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JP5367261B2 - 部分的に異なるストレッチ性を有する布帛及びその製造方法 - Google Patents
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部分的に異なるストレッチ性を有する布帛及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、部分的に異なるストレッチ性を有する布帛及びその製造方法に関し、詳しくは後加工による部分的に異なるストレッチ性を有する布帛の製造方法に関する。
本願は、2005年12月26日に日本国特許庁に出願された特願2005−372767号及び2006年9月8日に日本国特許庁に出願された特願2006―243664号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来より、衣類において部分的に着圧差を付与することによって体型補正機能または筋肉サポート機能を持たせるために、ベースとなる織物や編物の布帛に対して、部分的にストレッチ性のある部分を他素材や組織によって形成されていた。特許文献1には、ガードル等において、その裏側から弾力性のある比較的幅広のテープ状布帛を重ねて縫製する方法や、弾力性のある樹脂を部分的に塗布する方法が記載されている。
しかしながら、布帛を重ね縫製する場合は、縫製時の手間は勿論のこと、重ねた部分の厚みが増し、その境界に段差が生じるために、アウターを着用してもこの段差が外観上に現れ、着用者にとって不満感が出るものであり、さらに生地が肉厚であるため、蒸れ感を感じるものになりやすかった。また樹脂剤の塗布を行う場合、肌への接触感が劣ると共に、布帛の織編目が塞がれるために通気性が極端に低下し、蒸れ感が非常に高いものとなるものであった。
また、特許文献2には、ジャガード機構を備えた編機を使用し、部分的に編組織の変更、挿入する弾性糸の本数や太さを変化させることにより編物に部分的に着圧差を付与することが記載されている。しかし、この方法では、ジャガード機構を備えた特殊な編機を使用する必要があり、さらに製品型やサイズ毎に編組織パターンの異なる生地を製造する必要があり、製造時におけるフレキシビリティにかけるものであった。また、この方法では、部分的に組織を変更するため、比較的厚い生地となりやすいものであった。
さらに、特許文献3には、変性ポリエステル繊維、ナイロン繊維並びに弾性繊維を含む布帛に抜蝕加工を行う方法が記載されているが、抜蝕部において、ストレッチ性が増すことや布帛を構成する繊維にてストレッチ性をコントロールするといった記載はなく、これらの繊維は単なる意匠(装飾)効果を上げるものとして用いられている。
特開2001−64801号公報 特開2000−303209号公報 特開2000−282377号公報
本発明の課題は、このような従来技術における問題点を解決するものであり、抜蝕加工なる後加工によって部分的に異なるストレッチ性を有する布帛を生産効率良く得ることにあり、また布帛強度の低下を抑制しながら、肉厚感、蒸れ感等の少ない部分的に異なるストレッチ性を有する布帛を得ることにある。
本発明の部分的に異なるストレッチ性を有する布帛は、相対的に高いストレッチ性を有する部位と相対的に低いストレッチ性を有する部位とを有し、前記相対的に高いストレッチ性を有する部位が伸縮性を有する繊維及び非伸縮性を有する繊維とから構成され、前記相対的に低いストレッチ性を有する部位よりも伸長率が高い、部分的に異なるストレッチ性を有する布帛であって、
前記相対的に高いストレッチ性を有する部位の伸長率が、前記相対的に低いストレッチ性を有する部位の伸長率の1.1〜5.0倍であり、前記相対的に高いストレッチ性を有する部位の30%伸長時応力が、前記相対的に低いストレッチ性を有する部位の30%伸長時応力の0.05〜0.90倍であり、
前記相対的に高いストレッチ性を有する部位が、下記(1)〜(4)を満たすストレッチ性ベース布帛の任意の箇所に抜蝕促進剤を含む抜蝕糊を印捺し、抜蝕剤により印捺部の抜蝕性繊維aの一部または全部を除去する抜蝕加工により形成され、
前記相対的に低いストレッチ性を有する部位が、前記ストレッチ性ベース布帛に対して抜蝕加工しなかった部位である、部分的に異なるストレッチ性を有する布帛。
(1)前記ストレッチ性ベース布帛は前記抜蝕性繊維aと、非抜蝕性繊維bと、非抜蝕性繊維cとで構成され、
(2)前記抜蝕性繊維aの少なくとも一部は、前記抜蝕剤により溶解するポリマーにより構成され、
(3)前記非抜蝕性繊維bは、前記抜蝕剤には溶解せず、かつ伸縮性を有し、
(4)前記非抜蝕性繊維cは、前記抜蝕剤には溶解せず、かつ非伸縮性を有する。
本発明の部分的に異なるストレッチ性を有する布帛の製造方法は、ストレッチ性ベース布帛の任意の箇所に抜蝕促進剤を含む抜蝕糊を印捺し、抜蝕剤により印捺部の抜蝕性繊維aの一部または全部を除去し、かつ下記(1)〜(4)を満たし、少なくとも布帛の経緯方向のいずれか一方の、非抜蝕部と抜蝕部との間に、非抜蝕部に対する抜蝕部の伸長率比が1.1〜5.5倍、非抜蝕部に対する抜蝕部の30%伸長時応力比が0.05〜0.9倍である布帛を製造することを特徴とする。
(1)前記ストレッチ性ベース布帛は前記抜蝕性繊維aと、非抜蝕性繊維bと、非抜蝕性繊維cとで構成され、
(2)前記抜蝕性繊維aの少なくとも一部は、前記抜蝕剤により溶解するポリマーにより構成され、
(3)前記非抜蝕性繊維bは、前記抜蝕剤には溶解せず、かつ伸縮性を有し、
(4)前記非抜蝕性繊維cは、前記抜蝕剤には溶解せず、かつ非伸縮性を有する。
本発明の部分的に異なるストレッチ性を有する布帛の製造方法は、ストレッチ性ベース布帛の任意の箇所に抜蝕促進剤を含む抜蝕糊を印捺し、抜蝕剤により印捺部の抜蝕性繊維aの一部を除去し、下記(5)〜(7)を満たし、少なくとも布帛の経緯方向のいずれか一方の、非抜蝕部と抜蝕部との間に、非抜蝕部に対する抜蝕部の伸長率比が1.1〜5.5倍、非抜蝕部に対する抜蝕部の30%伸長時応力比が0.05〜0.9倍である布帛を製造することを特徴とする。
(5)前記ストレッチ性ベース布帛は前記抜蝕性繊維aと、非抜蝕性繊維bとで構成され、
(6)前記抜蝕性繊維aは、アルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステルポリマーと、前記抜蝕剤には溶解しない非抜蝕性ポリマーから構成され、
(7)前記非抜蝕性繊維bは、前記抜蝕剤には溶解せず、かつ伸縮性を有する。
本発明によれば、特殊な機構を備えた編機を使用することなく、抜蝕加工によって、布帛の任意の箇所に、所望とする形状に部分的にストレッチ性のより高い部分を形成させることにより、強度の低下が少なく、部分的に異なるストレッチ性を有する布帛を得ることができる。また、本発明は、抜蝕加工において抜蝕促進剤を含む抜蝕糊を印捺する際に使用する型を変更するだけで、様々な形状の異なるストレッチ性の部分を有する布帛を得ることができる。さらに、本発明は、得られた布帛を衣類としたときに、肉厚感や蒸れ感がなく、部分的に着圧差を付与する、部分的に異なるストレッチ性を有する布帛を得ることができる。
本発明における加工布帛のベース布帛は、一例として、抜蝕剤により溶解するポリマーにて少なくともその一部が構成された抜蝕性繊維aと、前記抜蝕剤には溶解せず、かつ伸縮性を有する非抜蝕性繊維bと、前記抜蝕剤には溶解せず、かつ非伸縮性を有する非抜蝕性繊維cとで構成される。伸縮性を有する非抜蝕性繊維bによりベース布帛のストレッチ性が発現する。
なお、本発明において「ストレッチ性」とは布帛における伸張性、「伸縮性」とは繊維における伸張性をいう。
ベース布帛を構成する抜蝕性繊維aは、抜蝕加工に使用する抜蝕剤により溶解するポリマーにて少なくともその一部が構成される。また抜蝕剤により溶解するポリマーと前記抜蝕剤によっては溶解しない非抜蝕性ポリマーとからなる複合繊維等の繊維であってもよい。
抜蝕性繊維aは、使用する抜蝕剤により異なり、使用する抜蝕剤によって抜蝕性繊維を適宜選択してもよいし、また、使用する繊維によって抜蝕剤を選択してもよい。
前記抜蝕剤は、除去しようとする繊維を溶解しうることと安全にかつ容易に取り扱いのできることが必要である。抜蝕剤として硫酸アルミニウム、酸性硫酸ナトリウムを使用する場合は、抜蝕性繊維aとして、レーヨン、ベンベルグ、リヨセル、綿等のセルロース系繊維、66ナイロン等のポリアミド繊維が用いられる。また、抜蝕剤として水酸化ナトリウム等を熱水状態のアルカリ水溶液として使用することができ、この場合は、抜蝕性繊維aとして、未変性のポリエステル繊維を用いることができる。
抜蝕促進剤を含む抜蝕糊を印捺する工程で用いる抜蝕促進剤としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、多価アルコールにエチレンオキシドを2モル以上付加した多価アルコールエチレンオキシド付加物、多価アルコールエチレンオキシド付加物と第四級アンモニウム塩の混合物等が挙げられる。これらの抜蝕促進剤を使用し、かつ抜蝕剤として水酸化ナトリウム等を熱水状態のアルカリ水溶液として使用する場合は、抜蝕性繊維aとして、未変性のポリエステル繊維よりも高溶解性を有するアルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステル繊維を用いることが好ましい。アルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステル繊維を用いることで、印捺部と非印捺部との抜蝕度合の差を大きくすることができる。
例えば、抜蝕性繊維aとして、レーヨンとアルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステル繊維を併用した場合、抜蝕性繊維aに応じて、抜蝕剤を部分的に印捺する工程と、抜蝕剤により抜蝕性繊維aを溶解除去する工程とを、抜蝕剤を変えて繰り返して施すことができる。
前記アルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステル繊維は、アルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステルポリマーのみからなる繊維であってもよいし、アルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステルポリマーと、抜蝕剤には溶解しない非抜蝕性ポリマーとの複合構造の複合繊維であってもよい。前記複合構造においては、アルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステルポリマーが複合繊維表面に露出していることが好ましい。前記複合繊維においては、抜蝕剤に不溶解の非抜蝕性ポリマーが抜蝕加工後に細繊維として残存することにより布帛の強度が保持される。
抜蝕性繊維aが複合繊維であるときの複合構造としては、抜蝕剤により溶解するポリマー、好ましくはアルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステルポリマーを30質量%以上、好ましくは50質量%以上含むサイドバイサイド型、芯鞘型、海島型のいずれであってもよいが、抜蝕後に残存する非抜蝕性ポリマーの細繊維の形態及び強度保持の点から芯鞘型であることが好ましい。
抜蝕性繊維aを構成する抜蝕剤により溶解するポリマーとしては、前述のように、好ましくは、アルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステルポリマーが挙げられるが、具体的には、アルカリ金属スルホン酸基を有する化合物として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸0.5〜5.0モル%及びアジピン酸等のジカルボン酸2.0〜13.0モル%を共重合させたポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
抜蝕性繊維aが複合繊維であるときに、用いる抜蝕剤によっては溶解しない複合成分の非抜蝕性ポリマーとしては、好ましくは、アルカリ金属スルホン酸基を有する化合物を含まない或いはアルカリ金属スルホン酸基を有する化合物が0.5モル%未満共重合したポリエチレンテレフタレート等のポリエステルポリマー;アルカリ金属スルホン酸基を有する化合物以外の化合物、例えばイソフタル酸、アジピン酸、シクロヘキサジカルボン酸、トリメリット酸、ポリアルキレングリコール、テトラエチレングリコール、ビスフェノールA等が1〜15モル%共重合したポリエチレンテレフタレート等のポリエステルポリマー;前記ポリエステルポリマーのいずれかが1〜15質量%ブレンドされたポリエチレンテレフタレート等のポリエステルポリマー;または66ナイロンポリマー、6ナイロンポリマー等のポリアミドポリマー等が挙げられる。
ベース布帛を構成する伸縮性の非抜蝕性繊維bは、布帛のストレッチ性を支配する繊維であり、使用する抜蝕剤には溶解せず、好ましくは伸縮伸長率30%以上の伸縮性を有する繊維である。使用する抜蝕剤が硫酸アルミニウム、酸性硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の熱水状態のアルカリ水溶液である場合は、伸縮性を有する非抜蝕性繊維bとして、スパンデックスといわれるポリウレタン繊維等の弾性繊維が好ましく用いられる。また、その他、伸縮性を有する非抜蝕性繊維bとして、弾性回復、熱収縮、塑性変形等の異なる物性を有するポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリロニトリル系等の同種または異種のポリマーをサイドバイサイド型或いは偏心芯鞘型の複合構造とした高捲縮発現性の複合繊維が用いられる。
ベース布帛を構成する非抜蝕性繊維cは、布帛、特にその抜蝕部を補強する繊維であり、使用する抜蝕剤には溶解せず、好ましくは伸縮伸長率30%未満の非伸縮性の繊維である。使用する抜蝕剤が硫酸アルミニウム、酸性硫酸ナトリウムである場合は、レーヨン、ベンベルグ、リヨセル、綿等のセルロール系繊維、66ナイロン繊維等のポリアミド繊維が、抜蝕剤が水酸化ナトリウム等の熱水状態のアルカリ水溶液等である場合は、ポリエチレンテレフタレート繊維等の未変性ポリエステル繊維、或いはアルカリ金属スルホン酸基を有する化合物以外の化合物により変性されたポリエステル繊維が用いられる。また、抜蝕性繊維aがアルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステルポリマー等の抜蝕剤により溶解するポリマーと、抜蝕剤には溶解しない非抜蝕性ポリマーとの芯鞘構造の複合繊維であるとき、この非抜蝕性繊維cは、抜蝕後に残存する非抜蝕性ポリマーの繊維で代替させることもできる。
ベース布帛は、抜蝕性繊維aと、伸縮性を有する非抜蝕性繊維bと、非伸縮性を有する非抜蝕性繊維cとから構成される織物或いは編物である。部分的に明瞭に異なるストレッチ性を付与するためには、それぞれの部分のストレッチ性の差を大きくすることが望ましい。ストレッチ性の差を大きくするためには、被加工布帛であるベース布帛自体が組織構造上ストレッチ性を発揮し易いという点から、編物であることが好ましい。編物としては、経編地であるラッセル編地、トリコット編地、緯編地である丸編地、横編地等が挙げられ、他にジャガード機構を備えた編機によった柄を有する編地、多層構造編地、レース基布編地等が挙げられる。
ベース布帛における抜蝕性繊維a、伸縮性を有する非抜蝕性繊維b、非伸縮性を有する非抜蝕性繊維cの繊維形態は、それぞれの機能を発揮させる点からフィラメント糸であることが好ましく、各繊維の繊度、構成比率は、任意に選択され、特に制限はない。好ましく用いられる編物においては、各繊維は編組織によってそれぞれの組織を構成する糸として用いられるが、伸縮性を有する非抜蝕性繊維bを編物のストレッチ性により支配的に寄与させるため、伸縮性を有する非抜蝕性繊維bは、挿入糸として、抜蝕性繊維aと非伸縮性を有する非抜蝕性繊維cは、地編の構成糸として、それぞれ用いることが好ましい。
ベース布帛に施す抜蝕加工には、抜蝕促進剤を含む抜蝕糊を部分的に印捺する工程と、抜蝕剤により印捺部の抜蝕性繊維aの一部または全部を溶解除去する工程とを含む一般的に使用されている公知の方法が使用される。抜蝕促進剤を含む抜蝕糊を印捺する工程では、抜蝕促進剤を糊剤に含有させて抜蝕糊として印捺する。抜蝕促進剤としては前述したとおりであり、抜蝕糊に用いる糊剤としては、特に限定はなく、公知の糊剤が用いられ、例えば小麦澱粉、トラガントガム、ローカストビーンガム、グアガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ等の糊剤が単独または2種以上組み合わせて用いられる。
抜蝕糊の印捺には、型を用いて部分的に印捺するのがよく、ストレッチ性を高くしようとするベース布帛の任意の箇所に、抜蝕部の大きさ、抜蝕部の柄の形、抜蝕部の数、非抜蝕部に対する抜蝕部の面積比に応じ、適宜型を変更することによって印捺する。例えば比較的広領域の大きな柄からドットのような小さな柄まで任意の柄を型を変更することによって任意に得ることができる。この抜蝕剤を印捺する工程には、抜蝕糊の印捺後、乾燥或いはさらに加熱処理等を含んでもよい。また、抜蝕性繊維aを除去する工程は、抜蝕剤によって抜蝕性繊維aを構成するポリマーのうち抜蝕剤により溶解するポリマーを全て溶解することにより、抜蝕性繊維aの一部または全部を除去する。抜蝕性繊維aを除去する工程では、抜蝕剤の作用を活性状態にして抜蝕性繊維aを除去するが、蒸気、熱水等での温熱処理、水洗、乾燥等を含んでもよい。また、温熱抜蝕処理の前処理として、他の抜蝕促進剤を用いて抜蝕性繊維aの除去を促進或いは加速させることもできる。
前記抜蝕加工を行った布帛における抜蝕部は、ベース布帛を構成していた抜蝕性繊維aの全部が除去され、また一部が除去されないときには細繊維として存在するため、繊編密度が低下し、繊維間に空隙ができると共に、伸縮性を有する非抜蝕性繊維bと非伸縮性を有する非抜蝕性繊維cとの存在比率が相対的に高くなることによって、非抜蝕性繊維bに対する拘束力が低下し、非抜蝕性繊維bの動く自由度が増すため、より伸びやすく、より縮みやすい状態が形成され、抜蝕部でのストレッチ性が非抜蝕部のストレッチ性より高くなり、抜蝕部と非抜蝕部ではストレッチ性に差が生ずる。得られた本発明の布帛は、ベース布帛が本来有するストレッチ性の部分と、ベース布帛よりストレッチ性が高い部分を有する。ストレッチ性が高くなる抜蝕部の部分は、抜蝕加工を行った布帛を衣類としたときに、非抜蝕部の部分より着圧が低くなることから、部分的に着圧差が生じる衣類となる。
本発明においては、衣類としたときに部分的に着圧差が生じさせるため、抜蝕加工を行うことにより、少なくとも布帛の経緯方向のいずれか一方の、非抜蝕部と抜蝕部との間に、非抜蝕部に対する抜蝕部の伸長率比が1.1〜5.5倍、非抜蝕部に対する抜蝕部の30%伸長時応力比が0.05〜0.9倍のストレッチ性差を付与することが好ましい。
本発明において、特に好ましい態様の例を挙げると、抜蝕性繊維aがアルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステル繊維、伸縮性を有する非抜蝕性繊維bがポリウレタン繊維、非伸縮性を有する非抜蝕性繊維cがポリアミド繊維である。アルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステル繊維がカチオン染料に対する可染性、ポリアミド繊維が酸性染料、反応性染料に対する可染性をそれぞれ示すことから、これらの繊維の組み合わせのときには、染料の祖み合わせによって、抜蝕加工後に染色加工を施したときに異色染めを可能にし、ベース布帛に、部分的にストレッチ性の差を付与するとともに、抜蝕加工での透かし効果に加え、部分的な異色効果を付与し、得られる布帛の意匠効果を高める。この染色加工には、特に制限はなく、通常の方式、例えば浸染が用いられる。
前記のアルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステル繊維は、抜蝕剤である水酸化ナトリウム等の熱水状態のアルカリ水溶液に対して良好な抜蝕性を呈し、抜蝕促進剤を含む抜蝕糊の印捺部で繊維を構成する溶解性ポリマーである変性ポリエステルポリマーのより完全な溶解除去が行われる。また、アルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステル繊維が抜蝕性繊維aとして含まれる布帛では、水酸化ナトリウム等の熱水状態のアルカリ水溶液によって、抜蝕促進剤を含む抜蝕糊の印捺部では変性されたポリエステル繊維が溶解除去され、また非印捺部では通常の未変性のポリエステル繊維に適用されると同様の減量加工が行われることになる。したがって、非抜蝕性繊維cとして未変性のポリエステル繊維が含まれる布帛では、印捺部での変性ポリエステル繊維の除去工程と、非印捺部での減量加工と兼ねて行うことができ、風合い的にも多様な効果を付加することができる。
本発明においては、抜蝕加工で抜蝕糊の印捺の際、抜蝕促進剤には影響されない染料を抜蝕糊に加え、抜蝕加工と同時に着色も可能であるが、抜蝕加工後に、染色加工を施すこともできる。また、抜蝕加工を施し、必要に応じて染色加工を行った後、布帛の非抜蝕部の一部に樹脂加工を行うことにより、非抜蝕部のなかに部分的にストレッチ性差を付与することができる。樹脂加工は、ペースト状または液状の樹脂を布帛に塗布または含浸させた後に固着させる。樹脂加工に用いられる樹脂としては、仕上げ加工用の樹脂、例えば、ポリエステル系ウレタン重合体や、ポリエーテル系重合体、ポリアクリル酸系重合体、アミノ酸変性ウレタン系重合体、シリコンゴム系重合体等が挙げられ、これらのペースト状物または液状物をロータリースクリーン機やグラビア塗工機等によって塗布後、乾燥させ固着させる。衣類とした場合、製品の外表面に樹脂加工することが、肌ヘの好ましくない接触感を避けるうえでは好ましいが、製品外観を重視する場合には、製品の裏面への樹脂加工することもできる。また樹脂加工によって一般的に、不快な接触感や、通気性の低下が生じる傾向にあるが、この樹脂加工を全面塗布ではなく、ドット柄等の非連続な樹脂付着部の集合体とすることで、これらのデメリットを改善することもできる。
樹脂加工が施された非抜蝕部の部分は、固着樹脂によって繊維の拘束力が増大して繊維の動きが抑制され、樹脂加工が施されていない非抜蝕部の部分に比べ、ストレッチ性が低下する。したがって、樹脂加工を施して得られた本発明の布帛は、ベース布帛が本来有するストレッチ性の部分、ベース布帛よりストレッチ性が高い部分、ベース布帛よりストレッチ性が低い部分を有する。また、ストレッチ性が低くなる樹脂加工部分は、得られた布帛を衣類としたときに、非抜蝕部の樹脂加工を施していない部分より着圧が高くなることから、部分的に多段階の着圧差が生じる衣類となる。
本発明による部分的に異なるストレッチ性を有する布帛は、衣類として用いた場合、ストレッチ性の差によって部分的に着圧差を奏することにより体型補正機能また筋肉サポート機能を発揮する。また、本発明による布帛は、部位によってストレッチ性に差が必要とされる衣料、例えばガードル、ボディスーツ、レオタード、ショーツ、ブラジャー、スパッツ、スポーツ用タオル、靴下、レース、水着等に用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明において、布帛のストレッチ性の評価、布帛強度等の測定は、以下の方法により行った。
(伸長率、伸長率比)
本発明における伸長率は、測定に用いる試料を準備するため、巾3cm×長さ6cmのカット反を経緯方向にそれぞれ3枚ずつ採取し、繊維方向の目を揃え巾2.5cmに調整して測定試料とする。この試料を定速伸長引張り試験機につかみ間隔3cmとしてつかみ具で滑らないように固定する。1分間当たりつかみ間隔の100%の3cm/分引張り速度で荷重伸長曲線を描かせ、14.7N(1.5kgf)時の伸長率Eを次式で求める。
伸長率E(%)=[(L1−L0)/L0]×100
L0:元の試料の長さ(3cm)
L1:14.7N(1.5kgf)時の試料の長さ(cm)
伸長率比は、布帛の経及び緯方向について抜蝕加工による抜蝕部と非抜蝕部のそれぞれの部分の伸長率を測定し、同方向での抜蝕部の伸長率と非抜蝕部の伸長率の比率を求める。
伸長率比(倍)=抜蝕部伸長率(%)/非抜蝕部伸長率(%)
(30%伸長時応力、30%伸長時応力比)
30%伸長時応力は、前記の伸長率の測定時に、30%伸長したときに測定した応力(cN/gf)であり、荷重伸長曲線からも読み取れる。30%伸長時応力は、伸びた際の抵抗を示すもので、着用時を想定した30%伸びた状態での身体に対する締め付け感を表す指標である。同じ伸長率にあって、応力が異なると身体に対する圧迫感が異なり、低応力では低圧迫感、高応力では高圧迫感を呈する。
30%伸長時応力比は、同方向での抜蝕部の30%伸長時応力と非抜蝕部の30%伸長時応力の比率を求める。
30%伸長時応力比(倍)=抜蝕部30%伸長時応力(cN/gf)/非抜蝕部30%伸長時応力(cN/gf)
この30%伸長時応力比が小さいことは、ストレッチ性の差が大きくなり、圧迫感にも差が付与することができることを意味する。
(伸縮伸長率)
繊維の伸縮伸長率は、検尺機にて5回かせ取りした繊維を、二重にして1/6000(g/D)の荷重をかけスタンドに吊り、30分間放置し、次いでこの状態を維持したまま沸水中に入れ20分間処理する。その後、30分間風乾し、1/500(g/D)の荷重をかけ、長さ(a)を測定する。次に、1/500(g/D)の荷重をはずした後、1/20(g/D)の荷重をかけ、その長さ(b)を測定し、次式にて伸縮伸長率を求める。
伸縮伸長率(%)=[(b−a)/b]×100
(布帛強度)
布帛強度は、JIS L1018破裂強さA法(ミューレン法)に従い求めた。
評価サンプルは、試験片中央部の破裂部位(直径3cm)+1cmの円形部が、非抜蝕部または完全な抜蝕部になるようにサンプリングしてものを用いた。細かな柄にて抜蝕部と非抜蝕部が混在する場合は、前記破裂部位(直径3cm)+1cmの円形部における抜蝕部の比率を記録した上で測定した。布帛強度は、商品により異なるが、薄地のストレッチ布帛の場合で、150kPa以上有することが好ましく、150kPa未満では、極端な伸長時に布帛が裂けやすく製品トラブルにつながりやすい。
(実施例1)
地編を、抜蝕性繊維aとしてアルカリ金属スルホン酸基を有する化合物(5−ナトリウムスルホイソフタル酸)2.25モル%及びアジピン酸5.0モル%が共重合した変性ポリエチレンテレフタレート繊維33デシテックス(dtex)/12フィラメント(f)の無撚糸と、伸縮性のない非抜蝕性繊維cとして66ナイロン繊維44dtex/20fとを用いたトリスキン組織とし、挿入糸には伸縮性の非抜蝕性繊維bとしてポリウレタン繊維44dtex/1f及びポリウレタン繊維156dtex/1fを用い2倍に伸ばして、製編し、ラッセル編地を得た。このラッセル編地を、低温から段階的に昇温し80℃にて拡布精練した後、セッター温度180℃にて所定の巾にセットし、コース46本吋、ウエル49本吋、目付260g/mの加工布帛のベース編地とした。
用いた抜蝕性繊維aの変性ポリエチレンテレフタレート繊維は伸縮伸長率が31.2%であり、非抜蝕性繊維cの66ナイロン繊維は伸縮伸長率が42%であり、また伸縮性の非抜蝕性繊維bの一方のポリウレタン繊維は伸縮伸長率が500%、他方のポリウレタン繊維は伸縮伸長率が500%あった。ベース編地におけるこれら繊維の混率(重量)は、変性ポリエチレンテレフタレート繊維45%、66ナイロン繊維40%、ポリウレタン繊維15%であった。
このベース編地に対し、以下に示す組成の抜蝕促進剤を含む抜蝕糊を用い、熱水状態の水酸化ナトリウム水溶液を抜蝕剤として用い、抜蝕加工を施した。抜蝕加工は、抜蝕糊をベース編地の所定箇所に部分的に印捺し、乾燥後、180℃で2分間の乾熱処理を行う工程、次いで湯洗い後、80℃の水酸化ナトリウム10g/リットル水溶液にて30分間浸漬処理し、弱酸中和、水洗して印捺部の抜蝕性繊維aを除去する工程からなる。抜蝕糊の印捺の際は、最もストレッチ性を高くしようとする部分に印捺し、抜蝕性繊維を全て溶解除去して抜蝕部とし、抜蝕糊を印捺しない箇所は、元のベース編地のストレッチ性のままの非抜蝕部とした。また抜蝕糊の印捺の際、中間的なストレッチ性を得ようとする箇所に、面積比50%の小さい花模様に抜蝕部を形成させた。
(抜蝕促進剤含有抜蝕糊)
グリセリンエチレンオキシド10モル付加物:10部(質量部、以下同じ)
下式の第四級アンモニウム塩:2.5部
ファィンガムG17(第一工業製薬社製グアガム系糊剤):6部
水 :81.5部
[[C1225N(CH)(CHCH20)mH](CHCH20)nH)]+Cl(m+n=2〜8の混合品)
次に、この抜蝕加工編地に下記に示す染色条件にて異色染めを行ったところ、抜蝕されていない編地面が青色カチオン染料と赤色酸性染料により赤味のある青色を呈し、抜蝕された部分は、花模様部を含め、赤色酸性染料により赤く染色された66ナイロン繊維と染色されていないポリウレタン繊維が残って赤色を呈し、かつ非抜蝕部と抜蝕部との柄際がクリヤーな透け感の良好で意匠性の高い、部分的に異なるストレッチ性を有するラッセル編地が得られた。
(染色条件)
カチロン ブルー CD−FBLH(保土ヶ谷化学工業社製カチオン染料)
1%owf(対繊維質量)
カヤノール レッド NB(日本化薬社製酸性染料)
0.5%owf
カチロンソルトWニューコンク(保土ケ谷化学工業社製沈でん防止剤)
1%owf
浴比 1:50
温度及び時間 100℃×40分
得られたラッセル編地のストレッチ性を伸長率及び30%伸長時応力で評価したところ、非抜蝕部での伸長率は、経方向150%、緯方向60%、30%伸長時応力は、経方向170cN/gf、緯方向290cN/gfであり、抜蝕部での伸長率は、経方向180%、緯方向160%、30%伸長時応力は、経方向80cN/gf、緯方向50cN/gfであり、また非抜蝕部に対しての抜蝕部の伸長率比は、経方向1.2倍、緯方向2.7倍、30%伸長時応力比は、経方向0.47倍、緯方向0.17倍であり、抜蝕部は、非抜蝕部よりも高いストレッチ性を有する部分であった。また、花模様の抜蝕部を面積比40%で含む非抜蝕部分では、伸長率は経方向160%、緯方向100%、30%伸長時応力は、経方向120cN/gf、緯方向100cN/gfであり、中間的なストレッチ性を有する部分となった。また、得られたラッセル編地の布帛強度は、非抜蝕部で360kPa、抜蝕部で200kPaであった。
このラッセル編地を裁断し、ガードルを作製した。このガードルは、所定部位に、異なるストレッチ部をそれぞれ配し望むべき着圧に差を持たせた製品であり、編地の生地段差を感じなく肉厚感のないもので、また薄く蒸れ感がなく、非常に柔らかい触感である製品となった。この製品のサイズや意匠を変更する場合にも、従来の編地組織等の変更による編立てから行うのではなく、ベース編地から加工まで同一のストレッチ編物を用い、抜蝕加工以降の工程で変更できるため、この方法は、フレキシブルに対応できる手法であった。
(実施例2)
コース45本吋、ウエル50本吋とした以外は、実施例1と同様にして、加工布帛のベース編地とし、中間的なストレッチ性を得ようとする箇所に、面積比50%の小さい花模様に抜蝕部を形成させた以外は、実施例1と同様の条件で、抜蝕加工を施した。
得られたラッセル編地のストレッチ性を伸長率及び30%伸長時応力で評価したところ、非抜蝕部での伸長率は、経方向148%、緯方向74%、30%伸長時応力は、経方向168cN/gf、緯方向347cN/gfであり、抜蝕部での伸長率は、経方向119%、緯方向245%、30%伸長時応力は、経方向80cN/gf、緯方向51cN/gfであり、また非抜蝕部に対しての抜蝕部の伸長率比は、経方向0.8倍、緯方向3.3倍、30%伸長時応力比は、経方向0.48倍、緯方向0.15倍であり、抜蝕部は、非抜蝕部よりも高いストレッチ性を有する部分であった。また、花模様の抜蝕部を面積比50%で含む非抜蝕部分では、伸長率は経方向140%、緯方向133%、30%伸長時応力は、経方向147cN/gf、緯方向147cN/gfであり、中間的なストレッチ性を有する部分となった。また、得られたラッセル編地の布帛強度は、非抜蝕部で350kPa、抜蝕部で200kPaであった。
(比較例1)
実施例2において、非伸縮性の非抜蝕性繊維cの66ナイロン繊維の代わりに、66ナイロン繊維の組織の箇所に、実施例1の抜蝕性繊維aと同じポリマーからなる変性ポリエチレンテレフタレート繊維33dtex/36fの無撚糸を用いた以外は、実施例1と同様にして、ラッセル編地を得た。このラッセル編地を、実施例1と同様、精練、セットし、コース45本吋、ウエル50本吋、目付250g/m2のベース編地とした。なお、用いた変性ポリエチレンテレフタレート繊維は伸縮伸長率が33.8%であり、ベース編地におけるこれら繊維の混率(重量)は、変性ポリエチレンテレフタレート繊維85%、ポリウレタン繊維15%であった。
このベース編地に対し、実施例2と同様にして抜蝕加工を施した。得られたラッセル編地のストレッチ性を伸長率及び30%伸長時応力で評価したところ、非抜蝕部での伸長率は、経方向160%、緯方向60%、30%伸長時応力は、経方向140cN/gf、緯方向250cN/gfであり、抜蝕部での伸長率は、経方向210%、緯方向350%、30%伸長時応力は、経方向40cN/gf、緯方向20cN/gfであり、また非抜蝕部に対しての抜蝕部の伸長率比は、経方向1.3倍、緯方向5.5倍、30%伸長時応力比は、経方向0.29倍、緯方向0.08倍であり、抜蝕部は、非抜蝕部よりも高いストレッチ性を有する部分であった。また、得られたラッセル編地の布帛強度は、非抜蝕部で280kPa、抜蝕部では測定不能であった。
このラッセル編地を裁断し、実施例1と同様のガードルを作製した。このガードルは、所定部位に着圧に差があるものの、抜蝕部分はポリウレタン繊維のみであることから、ストレッチ性が非常に高く、30%伸長時応力も低いため、部分的なサポート感の少ない、望ましい着圧差を有した製品にはならなかった。
(実施例3)
地編に、抜蝕性繊維aとして、固有粘度(ポリマーをフェノール1:テトラクロロエタン1の混合溶媒に溶解し、ウベローデ粘度計により25℃にて測定)0.6、融点244℃の5−ナトリウムスルホイソフタル酸2モル%及びアジピン酸5モル%をポリエチレンテレフタレートに共重合する変性ポリエステルポリマーを鞘成分、固有粘度0.72、融点256℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分とし、芯成分1:鞘成分2の比に、290℃にて芯鞘複合紡糸し延伸して得た、56dtex/24fの芯鞘複合繊維の無撚糸を用い、非抜蝕性繊維cを用いない以外は、実施例1と同様に、トリスキン組織にして製編し、ラッセル編地を得た。このラッセル編地を、実施例1と同様、精練、セットし、コース48本吋、ウエル50本吋、目付240g/mのベース編地とした。なお、用いた芯鞘複合繊維は伸縮伸長率が32%であり、ベース編地におけるこれら繊維の混率(重量)は、芯鞘複合繊維85%、ポリウレタン繊維15%であった。
このベース編地に対し、実施例1と同様にして抜蝕加工を施し、さらに非抜蝕部分の一部にプリント手法で通常の加工条件で小ドット柄に樹脂加工を行った。得られた編地の抜蝕部分にはポリウレタン繊維の他に、抜蝕性繊維aの芯部のポリエチレンテレフタレートが約20dtex/24fの細繊維(非抜蝕性繊維cに相当する)として残っており、この細繊維は目立たない状態で抜蝕部分での強度保持及びストレッチ性の制御に寄与するものであった。
得られたラッセル編地のストレッチ性を伸長率及び30%伸長時応力で評価したところ、抜蝕部での伸長率は経方向160%、緯方向170%、30%伸長時応力は、経方向100cN/gf、緯方向70cN/gfであり、非抜蝕部での伸長率は、経方向130%、緯方向50%、30%伸長時応力は、経方向190cN/gf、緯方向300cN/gfであり、また非抜蝕部に対しての抜蝕部の伸長率比は、経方向1.2倍、緯方向3.4倍、30%伸長時応力比は、経方向0.53倍、緯方向0.23倍であり、抜蝕部は、非抜蝕部よりも高いストレッチ性を有した。
また非抜蝕部に樹脂加工を施した部分は、伸長率が経方向80%、緯方向30%、30%伸長時応力が経方向220cN/gf、緯方向360cN/gfで、樹脂加工を施していない他の非抜蝕部よりもストレッチ性を低下させた部分となり、得られたラッセル編地は、多段階に異なるストレッチ性を有するものであった。また、得られたラッセル編地の布帛強度は、非抜蝕部で300kPa、抜蝕部で190kPaであった。
このラッセル編地を裁断し、ガードルを作製した。このガードルは、所定部位に異なるストレッチ部を配することにより着圧に所望の差を持たせた製品であり、編地の生地段差を感じなく肉厚感のないもので、また薄く蒸れ感がなく、非常に柔らかい触感である製品となった。この製品のサイズや意匠を変更する場合にも、従来の編地組織等の変更による編立てから行うのではなく、ベース編地から加工まで同一のストレッチ編物を用い、抜蝕加工以降の工程で変更できるため、この方法は、フレキシブルに対応できる手法であった。
本発明は、抜蝕加工における抜蝕剤を印捺する際、印捺に使用する型を変更するだけで、様々な形状の部分的にストレッチ性に差を有する布帛が製造できる。これによって製品の型番やサイズ毎に布帛の織編組織等の異なる布帛を製造する必要がなくなり、製造のリードタイムを短縮することが可能となり、また小ロット、多品種の製造を可能とするものである。

Claims (11)

  1. 相対的に高いストレッチ性を有する部位と相対的に低いストレッチ性を有する部位とを有し、
    前記相対的に高いストレッチ性を有する部位が伸縮性を有する繊維及び非伸縮性を有する繊維とから構成され、前記相対的に低いストレッチ性を有する部位よりも伸長率が高い、部分的に異なるストレッチ性を有する布帛であって、
    前記相対的に高いストレッチ性を有する部位の伸長率が、前記相対的に低いストレッチ性を有する部位の伸長率の1.1〜5.0倍であり、前記相対的に高いストレッチ性を有する部位の30%伸長時応力が、前記相対的に低いストレッチ性を有する部位の30%伸長時応力の0.05〜0.90倍であり、
    前記相対的に高いストレッチ性を有する部位が、下記(1)〜(4)を満たすストレッチ性ベース布帛の任意の箇所に抜蝕促進剤を含む抜蝕糊を印捺し、抜蝕剤により印捺部の抜蝕性繊維aの一部または全部を除去する抜蝕加工により形成され、
    前記相対的に低いストレッチ性を有する部位が、前記ストレッチ性ベース布帛に対して抜蝕加工しなかった部位である、部分的に異なるストレッチ性を有する布帛。
    (1)前記ストレッチ性ベース布帛は前記抜蝕性繊維aと、非抜蝕性繊維bと、非抜蝕性繊維cとで構成され、
    (2)前記抜蝕性繊維aの少なくとも一部は、前記抜蝕剤により溶解するポリマーにより構成され、
    (3)前記非抜蝕性繊維bは、前記抜蝕剤には溶解せず、かつ伸縮性を有し、
    (4)前記非抜蝕性繊維cは、前記抜蝕剤には溶解せず、かつ非伸縮性を有する。
  2. 請求項1に記載の布帛を用いた衣類。
  3. ガードル、ボディスーツ、レオタード、ショーツ、ブラジャー、スパッツ、スポーツ用タオル、スポーツ用インナー、靴下、及び水着から選ばれる請求項記載の衣類。
  4. ストレッチ性ベース布帛の任意の箇所に抜蝕促進剤を含む抜蝕糊を印捺し、抜蝕剤により印捺部の抜蝕性繊維aの一部または全部を除去し、下記(1)〜(4)を満たし、少なくとも布帛の経緯方向のいずれか一方の、非抜蝕部と抜蝕部との間に、非抜蝕部に対する抜蝕部の伸長率比が1.1〜5.5倍、非抜蝕部に対する抜蝕部の30%伸長時応力比が0.05〜0.9倍である、部分的に異なるストレッチ性を有する布帛の製造方法。
    (1)前記ストレッチ性ベース布帛は前記抜蝕性繊維aと、非抜蝕性繊維bと、非抜蝕性繊維cとで構成され、
    (2)前記抜蝕性繊維aの少なくとも一部は、前記抜蝕剤により溶解するポリマーにより構成され、
    (3)前記非抜蝕性繊維bは、前記抜蝕剤には溶解せず、かつ伸縮性を有し、
    (4)前記非抜蝕性繊維cは、前記抜蝕剤には溶解せず、かつ非伸縮性を有する。
  5. 前記抜蝕性繊維aとして、アルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステルポリマーからなる変性ポリエステル繊維を用いる請求項記載の部分的に異なるストレッチ性を有する布帛の製造方法。
  6. 前記非抜蝕性繊維bとして、ポリウレタン繊維を用いる請求項記載の部分的に異なるストレッチ性を有する布帛の製造方法。
  7. 前記非抜蝕性繊維cとして、ポリアミド繊維を用いる請求項記載の部分的に異なるストレッチ性を有する布帛の製造方法。
  8. さらに、布帛の非抜蝕部の一部に樹脂加工を行う請求項記載の部分的に異なるストレッチ性を有する布帛の製造方法。
  9. ストレッチ性ベース布帛の任意の箇所に抜蝕促進剤を含む抜蝕糊を印捺し、抜蝕剤により印捺部の抜蝕性繊維aの一部を除去し、下記(5)〜(7)を満たし、少なくとも布帛の経緯方向のいずれか一方の、非抜蝕部と抜蝕部との間に、非抜蝕部に対する抜蝕部の伸長率比が1.1〜5.5倍、非抜蝕部に対する抜蝕部の30%伸長時応力比が0.05〜0.9倍である、部分的に異なるストレッチ性を有する布帛の製造方法。
    (5)前記ストレッチ性ベース布帛は前記抜蝕性繊維aと、非抜蝕性繊維bとで構成され、
    (6)前記抜蝕性繊維aは、アルカリ金属スルホン酸基を有する化合物により変性されたポリエステルポリマーと、前記抜蝕剤には溶解しない非抜蝕性ポリマーから構成され、
    (7)前記非抜蝕性繊維bは、前記抜蝕剤には溶解せず、かつ伸縮性を有する。
  10. 前記非抜蝕性繊維bとして、ポリウレタン繊維を用いる請求項記載の部分的に異なるストレッチ性を有する布帛の製造方法。
  11. さらに、布帛の非抜蝕部の一部に樹脂加工を行う請求項記載の部分的に異なるストレッチ性を有する布帛の製造方法。
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