプCAMP(n)とバッファBF’(n)とを等価回路例を示した図である。図8において、カラムアンプCAMP(n)は、ダブルカスコード差動アンプの回路で、トランジスタTr21とトランジスタTr22のカスコードペアと、トランジスタTr25とトランジスタTr26のカスコードペアとで負荷側の低電圧カレントミラー回路が構成される。同様に、トランジスタTr23とトランジスタTr24のカスコードペアと、トランジスタTr27とトランジスタTr28のカスコードペアとで差動入力側の低電圧カレントミラー回路が構成される。差動入力側のトランジスタTr24とトランジスタTr28のそれぞれのソースは、電流源のトランジスタTr29を介して接地GNDに接続される。また、トランジスタTr22とトランジスタTr26のゲートにはバイアスBIAS1が、トランジスタTr23とトランジスタTr27のゲートにはバイアスBIAS2が、トランジスタTr29のゲートにはバイアスBIAS3がそれぞれ与えられる。ダブルカスコード差動アンプ型のカラムアンプCAMP(n)のコモン電流源を構成するトランジスタTr29には一定電流が流れるようになっているので、カラムアンプCAMP(n)の負入力(VLINE(n))と正入力(VREF)との差電圧がバッファBF’(n)に出力される。
一方、図8において、バッファBF’(n)は、シングル差動アンプの回路であるが、コモン電流源の回路構成に特徴があり、通常1つのトランジスタTr35で構成されるコモン電流源をトランジスタTr35とトランジスタTr36のカスコード回路で構成している。バッファBF’(n)は、トランジスタTr31とトランジスタTr33のペアと、トランジスタTr32とトランジスタTr34のペアとで構成される。差動入力側のトランジスタTr32とトランジスタTr34のそれぞれのソースは、コモン電流源のトランジスタTr36およびTr35を介して接地GNDに接続される。また、トランジスタTr36のゲートにはバイアスBIAS4が、トランジスタTr35のゲートにはバイアスBIAS5がそれぞれ与えられる。
ここで、バッファBF’(n)のコモン電流源を構成するトランジスタTr35およびTr36はカスコード構成になっているので、点B1の出力インピーダンスを高めることができ、トランジスタTr35のドレイン電圧が上昇した場合でもコモン電流源の電流の増加を接地線105の電位の変動の影響を無視できる程度に抑制することができる。この原理を図9に示す。図9はバッファBF’(n)のコモン電流源の等価回路を示した図で、カスコード化していない従来のコモン電流源の等価回路は図9(a)に示したようにトランジスタTr35が1つで構成され、図9(a)の点B1の出力インピーダンスは、トランジスタTr35のソース・ドレイン間の出力インピーダンスr01に相当する。
図8において、バッファBF’(n)が図9(a)に示したような1つのトランジスタTr35のみで構成される場合、高輝度被写体がある時にカラムアンプCAMP(n)の出力が過大となり、カラムアンプCAMP(n)の出力レベルにフォローしてバッファBF’(n)のコモン電流源のB点の電位も大きく変化する。一般に、MOSトランジスタの飽和特性はチャンネル長変調効果により数十kΩから数百kΩの抵抗カーブ特性を示すため、高輝度画素に対応するバッファBF’(n)のコモン電流源のドレイン電流Idの値は低輝度画素のドレイン電流Idに対して相対的に増加する。
これに対して、本実施形態に係る固体撮像素子101bのバッファBF’(n)のコモン電流源は、図9(b)に示したように、トランジスタTr35とTr36とでカスコード化した回路構成になっているので、点B1の出力インピーダンスは、r02・gm2・r01となり、トランジスタTr35が1つで構成される場合の点B1の出力インピーダンスより大幅に高くなる。この結果、ドレイン電流Idの変化を低く抑えることができる。
ここで、コモン電流源のトランジスタTr35のドレイン・ソース間電圧特性(Vds特性)について、図9(c)を用いて説明する。図9(c)において、横軸はドレイン(D)とソース(S)間の電圧Vdsを示し、縦軸はドレイン電流Idを示している。理想的には、ドレイン・ソース間電圧Vdsが高くなってもドレイン電流Idは一定にならなければいけないが、トランジスタTr35によって構成されるコモン電流源の出力インピーダンスが無限大ではないので、ドレイン・ソース間電圧Vdsが高くなるとドレイン電流Idも増加する。このため、高輝度被写体がある場合に、例えば図8のバッファBF’(n)の点B1の電位が大きく変動するので、コモン電流源がトランジスタTr35のみで構成される場合、ドレイン電流Idが増加することになる。これに対して、本実施形態に係る固体撮像素子101bのバッファBF’(n)は、図8に示すようにトランジスタTr35とトランジスタTr36のカスコード接続で構成されるので、図9(b)に示すようにコモン電流源の出力インピーダンスがr02・gm2・r01のように高くなり、高輝度被写体がある場合に、ドレイン・ソース間電圧Vdsが高くなってもドレイン電流Idの増加を抑えることができる。
このように、本実施形態に係る固体撮像素子101bは、バッファBF’(y)のコモン電流源をカスコード構成にし、コモン電流源の出力インピーダンスを高めることによって、ドレイン・ソース間電圧(Vds)上昇によるコモン電流源のドレイン電流(Id)の増加を無視できる程度に抑制でき、撮影画像に高輝度被写体がある場合でも横スミアのない高画質な画像を得ることができる。また、本実施形態では、第1の実施形態のように接地線を分離する必要がないため、パターン設計の自由度が上がり且つチップ寸法が小さくなり、コスト低減を図ることができる。
上記の各実施形態において、第1の実施形態では、撮影画像に高輝度被写体がある場合に、横スミアの原因となるバッファBF(y)の接地電位の変動の影響を少なくする解決手段として、バッファBF(y)の接地線を別にした固体撮像素子101について説明し、第2の実施形態では、同様の横スミアの原因となるバッファBF’(y)の接地電位の変動の抑える解決手段として、バッファBF’(y)のコモン電流源をカスコード回路にした固体撮像素子101bについて説明したが、第1の実施形態と第2の実施形態を併用する回路構成にしても構わない。即ち、図1の固体撮像素子101の回路のバッファBF(y)を図8のバッファBF’(y)と同じようにコモン電流源をカスコード回路にしても構わない。
以上、本発明に係る固体撮像素子について、各実施形態で例を挙げて説明してきたが、その精神またはその主要な特徴から逸脱することなく他の多様な形で実施することができる。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明は、特許請求の範囲によって示されるものであって、本発明は明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内である。