次に、本発明の電子写真機器用現像ロール(以下、現像ロールということがある。)について、図を参照しつつ、詳細に説明する。電子写真機器用現像ロールは、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器に組み込まれる現像ロールであり、電子写真機器の内部に組み込まれる感光ドラムの周囲に配設されるものである。
図1は、本発明の一実施形態に係る現像ロール10の模式図および断面図である。図2は、現像ロール10のゴム弾性層の表面構造を示す断面図である。図3は、現像ロール10のゴム弾性層の表面の撮影画像を二値化した状態を表す模式図である。
図1に示すように、現像ロール10は、軸体12と、軸体12の外周に形成されたゴム弾性層14とを備えている。現像ロール10は、トナー離型性を高めるなどの観点から、ゴム弾性層の表面にトナー離型性を高める表面改質が施されていても良いし、ゴム弾性層の表面にトナー離型性を高める表層が形成されていても良い。
図2に示すように、ゴム弾性層14の表面には多数の凹部14aが形成されている。これにより、ゴム弾性層14の表面は粗面化されている。このゴム弾性層14の表面の凹部14aは、比較的開口径が小さくかつ深さが深いものとなっている。すなわち、このゴム弾性層14の表面には、開口径φ1が1〜10μmで深さdが1μm以上となる凹部14aが多数形成されている。また、ゴム弾性層14の表面に占める凹部14aの面積割合は30.0〜78.5%にされている。つまり、ゴム弾性層14の表面には、以下の式(1)〜(3)を満たす凹部14aが多数形成されている。
1≦φ1≦10 ・・・(1)
1≦d ・・・(2)
30≦Ap1≦78.5 ・・・(3)
但し、
φ1:凹部の開口径(μm)
d:凹部の深さ(μm)
Ap1:ゴム弾性層表面の撮影画像を判別分析法を用いて二値化したときの凹部の面積割合(%)
ゴム弾性層14は、例えば円筒形の成形型を用いて型成形することにより形成することができる。この方法によれば、ゴム弾性層14の表面の凹部14a以外の部分は、円筒形の成形型の型内面の平滑な曲面形状が型転写されるため、凹凸の少ない平滑な曲面に形成される。ゴム弾性層14の表面の凹部14a以外の部分は、このように、凹凸の少ない平滑な曲面に形成されることが好ましい。
ゴム弾性層14の表面の凹部14aは、互いに独立していることが好ましい。すなわち、ゴム弾性層14の表面の凹部14aは、隣り合う凹部14aとの間で重なり合わない状態にある(連なっていない状態にある)ことが好ましい。ゴム弾性層14の表面に隣り合う凹部14aとの間で重なり合う凹部14aが存在する場合にも、極力その数を少なくすることが好ましい。凹部14a同士が重なると、ゴム弾性層14の表面の開口径が大きくなり、凹部14a内のトナー粒子が層形成ブレードから受けるストレスが大きくなるおそれがあるからである。凹部14a同士が重なりすぎるのを抑える方法としては、例えば、凹部14aが込みすぎないように凹部14aの数を調整することにより、ゴム弾性層14の表面に占める凹部14aの面積割合Ap1が特定の面積割合の範囲内となるように調整する方法などが挙げられる。
ゴム弾性層14の表面に占める凹部14aの面積割合Ap1が特定範囲より大きいと、凹部14a同士が重なりすぎるおそれがある。これにより、ゴム弾性層14の表面の開口径が大径化され、凹部14a内のトナー粒子が層形成ブレードから受けるストレスが大きくなるおそれがある。その結果、トナー固着が生じやすくなる。一方、ゴム弾性層14の表面に占める凹部14aの面積割合Ap1が特定範囲より小さいと、凹部14a以外の部分の面積割合が大きくなるため、凹部14aに収容できなかったトナー粒子が凹部14a以外の部分で層形成ブレードによりストレスを強く受けるおそれがあり、層形成ブレードの表面にトナー固着が生じやすくなる。また、凹部14aの面積割合Ap1が小さいため、トナー搬送量が低下しやすい。ゴム弾性層14の表面に占める凹部14aの面積割合Ap1としては、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下である。
凹部14aの開口径φ1が特定範囲より大きいと、凹部14a内のトナー粒子が層形成ブレードから受けるストレスが大きくなるおそれがある。これにより、トナー固着が生じやすくなる。一方、凹部14aの開口径φ1が特定範囲より小さいと、凹部14a内にトナー粒子を収容できる量が少なすぎて、トナー搬送量が低下する。凹部14aの開口径φ1としては、より好ましくは3〜10μmの範囲内である。
凹部14aの深さdが特定範囲より浅いと、凹部14a内のトナー粒子が層形成ブレードから受けるストレスが大きくなるおそれがある。これにより、トナー固着が生じやすくなる。また、ゴム弾性層14の外周に表層を設けた場合に、表層によりゴム弾性層14の凹部14aが埋まりやすくなる。これにより、トナー搬送量が低下するおそれがある。凹部14aの深さdとしては、より好ましくは2〜10μmの範囲内である。
凹部14aの開口径φ1の大きさは、ゴム弾性層14の表面を観察することにより測定することができる。また、凹部14aの深さdは、ゴム弾性層14の周方向の断面を観察することにより測定することができる。これらの観察に際しては、例えば、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製、VK−9510など)やマイクロスコープ(Nakaden製、Mx−1200Eなど)などを用いることができる。
ゴム弾性層14の表面に占める凹部14aの面積割合Ap1を求めるに際し、撮影画像は、ゴム弾性層14の表面の0.4×0.4mm以上のエリアを、少なくとも1000×1000dpi以上の解像度にて撮影したものを用いると良い。このとき、画像上で、1ドットの大きさが、凹部14aの開口径φ1の1/15以下になるように設定すると良い。撮影画像は、二値化しやすいようにモノクロ変換すると良い。また、画像上の照度むらを平滑化するために、平滑フィルタでノイズ除去すると良い。撮影画像の二値化は、モノクロ変換し、ノイズ除去した後の画像について、判別分析法を用いて行うと良い。そして、凹部14aの面積を計算するため、また、ノイズ除去しやすくするためには、二値化した画像を白黒反転処理し、凹部14aに対応する白色部分の内部に発生しているノイズを穴埋め除去した後、白色部分の面積を計測すると良い。面積の計測は、一般的に用いられる画像処理ソフトを用いて行なうことができる。図3には、ゴム弾性層14表面の撮影画像を判別分析法を用いて二値化した状態を表す模式図を示す。
このような一連の画像処理には、一般的な顕微鏡を用いることができるが、特に、Nakaden製のマイクロスコープMx−1200Eなどを用いることが好ましい。一般的な顕微鏡では、例えば、ゴム弾性層14の表面の凹部14aの存在しない部分に焦点を合わせる作業を行なうが、マイクロスコープMx−1200Eでは、三次元深度合成画像を簡便に撮影できるので、凹凸のあるゴム弾性層14の表面を、よりクリアに観察することができる。二値化処理は、例えば、ナノシステム株式会社製NanoHunter NS2K−Pro/Ltなどを用いて行なうことができる。
ここで、このようなゴム弾性層14の表面にトナー離型性を高める表層16を形成した構成例については、図4および図5に示す。表層16は、トナー離型性を高める機能に加え、ロール表面に、現像ロールの表面に求められる種々の機能を付与するものであって良い。図4に示すように、現像ロール20は、軸体12と、軸体12の外周に形成されたゴム弾性層14と、ゴム弾性層14の外周に形成された表層16とを備えている。
図5に示すように、ゴム弾性層14の表面には多数の凹部14aが形成されている。これにより、ゴム弾性層14の表面は粗面化されている。ゴム弾性層14の表面に占める凹部14aの面積割合Ap1は、上述する通りである。また、ゴム弾性層14の表面には、特定の開口径φ1および深さdを有する凹部14aが多数形成されている。凹部14aの開口径φ1および深さdは、上述する通りである。
表層16の厚みは、凹部14aの開口径φ1および深さdとの関係によるが、10μm以下であることが好ましい。表層16の厚みが厚すぎると、ゴム弾性層14の凹部14aが埋まってトナー搬送量が低下するおそれがある。また、ロール表面が平坦化されるため、トナー粒子が層形成ブレードから受けるストレスが大きくなるおそれがある。表層16の厚みとしては、より好ましくは8μm以下である。一方、表層16の厚みの下限値としては、機能層としての機能を十分に発揮するなどの観点から、2μm以上であることが好ましい。より好ましくは5μm以上である。
また、ここで、このようなゴム弾性層14の表面に行うトナー離型性を高める表面改質としては、例えば、次の1)〜5)に示す表面改質を挙げることができる。但し、X1は水素原子,アルカリ金属元素,アルカリ土類金属元素またはアルキル基、X2はハロゲン原子、nはX1の価数と同一の整数を表す。
1)トリクロロイソシアヌル酸を接触させることにより行う表面改質
2)チオール基を2つ以上有する化合物を接触させることにより行う表面改質
3)X1(OX2)nおよびBF3を接触させることにより行う表面改質
4)分子中に−CONX2−結合を有する化合物およびBF3を接触させることにより行う表面改質
5)紫外線を照射することにより行う表面改質
1)の表面改質、3)の表面改質、4)の表面改質は、ゴム弾性層14が、不飽和炭素−炭素二重結合を持つ有機成分を含有するポリマーにより形成されている場合に好適に適用することができる。2)の表面改質は、ゴム弾性層14が、チオール基と反応する官能基を持つ有機成分を含有するポリマーにより形成されている場合に好適に適用することができる。
2)の表面改質を行うポリマーにおいて、チオール基と反応する官能基としては、不飽和炭素−炭素二重結合、ハロゲン基、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基、メチロール基、カルボキシル基、カルボニル基などを挙げることができる。この点で、2)の表面改質は適用範囲が広い。
不飽和炭素−炭素二重結合を持つポリマーとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などを挙げることができる。
また、本来であれば不飽和炭素−炭素二重結合を持たないポリマーであっても、不飽和炭素−炭素二重結合を持つモノマー成分との共重合により不飽和炭素−炭素二重結合が導入されたポリマーとすることができる。このような、本来であれば不飽和炭素−炭素二重結合を持たないポリマーとしては、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、ヒドリンゴム(CO、ECO等)、シリコーン(Q)、ウレタン(U)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドなどを挙げることができる。
不飽和炭素−炭素二重結合を持つモノマー成分としては、液状ゴム、ブタジエンジオールなどを挙げることができる。例えばウレタンの場合には、2液性ウレタン塗料に液状のブタジエンジオールを添加することにより、不飽和炭素−炭素二重結合をウレタン中に導入できる。
ハロゲン基を持つポリマーとしては、例えば、ヒドリンゴム(CO、ECO等)、クロロプレンゴム(CR)などを挙げることができる。これらの他に、チオール基(−SH基)と反応する官能基を持つポリマー成分としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミドなどを挙げることができる。
1)の表面改質を行うと、ゴム弾性層14の表面の不飽和炭素−炭素二重結合にトリクロロイソシアヌル酸が付加する。このとき、トリクロロイソシアヌル酸に由来する塩素原子も付加する。塩素原子は、ゴム弾性層14の表面だけでなく内部にも存在し、内部から表面に向けて塩素原子の存在量は傾斜して増大している。これらのことは、例えばX線光電子分光法(XPS)や核磁気共鳴法(NMR)などにより検出することができる。
1)の表面改質においては、トナー離型性に加え、ゴム弾性層14の表面に新たな機能を追加できる化合物をトリクロロイソシアヌル酸とともにゴム弾性層14の表面に接触させても良い。このような化合物としては、不飽和炭素−炭素二重結合とゴム弾性層14の表面に機能を付与するための官能基(以下、特定の官能基ということがある。)とを有する化合物を挙げることができる。この場合、トリクロロイソシアヌル酸のイソシアヌル酸骨格を介して、不飽和炭素−炭素二重結合と特定の官能基とを有する化合物が、ゴム弾性層14の表面に結合(付加)できる。これにより、ゴム弾性層14の表面に、特定の官能基を有する有機基が、イソシアヌル酸骨格を介して結合され、ゴム弾性層14の表面に表面改質が施される。
1)の表面改質において、トリクロロイソシアヌル酸とともに不飽和炭素−炭素二重結合と特定の官能基とを有する化合物を用いた場合に得られるゴム弾性層14の表面構造の一例を下記の式1に示す。
ただし、R1は、特定の官能基を有する置換基である。R2、R3、R4は、R1と同じ構造の置換基であっても良いし、R1とは異なる特定の官能基を有する置換基であっても良いし、アルキル基や水素基であっても良い。また、R1、R2、R3、R4同士が互いに異なる特定の官能基を有する置換基であっても良いし、R1、R2、R3、R4のうちの一部が同じ置換基であっても良い。より好ましくは、安定性などの観点から、R2、R3、R4は水素基が良い。
特定の官能基としては、シリコーン基、パーフルオロアルキル基、エステル基、アミド基、イミド基、エーテル基、アリール基、イソシアネート基、アゾ基、ジアゾ基、ニトロ基、エポキシ基、カルボニル基、ヘテロ環基、メソイオン基、ハロゲン基、アミノ基、イミノ基、アルキル基、スルホン酸基、ヒドロキシ基、アシル基、ホルミル基、カルボン酸基、ウレア基、シアノ基などを挙げることができる。これらの官能基のうち1種類の官能基のみが含まれていても良いし、2種類以上の官能基が含まれていても良い。
ヘテロ環基としては、ピリジル基、イミダゾール基、オキサゾール基などを挙げることができる。また、メソイオン基としては、シドノン基、ミュンヘノン基などを挙げることができる。
特定の官能基が例えばシリコーン基である場合には、ゴム弾性層14の表面に、付着物に対する優れた離型性とともに、特定の機能として低摩擦性を併せ持つことができる。特定の官能基が例えばシリコーン基、パーフルオロアルキル基である場合には、ゴム弾性層14の表面に、特定の機能として耐汚性を併せ持つことができる。特定の官能基が例えばアミド基やエステル基である場合には、ゴム弾性層14の表面に、特定の機能として荷電性(帯電性)を併せ持つことができる。特定の官能基が例えばエーテル基である場合には、ゴム弾性層14の表面に、特定の機能として表面の電気抵抗を下げる帯電防止性を併せ持つことができる。特定の官能基がこれら以外の官能基の場合においても、ゴム弾性層14の表面に、付着物に対する優れた離型性とともに、それぞれの官能基に基づく特有の機能を併せ持つことができる。
1)の表面改質においては、トリクロロイソシアヌル酸や不飽和炭素−炭素二重結合と特定の官能基とを有する化合物などを溶解させる溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、特に限定されるものではないが、エーテル系溶剤(THF、ジエチルエーテル、ジオキサンなど)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン系溶剤(アセトン、MEKなど)、アミド系溶剤(DMF、DMAC、NMPなど)、第3級アルコール(tert−ブチルアルコールなど)、水などを挙げることができる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、1)の表面改質においては、さらに他の成分を用いることができる。他の成分としては、酸や塩基、金属塩などの触媒、界面活性剤などを挙げることができる。
2)の表面改質を行うと、ゴム弾性層14の表面に、チオール基を介してチオール基を2つ以上有する化合物が付加する。このことは、例えばX線光電子分光法(XPS)や核磁気共鳴法(NMR)などにより検出することができる。
チオール基を2つ以上有する化合物としては、鎖状構造に結合するチオール基を2つ以上有する鎖状のチオール化合物や、環状構造に結合するチオール基を2つ以上有する環状のチオール化合物などを挙げることができる。チオール基を2つ以上有する化合物は、複数種類の鎖状のチオール化合物および複数種類の環状のチオール化合物のうちの1種類のみであっても良いし、2種類以上の混合物であっても良い。
鎖状のチオール化合物において、鎖状構造は、炭化水素鎖で構成されていても良いし、炭化水素鎖中にエステル結合やエーテル結合などを有するものであっても良い。鎖状のチオール化合物は、比較的分子量が大きいものが好ましい。より具体的には、分子量が200〜1000の範囲内であることが好ましい。
鎖状のチオール化合物において、チオール基は、1級チオール基であっても良いし、2級チオール基であっても良い。より好ましくは、チオール基周りの立体障害を大きくすることでチオール基を2つ以上有する化合物の安定性に優れるなどの観点から、2級チオール基である。
2級チオール基を2つ以上有する鎖状のチオール化合物としては、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)などを挙げることができる。
環状のチオール化合物において、環状構造としては、トリアジン環、ベンゼン環、複素環、縮合環、スピロ環、炭素環などを挙げることができる。環状のチオール化合物は、比較的分子量が大きいものが好ましい。より具体的には、分子量が200〜1000の範囲内であることが好ましい。
チオール基を2つ以上有する環状のチオール化合物としては、トリチオシアヌル酸、1,2−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,3,5−ベンゼントリチオール、1,5−ジメルカプトナフタレンなどを挙げることができる。
チオール基を2つ以上有する化合物としては、特にトリチオシアヌル酸が好ましい。トリチオシアヌル酸を用いた場合、非共役電子の効果により、ゴム弾性層14の比誘電率を高くでき、ゴム弾性層14の帯電性や放電性を向上できる。
2)の表面改質においては、1)の表面改質の場合と同様、トナー離型性に加え、ゴム弾性層14の表面に新たな機能を追加できる化合物を、チオール基を2つ以上有する化合物とともにゴム弾性層14の表面に接触させても良い。このような化合物としては、チオール基と反応可能な官能基と、ゴム弾性層14の表面に機能を付与するための官能基(特定の官能基)とを有する化合物を挙げることができる。
チオール基と反応可能な官能基としては、不飽和炭素−炭素二重結合、ハロゲン基、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基、メチロール基、カルボキシル基、カルボニル基などを挙げることができる。特定の官能基は、ゴム弾性層14の表面にさらに特定の機能を付与するための官能基であり、1)の表面改質において示したものと同様のものを挙げることができる。
チオール基と反応可能な官能基と特定の官能基とを有する化合物を用いる場合、チオール基を2つ以上有する化合物を介して、チオール基と反応可能な官能基と特定の官能基とを有する化合物がゴム弾性層14の表面に結合(付加)できる。これにより、ゴム弾性層14の表面に、特定の官能基を有する有機基が、チオール基を2つ以上有する化合物を介して結合され、ゴム弾性層14の表面に表面改質が施される。
2)の表面改質において、チオール基を2つ以上有する化合物とともにチオール基と反応可能な官能基と特定の官能基とを有する化合物を用いた場合に得られるゴム弾性層14の表面構造の一例を、チオール基を2つ以上有する化合物の例としてトリチオシアヌル酸を挙げ、チオール基と反応可能な官能基と特定の官能基とを有する化合物の例として不飽和炭素−炭素二重結合と特定の官能基とを有する化合物を挙げて、下記の式2に示す。但し、R1〜R4は、式1で示したものと同様のものである。
2)の表面改質においては、チオール基を2つ以上有する化合物やチオール基と反応可能な官能基と特定の官能基とを有する化合物などを溶解させる溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、1)の表面改質において示したものと同様のものを挙げることができる。また、2)の表面改質においては、さらに他の成分を用いることができる。他の成分としては、酸や塩基、金属塩などの触媒、界面活性剤などを挙げることができる。
3)の表面改質または4)の表面改質を行うと、ゴム弾性層14の不飽和炭素−炭素二重結合がハロゲン化され、下記の式3〜4に示す構造がゴム弾性層14の表面部分に形成される。なお、式3〜4に示す構造を有していることは、ロール表面を、X線光電子分光法(XPS)、核磁気共鳴法(NMR)などにより分析すれば確認することができる。
3)の表面改質において、X1(OX2)nで表される化合物としては、より具体的には、例えば、メチルハイポクロライド、エチルハイポクロライド、第三級ブチルハイポクロライド、トリフルオロメチルハイポクロライドなどのアルキルハイポクロライド、メチルハイポフルオライド、エチルハイポフルオライド、第三級ブチルハイポフルオライド、トリフルオロメチルハイポフルオライドなどのアルキルハイポフルオライドなどといったアルキルハイポハライドや、次亜塩素酸や、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸カリウムなどの次亜塩素酸塩などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用しても良い。
4)の表面改質において、分子中に−CONX2−結合を有する化合物としては、より具体的には、例えば、N−クロロスクシンイミド、N−クロロフタルイミド、N−ブロムスクシンイミド、N−ブロムフタルイミドなどの酸イミドハロゲン化合物、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸などのイソシアヌル酸ハライド、ジクロロジメチルヒダントインなどのハロゲン化ヒダントインなどを例示することができる。
3)の表面改質あるいは4)の表面改質においては、X1(OX2)nやBF3を接触させた後、あるいは、分子中に−CONX2−結合を有する化合物やBF3を接触させた後、水を含む液体でゴム弾性層14の表面を洗い流すことが好ましい。これにより、ゴム弾性層14の表面に水酸基が導入されやすくなる。
5)の表面改質において、紫外線の照射条件は、用いる紫外線照射装置の種類等に応じて適宜、決定される。一般には、照射強度:20〜150mW/cm2程度、紫外線の光源と弾性層表面との距離:20〜80mm程度、照射時間:5〜360秒程度の条件が採用される。紫外線照射は、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス中、大気中などで行うことができる。
これらの表面改質を行うことにより、ゴム弾性層14の表面の硬さが増すため、トナー離型性を高めることができる。また、これらの表面改質を行うことにより、ゴム弾性層14から成分がブルームするのを抑えるバリア効果も得られる。また、1)〜4)の表面改質では、ゴム弾性層14の表面に対し、トナー離型性やその他の機能を高める分子や原子の共有結合が形成されるため、これらの機能の耐久性に優れる。また、5)の表面改質によっても、トナー離型性を高める機能の耐久性に優れる。
以上の構成の現像ロール10は、上述するように、ロール表面に、ゴム弾性層14に形成された凹部14aに基づく開口部を備える。そこで、このような表面構造を有する現像ロール10により奏される作用効果について図を用いて説明する。なお、現像ロール20は、ゴム弾性層14の外周にさらに表層16を有する構成であるが、ロール表面に、ゴム弾性層14に形成された凹部14aに基づく開口部を備える点では現像ロール10と同様の特徴を有しているため、現像ロール10と同様の作用効果を奏する。
図6に示すように、現像ロール10と層形成ブレード22とが接触したときには、現像ロール10の表面は層形成ブレード22に押圧される。このとき、層形成ブレード22に接触するのはゴム弾性層14の表面の凹部14a以外の部分である。したがって、層形成ブレード22の表面は、凹部14a以外の部分(平滑面など)に面接触する。層形成ブレード22の表面に接触するロール表面の面積は大きいため、ロール表面の凹凸形状が潰れにくい。このため、凹部14a内のトナー粒子が層形成ブレード22から受けるストレスが大きくなるのを抑えることができる。
また、ゴム弾性層14の表面の凹部14aの深さを均一にすることに対し、凹部14a以外の部分を平滑にすることのほうが容易である。例えば、円筒形の成形型を用いることにより、容易に凹部14a以外の部分を平滑にすることができる。凹部14a以外の部分が平滑であれば、層形成ブレード22の表面はロール表面に均一に接触できる。これにより、層形成ブレード22からの圧力がゴム弾性層14の表面に均一にかかるため、ロール表面に均一なトナー層を形成でき、均一な画像が得られやすい。
また、図7に示すように、トナー粒子24を搬送する際には、ロール表面の凹部14aにトナー粒子24は収容される。このため、トナー粒子24の搬送量が多くなりすぎず、適切なトナー搬送量にすることができる。
従来、現像ロールの構成としては、軸体と、軸体の外周面に形成された弾性層と、弾性層の外周に粗さ形成用粒子を含む組成物により形成された保護層とを有する構成が知られている。このような構成の場合、保護層中の粗さ形成用粒子によってロール表面に複数の凸部が形成される。この場合、層形成ブレードの表面はロール表面の凸部に点接触する。このため、ロール表面の凸部は応力集中により潰れやすい。そうすると、凸部と凸部との間のクリアランスに収容されているトナー粒子に層形成ブレードが接触しやすい。これにより、トナー粒子へのストレスが大きくなりやすい。
また、ロール表面の凸部は粗さ形成用粒子に基づくことから、粒子径の違いなどによりロール表面における凸部の高さがばらつきやすい。すなわち、ロール表面の高さがばらつきやすい。このため、層形成ブレードはロール表面に均一に接触しにくい。そうすると、層形成ブレードからの圧力がゴム弾性層の表面に均一にかかりにくくなる。
また、このような従来の構成では、トナー粒子は凸部と凸部との間のクリアランスに収容される。このため、トナー搬送量が多くなりやすい。
次に、現像ロール10のゴム弾性層14の形成に用いる成形型として好適な成形型と本発明に係る成形型の製造方法(以下、本製造方法ということがある。)について説明する。図8は、本発明の一実施形態に係る現像ロール10のゴム弾性層14を成形するのに好適な成形型30の周方向断面図である。図9は、本発明に係る成形型30の製造方法の一例を説明する模式図である。
図8に示すように、成形型30は、円筒状の成形型基材32を有し、成形型基材32の型内面にめっき34が施されたものからなる。このような成形型30は、本製造方法により製造することができる。
本製造方法は、円筒状の成形型基材32の型内面に共析めっき層を形成する共析めっき工程と、共析めっき層の表面全体に被覆めっき層を形成する被覆めっき工程とを備えている。これらの工程を経て、成形型30の型内面に、分散粒子に基づく多数の凸部を形成する。
共析めっき工程では、分散粒子を含有するめっき液を用いて無電解めっきを行う。無電解めっきにより分散粒子がめっき金属と共析する。これにより、図9(a)に示すように、成形型基材32の型内面に、分散粒子36aを含有する共析めっき層36を形成する。共析めっき工程では、分散粒子36aの一部(表面の一部)が表面に露出するようにめっき金属を成長させる。共析めっき層36のめっき金属により、分散粒子36aは成形型基材32の型内面に仮固定される。
被覆めっき工程では、分散粒子を含有しないめっき液を用いて無電解めっきを行う。これにより、図9(b)に示すように、共析めっき層36の上に被覆めっき層38を形成する。分散粒子36aが樹脂粒子である場合には、被覆めっき工程に先立ち、樹脂粒子36aに無電解めっき用の触媒を吸着させると、樹脂粒子36aの表面にも無電解めっきを行うことができる。被覆めっき層38を形成すると、被覆めっき層38のめっき金属により分散粒子36aは覆われるため、分散粒子36aは成形型基材32の型内面に確実に固定される。なお、被覆めっき工程では、めっき金属により分散粒子36aに基づく凸部を埋没させないようにする。
共析めっき層36の厚みは、分散粒子36aの平均粒子径の大きさに関係するが、3〜15μmの範囲内であることが好ましい。共析めっき層36の厚みが3μm未満では、分散粒子36aの仮固定が不十分になりやすい。一方、共析めっき層36の厚みが15μmを超えると、分散粒子36aの露出面積が小さくなりやすく、型内面の凸部の形成が不十分になりやすい。また、共析めっき層36の厚みとしては、より好ましくは6〜12μmの範囲内である。なお、共析めっき層36の厚みは、分散粒子36aが存在しない平坦部分における厚みである。
被覆めっき層38の厚みは、分散粒子36aの平均粒子径の大きさや、分散粒子36aの露出の程度に関係するが、0.5〜5μmの範囲内であることが好ましい。被覆めっき層38の厚みが0.5μm未満では、分散粒子36aの固定が不十分になりやすい。一方、被覆めっき層38の厚みが5μmを超えると、分散粒子36aが埋没されて分散粒子36aに基づく凸部の形成が不十分になりやすい。被覆めっき層38の厚みとしては、より好ましくは1〜3μmの範囲内である。なお、被覆めっき層38の厚みは、分散粒子36aが存在しない平坦部分における厚みである。
分散粒子36aとしては、アクリル粒子、スチレン粒子、ウレタン粒子、ナイロン粒子、シリコーン粒子、セルロース粒子、シリカ粒子などを挙げることができる。分散粒子36aとしては、単独種類のものを用いても良いし、複数種類のものを併用しても良い。このうち、めっき液への分散性に優れ、共析めっき層36の表面に均一な凹凸表面を形成できるなどの観点から、アクリル粒子、スチレン粒子が好ましい。
分散粒子36aの平均粒子径は、トナー粒子の平均粒子径を考慮して、15μm以下であることが好ましい。より好ましくは1〜12μmの範囲内、さらに好ましくは3〜10μmの範囲内である。分散粒子36aとしては、平均粒子径の異なるものを併用しても良い。分散粒子36aの平均粒子径は、日機装社製マイクロトラック粒度分布測定装置UPA−EX150型により測定できる。
分散粒子36aのめっき液への配合量としては、分散粒子36aの平均粒子径にも関係するが、分散粒子36a同士が互いに密着しすぎないようにするため、0.1〜100g/Lの範囲内であることが好ましい。より好ましくは3〜20g/Lの範囲内である。分散粒子36a同士が密着しすぎると、凹部14a同士が重なりすぎて連なりやすくなる。
共析めっき工程に用いるめっき液(共析めっき用めっき液)には、金属イオン、還元剤、錯化剤、pH緩衝剤、分散粒子36aなどが含まれる。金属イオンは、めっき金属のイオンである。めっき金属としては、ニッケル、コバルト、銅、金、銀などを挙げることができる。このうち、耐食性やコスト面などからニッケルが好ましい。還元剤としては、次亜リン酸、ジメチルアミンボラン、ヒドラジンなどを挙げることができる。このうち、めっき液の安定性などの観点から、次亜リン酸が好ましい。pH緩衝剤としては、乳酸、酢酸、コハク酸などを挙げることができる。
錯化剤としては、カルボン酸やアミン化合物を挙げることができる。錯化剤としては、カルボン酸のみを用いても良いし、アミン化合物のみを用いても良いし、カルボン酸とアミン化合物とを併用しても良い。カルボン酸とアミン化合物とを併用する場合には、めっき金属とともに分散粒子36aを高密度に共析させることができる。また、アミン化合物を用いる場合には、めっき金属を柱状に結晶成長させることができる。
アミン化合物としては、具体的には、グリシン、アラニン、エチレンジアミン、プロパンジアミンなどを挙げることができる。このうち、分散粒子36aの分散安定性が高いなどの観点から、グリシンが好ましい。カルボン酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などを挙げることができる。このうち、特に分散粒子36aを高密度に共析させやすいなどの観点から、クエン酸が好ましい。錯化剤としては、特に、グリシンとクエン酸とを併用することが好ましい。
めっき液には、さらに、界面活性剤を配合することもできる。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを挙げることができる。このうち、分散粒子36aの分散度を高めることができるなどの観点から、カチオン性界面活性剤を配合することが好ましい。また、このように分散粒子36aを正電荷に帯電させてからめっき液中に添加することで、分散粒子36aの共析めっき層への共析量を上げることができる。
カチオン性界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、エチレンオキサイド付加型アンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩型のものなどを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、併用しても良い。また、両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、アミドプロピルベタイン、ジメチルアルキルベタイン等のベタイン型のものなどを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、併用しても良い。カチオン性界面活性剤の配合量あるいは両性界面活性剤の配合量は、0.01〜10g/Lの範囲内であることが好ましい。
分散粒子36aには、めっき液に対する濡れ性を高めるなどの目的で、めっき液に添加する前に、塩酸や硫酸などの酸によるエッチング処理などを施すこともできる。さらに、分散粒子36aを添加しためっき液を超音波処理して、分散粒子36aの分散度をさらに高めることもできる。
被覆めっき工程に用いるめっき液(被覆めっき用めっき液)には、金属イオン、還元剤、錯化剤、pH緩衝剤などが含まれる。また、このめっき液には、成形型30を用いたゴム弾性層14を成形したときの離型性を高めるなどの目的で、フッ素樹脂粒子を配合することが好ましい。このフッ素樹脂粒子は、上記の分散粒子36aよりも平均粒子径が小さく、トナー粒子と比べても小さいものである。このため、このフッ素樹脂粒子は、型内面に凸部として現れてゴム弾性層14にトナー粒子を収容する凹部14aを形成するものではない。このようなフッ素樹脂粒子の平均粒子径の大きさとしては、0.5μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.3μm以下である。フッ素樹脂粒子としては、PTFE樹脂粒子などを挙げることができる。
以上のようにして、現像ロール10のゴム弾性層14の形成に用いる成形型として好適な成形型30を製造することができる。成形型30の型内面には、分散粒子36aに基づく多数の凸部が形成されている。分散粒子36aの平均粒子径の大きさを調整することにより、成形型30の凸部の径の大きさを調整することができる。また、分散粒子36aのめっき液への配合量を調整することにより、成形型30の型内面に占める凸部の面積割合を調整することができる。
このようにして得られた、型内面に多数の凸部を有する成形型30を用いて現像ロール10のゴム弾性層14を成形することにより、ゴム弾性層14の表面には、凸部に対応する凹部14aが多数形成される(型転写される)。このようにして形成されたゴム弾性層14の表面に、上記する特徴を有する凹部14aを多数備えることができる。
現像ロール10のゴム弾性層14は、例えば上記の成形型30の中空部に軸体12をセットし、成形型30と軸体12との間の空隙部にゴム材料を注型して加熱架橋させた後、成形型30から脱型することにより、軸体12の外周に形成できる。得られたゴム弾性層14の表面には、トナー離型性を高める必要に応じて、上記する表面改質が行われるか、表層16が形成される。表面改質方法は、上記する通りである。
表層16は、例えば、表層16を形成するための塗料を調製し、調製した塗料をゴム弾性層14の表面に塗工することにより形成することができる。塗工方法としては、ロールコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング法などを挙げることができる。塗工後には、塗料を乾燥させ、必要に応じて加熱架橋処理することにより、表層16を形成できる。
次に、現像ロール10の材料や構成などについて説明する。また、上記成形型30の材料等について説明する。
軸体12としては、導電性シャフトを挙げることができる。導電性シャフトとしては、金属製の中実体、金属製の円筒体、あるいは、これらにめっきが施されたものなどを挙げることができる。金属の種類としては、アルミニウム、ステンレスなどを挙げることができる。軸体12の外周面には、ゴム弾性層14との間の接着性を向上させるなどの目的で、接着剤やプライマなどを塗布しても良い。接着剤やプライマなどには、必要に応じて、導電化を行うことができる。
ゴム弾性層14のゴム材料としては、特に限定されるものではないが、具体的には、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、ヒドリンゴムなどを例示することができる。このうち、層形成ブレードや感光体などの相手部材の押圧による弾性変形の回復に優れる(耐ヘタリ性が良好である)などの観点から、シリコーンゴム、ウレタンゴムが好ましい。また、シリコーンゴムは、温度変化や湿度変化などの環境変化に対して体積変化しにくく、環境変化によるロールの外径変動が小さい利点も有するため、特に好ましい。
ゴム弾性層14には、必要に応じて、導電剤、充填剤、増量剤、補強剤、加工助剤、硬化剤、加硫促進剤、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料、シリコーンオイル、助剤、界面活性剤などの各種添加剤が適宜添加されていても良い。導電剤としては、カーボンブラックなどの電子導電剤や第4級アンモニウム塩などのイオン導電剤など、一般的な導電剤を挙げることができる。
ゴム弾性層14は、発泡体であっても良いし、中実体であっても良い。ゴム弾性層14の厚みは、0.1〜10mmの範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、1〜5mmの範囲内である。
表層16の主材料としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ブチラール樹脂(PVB)、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素ゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムとフッ素樹脂の混合物、シリコーン樹脂、シリコーングラフトアクリルポリマー、アクリルグラフトシリコーンポリマー、ニトリルゴム、ウレタンゴム等を挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併せて用いても良い。なかでも、耐摩耗性の点で、ウレタン樹脂が好ましい。表層16の材料には、主材料の他に、導電剤、可塑剤、レベリング剤などを含んでいても良い。
成形型基材32の材料としては、特に限定されるものではなく、S55C等の炭素鋼材、SACM645等のアルミニウムクロムモリブデン鋼材、A5056等のアルミニウム合金、アルミニウム等を挙げることができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(実施例1)
<共析めっき液の調製>
平均粒径10μmのアクリル粒子(根上工業製、アートパールGR600)12g/Lをカチオン性界面活性剤(ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド)0.1g/Lにより水中に分散させて、分散粒子の分散液を調製した。次いで、硫酸ニッケル六水和物20g/L、次亜リン酸ナトリウム一水和物(還元剤)25g/L、乳酸(錯化剤)27g/L、プロピオン酸(錯化剤)2.5g/Lよりなる基本めっき液中に、分散粒子の分散液を添加して、pH4.8の共析めっき液を調製した。
<被覆めっき液の調製>
平均粒径0.2μmのPTFE微粒子10g/Lをカチオン性界面活性剤(ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド)0.2g/Lにより水中に分散させて、成形型の離型処理用分散液を調製した。次いで、硫酸ニッケル六水和物20g/L、次亜リン酸ナトリウム一水和物(還元剤)25g/L、乳酸(錯化剤)27g/L、プロピオン酸(錯化剤)2.5g/Lよりなる基本めっき液中に、離型処理用分散液を添加して、被覆めっき液を調製した。
<成形型の作製>
内径12mmの円筒形金型基材の型内面に、共析めっき液を用いて、めっき液温度90℃、めっき時間60分の条件で無電解めっきを行った(めっき厚み11μm)。次いで、無電解めっきを行った型内面を水洗後、アミノカルボン酸系界面活性剤(奥野製薬工業(株)製、「コンディライザーSP」)に、50℃×10分間浸漬し、表面調整を行った。その後、スズ−パラジウムコロイド(奥野製薬工業(株)製、「OPC−80キャタリスト」)中に25℃×10分間浸漬し、触媒前駆体の吸着処理を行った。水洗後、10質量%の塩酸水溶液に25℃×10分間浸漬し、パラジウム触媒活性化を行った。次いで、水洗後、被覆めっき液を用いて、めっき液温度90℃、めっき時間10分の条件で無電解めっきを行った(めっき厚み2μm)。これにより、型内面に分散粒子を固定化し、円筒形金型基材の型内面に凸形状を得た。これにより、成形型を作製した。
<ゴム弾性層組成物の調製>
導電性シリコーンゴム(信越化学工業(株)製、「X−34−264A/B」、混合質量比A/B=30/70)をスタティックミキサにて混合することにより、C=C結合を表面に残したシリコーンゴムを含むゴム弾性層組成物を調製した。
<表層組成物の調製>
ウレタン樹脂(ニッポラン5199、日本ポリウレタン社製)100質量部に対して、カーボンブラック(デンカブラックHS−100、電気化学工業社製)10質量部をボールミルを用いて混練した後、MEK400質量部を加えて混合・攪拌することにより、表層組成物を調製した。
<表面改質剤の調製>
トリクロロイソシアヌル酸(東京化成工業社製)5質量部、C=C結合含有シリコーンオイル(信越シリコーン社製、X−22−174DX)1質量部、tert−ブチルアルコール80質量部、酢酸エチル20質量部を混合することにより、表面改質剤を調製した。
<現像ロールの作製>
成形型に導電性シャフト(φ6mm、長さ270mm)を同軸にセットし、金型内にゴム弾性層組成物を注入し、190℃で30分間加熱した後、冷却、脱型した。これにより、導電性シャフトの外周に厚さ3mmのゴム弾性層を形成した。このゴム弾性層の外周面には、成形型の型内面に形成された多数の凸部に対応する多数の凹部が型転写により形成されている。次いで、このゴム弾性層の外周面に、ロールコート法により、表層組成物をコーティングした後、170℃で60分熱処理して、厚さ5μmの表層を形成した。以上のようにして、実施例1に係る現像ロールを作製した。
(実施例2〜3)
共析めっき液に添加するアクリル粒子の添加量と界面活性剤の添加量を表1に記載の量とし、表層の厚みを表1に記載の厚みとした以外は実施例1と同様にして、実施例2〜3に係る現像ロールを作製した。
(実施例4)
共析めっき液に添加するアクリル粒子として平均粒子径6μmのアクリル粒子(根上工業社製、アートパールGR800)を用い、このアクリル粒子の添加量を12g/Lとし、界面活性剤の添加量を0.2g/Lとし、共析めっきの時間を30分とし、形成する共析めっき層の厚みを5.5μmとし、表層の厚みを3μmとした以外は実施例1と同様にして、実施例4に係る現像ロールを作製した。
(実施例5)
共析めっき液に添加するアクリル粒子として平均粒子径2μmのアクリル粒子(根上工業社製、アートパールJ4PY)を用い、このアクリル粒子の添加量を12g/Lとし、界面活性剤の添加量を0.5g/Lとし、共析めっきの時間を15分とし、形成する共析めっき層の厚みを2.3μmとし、表層の形成に代えてゴム弾性層の表面改質を室温で行った以外は実施例1と同様にして、実施例5に係る現像ロールを作製した。
(実施例6)
表層の形成に代えてゴム弾性層の表面改質を行った以外は実施例1と同様にして、実施例6に係る現像ロールを作製した。
(比較例1)
<転写用型の作製>
ゴム弾性層の外径と同径のアルミニウム製円柱体を準備し、そのアルミニウム製円柱体の外周面に、レーザエッチングを施すことにより、多数の凹部を分布形成した。このときのレーザエッチングの条件は、レーザ光の種類:Nd−YAGレーザ、出力:50Wとし、アルミニウム製円柱体を出力:35A、周波数:5kHz、照射スピード:1030mm/秒にて回転させながら、幅50mmずつアルミニウム製円柱体の外周面にレーザを照射した。このようにしてアルミマスターロールを得、それを用いて電鋳法により転写用型を作製した。
<現像ロールの作製>
上記転写用型を用いて成形(190℃×30分間)することにより、導電性シャフト(φ6mm、長さ270mm)の外周面にゴム弾性層(厚み3mm、長さ240mm)を形成した。これにより、ゴム弾性層の外周面に、多数の凹部を分布形成した。次いで、実施例5と同様、ゴム弾性層の表面改質を行った。これにより、比較例1に係る現像ロールを作製した。
(比較例2)
アクリル粒子の添加量を6g/Lとし、界面活性剤の添加量を0.1g/Lとした以外は実施例4と同様にして、比較例2に係る現像ロールを作製した。
(比較例3)
共析めっき液に添加するアクリル粒子として平均粒子径14μmのアクリル粒子(根上工業社製、アートパールGR400)を用い、このアクリル粒子の添加量を12g/Lとし、界面活性剤の添加量を0.1g/Lとし、共析めっきの時間を90分とし、形成する共析めっき層の厚みを16.5μmとし、表層の厚みを8μmとした以外は実施例1と同様にして、比較例3に係る現像ロールを作製した。
(比較例4)
表層の厚みを12μmとした以外は実施例1と同様にして、比較例4に係る現像ロールを作製した。
(比較例5)
アクリル粒子の添加量を36g/Lとし、界面活性剤の添加量を0.6g/Lとし、表層の厚みを3μmとした以外は実施例1と同様にして、比較例5に係る現像ロールを作製した。
(比較例6)
アクリル粒子の添加量を9g/Lとし、界面活性剤の添加量を0.15g/Lとし、表層の形成に代えてゴム弾性層の表面改質を行った以外は実施例4と同様にして、比較例6に係る現像ロールを作製した。
各現像ロールのゴム弾性層について、凹部の開口径φ1、凹部の深さd、ゴム弾性層表面に占める凹部の面積割合Ap1を測定した。また、表層を有する構成の現像ロールについては、さらに表層の厚みを測定した。測定方法は以下の通りである。また、作製した各現像ロールを用いて、トナー搬送量とトナー固着性を調べた。測定方法は以下の通りである。
(凹部の開口径φ1)
ゴム弾性層の外周表面の任意の位置を、Nakaden製「Mx−1200E」で拡大観察することにより、ゴム弾性層の凹部の開口径φ1を測定した。
(凹部の深さd)
ロール中央部で周方向に切断した断面の任意の位置を、Nakaden製「Mx−1200E」で拡大観察することにより、ゴム弾性層の凹部の深さdを測定した。
(凹部の面積割合Ap1)
ゴム弾性層の外周表面の任意の位置を、Nakaden製Mx−1200Eで拡大し、0.5×0.4mmの領域を1280×1024dpiの解像度で取り込んだ。次いで、得られた画像をモノクロ変換し、画像上の照度むらを平滑化するために平滑フィルタでノイズ除去した。次いで、ナノシステム株式会社製NanoHunter NS2K−Pro/Ltを用いて、判別分析法により二値化処理した。次いで、二値化した画像を白黒反転処理し、画像中で白色となっている凹部内のノイズを除去(白色部分の内部にある黒色部分を穴埋めした)した後、この白色部分の面積を計測した。この白色部分が凹部である。
(表層の厚み)
現像ロールのロール中央部の3箇所について各3点の膜厚を測定し、合計9点の膜厚の平均値を表層の厚みとした。より具体的には、ロール中央部で周方向に切断した断面を、Nakaden製「Mx−1200E」で1000倍に拡大して観察し、測定した。
(トナー搬送量)
各現像ロールを市販のカラーレーザープリンター(沖データ社製「C5900」)に組み込み、23℃×53%RHの環境下にてシアンカートリッジで白ベタ画像出しを行い、その時の現像ロール上6.3cm2の範囲にあるトナー量を測定し、単位面積当たりのトナー搬送量を算出した。
(トナー固着性)
各現像ロールを市販のカラーレーザープリンター(沖データ社製「C5900」)に組み込み、28℃×80%RHの環境下にて、シアンで画像出しを通紙5000枚(A4サイズ)行い、耐久後の層形成ブレードへのトナー粒子の固着具合を判定した。固着箇所が1箇所以下の場合を(○)固着箇所が2〜4箇所の場合を(△)、固着箇所が5箇所以上の場合を(×)とした。
また、実施例の成形型の表面構造および断面構造を具体的に示すため、その代表例として実施例2において作製した成形型について、日立製「SEMEDX TypeN」、オリンパス製「GX51」を用いて、表面の拡大写真と断面の拡大写真を撮影した。これを図10(a)(b)に示す。また、実施例の現像ロールのゴム弾性層の表面構造を具体的に示すため、その代表例として実施例2において作製した現像ロールについて、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製、VK−9510)を用いて、ゴム弾性層の表面の拡大写真とその3D写真を撮影した。これを図11(a)(b)に示す。
図10(a)(b)によれば、成形型の型内面に、分散粒子に基づく多数の凸部が形成されていることが確認できる。また、分散粒子の表面が被覆めっき層により覆われていることが確認できる。そして、図11(a)(b)によれば、ゴム弾性層の表面に複数の凹部が形成されていることが確認できる。
そして、表1から、実施例によれば、トナー搬送量は適切であり、このような適切なトナー搬送量を維持しつつ、層形成ブレードへのトナーの固着の発生も抑えられることが確認できた。
これに対し、比較例1は、従来の方法によりゴム弾性層の表面に多数の凹部を形成した現像ロールであり、凹部の開口径が大きく深さが浅い。このため、層形成ブレードからのトナー粒子へのストレスが強くなり、層形成ブレードへのトナーの固着の発生量が多くなっている。
比較例2、6では、ゴム弾性層表面に占める凹部の面積割合が小さいため、凹部以外の部分の面積割合が多くなり、層形成ブレードへのトナーの固着の発生量が多くなっている。比較例3では、凹部の開口径が大きすぎるため、層形成ブレードへのトナーの固着の発生量が多くなっている。比較例4では、表層の厚みが厚すぎるため、ゴム弾性層の表面の凹部が埋まりすぎて、層形成ブレードへのトナーの固着の発生量が多くなっている。また、トナー搬送量が低下している。比較例5では、ゴム弾性層表面に占める凹部の面積割合が大きいため、凹部同士が連なりすぎて、ロール表面の開口径が大きくなりすぎている。このため、層形成ブレードへのトナーの固着の発生量が多くなっている。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。