以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体搬送装置3(検体搬送部)と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、通信ネットワークを介して検査情報管理装置9と通信可能に接続されている。
図3は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図4は、検体ラックの外観を示す斜視図である。図3に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、検体バーコードラベルBLが貼付されている。この検体バーコードラベルBLには、検体IDを示す検体バーコード(識別子)が印刷されている。検体ラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。検体ラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、検体ラックLの正面には、ラックバーコードラベル(図示せず)が貼付されている。このラックバーコードラベルには、ラックIDを示すラックバーコードが印刷されている。
以下、検体処理システム1の構成について詳細に説明する。
<検体搬送装置3の構成>
図1に示すように、検体搬送装置3は、検体載置回収部3Aと検体搬送部3Bとから構成されている。
[検体載置回収部3Aの構成]
図2は、本実施の形態に係る検体載置回収部の構成を示す平面図である。検体載置回収部3Aは、検体載置ユニット21と、ラック中継ユニット22と、検体回収ユニット(回収部)23とを備えている。当該検体載置回収部3Aは、複数の検体容器が収納された検体ラックを載置することができる。
図2に示すように、検体載置ユニット21は、検体容器Tが収容された検体ラックLを載置するための凹状のラック載置部211を有している。このラック載置部211は、長方形状をなしており、複数の検体ラックLを同時に載置することが可能である。なお、検体ラックLは、横方向に検体容器Tが並ぶように前記ラック載置部211に載置される。ラック載置部211には、検体ラックLを検出するためのセンサ212、213と、検体ラックLを移送するための係合部211aとが設けられている。センサ212及び213は、光学式センサであり、センサ212は発光部212aと受光部212bとを、センサ213は発光部213aと受光部213bとをそれぞれ備えている。発光部212a,213aと受光部212b,213bとはラック載置部211を挟んで配置されており、ラック載置部211に載置された検体ラックLによって、発光部212a又は213aから発せられた光が遮られ、受光部212b又は213bの受光レベルが下がることにより、当該検体ラックLがラックセンサ212又は213により検出される。ラックセンサ212,213で検出された検体ラックLは、係合部211aに係合され、係合部211aが検体ラックLに係合した状態で前後方向へ移動することで、ラック載置部211上で検体ラックLが移送されるようになっている。
ラック載置部211の最も奥側(後方)の位置は、左側へ検体ラックLを送出するためのラック送出位置214とされている。かかるラック送出位置214には、左右方向へ移動可能な突出部215が設けられている。この突出部215は、ラック送出位置214に検体ラックLが移送されるまでは、ラック送出位置214の右端近傍の位置に待機しており、ラック送出位置214に検体ラックLが到達すると、左方向へ移動する。かかる突出部215に押されて、検体ラックLは左方向へ移送される。またこのラック送出位置214の左右両側の壁は欠落している。したがって、突出部215に押された検体ラックLは、検体載置ユニット21から送出されることとなる。図2に示すように、検体載置ユニット21の左側にはラック中継ユニット22が設けられており、ラック中継ユニット22の右側の壁の一部が欠落していて、これにより、ラック送出位置214から送出された検体ラックLはラック中継ユニット22に導入される。
また、ラック載置部211の前方には、2つの平行なベルトコンベヤである第1搬送ライン216及び第2搬送ライン217が設けられている。検体載置ユニット21のラック載置部211を取り囲む壁の第1搬送ライン216及び第2搬送ライン217の左右両側の部分のそれぞれは欠落しており、検体ラックLを第1搬送ライン216及び第2搬送ライン217に搬入し、また第1搬送ライン216及び第2搬送ライン217から他のユニットへ検体ラックLを搬出することが可能である。また、検体載置ユニット21には、第1搬送ライン216又は第2搬送ライン217に搬入された検体ラックLを後方へ移送するためのラック移送部218が設けられている。かかるラック移送部218は、横長の棒状をなしており、第2搬送ライン217からラック載置部211の前後方向の中間位置までの範囲内で前後方向に移動可能となっている。第1搬送ライン216又は第2搬送ライン217に搬入された検体ラックLの前側に配置されたラック移送部218が後方へ移動することにより、ラック移送部218が検体ラックLの前面に当接し、さらにラック移送部218が後方へ移動することにより、検体ラックLが後方へ押動される。これによって係合部211aを越える位置まで検体ラックLが後方へ移送され、その後係合部211aにより検体ラックLがラック送出位置214まで移送される。このように、検体載置ユニット21は、第1搬送ライン216又は第2搬送ライン217により搬入された検体ラックLをそのまま右側の検体回収ユニット23へ送出することも可能であるし、第1搬送ライン216又は第2搬送ライン217にある検体ラックLをラック送出位置214まで移送した後、左側のラック中継ユニット22に送出することも可能である。
かかる構成の検体載置ユニット21は、CPU及びメモリ等からなる制御部21aを備えている。この制御部21aにより、上述した検体載置ユニット21の機構が制御される。また、検体載置ユニット21は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介してシステム制御装置8に通信可能に接続されている。
検体載置ユニット21の左側には、ラック中継ユニット22が接続されている。ラック送出位置214から左側に送出された検体ラックLは、ラック中継ユニット22に搬入される。かかるラック中継ユニット22は、複数の検体ラックLを収容可能な平面視四角形状のラック載置部221を備えている。またラック中継ユニット22は、ラック載置部221の奥側にバーコード読取部22bを備えている。かかるバーコード読取部22bは、検体ラックLに収容されている複数の検体容器Tの検体バーコードから検体IDを同時に読み出すことが可能であり、しかも検体ラックLのラックバーコードからラックIDを読み出すことも可能である。かかるバーコード読取部22bには、検体容器T検出用の光学センサが設けられており(図示せず)、検体ラックLがバーコード読取部22bによるバーコード読取位置に到達したときに、当該光学センサによって検体容器Tの有無が検出される。また、バーコード読取部22bは、ラック載置部221における最も奥側のバーコード読出位置の直上に、複数の検体容器Tを同時に水平回転させる水平回転機構(図示せず)を備えている。ラック載置ユニット21のラック送出位置214から送出された検体ラックLは、ラック中継ユニット22に左方向へ搬入され、バーコード読出位置に到達する。その後、検体ラックLに収容される検体容器Tが水平回転機構により水平回転されながら、バーコード読取部22bによってバーコードラベルBLから検体IDが読み出され、検体ラックLのラックバーコードラベルからラックIDが読み出される。
検体ラックLがバーコード読取位置に到達したとき、上述した光学センサによって検体容器Tの有無が検出され、バーコード読取部22bにより各検体容器Tの検体バーコードが複数回連続して読み取られる。複数回読み出された各検体IDのデータが一致している場合に、検体IDの読み取りが成功したとされ、検体ID及び読み取られたラックIDがシステム制御装置8へ送信される。光学センサによって検体容器Tが検出されているときにおいて、所定の時間内に検体IDを1度も読み出せなかった場合、所定の時間内に検体IDを複数回読み出せたが、読み出した複数のデータが一致しなかった場合、又は所定の時間内に検体IDを1回しか読み出せなかった場合には、検体IDの読み取り不良とされる。かかる検体バーコードの読取不良が発生した場合には、ラック中継ユニット22の制御部22aが、この検体の保持位置番号に対応付けられた検体バーコード読取エラー情報を作成し、システム制御装置8へ送信する。
ラック載置部221の左右の壁のそれぞれからは係合部221aが突出している。かかる係合部221aは、バーコード読取部22bにより検体ID及びラックIDが読み取られた検体ラックLに係合し、前方へ移動する。これによって検体ラックLがラック載置部221上を前方へ移動することとなる。ラック載置部221の最も前側の位置は、ラック送出位置222とされている。このラック送出位置222の前側には、ベルトコンベヤにより構成された搬送ライン223が設けられており、搬送ライン223とラック送出位置222との間には壁状の仕切り部224が突設されている。仕切り部224には左右方向へ移動可能な突出部225が設けられている。この突出部225は、ラック送出位置222に検体ラックLが移送されるまでは、ラック送出位置222の右端近傍の位置に待機しており、ラック送出位置222に検体ラックLが到達した後に、左方向へ移動する。かかる突出部225に押されて、検体ラックLは左方向へ移送される。またこのラック送出位置222の左右両側の壁は欠落している。したがって、突出部225に押された検体ラックLは、ラック中継ユニット22から送出されることとなる。図1に示すように、ラック中継ユニット22の左側には検体搬送部3Bが接続されており、ラック送出位置222は、後述する検体搬送装置3の追い越しライン321と直線的に連なっている。これにより、ラック送出位置222から送出された検体ラックLは検体搬送装置3の追い越しライン321に導入される。
また、ラック送出位置222の近傍には、ラックID読み取り用のバーコードリーダ222aが設けられている。ラック送出位置222に搬送された検体ラックLのラックIDがこのバーコードリーダ222aによって読み取られ、読み取られたラックIDはシステム制御装置8へ送信される。システム制御装置8は、後述するように、このラックIDを受信し、これによって当該検体ラックLの搬送先を決定する。
また、搬送ライン223の左右両側の壁も欠落しており、搬送ライン223は、後述する検体搬送装置3の帰還ライン331及び前述した検体載置ユニット21の第2搬送ライン217と直線的に連なっている。これにより、搬送ライン223は検体搬送装置3の帰還ライン331から検体ラックLを受け入れ、この検体ラックLを検体載置ユニット21の第2搬送ライン217へ搬出する。
かかる構成のラック中継ユニット22は、CPU及びメモリ等からなる制御部22aを備えている。この制御部22aにより、上述したラック中継ユニット22の機構が制御される。また、ラック中継ユニット22は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット54及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
検体載置ユニット21の右側には、検体回収ユニット23が配置されている。検体回収ユニット23は、ラック載置ユニット21と同様の構成とされている。つまり、検体回収ユニット23は、検体ラックLを載置するための凹状のラック載置部231、ラック載置部231に載置された検体ラックLを後方へ移送するための係合部231a、検体ラックLを検出するためのセンサ232,233、ラック載置部231の前側に設けられ、検体ラックLを横方向へ搬送するための第1搬送ライン236及び第2搬送ライン237、並びに第1搬送ライン236又は第2搬送ライン237に搬入された検体ラックLをラック載置部231へ移送するためのラック移送部238を備えている。
このような検体回収ユニット23は、CPU及びメモリ等からなる制御部23aを備えている。制御部23aにより、上述した検体回収ユニット23の機構が制御される。
<検体搬送部3Bの構成>
次に、検体搬送部3Bの構成について説明する。図1に示すように、検体搬送部3Bは、4つの検体搬送ユニット3a,3b,3c,4を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,52,53の前方には、各別に検体搬送ユニット3a,3b,3cが配置され、塗抹標本作製装置6の前方には検体搬送ユニット4が配置されている。隣り合う検体搬送ユニット3a及び3b,3b及び3c,3c及び4は接続されており、検体ラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送ユニット3aは、上述した検体載置回収部3Aに接続されており、検体載置回収部3Aから搬出された検体ラックLを導入し、また検体載置回収部3Aへ検体ラックLを送出することが可能となっている。
図5は、検体搬送ユニット3aの構成を示す平面図である。ここでは、測定ユニット51の前側に配置されている検体搬送ユニット3aについて説明するが、測定ユニット52,53の前側に配置されている検体搬送ユニット3b,3cも同様の構成となっている。図5に示すように、検体搬送ユニット3aは、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する検体ラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、対応する測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持する検体ラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、検体ラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けた検体ラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するベルトコンベヤからなる測定ライン35と、搬送上流側の装置(検体載置回収部3A)から検体ラックLを搬入し、この検体ラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送ユニット3b)へと検体ラックLを搬出するベルトコンベヤからなる追い越しライン321と、搬送下流側の装置(検体搬送ユニット3b)から検体ラックLを搬入し、この検体ラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送上流側の装置(検体載置回収部3A)へと検体ラックLを搬出するベルトコンベヤからなる帰還ライン331とを備えている。
制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット54及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
検体搬送ユニット3aは、検体載置回収部3Aから搬送された検体ラックLを、追い越しライン321に沿って分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、この検体ラックLをラック送り込み部33bによって分析前ラック保持部33から測定ライン35へと送出し、さらに測定ライン35に沿って検体ラックLを搬送することにより、検体を血球分析装置5の対応する測定ユニット51(52,53)へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容する検体ラックLは、測定ライン35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持された検体ラックLは、この検体ラックLに保持されている検体が搬送方向下流側の測定ユニット52若しくは53により測定され、又は塗抹標本作製装置6によって塗抹標本の作製に供される必要がある場合には、追い越しライン321へと移送され、追い越しライン321に沿って後段の装置(検体搬送ユニット3b)へ搬出される。また、分析後ラック保持部34に保持された検体ラックLに保持されている検体の全てについて、搬送方向下流側の測定ユニット52,53による測定及び塗抹標本作製装置6による塗抹標本の作製の必要がない場合には、当該検体ラックLは帰還ライン331へと移送され、帰還ライン331に沿って前段(搬送方向上流側)の装置(検体載置回収部3A)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット52,53又は塗抹標本作製装置6にて処理する検体を収容する検体ラックLを前段の装置から検体搬送ユニット3aが受け入れた場合は、追い越しライン321に沿ってこの検体ラックLが矢印X1方向へと搬送され、後段の検体搬送ユニット3bへそのまま搬出される。検体載置回収部3Aによって回収される検体ラックLを後段の装置から検体搬送ユニット3aが受け入れた場合は、帰還ライン331に沿ってこの検体ラックLが矢印X2方向へと搬送され、前段の検体載置回収部3Aへそのまま搬出される。
なお、搬送機構31のうち、ラック送込部33b、測定ライン35及びラック送出部39は、血球分析装置5の情報処理ユニット54により制御される。搬送機構31のその他の部分は、制御部32により制御される。
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送ユニット4が配置されている。この検体搬送ユニット4は、その右側端が、3つの検体搬送ユニット3a,3b,3cの内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送ユニット3cと接続されている。
図6は、検体搬送ユニット4の構成を示す平面図である。検体搬送ユニット4は、検体を搬送する搬送機構41と、搬送機構41を制御する制御部42と、搬送機構41によって搬送された検体容器Tの検体バーコードから検体IDを読み出すバーコード読取部416とを備えている。搬送機構41は、塗抹標本の作製が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する検体ラックLを一時的に保持することが可能な処理前ラック保持部43と、塗抹標本作製装置6によって検体が吸引された検体容器Tを保持する検体ラックLを一時的に保持することが可能な処理後ラック保持部44と、検体を塗抹標本作製装置6に供給するために、検体ラックLをX1方向へ水平に直線移動させ、処理前ラック保持部43から受け付けた検体ラックLを処理後ラック保持部44へ搬送するベルトコンベヤからなる処理ライン45と、搬送上流側の検体搬送ユニット3cから検体ラックLを搬入し、当該検体ラックLをX1方向へ搬送するベルトコンベヤからなる追い越しライン421と、検体の塗抹標本の作製が完了した検体ラックLを検体載置回収部3Aに回収させるために、搬送上流側の検体搬送ユニット3cへと当該検体ラックLを搬出するベルトコンベヤからなるラック帰還搬送部431とを備えている。なお、検体搬送ユニット4は、構成部品の大きさ、形状及び位置が検体搬送ユニット3aと異なっているが、機能は同様であるので、その構成についての説明を省略する。
検体搬送ユニット4は、上流側の検体搬送ユニット3cから搬出された検体ラックLを、追い越しライン421により導入し、ラック送出部46により処理前ラック保持部43へ移送し、この検体ラックLを処理前ラック保持部43から処理ライン45へと送出し、さらに処理ライン45に沿って搬送することにより、検体を塗抹標本作製装置6へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容する検体ラックLは、処理ライン45に沿って搬送され、ラック送出部47により処理後ラック保持部44へ送出される。処理後ラック保持部44に保持された検体ラックLは、帰還ライン431へと移送され、帰還ライン431により、前段(搬送方向上流側)の検体搬送ユニット3cへ搬出される。
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51,52,53と、測定ユニット51,52,53から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット54とを備えている。
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,52,53(検体処理装置)と、1つの情報処理ユニット54とを備えている。情報処理ユニット54は、3つの測定ユニット51,52,53と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,52,53の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット54は、3つの測定ユニット51,52,53の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送ユニット3a,3b,3cとも通信可能に接続されている。
図7は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図7に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513(検体処理部)とを有している。これらの検体吸引部511、試料調製部512、及び検出部513は、筐体514の内部に配置されている。また、測定ユニット51は、検体搬送ユニット3aの測定ライン35上を搬送された検体ラックLに収容された検体容器Tを筐体514の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、検体ラックLから検体容器Tを筐体514の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置511aまで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515と、筐体514の内部に取り込まれた検体容器Tの検体バーコードから検体IDを読み出すバーコード読取部516とをさらに有している。検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることにより検体容器Tを把持する。検体ラックLに保持された状態の検体容器Tがハンド部515aにより把持され、検体ラックLから引き抜かれる。また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、検体容器セット部515bに挿入され、この検体容器セット部515bが筐体514の内部へ移動することで、検体容器Tが筐体514の内部に取り込まれる。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、バーコード読取部516によりこの検体容器Tの検体バーコードから検体IDが読み取られる。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
バーコード読取部516は、検体容器Tの検体バーコードを複数回連続して読み取る。複数回読み出された各検体IDのデータが一致している場合には、検体IDの読み取りが成功したとされる。所定の時間内に検体IDを1度も読み出せなかった場合、所定の時間内に検体IDを複数回読み出せたが、読み出した複数のデータが一致しなかった場合、又は所定の時間内に検体IDを1回しか読み出せなかった場合には、検体IDの読み取り不良とされる。
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。RBC、PLT、HGB、及びWBCは、測定項目CBC(complete blood count)が指定されたときに測定される。
なお、検出部513による検出結果を処理することにより、情報処理ユニット54は、白血球の5分類(測定項目DIFF)が可能である。さらに詳しくは、情報処理ユニット54は、検出部513による検出結果を処理することにより、WBC(全白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)のそれぞれの数を取得することが可能であるように構成されている。
測定ユニット51の検出部513は、CBC及びDIFFに加え、網状赤血球(RET)の測定、光学的な血小板測定(PLT−O)、及び光学的な幼若白血球測定(IMI−O)が可能である。RETの測定は、RET測定用の試薬と検体とを混合して測定試料を調製し、検出部513に前記測定試料を供給することで行われる。同様に、PLT−Oの測定は、PLT−O測定用の試薬と検体とを混合して測定試料を調製し、検出部513に前記測定試料を供給することで行われ、IMI−Oの測定は、IMI−O測定用の試薬と検体とを混合して測定試料を調製し、検出部513に前記測定試料を供給することで行われる。
測定ユニット52及び53は、測定ユニット51と同様の構成であり、測定ユニット51と同様に、CBC及びDIFFの測定がそれぞれ可能である。
次に、情報処理ユニット54の構成について説明する。情報処理ユニット54は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット54の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット54は、コンピュータ54aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ54aは、本体541と、画像表示部542と、入力部543とを備えている。本体541は、CPU541a、ROM541b、RAM541c、ハードディスク541d、読出装置541e、入出力インタフェース541f、通信インタフェース541g、及び画像出力インタフェース541hを備えており、CPU541a、ROM541b、RAM541c、ハードディスク541d、読出装置541e、入出力インタフェース541f、通信インタフェース541g、及び画像出力インタフェース541hは、バス541jによって接続されている。
読出装置541eは、コンピュータを情報処理ユニット54として機能させるためのコンピュータプログラム544aを可搬型記録媒体544から読み出し、当該コンピュータプログラム544aをハードディスク541dにインストールすることが可能である。
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
図9は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図9に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送ユニット4の処理ライン45上を搬送された検体ラックLの検体容器Tの蓋部CPに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送部3Bから与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体載置回収部3AからラックID及び検体IDを受け付け、そのラックID及び検体IDにより検査情報管理装置9へ測定オーダの問い合わせを行う。また、システム制御装置8は、検体ラックLの搬送先を決定し、搬送先を示す搬送指示データを検体搬送部3Bへ送信する。
図10は、本実施の形態に係るシステム制御装置8の構成を示すブロック図である。システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図10に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
読出装置81eは、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aを可搬型記録媒体84から読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
<検査情報管理装置9の構成>
検査情報管理装置9は、施設内における検査に関する情報を管理する装置、所謂LIS(Laboratory Information System)であり、血球分析装置5だけでなく、他の臨床検体検査装置にも接続されている。かかる検査情報管理装置9は、操作者から入力されたり、電子カルテシステム等の他の装置から送信された測定オーダを受け付け、測定オーダを記憶、管理する。さらに、検査情報管理装置9は、システム制御装置8又は血球分析装置5からのオーダ要求を受け付け、要求された測定オーダをシステム制御装置8又は血球分析装置5へ送信する。また、検査情報管理装置9は、血球分析装置5から分析結果を受信し、この分析結果を記憶、管理する。
検査情報管理装置9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、及び血球分析装置5の情報処理ユニット54と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。検査情報管理装置9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、検査情報管理装置9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
[検体処理システムの動作]
次に、本実施の形態に係る検体処理システムの動作について説明する。
<動作モード設定動作>
検体処理システム1は、情報処理ユニット54が動作モード設定処理を実行することにより、動作モードを設定する動作モード設定動作を行う。図11は、情報処理ユニット54による動作モード設定処理の手順を示すフローチャートである。この動作モードの設定は、例えば検体処理システム1が施設に設置されたときに初期設定として実行される。オペレータ又はサービスマンは、動作モードを設定する際に、情報処理ユニット54の入力部543を操作して、動作モード設定画面の表示指示を情報処理ユニット54に与える。情報処理ユニット54のCPU541aは、動作モード設定画面の表示指示を受け付けると(ステップS101)、動作モード設定画面を画像表示部542に表示する(ステップS102)。
図12は、動作モード設定画面の一例を示す模式図である。動作モード設定画面W1は、バーコード読取異常が生じた場合における動作モードを設定するための画面であり、デフォルト測定モードとスキップモードを設定可能である。かかる動作モード設定画面W1には、デフォルト測定モードを選択するためのラジオボタンR1と、スキップモードを選択するためのラジオボタンR2とが設けられている。デフォルト測定モードは、バーコード読取異常が生じた検体に対して、予め設定された測定項目の測定を行う動作モードであり、スキップモードは、バーコード読取異常が生じた検体に対して、検体吸引部511による吸引を行わずに(つまり検体の測定を行わずに)、検体載置回収部3Aに回収する動作モードである。ラジオボタンR1がマウス等による操作によって選択されると、デフォルト測定モードが設定され、ラジオボタンR2がマウス等による操作によって選択されると、スキップモードが設定される。なお、ラジオボタンR1及びR2を同時に選択することはできない。
また、動作モード設定画面W1には、デフォルト測定モードにおける測定項目を設定する項目設定ボタンB1〜B6が設けられている。項目設定ボタンB1は、デフォルト測定モードにおける測定項目にCBCを設定するためのボタンであり、同様に、項目設定ボタンB2〜B5のそれぞれは、デフォルト測定モードにおける測定項目にDIFF、RET、PLT−O、IMI−Oのそれぞれを設定するためのボタンである。オペレータは、マウス等の操作によって各ボタンB1〜B5を選択可能であり、所望の測定項目のボタンを選択することにより、選択した測定項目をデフォルト測定モードにおける測定項目に設定することができる。なお、ボタンB1〜B5は、同時に複数のボタンを選択することが可能である。つまり、オペレータは、複数の測定項目をデフォルト測定モードにおける測定項目に設定することができる。また、動作モード設定画面W1には、入力された内容の動作モードの設定を確定するためのOKボタンB6と、その画面において入力された内容を破棄し、それ以前の動作モードを維持するためのキャンセルボタンB7とが設けられている。
CPU541aは、上記のような動作モード設定画面において動作モードの設定指示を受け付け(ステップS103)、指示された動作モードがデフォルト測定モードかスキップモードかを判定する(ステップS104)。デフォルト測定モードの設定が指示された場合には(ステップS104において「デフォルト測定モード」)、CPU541aは、デフォルト測定モードを設定する(ステップS105)。このとき、動作モード設定画面W1において選択された測定項目をデフォルト測定モードにおける測定項目として設定する。一方、スキップモードの設定が指示された場合には(ステップS104において「スキップモード」)、CPU81aは、スキップモードを設定する(ステップS106)。この動作モードの設定は、指示された動作モードを示す情報、及びデフォルト測定モードの場合にはその測定項目を設定値としてハードディスク541dに記憶することにより行われる。つまり、デフォルト測定モードの設定が指示された場合には、デフォルト測定モードを示す情報及び測定項目を示す情報が設定値としてハードディスク541dに記憶され、スキップモードの設定が指示された場合には、スキップモードを示す情報が設定値としてハードディスク541dに記憶される。このようにして動作モードの設定をした後、CPU541aは処理を終了する。
このように、ユーザにおける検体処理の運用に応じて、ユーザは検査処理システム1の動作モードをデフォルト測定モード又はスキップモードに設定することができる。処理対象の検体の測定項目の多くが共通している場合には、デフォルト測定モードの測定項目として、その共通する項目を設定し、デフォルト測定モードを動作モードに設定することで、検体IDの読取不良が発生した多くの検体に対して適切な測定を行うことができる。また、測定すべき測定項目が異なる検体が混在している場合及びデフォルト測定モードの測定項目がユーザの要望する項目でない場合には、スキップモードを動作モードに設定することで、ユーザが要望しない測定項目について検体の測定が行われることによる検体の消費を抑制することができる。
<検体処理動作>
次に、検体処理システム1による検体処理動作について説明する。
複数の検体容器Tを保持した検体ラックLが、オペレータにより検体載置ユニット21に載置される。この検体ラックLに保持されている検体のそれぞれについては、測定オーダが検査情報管理装置9によって記憶されている。測定オーダは、ハードディスク91dに設けられた測定オーダデータベースに格納される。
検体ラックLが検体載置ユニット21に載置され、検体処理開始の指示がオペレータから与えられると、検体ラックLが検体載置ユニット21からラック中継ユニット22へ搬出され、ラック中継ユニット22のバーコード読取部22bにより検体容器Tの検体バーコードからの検体IDの読取動作が実行される。また、これと共に、バーコード読取部22bによりラックバーコードからラックIDが読み出される。制御部22aは、このようにして読み出されたラックID及び検体IDをシステム制御装置8へと送信する。この送信データの各検体IDは、その検体容器Tが保持されている保持位置番号と対応付けられている。ここで、バーコード読取部22bによる検体IDの読取動作が実行された結果、検体IDの読取不良が発生した場合には、検体番号に代えて読取エラー情報を含む送信データが生成され、システム制御装置8へと送信される。
読み出された検体ID及びラックIDは、システム制御装置8を通じて検査情報管理装置9へ送信され、該当する測定オーダが要求される。測定オーダは、血球分析装置5及び塗抹標本作製装置6において測定又は処理が行われる項目を含む情報であり、血球分析装置5及び塗抹標本作製装置6は、測定オーダに含まれる項目に応じた処理を検体に対して実行する。測定オーダは、検査情報管理装置9の測定オーダデータベースにおいて、検体IDに対応付けられて格納されている。検査情報管理装置9は、測定オーダデータベースに当該検体IDに対応する測定オーダが存在する場合には、この測定オーダを読み出し、システム制御装置8へと送信する。また、測定オーダデータベースに検体IDに対応する測定オーダが存在しない場合には、その旨を示す情報である測定オーダ無し情報を当該検体IDと共にシステム制御装置8へと送信する。システム制御装置8は、検査情報管理装置9から測定オーダが送信されてきた検体IDについては、その検体を吸引して測定を行う必要があり、そのために再度測定オーダを問い合わせる必要があると判断する。一方、検査情報管理装置9から測定オーダ無し情報が送信されてきた検体IDについては、その検体を吸引して測定する必要がなく、再度測定オーダを問い合わせる必要がないと判断する。さらに、システム制御装置8のCPU81aは、このような判断結果を用いて、ラックオーダを作成する。
図13は、ラックオーダの構成を示す模式図である。図13に示すように、ラックオーダはテーブル型のデータであり、検体ラックLの保持位置番号を格納するフィールドF11と、検体IDを格納するフィールドF12と、測定オーダの問い合わせの要否を示す情報を格納するフィールドF13とを有している。それぞれのフィールドF11〜F13は対応しており、例えば、保持位置番号1の検体容器Tから読み出された検体ID「0001」について検査情報管理装置9から測定オーダを受信した場合には、フィールドF11の保持位置番号1に対応するフィールドF12のセルに「0001」が格納され、フィールドF11の保持位置番号1に対応するフィールドF13のセルに測定オーダの問い合わせが必要であることを示す情報「1」(以下、「問い合わせフラグ」という。)が格納される。一方、保持位置番号4の検体容器から読み出された検体ID「0004」について検査情報管理装置9から測定オーダを受信しなかった場合には、フィールドF11の保持位置番号4に対応するフィールドF12のセルに「0004」が格納され、フィールドF11の保持位置番号4に対応するフィールドF13のセルに問い合わせフラグとして測定オーダの問い合わせが不要であることを示す「0」が格納される。
また、システム制御装置8のCPU81aは、ラック中継ユニット22から読取エラー情報が送信されてきた検体については、その検体容器Tの保持位置に対応するフィールドF12のセルに読取エラー情報「ERR000001」を格納し、対応するフィールドF13のセルにオーダ問い合わせが不要であることを示す情報「0」を格納する。読取エラー情報「ERR000001」は、バーコード読取部22bにより検体IDの読取不良が発生した検体であることを示すエラーコードである。
システム制御装置8は、その時点における測定ユニット51〜53の動作状態に基づいて、検体ラックLの搬送先となる測定ユニットを決定し、上記のようにして作成したラックオーダと共に、決定した搬送先への搬送指示を検体搬送装置3へ与える。以下の説明では、搬送先として測定ユニット51が決定された場合について説明する。
検体搬送ユニット3aは、システム制御装置8から送信されたラックオーダを含む搬送指示データを受信する。ラック中継ユニット22は、搬送指示に係る検体ラックLを検体搬送ユニット3aの追い越しライン321に搬出し、検体搬送ユニット3aが当該検体ラックLを搬送先である測定ユニット51の前側に位置する測定ライン35へと搬送する。なお、ラック中継ユニット22は、バーコード読取部22bによる検体IDの読取不良が生じた検体を検体ラックLが収容しているか否かに関わらず、当該検体ラックLを検体搬送ユニット3aに搬出する。検体搬送ユニット3aは、前記ラックオーダを測定指示データとして情報処理ユニット54へ送信する。以下、情報処理ユニット54の動作について説明する。
図14A及び図14Bは、本実施の形態に係る情報処理ユニット54による検体測定動作の手順を示すフローチャートである。情報処理ユニット54のCPU541aは、ラックオーダの受信を待機し(ステップS201においてNO)、検体搬送ユニット3aから送信されたラックオーダを受信する(ステップS201においてYES)。次にCPU541aは、ラックオーダに含まれる検体IDにより、検査情報管理装置9へ測定オーダの問い合わせを行う(ステップS202)。この処理では、ラックオーダにおいて問い合わせフラグに「1」がセットされている検体についてのみ、測定オーダの問い合わせが行われる。図13に示す例においては、保持位置番号1、2、5、6、8、10の検体IDにより測定オーダの問い合わせが行われる。
測定オーダの問い合わせを行った後、CPU541aは測定オーダの受信を待機する(ステップS203においてNO)。測定オーダを受信すると(ステップS203においてYES)、CPU541aは、検体ラックLから検体容器Tを筐体514の内部に取り込むよう測定ユニット51を制御する(ステップS204)。続いて、CPU541aは、バーコード読取部516に、当該検体容器Tの検体バーコードからの検体IDの読取動作を実行させる(ステップS205)。次にCPU541aは、バーコード読取部516により読み出された検体IDを、ラックオーダに含まれる、当該検体容器Tの保持位置に対応する検体IDと照合する(ステップS206)。この照合により両検体IDが一致する場合には、バーコード読取部22b,516の何れにおいても正しく検体IDの読取が行われ、しかも、搬送途中で検体容器Tが取り換えられていないと考えることができる。したがって、この検体IDは信頼性が高いといえる。ステップS206においてこれらの検体IDが一致した場合には(ステップS206においてYES)、検体吸引部511により検体を検体容器Tから吸引し、ステップS203において受信した当該検体IDに対応する測定オーダにしたがって、試料調製部512により測定試料を調製し、測定オーダによって指示される測定項目について検出部513により検体の測定を行うよう測定ユニット51を制御し、また測定結果に基づいて検体の分析を行う(ステップS207)。このとき検体の吸引が完了した検体容器Tは、検体容器搬送部515により測定ユニット51の筐体514から排出され、検体ラックLの元の保持位置に戻される。
上記のように、検体容器Tの取り込み及びバーコード読取部516による検体IDの読み取りに先だって、ラックオーダに含まれる検体IDに基づいて測定オーダを取得しておくことで、バーコード読取部516により読み取られた検体IDによって測定オーダの問い合わせを行う場合に比べて検体容器Tの取り込みから検体の吸引迄の時間を短縮することができ、検体処理システム1の処理能力(処理速度)を向上させることができる。また、上記のように筐体514の内部に検体容器Tを取り込み、筐体514の内部に設けられたバーコード読取部516により検体IDを読み取り、筐体514の内部において検体容器Tから検体の吸引を行う構成としたため、検体IDの読み取りが行われてから検体の吸引が行われるまでの間に検体容器Tが取り換えられることを防止することができ、検体の取り違えによる誤測定を防止することができる。
検体の分析を終了したCPU541aは、検体の分析結果を画像表示部542に表示し(ステップS208)、検体ラックLに保持されている、問い合わせフラグが「1」にセットされている全ての検体について、検体の測定を行ったか否かを判定する(ステップS209)。問い合わせフラグが「1」にセットされているが、測定を行っていない検体が存在する場合には(ステップS209においてNO)、CPU541aは、処理をステップS204へ移し、測定を行っていない検体を収容する検体容器Tを筐体514の内部に取り込む。
ステップS206において、バーコード読取部516により読み出された検体IDと、ラックオーダに含まれる、当該検体容器Tの保持位置に対応する検体IDとが一致しない場合には(ステップS206においてNO)、CPU541aは、測定ユニット51の筐体514の内部に配置されたバーコード読取部516において検体IDの読取不良が発生したか否かを判定する(ステップS210)。読取不良が発生していない場合には(ステップS210においてNO)、CPU541aは、バーコード読取部516により読み出された検体IDにより検査情報管理装置9へ測定オーダを問い合わせる(ステップS211)。このように、バーコード読取部22bにより読み取られた検体IDとバーコード読み取り部516により読み取られた検体IDとが一致しない場合には、検体容器Tが搬送途中に取り換えられている可能性がある。取り換えられる前の検体の検体IDに対応する測定オーダと、取り換えられた後の検体の検体IDに対応する測定オーダとは通常同一ではないため、両検体IDが一致しない場合には、当該取り換えられた後の検体を正しく測定することができない。よって、本実施の形態に係る検体処理システム1では、バーコード読取部22bにより読み取られた検体IDとバーコード読み取り部516により読み取られた検体IDとが一致しない場合には、バーコード読み取り部516により読み取られた検体IDによって測定オーダを問い合わせ、測定される検体に対応する測定オーダを確実に取得するようにしている。
続いて、CPU541aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS212においてNO)、測定オーダを受信すると(ステップS212においてYES)、検体吸引部511により検体を検体容器Tから吸引し、ステップS212において受信した当該検体IDに対応する測定オーダにしたがって、試料調製部512により測定試料を調製し、測定オーダによって指示される測定項目について検出部513により検体の測定を行うよう測定ユニット51を制御し、また測定結果に基づいて検体の分析を行う(ステップS213)。このとき検体の吸引が完了した検体容器Tは、検体容器搬送部515により測定ユニット51の筐体514から排出され、検体ラックLの元の保持位置に戻される。
検体の分析を終了したCPU541aは、検体の分析結果を画像表示部542に表示し(ステップS214)、ステップS208へ処理を移して、検体ラックLに保持されている、問い合わせフラグが「1」にセットされている全ての検体について、検体の測定を行ったか否かを判定する(ステップS209)。
ステップS210において、検体IDの読取不良が発生している場合には(ステップS210においてYES)、CPU541aは、その時点において設定されている動作モードがデフォルト測定モードかスキップモードかを判定する(ステップS215)。デフォルト測定モードが設定されている場合には(ステップS215において「デフォルト測定モード」)、検体吸引部511により検体を検体容器Tから吸引し、設定されているデフォルト測定モードの測定項目にしたがって、試料調製部512により測定試料を調製し、前記デフォルト測定モードの測定項目について検出部513により検体の測定を行うよう測定ユニット51を制御し、また測定結果に基づいて検体の分析を行う(ステップS216)。このとき検体の吸引が完了した検体容器Tは、検体容器搬送部515により測定ユニット51の筐体514から排出され、検体ラックLの元の保持位置に戻される。
検体の分析を終了したCPU541aは、検体の分析結果を画像表示部542に表示する(ステップS217)。図15は、デフォルト測定モードにより検体を分析したときの分析結果画面の一例を示す模式図である。図15には、デフォルト測定モードの測定項目として、CBC、DIFF、及びPLT−Oが設定されている場合の画面例を示している。この分析結果画面W2では、左上の領域に「ERROR」の文字列C1が設けられている。この「ERROR」の文字列C1は、バーコード読取部516による検体IDの読取不良が発生し、デフォルト測定モードにより検体の測定が行われたことを示す情報である。つまり、文字列C1は、デフォルト測定モードにおける測定項目(予め定められた測定項目)について検体の測定が実行されたことを示している。
また、分析結果画面W2の「ERROR」の文字列C1の下側には、検体ID及び測定日時を表示する領域A2が設けられている。この領域においては、検体IDとして、バーコード読取部516により検体IDの読取不良が発生した検体であることを示すエラーコードである読取エラー情報「ERR000002」が表示される。分析結果画面W2の上部中央には、患者(被験者)の氏名、患者ID、患者の性別を表示する領域A2が設けられ、さらにその右側には、メッセージを表示する領域A3が設けられている。領域A3には、メッセージとして、「測定ユニットでバーコード読取異常が発生したため、デフォルトの測定項目について測定しました。」の文字列が表示される。
分析結果画面W2の中央部より下側部分は、分析結果を表示するための領域A4が設けられている。図15の例では、領域A4にCBCの分析結果である各項目の数値データT1と、DIFFの分析結果であるスキャッタグラムS1と、PLT−Oの分析結果であるスキャッタグラムS2とが表示されている。
上記のように、文字列A1を含む分析結果画面W2を表示することにより、オペレータはこの分析結果がデフォルト測定モードにより測定された結果であることを容易に確認することができる。
上記の分析結果画面W2を表示した後、CPU541aはステップS208へ処理を移して、検体ラックLに保持されている、問い合わせフラグが「1」にセットされている全ての検体について、検体の測定を行ったか否かを判定する(ステップS209)。
一方、ステップS215において、その時点において設定されている動作モードがスキップモードである場合には(ステップS215において「スキップモード」)、CPU541aは、検体吸引部511により当該検体を検体容器Tから吸引することなく、検体容器Tを検体容器搬送部515により測定ユニット51の筐体514から排出し、検体ラックLの元の保持位置に戻す(ステップS218)。その後、CPU541aはステップS209へ処理を移して、検体ラックLに保持されている、問い合わせフラグが「1」にセットされている全ての検体について、検体の測定を行ったか否かを判定する(ステップS209)。ステップS209において、検体ラックLに保持されている、問い合わせフラグが「1」にセットされている全ての検体について、検体の測定を行った場合には(ステップS209においてYES)、CPU541aは処理を終了する。
上記のような構成とすることにより、検体搬送部3Bにより搬送されるべき検体ラックLに保持された検体容器Tについて、バーコード読取部22bによる検体IDの読取不良が発生した場合であっても、当該検体ラックLは検体搬送部3Bにより搬送され、測定ユニット51〜53の筐体514の内部に配置されたバーコード読取部516による検体IDの読取動作が実行され、その結果に応じた処理が行われることとなる。バーコード読取部22による検体IDの読取不良の原因が、バーコード読取部22bの水平回転機構による検体容器の回転動作不良、検体バーコードへの照射光の光量不足、検体バーコードからの反射光の取り込み不良等であり、検体容器に検体バーコードが適切に貼付されているときには、バーコード読取部516による当該検体IDの読み取りが成功する可能性がある。そのため、一度バーコード読取部22bにより検体IDの読取不良が発生した場合であっても、当該検体をオペレータが検体載置ユニット21に再度載置することなく、検体IDの読み取りを成功させる可能性を高くすることができる。バーコード読取部516により検体IDが読み取られたときには、その検体IDによって測定オーダの問い合わせが行われ、これによって得られた測定オーダにしたがって検体の測定が行われる。一方、バーコード読取部516による検体IDの読取不良が発生したときには、デフォルト測定モードが設定されていれば、設定された測定項目について当該検体の測定が行われる。このように、一度バーコード読取部22bにより検体IDの読取不良が発生した検体に対しても、適切な処理を行うことが可能となり、このように適切な処理が行われた検体についてはオペレータが検体載置ユニット21に再度載置する必要がない。つまり、オペレータ(ユーザ)が再載置する検体の数を抑制することができ、その結果オペレータの負担が軽減される。
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、検体の処理として、測定ユニット51〜53による検体の測定を行う場合について述べたが、これに限定されるものではない。検体の処理として、塗抹標本作成装置6による検体の塗抹標本の作製を行う場合でも、同様の動作が行われる。また、他の検体の処理であってもよく、例えば、血液凝固測定装置による血液凝固測定、免疫分析装置による免疫分析、生化学分析装置による生化学分析、尿分析装置による尿分析等であってもよい。
また、バーコード読取部516が筐体514の内部に配置されている構成について述べたが、これに限定されるものではない。バーコード読取部516が筐体514の外部に配置され、測定ライン35上の検体ラックLに保持された検体容器Tの検体バーコードから検体IDを読み取る構成としてもよい。
また、測定ユニット51,52,53が、測定ライン35上の検体ラックLに保持されたままの検体容器Tから直接検体を吸引する構成としてもよい。
また、上述した実施の形態においては、検体IDが検体バーコードとしてバーコードラベルBLに印刷(記録)され、その検体IDをバーコード読取部22b,516により読み取る構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体IDを記録したRFIDタグを検体容器に付し、受信機がそのRFIDタグから無線通信により検体IDを受信する構成としてもよい。また、検体IDを磁気コードとして記録した磁気ラベルを検体容器に付し、その検体IDを磁気コード読取装置により読み取る構成としてもよいし、検体IDを示す文字列を印刷したラベルを検体容器に付し、その文字列をカメラで撮像して画像処理により検体IDを取得する構成としてもよい。検体IDを記録した記録媒体を検体容器に付し、又は検体容器に直接検体IDを記録し、その検体IDを読出装置により読み出す構成であれば、どのような構成であってもよい。
また、上述した実施の形態においては、検体搬送部3Bがそれぞれ独立した検体搬送ユニット3a,3b,3c,4によって構成されているものについて説明したが、これに限定されるものではない。一体不可分な構成の検体搬送部が測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6の前側に配置され、これによって各測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6へ検体ラックLが搬送される構成としてもよい。
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が複数の測定ユニット51〜53及び塗抹標本作成装置6を有する構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システム1が1つの検体処理装置、例えば1つの測定ユニットを備える構成であってもよい。
また、上述した実施の形態においては、測定ユニット51,52,53の全てが同一の測定項目(CBC,DIFF,RET)について検体を測定可能な構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、測定ユニット51,52においてCBC及びDIFFについて検体の測定が可能であるがRETについて検体の測定はできず、測定ユニット53においてCBC,DIFF及びRETについて検体の測定が可能な構成としてもよい。
また、上述した実施の形態においては、血球分析装置5が3つの測定ユニット51,52,53及び情報処理ユニット54を備えた構成について述べたが、これに限定されるものではない。測定ユニットは1つでも複数でもよく、測定ユニットと情報処理ユニットとが一体的に構成されていてもよい。また、情報処理ユニット54によって測定ユニット51,52,53の機構の制御を行うのではなく、それぞれの測定ユニットがCPU及びメモリ等からなる制御部を備え、これらの制御部によって各測定ユニットの制御が行われ、それぞれの測定ユニットによって得られた測定データを情報処理ユニットが処理して検体の分析結果を生成する構成であってもよい。
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ54aによりコンピュータプログラム54aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム54aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
また、上述した実施の形態においては、バーコード読取異常が生じた場合における動作モードの設定が、動作モード設定画面W1を介して、オペレータにより初期設定として実行されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、検体搬送部3Bによって搬送される検体ラックLに収容された検体容器内の検体量を情報処理ユニット54が監視し、検体量が所定量以上である検体の処理を行う場合には、情報処理ユニット54がデフォルト測定モードに自動的に設定し、検体量が所定量未満である検体の処理を行う場合には、情報処理ユニット54がスキップモードに自動的に設定してもよい。
また、上述した実施の形態においては、情報処理ユニット54のCPU541aは、図14A及び図14Bに示す手順で検体測定動作を実行しているが、本発明はこれに限定されるものではない。図16は、情報処理ユニット54のCPU541aにより実行される検体測定動作の手順の変形例を示すフローチャートである。この変形例による検体測定動作では、図14AのステップS201〜S205の処理を実行した後、CPU541aが、測定ユニット51の筺体514の内部に配置されたバーコード読取部516において検体IDの読取不良が発生したか否かを判定する(ステップS306)。読取不良が発生していない場合には(ステップS306においてNO)、CPU541aは、バーコード読取部516により読み出された検体IDを、ラックオーダに含まれる、当該検体容器Tの保持位置に対応する検体IDと照合する(ステップS307)。この照合により両検体IDが一致する場合には(ステップS307でYES)、CPU541aは、図14AのステップS207〜S209の処理を実行する。両検体IDが一致しない場合には(ステップS307でNO)、CPU541aは、図14BのステップS211〜S214の処理を実行する。ステップS306において、バーコード読取部516において読取不良が発生していると判定された場合には(ステップS306でYES)、CPU541aは、図14BのステップS215〜S218の処理を実行する。この変形例による検体測定動作によっても、バーコード読取部22bにより検体IDの読取不良が発生した検体に対しても、適切な処理を行うことが可能となる。