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JP5564787B2 - 塗装鋼板、加工品及び薄型テレビ用パネル - Google Patents
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JP5564787B2 - 塗装鋼板、加工品及び薄型テレビ用パネル - Google Patents

塗装鋼板、加工品及び薄型テレビ用パネル Download PDF

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Description

本発明は、塗装鋼板、加工品及び薄型テレビ用パネルに関するものであり、特に、良好な曲げ加工性と耐プレス疵性とを両立させた塗装鋼板に関するものである。本発明の塗装鋼板は、例えば、液晶テレビやプラズマテレビのような薄型テレビ用パネルに代表されるAV機器などの素材として使用するのに適する。
塗装鋼板は、例えば、テレビ用パネル等に成形される際に、プレス加工や曲げ加工が行われるのが一般的であり、曲げ加工性及び耐プレス疵性が要求されている。通常、プレコート鋼板(塗装鋼板)では、内面側の下塗り塗膜に主として変性ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂を使用することで、下地鋼板との密着性、耐食性などを確保し、また、外面側の上塗り塗膜にポリエステル系、アクリル系塗膜などを使用することで、主として耐汚染性、意匠性、耐疵付き性、ならびに耐エタノール性、耐塩酸性又は耐アルカリ性であるバリア性などを付与する2コート鋼板さらには下塗り塗膜と上塗り塗膜の間に中塗り塗膜を形成した3コート鋼板が一般的である。
なお、従来の2コート塗装鋼板は、特許文献1に開示されているように、下塗り塗膜の膜厚が5μm程度、上塗り塗膜の膜厚が15μm程度、これら塗膜の総膜厚が20μm程度であるのが一般的である。しかしながら、かかる塗膜の総膜厚だと、塗装や焼付のための時間が長くかかり、また、塗膜が厚いほど製造コストの点で不利となるため、塗装作業の合理化や省資源化の観点から、塗膜の薄膜化が望まれている。
特開平4−215873号公報
本発明の目的は、有機皮膜の適正化を図ることにより、前記有機皮膜の膜厚が10μm以下と薄い場合であっても、総膜厚が20μm程度ある従来の2コート塗装鋼板と同等レベルの良好な曲げ加工性及び耐プレス疵性を具える塗装鋼板、加工品及び薄型テレビ用パネルを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)鋼板の両面に、亜鉛系めっき層を形成し、前記鋼板の亜鉛系めっき層上に、クロムを含有しない化成皮膜を形成し、前記鋼板の一方の面の前記化成皮膜上に、その硬度が200N/mm2以上で、かつ、JIS Z 2248-1996に準拠した0T曲げをしたときの曲げ加工頂部のERVが5mA未満である、膜厚が3〜5μmの着色顔料の含有量が5〜15質量%である着色単一有機皮膜を形成し、該着色顔料がカーボンブラックであり、該着色単一皮膜に用いられる有機樹脂がポリエステルであることを特徴とする塗装鋼板。
(2)前記化成皮膜を形成した前記鋼板の他方の面の導電荷重が500g以下であることを特徴とする上記(1)記載の塗装鋼板。
(3)さらに、前記鋼板の他方の面の化成皮膜上に、有機樹脂層を形成し、前記他方の面の導電荷重が500g以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の塗装鋼板。
(4)前記着色単一有機皮膜は、その表面に対して、キシレンラビング試験を0.5kgの荷重で10回行ったときのL値の変動幅(ΔL)が1以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の塗装鋼板。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の塗装鋼板を用い、該塗装鋼板の前記着色単一有機皮膜を具える面が凸表面になるようにプレス加工を施して形成してなる加工品。
(6)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の塗装鋼板を用い、該塗装鋼板の前記着色単一有機皮膜を具える面が外部に露出する凸表面になるようにプレス加工を施して形成してなる薄型テレビ用パネル。
本発明によれば、膜厚が10μm以下と薄い場合であっても、総膜厚が20μm程度ある従来の2コート塗装鋼板と同等レベルの良好な曲げ加工性及び耐プレス疵性を具える塗装鋼板、加工品及び薄型テレビ用パネルの提供が可能となった。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の塗装鋼板は、鋼板の両面に、亜鉛系めっき層及び化成皮膜を順次形成し、前記鋼板の一方の面の前記化成皮膜上に、着色単一有機皮膜を形成する。
前記塗装鋼板の各部の詳細について以下に述べる。
(亜鉛系めっき層)
本発明の塗装鋼板の下地鋼板となる亜鉛系めっき層を形成した鋼板としては、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(例えば、溶融亜鉛−55質量%アルミニウム合金めっき鋼板、溶融亜鉛−5質量%アルミニウム合金めっき鋼板)、鉄−亜鉛合金めっき鋼板、ニッケル−亜鉛合金めっき鋼板などの各種亜鉛系めっき鋼板を用いることができる。
(化成皮膜)
前記亜鉛系めっき層の上に形成された化成皮膜は、環境保護の観点から、クロムを含有しないものとする。前記化成皮膜は、主としてめっき層と有機皮膜との密着性向上のために形成される。密着性を向上するものであればどのようなものでも支障はないが、密着性だけでなく耐食性を向上できるものがより好ましい。密着性と耐食性の点からシリカ微粒子を含有し、耐食性の点からリン酸及び/又はリン酸化合物を含有することが好ましい。シリカ微粒子は、湿式シリカ、乾式シリカのいずれを用いても構わないが、密着性向上効果の大きいシリカ微粒子、特に乾式シリカが含有されることが好ましい。また、シリカは化成皮膜中に1〜20質量%含有することが、密着性及び耐食性が向上する点で好ましい。リン酸やリン酸化合物は、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸など、これらの金属塩や化合物などのうちから選ばれる1種以上を含有すれば良い。また、リン酸やリン酸化合物は、化成皮膜中に0.1〜5質量%含有させることが、耐食性が向上する点で好ましい。さらに、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などの樹脂、シランカップリング剤などの1種以上を添加してもよい。
(着色単一有機皮膜)
前記化成皮膜上に形成した着色単一有機皮膜は、その硬度が200N/mm2以上で、かつ、JIS Z 2248-1996に準拠した0T曲げをしたときの曲げ加工頂部のERVが5mA未満である、膜厚が10μm以下の着色単一有機皮膜である。
前記硬度は、前記塗装鋼板の一方の面の着色単一有機皮膜に、正四角錘ビッカース圧子を用いて、試験荷重3.0mNを加えた際の押し込み深さ(μm)を、超微小押し込み硬さ試験機(フィッシャースコープ(登録商標)HM2000)により測定し、この押し込み深さから算出した硬度を意味する。図1及び図2に、荷重と押し込み深さとの関係を表すグラフ、及び押し込み深さと硬度との関係を表すグラフを示す。ここで、前記硬度を200N/mm2以上としたのは、プレス時に金型から圧力がかかった状態で摺動を受けた場合であっても、めっき面を保護し、良好な皮膜外観を維持できる、つまり耐プレス疵性に優れるとともに、輸送時やハンドリング時の取り扱い疵もつきにくく、テレビパネル等の用途で用いられた場合に必要とされる硬度を有することができるからである。
前記ERV(エナメルレイティング値)は、前記塗装鋼板を縦60mm、横30mmの大きさに切り出した試験片に、前記塗装鋼板の温度が室温で密着曲げ加工(JIS Z 2248-1996に準拠した0T曲げ)を施し、この密着曲げ加工部の頂部における前記着色単一皮膜の被覆度をERV法にて評価するものである。ここで、ERV法により得られるERVの測定は、図3に示すように、曲げ加工部の頂部を10mm×10mmが露出する枠のシールテープにより端面をシールし、電解液との接触面積を一定にした状態で、温度20〜25℃、1質量%の食塩水を電解液とするエナメルレーターで測定した値である。なお、本発明では、曲げ加工部の平面部に金属露出部を形成して陽極とし、陰極をC電極とする電解液中に、6Vの直流電圧を4秒間印加した後の電流値としている。このERVの測定によれば、電流が多く流れるほど、絶縁体である有機皮膜に欠陥が存在し、めっきの金属が露出していることがわかる。また、ERVが5mA未満としたのは、5mA以上あると目視で有機皮膜の割れが確認され、曲げ加工すると外観を損ねる、つまり、曲げ加工性が劣るからである。
また、前記着色単一有機皮膜に用いられる有機樹脂としては特に限定せず、例えばアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、フッ素系、ポリウレタン系等が挙げられるが、主として前記硬度および前記曲げ加工性を有する点からポリエステル系樹脂を含有することが好ましい。
ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコールを周知の方法で加熱反応させて得られる共重合体である。多塩基酸成分としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸、マレイン酸、アジピン酸、フマル酸などを用いることができる。また、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオピンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどを用いることができる。市販されているポリエステル樹脂としては、「アルマテックス」(登録商標)(商品名、三井東圧化学(株)製)、「アルキノール」(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「デスモフェン」(登録商標)(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「バイロン」(登録商標)(商品名、東洋紡績(株)製)などがある。
また、さらに好ましいポリエステル樹脂としてはポリエステル樹脂と、脂肪族ジイソシアネート化合物とを反応して得られるウレタン変性ポリエステル樹脂が使用できる。上記脂肪族ジイソシアネート化合物としては、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどを挙げることができる。
また、耐汚染性、耐摩耗性などを付与する目的で、硬化剤成分を添加し、焼付け硬化皮膜にすることも可能である。硬化剤成分としては、イソシアネート化合物および/またはアミノ樹脂を用いることができる。また、これらの二種以上を混合して用いてもよい。イソシアネート化合物としては、一般的製法で得られるイソシアネート化合物を用いることができるが、その中でも特に、一液型塗料としての使用が可能である、フェノール、クレゾール、芳香族第二アミン、第三級アルコール、ラクタム、オキシムなどのブロック剤でブロック化されたポリイソシアネート化合物が好ましい。
また、さらに好ましいポリイソシアネート化合物としては非黄変性のヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略す)およびその誘導体、トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略す)およびその誘導体、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、XDIと略す)およびその誘導体、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略す)およびその誘導体、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(以下、TMDIと略す)およびその誘導体、水添TDIおよびその誘導体、水添MDIおよびその誘導体、水添XDIおよびその誘導体などを挙げることができる。さらに、「スミジュール」(登録商標)(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「デスモジュール」(登録商標)(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「コロネート」(登録商標)(商品名、日本ポリウレタン(株)製)などの市販のイソシアネート化合物も使用できる。
硬化剤であるアミノ樹脂としては、尿素、ベンゾグアナミン、メラミンなどとホルムアルデヒドとの反応で得られる樹脂、およびこれらをメタノール、ブタノールなどのアルコールによりアルキルエーテル化したものが使用できる。具体的には、メチル化尿素樹脂、n−ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、iso−ブチル化メラミン樹脂などを挙げることができる。さらに、「サイメル」(商品名、三井サイアミッド(株)製)、「ユーバン」(登録商標)(商品名、三井東圧化学(株)製)、「スミマール」(登録商標)(商品名、住友化学工業(株)製)、「メラン」(登録商標)(商品名、日立化成工業(株)製)などの市販のアミノ樹脂も使用できる。
硬化剤を用いて硬化させる場合、有機樹脂と硬化剤との配合比(固形分の重量比)は有機樹脂/硬化剤:99/1〜80/20、望ましくは97/3〜90/10とするのが好ましい。硬化剤の配合量は皮膜固形分中の割合で0.75〜15重量%とする。この硬化剤の配合量が0.75重量%未満では皮膜硬度が不十分となり、一方、15重量%を超えると曲げ加工時に皮膜割れが発生する。
また、上述した有機樹脂、硬化剤および着色顔料以外のその他の成分として、前記着色単一有機皮膜には目的や用途に応じてワックスを適量配合することができる。このワックスとしては天然ワックス、または合成ワックスを用いることができる。
さらに、前記着色単一有機皮膜には目的や用途に応じてp−トルエンスルホン酸、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジウラレート、2-エチルヘイソエート鉛などの硬化触媒、;その他消泡剤、顔料分散剤、流れ止め剤などの各種添加剤を適宜配合することができる。
さらにまた、前記着色単一有機皮膜には目的や用途に応じて粒子状アクリル樹脂、ナイロン樹脂などを含有することも可能である。
また、前記その他の成分として、前記着色単一有機皮膜には目的や用途に応じて防錆顔料、および防錆剤を併用して配合することができる。防錆顔料としては、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、リン酸アルミ、亜リン酸アルミ、モリブデン酸塩、リン酸モリブデン酸塩、バナジン酸/リン酸混合顔料、シリカ、カルシウムシリケートと呼ばれるCaを吸着させたタイプのシリカ等の一般に公知の防錆顔料および防錆剤を使用することができる。
なお、前記着色単一有機皮膜に用いられる有機樹脂の数平均分子量は20000〜50000、ガラス転移温度Tgが20〜70℃、水酸基価が2〜20KOHmg/gであることが好ましい。
前記数平均分子量が20000未満では、皮膜の架橋間分子量が短すぎ、架橋密度が大きくなりすぎるため、伸びが低下して曲げ加工性が劣化したり、皮膜強度が高くなりすぎ加工変形部の皮膜が剥離しやすくなるからであり、一方、数平均分子量が50000を超えると、充分な架橋密度が得られない結果、バリア性が不充分で皮膜が膨潤するおそれがあるからである。
前記ガラス転移温度Tgが20℃未満では、皮膜の強靭性が低下し、充分なプレス加工性が得られない上、皮膜硬度、加工後皮膜密着性などの特性も低下する傾向があるからであり、一方、ガラス転移温度Tgが70℃を超えると、充分な曲げ加工性が得られなくなるおそれがあるからである。
さらに、前記ポリエステル系樹脂の水酸基価が2KOHmg/g未満では、架橋反応が不充分となるために充分な皮膜硬度が得られず、一方、水酸基価が20KOHmg/gを超えると充分な加工性が得られなくなるおそれがあるためである。
また、前記着色単一有機皮膜は、その名の通り、皮膜中に着色顔料を5〜15質量%含有する必要がある。後の塗装工程の省略が可能となり、素地色及び素地疵の隠蔽性有することができるためである。5%未満では顔料が少なすぎるため、素地色および素地疵の隠蔽性が不十分となるからであり、一方、15%超えでは顔料が多くなりすぎるため、皮膜が脆化するためである。
また、着色顔料はカーボンブラックであるカーボンブラックを用いれば、少量添加で着色が可能であり、高い隠蔽性が確保できるからである。
なお、前記着色単一有機皮膜の膜厚は、3〜5μm以下とする必要がある。前記膜厚は、10μmを超えると、プレス加工時に切断端面から脱離する皮膜量が多くなり、製品に付着する恐れがある。さらに、前記膜厚は、3μm未満だと、皮膜の膜厚が不均一となり、着色顔料が少なく部分が存在するため、色調が安定せず、素地色および素地疵の隠蔽性が不十分となる傾向があり、加えて、耐食性の点でも好ましくないからである。
なお、前記有機皮膜の膜厚は、断面を光学顕微鏡又は電子顕微鏡を用い、1視野につき任意の3箇所の膜厚を測定し、少なくとも5視野で、合計15箇所以上で測定した膜厚の平均値とする。
前記着色単一有機皮膜は、その表面に対して、エタノールラビング試験を4.9N(0.5kgf)の荷重で10回行ったときのL値の変動幅(ΔL)が1以下であることが好ましい。エタノールラビング試験とは、ガーゼにエタノール5mlを染み込ませた状態で、一定荷重をかけて前記着色単一有機皮膜上を往復運動することで、皮膜の耐溶剤性を測定する試験であり、試験前後の明度(L値)を測定し、その差が変動幅(ΔL)となる。L値の変動幅(ΔL)を1以下としたのは、1超えでは、耐溶剤性が不十分となるためである。
(鋼板の他方の面)
また、本発明の塗装鋼板を、例えば薄型テレビ用パネルとして使用する場合には、プレス加工したパネルの内面になる塗装鋼板の裏面は、溶接や電磁波シールド等の必要性から導電性を有することが好ましい。
かかる場合には、前記鋼板の他方の面上にも、上述のクロムを含有しない化成皮膜を有することで、従来のクロメート皮膜と同程度の耐食性と密着性を有するとともに、優れた導電性も有すること、具体的には、導電荷重を500g以下とすることが、電磁波シールド性の点で好ましい。さらに好ましいのは300g以下とすることである。導電荷重は表面抵抗が10−4Ω以下となる最小荷重である。
耐食性の要求度がそれほど高くない用途には、この他方の面はクロムを含有しない化成皮膜だけを形成し、特に電磁波シールド性に優れた塗装鋼板として提供できる。
さらに、前記鋼板の他方の面に前記クロムを含有しない化成皮膜のみを形成する場合であって、耐食性の要求が高い用途については、前記鋼板の他方の面に形成されたクロムを含有しない化成皮膜が、エポキシ樹脂、アミン変性エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。また、これらの樹脂を含有させる場合、硬化剤として、メラミン樹脂等を用いて硬化させることが好ましい。前記化成皮膜中の樹脂と硬化剤の合計の含有率は30〜50質量%とすることが好ましく、硬化剤を用いる場合、硬化剤の前記化成皮膜中の含有率は1〜20質量%が好ましい。また、前記化成皮膜中に、樹脂を含有させる場合、前記化成皮膜の他の成分は、耐食性を向上させるために1〜10質量%のリン酸及び/又はリン酸化合物、1〜10質量%の炭酸マンガン、炭酸アルミニウム、炭酸亜鉛などの無機添加剤とすることが好ましい。
また、特に耐食性の要求度が高い用途には、該化成皮膜上に必要に応じて有機樹脂層を形成することができる。有機樹脂層の有機樹脂種としてはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。有機樹脂層は、防錆顔料としてCaイオン交換シリカを含有することが、さらに優れた耐食性を得るために好ましい。また、有機樹脂層に対する防錆顔料の含有量は、0.1〜50質量%とすることが好ましい。この範囲にすることで、有機樹脂層の導電性を劣化させることなく、耐食性を向上させることができるためである。
さらに、放熱性の要求度が高い用途については、前記有機樹脂層に熱吸収性顔料を含むことが有利である。放熱性を発現するための有機樹脂種としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びポリエステル樹脂等が挙げられる。また、前記熱吸収性顔料は、特に限定されるものではなく、公知の顔料を用いればよいが、放射率を上げるためには、カーボンブラック、アニリンブラック、ポリメチレン染料、トリスアゾ染料アミン塩、シアニン染料又はその金属錯体、酸化鉄、酸化ケイ素及びマグネシウムケイ酸塩が例示される。これら熱吸収性顔料は、単独で添加してもよいが、2種以上を組み合わせてもよい。
さらに、前記熱吸収性顔料を含有する有機樹脂層の放射率を、0.3〜0.8の範囲にすることで、所望の放熱性を得ることができる。ここで、放射率とは、4.5〜25μmの波長領域において、表面の分光反射率(R)を、同温度の黒体放射を1(100%)として相対的に表わし、波長範囲で積分したものである。具体的な熱吸収性顔料の有機樹脂層に対する添加量としては、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。添加量を0.1質量%以上とすることで、熱吸収効果を十分に得ることが可能となり、20質量%以下とすることで、前記有機樹脂層の耐食性の劣化を防ぐためである。
なお、本発明の塗装鋼板は、前記着色単一有機皮膜を具える面が凸表面になるようにプレス加工が施され、さらに電磁波シールド性が要求される電子機器及び家電製品等の用途で使用される部材に好適である。例えば、プラズマディスプレーパネルや液晶テレビなどの薄型TVの背面パネルに使用するのに適している。
また、上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
本発明の実施例について説明する。
(実施例1〜15及び比較例1〜2)
塗装用亜鉛系めっき鋼板として、各々板厚0.5mmの電気亜鉛めっき鋼板(めっき種記号:EG)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(Fe含有量:10質量%、めっき種記号:GA)、溶融亜鉛めっき鋼板(めっき種記号:GI)、溶融Zn−Alめっき鋼板(Al含有量:4.5質量%、めっき種記号:GF)および溶融Zn−Alめっき鋼板(Al含有量:55質量%、めっき種記号:GL)を準備した。めっき鋼板のめっき付着量(g/m2)を表1に示す。なお、鋼板の一方の面(オモテ面)と他方の面(ウラ面)のめっき付着量、およびめっき組成は同一とした。前記亜鉛系めっき鋼板に脱脂処理を行った後、以下の(i)及び(ii)の処理工程を行い、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。めっき鋼板のめっき付着量(g/m2)及び膜厚(μm)を表1に示す。
(i)オモテ面に、表1に示す化成皮膜を形成するための化成処理薬剤をバーコーターにて塗布して乾燥させた後に、ウラ面に表2に示す化成皮膜を形成するための化成処理薬剤を塗布し、その後、加熱10秒後に到達板温が100℃となるような加熱処理を行い、所定膜厚のオモテ面及びウラ面の化成皮膜を形成した。それぞれの化成皮膜についての、組成及び膜厚を表1及び表3に示す。
(ii)その後、オモテ面に着色単一有機皮膜として、ポリエステル樹脂(ベース樹脂)、表1に示す硬化剤、カーボンブラック(着色顔料)を含有するオモテ面の着色単一有機皮膜用塗料(含有量は表1参照)を、表1に示す乾燥膜厚となるように塗布した後、必要に応じて、ウラ面に表2に示す組成の有機樹脂塗料を塗布し、その後、加熱開始から20秒後に到達板温が190℃となるように加熱処理を行い、オモテ面の着色単一有機皮膜、又は、さらにウラ面の有機樹脂層を形成した。
Figure 0005564787
Figure 0005564787
Figure 0005564787
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<オモテ面の評価>
(1)硬度
硬度は、前述した、正四角錘ビッカース圧子を用いて、試験荷重3.0mNを加えた際の押し込み深さ(μm)を、超微小押し込み硬さ試験機(フィッシャースコープ(登録商標)HM2000)により測定し、この押し込み深さから算出する方法により求めた。
(2)曲げ加工性(目視による評価)
前記曲げ加工性は、JIS Z2248−1996に準拠し、前記塗装鋼板を、縦60mm、横30mmの大きさに切り出した試験片に、前記塗装鋼板を室温で180°に折り曲げる0T曲げしたときの曲げ加工部頂部を目視で観察した。評価は以下の基準にしたがって行った。
○:有機皮膜の割れが確認されない
×:有機皮膜の割れが確認される
(3)曲げ加工性(ERVによる評価)
ERVによる評価は、上記(2)において0T曲げを行ったサンプルについて、前述したERV法により、ERVを測定した。評価は、以下の基準に従って評価した。
◎:2mA未満
○:2mA以上、5mA未満
△:5mA以上、10mA未満
×:10mA以上
(4)素地隠蔽性
素地面隠蔽性は、皮膜形成前の前記めっき鋼板のオモテ面を、先端が金属のペンで傷を付けたのち、前記した処理工程を行って各塗装鋼板を作製し、オモテ面を目視で観察した。評価は、以下の基準に従って評価した。
○:傷がわからない
×:傷が明瞭にわかる
(5)耐プレス疵性
上記各塗装鋼板を、ブランク径67mmφ、ポンチ径33mmφ、成型速度300mm/s、壁面温度80℃で、円筒カップ成型した後の、側壁部の皮膜の損傷を目視により以下の基準に従って評価した。
◎:損傷は発生せず
○:若干の損傷が認められた
×:損傷が多数発生した
(6)耐溶剤性
上記各塗装鋼板の有機皮膜の表面に対し、エタノールラビング試験を4.9N(0.5kgf)の荷重で10回行い、エタノールラビング試験前後のL値の変動幅(ΔL)を測定し、以下の基準に従って評価した。
◎:ΔLが1以下
○:ΔLが1超え、2以下の範囲
×:ΔLが2超え
(7)耐食性
上記各サンプルから、試験片(大きさ:100×50mm)を切り出し、試験片の端部及び裏面をテープシールした後、5質量%の塩水を35℃で8時間噴霧した後、16時間休止する工程を1サイクルとし、これを3サイクル行った後の、皮膜表面外観の変化を評価した。評価は以下の基準に従って行った。
◎:皮膜表面に変化なし
○:皮膜表面に若干の発錆がある
×:皮膜表面に多数の発錆がある
<ウラ面の評価>
(8)導電性
低抵抗測定装置(ロレスタGP:三菱化学(株)製:ESPプローブ)を用い、各サンプルのウラ面の表面抵抗値を測定した。その時、プローブ先端にかかる荷重を20g/sで増加させ、表面抵抗が10-4Ω以下になった時の荷重値で以下のように評価した。
表面抵抗が10-4Ω以下になった時の荷重値
◎:10点測定の平均荷重が300g以下
○:10点測定の平均荷重が300g超500g以下
△:10点測定の平均荷重が500g超700g以下
×:10点測定の平均荷重が700g超960g以下
(9)放熱性
実施例14及び15、並びに、比較例1及び2のサンプルについて、以下に示す条件で放熱性を測定した。
測定装置:日本電子(株)製 遠赤外線分光放射計 JIR−E500、測定温度:100℃、測定波長:4.5〜25μm、分解能:8cm−1、積算回数:100回、その他の条件:JIS R1801:2002に準拠
その後、測定結果から放射率を算出し、以下の基準で評価した。
◎:0.5以上、0.8未満
○:0.3以上、0.5未満
△:0.1以上、0.3未満
×:0.1未満
上記各試験の評価結果を表5に示す。
これによれば、実施例1〜15の塗装鋼板は、いずれも優れた硬度、素地隠蔽性、曲げ加工性、耐プレス疵性、耐溶剤性及び耐食性及び導電性を有している。特に、比較例1、2に比べて、いずれも曲げ加工性及び耐プレス疵性に優れていることがわかる。また、実施例14、15は、さらに、放射率も高く、放熱性に優れていることがわかる。
Figure 0005564787
本発明によれば、膜厚が10μm以下と薄い場合であっても、総膜厚が20μm程度ある従来の2コート塗装鋼板と同等レベルの良好な曲げ加工性及び耐プレス疵性を具える塗装鋼板、加工品及び薄型テレビ用パネルの提供が可能となった。
荷重と押し込み深さとの関係を表すグラフを示す。 押し込み深さと硬度との関係を表すグラフを示す。 ERV法を説明するための模式図を示す。

Claims (6)

  1. 鋼板の両面に、亜鉛系めっき層を形成し、前記鋼板の亜鉛系めっき層上に、クロムを含有しない化成皮膜を形成し、前記鋼板の一方の面の前記化成皮膜上に、その硬度が200N/mm2以上で、かつ、JIS Z 2248-1996に準拠した0T曲げをしたときの曲げ加工頂部のERVが5mA未満である、膜厚が3〜5μmの着色顔料の含有量が5〜15質量%である着色単一有機皮膜を形成し、該着色顔料がカーボンブラックであり、該着色単一皮膜に用いられる有機樹脂がポリエステルであることを特徴とする塗装鋼板。
  2. 前記化成皮膜を形成した前記鋼板の他方の面の導電荷重が500g以下であることを特徴とする請求項1記載の塗装鋼板。
  3. さらに、前記鋼板の他方の面の化成皮膜上に、有機樹脂層を形成し、前記他方の面の導電荷重が500g以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の塗装鋼板。
  4. 前記着色単一有機皮膜は、その表面に対して、エタノールラビング試験を0.5kgの荷重で10回行ったときのL値の変動幅(ΔL)が1以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗装鋼板。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装鋼板を用い、該塗装鋼板の前記着色単一有機皮膜を具える面が凸表面になるようにプレス加工を施して形成してなる加工品。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装鋼板を用い、該塗装鋼板の前記着色単一有機皮膜を具える面が外部に露出する凸表面になるようにプレス加工を施して形成してなる薄型テレビ用パネル。
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