JP5564787B2 - 塗装鋼板、加工品及び薄型テレビ用パネル - Google Patents
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Description
(1)鋼板の両面に、亜鉛系めっき層を形成し、前記鋼板の亜鉛系めっき層上に、クロムを含有しない化成皮膜を形成し、前記鋼板の一方の面の前記化成皮膜上に、その硬度が200N/mm2以上で、かつ、JIS Z 2248-1996に準拠した0T曲げをしたときの曲げ加工頂部のERVが5mA未満である、膜厚が3〜5μmの着色顔料の含有量が5〜15質量%である着色単一有機皮膜を形成し、該着色顔料がカーボンブラックであり、該着色単一皮膜に用いられる有機樹脂がポリエステルであることを特徴とする塗装鋼板。
本発明の塗装鋼板は、鋼板の両面に、亜鉛系めっき層及び化成皮膜を順次形成し、前記鋼板の一方の面の前記化成皮膜上に、着色単一有機皮膜を形成する。
前記塗装鋼板の各部の詳細について以下に述べる。
本発明の塗装鋼板の下地鋼板となる亜鉛系めっき層を形成した鋼板としては、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(例えば、溶融亜鉛−55質量%アルミニウム合金めっき鋼板、溶融亜鉛−5質量%アルミニウム合金めっき鋼板)、鉄−亜鉛合金めっき鋼板、ニッケル−亜鉛合金めっき鋼板などの各種亜鉛系めっき鋼板を用いることができる。
前記亜鉛系めっき層の上に形成された化成皮膜は、環境保護の観点から、クロムを含有しないものとする。前記化成皮膜は、主としてめっき層と有機皮膜との密着性向上のために形成される。密着性を向上するものであればどのようなものでも支障はないが、密着性だけでなく耐食性を向上できるものがより好ましい。密着性と耐食性の点からシリカ微粒子を含有し、耐食性の点からリン酸及び/又はリン酸化合物を含有することが好ましい。シリカ微粒子は、湿式シリカ、乾式シリカのいずれを用いても構わないが、密着性向上効果の大きいシリカ微粒子、特に乾式シリカが含有されることが好ましい。また、シリカは化成皮膜中に1〜20質量%含有することが、密着性及び耐食性が向上する点で好ましい。リン酸やリン酸化合物は、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸など、これらの金属塩や化合物などのうちから選ばれる1種以上を含有すれば良い。また、リン酸やリン酸化合物は、化成皮膜中に0.1〜5質量%含有させることが、耐食性が向上する点で好ましい。さらに、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などの樹脂、シランカップリング剤などの1種以上を添加してもよい。
前記化成皮膜上に形成した着色単一有機皮膜は、その硬度が200N/mm2以上で、かつ、JIS Z 2248-1996に準拠した0T曲げをしたときの曲げ加工頂部のERVが5mA未満である、膜厚が10μm以下の着色単一有機皮膜である。
ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコールを周知の方法で加熱反応させて得られる共重合体である。多塩基酸成分としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸、マレイン酸、アジピン酸、フマル酸などを用いることができる。また、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオピンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどを用いることができる。市販されているポリエステル樹脂としては、「アルマテックス」(登録商標)(商品名、三井東圧化学(株)製)、「アルキノール」(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「デスモフェン」(登録商標)(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「バイロン」(登録商標)(商品名、東洋紡績(株)製)などがある。
また、さらに好ましいポリエステル樹脂としてはポリエステル樹脂と、脂肪族ジイソシアネート化合物とを反応して得られるウレタン変性ポリエステル樹脂が使用できる。上記脂肪族ジイソシアネート化合物としては、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどを挙げることができる。
また、さらに好ましいポリイソシアネート化合物としては非黄変性のヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略す)およびその誘導体、トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略す)およびその誘導体、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、XDIと略す)およびその誘導体、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略す)およびその誘導体、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(以下、TMDIと略す)およびその誘導体、水添TDIおよびその誘導体、水添MDIおよびその誘導体、水添XDIおよびその誘導体などを挙げることができる。さらに、「スミジュール」(登録商標)(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「デスモジュール」(登録商標)(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「コロネート」(登録商標)(商品名、日本ポリウレタン(株)製)などの市販のイソシアネート化合物も使用できる。
硬化剤を用いて硬化させる場合、有機樹脂と硬化剤との配合比(固形分の重量比)は有機樹脂/硬化剤:99/1〜80/20、望ましくは97/3〜90/10とするのが好ましい。硬化剤の配合量は皮膜固形分中の割合で0.75〜15重量%とする。この硬化剤の配合量が0.75重量%未満では皮膜硬度が不十分となり、一方、15重量%を超えると曲げ加工時に皮膜割れが発生する。
さらに、前記着色単一有機皮膜には目的や用途に応じてp−トルエンスルホン酸、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジウラレート、2-エチルヘイソエート鉛などの硬化触媒、;その他消泡剤、顔料分散剤、流れ止め剤などの各種添加剤を適宜配合することができる。
さらにまた、前記着色単一有機皮膜には目的や用途に応じて粒子状アクリル樹脂、ナイロン樹脂などを含有することも可能である。
前記数平均分子量が20000未満では、皮膜の架橋間分子量が短すぎ、架橋密度が大きくなりすぎるため、伸びが低下して曲げ加工性が劣化したり、皮膜強度が高くなりすぎ加工変形部の皮膜が剥離しやすくなるからであり、一方、数平均分子量が50000を超えると、充分な架橋密度が得られない結果、バリア性が不充分で皮膜が膨潤するおそれがあるからである。
前記ガラス転移温度Tgが20℃未満では、皮膜の強靭性が低下し、充分なプレス加工性が得られない上、皮膜硬度、加工後皮膜密着性などの特性も低下する傾向があるからであり、一方、ガラス転移温度Tgが70℃を超えると、充分な曲げ加工性が得られなくなるおそれがあるからである。
さらに、前記ポリエステル系樹脂の水酸基価が2KOHmg/g未満では、架橋反応が不充分となるために充分な皮膜硬度が得られず、一方、水酸基価が20KOHmg/gを超えると充分な加工性が得られなくなるおそれがあるためである。
なお、前記有機皮膜の膜厚は、断面を光学顕微鏡又は電子顕微鏡を用い、1視野につき任意の3箇所の膜厚を測定し、少なくとも5視野で、合計15箇所以上で測定した膜厚の平均値とする。
また、本発明の塗装鋼板を、例えば薄型テレビ用パネルとして使用する場合には、プレス加工したパネルの内面になる塗装鋼板の裏面は、溶接や電磁波シールド等の必要性から導電性を有することが好ましい。
かかる場合には、前記鋼板の他方の面上にも、上述のクロムを含有しない化成皮膜を有することで、従来のクロメート皮膜と同程度の耐食性と密着性を有するとともに、優れた導電性も有すること、具体的には、導電荷重を500g以下とすることが、電磁波シールド性の点で好ましい。さらに好ましいのは300g以下とすることである。導電荷重は表面抵抗が10−4Ω以下となる最小荷重である。
さらに、前記熱吸収性顔料を含有する有機樹脂層の放射率を、0.3〜0.8の範囲にすることで、所望の放熱性を得ることができる。ここで、放射率とは、4.5〜25μmの波長領域において、表面の分光反射率(R)を、同温度の黒体放射を1(100%)として相対的に表わし、波長範囲で積分したものである。具体的な熱吸収性顔料の有機樹脂層に対する添加量としては、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。添加量を0.1質量%以上とすることで、熱吸収効果を十分に得ることが可能となり、20質量%以下とすることで、前記有機樹脂層の耐食性の劣化を防ぐためである。
(実施例1〜15及び比較例1〜2)
塗装用亜鉛系めっき鋼板として、各々板厚0.5mmの電気亜鉛めっき鋼板(めっき種記号:EG)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(Fe含有量:10質量%、めっき種記号:GA)、溶融亜鉛めっき鋼板(めっき種記号:GI)、溶融Zn−Alめっき鋼板(Al含有量:4.5質量%、めっき種記号:GF)および溶融Zn−Alめっき鋼板(Al含有量:55質量%、めっき種記号:GL)を準備した。めっき鋼板のめっき付着量(g/m2)を表1に示す。なお、鋼板の一方の面(オモテ面)と他方の面(ウラ面)のめっき付着量、およびめっき組成は同一とした。前記亜鉛系めっき鋼板に脱脂処理を行った後、以下の(i)及び(ii)の処理工程を行い、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。めっき鋼板のめっき付着量(g/m2)及び膜厚(μm)を表1に示す。
(i)オモテ面に、表1に示す化成皮膜を形成するための化成処理薬剤をバーコーターにて塗布して乾燥させた後に、ウラ面に表2に示す化成皮膜を形成するための化成処理薬剤を塗布し、その後、加熱10秒後に到達板温が100℃となるような加熱処理を行い、所定膜厚のオモテ面及びウラ面の化成皮膜を形成した。それぞれの化成皮膜についての、組成及び膜厚を表1及び表3に示す。
(ii)その後、オモテ面に着色単一有機皮膜として、ポリエステル樹脂(ベース樹脂)、表1に示す硬化剤、カーボンブラック(着色顔料)を含有するオモテ面の着色単一有機皮膜用塗料(含有量は表1参照)を、表1に示す乾燥膜厚となるように塗布した後、必要に応じて、ウラ面に表2に示す組成の有機樹脂塗料を塗布し、その後、加熱開始から20秒後に到達板温が190℃となるように加熱処理を行い、オモテ面の着色単一有機皮膜、又は、さらにウラ面の有機樹脂層を形成した。
(1)硬度
硬度は、前述した、正四角錘ビッカース圧子を用いて、試験荷重3.0mNを加えた際の押し込み深さ(μm)を、超微小押し込み硬さ試験機(フィッシャースコープ(登録商標)HM2000)により測定し、この押し込み深さから算出する方法により求めた。
前記曲げ加工性は、JIS Z2248−1996に準拠し、前記塗装鋼板を、縦60mm、横30mmの大きさに切り出した試験片に、前記塗装鋼板を室温で180°に折り曲げる0T曲げしたときの曲げ加工部頂部を目視で観察した。評価は以下の基準にしたがって行った。
○:有機皮膜の割れが確認されない
×:有機皮膜の割れが確認される
ERVによる評価は、上記(2)において0T曲げを行ったサンプルについて、前述したERV法により、ERVを測定した。評価は、以下の基準に従って評価した。
◎:2mA未満
○:2mA以上、5mA未満
△:5mA以上、10mA未満
×:10mA以上
素地面隠蔽性は、皮膜形成前の前記めっき鋼板のオモテ面を、先端が金属のペンで傷を付けたのち、前記した処理工程を行って各塗装鋼板を作製し、オモテ面を目視で観察した。評価は、以下の基準に従って評価した。
○:傷がわからない
×:傷が明瞭にわかる
上記各塗装鋼板を、ブランク径67mmφ、ポンチ径33mmφ、成型速度300mm/s、壁面温度80℃で、円筒カップ成型した後の、側壁部の皮膜の損傷を目視により以下の基準に従って評価した。
◎:損傷は発生せず
○:若干の損傷が認められた
×:損傷が多数発生した
上記各塗装鋼板の有機皮膜の表面に対し、エタノールラビング試験を4.9N(0.5kgf)の荷重で10回行い、エタノールラビング試験前後のL値の変動幅(ΔL)を測定し、以下の基準に従って評価した。
◎:ΔLが1以下
○:ΔLが1超え、2以下の範囲
×:ΔLが2超え
上記各サンプルから、試験片(大きさ:100×50mm)を切り出し、試験片の端部及び裏面をテープシールした後、5質量%の塩水を35℃で8時間噴霧した後、16時間休止する工程を1サイクルとし、これを3サイクル行った後の、皮膜表面外観の変化を評価した。評価は以下の基準に従って行った。
◎:皮膜表面に変化なし
○:皮膜表面に若干の発錆がある
×:皮膜表面に多数の発錆がある
(8)導電性
低抵抗測定装置(ロレスタGP:三菱化学(株)製:ESPプローブ)を用い、各サンプルのウラ面の表面抵抗値を測定した。その時、プローブ先端にかかる荷重を20g/sで増加させ、表面抵抗が10-4Ω以下になった時の荷重値で以下のように評価した。
表面抵抗が10-4Ω以下になった時の荷重値
◎:10点測定の平均荷重が300g以下
○:10点測定の平均荷重が300g超500g以下
△:10点測定の平均荷重が500g超700g以下
×:10点測定の平均荷重が700g超960g以下
実施例14及び15、並びに、比較例1及び2のサンプルについて、以下に示す条件で放熱性を測定した。
測定装置:日本電子(株)製 遠赤外線分光放射計 JIR−E500、測定温度:100℃、測定波長:4.5〜25μm、分解能:8cm−1、積算回数:100回、その他の条件:JIS R1801:2002に準拠
その後、測定結果から放射率を算出し、以下の基準で評価した。
◎:0.5以上、0.8未満
○:0.3以上、0.5未満
△:0.1以上、0.3未満
×:0.1未満
これによれば、実施例1〜15の塗装鋼板は、いずれも優れた硬度、素地隠蔽性、曲げ加工性、耐プレス疵性、耐溶剤性及び耐食性及び導電性を有している。特に、比較例1、2に比べて、いずれも曲げ加工性及び耐プレス疵性に優れていることがわかる。また、実施例14、15は、さらに、放射率も高く、放熱性に優れていることがわかる。
Claims (6)
- 鋼板の両面に、亜鉛系めっき層を形成し、前記鋼板の亜鉛系めっき層上に、クロムを含有しない化成皮膜を形成し、前記鋼板の一方の面の前記化成皮膜上に、その硬度が200N/mm2以上で、かつ、JIS Z 2248-1996に準拠した0T曲げをしたときの曲げ加工頂部のERVが5mA未満である、膜厚が3〜5μmの着色顔料の含有量が5〜15質量%である着色単一有機皮膜を形成し、該着色顔料がカーボンブラックであり、該着色単一皮膜に用いられる有機樹脂がポリエステルであることを特徴とする塗装鋼板。
- 前記化成皮膜を形成した前記鋼板の他方の面の導電荷重が500g以下であることを特徴とする請求項1記載の塗装鋼板。
- さらに、前記鋼板の他方の面の化成皮膜上に、有機樹脂層を形成し、前記他方の面の導電荷重が500g以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の塗装鋼板。
- 前記着色単一有機皮膜は、その表面に対して、エタノールラビング試験を0.5kgの荷重で10回行ったときのL値の変動幅(ΔL)が1以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗装鋼板。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装鋼板を用い、該塗装鋼板の前記着色単一有機皮膜を具える面が凸表面になるようにプレス加工を施して形成してなる加工品。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装鋼板を用い、該塗装鋼板の前記着色単一有機皮膜を具える面が外部に露出する凸表面になるようにプレス加工を施して形成してなる薄型テレビ用パネル。
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