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JP5400543B2 - 回路基板の貫通電極の形成方法 - Google Patents
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本発明は、各種電気・電子機器で使用される配線基板の微細貫通孔に導電性金属を充填し、貫通電極を製造する方法に関する。
各種の電気・電子機器で使用されている多層化された回路基板の貫通孔への導電金属充填プロセスとしては、従来からめっき法が多用されている。しかし、めっき法のような電気化学的手法による金属充填は、比較的時間を要するものであり、製造効率が良好なものとはいえない。また、めっき法は、アスペクト比(孔深さ/開口径)が高い貫通孔に対しては、めっき液が孔の奥にまで侵入し難いため、対応することができない。近年の回路基板は、高密度化が加速しており、貫通孔もより微細なものとなっていることから、改善を要するものであった。
そこで、上記のようなめっき法による問題を解決するための方法として、充填する金属を溶融状態で微細孔に充填する技術が開示されている(特許文献1)。この方法は、減圧された真空チャンバー内の溶融金属槽に基板を挿入した後、真空チャンバー内を昇圧することで雰囲気圧差により微細孔に溶融金属を充填し、これを凝固させるものである。
特開2005−109515号公報
上記溶融金属の充填による貫通電極の製造方法は、金属をそのまま孔に充填するものであり、作業効率に優れ、また、雰囲気圧差を適切に設定することで微細孔への充填も可能なものといえる。しかしながら、この方法の場合、基板を溶融状態の金属に浸漬することが必要であり、基板を過度に加熱することとなる。基板に対する熱の影響としては、基板自体の変形・破損もあるが、基板に予め配置させた導電膜が溶融金属と反応して消失するという問題がある。また、基板に予めレジスト膜を形成している場合には、熱によりレジストが変質する可能性がある。従って、上記従来技術においては、溶融金属の熱による問題が大きい。
そこで本発明は、以上のような背景のもと、基板上の微細な貫通孔への金属充填の方法について、基板への熱的影響を軽減することができ、且つ、効率的な製造を可能とする方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、貫通孔充填のために所定の金属ペーストを用いることとした。即ち、本発明は、貫通孔を有する基板の、前記貫通孔に導電性金属を充填し貫通電極を形成する方法において、純度が99.9重量%以上であり、平均粒径が0.005μm〜1.0μmである金粉、銀粉またはパラジウム粉から選択される一種以上の金属粉と、有機溶剤と、からなる金属ペーストを用い、前記金属ペーストに周波数60Hz〜100kHzの機械的振動を印加しながら前記基板に塗布し、前記金属ペーストの塗布と同時、又は、前記金属ペーストの塗布後に前記貫通孔を他端側から減圧して金属ペーストを貫通孔内に吸引し、その後金属ペーストを焼結する貫通電極の形成方法である。
ここで、電子回路基板製造の分野における金属ペーストの適用は、基板表面の配線パターン形成等で広く用いられている。この場合における金属ペーストは、導電金属の粉末とガラスフリットを有機溶剤に分散させたものである。これに対し本発明で使用する金属ペーストは、一般的な金属ペースとは異なり、ガラスフリットを混合しない金属粉末と有機溶剤からなるものである。このようなガラスフリットを使用しない金属ペーストを使用するのは、その構成成分を実質的に金属粉末のみ(有機溶剤は塗布後の乾燥、焼結工程で消失する)とし、これを焼結することで、微小な金属粉末が塑性変形しつつ強固に結合し、緻密な貫通電極となるからである。
ここで、金属ペーストを構成する金属粉末は、純度が99.9重量%以上であり、平均粒径が0.005μm〜1.0μmである金(Au)粉、銀(Ag)粉またはパラジウム(Pd)粉から選択される一種以上の金属粉である。金属粉末の純度が99.9%以上のものとするのは、純度が99.9重量%未満であると必要な通電性を確保できないおそれがあるからである。また、金属粉の平均粒径は0.005μm〜1.0μmとするのは、1.0μmを超える粒径の金属粉では、微小な貫通孔に充填したときに大きな隙間が生じ、最終的に必要な通電性を確保できないからであり、0.005μm未満の粒径では、金属ペースト中で凝集しやすくなり、基板への塗布において以下に機械的振動を加えようと全面的塗布が難しくなるからである。
そして、金属ペーストで用いる有機溶剤としては、エステルアルコール、ターピネオール、パインオイル、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、カルビトール、パークロールが好ましい。これらの溶剤は、レジストへの攻撃性も低く、且つ、比較的低温(50℃未満)でも揮発可能であり、金属ペースト塗布後の乾燥を容易なものとすることができる。特に、パークロールは室温での乾燥が可能であり特に好ましい。
塗布する金属ペーストの金属粉末と有機溶剤との配合割合については、金属粉末を80〜99重量%とし有機溶剤を1〜20重量%として配合する。かかる割合にするのは、金属粉末の凝集を防ぎ、且つ充填するのに十分な金属粉を供給できるようにするためである。
また、本発明で使用する金属ペーストは、添加剤を含んでも良い。この添加剤としては、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、アルキッド樹脂から選択される一種以上がある。例えば、アクリル系樹脂としては、メタクリル酸メチル重合体を、セルロース系樹脂としては、エチルセルロースを、アルキッド樹脂としては、無水フタル酸樹脂を、それぞれ挙げることができる。これらの添加剤は、金属ペースト中での金属粉末の凝集を抑制する作用を有し、金属ペーストを均質なものとする。添加剤の添加量は、金属ペーストに対して2重量%以下の割合とすることが好ましい。安定した凝集抑制効果を維持しつつ、金属粉含有量を貫通孔充填に十分な範囲内とすることができる。
以上説明した金属ペーストを貫通孔充填のために基板に塗布するとき、金属ペーストに所定周波数の機械的振動を与えることが必要である。この機械的振動を付与しながらのペースト塗布は、一般的な(ガラスフリットを含む)金属ペーストの塗布では行われない特徴的な作業である。本発明における金属ペーストは、有機溶剤に金属粉末のみが分散したものであり、流動性に乏しいため基板に塗布したとき均一に塗り広げることが困難である。本発明は、金属ペーストに所定周波数の機械的振動を印加することで、金属ペーストを基板に塗り広げることができる。
この金属ペーストに印加する機械的振動の周波数は60Hz〜100kHzとする。この範囲での振動により、金属ペーストの流動性の悪さを解消することができる。そして、より好ましくは、100Hz〜30kHzとするのが良い。基板に全面的に塗り広げるためである。
金属ペーストを基板に塗布する手法としては、基板に金属ペーストを吐出させた後又は吐出させつつ、上記周波数で振動させたブレード(ヘラ)を金属ペーストに接触させながら基板全体に塗り広げることが好ましい。金属ペーストに対し直接機械的振動を与えることにより、金属ペースト中の金属粉末に振動が加わり、流動性が向上する。かかる目的から、機械的振動は金属ペーストのみに付与されることが好ましく、また上記範囲内の周波数を維持するためにも、基板に対してはブレードが接触しないよう維持することが好ましい。このブレード先端と基盤との距離(ギャップ)としては、50〜200μmとするのが好ましい。尚、ここでの基板とは、その表面にレジスト層、導電膜等が形成された状態のものを含む。よって、ブレード先端と基板とのギャップとは、基板の最表面との距離を意味する。
上記の金属ペースト塗布により、基板に全面的に塗り広げられた金属ペーストは、そのままの状態では貫通孔に完全に侵入し難い。そこで、貫通孔に金属ペーストを完全に充填するためには、貫通孔を減圧して金属ペーストを吸引することが好ましい。貫通孔の減圧方法としては、基板の裏面(金属ペーストを塗布する面の反対)を減圧するのが好ましく、−10〜−90kPaとするのが好ましい。
貫通孔へ金属ペーストを充填した後には、金属ペーストの乾燥を行うのが好ましい。充填後にすぐに焼結を行うと、有機溶剤揮発によるガス発生が急激になり焼結体の形状に影響が生じるからである。また、一旦乾燥を行うことで、貫通孔中の金属粉末を仮固定することができ、後述するレジスト除去等の際の取り扱い性を確保することができるからである。この乾燥工程は、乾燥温度は100℃以下が好ましく、室温程度でも可能である。
金属ペーストを焼結するときの加熱温度は150〜300℃とするのが好ましい。150℃未満では、貫通孔内の金属粉を十分に焼結できないからであり、300℃を超えると、焼結が過度に進行し、金属粉末間のネッキングの進行により硬くなり過ぎたり、体積減少が生じるからである。また、焼結温度が高すぎると、基板及びその上の導電膜への影響が懸念されるからである。
以上の金属ペーストの塗布、焼結により貫通孔内の金属粉末は焼結固化され貫通電極となる。上記条件で形成される貫通電極は、貫通孔壁面との間に隙間を生じさせるものではなく、また、適度に緻密化され良好な導電体となっている。
尚、本発明において適用される基板については、特に限定はない。貫通孔について、その孔径も微細なものに対応可能であり、5〜50μm程度の微細孔への充填も可能となっている。また、基板上に予めレジスト膜を形成したものであっても対応可能である。この場合、金属ペーストを塗布(充填)後、金属ペーストを乾燥した後にレジストを除去するのが好ましい。上記のように乾燥温度は、比較的低温とすることができこの温度でレジストがダメージを受けることはない。そして、乾燥後の金属ペーストは仮固定された状態であり、このときにレジスト除去をしても貫通孔内の金属粉末が脱落することはない。よって、乾燥、レジスト除去、焼結の順序での作業により、効率的な貫通電極を形成することができる。
以上説明したように、本発明によれば、アスペクト比の高い微小な貫通孔に対する導電金属の充填を効率的に比較的低温で実施することができる。本発明では、基板上のレジストや導電膜にダメージを与えることもなく、効率的な回路基板の製造が可能となる。
金属ペーストを基板上に塗り広げる工程の概念図。 焼結処理後の評価基準を説明する図。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。本実施形態では、まず、金属ペーストを製造し、これを種々の周波数の機械的振動を印加しつつ基板に塗布し、その広がり状態を評価して好適な周波数の範囲を検討した。金属ペーストは、湿式還元法により製造された粒径0.3μmの金からなる金属粉末(純度99.99重量%)を、有機溶剤であるパークロールに混合して調整したものを用いた(金粉末の混合量99%)。そして、この金属ペーストを基板(材質:シリコン、寸法:30mm×20mm厚さ250μm)に塗布した。尚、金属粉末の平均粒径は、光透過式遠心沈降法により、波長780nmのレーザー光の透過光強度から検出した粒度分布から算出した。
このとき、図1のように、金属ペーストを基板上に滴下し、これを所定周波数で振動するシリコンブレード(ブレード幅30mm)で基板全面に塗り広げた後の金属ペースト状態から被覆率を求めた。このとき、ブレードと基板とのギャップ及びブレードの周波数を変更しつつ検討を行った。この評価結果を表1に示す。
Figure 0005400543
表1のとおり、金属ペーストへの機械的振動の印加により、金属ペーストの塗布状態の改善効果があることがわかる。そして、金属ペーストを充填する貫通孔の分布状態にもよるが、上記評価基準で少なくとも「B」以上の被覆が要求されるといえ、そのためには振動周波数を60Hz〜100kHzとすることが必要であり、最も好ましくは100Hz〜30kHzとすることが必要であるといえる。また、ブレードと基板とのギャップについては、50〜200μmとするのが好ましいことも確認できる。
以上の予備試験を経て、実際に貫通孔を有する基板への貫通電極形成を行った。上記基板と同一寸法に貫通孔(孔径:10μm)を90個形成したものについて、ペースト塗布(充填)、乾燥、焼結を行った。このときの金属ペースト塗布の条件は、周波数を119Hz、30kHz、100kHzとし、上記と同様のシリコンブレードを使用した。
そして、上部のみに開口を有する基板と同寸法の密閉容器の上に、多孔質セラミック板を載置し、セラミック板の上に上記金属ペースト塗布後の基板を載置して密閉空間を形成した。その後、上記の密閉容器を−10kPa〜−90kPaで減圧し、セラミック板を介して基板塗布面のペーストを吸引した。その後、基板全体を90℃で1時間乾燥し、その後230℃で2時間加熱して金属粉末の焼結を行った。
上記により形成した貫通電極の基板断面をX線観察し、図2のように、貫通孔全体に焼結体が形成されたものを「良」、貫通孔中に空隙部分のあるものを「不良」とし、基板の貫通孔90個中における「良」の数をカウントし、孔埋込率とした。
本実施例(金属ペースト塗布時の周波数:119Hz)における貫通電極の孔埋込率は96%であった。尚、同様の工程で周波数30kHz、100kHzとして貫通電極を形成したが、孔埋込率は95〜100%の範囲内にあり、良好なものであった。尚、上記実施例では、金属粉末の焼結温度を230℃に設定したものであったが、上記以外に180℃、280℃で焼結したときも同様の結果が得られた。
本発明は、各種電子・電気機器の回路基板に設置される貫通電極の形成に有用である。本発明は、今後より小型化・高集積化が進行する回路基板製造の要求に応えるものである。

Claims (7)

  1. 貫通孔を有する基板の、前記貫通孔に導電性金属を充填し貫通電極を形成する方法において、
    純度が99.9重量%以上であり、平均粒径が0.005μm〜1.0μmである金粉、銀粉またはパラジウム粉から選択される一種以上の金属粉と、有機溶剤とからなり、ガラスフリットを含まない金属ペーストを用い、
    前記金属ペーストに周波数60Hz〜100kHzの機械的振動を印加しながら前記基板に塗布し、
    前記金属ペーストの塗布と同時、又は、前記金属ペーストの塗布後に前記貫通孔を他端側から減圧して金属ペーストを貫通孔内に吸引し、
    その後金属ペーストを150〜300℃の加熱温度で焼結する貫通電極の形成方法。
  2. 金属ペーストの塗布は、機械的振動が印加されたブレードで基板に吐出させた金属ペーストを塗り広げるものであり、前記ブレードを基板と非接触な状態で移動させるものである請求項1記載の貫通電極の形成方法。
  3. ブレード先端部と基板との距離を50〜200μmに保持してブレードを移動させる請求項2記載の貫通電極の形成方法。
  4. 金属ペーストに印加する機械的振動の周波数を100Hz〜30kHzとする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の貫通電極の形成方法。
  5. 金属ペースト焼結前に乾燥工程を有し、乾燥工程における乾燥温度は100℃以下である請求項1〜請求項4のいずれかに記載の貫通電極の形成方法。
  6. 金属ペーストを構成する有機溶剤は、エステルアルコール、ターピネオール、パインオイル、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、カルビトール、パークロールである請求項1〜請求項5のいずれかに記載の貫通電極の形成方法。
  7. 金属ペーストは、更に、添加剤としてアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、アルキッド樹脂から選択される一種以上を含む請求項1〜請求項6のいずれかに記載の貫通電極の形成方法。
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