JP6030344B2 - 塗装鋼板およびその製造方法、ならびに加工品および薄型テレビ用パネル - Google Patents
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Description
本発明の塗装鋼板は、例えば、液晶テレビやプラズマテレビのような薄型テレビ用パネルに代表される、AV機器などの筐体の素材として好適に使用される。
本発明の要旨構成は次の通りである。
前記亜鉛系めっき層の少なくとも一方の面上に形成されたクロムを含有しない化成皮膜と、
前記化成皮膜の上に形成された、有機樹脂、カーボンブラックを含む着色顔料および乾式法によって製造されたシリカを粉砕して得られるシリカを含む有機皮膜と、
を有し、
前記シリカはシランカップリング剤による表面処理が施されており、前記有機皮膜中に0.01質量%以上15質量%以下で含有されていることを特徴とする塗装鋼板。
前記亜鉛系めっき層の少なくとも一方の面上に、化成処理を施しクロムを含有しない化成皮膜を形成し、
前記化成皮膜上に、有機樹脂と、カーボンブラックを含む着色顔料と、乾式法によって製造されたシリカを粉砕して得られ、シランカップリング剤による表面処理が施されたシリカと、を含む塗料を塗布した後、加熱処理を施して有機皮膜を形成することを特徴とする塗装鋼板の製造方法。
本発明の塗装鋼板は、鋼板の両面に亜鉛系めっき層を形成し、亜鉛系めっき層の少なくとも一方の面上に、クロムを含有しない化成皮膜および有機皮膜を順次形成してなる。
塗装鋼板の各部の詳細について以下に述べる。
本発明の塗装鋼板の下地鋼板となる亜鉛系めっき層を形成した鋼板としては、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(例えば、溶融亜鉛−55質量%アルミニウム合金めっき鋼板、溶融亜鉛−5質量%アルミニウム合金めっき鋼板)、鉄−亜鉛合金めっき鋼板、ニッケル−亜鉛合金めっき鋼板などの各種亜鉛系めっき鋼板を用いることができる。
亜鉛系めっき層の上に形成された化成皮膜は、環境保護の観点から、クロムを含有しないものとする。化成皮膜は、主として亜鉛系めっき層と有機皮膜との密着性向上のために形成される。密着性を向上するものであればどのようなものでも支障はないが、密着性だけでなく耐食性を向上できるものがより好ましい。密着性と耐食性の点からシリカ微粒子を含有し、耐食性の点からリン酸および/またはリン酸化合物を含有することが好ましい。
シリカ微粒子は、湿式シリカ、乾式シリカのいずれを用いても構わないが、密着性向上効果の大きいシリカ微粒子、特に乾式シリカが含有されることが好ましい。
リン酸やリン酸化合物は、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸など、これらの金属塩や化合物などのうちから選ばれる1種以上を含有すればよい。さらに、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などの添加剤を1種以上適宜添加してもよい。
また、シランカップリング剤を化成皮膜の固形分の10〜90%含有し、残部にリン酸やリン酸化合物、有機樹脂などの添加剤を1種以上含む化成皮膜を適用することも可能である。
化成皮膜上に形成された有機皮膜は、有機樹脂と、着色顔料と、光沢調整剤と、を含む。
有機皮膜に用いられる有機樹脂としては特に限定せず、例えばアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、フッ素系、ポリウレタン系等が挙げられるが、主として、曲げ加工性を有する点からポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコールを周知の方法で加熱反応させて得られる共重合体である。
多塩基酸成分としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸、マレイン酸、アジピン酸、フマル酸などを用いることができる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオピンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどを用いることができる。
また、市販されているポリエステル樹脂としては、「アルマテックス」(登録商標、三井東圧化学(株)製)、「アルキノール」(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「デスモフェン」(登録商標、住友バイエルウレタン(株)製)および「バイロン」(登録商標、東洋紡績(株)製)など、いずれもが好適に使用できる。
また、さらに好ましいポリエステル樹脂としてはポリエステル樹脂と、脂肪族ジイソシアネート化合物とを反応して得られるウレタン変性ポリエステル樹脂が使用できる。脂肪族ジイソシアネート化合物としては、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチルジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどを挙げることができる。
また、ポリエステル樹脂の数平均分子量が5000以上50000以下であることが好ましい。数平均分子量が5000以上の場合、皮膜の架橋間分子量が短すぎないことにより、架橋密度が大きくなりすぎることがなく、十分な曲げ加工性が得られるとともに、適当な皮膜強度が得られ、加工変形部の皮膜が剥離するおそれがない。一方、数平均分子量が50000以下の場合、十分な架橋密度が得られるため、バリア性が十分で皮膜が膨潤するおそれがない。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgが20〜70℃であることが好ましい。Tgが20℃以上であれば、皮膜の強靭性が低下せず、十分なプレス加工性が得られる上、皮膜硬度、加工後皮膜密着性などの特性も低下しないためである。一方、Tgが70℃以下であれば、十分な曲げ加工性が得られるためである。
樹脂粒子は、潤滑剤としての効果、または金型と下地である化成皮膜との接触抑制効果を有するものとして作用し、プレス加工性を向上させる。樹脂粒子の平均粒子径が3μm以上であれば、潤滑剤としての効果または金型と化成皮膜の接触抑制効果が十分なためプレス加工性向上効果が大きい。一方、40μm以下であれば、樹脂粒子自体が皮膜から剥離せず、摺動抵抗が適当なため、プレス加工性が劣化するおそれがない。
なお、ここでいう「樹脂粒子の平均粒子径」は、皮膜断面を光学顕微鏡で少なくとも3視野を観察し、各樹脂粒子の最大径とそれに直交する径との平均径をそれぞれの視野で算出し、これらを算出した平均径の平均値を意味する。
樹脂粒子のガラス転移温度Tgが70℃以上であれば、樹脂粒子の硬度が十分であり、一方、200℃以下であれば、樹脂粒子自体が摺動抵抗として働くことはなく、十分なプレス加工性が得られる。
樹脂粒子の硬度は、上述したとおり有機皮膜のベース層となるポリエステル樹脂よりも高硬度であることが必要である。有機皮膜中の樹脂粒子を高硬度とすることにより、プレス加工時に、樹脂粒子が金型に抵抗して金型表面が化成皮膜や亜鉛系めっき層と直接接触して傷つけるのを防止することができる。樹脂粒子の硬度が、ポリエステル樹脂と同等かもしくは軟質であると、上記の効果が得られないからである。
なお、ここでいう樹脂粒子やポリエステル樹脂の「硬度」は、そのガラス転移温度Tgで評価できる。Tgが高いと硬度が高いものとする。また、樹脂粒子の硬度は、ポリエステル樹脂の硬度よりも過度に高いと、成形加工時に、皮膜を構成する樹脂粒子とポリエステル樹脂の界面に応力が集中して、樹脂粒子が皮膜から脱離しやすくなるため、樹脂粒子とポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgの差は20〜130℃の範囲であることが好ましい。
特に優れたプレス加工性向上効果を発現させるには、樹脂粒子は、皮膜中に5〜20質量%含有させることが好ましい。
樹脂粒子の樹脂種としては、例えばアクリル樹脂、ナイロン樹脂等が挙げられる。特に、ロールコートによる塗装がしやすい点で、樹脂粒子としてナイロン樹脂を用いることが好適である。
有機皮膜には、耐汚染性、耐摩耗性などを付与する目的で、硬化剤成分を添加し、焼付け硬化皮膜にすることも可能である。硬化剤成分としては、イソシアネート化合物および/またはアミノ樹脂を用いることができる。また、これらの2種以上を混合して用いてもよい。イソシアネート化合物としては、一般的製法で得られるイソシアネート化合物を用いることができるが、その中でも特に、一液型塗料としての使用が可能である。フェノール、クレゾール、芳香族第二アミン、第三級アルコール、ラクタム、オキシムなどのブロック剤でブロックされたポリイソシアネート化合物が好ましい。
また、さらに好ましいポリイソシアネート化合物としては、非黄変性のヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDI)およびその誘導体、トリレンジイソシアネート(以下、TDI)およびその誘導体、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、XDI)、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDI)およびその誘導体、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(以下、TMDI)およびその誘導体、水添TDIおよびその誘導体、水添MDIおよびその誘導体、水添XDIおよびその誘導体などを挙げることができる。さらに、「スミジュール」(登録商標)(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「デスモジュール」(登録商標)(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「コロネート」(登録商標)(商品名、日本ポリウレタン(株)製)などの市販のイソシアネート化合物も利用できる。
硬化剤であるアミノ樹脂としては、尿素、ベンゾグアナミン、メラミンなどとホルムアルデヒドとの反応で得られる樹脂、およびこれらをメタノール、ブタノールなどのアルコールによりアルキルエーテル化したものが使用できる。具体的には、メチル化尿素樹脂、n-ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、iso‐ブチル化メラミン樹脂などを挙げることができる。さらに、「サイメル」(商品名、三井サイアミッド(株)製)、「ユーバン」(登録商標)(商品名、三井東圧化学(株)製)、「スミマール」(登録商標)(商品名、住友化学工業(株)製)、「メラン」(登録商標)(商品名、日立化成工業(株)製)などの市販のアミノ樹脂も使用できる。
硬化剤を用いて硬化させる場合、有機樹脂と硬化剤との配合比(固形分の重量比)は有機樹脂/硬化剤:99/1〜60/40とすることが好ましく、95/5〜75/25とすることがさらに好ましい。また、硬化剤の配合費は皮膜固形分中の割合で0.75〜20重量%とすることが好ましい。この硬化剤の配合量が0.75重量%以上であれば皮膜硬度が十分となり、一方、20重量%以下であれば曲げ加工時に皮膜割れが発生するおそれがない。
有機皮膜は、着色顔料としてカーボンブラックを含有する。これにより、後の塗装工程の省略が可能となり、素地色および素地疵の隠蔽性を有することができるためである。また、有機皮膜中のカーボンブラックの含有量は2〜15質量%であることが好ましい。2質量%以上であれば、十分な量の顔料を含むため、素地色および素地疵の隠蔽性が十分となる。一方、15質量%以下であれば、皮膜が脆化するおそれがない。また、亜鉛華、二酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛などの着色顔料を併用しても差支えない。
また、有機皮膜には目的や用途に応じて防錆顔料、および防錆剤を併用して配合することができる。防錆顔料としては、りん酸亜鉛、りん酸アルミ、亜りん酸アルミ、モリブデン酸塩、りん酸モリブデン酸塩、バナジン酸/りん酸混合顔料、シリカ、カルシウムシリケートと呼ばれるCaを吸着させたタイプのシリカ等の一般に公知の防錆顔料および防錆剤を使用することができる。
本発明者らは、有機皮膜が光沢調整剤を含み、かつ良好な耐食性を有する塗装鋼板について鋭意研究を重ねる間に、光沢調整剤の表面処理剤にシランカップリング剤を適用することが有効であることを見出した。
艶消し仕上げの皮膜外観にするためには、一般的に顔料容積濃度を高くして、皮膜に極めて微小な凹凸を作る方法がとられる。艶消しに有用な顔料としては、シリカ、バライト粉、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボン、クレイ等が適用されることが多いが、これらの顔料の有機皮膜への適用について検討した結果、シリカを適用することで、均一に光沢値(G:60°)≦20である艶消し表面が得られることを知見した。
なお、光沢値とは、皮膜の光沢を表わす数値で、大きいほど光沢があることを意味する。具体的には、JIS Z8741−1997に従って、入射角60°で測定される鏡面光沢度のことである。
その結果、シリカ濃度が高くなるに従い、耐食性が劣化することを確認した。これは、シリカと樹脂マトリックスの界面に空隙が生じ、この空隙部から腐食因子が侵入し、亜鉛系めっき層から腐食生成物が浸出することによると考えられる。そこで、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、シリカ表面にシランカップリング剤による表面処理を施すことで耐食性が改善することを知見した。
シランカップリング剤によりシリカに表面処理を施すと、水分によってアルコキシ基が加水分解してシラノール基が生成した後、脱水縮合反応を経て、シリカ表面とは強固な共有結合を生成する。一方、有機樹脂とシランカップリング剤の間にも強固な結合層を生成させるため、シリカ‐有機樹脂間は密接に結合し、腐食因子の浸入を抑止すると考えられる。
シランカップリング剤を用いたシリカの表面処理方法には、乾式処理法、スラリー法、インテグラルブレンド法などが適用できる。具体的には水で1〜10倍に希釈し、均一になるまで攪拌したシランカップリング剤溶液を、レーディゲミキサー中で攪拌されているシリカへ、10分超60分以下かけて滴下またはスプレー噴霧する。シランカップリング剤を全量添加した後、5分超30分以下攪拌する。その後、乾燥した後、50℃超200℃以下で30分超90分以下乾燥する。ここでシリカ100質量部に対するシランカップリング剤の量は0.5〜10質量部となるように添加することが好ましい。0.5質量部以上であれば耐食性向上の効果が得られる。10質量部以下であれば塗料安定性へ悪影響を与えず耐食性向上の効果が得られる。
ここで、発明者らが検討した結果、粉砕法で生成したシリカにシランカップリング剤処理を施したものを光沢調整剤として適用することで、合成法で生成したものの適用結果と比較して優れた耐食性が得られることを知見した。この機構としては、以下の理由が推測される。
沈降法やゲル法で得られる湿式シリカは凝集体を形成しやすく、一次粒子の凝集体である二次粒子が粗大化しやすい。このため、粗大化したシリカ粒子が有機皮膜中で水分の通路を形成しやすく、鋼板上で発錆の起点となりうる。また、湿式シリカは水分吸着力が強いため、シリカが吸着した水分が鋼板に付着するとこれもまた発錆の起点となりうる。また、燃焼法で得られる乾式シリカは、基本的に凝集構造を形成しにくいことが知られており、水分吸着力も湿式シリカと比較して弱い。しかし、表面シラノール基の量が湿式シリカと比較して少なく、シランカップリング剤による表面処理を施しても、強固な結合が得られにくい。これらと比較して、粉砕法から生成されるシリカは凝集体を形成しにくく、かつシランカップリング剤との界面で強固な結合を形成しやすいため、高次な耐食性が求められる有機皮膜の光沢調整剤として適する。
粉砕法で製造されるシリカの原料としては乾式法によるものを用いることが好ましい。湿式法によるシリカは水分吸着力が強いため、シリカが吸着した水分が鋼板に付着するとこれが発錆の起点となり易いが、乾式法によるシリカは、水分吸着力が湿式シリカと比較して弱く、これを光沢調整剤として活用する塗装鋼板の方が耐食性に優れる。
粉砕法で製造されたシリカとしては、「オプティ・ファインシリカPPシリーズ」(登録商標)(商品名、エムテック化学株式会社製)、「雪印珪石」(登録商標)(商品名、丸釜釜戸陶料(株)製)などが使用できる。
なお、ここでいう「シリカの平均粒子径」は、シランカップリング剤による表面処理後の平均粒子径であり、レーザー回折式粒度計により測定した粒度分布の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径を意味する。
有機皮膜の膜厚は10μm以下であることが好ましい。膜厚が10μm以下であれば、皮膜形成に長時間が必要とならないばかりでなく、プレス加工時に切断端面から脱離する皮膜量が多くなることがなく、製品に付着し外観を損ねることがないためである。より好ましくは8μm未満である。膜厚は、1μm以上とすることが好ましい。これは、膜厚を1μm以上とすると、当該皮膜の膜厚が均一となり、着色顔料が少ない部分が存在しないため、素地色および素地疵の隠蔽性が十分となり、耐食性の点でも十分となるためである。より好ましくは3μm以上である。
なお、有機皮膜の膜厚は、皮膜を施した鋼板の断面を、光学顕微鏡または電子顕微鏡を用い、1視野につき任意の3箇所の膜厚を測定し、少なくとも5視野で、合計15箇所以上で測定した膜厚の平均値を算出して求めることができる。
かかる場合には、鋼板の他方の面上(裏面)にも、上述のクロムを含有しない化成皮膜を有することで、従来のクロメート皮膜と同程度の耐食性と密着性を有するとともに、優れた導電性も有すること、具体的には、導電荷重を500g以下とすることが、電磁波シールド性の点で好ましい。さらに好ましいのは、300g以下とすることである。導電性は、表面抵抗が10−4Ω以下となる最小荷重で評価し、最小荷重が低いほど導電性に優れる。
さらに、鋼板の他方の面に、クロムを含有しない化成皮膜のみを形成する場合であって、耐食性の要求が高い用途については、鋼板の他方の面に形成されたクロムを含有しない化成皮膜がエポキシ樹脂、アミン変性エポキシ樹脂およびポリエステル樹脂から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。また、これらの樹脂を含有させる場合、硬化剤として、メラミン樹脂等を用いて硬化させることが好ましい。化成皮膜中の樹脂と硬化剤の合計の含有率は30〜50質量%とすることが好ましく、硬化剤を用いる場合、硬化剤の化成皮膜中の含有率は1〜20質量%が好ましい。また、化成皮膜中に樹脂を含有させる場合、化成皮膜のほかの成分は、耐食性を向上させるために1〜10質量%のリン酸および/またはリン酸化合物、1〜10質量%の炭酸マンガン、炭酸アルミニウム、炭酸亜鉛などの無機添加剤とすることが好ましい。
本発明の塗装鋼板の製造方法は、鋼板の両面に、先に述べた亜鉛系めっき処理を施し、この亜鉛系めっき層の少なくとも一方の面上に、先に述べた化成処理を施しクロムを含有しない化成皮膜を形成した後、前記化成皮膜上に、有機樹脂と、カーボンブラックを含む着色顔料と、粉砕法で製造され、シランカップリング剤による表面処理が施されたシリカと、を含む塗料を塗布した後、加熱処理を施して有機皮膜を形成することを特徴とする。
本発明の塗装鋼板は、さらに塗装鋼板裏面(他方の面)の耐食性を高める目的で、前記した有機樹脂層用の塗料を鋼板裏面にも同様の方法で塗装するのが好ましい。
塗装用亜鉛系めっき鋼板として、各々板厚が0.5mmの電気亜鉛めっき鋼板(めっき種記号:EG)、溶融亜鉛めっき鋼板(めっき種記号:GI)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(Fe含有量:10質量%、めっき種記号:GA)、溶融Zn−Alめっき鋼板(Al含有量:4.5質量%、めっき種記号:GF)および溶融Zn−Alめっき鋼板(Al含有量:55質量%、めっき種記号:GL)を準備した。
なお、表面および裏面に形成した化成皮膜の組成については、別途表3に示す。
また、シリカのシランカップリング剤による表面調整は次のようにして行った。
シリカに対して、表1に示す表面処理剤を用意し、この表面処理剤を脱イオン水で5倍に希釈し、均一になるまで攪拌する。
表1の割合となるように調整した量のシリカをレーディゲミキサーに投入し攪拌後、表1の割合となるように調整した量の表面処理剤を20分かけてスプレー噴霧する。表面処理剤を全量添加した後、20分攪拌する。その後、乾燥したシリカを広げて、100℃で60分乾燥する。
また、シリカの平均粒子径は粉砕法および分級法により調整し、レーザー回折式粒度計により測定した。
なお、表1中のガラス転移温度Tgは、JIS K71214.2(2)[熱流束示差走査熱量測定]に基づいて測定した。
また、サイメル327とはイミノ基含有メラミンであり、サイメル701とはメチロール基(イミノ基含有メラミン)であり、サイメル303とは完全アルキル型メラミン樹脂(イミノ基含有なし)であり、HDIとはヘキサメチレンジイソシアネートである。
さらに、有機皮膜のその他物質としては、硬化触媒としてネイキュア−3225(キング・インダストリー社製、ジノニルナフタレンジスルホン酸のアミン塩)、他消泡剤としてフローレンAC−324(共栄社化学社製、アクリル・ビニルエーテル系共重合物)、顔料分散剤としてDISPERBYK2025(ビックケミー・ジャパン株式会社製、アクリル系共重合物)および流れ止め剤としてポリフローNO.90(共栄社化学社製、アクリル系共重合物)を4:1:2:1(質量比)の割合で使用した。
得られた結果を表2に併せて示す。
(1)曲げ加工性
曲げ加工性は、JIS Z2248−1996に準拠し、塗装鋼板を、縦:60mm、横:30mmの大きさに切り出した試験片に、塗装鋼板を室温で180°に折り曲げる、いわゆる、0T曲げをしたときの曲げ加工部の頭頂部を目視で観察した。評価は以下の基準に従って行った。
○+:有機皮膜の割れが全く観察されない
○:有機皮膜の割れが観察され、曲げ部長さの5%未満である
×:有機皮膜の割れが観察され、曲げ部長さの5%以上である
各塗装鋼板を、ブランク径:100mm、ポンチ径:50mm、ポンチ肩:4mmR、ダイ径:70mm、ダイ肩:4mmRおよび成形高さ:18mm、しわ押さえ圧:98kN(10tf)の条件で、円錐台成形を行い、側壁部の皮膜の外観を、目視により観察し、以下の基準に従って評価した。
◎:損傷による外観の変化は発生せず
○:若干の損傷による外観の変化が認められた
×:損傷が多数発生し、外観の変化が著しかった
また、各塗装鋼板を次の二段絞り試験により評価した。ブランク径:100mmΦ、ポンチ径:50mmΦ、ポンチ肩:4mmR、しわ押さえ圧:10kNにて表面が外側となるようカップ成形を行い、引き続き成形したカップを用いて、ポンチ径:33mmΦ、ポンチ肩:4mmR、しわ押さえ圧:10kNにて二段カップ成形を行う。二段目の側壁部の皮膜の外観を、一段目の側壁部の皮膜の外観と目視比較し、以下の基準に従って評価した。
◎:損傷による外観の変化は発生せず
○+:損傷による外観変化が発生し、外観変化は缶壁面積の10%未満である
○:損傷による外観変化が発生し、外観変化は缶壁面積の10%以上20%未満である
×:損傷による外観変化が発生し、外観変化は缶壁面積の20%以上である
素地隠蔽性は、化成皮膜形成前のめっき鋼板の表面を、先端が金属のペンで傷をつけた後、上述した化成皮膜および有機皮膜形成の処理工程を行って各塗装鋼板を作製し、表面を目視で観察した。評価は以下の基準に従って行った。
○:傷が分からない
×:傷が明瞭に分かる
塗装鋼板の有機皮膜の表面に対し、エタノールラビング試験を4.9N(0.5kgf)の荷重で10回行い、エタノールラビング試験前後のL値(明度)の変動幅(ΔL)を測定し、以下の基準に従って評価した。なお、エタノールラビング試験とは、ガーゼにエタノール5mlをしみ込ませた状態で一定荷重をかけながら往復摺動させるものである。
◎:ΔLが1以下
○:ΔLが1超え、2以下の範囲
×:ΔLが2超え
各サンプルから、試験片(大きさ:100mm×50mm)を切り出し、試験片の端部および裏面をテープシールした後、JIS Z2371−2000に準拠して、5質量%塩水を35℃で8時間噴霧した後、16時間休止する工程を1サイクルとし、これを5サイクル行った後の、皮膜表面外観の変化を評価した。評価は以下の基準に従って行った。
◎:表面に変化なし
○+:表面に発錆があり、発錆率が試験面積の5%未満である
○:表面に発錆があり、発錆率が試験面積の5%以上10%未満である
×:表面に発錆があり、発錆率が試験面積の10%以上である
各サンプルから、試験片(大きさ:100mm×100mm)を切り出し、JIS Z8741−1997に準拠し、60度光沢度(G)を測定した。
○:G≦20
×:G>20
(7)導電性
低抵抗測定装置(ロレスタGP、登録商標:三菱化学(株)製:ESPプローブ)を用い、各サンプルの裏面の表面抵抗値を測定した。そのとき、プローブ先端にかかる荷重を20g/sで増加させ、表面抵抗値が10−4Ω以下になった時の荷重値で以下のように評価した。
◎:10点測定の平均荷重が300g以下
○:10点測定の平均荷重が300g超え500g以下
△:10点測定の平均荷重が500g超え700g以下
×:10点測定の平均荷重が700g超
裏面に純水を200g/cm2含有させた黒色フェルトを接触させ、29.42kPa(300gf/cm2)の荷重をかけて、温度:20℃、相対湿度:60%の環境で48h静置後の、外観変化を評価した。評価は以下の基準で行った。
◎:表面に変化なし
○:表面に若干の発錆がある
×:表面に多数の発錆がある
これに対して、比較例の塗装鋼板の表面は、耐食性が不十分な結果となった。
Claims (5)
- 鋼板の両面に形成された亜鉛系めっき層と、
前記亜鉛系めっき層の少なくとも一方の面上に形成されたクロムを含有しない化成皮膜と、
前記化成皮膜の上に形成された、有機樹脂、カーボンブラックを含む着色顔料および乾式法によって製造されたシリカを粉砕して得られるシリカを含む有機皮膜と、
を有し、
前記シリカはシランカップリング剤による表面処理が施されており、前記有機皮膜中に0.01質量%以上15質量%以下で含有されていることを特徴とする塗装鋼板。 - 前記亜鉛系めっき層の他方の面上に前記化成皮膜および有機樹脂層を順次有し、この他方の面の導電荷重が500g以下であることを特徴とする請求項1に記載の塗装鋼板。
- 鋼板の両面に亜鉛系めっき処理を施し亜鉛系めっき層を形成し、
前記亜鉛系めっき層の少なくとも一方の面上に、化成処理を施しクロムを含有しない化成皮膜を形成し、
前記化成皮膜上に、有機樹脂と、カーボンブラックを含む着色顔料と、乾式法によって製造されたシリカを粉砕して得られ、シランカップリング剤による表面処理が施されたシリカと、を含む塗料を塗布した後、加熱処理を施して有機皮膜を形成することを特徴とする塗装鋼板の製造方法。 - 請求項1または2に記載の塗装鋼板を用い、該塗装鋼板の前記塗装面が凸表面になるようにプレス加工を施して形成してなる加工品。
- 請求項1または2に記載の塗装鋼板を用い、該塗装鋼板の前記塗装面が外部に露出する凸表面になるようにプレス加工を施して形成してなる薄型テレビ用パネル。
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| JP2012121209A JP6030344B2 (ja) | 2012-05-28 | 2012-05-28 | 塗装鋼板およびその製造方法、ならびに加工品および薄型テレビ用パネル |
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