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JP5830741B2 - 鋳型の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、鋳造に用いられる鋳型の製造方法に関するものである。
現在使用されている鋳型は一般に、生砂型、高圧造型、高速造型など粘土類等を粘結剤として用いる普通鋳型と、熱硬化性鋳型、自硬性鋳型、ガス硬化鋳型、精密鋳造用鋳型など硬化性粘結剤を用いる特殊鋳型と、その他の鋳型とに分類される。
これらの鋳型には一長一短があるが、鋳型を製造する際に高温の加熱が必要であったり、粘結剤の硬化に時間を要して短時間で安定して鋳型を製造することが難しかったり、鋳型を製造する際に有毒ガスが発生するおそれがあったりするなどの問題を有することが多い。
そこで本出願人は、粘結剤を耐火骨材に混合して調製されるレジンコーテッドサンドを型内に充填し、この型内に水蒸気を吹き込んで、粘結剤を加熱して固化乃至硬化させることによって鋳型を製造する方法を提案している。すなわち、水蒸気は高い凝縮潜熱を有するので、レジンコーテッドサンドを充填した型内に水蒸気を吹き込むことによって、水蒸気がレジンコーテッドサンドに接する際にこの潜熱が伝達され、レジンコーテッドサンドを瞬時に加熱して粘結剤を固化乃至硬化させることができるものである。従って、型を高温に加熱しておく必要なく、安定して短時間で鋳型を製造することができると共に、有毒ガスの発生も防ぐことができるのである(特許文献1等参照)。
特許第3563973号公報
上記のようにレジンコーテッドサンドを充填した型内に水蒸気を吹き込むと、水蒸気の潜熱がレジンコーテッドサンドに伝達されることによって、レジンコーテッドサンドを加熱することができるが、水蒸気から潜熱が奪われると、型内で凝縮水が生成されることになり、この凝縮水がレジンコーテッドサンドの表面に付着することになる。そして型内の温度が100℃付近に達するまで凝縮水は生成されるが、この凝縮水は、続いて吹き込まれる水蒸気で加熱されて蒸発し、凝縮水の蒸発と共に温度が100℃以上に上昇し、レジンコーテッドサンドの粘結剤を固化乃至硬化させることができるものである。水蒸気として過熱水蒸気を用いる場合には、この温度上昇はより速くなる。
しかし、水蒸気は水分を多量に含んでいるため、凝縮水を続いて吹き込まれる水蒸気で加熱して蒸発させるにあたって、蒸発の効率が良好ではなく、凝縮水を迅速に蒸発させることが難しい。従って、型内の温度が100℃付近に達した後、凝縮水が蒸発して100℃以上に温度が上昇するまでの間の時間が長くなるものであり、型内における加熱温度の上昇が不十分になるおそれがあって、この結果、得られる鋳型の強度が不十分になる場合があった。
また、水蒸気で凝縮水を加熱して蒸発させる場合、この水蒸気からも凝縮水が出て体積が小さくなるので、型内に高い圧力で水蒸気を吹き込んでも、水蒸気が吹き込まれる入口から水蒸気が出る出口に近づくにつれて水蒸気の圧力が低下し、凝縮水が滞留したり、乾燥や温度上昇が遅くなったりするものであった。
これらのことは、過熱水蒸気を用いる場合にも、多少の差はあるがこの傾向に変わりはない。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、型内で生成される凝縮水を迅速に蒸発させて、型内の温度上昇の速度をより速めることができ、鋳型の強度をより向上することができる鋳型の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る鋳型の製造方法は、熱硬化性樹脂からなる粘結剤と耐火骨材を含有して調製されるレジンコーテッドサンドを型内に充填し、次に水蒸気発生装置で発生した水蒸気をこの型内に吹き込んでレジンコーテッドサンドを加熱することによって、レジンコーテッドサンドの粘結剤を硬化させて鋳型を製造するにあたって、レジンコーテッドサンドを貯蔵するホッパーに熱交換器を設け、上記と同じ水蒸気発生装置で発生した水蒸気を熱交換器に通してホッパー内のレジンコーテッドサンドを予備加熱し、ホッパーを型に接続すると共にホッパー内の予備加熱されたレジンコーテッドサンドを型内に充填することを特徴とするものである。
型内に水蒸気を吹き込んで潜熱でレジンコーテッドサンドを加熱するにあたって、このようにレジンコーテッドサンドを予備加熱しておけば、レジンコーテッドサンドに奪われる潜熱の熱量を低減して水蒸気から凝縮水が生成されることを抑制することができると共に、凝縮水が少なくなるぶん、生成された凝縮水を迅速に蒸発させることができ、水蒸気の吹き込みによって短時間で100℃以上の温度に上昇させることができるものであり、レジンコーテッドサンドの粘結剤が硬化する温度以上にまで型内の温度を上昇させる速度を速めることができるものである。
また硬化した熱硬化性樹脂をバインダーとして耐火骨材を固結させることができ、強度の高い鋳型を製造することができるものである。
そして本発明によれば、型に吹き込んでレジンコーテッドサンドの粘結剤を硬化させるための水蒸気を利用して、レジンコーテッドサンドの予備加熱を行なうことができ、レジンコーテッドサンドを予備加熱するための加熱源を別途設備するような必要がなくなるものである。
また本発明は、レジンコーテッドサンドを30℃以上の温度で予備加熱することを特徴とするものである。
このように予備加熱温度が30℃以上であると、冬場であっても夏場であってもレジンコーテッドサンドの温度を同じ条件にすることができ、季節による製造条件の変化を少なくして、安定した品質で鋳型を製造することができるものである。
また本発明は、レジンコーテッドサンドを50℃以上の温度で予備加熱することを特徴とするものである。
このように予備加熱温度が50℃以上であると、凝縮水の生成を低減する効果を高く得ることができ、型内で生成される凝縮水を迅速に蒸発させて、型内のレジンコーテッドサンドの温度上昇の速度をより速めることができるものである。
また本発明は、レジンコーテッドサンドを100℃以上の温度で予備加熱することを特徴とするものである。
このように予備加熱温度が100℃以上であると、凝縮水が殆ど生成されないようにすることが可能になり、型内のレジンコーテッドサンドの温度上昇の速度をより速めることができるものである。
また本発明は、70℃以上の温度で加熱した型内に、レジンコーテッドサンドを充填することを特徴とするものである。
このように型を加熱しておくことによって、凝縮水が生成されることを低減する効果をより高く得ることができ、型内のレジンコーテッドサンドの温度上昇の速度をより速めることができるものである。
また本発明は、型内に、圧力0.1275MPa以上の水蒸気を吹き込むことを特徴とするものである。
水蒸気をこのような圧力で型内に吹き込むことによって、型内に充填されているレジンコーテッドサンドの全体に水蒸気を行き渡らせることができ、レジンコーテッドサンドを均一に加熱して、均質な鋳型を製造することができるものである。
また本発明は、型内に吹き込む水蒸気が過熱水蒸気であることを特徴とするものである。
過熱水蒸気は高温の乾き蒸気であって、水蒸気としてこのように過熱水蒸気を用いることによって、凝縮水の生成がより少なくなると共に凝縮水の蒸発もより迅速になり、型内のレジンコーテッドサンドの温度上昇の速度をより速めることができるものである。
また本発明は、型内に吹き込む水蒸気が空気との混合気体であることを特徴とするものである。
水蒸気から凝縮水が生成されると、水蒸気は体積が急激に小さくなって圧力が低下し、型の奥に行き渡り難くなるが、このように空気と混合されていることによって、空気の圧力で水蒸気を型の奥に行き渡らすことができ、レジンコーテッドサンドを均一に加熱することができるものである。
また本発明は、この粘結剤がフェノール樹脂であることを特徴とするものである。
この発明によれば、硬化したフェノール樹脂をバインダーとして耐火骨材を固結させることができ、強度の高い鋳型を製造することができるものである。
また本発明は、型内に水蒸気を吹き込んだ後、加熱した気体を型内に吹き込むことを特徴とするものである。
このように加熱した気体を型内に吹き込むことによって、この加熱気体によっても凝縮水をより迅速に蒸発させることができ、型内のレジンコーテッドサンドの温度上昇の速度をより速めることができるものである。
また本発明は、型内に水蒸気を吹き込みながら、型内に吹き込まれた水蒸気を吸引して型外に強制的に排出することを特徴とするものである。
この発明によれば、水蒸気が型内に滞留することがなくなり、水蒸気による加熱の効率が高まって、より短時間で鋳型を製造することができるものである。
本発明によれば、型内に水蒸気を吹き込んで潜熱でレジンコーテッドサンドを加熱するにあたって、上記のようにレジンコーテッドサンドを予備加熱しておけば、レジンコーテッドサンドに奪われる潜熱の熱量を低減して水蒸気から凝縮水が生成されることを抑制することができると共に、凝縮水が少なくなるぶん、生成された凝縮水を迅速に蒸発させることができ、水蒸気の吹き込みによって短時間で100℃以上の温度に上昇させることができるものであり、レジンコーテッドサンドの粘結剤が硬化する温度以上にまで型内の温度を上昇させる速度を速めることができるものである。そしてこの結果、短時間の加熱で強度の高い鋳型を製造することができるものである。また本発明によれば、型に吹き込んでレジンコーテッドサンドの粘結剤を硬化させるための水蒸気を利用して、レジンコーテッドサンドの予備加熱を行なうことができ、レジンコーテッドサンドを予備加熱するための加熱源を別途設備するような必要がなくなるものである。
本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ各工程での概略断面図である。 本発明の他の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
レジンコーテッドサンドは、けい砂などの耐火骨材に粘結剤を混合することによって、耐火骨材の表面を粘結剤で被覆して形成されるものである。
粘結剤としては、熱硬化性樹脂を用いるものである。この熱硬化性樹脂としては、レゾール型、ノボラック型、ベンジリックエーテル型などのフェノール樹脂、フラン樹脂、イソシアネート化合物、アミンポリオール樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂などを挙げることができるものであり、これらに硬化剤としてイソシアネート化合物、有機エステル類、ヘキサメチレンテトラミンなどを、硬化触媒として第三級アミン、ピリジン誘導体、有機スルホン酸などをそれぞれ配合し、熱硬化性にして使用することができるものである。
粘結剤としてフェノール樹脂を用いる場合、フェノール樹脂はフェノール類とホルムアルデヒド類を反応触媒の存在下で反応させることによって調製することができる。
ここでフェノール類は、フェノール及びフェノールの誘導体を意味するものであり、例えばフェノールの他に、m−クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノールなどの3官能性のもの、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタンなどの4官能性のもの、o−クレゾール、p−クレゾール、p−ter−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4又は2,6−キシレノールなどの2官能性のo−又はp−置換のフェノール類を挙げることができ、さらに塩素又は臭素で置換されたハロゲン化フェノールなども用いることができる。勿論、これらから1種を選択して用いる他、複数種のものを混合して用いることもできる。
またホルムアルデヒド類としては、水溶液の形態であるホルマリンが最適であるが、パラホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンのような形態のものを用いることもでき、その他、ホルムアルデヒドの一部をフルフラールやフルフリルアルコールに置き換えて使用することも可能である。
上記のフェノール類とホルムアルデヒド類との配合比率は、フェノール類とホルムアルデヒドのモル比が1:0.6〜1:3.5の範囲になるように設定するのが好ましい。
また反応触媒は、ノボラック型フェノール樹脂を調製する場合は、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、あるいはシュウ酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸などの有機酸、さらに酢酸亜鉛などを用いることができる。またレゾール型フェノール樹脂を調製する場合は、アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物を用いることができ、さらにジメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジエチレントリアミン、ジシアンジアミドなどの脂肪族の第一級、第二級、第三級アミン、N,N−ジメチルベンジルアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン、アニリン、1,5−ナフタレンジアミンなどの芳香族アミン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミンなどや、その他二価金属のナフテン酸や二価金属の水酸化物等を用いることもできる。
また粘結剤を希釈して使用する場合、希釈用の溶剤としてはアルコール類、ケトン類、エステル類、多価アルコールなどを用いることができる。
そして上記の粘結剤を、けい砂などの耐火骨材と混合することによって、耐火骨材の表面を粘結剤で被覆したレジンコーテッドサンドを調製することができるものである。
ここで、アミン・コールドボックス鋳型を例にとってレジンコーテッドサンドを具体的に説明すると、フェノール類とホルムアルデヒド類とを反応触媒の存在下で反応させ、反応生成物を脱水することによって得たベンジリックエーテル型フェノール樹脂をそのままあるいはエーテル系、エステル系、石油系等の溶剤で希釈して液状にし、これをA液とする。またイソシアネート化合物をそのままあるいは溶剤で希釈してB液とする。このイソシアネート化合物としては、−NCO基を2個以上持つものであれば特に制限されないが、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート、さらにはp−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ブロック型ポリイソシアネート、イソシアネートの二量体、イソシアネートの三量体などの液状又は固形状のものなどを使用することができる。このA液やB液の希釈用の溶剤としては、水酸基を含有しないものが好ましく、脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素系の溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、エーテル類、ケトン類、エステル類、多価アルコールの誘導体や、これらの混合物を使用することができ、その代表的なものとして、灯油、シクロヘキサン、キシレン、クメン、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタンシクロヘキサン、イソホロン、フタル酸ジブチル、エチルセロソルブアセテート、プロピレンカーボネートなどを挙げることができる。そして耐火骨材にA液を加えて混練し、さらにこれにB液を加えて混練することによって、耐火骨材に粘結剤を被覆したレジンコーテッドサンドを得ることができるものである。
次に、上記のように調製されるレジンコーテッドサンドを用いて鋳型を製造する方法の一例を、図1を参照して説明する。
図1(a)に示すように、型1は内部にキャビティ3を設けて形成されるものであり、この型は縦割りあるいは横割に割ることができるようになっている。型1の上面には注入口4が設けてあり、型1の下面には金網等の網5で塞いだ排出口6が設けてある。またレジンコーテッドサンド2はホッパー7内に貯蔵してあり、ホッパー7にはコック8付きの空気供給管9が接続してある。
本発明では、レジンコーテッドサンド2を予備加熱して型1に供給するものである。この予備加熱は、電気ヒーターで加熱したり、水蒸気を熱交換させて発生させた熱風で加熱したり、ガスの燃焼や油の燃焼により発生させた熱風で加熱したり、電磁誘導(IH)で加熱したり、任意の方法で行なうことができるが、予備加熱をホッパー7内で行なうことできる。例えば、ホッパー7に熱交換器などの加熱器を付設して、ホッパー7内のレジンコーテッドサンド2を予備加熱することができる。
図1(a)の実施の形態では、ホッパー7の外周に水蒸気を通す熱交換器14を設け、熱交換器14内に通した水蒸気によってレジンコーテッドサンド2を予備加熱するようにしてある。水蒸気は、本発明では型1に吹き込んで鋳型を製造するために必須のものであり、この水蒸気を熱交換器14に通してレジンコーテッドサンドの予備加熱を行なうことによって、レジンコーテッドサンドを予備加熱するための加熱源を別途設備するような必要がなくなるものである。特に、水蒸気を型1に吹き込むのは、型1内のレジンコーテッドサンド2を加熱している間だけであり、型1内にレジンコーテッドサンド2を充填している間や、型1から成形した鋳型を取り出している間は、水蒸気は水蒸気発生装置から垂れ流しされることになるが、この垂れ流しにされる水蒸気を熱交換器14に通してレジンコーテッドサンド2の予備加熱に用いるようにすれば、水蒸気の利用効率を高めることができるものである。
そしてホッパー7の下端のノズル口7aを型1の注入口4に合致させた後、コック8を閉から開に切り代えることによって、ホッパー7内に空気を吹き込んで加圧し、ホッパー7内の予備加熱がされたレジンコーテッドサンド2を型1内に吹き込んで、型1のキャビティ3内にレジンコーテッドサンド2を充填する。排出口6は網5で塞いであるので、レジンコーテッドサンド2が排出口6から洩れ出すことはない。注入口4や排出口6を図1(a)の実施の形態のように型1に複数設ける場合、複数の注入口4のうち一箇所あるいは複数箇所からレジンコーテッドサンド2を入れるようにすればよい。
このように型1内にレジンコーテッドサンド2を充填した後、型1の注入口4からホッパー7を外し、図1(b)のように各注入口4に給気パイプ10を接続する。給気パイプ10は水蒸気発生装置に接続してあり、水蒸気発生装置で発生した水蒸気が供給されるようになっている。そして、給気パイプ10のコック11を開いて、水蒸気を型1のキャビティ3内に吹き込む。
このように型1内に水蒸気を吹き込むと、レジンコーテッドサンド2の表面に水蒸気が接触することによって、水蒸気が有する高い潜熱によってレジンコーテッドサンド2を直接加熱することができ、レジンコーテッドサンド2の温度は100℃付近にまで急速に上昇する。しかも水蒸気はレジンコーテッドサンド2の粒子間を通って型1内の全体に浸透し、型1内のレジンコーテッドサンド2を均一な温度に加熱することができるものである。このように水蒸気の潜熱の伝熱によってレジンコーテッドサンド2が100℃付近にまで加熱される時間は、水蒸気の温度や型1内への吹き込み流量、型1内のレジンコーテッドサンド2の充填量などで変動するが、通常、3〜30秒程度の短時間である。型1内に注入口4から吹き込まれた水蒸気は、型1内のレジンコーテッドサンド2を加熱した後、排出口6から排気される。
上記のように型1内に水蒸気を吹き込むことによって、水蒸気の潜熱でレジンコーテッドサンド2の温度を100℃付近にまで急速に上昇させることができるが、潜熱がレジンコーテッドサンド2に奪われることによって水蒸気は凝縮し、凝縮水が型1内に生成される。そしてレジンコーテッドサンド2を100℃以上の温度に上昇させるには、この凝縮水を蒸発させる必要がある。この凝縮水はその後に吹き込まれる水蒸気による加熱で蒸発されるが、凝縮水を蒸発させる効率が低い。そこで本発明では上記のようにレジンコーテッドサンド2を予備加熱して用いるようにしているものである。
型1内に充填されるレジンコーテッドサンド2がこのように予備加熱されていると、レジンコーテッドサンド2に奪われる水蒸気の潜熱の熱量を少なくすることができるものであり、水蒸気が潜熱を奪われて生成される凝縮水の量を低減することができるものである。そしてこのように型1内に生成される凝縮水の量が少ないぶん、後から吹き込まれる水蒸気の潜熱で凝縮水を迅速に蒸発させることができるものであり、短時間で100℃以上の温度に上昇させることができるものである。
レジンコーテッドサンド2を予備加熱する温度は、常温以上であればよく、特に限定されるものではないが、レジンコーテッドサンド2の粘結剤として使用している熱硬化性樹脂が硬化を開始する温度以下であることが望ましい。特に粘結剤の熱硬化性樹脂がフェノール樹脂である場合、予備加熱温度はその融着点以下であることが、レジンコーテッドサンド2を型1内に吹き込み易い点で望ましい。
このようにレジンコーテッドサンド2の予備加熱温度は常温以上であればよいが、予備加熱温度が30℃以上であると、季節による製造条件の変化を少なくして、安定した品質で鋳型を製造することができることにもなるものである。すなわち従来、レジンコーテッドサンドは雰囲気温度のまま使用されることが一般的であり、夏場の雰囲気温度と冬場の雰囲気温度が大きく異なるために、夏場と冬場ではレジンコーテッドサンドの温度が大きく異なる状態で使用されることになって、季節による製造条件の変化が大きく、安定した品質で鋳型を製造することが難しい。そこで、予備加熱温度を30℃以上に設定すれば、冬場であっても夏場であってもレジンコーテッドサンドの温度を同じ条件にすることができるものであり、季節による製造条件の変化を少なくして、安定した品質で鋳型を製造することができるものである。
またレジンコーテッドサンド2の予備加熱温度が50℃以上であると、型1内での凝縮水の生成を低減する効果を高く得ることができるものであり、型1内で生成される凝縮水を迅速に蒸発させて、型1内の温度上昇の速度をより速めることができるものである。
さらにレジンコーテッドサンド2の予備加熱温度が100℃以上であると、型1内で凝縮水が殆ど生成されないようにすることが可能になり、型1内の温度上昇の速度をより速めることができるものである。
ここで、上記のように型1内に水蒸気を吹き込んでレジンコーテッドサンド2を加熱するにあたって、水蒸気としては飽和水蒸気をそのまま用いることができるが、本発明では過熱水蒸気を用いるのが好ましい。過熱水蒸気は、飽和水蒸気をさらに加熱して、沸点以上の温度とした完全気体状態の水蒸気であり、100℃以上の乾き蒸気である。飽和水蒸気を加熱して得られる過熱水蒸気は、圧力を上げないで定圧膨張させたものであってもよく、あるいは膨張させないで圧力を上げた加圧水蒸気であってもよい。型1内に吹き込む過熱水蒸気の温度は特に限定されるものではなく、過熱水蒸気は900℃程度にまで温度を高めることができるので、100〜900℃の間で必要に応じた温度に設定すればよい。
また水蒸気は、0.1275MPa(水蒸気発生装置から送り出される水蒸気のゲージ圧に換算すると0.2MPa)以上の圧力で型1内に吹き込むようにするのが好ましい。このような圧力の水蒸気を型1内に吹き込むことによって、型1内に充填したレジンコーテッドサンド2の全体に水蒸気を行き渡らせることが容易になるものであり、型1内のレジンコーテッドサンド2を均一に加熱して、均質な鋳型を製造することができるものである。水蒸気の圧力の上限は特に設定されないが、0.6MPa程度が実用上の上限である。
また水蒸気としては、空気との混合気体を用いることもできる。水蒸気は冷却により凝縮水が生成されると急激に体積が小さくなって圧力が低下する。このために、水蒸気を単独で用いると、このように凝縮水の生成による体積減少で圧力が低下した場合に、型の奥に水蒸気が行き渡り難くなる。これに対して、水蒸気を空気と混合して用いると、空気の圧力で水蒸気を型の奥に行き渡らすことができるものであり、型1内に充填したレジンコーテッドサンド2を均一に加熱することができるものである。
また本発明において、上記のように型1内に水蒸気を吹き込んでレジンコーテッドサンド2を加熱し、レジンコーテッドサンド2の温度が100℃付近にまで上昇した後に、加熱気体を型1内に吹き込むようにしてもよい。給気パイプ10に水蒸気と、加熱気体とを選択的に供給することができるようにしておけば、給気パイプ10への供給を加熱気体に切り換えることによって、加熱気体を型1内に吹き込むことができる。加熱気体は水分含有率が上記の水蒸気より低いものであればよく、加熱した空気を用いることができる。例えば、大気中の空気を加熱して給気パイプ10に加熱気体として供給すればよい。また上記の水蒸気に加熱空気を混合して含有水分量を低くすることによって、この混合気体を加熱気体として用いることもできる。この加熱気体の温度は特に限定されるものではなく、100℃以上であり、且つレジンコーテッドサンド2の粘結剤が硬化する温度以上のものであればよい。
このように加熱気体を型1内に吹き込むと、加熱気体は水蒸気よりも含有される水分量が少なく、湿度の低い乾燥気体であるので、型1内で上記のように生成された凝縮水を短時間で蒸発させて乾燥することができるものである。ここで、過熱水蒸気及び加熱空気の気流で水の蒸発実験を行なった場合、温度が170℃付近以下では、過熱水蒸気中への水の蒸発速度より、加熱空気中への水の蒸発が大きくなることが報告されている(T.Yosida,Hyodo,T.,Ind.Eng.Chem.Process Des.Dev.,9(2),207-214(1970))。この報告にもみられるように、加熱気体を型1内に吹き込むことによって、水蒸気を吹き込み続ける場合よりも、短時間で凝縮水を蒸発させて乾燥することができるものである。従って、より短時間で100℃以上にレジンコーテッドサンド2の温度を上昇させることが可能になるものであり、短い加熱時間で強度の高い鋳型を製造することが可能になるものである。
尚、既述のように水蒸気で凝縮水を加熱して蒸発させる場合、この水蒸気は凝縮によって体積が小さくなり、圧力が低下して型1内に凝縮水が滞留したり、乾燥や温度上昇が遅くなったりするが、加熱気体は凝縮による体積収縮がなく、圧力低下が殆どないので、注入口4から排出口6に至るまで加熱気体が型1内に行き渡り、型1内の全体で均一に加熱気体の温度を作用させて、乾燥や温度上昇が速やかに行なわれるものである。
加熱気体を型1内に吹き込む時間は、加熱気体の温度や型1内への吹き込み流量、型1内のレジンコーテッドサンド2の充填量、型1内の凝縮水の量などで変動するが、通常、5〜30秒程度の短時間である。従って、水蒸気を型1内に吹き込み始めてから、10秒〜1分程度の短時間で、鋳型を製造することが可能である。
また本発明において、型1を予め加熱しておいて、この予備加熱した型1内にレジンコーテッドサンド2を充填するようにしてもよい。このように型1を予備加熱しておけば、型1内に吹き込んだ水蒸気の潜熱が型1に奪われることを低減することができ、凝縮水が生成されることを低減する効果をより高く得ることができるものであり、型1内の温度上昇の速度をより速めることができるものである。型1の加熱温度は、70℃以上に設定されるものである。型1の加熱温度の上限は特に限定されるものではないが、実用上250℃程度が上限である。
図2の実施の形態は、型1の排出口6に吸引パイプ12を接続するようにしたものであり、吸引パイプ12には真空ポンプなどが接続してある。そして型1内を吸引パイプ12で吸引しながら、上記のように型1内に水蒸気や加熱空気を吹き込むようにしてある。このように型1内を吸引しながら水蒸気や加熱空気を吹き込むことによって、水蒸気や加熱空気は型1内に充填されたレジンコーテッドサンド2の粒子間を通過した後に、強制的に排出口6から排出されるものであり、水蒸気や加熱空気が型1内に滞留することがなくなり、水蒸気や加熱空気による加熱の効率が高まって、より短時間で鋳型を製造することが可能になるものである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(レジンコーテッドサンドの製造例1)
145℃に加熱したフラタリーサンド30kgをワールミキサーに入れ、これにレゾール型フェノール樹脂(リグナイト(株)製「LT−15」)を540g加え、30秒間混練した後、さらに450gの水を添加して十分に混練した。次いでさらにステアリン酸カルシウム30gを添加して30秒間混練した後、エアーレーションを行なうことによって、融着点108℃のフェノール樹脂が1.8質量%付着したレジンコーテッドサンドを得た。
(レジンコーテッドサンドの製造例2)
145℃に加熱したフラタリーサンド30kgをワールミキサーに入れ、これにノボラック型フェノール樹脂(リグナイト(株)製「H3」)を450g加え、30秒間混練した後、さらにヘキサメチレンテトラミン67.5gを450gの水に予め溶解させたヘキサメチレンテトラミン水溶液を添加して十分に混練した。次いでさらにステアリン酸カルシウム30gを添加して30秒間混練した後、エアーレーションを行なうことによって、融着点102℃のフェノール樹脂が1.5質量%付着したレジンコーテッドサンドを得た。
(実施例1〜8)
キャビティ3の大きさが30cm×10cm×4cmに形成された図1のような型1を
150℃に予熱して用いた。この型1の下面の3箇所の排出口6にはそれぞれ温度センサーを配置して設けてあり、排出口6から排出される気体の温度測定をすることができるようにしてある。また、上記の製造例1で得たレジンコーテッドサンド2を、流動層加熱器で表1に示す温度で予備加熱した。
そしてまず、型1の上面の3箇所の注入口4のうち中央の注入口4にホッパー7を接続すると共に他の2ヶ所の注入口4を閉じ、予備加熱したレジンコーテッドサンド2を、圧力0.2MPaの空気圧で型1内に吹き込んで充填した。
次に、型1の上面の3箇所の注入口4に給気パイプ10を接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を、過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して得た、350℃、0.45MPaの過熱水蒸気を80kg/hの流量で給気パイプ10に供給し、表1に示す吹き込み時間で型1内に吹き込んだ。そして型1を開くことによって、30cm×10cm×4cmに造型した鋳型を得た。
(実施例9〜10)
過熱水蒸気を表2に示す吹き込み時間で型1内に吹き込んだ後、直ちに、給気パイプ10への供給を加熱気体に切り換え、350℃の加熱空気を型1内に20秒間吹き込んだ。ここで加熱空気は、25℃での相対湿度63%RHの空気を熱風発生機((株)竹綱製作所製「TSK−31」)で350℃に加熱したものであり、5.7m/分の流量で型1内に吹き込んだ。
その他は、上記の実施例1〜8と同様にして30cm×10cm×4cmに造型した鋳型を得た。
(実施例11〜14)
型1の予熱温度を80℃に設定し、製造例2で得たレジンコーテッドサンド2を流動層加熱器で60℃に予備加熱して用いた。
その他は、上記の実施例1〜8と同様にして30cm×10cm×4cmに造型した鋳型を得た。
(実施例15〜16)
型1の予熱温度を80℃に設定し、製造例2で得たレジンコーテッドサンド2を流動層加熱器で60℃に予備加熱して用いた。
その他は、上記の実施例9〜10と同様にして30cm×10cm×4cmに造型した鋳型を得た。
(比較例1〜4)
製造例2で得たレジンコーテッドサンド2を、加熱しないで常温の25℃のまま用いた。
その他は、上記の実施例11〜14と同様にして30cm×10cm×4cmに造型した鋳型を得た。
上記の実施例1〜8、11〜14及び比較例1〜4において、過熱水蒸気吹き込み終了時点での、型1の排出口6の温度を温度センサーで測定し、また上記の実施例9〜10、15〜16において、加熱空気の吹き込み終了時点での、型1の3箇所の排出口6の温度を温度センサーで測定した。その平均値を表1〜3に示す。
また型1を開いて鋳型を取り出す際の臭いを作業者の臭覚で評価し、取り出した鋳型の重さを測定した。さらに、取り出した鋳型について、造型性を評価した。結果を表1〜3に示す。尚、造型性の評価は、きれいに造型できたものを「○」、鋳型を型から外す際に割れたものを「△」、造型されておらず、型から取り出すと崩れるものを「×」とした。またこのように型から取り出すと崩れるものについての鋳型の重さは、崩れたレジンコーテッドサンドを集めて測定した数値である。
また各実施例及び各比較例で得た鋳型を幅20mm、長さ60mm、厚み10mmに切り出して試験片を作製し、この試験片の曲げ強さをJIS K6910に準拠して測定した。測定結果を表1〜3に示す。
Figure 0005830741
Figure 0005830741
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表1〜3にみられるように、レジンコーテッドサンドを予備加熱しないで用いた比較例1〜4では、水蒸気の吹き込み終了時の温度が低く、鋳型の造型性が悪く、また鋳型の強度が弱いものであった。尚、比較例1〜3では、造型されていないため、曲げ強さの試験を行なうことができなかった。
一方、レジンコーテッドサンドを予備加熱して用いた各実施例では、水蒸気の吹き込み終了時や加熱空気の吹き込み終了時の温度が高くなっており、鋳型の造型性が良好であって、鋳型の強度も高いものであった。
1 型
2 レジンコーテッドサンド

Claims (11)

  1. 熱硬化性樹脂からなる粘結剤と耐火骨材を含有して調製されるレジンコーテッドサンドを型内に充填し、次に水蒸気発生装置で発生した水蒸気をこの型内に吹き込んでレジンコーテッドサンドを加熱することによって、レジンコーテッドサンドの粘結剤を硬化させて鋳型を製造するにあたって、レジンコーテッドサンドを貯蔵するホッパーに熱交換器を設け、上記と同じ水蒸気発生装置で発生した水蒸気を熱交換器に通してホッパー内のレジンコーテッドサンドを予備加熱し、ホッパーを型に接続すると共にホッパー内の予備加熱されたレジンコーテッドサンドを型内に充填することを特徴とする鋳型の製造方法。
  2. レジンコーテッドサンドを30℃以上の温度で予備加熱することを特徴とする請求項1に記載の鋳型の製造方法。
  3. レジンコーテッドサンドを50℃以上の温度で予備加熱することを特徴とする請求項1に記載の鋳型の製造方法。
  4. レジンコーテッドサンドを100℃以上の温度で予備加熱することを特徴とする請求項1に記載の鋳型の製造方法。
  5. 70℃以上の温度で加熱した型内に、レジンコーテッドサンドを充填することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の鋳型の製造方法。
  6. 型内に、圧力0.1275MPa以上の水蒸気を吹き込むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の鋳型の製造方法。
  7. 型内に吹き込む水蒸気が過熱水蒸気であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の鋳型の製造方法。
  8. 型内に吹き込む水蒸気が空気との混合気体であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の鋳型の製造方法。
  9. 熱硬化性樹脂がフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の鋳型の製造方法。
  10. 型内に水蒸気を吹き込んだ後、加熱した気体を型内に吹き込むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の鋳型の製造方法。
  11. 型内に水蒸気を吹き込みながら、型内に吹き込まれた水蒸気を吸引して型外に強制的に排出することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の鋳型の製造方法。
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