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JP5481977B2 - 温度制御方法、温度制御装置及び光デバイス - Google Patents
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JP5481977B2 - 温度制御方法、温度制御装置及び光デバイス - Google Patents

温度制御方法、温度制御装置及び光デバイス Download PDF

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Description

本発明は、温度制御方法、温度制御装置及び光デバイスに関する。前記温度制御には、例えば、半導体光素子の温度制御が含まれる。
チューナブルLD(Laser Diode)などの半導体レーザ,半導体光増幅器〔SOA(Semiconductor Optical Amplifier)〕及びPD(Photo Detector)などの半導体光素子は、印加電流を制御されることで、各種の光学特性を発揮する。
しかし、半導体光素子(以下、単に光素子ともいう)に電流を印加して駆動した場合、光素子の自己発熱により素子活性層部の温度が上昇する。その結果、素子活性層部を形成している半導体のバンドギャップエネルギーが変動し、光素子の光学特性が変化する場合がある。
そのため、印加電流を制御して光素子を駆動する場合、所望の光学特性を達成するため、例えば、光素子の温度を一定に制御する温度制御デバイスを併用することがある。例えば、白金測温抵抗体,熱電対,またはサーミスタなどの温度検出デバイスにより光素子の温度を検出し、当該検出結果に基づき、ペルチェ素子やヒータなどの温度制御デバイスがフィードバック温度制御を行なうことにより、光素子の温度を一定に制御する。
なお、従来の技術として、例えば、下記特許文献1には、マーク率変動による光出力ピークパワー変動を補償するフィードフォワード型APC回路を備えたレーザダイオード駆動回路が記載されている。
また、下記特許文献2には、波長ロック型LDデバイスにおけるTEC素子の発熱/冷却作用をフィードバック補償しながら出力波長を一定に維持させて駆動するにあたり、当該コントローラを、簡単にかつ瞬時的に温度制御系から出力波長制御系に切替えて、当該制御における不連続性の発生を有効に抑制する方法が記載されている。
さらに、下記特許文献3には、電気的なフィードフォワードとフィードバックの両方を含む、光信号の増幅の利得を制御する方法が記載されている。
特開2002−237649号公報 特開2003−198054号公報 特開2003−283027号公報
しかし、上述した温度制御方法では、温度検出デバイスが光素子の温度変化を検出した後、当該検出結果に基づき、温度制御デバイスがフィードバック温度制御を行なうので、光素子の温度が変化してから温度制御が効き始めるまでの時間が長い。
また、温度検出デバイスは、一般的に、光素子の近傍に配置されるため、光素子の温度が実際に変化してから、温度検出デバイスが当該温度変化を検出するまでに所定の時間がかかる。
従って、光素子の温度をフィードバック制御する場合、光素子の温度が変化してから温度制御が効き始めるまでの時間が大きいので、光素子の温度を秒オーダよりも小さい次元で制御することは困難である。
図1に、駆動電流が印加された光素子の出力を一定にするため、フィードバック温度制御(例えば、PID制御)を行なった場合の光素子の出力電圧の時間変化を示す。なお、図1に示す例では、光素子として、SOAを用い、SOAの入力信号として、1552.5nmの波長及び−15dbmのパワーを有する光信号を用いた。この図1では、縦軸がSOAの出力電圧(光出力パワー)を示し、横軸(対数軸)が時間経過を示す。
図1に示すように、停止(OFF)状態(駆動電流=0mA)のSOAに、例えば、300mAの駆動電流(例えば、パルス電流)を印加した場合、当該駆動電流の印加時から約1秒経過するまでSOAの光出力パワーは低下する。これは、駆動電流の印加によりSOAが自己発熱し、その温度変化によってSOAの増幅効率が低下するためである。図1に示す例では、駆動電流を印加してから約1秒程度の間に、SOAの光出力パワーは約3.5dB減衰している。
そして、SOAに駆動電流が印加されてから約1秒経過後、例えば、SOAに並設された温度検出デバイス(温度センサ)がSOAの温度変化を検出し、さらに、ペルチェ素子などの温度制御デバイスが、前記検出結果に基づき、SOAの冷却を開始する。
しかし、上述したように、SOAでの温度変化が温度検出デバイスに到達するまでに約1秒かかるほか、温度制御デバイスからの冷却熱がSOAに到達するまでに所定の時間を要する。その結果、例えば、駆動電流が300mAの場合、駆動電流が印加されてからSOAの光出力パワーは安定(収束)するまでには、約100秒かかる。
また、例えば、駆動電流が、200mA,150mA,100mAの場合でも、駆動電流の印加から約1秒後までに、SOAの光出力パワーは、それぞれ、約2.6dB,2.4dB,2.6dB程度減衰する。加えて、駆動電流の印加からSOAの出力が一定になるまでには、いずれも約30秒かかる。
ところで、光素子の光出力パワーの上記減衰を補償すべく、光素子に印加される駆動電流量そのものを増加させる方法もあるが、この場合、駆動電流量の増加に伴って、SOAの自己発熱も増加するので、光出力パワーはさらに低下することとなる。そのため、光素子の出力レベルを一定に制御するために駆動電流量を制御する方法は有効でない。
一般的に、化合物半導体を用いた光素子は、抵抗成分を有するため、駆動電流の印加により発熱し、その出力特性が変化する。
そのため、より高速に光素子を電流制御する場合、フィードバック制御による温度制御では、出力特性の変動に追従できないことがある。また、光素子の周囲の温度状態によっても、光素子の熱状態が変化する場合があり、フィードバック制御では、前記温度変化に高速に対応できないことがある。
そこで、本発明は、光素子の温度制御を高速化することを目的の1つとする。
(1)第1の案として、駆動電流の印加により駆動する光素子と、前記光素子の温度を変化させる温度制御部と、前記温度制御部を電流制御する制御部とをそなえた光デバイスにおける温度制御方法であって、前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間を測定した結果に基づいて決定された時間だけ、前記光デバイスに入力される入力信号に遅延を与え、前記制御部が、前記入力信号が前記光デバイスに入力された時点から前記温度制御部を電流制御し、前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間に相当する時間だけ遅延が与えられた入力信号に同期したタイミングにて前記駆動電流を前記光素子に印加する、温度制御方法を用いることができる。
(2)また、第2の案として、駆動電流の印加により駆動する光素子の温度を制御する温度制御装置であって、前記光素子の温度を変化させる温度制御部と、前記温度制御部を
電流制御する制御部と、前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間を測定した結果に基づいて決定された時間だけ、光デバイスに入力される入力信号に遅延を与える遅延部と、をそなえ、前記制御部が、前記入力信号が前記光デバイスに入力された時点から前記温度制御部を電流制御し、前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間に相当する時間だけ遅延が与えられた入力信号に同期したタイミングにて前記駆動電流を前記光素子に印加する、温度制御装置を用いることができる。
(3)さらに、第3の案として、光デバイスであって、駆動電流の印加により駆動する光素子と、前記光素子の温度を変化させる温度制御部と、前記温度制御部を電流制御する制御部と、前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間を測定した結果に基づいて決定された時間だけ、前記光デバイスに入力される入力信号に遅延を与える遅延部と、をそなえ、前記制御部が、前記入力信号が前記光デバイスに入力された時点から前記温度制御部を電流制御し、前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間に相当する時間だけ遅延が与えられた入力信号に同期したタイミングにて前記駆動電流を前記光素子に印加する、光デバイスを用いることができる。
光素子の温度制御を高速化することが可能となる。
光素子の出力電圧の時間変化を示す図である。 光モジュールの構成の一例を示す模式図である。 光モジュールの各パラメータの時間応答波形を示す図である。 光モジュールの各パラメータの時間応答波形を示す図である。 光モジュールの各パラメータの時間応答波形を示す図である。 一実施形態に係る光デバイスの構成の一例を示す図である。 光モジュールの各パラメータの時間応答波形を示す図である。 (A)はフィードバック制御におけるチップ温度の時間変化を示す図であり、(B)はフィードフォワード制御におけるチップ温度の時間変化を示す図である。 光モジュールの配置の一例を示す図である。 光モジュールの構造の一例を示す図である。 ペルチェTECの構成の一例及び各パラメータを示す図である。 光モジュールにおける熱の入出力関係を示す模式図である。 駆動電流Idriveとペルチェ電流ITECとの関係を示す図である。 図13に示す系列Iのペルチェ電流量の一例を示す図である。 図13に示す系列IIのペルチェ電流量の一例を示す図である。 第1変形例に係る光デバイスの構成の一例を示す図である。
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも例示に過ぎず、以下に示す実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。
〔1〕一実施形態
(1.1)光モジュール構成
図2は光モジュールの構成の一例を示す図である。
この図2に示す光モジュール200は、例示的に、光素子(チップ)201と、サーミスタ202と、キャリア203と、ステム204と、温度制御部〔ペルチェTEC(Thermo-Electrical Cooler)〕205とをそなえる。
チップ201は、駆動電流を印加されることにより所定の光学機能を発揮する。チップ201には、例えば、電流により波長を制御可能なチューナブルLD,出力をパルス状に出力可能な半導体LD,SOA及びPDなどの各種光機能デバイスを用いることができる。
サーミスタ202は、チップ201の温度(以下、チップ温度ともいう)を検出する。サーミスタ202には、例えば、NTC(Negative Temperature Coefficient),PTC(Positive Temperature Coefficient)及びCTR(Critical Temperature Resistor)などの各種方式のサーミスタを用いることができる。また、サーミスタ202の代わりに、白金測温抵抗体,熱電対を用いてもよい。なお、サーミスタ202は、例えば、チップ201の近傍に配置されるので、実際には、チップ201からキャリア203を介して伝わる熱(温度変化)を検出するが、当該検出結果に基づき、近似的にチップ温度を測定することができる。
キャリア203は、チップ201とサーミスタ202とを搭載する。キャリア203には、例えば、金属製の板状部材を用いることができる。
また、ステム204は、キャリア203を搭載する。ステム204には、例えば、金属部材を用いることができる。
ペルチェTEC205は、チップ201の温度を変化させる。例えば、ペルチェTEC205は、電流(以下、ペルチェ電流という)を印加されることにより、当該ペルチェ電流に応じた冷却熱を発生する。ペルチェTEC205は、例えば、バイアス駆動されることにより、ターゲットを冷却するほか加熱することもできる。なお、ペルチェTEC205の代わりに、例えば、ヒータや水冷デバイスなどの他の温度制御デバイスを用いてもよい。ヒータは、駆動電流に応じた熱を発生させる温度制御デバイスであり、水冷デバイスは、例えば、駆動電流量に応じて冷却水の流量を制御することにより、温度制御可能なデバイスである。
ここで、図2に例示する光モジュール200では、例えば、ペルチェTEC205上にステム204が搭載され、ステム204上に、チップ201とサーミスタ202とが搭載されたキャリア203が配置される。
キャリア203及びステム204は、例えば、チップ201の歩留まり、コスト、評価工程を考慮して、通常は分離して配置される。具体的には、例えば、ステム204は、一般的に、レンズ等の光学部品を搭載するので、チップ201を搭載したキャリア203とステム204とを一体で製作した後で、チップ201が品質を満たさないと評価された場合には全てを取り換えることとなり、コストがかかるからである。また、チップ201は他の部材(サーミスタ202,レンズなど)に比して小さいため、チップ201単体では評価できない。そこで、チップ201は、通常、キャリア203にボンディングされ、キャリア203のパターンを用いて通電され評価される。そして、当該評価に合格したチップ201がステム204に搭載されるが、前記ボンディングの際に熱が加えられるため、その時点でチップ201が破壊される可能性がある。そのため、キャリア203にボンディング済みのチップ201を評価し、キャリア203と別に設けられたステム204にキャリア203を搭載したほうが効率的であるからである。
ところで、チップ201及びサーミスタ202は、例えば、互いに所定の距離をあけてキャリア203に設けられる。そのため、駆動電流の印加によりチップ201の自己発熱が始まると、チップ201で発生した熱は、まずキャリア203に伝わる。
そして、チップ201で発生した熱は、例えば、熱時定数t2(t2>0)の経過後、サーミスタ202に到達し、サーミスタ202においてチップ201の温度変化が検出(観測)される。ここで、熱時定数t2は、熱量が、チップ201からキャリア203を介してサーミスタ202に到達するまでにかかる時間を表す。そのため、t2は、例えば、キャリア203の材料,チップ201とサーミスタ202との距離などにより異なる値をとる。
光モジュール200においてチップ温度のフィードバック制御を行なう場合、例えば、チップ201で熱が発生してからt2経過後にサーミスタ202がその熱を検出し、当該検出結果に基づき、ペルチェTEC205がチップ温度を制御する。
以上のように、t2は、チップ温度のフィードバック制御を行なう場合の収束時間(チップ201の温度を一定にするまでに要する時間)を増大させる要因の一つである。
また、ペルチェTEC205で発生した熱(例えば、冷却熱)は、ステム204及びキャリア203を介して、チップ201及びサーミスタ202に到達する。
そのため、ペルチェTEC205で発生した熱は、例えば、ペルチェTEC205で発生してから熱時定数t1(t1>0)経過後にチップ201に到達し、ペルチェTEC205で発生してから熱時定数t3(t3>0)経過後にサーミスタ202に到達する。ここで、熱時定数t1は、熱量が、ペルチェTEC205からステム204及びキャリア203を介してチップ201に到達するまでにかかる時間を表す。また、熱時定数t3は、熱量が、ペルチェTEC205からからステム204及びキャリア203を介してサーミスタ202に到達するまでにかかる時間を表す。そのため、t1及びt3は、例えば、ステム204及びキャリア203の材料,キャリア203及びステム204の材料幅などにより異なる値をとる。
光モジュール200においてチップ温度のフィードバック制御を行なう場合、例えば、チップ201で熱が発生してからt2経過後にサーミスタ202がその熱を検出し、当該検出結果に基づき、ペルチェTEC205がチップ温度のフィードバック制御を行なう。このとき、ペルチェTEC205から発生した冷却熱は、t1経過後にチップ201に到達し、t3経過後にサーミスタ202に到達する。
以上のように、t1及びt3も、チップ温度のフィードバック制御を行なう場合の収束時間を増大させる要因の一つである。なお、図2の光モジュール200構成においては、ペルチェTEC205からチップ201、サーミスタ202までの距離や、その間に介在する材料の特性などから、t1とt3とはほぼ等しい値となる。
(1.2)光モジュール200の時間応答特性
ここで、光モジュール200のチップ201に対して、例えば、約300mAのパルス状駆動電流を印加した場合における光モジュール200の各パラメータ時間応答波形の一例を図3に示す。
図3によれば、まず、チップ201に上記駆動電流が印加されると〔図3の(1)駆動電流を参照〕、これに伴い、チップ温度が上昇する〔図3の(2)チップ温度を参照〕。このチップ温度は、上述したように、例えば、サーミスタ202により検出される温度(以下、サーミスタ温度ともいう)から推定することができる。
サーミスタ202は、チップ温度が上昇してからt2経過後に、チップ201で発生した熱を検出する〔図3の(4)サーミスタ温度を参照〕。
サーミスタ202によりチップ温度の上昇が検出されると、ペルチェTEC205が、フィードバック温度制御(PID制御)によりチップ201の冷却を開始する〔図3の(5)ペルチェ電流を参照〕。
チップ201の光出力は、チップ温度の上昇により、「t2+t1(≒t3)+制御時間」の間、下がり続ける〔図3の(3)光出力を参照〕。ここで、制御時間は、サーミスタ温度が低下してからペルチェTEC205が冷却熱を生成するまでの時間をいう。
ペルチェTEC205からの冷却熱がチップ201に到達すると、チップ温度は下がり始め、光出力が上昇し始める。
一般的な光モジュール200及び温度制御装置(サーミスタ202及びペルチェTEC205など)を用いてフィードバック温度制御を行なう場合、「t2+t1(≒t3)+制御時間」が約1秒程度であることは図1で示したとおりである。
また、図3に示す例では、駆動電流の印加により、チップ温度は約5℃〜7℃上昇し、光出力は約2dB〜4dB減少する。さらに、チップ201に駆動電流を印加してから、チップ温度が元の温度に戻るまで、5秒程度かかる。
一方、駆動電流の印加を停止した場合、自己発熱によるチップ温度の上昇は停止するが、ペルチェTEC205からの冷却熱はしばらくの間供給されるので、チップ温度は低下する。そのため、一時的に光出力は増加する。サーミスタ205は、チップ温度の上昇が停止してからt2経過後に、その温度変化を検出するため、ペルチェTEC205による温度制御がt2遅れるためである。光出力の一時的な増加は、駆動電流の停止後、「t2+t1(≒t3)+制御時間」の間、継続する。
この場合、例えば、チップ温度の低下からt2後、サーミスタ202によりチップ温度の低下が検出され、ペルチェTEC205が、当該検出結果に基づき、チップ201の加熱を開始する。しかし、サーミスタ202は、チップ温度が実際に変化してからt2経過後にチップ温度を検出するので、過加熱及び過冷却が繰り返されることとなる。
以降、ペルチェTEC205によりチップ201の冷却と加熱とが繰り返され、チップ温度は一定値に収束していく。この収束時間については、図1で示したとおり、駆動電流量に応じて変化する。
このように、光モジュール200においてチップ温度のフィードバック制御を行なう場合、上記熱時定数t1〜t3などにより、制御に要する時間が増大する。その結果、チップ201の光出力が一定になる(安定する)までの時間が増大する。
そこで、本例では、駆動電流の印加に先だって、ペルチェ電流を制御する。例えば、本例の光モジュール200は、予めt1を算出しておき、駆動電流の印加よりもt1前にペルチェ電流を制御することにより、チップ201の自己発熱による温度上昇と、ペルチェTEC205によるチップ201の冷却とを略同時に進行させる。その結果、チップ温度の変動を抑制することができるので、温度制御をより高速に行なうことが可能となる。
また、t2及びt3を算出しておくことにより、例えば、フィードバック温度制御の更なる効率化を実現することができる。
そこで、以下、t1〜t3の算出方法について説明する。
(1.3)t1〜t3の算出方法
まず、図4を用いて熱時定数t2の算出方法を説明する。図4はペルチェ電流を一定とした場合の光モジュール200の各パラメータの時間応答波形を示す図である。
この図4に示すように、熱時定数t2を算出する場合、例えば、ペルチェTEC205に一定のペルチェ電流を印加しておき〔図4の(1)ペルチェ電流を参照〕、さらに、チップ201にパルス状の駆動電流を印加する〔図4の(2)駆動電流を参照〕。
すると、上述したように、駆動電流の印加によりチップ201は自己発熱し、チップ温度が上昇し始める〔図4の(3)チップ温度を参照〕。
そして、サーミスタ202は、チップ201が発熱してからt2後に、チップ温度の上昇を検出する〔図4の(4)サーミスタ温度を参照〕。
そこで、例えば、後述する電流制御部106が、上記動作環境下で、駆動電流を印加してからサーミスタ202が温度変化を検出するまでの時間を計測することにより、熱時定数t2を決定することができる。
なお、駆動電流の停止時には、駆動電流の印加が実際に停止されてからt2後にサーミスタ温度が低下し始める(サーミスタ202がチップ温度の低下を検出する)。そこで、例えば、後述する電流制御部106が、上記動作環境下で、駆動電流の印加を停止してからサーミスタ202が温度変化を検出するまでの時間を計測することにより、熱時定数t2を決定してもよい。
次に、図5を用いて熱時定数t1及びt3の算出方法を説明する。図5は駆動電流を一定とした場合の光モジュール200の各パラメータの時間応答波形を示す図である。
この図5に示すように、熱時定数t1及びt3を算出する場合、例えば、チップ201に一定の駆動電流を印加しておき〔図5の(1)駆動電流を参照〕、さらに、ペルチェTEC205にパルス状のペルチェ電流を印加する〔図5の(2)ペルチェ電流を参照〕。なお、図5に示す例では、ペルチェTEC205から冷却熱を発生させるペルチェ電流(冷却側)を印加しているが、ペルチェTEC205が発熱するペルチェ電流(加熱側)を印加してもよい。
すると、上述したように、ペルチェTEC205で発生した熱は、その発生からt1経過後にチップ201に到達し、t3経過後にサーミスタ202に到達する。
ペルチェTEC205からの冷却熱により、ペルチェ電流の印加時からt1後にチップ温度が低下し始め〔図5の(4)チップ温度を参照〕、これに伴って、光出力(強度又は波長)が上昇し始める〔図5の(5)光出力を参照〕。
また、ペルチェTEC205からの冷却熱により、ペルチェ電流の印加時からt3後に、サーミスタ温度が低下し始める〔図5の(3)サーミスタ温度を参照〕。なお、図2の光モジュール200の構成では、t1とt3とがほぼ等しいので、図5に示すように、サーミスタ温度が下がり始めるタイミングとチップ温度が下がり始めるタイミングとはほぼ等しい。
そこで、例えば、後述する電流制御部106が、上記動作環境下で、ペルチェ電流の印加時から光出力が上昇し始めるまでの時間を計測することにより、熱時定数t1を決定することができる。
また、同様に、例えば、後述する電流制御部106が、上記動作環境下で、ペルチェ電流の印加時からサーミスタ温度が低下し始めるまでの時間を計測することにより、熱時定数t3を決定することができる。
なお、ペルチェ電流の停止時には、ペルチェ電流の印加を停止してからt1,t3後に、チップ温度,サーミスタ温度がそれぞれ低下し始める。そこで、例えば、後述する電流制御部106が、上記動作環境下で、ペルチェ電流の印加を停止してからチップ温度,サーミスタ温度が変化するまでの時間をそれぞれ計測することにより、t1,t3を決定してもよい。
次に、本例の一実施形態に係る光デバイスの構成について説明する。
(1.4)光デバイス構成
図6は一実施形態に係る光デバイスの構成の一例を示す図である。
この図6に示す光デバイス300は、例示的に、分波部100と、光モジュール200と、分波部102と、PD103と、入力モニタ部104と、レベル制御部105と、電流制御部106とをそなえる。また、当該光デバイス300は、例示的に、PD107と、出力モニタ部108と、遅延部109と、温度センサ(第1の温度センサ)11とをそなえる。
ここで、分波部100は、入力信号(光信号)を分波する。分波部100により分波された入力信号は、PD103及び遅延部109に出力される。
PD103は、入力された光信号を電気信号に変換する。本例のPD103は、分波部100により分波された入力信号を電気信号に変換し、入力モニタ部104に出力する。
入力モニタ部104は、入力された電気信号の強度を監視(モニタ)する。本例の入力モニタ部104は、PD103から入力される電気信号の強度を監視し、その監視結果をレベル制御部105に出力する。
また、遅延部109は、入力された光信号に所定の遅延を与える。本例の遅延部109は、例えば、入力信号に対して少なくともt1に相当する遅延を与えることができる。
ここで、光モジュール200は、例えば、入力信号に対して所定の光学処理を施す。このため、光モジュール200は、例示的に、チップ201,サーミスタ202,キャリア203,ステム204及びペルチェTEC205をそなえる。なお、チップ201,サーミスタ202,キャリア203,ステム204及びペルチェTEC205の各動作については、図2を用いて前述したとおりである。
例えば、チップ201がSOAとして構成される場合、光モジュール200は、入力信号を増幅または減衰させることができる。このとき、光モジュール200は、例えば、出力一定の光信号を出力すべく、入力信号の変動に応じて、入力信号を増幅または減衰する。上記増幅制御(または減衰制御)は、電流制御部106により駆動電流を制御されることにより実現される。
温度センサ(第1の温度センサ)11は、光素子201の周囲の温度(以下、環境温度または周囲温度ともいう)を計測する。温度センサ11での計測結果は、電流制御部106に入力される。なお、温度センサ11は、光モジュール200が発する熱の影響を受けず、且つ、光素子201の周囲温度をできるだけ正確にモニタできるように、光モジュール200から数センチ程度離れて設けられることが望ましい。
分波部102は、出力信号(光信号)を分波する。本例の分波部102は、光モジュール200からの出力信号を、PD107と出力経路方向とに分波する。
PD107は、入力された光信号を電気信号に変換する。本例のPD107は、分波部102により分波された出力信号を電気信号に変換し、出力モニタ部108に出力する。
出力モニタ部108は、入力された電気信号の強度を監視(モニタ)する。本例の出力モニタ部108は、PD107から入力される電気信号の強度を監視し、その監視結果をレベル制御部105に出力する。
レベル制御部105は、入力信号及び出力信号のパワー(レベル)変化に基づいて、電流制御部106を制御する。この制御は、例えば、レベル制御部105から電流制御部106に通知される制御信号によりなされる。この制御信号には、例えば、入力信号のレベル及び入力タイミングなどに関する情報が含まれていてもよい。
電流制御部(制御部)106は、ペルチェTEC205を電流制御する。例えば、電流制御部106は、レベル制御部105からの制御信号,サーミスタ202により検出されるチップ201の温度変化,温度センサ11による周囲温度の計測結果などに基づき、駆動電流,ペルチェ電流を制御する。電流制御部106からの駆動電流は、チップ201に供給され、ペルチェ電流はペルチェTEC205に供給される。
本例の電流制御部106は、例えば、ペルチェTEC205からの熱量が発生してからチップ201に到達するまでの時間(t1)を決定し、駆動電流がチップ201に印加されるタイミングよりt1前に、ペルチェTEC205を電流制御する。即ち、本例の電流制御部106は、例えば、サーミスタ202により検出されるチップ温度の変化に応じたペルチェ電流を、遅延部109により遅延t1を与えられた入力信号に先だって、ペルチェTEC205に供給する。これにより、電流制御部106は、チップ201のフィードフォワード温度制御を行なうことができる。
本例では、例えば、光デバイス300が遅延部109を有することにより、入力信号が光モジュール200に入力されるまでの間に時間的余裕を生じさせる。これにより、レベル制御部105及び電流制御部106は、入力信号のパワー変動に関する情報を検出し、当該検出結果に基づき、入力信号及び駆動電流の変化に先んじてペルチェ電流を制御することが可能となる。
つまり、電流制御部106は、入力信号と同期したタイミングで駆動電流をチップ201に供給する一方(図6の符号a参照)、入力信号及び駆動電流よりも所定の時間(例えば、t1)早いタイミングでペルチェ電流をペルチェTEC205に供給することができる(図6の符号b参照)。
即ち、上記ペルチェTEC205及び電流制御部106は、温度制御装置の一例として機能する。
これにより、入力信号の変化に伴って駆動電流が変動し、これに起因してチップ温度が変化し始めたとしても、前もってペルチェTEC205による冷却を開始しておくことができるので、チップ温度の変動を効率的に抑制することが可能となる。その結果、チップ温度の収束時間を短縮することができるので、チップ201の温度制御を高速化することが可能となる。
なお、入力信号に関する情報(例えば、パワー変動及び入力タイミングに関する情報など)が予め既知の場合(例えば、電流制御部106が、当該情報を前もって通知される場合など)は、入力信号に遅延を与えなくても、入力信号の変動に先だってペルチェ電流を制御することができるので、図6に例示する構成から遅延部109を省略してもよい。
ここで、図7に上記光デバイス300の各パラメータ時間応答波形を示す。
本例の電流制御部106は、まず、例えば、入力信号(または駆動電流)に関する情報からフィードフォワード温度制御時のペルチェ電流量〔フィードフォワード(FF)制御量〕を算出する。FF制御量の算出方法については、(1.5)において後述する。
そして、図7に示すように、電流制御部106は、チップ201に駆動電流を印加するよりもt1早く、ペルチェTEC205にFF制御量に相当するペルチェ電流を印加する〔図7の(2)ペルチェ電流を参照〕。
ペルチェ電流の印加からt1が経過後、電流制御部106は、ペルチェTEC205からの冷却熱がチップ201に伝わり始めたタイミングで、駆動電流をチップ201に印加する〔図7の(1)駆動電流を参照〕。なお、駆動電流が印加されるタイミングと、入力信号がチップ201に入力するタイミング(または入力信号が変化するタイミング)とは、ほぼ等しい。
チップ201では、チップ201の自己発熱による温度上昇とペルチェ冷却熱による温度低下とが同時に進行する。従って、チップ201の自己発熱量とペルチェTEC205からの冷却熱量とが同一であれば、チップ温度は変化しない。ただ、実際は、チップ201の内部の発熱状態に温度分布があったり(分布が一様でなかったり)、ペルチェ冷却熱が単位時間当たりのチップ発熱量よりも小さいもしくは大きいなどの理由により、チップ温度は変化することがある〔図7の(4)チップ温度を参照〕。また、チップ温度の変化に伴い、光出力及びサーミスタ温度も変化する〔図7の(3)光出力及び(5)サーミスタ温度を参照〕。
それでも、駆動電流の印加よりもt1早くペルチェ電流を制御する利点はある。例えば、チップ温度が上昇してから、少しでも早くチップ201の温度制御を開始したほうが、光出力の変動量を小さくできる〔図7の(3)光出力を参照〕。温度が大きく変動した状態を元の温度状態に戻すよりも、温度の変動が小さい状態から元の温度状態に戻す方が、要する時間は小さいからである。
また、例えば、駆動電流の印加を停止する場合、駆動電流の印加停止よりもt1早く、ペルチェ電流を停止してもよい〔図7の(2)ペルチェ電流を参照〕。これにより、ペルチェ冷却熱によるチップ201の過冷却を防止することができ、光出力の変動を抑制することが可能となる。
以上のように、本例では、駆動電流の印加に先だってペルチェ電流の制御を行なう。これにより、チップ温度の変動を抑制することができ、チップ201の温度制御を高速化することが可能となる。
また、本例によれば、チップ温度が大幅に変化する前にチップ温度を収束させることができるので、ペルチェTEC205に供給するペルチェ電流量を低減し、消費電力を大幅に削減することが可能となる。
ここで、図8(A)及び図8(B)を用いて、フィードバック温度制御時の温度変化とフィードフォワード温度制御時の温度変化とを比較する。図8(A)はフィードバック制御を用いた場合のチップ温度の時間変化を示す図であり、図8(B)はフィードフォワード温度制御を用いた場合のチップ温度の時間変化を示す図である。
図8(A)及び図8(B)のいずれにおいても、縦軸がサーミスタ電圧[V](サーミスタ温度に対応)であり、横軸が時間[秒]である。また、符号cは、ペルチェTEC205にはペルチェ電流を印加せずに、チップ201のみに300mAの駆動電流を印加した場合のサーミスタ202の温度変化を示す。さらに、符号eは、チップ201に駆動電流を印加せずに、ペルチェTEC205のみにペルチェ電流を印加した場合のサーミスタ202の温度変化を示す。加えて、符号dは、符号cで表されるサーミスタ202の温度変化と、符号eで表されるサーミスタ202の温度変化とを併合したものであり、チップ201とペルチェTEC205にそれぞれ駆動電流またはペルチェ電流を印加した場合のサーミスタ202の温度変化を示す。
また、図8(A)及び図8(B)に示す測定に用いた光モジュール200及びペルチェTEC205の構成の一例を図9〜図11に示す。図9は光モジュール200の配置の一例を示す図であり、図10は光モジュール200の構成の一例を示す図であり、図11はペルチェTEC205の構成の一例及び各パラメータを示す図である。
この図9に示すように、本例では、光通信用MSA(Multi Source Agreement)14ピンバタフライパッケージに、SOA素子を気密封止している。また、ヒートシンクは約4℃/Wの熱抵抗を有し、空冷ファンにより風速約0.4m/分で強制的に空冷している。さらに、光モジュール200の周囲の温度は25℃であり、チップ温度の制御目標値を25℃とした。
また、光モジュール200の内部構造は図10に例示するとおりである。光素子201には、リン化インジウム(InP)材料を用い、キャリア203には窒化アルミニウム(AlN)を用いた。さらに、レンズ外枠としてSUS430を用い、ステム204及びパッケージ側壁にはコバール(Kovar)を用い、パッケージ底板に銅タングステン(CuW)を用いた。
加えて、ペルチェTEC205の構造及び各種のパラメータは図11に例示するとおりである。
図8(A)に示すように、フィードバック温度制御では、時刻0において、チップ201に駆動電流が印加され始めるとともに、サーミスタ202の温度が上昇する。図8(A)の符号cから分かるように、ペルチェTEC205によりチップ201の冷却が行なわれない場合、初期温度から25度程度(サーミスタ電圧で換算すると800mV程度)温度が上昇するが、最初の約1〜2秒で急激に温度が上昇する。
そして、時刻0からt2経過後、サーミスタ202がチップ201の温度変化を検出し、ペルチェTEC205による温度制御が開始される。図8(A)の符号eから分かるように、チップ201が発熱してから2秒程度遅れて、サーミスタ温度が低下している。つまりこの時間が「t2+t3+制御時間」に相当する。
ここで、図8(A)の符号dから分かるように、フィードバック温度制御では、チップ201が発熱してから所定の時間後にペルチェTEC205による温度制御が開始されるので、温度ずれ幅も大きく、チップ温度が収束するまでの復帰時間も20秒程度かかる。
一方、図8(B)の符号eからも分かるように、本例では、ペルチェTEC205へのペルチェ電流の供給を、チップ201に駆動電流を印加する前に開始する。
このため、図8(B)の符号dをみると、図8(A)に示す例よりも温度ずれ幅は小さく、チップ温度も4.5秒程度で収束している。
図8(A)及び図8(B)に示した例では、いずれも、同一のチップ201,サーミスタ202,キャリア203,ステム204及びペルチェTEC205を用いて計測した。しかし、上記計測にて用いたペルチェTEC205は、従来の発想に基づいたペルチェ素子であったため、冷却能力が良くない。実際は、図8(A)及び図8(B)の符号cに示す発熱曲線と、時間軸を中心として線対称な冷却曲線を有するペルチェTEC205を用いるのが望ましい。今回の実験に使用したペルチェTEC205は、冷却能力が低いことから、チップ201の発熱量をペルチェ冷却熱により逃がすことができなかったため、チップ温度が収束するまで4.5秒程度かかったが、より冷却能力の高いペルチェTEC205を用いれば、本例では、さらにチップ201の温度収束を高速化することができる。
このように、本例に使用するペルチェ205は、例えば、チップ201の発熱曲線に基づいて、選択するのが望ましい。
これに対して、図8(A)に示したフィードバック温度制御では、ペルチェTEC205の冷却能力を高くしても、チップ201の温度変化を検知するまでに2秒程度かかっているため、チップ温度の収束時間を少なくとも2秒以下にすることはできない。
ここで、光モジュール200が有する熱時定数t1〜t3については、上述したように、チップ201のみに駆動電流を印加したり、ペルチェTEC205のみにペルチェ電流を印加したりすることで、測定することにより決定することが可能である。
(1.5)FF制御量の算出方法
次に、フィードフォワード制御に係るペルチェ電流量(FF制御量)の算出方法について説明する。
例えば、チップ201にSOAを用いた場合、その駆動電流量が一定であれば、チップ201に生じる発熱量も一定であるため、ペルチェTEC205による冷却熱量も一定となる。
しかし、光モジュール200への入力信号が変動する場合、出力パワー(レベル)一定制御下では、入力パワー(レベル)の変動に応じて駆動電流が変化するので、チップ201での自己発熱量も変動する。
そのため、本例では、電流制御部106が、駆動電流値,光モジュール200の目標温度及び周囲温度などに基づいて、FF制御量を算出(決定)し、当該FF制御量を駆動電流の印加よりもt1早くペルチェTEC205に供給する。
ここで、図12に光モジュール200における熱の入出力関係を例示する。なお、図12に示す光モジュール200は、例示的に、図2に示す構成に加えて、放熱用のヒートシンク(放熱フィン)206をそなえる。なお、光モジュール200がヒートシンク206を有さない場合であっても、光モジュール200の他の部分から自然放熱は生じるので、以下の算出方法は適用可能である。
まず、図12に示す系における発熱成分としては、例えば、チップ201に印加される駆動電流Idriveの2乗に比例するチップ201の自己発熱量Pdriveと、ペルチェ電流ITECの2乗に比例するペルチェTEC205自身の自己発熱量PTECとがある。PTECは、例えば、ペルチェTEC205の抵抗成分に起因して生じる。
一方、図12に示す系の冷却(発散)成分としては、例えば、ペルチェ電流ITECに比例する冷却熱量Pperと、チップ201の制御目標値(目標温度)と光モジュール200の周囲温度との差ΔTに比例する自然放熱量Penvとがある。ここで、前記目標温度は、例えば、ユーザにより設定される。なお、ヒートシンク206が、例えば、インテリジェントな強制空冷(チップ温度に応じて内蔵ファンの回転数を制御する等)を受ける場合、Penvは複雑に変化する場合がある。ただ、ヒートシンク206の放熱フィンに一定の風量を与えるような強制空冷を行なう場合、Penvは、チップ201の目標温度と周囲温度との差ΔTに比例する。
従って、A〜D(A〜D≠0)を定数として、例えば、以下の式(1)〜(4)が成立する。
Figure 0005481977
Figure 0005481977
Figure 0005481977
Figure 0005481977
また、チップ温度が収束した状態では、発熱量(Pdrive+PTEC)と冷却量(Pper+Penv)とが平衡関係にあるため、以下の関係式(5)が成立する。
Figure 0005481977
ここで、上記の式(5)を、式(1)〜式(4)を用いて書き換えると、以下の式(6)が得られる。
Figure 0005481977
さらに、式(6)をペルチェ電流ITECの2次方程式として解くと次式(7)が得られる。
Figure 0005481977
ここで、A〜Dは既知の定数であるため、Idrive及びΔTが分かれば、式(7)からITEC(FF制御量)を算出することができる。
driveについては、入力信号などに関する情報から算出することができる。例えば、チップ201がSOAである場合、入力信号のレベル(パワー)が分かれば、電流制御部106は、当該入力レベルに対する所望の出力レベル(パワー)を得るためのIdriveを算出することができる。また、例えば、チップ201が波長可変LDとして構成される場合、当該波長可変LDの制御波長が分かれば、電流制御部106は、当該制御波長に基づくIdriveを算出することができる。
ただ、ΔTについては、光モジュール200に設けられたサーミスタ202(第2の温度センサ)だけでは、光素子201の外部温度(周囲温度)を検出することができないため、算出することができない。
そこで、本例では、例えば、光モジュール200の外部に温度センサ11を設けることにより、周囲温度を検出する。
これにより、目標温度と温度センサ11で検出された周囲温度との差(ΔT)を算出することができる。なお、駆動電流の印加によるチップ201の温度上昇を抑制する場合には、駆動電流の印加前に、光モジュール200内部に設けられたサーミスタ202で検出される温度を前記目標温度とすることができる。
以上のように、Idrive及びΔTの値、及び、式(7)からITEC(FF制御量)を算出することが可能となる。
ここで、図13にIdriveとITECとの関係を示す。
この図13に示すように、例えば、目標温度と周囲温度とが等しい場合(ΔT=0の場合)、Idrive=0mAであれば、チップ201の自己発熱がないため、ペルチェTEC205を駆動させなくてもよいので、ITEC=0mAとなる。
また、目標温度が周囲温度よりも低い場合(ΔT<0の場合)、Idrive=0mAであっても、チップ201の温度は周囲温度に近づこうとするため、ペルチェTEC205により冷却することになり、ITECは冷却側のある一定の電流値となる。
一方、目標温度が周囲温度よりも高い場合(ΔT>0の場合)、Idrive=0mAであっても、チップ201を冷却することになるので、ITECは加熱側のある一定の電流値となる。
さらに、上記いずれの場合であっても、Idriveを増加させていくと、チップ201の自己発熱量が増加するため、その発熱分を冷却することとなり、ITECも増加する。そのため、図13に例示するITECのグラフは、Idriveが増加するにしたがって、スタート点(Idrive=0mA)よりも紙面上側(冷却側)へ推移する。
そこで、本例では、まず、Idrive=0mAの状態で目標温度を変化させ、チップ温度を前記変化後の目標温度にする、つまり、光モジュール200の温度平衡状態を保つITEC(系列I)を事前(例えば、光モジュール200の出荷試験時など)に取得しておく。また、ΔT=0の状態でIdriveを変化させ、各Idriveにおいて、チップ温度を目標温度にする、つまり、光モジュール200の温度平衡状態を保つITEC(系列II)を事前に取得しておく。これらの系列I及びIIを光モジュール200の駆動前に取得しておくことにより、Idrive及びΔTの各値に応じた(例えば、Idrive全範囲、ΔT全範囲における)ITECを算出することができ、上述のFF制御量を得ることが可能となる。
例えば、ΔTが分かっている場合、系列Iから、当該ΔTにおけるITEC=gが分かる。また、例えば、チップ201がSOAである場合、SOAへの入力信号のレベルからIdriveを算出することができる。
このとき、例えば、Idrive=Iとすると、系列IIから、ITECの増加分fを得ることができるので、上記ΔT及びIdriveにおいて、光モジュール200の温度平衡状態を保つITEC=hは、次式(8)で算出される。
h(ΔTの温度平衡状態を保つペルチェ電流量)=g〔Idrive=0においてΔTの温度平衡状態を保つペルチェ電流量(系列Iより)〕+f〔ΔT=0においてIdrive=Iのときの温度平衡状態を保つペルチェ電流量(系列IIより)〕 ・・・(8)
ここで、図14及び図15に系列I及び系列IIのペルチェ電流量の一例を示す。なお、ペルチェ電流量が「+」の場合は、ペルチェTEC205により冷却が行なわれる一方、ペルチェ電流量が「−」の場合は、ペルチェTEC205により加熱が行なわれる。
図14に示すように、例えば、ΔT=−15℃の場合、チップ温度の平衡状態を保つために要するペルチェ電流量gは、+1550mAである。また、ΔT=−10℃,−5℃,0℃,+5℃,+10℃の場合、チップ温度の平衡状態を保つために要するペルチェ電流量gは、それぞれ、例えば、+1020mA,+510mA,0mA,−530mA,−1070mAとなる。
さらに、図15に示すように、例えば、Idrive=10mAの場合、チップ温度の平衡状態を保つために要するペルチェ電流量fは、+80mAである。また、Idrive=20mA,30mA,・・・,290mA,300mAの場合、チップ温度の平衡状態を保つために要するペルチェ電流量fは、それぞれ、例えば、+100mA,+123mA,・・・,+2430mA,+2670mAとなる。
なお、図14及び図15に示した測定結果はあくまでその一例であり、ΔT及びIdriveの測定範囲をより拡大または縮小してもよいし、測定幅(ステップ幅)をより細かくまたは粗くしてもよい。
ここで、本例の温度制御方法及び光デバイス300の動作の一例について説明する。なお、以下に示す例では、駆動電流の印加に伴うチップ温度の上昇を抑制すべく、例えば、駆動電流の印加前に、サーミスタ202により検出される温度を前記目標温度とした。
まず、例えば、光デバイス300の出荷試験時などに、電流制御部106が、図14及び図15に示すような各測定値を取得する。そして、図4を用いて説明した方法などにより、光モジュール200の熱時定数t1を取得する。なお、t1に加えて、熱時定数t2及びt3を取得してもよい。
そして、光デバイス300の運用時などにおいて、電流制御部106により、入力信号に関する情報(入力変動や、波長制御信号など)に基づき、出力レベルを一定に制御するIdriveを算出する。
また、電流制御部106は、例えば、温度センサ11による周囲温度の測定結果と、サーミスタ202によるチップ温度の測定結果(目標温度)との差(ΔT)を算出し、図14に示す測定結果に基づいて、前記算出したΔTに対応するITEC(g)を求める。
さらに、電流制御部106は、図15に示す測定結果に基づいて、前記算出したIdriveに対応するITEC(f)を算出する。
そして、電流制御部106は、前記算出したITEC(g)とITEC(f)とを加算することにより、FF制御量を算出し、入力信号がチップ201に入力されるタイミングよりもt1早く、当該FF制御量をITECとしてペルチェTEC205に印加する。
次いで、電流制御部106は、ITECを印加してからt1経過後、入力信号がチップ201に入力されるタイミングで、前記算出したIdriveをチップ201に印加する。
以上のように、本例では、Idriveが印加されるタイミングよりもt1早く、ITECを制御するので、チップ201の温度が大幅に変化する前に、チップ温度を一定に制御することができ、光出力の安定化ならびに温度制御の高速化を実現することが可能となる。
一方、Idriveの供給を停止する場合にも、例えば、Idriveの停止よりt1早くITECを停止すれば、チップ温度の大幅な抑制することができ、光デバイス300の温度制御を高速化することが可能となる。
〔2〕第1変形例
上述した例では、チップ温度をフィードフォワード制御する例について説明したが、本例のように、フィードフォワード温度制御とフィードバック温度制御とを併用(ハイブリッド制御)してもよい。
図16に第1変形例に係る光デバイス300´の構成の一例を示す。
この図16に示す光デバイス300´は、例示的に、入力モニタ部1と、遅延部109と、光モジュール200と、出力モニタ部2と、ヒートシンク206と、温度センサ11と、電流制御部3と、をそなえる。さらに、光デバイス300´は、例示的に、TEC駆動部4と、レベル制御部5と、素子駆動制御部6と、遅延部7と、素子駆動部8とをそなえる。
ここで、入力モニタ部1は、入力された光信号を電気信号に変換し、当該電気信号の強度を監視(モニタ)する。また、入力モニタ部1は、当該監視結果(入力レベル監視結果)をレベル制御部5に出力する一方、入力信号を分波して遅延部109へ出力する。
遅延部109は、入力された光信号に所定の遅延を与える。本例の遅延部109は、例えば、入力信号に対して少なくともt1に相当する遅延を与えることができる。
光モジュール200は、入力信号に対して所定の光学処理を施す。このため、本例の光モジュール200は、例示的に、光素子(チップ)201,サーミスタ202,キャリア203,ステム204及び温度制御部(例えば、ペルチェTEC)205をそなえる。例えば、チップ201がSOAとして構成される場合、光モジュール200は、入力信号を光増幅または光減衰させることが可能となる。本例の光モジュール200は、例えば、素子駆動部8の制御に基づいて、一定の出力信号を出力し得るように、入力信号を増幅または減衰させることができる。光素子201,サーミスタ202,キャリア203,ステム204及び温度制御部205は、上述したチップ201,サーミスタ202,キャリア203,ステム204及びペルチェTEC205と同様の機能を有する。
出力モニタ部2は、入力された光信号を電気信号に変換し、当該電気信号の強度を監視(モニタ)する。また、出力モニタ部2は、当該監視結果(出力レベル監視結果)をレベル制御部5に出力する一方、光素子201からの出力信号を分波して光デバイス300´の外部へ出力する。
ヒートシンク(放熱フィン)206は、光モジュール200での発熱を外部へ放出する。本例のヒートシンク206は、例えば、送風機(ファン)などから一定の風量を与えられることにより、光モジュール200の熱量を外部へ発散(放出)することができる。
温度センサ11は、光素子201の周囲温度を計測する。温度センサ11での計測結果は、電流制御部106(フィードバック制御部9,フィードフォワード制御部10)に入力される。
電流制御部3は、サーミスタ202により検出されるチップ温度,温度センサ11により検出される周囲温度,レベル制御部5からの各種制御情報などに基づいて、光モジュール200に供給するペルチェ電流及び駆動電流を制御する。このため、電流制御部3は、例示的に、フィードバック制御部9と、フィードフォワード制御部10と、加算部12とをそなえる。
フィードバック制御部9は、入力モニタ部1により検出された入力レベル監視結果と出力モニタ部2により検出された出力レベル監視結果とに基づいて、ペルチェ電流をフィードバック制御する。フィードバック制御部9により算出されたペルチェ電流は、加算部12へ出力される。なお、本例のフィードバック制御部9は、例えば、サーミスタ202,温度センサ11での温度検出結果や、TEC駆動部4でのペルチェ電流量,熱時定数t2及びt3などに基づいて、種々のフィードバック制御を行なうようにしてもよい。
フィードフォワード制御部10は、入力モニタ部1により検出された入力レベル監視結果,サーミスタ202でのチップ温度測定結果,温度センサ11での周囲温度測定結果,素子駆動制御部6からの駆動電流量に関する情報などに基づいて、FF制御量を算出する。フィードフォワード制御部10により算出されたFF制御量は加算部12へ出力される。
加算部12は、フィードバック制御部9により算出されたペルチェ電流量と、フィードフォワード制御部10により算出されたFF制御量とを加算する。加算部12での加算結果は、TEC駆動部4へ出力される。これにより、本例の光デバイス300´は、フィードバック制御とフィードフォワード制御とを併用したハイブリッド制御を行なうことができる。
フィードフォワード制御における制御時間は、例えば、フィードフォワード制御部10での計算時間と、熱時定数t1とを合計したものになる。また、フィードフォワード制御では、例えば、チップ温度の高速変動に追従することができ、さらに、温度制御に関するパラメータなどを予め取得しておくことにより、温度制御に対する精度が向上する。ただ、フィードフォワード制御は、光素子201の周囲の環境温度(周囲温度)の変動などの低速な応答に対応できない場合がある。
一方、フィードバック制御における制御時間は、例えば、熱時定数t1,t2及びフィードバック制御部9での計算時間の合計に、フィードバックループ回数を乗じたものと等しくなる。また、フィードバック制御にはフィードフォワード制御のような高速な応答性能はないが、周囲温度の変化などの低速な応答に適するといった特徴がある。さらに、フィードバック制御では、チップ温度を監視しながら温度制御を行なうため、中長期的な温度制御の精度を向上させることが可能となる。
本例では、電流制御部3が、フィードバック温度制御とフィードフォワード温度制御とを併用するので、温度制御の高速化と中長周期の出力安定性とを得ることができ、出力信号の更なる高速化及び安定化を実現することが可能となる。
フィードフォワード温度制御では、系全体の発熱量が予め予測できないと制御できないが、本例の電流制御部3は、上述したように、図14及び図15に例示するテーブルを事前に測定しておくことで、チップ201の発熱量を予測することができる。そして、電流制御部3は、例えば、入力信号や駆動電流の印加(または変動)よりも先に、温度制御部205に供給する駆動電流(ペルチェ電流)を制御する。
例えば、電流制御部3は、入力信号や駆動電流が印加される(または変動する)時点よりも熱時定数t1前に、ペルチェ電流を制御して、温度制御部205の温度を変化させることができるので、チップ201において発熱と冷却とが略同時に進行し、チップ温度をほぼ一定に保つことが可能となる。
また、本例の光デバイス300´は、フィードフォワード温度制御とフィードバック温度制御とを併用するので、例えば、入力信号のON/OFFなどに起因するチップ温度の急峻な変動に対してはフィードフォワード温度制御で対応し、一方、周囲温度の変化によるチップ温度の緩慢な変動に対してはフィードバック温度制御で対応することができる。その結果、チップ温度の出力安定化を高速に実現することが可能となる。
TEC駆動部4は、加算部12から入力されるペルチェ電流を用いて、温度制御部205を駆動する。また、TEC駆動部4は、温度制御部205に供給したペルチェ電流量に関する情報をフィードバック制御部9,フィードフォワード制御部10に通知してもよい。
レベル制御部5は、入力モニタ部1により検出された入力レベル監視結果と、出力モニタ部2により検出された出力レベル監視結果とに基づいて、素子駆動制御部6,フィードバック制御部9及びフィードフォワード制御部10などに各種制御信号を通知する。この制御信号には、例えば、入力信号の変動に関する情報(入力信号が変動するタイミングや、変動量など)が含まれる。
素子駆動制御部6は、レベル制御部5から通知される制御信号に基づいて、光素子201を駆動する駆動電流を生成する。素子駆動制御部6は、例えば、入力信号が入力されるタイミングで駆動電流を生成したり、入力信号が変動するタイミングで駆動電流量を変化させる。素子駆動制御部6により生成された駆動電流は、遅延部7へ出力される。
遅延部7は、素子駆動制御部6からの駆動電流に所定の遅延を与える。遅延部7が駆動電流に与える遅延は、例えば、遅延部109が入力信号に与える遅延(例えば、t1)と同じにすることができる。これにより、入力信号の印加(または変動)タイミングと、駆動電流の印加(または変動)タイミングとを同期させることが可能となる。なお、遅延部7での遅延量は、例えば、素子駆動制御部6からの制御により制御するようにしてもよい。
素子駆動部8は、遅延部7から入力される駆動電流を用いて光素子201を駆動する。
本例の光デバイス300´の動作の一例について説明する。
まず、レベル制御部5は、入力モニタ部1により検出される入力信号の変動に関する情報を得る。なお、監視制御部5は、例えば、入力信号が入力モニタ部1に入力される前に外部から入力信号に関する情報を得られるようにしてもよい。なお、例えば、監視制御部5が、入力信号の入力よりもt1以上早く前記情報を得られるような場合、図16に例示する光デバイス300´の構成から遅延部109及び遅延部7を省略してもよい。
次に、レベル制御部5は、前記情報に基づいて、チップ201の温度設定や制御情報を算出し、チップ201の目標温度値や制御パラメータ(駆動電流値など)をフィードバック制御部9及びフィードフォワード制御部10へ通知する。
このとき、例えば、フィードバック制御部9は、フィードフォワード制御部10での処理が完了するまで一時的にフィードバック温度制御を中断しておくこともできる。
次に、フィードフォワード制御部10は、サーミスタ202での検出結果(チップ温度)と温度センサ11での検出結果(周囲温度)とに基づき、温度差ΔTを算出する。
電流制御部3は、レベル制御部5から通知された駆動電流値(Idrive)と、前記算出したΔTとに基づき、図14に例示する系列Iに関するテーブルと図15に例示する系列IIに関するテーブルとから、FF制御量(ITEC)を算出する。
そして、TEC駆動部4が、フィードバック制御部9及びフィードフォワード制御部10により算出されたペルチェ電流を用いて、温度制御部(例えば、ペルチェTEC)205を駆動する。また、フィードフォワード制御部10は、温度制御部205を駆動したこと(駆動タイミング)を素子駆動制御部6に通知する。
素子駆動制御部6は、レベル制御部5から通知される駆動電流量を、フィードフォワード制御部10からの通知される駆動タイミングで、生成して出力する。素子駆動制御部6から出力された駆動電流は、遅延部7で所定の遅延(例えば、t1)を受け、素子駆動部8に入力される。そして、素子駆動部8は、遅延部7から入力される駆動電流を用いて、光素子201を駆動する。従って、駆動電流は、ペルチェ電流が温度制御部205に印加されてからt1後に、光素子201に印加される。また、入力信号も、ペルチェ電流が温度制御部205に印加されてからt1後に、光素子201に印加される。これにより、駆動電流の印加によりチップ温度が上昇するt1前に、温度制御部205による冷却制御(フィードフォワード温度制御)を行なうことができる。
また、上記フィードフォワード温度制御が完了すると、フィードバック制御部9は、チップ温度のフィードバック制御を開始(再開)する。例えば、フィードバック制御部9は、駆動電流のON/OFFなどに起因する急峻なチップ温度の変化が生じない間は、フィードバック温度制御を続けるようにしてもよい。
さらに、駆動電流を停止する場合、電流制御部3は、例えば、上記動作と同様の流れで、ペルチェ電流のフィードフォワード制御を行なうことができる。また、入力信号が変化した場合や、光素子201の駆動状態が変化した場合などに、上記フィードフォワード制御を開始するようにしてもよい。
これにより、本例の光デバイス300´は、駆動電流を大きくした場合でも、数秒以下で温度を安定化することが可能となり、その結果、出力信号の変動幅も小さくすることができる。例えば、光素子201をSOAとして構成した場合、従来は約30秒〜100秒に渡って出力が変動し、出力パワー変動幅も約2.5dB〜3.5dBと大きく変化していた。一方、本例によれば、駆動電流の変化から数秒以下でチップ温度を安定させることができ、出力パワーの変動幅も従来に比して約1/2倍〜1/10倍程度に抑えることが可能となる。
〔3〕第2変形例
また、入力信号光は、波長分割多重(Wavelength Divisional Multiplexing、WDM)信号光であってもよい。この場合、光モジュール200は、例えば、複数のチップ201を有するN(Nは2以上の整数)アレイ素子として構成されることができる。Nアレイ素子として構成された光モジュール200は、例えば、図2に示した構成において、チップ201を紙面垂直方向に複数そなえる。なお、前述した構成はあくまで一例であり、その他の各種構成により、光モジュール200をNアレイ素子として構成することもできる。例えば、サーミスタ202の周囲に円状に複数のチップ201を設けてもよい。
この場合、N個のチップ201を複数のペルチェTEC205で制御してもよいが、1個のペルチェTECで制御することもできる。
Nアレイ素子は、チップ201の各種特性が均一になるよう作成されるため、どのチップ201に対しても一定の駆動電流を印加した場合、光モジュール200全体の発熱量はチップ201の同時駆動数に比例する。例えば、2個のチップ201に同一の駆動電流を印加した場合、その発熱量は、1個のチップ201に前記駆動電流を印加した場合に生じる発熱量の2倍となる。
従って、上記式(1)の関係からも分かるように、Nアレイ素子として構成された光モジュール200の発熱量(Pdrive_N)は、各チップ201に印加した駆動電流(Idrive_1,・・・,Idrive_N)の2乗の総和に比例するので、次式(9)が成立する。
Figure 0005481977
これより、N個のチップ201のうち、どのチップ201をどの駆動電流値で駆動するかが分かれば、それらの総和を算出することにより、ペルチェ電流量(FF制御量)を算出することができる。
例えば、2個のチップ201を同時に駆動する場合、一方のチップ201に100mAの駆動電流を印加し、他方のチップ201に200mAの駆動電流を印加するのであれば、図15に示すテーブルに基づいて、Idrive=100mAのときのペルチェ電流量とIdrive=200mAのときのペルチェ電流量とを加算した値をFF制御量とすることができる。
以上のように、光モジュール200がNアレイ素子として構成される場合であっても、1個のペルチェTEC205を制御することにより、各チップ201の温度制御を高速化することが可能となる。
ここで、本例の温度制御方法及び光デバイスの動作の一例について説明する。
まず、例えば、光デバイスの出荷試験時などに、電流制御部106が、N個のチップ201のうち1つについて、図14及び図15に示すような各測定値を取得する。このとき、N個のチップ201が直線状に配置される場合は、その中央付近のチップ201を前記測定の対象としてもよい。これにより、チップ201の製造時の特性のばらつきを平均化することが可能となる。そして、図4を用いて説明した方法などにより、光モジュール200の熱時定数t1を取得する。なお、t1に加えて、熱時定数t2及びt3を取得してもよい。この場合も、チップ201の製造時の特性のばらつきを考慮し、N個のチップ201が直線状に配置される場合は、その中央付近のチップ201を前記測定の対象としてもよい。
そして、光デバイスの運用時などにおいて、電流制御部106により、入力信号に関する情報(入力変動や、波長制御信号など)に基づき、出力レベルを一定に制御する各チップ201の駆動電流(Idrive_1〜Idrive_N)を算出する。
また、電流制御部106は、温度センサ11による周囲温度の測定結果と、サーミスタ202によるチップ温度の測定結果(目標温度)との差(ΔT)を算出し、図14に示す測定結果に基づいて、前記算出したΔTに対応するITECを求める。
さらに、電流制御部106は、図15に示す測定結果に基づいて、前記算出したIdrive_1〜Idrive_Nにそれぞれ対応するペルチェ電流量(ITEC_1〜ITEC_N)を算出し、それらの総和を算出する。
そして、電流制御部106は、前記算出したITEC_1〜ITEC_Nの総和とITECとを加算することにより、FF制御量を算出し、入力信号がチップ201に入力されるタイミングよりもt1早く、当該FF制御量をペルチェTEC205に印加する。
次いで、電流制御部106は、FF制御量に相当するペルチェ電流量をペルチェTEC205に印加してからt1経過後、入力信号がチップ201に入力されるタイミングで、各チップ201に前記算出したIdrive_1〜Idrive_Nをそれぞれ印加する。
以上のように、本例によれば、光モジュール200がNアレイ素子として構成される場合も、1個のペルチェTEC205によりフィードフォワード温度制御を行なうことができるので、各チップ201の温度制御をそれぞれ高速化することが可能となる。また、チップ201毎にペルチェTEC205などを有さなくてもよいので、光デバイスの装置規模を小型化することができる。
〔4〕その他
なお、上述した光モジュール200及び光デバイス300,300´の各構成及び各処理は、必要に応じて取捨選択してもよいし、適宜組み合わせてもよい。
また、入力信号光は、バースト信号であってもよいし、周期的な信号光であってもよい。
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
〔5〕付記
(付記1)
駆動電流の印加により駆動する光素子と、前記光素子の温度を変化させる温度制御部と、前記温度制御部を電流制御する制御部とをそなえた光デバイスにおける温度制御方法であって、
前記制御部が、
前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間を決定し、
前記駆動電流が前記光素子に印加されるタイミングより前記決定した時間前に、前記温度制御部を電流制御する、
ことを特徴とする、温度制御方法。
(付記2)
前記光素子の周囲に設けられる第1の温度センサにより、前記光素子の周囲の温度(以下、環境温度という)を測定し、
前記制御部が、
前記光素子の制御目標となる温度(以下、目標温度という)と前記環境温度との温度差を測定し、
前記駆動電流と前記温度差とに基づいて、前記温度制御部に供給する制御電流量を決定する、
ことを特徴とする、付記1記載の温度制御方法。
(付記3)
前記制御部が、
前記駆動電流が前記光素子に印加されていない状態で前記目標温度を変化させ、前記光素子の温度を前記変化後の目標温度にする第1の制御電流量を測定し、
前記目標温度と前記環境温度が等しい状態で前記駆動電流を変化させ、前記光素子の温度を前記目標温度にする第2の制御電流量を測定し、
前記第1の制御電流量と前記第2の制御電流量とに基づいて、前記温度制御部に供給する制御電流量を決定する、
ことを特徴とする、付記2記載の温度制御方法。
(付記4)
前記制御部が、
前記光素子の温度を測定する第2の温度センサでの測定結果に基づいて、前記制御電流量をフィードバック制御する、
ことを特徴とする、付記1〜3のいずれか1項に記載の温度制御方法。
(付記5)
前記光デバイスに入力される光信号が波長多重信号である、
ことを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の温度制御方法。
(付記6)
前記光デバイスに入力される光信号がバースト信号である、
ことを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の温度制御方法。
(付記7)
駆動電流の印加により駆動する光素子の温度を制御する温度制御装置であって、
前記光素子の温度を変化させる温度制御部と、
前記温度制御部を電流制御する制御部と、をそなえ、
前記制御部が、
前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間を決定し、
前記駆動電流が前記光素子に印加されるタイミングより前記決定した時間前に、前記温度制御部を電流制御する、
ことを特徴とする、温度制御装置。
(付記8)
前記光素子の周囲に設けられる第1の温度センサをそなえ、
前記第1の温度センサが、前記光素子の周囲の温度(以下、環境温度という)を測定し、
前記制御部が、
前記光素子の制御目標となる温度(以下、目標温度という)と前記環境温度との温度差を測定し、
前記駆動電流と前記温度差とに基づいて、前記温度制御部に供給する制御電流量を決定する、
ことを特徴とする、付記7記載の温度制御装置。
(付記9)
前記制御部が、
前記駆動電流が前記光素子に印加されていない状態で前記目標温度を変化させ、前記光素子の温度を前記変化後の目標温度にする第1の制御電流量を測定し、
前記目標温度と前記環境温度が等しい状態で前記駆動電流を変化させ、前記光素子の温度を前記目標温度にする第2の制御電流量を測定し、
前記第1の制御電流量と前記第2の制御電流量とに基づいて、前記温度制御部に供給する制御電流量を決定する、
ことを特徴とする、付記8記載の温度制御装置。
(付記10)
前記光素子の温度を測定する第2の温度センサをそなえ、
前記制御部が、
前記第2の温度センサでの測定結果に基づいて、前記制御電流量をフィードバック制御する、
ことを特徴とする、付記7〜9のいずれか1項に記載の温度制御装置。
(付記11)
前記光素子を複数そなえ、
前記複数の光素子に入力される光信号が波長多重信号である、
ことを特徴とする、付記7〜10のいずれか1項に記載の温度制御装置。
(付記12)
前記光素子に入力される光信号がバースト信号である、
ことを特徴とする、付記7〜10のいずれか1項に記載の温度制御装置。
(付記13)
駆動電流の印加により駆動する光素子と、
前記光素子の温度を変化させる温度制御部と、
前記温度制御部を電流制御する制御部と、をそなえ、
前記制御部が、
前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間を決定し、
前記駆動電流が前記光素子に印加されるタイミングより前記決定した時間前に、前記温度制御部を電流制御する、
ことを特徴とする、光デバイス。
1,104 入力モニタ部
2,108 出力モニタ部
3,106 電流制御部
4 TEC駆動部
5,105 レベル制御部
6 素子駆動制御部
7,109 遅延部
8 素子駆動部
9 フィードバック制御部
10 フィードフォワード制御部
11 第1温度センサ
12 加算部
100,102 分波部
103,107 PD
200 光モジュール
201 光素子(チップ)
202 第2温度センサ(サーミスタ)
203 キャリア
204 ステム
205 温度制御部(ペルチェTEC)
206 ヒートシンク(放熱フィン)
300,300´ 光デバイス

Claims (11)

  1. 駆動電流の印加により駆動する光素子と、前記光素子の温度を変化させる温度制御部と、前記温度制御部を電流制御する制御部とをそなえた光デバイスにおける温度制御方法であって、
    前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間を測定した結果に基づいて決定された時間だけ、前記光デバイスに入力される入力信号に遅延を与え、
    前記制御部が、
    前記入力信号が前記光デバイスに入力された時点から前記温度制御部を電流制御し、
    前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間に相当する時間だけ遅延が与えられた入力信号に同期したタイミングにて前記駆動電流を前記光素子に印加する、
    ことを特徴とする、温度制御方法。
  2. 前記光素子の周囲に設けられる周囲温度センサにより、前記光素子の周囲の温度(以下、環境温度という)を測定し、
    前記制御部が、
    前記光素子の制御目標となる温度(以下、目標温度という)と前記環境温度との温度差を測定し、
    前記駆動電流と前記温度差とに基づいて、前記温度制御部に供給する制御電流量を決定する、
    ことを特徴とする、請求項1記載の温度制御方法。
  3. 前記制御部が、
    前記駆動電流が前記光素子に印加されていない状態で前記目標温度を変化させ、前記光素子の温度を前記変化後の目標温度にする第1の制御電流量を測定し、
    前記目標温度と前記環境温度が等しい状態で前記駆動電流を変化させ、前記光素子の温度を前記目標温度にする第2の制御電流量を測定し、
    前記第1の制御電流量と前記第2の制御電流量とに基づいて、前記温度制御部に供給する制御電流量を決定する、
    ことを特徴とする、請求項2記載の温度制御方法。
  4. 素子温度センサにより、前記光素子の温度を測定し、
    前記制御部が、
    前記測定された温度に基づいて、前記温度制御部に供給する制御電流量をフィードバック制御する、
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の温度制御方法。
  5. 前記光デバイスに入力される光信号が波長多重信号である、
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の温度制御方法。
  6. 前記光デバイスに入力される光信号がバースト信号である、
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の温度制御方法。
  7. 前記光素子の発熱量が、前記駆動電流の大きさの2乗に比例する値であることを仮定することにより、前記温度制御部に供給する制御電流量を決定する、
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の温度制御方法。
  8. 駆動電流の印加により駆動する光素子の温度を制御する温度制御装置であって、
    前記光素子の温度を変化させる温度制御部と、
    前記温度制御部を電流制御する制御部と、
    前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間を測定した結果に基づいて決定された時間だけ、光デバイスに入力される入力信号に遅延を与える遅延部と、をそなえ、
    前記制御部が、
    前記入力信号が前記光デバイスに入力された時点から前記温度制御部を電流制御し、
    前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間に相当する時間だけ遅延が与えられた入力信号に同期したタイミングにて前記駆動電流を前記光素子に印加する、
    ことを特徴とする、温度制御装置。
  9. 前記光素子の周囲に設けられる周囲温度センサをそなえ、
    前記周囲温度センサが、前記光素子の周囲の温度(以下、環境温度という)を測定し、
    前記制御部が、
    前記光素子の制御目標となる温度(以下、目標温度という)と前記環境温度との温度差を測定し、
    前記駆動電流と前記温度差とに基づいて、前記温度制御部に供給する制御電流量を決定する、
    ことを特徴とする、請求項8記載の温度制御装置。
  10. 前記制御部が、
    前記駆動電流が前記光素子に印加されていない状態で前記目標温度を変化させ、前記光素子の温度を前記変化後の目標温度にする第1の制御電流量を測定し、
    前記目標温度と前記環境温度が等しい状態で前記駆動電流を変化させ、前記光素子の温度を前記目標温度にする第2の制御電流量を測定し、
    前記第1の制御電流量と前記第2の制御電流量とに基づいて、前記温度制御部に供給する制御電流量を決定する、
    ことを特徴とする、請求項9記載の温度制御装置。
  11. 光デバイスであって、
    駆動電流の印加により駆動する光素子と、
    前記光素子の温度を変化させる温度制御部と、
    前記温度制御部を電流制御する制御部と、
    前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間を測定した結果に基づいて決定された時間だけ、前記光デバイスに入力される入力信号に遅延を与える遅延部と、をそなえ、
    前記制御部が、
    前記入力信号が前記光デバイスに入力された時点から前記温度制御部を電流制御し、
    前記温度制御部からの熱量が前記電流制御により発生してから前記光素子に到達するまでの時間に相当する時間だけ遅延が与えられた入力信号に同期したタイミングにて前記駆動電流を前記光素子に印加する、
    ことを特徴とする、光デバイス。
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