以下、本発明の実施の形態を説明する。
コーテッドサンドは、耐火骨材に粘結剤を混合することによって、耐火骨材の表面を粘結剤で被覆して形成されるものである。
耐火骨材としては、特に限定されるものではないが、硅砂、山砂、アルミナ砂、オリビン砂、クロマイト砂、ジルコン砂、ムライト砂、その他、人工砂などを例示することができるものであり、これらを1種単独で用いる他、複数種を混合して用いることもできる。
また粘結剤としては、熱硬化性樹脂を用いるのが一般的であるが、糖類を用いることもできる。熱硬化性樹脂と糖類を併用して粘結剤として用いるようにしてもよい。
粘結剤に用いる熱硬化性樹脂としては、レゾール型、ノボラック型、ベンジリックエーテル型などのフェノール樹脂、フラン樹脂、イソシアネート化合物、アミンポリオール樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂などを挙げることができるものであり、これらに硬化剤としてイソシアネート化合物、有機エステル類、ヘキサメチレンテトラミンなどを、硬化触媒として第三級アミン、ピリジン誘導体、有機スルホン酸などをそれぞれ配合し、熱硬化性にして使用することができるものである。これらのなかでもフェノール樹脂が好ましい。
フェノール樹脂はフェノール類とホルムアルデヒド類を反応触媒の存在下で反応させることによって調製することができる。
ここでフェノール類は、フェノール及びフェノールの誘導体を意味するものであり、例えばフェノールの他に、m−クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノールなどの3官能性のもの、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタンなどの4官能性のもの、o−クレゾール、p−クレゾール、p−ter−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4又は2,6−キシレノールなどの2官能性のo−又はp−置換のフェノール類を挙げることができ、さらに塩素又は臭素で置換されたハロゲン化フェノールなども用いることができる。勿論、これらから1種を選択して用いる他、複数種のものを混合して用いることもできる。
またホルムアルデヒド類としては、水溶液の形態であるホルマリンが最適であるが、パラホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンのような形態のものを用いることもでき、その他、ホルムアルデヒドの一部をフルフラールやフルフリルアルコールに置き換えて使用することも可能である。
上記のフェノール類とホルムアルデヒド類との配合比率は、フェノール類とホルムアルデヒドのモル比が1:0.6〜1:3.5の範囲になるように設定するのが好ましい。
反応触媒は、ノボラック型フェノール樹脂を調製する場合は、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、あるいはシュウ酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸などの有機酸、さらに酢酸亜鉛などを用いることができる。またレゾール型フェノール樹脂を調製する場合は、アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物を用いることができ、さらにジメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジエチレントリアミン、ジシアンジアミドなどの脂肪族の第一級、第二級、第三級アミン、N,N−ジメチルベンジルアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン、アニリン、1,5−ナフタレンジアミンなどの芳香族アミン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミンなどや、その他二価金属のナフテン酸や二価金属の水酸化物等を用いることもできる。
フェノール樹脂粘結剤を希釈して使用する場合、希釈用の溶剤としてはアルコール類、ケトン類、エステル類、多価アルコールなどを用いることができる。
また、粘結剤に使用する糖類としては、単糖類、少糖類、多糖類を用いることができ、各種の単糖類、少糖類、多糖類のなかから、1種を選んで単独で用いる他、複数種を選んで併用することもできる。
単糖類としては、特に限定されるものではないが、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトースなどを挙げることができる。
また少糖類としては、マルトース(麦芽糖)、スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、セロビオースなどの二糖類を挙げることができる。
さらに多糖類としては、でんぷん糖、デキストリン、ザンサンガム、カードラン、プルラン、シクロアミロース、キチン、セルロース、でんぷんなどがあり、これらのうち一種を選択して、あるいは複数種を併用して、用いることができる。またでんぷんとしては、未加工でんぷん及び加工でんぷんが挙げられる。具体的には馬鈴薯でんぷん、コーンスターチ、ハイアミロース、甘藷でんぷん、タピオカでんぷん、サゴでんぷん、米でんぷん、アマランサスでんぷんなどの未加工でんぷん、及びこれらの加工でんぷん(焙焼デキストリン、酵素変性デキストリン、酸処理でんぷん、酸化でんぷん、ジアルデヒド化でんぷん、エーテル化でんぷん(カルボキシメチルでんぷん、ヒドロキシアルキルでんぷん、カチオンでんぷん、メチロール化でんぷんなど)、エステル化でんぷん(酢酸でんぷん、リン酸でんぷん、コハク酸でんぷん、オクテニルコハク酸でんぷん、マレイン酸でんぷん、高級脂肪酸エステル化でんぷんなど)、架橋でんぷん、クラフト化でんぷん、及び湿熱処理でんぷんなどが挙げられる。これらのなかでも、焙焼デキストリン、酵素変性デキストリン、酸処理でんぷん、酸化でんぷんのように低分子化されたもの、及び架橋でんぷんなどの粘度の低いでんぷんが好ましい。
粘結剤には、糖類、特に多糖類の硬化剤として、カルボン酸を含有するようにしてもよい。カルボン酸としては、特に限定されるものではないが、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、ブタンテトラジカルボン酸、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体などを挙げることができる。粘結剤中のカルボン酸の含有量は、糖類に対するカルボン酸の配合量が、糖類100質量部に対してカルボン酸0.1〜10質量部となる範囲が好ましい。カルボン酸は予め水に溶解させた状態で糖類と混合するのが、硬化剤としての効果を高く発揮するので好ましい。
さらに、コーテッドサンドの流動性を良くするために、粘結剤に滑剤を含有させるようにしてもよい。滑剤としては、パラフィンワックスやカルナバワックス等の脂肪族炭化水素系滑剤、高級脂肪族系アルコール、エチレンビスステアリン酸アマイドやステアリン酸アマイド等の脂肪族アマイド系滑剤、金属石けん系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、複合滑剤などを用いることができるが、なかでも金属石けん系滑剤が好ましい。金属石けん系滑剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどや、これらを複数種組み合わせたものを用いることができる。
そして、耐火骨材の粒子に粘結剤や滑剤などを配合して混合することによって、耐火骨材の表面に粘結剤を含有するコーティング層を被覆して、コーテッドサンドを得ることができるものである。耐火骨材に被覆する粘結剤の量は、成分や用途などに応じて異なり一概に規定できないが、耐火骨材100質量部に対して粘結剤が0.5〜4.0質量部、滑剤が固形分で0.02〜0.15質量部の範囲になるように設定するのが一般的に好ましい。耐火骨材の表面に粘結剤を被覆する方法としては、ホットコート法、コールドコート法、セミホットコート法、粉末溶剤法などがある。
ホットコート法は、110〜180℃に加熱した耐火骨材に固形の粘結剤を添加して混合し、耐火骨材による加熱で固形の粘結剤を溶融させることによって、溶融した粘結剤で耐火骨材の表面を濡らして被覆させ、この後、この混合を保持したまま冷却することによって、粒状でさらさらしたコーテッドサンドを得る方法である。あるいは、110〜180℃に加熱した耐火骨材に、水などの溶剤に溶解又は分散させた粘結剤を混合して被覆し、溶剤を揮散させることによって、コーテッドサンドを得る方法である。
コールドコート法は、粘結剤を水やメタノールなどの溶剤に溶解して液状になし、これを耐火骨材の粒子に添加して混合し、溶剤を揮発させることによって、コーテッドサンドを得る方法である。
セミホットコート法は、上記の溶剤に溶解した粘結剤を、50〜90℃に加熱した耐火骨材の粒子に添加して混合し、溶剤を揮発させることによって、コーテッドサンドを得る方法である。
粉末溶剤法は、固形の粘結剤を粉砕し、この粉砕粘結剤を耐火骨材の粒子に添加してさらに水やメタノールなどの溶剤を添加し、これを混合して溶剤を揮発させることによって、コーテッドサンドを得る方法である。
以上のいずれの方法においても、耐火骨材の表面に常温(30℃)で固形の粘結剤からなるコーティング層を被覆して、粒状でさらさらしたコーテッドサンドを得ることができるが、作業性などの点においてホットコート法が好ましい。また上記のように耐火骨材に粘結剤を混合する際に、必要に応じて硬化剤や、耐火骨材と粘結剤とを親和させるためのシランカップリング剤など各種のカップリング剤や、また黒鉛等の炭素質材料などを配合することもできる。
粘結剤として熱硬化性樹脂と糖類を併用する場合、熱硬化性樹脂と糖類を同時に耐火骨材に被覆することによって、熱硬化性樹脂と糖類が混在した粘結剤のコーティング層を形成する方法、耐火骨材の表面に熱硬化性樹脂を被覆した後、糖類を被覆することによって、2層構成にコーティング層を形成する方法、耐火骨材の表面に糖類を被覆した後、熱硬化性樹脂を被覆することによって、2層構成にコーティング層を形成する方法などがあり、いずれの方法であってもよい。
次に、上記のように調製されるコーテッドサンドを用いて鋳型を製造する方法の一例を、図1によって説明する。
型1は内部にキャビティ10を設けて形成されるものであり、この型1は例えば縦割や横割に開くことができるように構成されている。型1の上面には注入口11が設けてあり、型1の下面には金網等の網12で塞いだ排気口13が設けてある。型1のこの注入口11にはホッパー21を、その下端のノズル口22によって接続することができるようになっている。このホッパー21の上部には水蒸気供給パイプ23が接続してあり、水蒸気供給パイプ23に設けたコック24を開くことによって、ボイラーなどの水蒸気発生装置29で発生した水蒸気をホッパー21内に供給することができるようにしてある。またホッパー21の上端にはサンド貯留タンク25がサンド供給パイプ26で接続してあり、サンド供給パイプ26に設けたコック27を開くことによって、サンド貯留タンク25内に貯留されたコーテッドサンド2がサンド供給パイプ26を通してホッパー21内に供給されるようにしてある。
そして、型1の注入口11にホッパー21のノズル口22を接続し、まず、水蒸気供給パイプ23のコック24を閉じた状態で、サンド供給パイプ26のコック27を開くことによって、サンド貯留タンク25内に貯留されたコーテッドサンド2を図1(a)のようにホッパー21に供給する。このとき、型1のキャビティ10内に充填するのに必要な量のコーテッドサンド2がホッパー21に供給されるようになっている。
次に、サンド供給パイプ26のコック27を閉じると共に、水蒸気供給パイプ23のコック24を開き、水蒸気供給パイプ23を通して水蒸気をホッパー21内に供給して吹き込む。このように水蒸気をホッパー21内に供給して吹き込むと、ホッパー21内が水蒸気の圧力で加圧され、ホッパー21内のコーテッドサンド2はノズル口22から押し出されて、注入口11から型1のキャビティ10内に吹き込まれ、図1(b)のように、型1内にコーテッドサンド2を充填することができる。このように水蒸気の圧力を利用して、型1内にコーテッドサンド2を供給して充填することができるものであり、コーテッドサンド2を型1に充填するための特別な装置を不要にすることができるものである。排気口13は網12で塞いであるので、コーテッドサンド2が排気口13から洩れ出すことはない。
そしてこのように型1内にコーテッドサンド2を充填した後も、水蒸気供給パイプ23のコック24を開いた状態が継続されるものであり、水蒸気供給パイプ23からホッパー21を介して型1内に水蒸気が吹き込まれる。型1内に水蒸気が吹き込まれて、コーテッドサンド2の表面に水蒸気が接触することによって、水蒸気が有する高い潜熱によってコーテッドサンド2を直接加熱することができ、コーテッドサンド2の温度は100℃付近にまで急速に上昇する。しかも水蒸気はコーテッドサンド2の粒子間を通って型1内の全体に浸透し、型1内のコーテッドサンド2を均一な温度に加熱することができるものである。型1内に注入口11から吹き込まれた水蒸気は、型1内のコーテッドサンド2を加熱した後、排気口13から排気される。
型1内に吹き込まれた水蒸気の潜熱でこのようにコーテッドサンド2を急速に加熱して、コーテッドサンド2の粘結剤を短時間で固化乃至硬化させることができるものであるが、上記のように、水蒸気の圧力を利用して型1にコーテッドサンド2を充填するようにしてあるので、型1にコーテッドサンド2を供給し始める時点から、水蒸気はコーテッドサンド2とともに型1内に吹き込まれ始めている。すなわち、コーテッドサンド2を型1内に供給しつつ、同時に水蒸気が型1内に吹き込まれているものであり、型1にコーテッドサンド2を充填する工程の間も、コーテッドサンド2は水蒸気で加熱されている。従って、型1内に充填されたコーテッドサンド2の粘結剤を、型1内に吹き込んだ水蒸気で加熱して、粘結剤を固化乃至硬化させるのに要する時間を短縮することができるものであり、型1にコーテッドサンド2を供給し始めてから、型1内のコーテッドサンド2の粘結剤を固化乃至硬化させて鋳型Aを成形するまでの、鋳型Aの造型時間を短くすることができるものである。
このように型1内で鋳型Aを造型した後、水蒸気供給パイプ23のコック24を閉じ、次に型1を開いて鋳型Aを脱型することによって、鋳型Aを得ることできる。そしてこの後に、型1を再度閉じて、前記の工程の最初に戻り、ここまでを1サイクルとして、鋳型Aの製造を行なうことができるものである。勿論、これのみに限定されるものではなく、型1内で鋳型Aを造型した後、この型1をホッパー21から外して鋳型Aを脱型する工程へと移動させ、キャビティ10内が空になった別の型1をホッパー21に接続することによって、前記の工程の最初に戻るまでを1サイクルとして、鋳型Aの製造を行なうこともできる。
図2は他の実施の形態の一例を示すものであり、型1の排気口13に吸引パイプ32が接続してある。吸引パイプ32には真空ポンプなどが接続してあり、型1内を吸引パイプ12で吸引しながら、上記のように型1内に水蒸気を吹き込むようにしてある。このように型1内を吸引しながら水蒸気を吹き込むことによって、水蒸気は型1内に充填されたコーテッドサンド2の粒子間を通過した後に、強制的に排気口13から排出されるものであり、水蒸気が型1内に滞留することがなくなり、水蒸気による加熱の効率が高まって、より短時間で鋳型Aを製造することが可能になるものである。
図3は本発明の他の実施の形態の一例を示すものである。サンド貯留タンク25の下端にサンド供給路3が垂下して設けてあり、またサンド貯留タンク25には空気供給管34を接続して、サンド貯留タンク25内を空気圧で加圧するようにしてある。サンド供給路3にはコック35が設けてあり、このコック35を開くことによって、サンド貯留タンク25内のコーテッドサンド2をサンド供給路3を通して送り出すことができるようなっている。このサンド供給路3の外周に水蒸気供給路4が設けてある。サンド供給路3と水蒸気供給路4はそれぞれパイプなどで形成してあり、サンド供給路3の外周を水蒸気供給路4で囲む二重パイプ状に形成してある。水蒸気供給路4には水蒸気供給パイプ23が接続してあり、水蒸気供給パイプ23に設けたコック24を開くことによって、ボイラーなどの水蒸気発生装置29で発生した水蒸気を水蒸気供給路4に供給することができるようにしてある。サンド供給路3の下端開口と水蒸気供給路4の下端開口は同心円状に一致させて、ノズル口36として形成してある。
型1は上記の実施の形態と同様に形成されているものであり、その注入口11にノズル口36を接続し、サンド供給路3のコック35を開くと共に、水蒸気供給パイプ23のコック24を開く。すると、サンド貯留タンク25内に貯留されたコーテッドサンド2がサンド供給路3を通過して注入口11から型1内に吹き込まれ、このとき同時に水蒸気供給路4を通して水蒸気が注入口11から型1内に吹き込まれる。型1にコーテッドサンド2を吹き込んで、型1内がコーテッドサンド2で充填された後、サンド供給路3のコック35を閉じてコーテッドサンド2の供給を停止する。このようにコック35を閉じた後も、水蒸気供給パイプ23のコック24を開いた状態を継続することによって、水蒸気供給路4から型1内に水蒸気が吹き込まれるものであり、型1内に充填されたコーテッドサンド2を水蒸気によって加熱し、鋳型Aを製造することができるものである。
この実施の形態においても、サンド供給路3からコーテッドサンド2を型1内に供給しつつ、同時に水蒸気供給路4から水蒸気が型1内に吹き込まれているものであり、型1にコーテッドサンド2を充填する工程の間も、コーテッドサンド2は水蒸気で加熱されている。従って、型1内に充填されたコーテッドサンド2の粘結剤を、型1内に吹き込んだ水蒸気で加熱して、粘結剤を固化乃至硬化させるのに要する時間を短縮することができるものであり、型1にコーテッドサンド2を供給し始めてから、型1内のコーテッドサンド2の粘結剤を固化乃至硬化させて鋳型Aを成形するまでの、鋳型Aの造型時間を短くすることができるものである。またこのとき、サンド供給路3から供給されるコーテッドサンド2に水蒸気供給路4から吐出される水蒸気を均一に混合しながら、型1内にコーテッドサンド2を充填することができるものであり、コーテッドサンド2を均一に加熱して、均質な鋳型Aを得ることができるものである。
図4は本発明の他の実施の形態の一例を示すものである。サンド貯留タンク25の下端にサンド供給路3が垂下して設けてある。そしてこのサンド供給路3内に水蒸気供給路4が設けてあり、つまり水蒸気供給路4の外周をサンド供給路3で囲むように二重パイプ状に形成してある。水蒸気供給路4には水蒸気供給パイプ23が接続してあり、水蒸気供給パイプ23に設けたコック24を開くことによって、ボイラーなどの水蒸気発生装置29で発生した水蒸気を水蒸気供給路4に供給することができるようにしてある。水蒸気供給路4の下端開口は内径が小さくなるように絞ってエジェクタノズル38として形成してある。またサンド供給路3の下端開口はエジェクタノズル38よりやや下側に突出するように位置させて、同様に内径を絞ってノズル口39として形成してある。
型1の構成は上記と同じであり、型1の注入口11にノズル口39を接続し、水蒸気供給パイプ23のコック24を開くと、水蒸気供給パイプ23から水蒸気供給路4に供給された水蒸気は、エジェクタノズル38から高速流となって型1内に吹き込まれる。このように水蒸気がエジェクタノズル38を高速流で通過すると、ベンチュリー効果でサンド供給路3のノズル口39内が負圧になって、サンド貯留タンク25内のコーテッドサンド2はサンド供給路3へと吸い込まれ、エジェクタノズル38から型1内に吹き込まれる水蒸気の流れと共にコーテッドサンド2も型1内に吹き込まれる。このように、水蒸気を利用して型1内にコーテッドサンド2を供給して充填することができるものであり、コーテッドサンド2を型1に充填するための特別な装置を不要にすることができるものである。そして、型1内にコーテッドサンド2が充填された後も型1内への水蒸気の供給を継続することによって、型1内のコーテッドサンド2を水蒸気によって加熱し、鋳型を製造することができるものである。
この実施の形態においても、サンド供給路3からコーテッドサンド2を型1内に供給しつつ、同時に水蒸気供給路4から水蒸気が型1内に吹き込まれているものであり、型1にコーテッドサンド2を充填する工程の間も、コーテッドサンド2は水蒸気で加熱されている。従って、型1内にコーテッドサンド2を充填し終わった後に、型1内に水蒸気を吹き込んでコーテッドサンド2を加熱して粘結剤を固化乃至硬化させるのに要する時間を短縮することができるものであり、型1にコーテッドサンド2を供給し始めてから、型1内のコーテッドサンド2の粘結剤を固化乃至硬化させて鋳型Aを成形するまでの、鋳型Aの造型時間を短くすることができるものである。またこのとき、水蒸気供給路4から吐出される水蒸気によってサンド供給路3から供給されるコーテッドサンド2を型1内に供給するようにしているので、コーテッドサンド2に水蒸気を均一に混合しながら、型1内にコーテッドサンド2を充填することができるものであり、コーテッドサンド2を均一に加熱して、均質な鋳型Aを得ることができるものである。
ここで、本発明において水蒸気としては、ボイラーなどの水蒸気発生装置29で発生した飽和水蒸気をそのまま用いることができるが、過熱水蒸気を用いるのが好ましい。過熱水蒸気は、水蒸気発生装置29で発生した飽和水蒸気を過熱器30でさらに加熱して、沸点以上の温度とした完全気体状態の水蒸気であり、100℃以上の乾き蒸気である。飽和水蒸気を加熱して得られる過熱水蒸気は、圧力を上げないで定圧膨張させたものであってもよく、あるいは膨張させないで圧力を上げた加圧水蒸気であってもよい。過熱水蒸気の温度は特に限定されるものではなく、過熱水蒸気は900℃程度にまで温度を高めることができるので、100〜900℃の間で必要に応じた温度に設定すればよい。図1乃至図4の実施の形態に示すように、水蒸気供給パイプ23に加熱器3を接続しておくことによって、容易に過熱水蒸気を生成して型3に供給することができる。
また水蒸気は、0.1275MPa(水蒸気発生装置29から送り出される水蒸気のゲージ圧に換算すると0.2MPa)以上の圧力で型1内に吹き込むようにするのが好ましい。このような圧力の水蒸気を型1内に吹き込むことによって、型1内に充填したコーテッドサンド2の全体に水蒸気を行き渡らせることが容易になるものであり、型1内のコーテッドサンド2を均一に加熱して、均質な鋳型を製造することができるものである。水蒸気の圧力の上限は特に設定されないが、0.6MPa程度が実用上の上限である。
また水蒸気としては、空気との混合気体を用いることもできる。水蒸気は冷却により凝縮水が生成されると急激に体積が小さくなって圧力が低下する。このために、水蒸気を単独で用いると、このように凝縮水の生成による体積減少で圧力が低下した場合に、型1の奥に水蒸気が行き渡り難くなる。これに対して、水蒸気を空気と混合して用いると、空気の圧力で水蒸気を型1の奥に行き渡らすことができるものであり、型1内に充填したコーテッドサンド2を均一に加熱することができるものである。
尚、本発明において、コーテッドサンド2を予備加熱して型1に供給するのが好ましい。この予備加熱は、電気ヒーターで加熱したり、水蒸気を熱交換させて発生させた熱風で加熱したり、ガスの燃焼や油の燃焼により発生させた熱風で加熱したり、電磁誘導(IH)で加熱したり、任意の方法で行なうことができる。予備加熱したコーテッドサンド2をホッパー21やサンド貯留タンク25に供給するようにしてもよいが、コーテッドサンド2の予備加熱をホッパー21やサンド貯留タンク25内で行なうこともできる。
例えば、ホッパー21やサンド貯留タンク25に熱交換器を付設して、ホッパー21やサンド貯留タンク25内のコーテッドサンド2を熱交換器で予備加熱することができる。このとき、本発明では上記のように型1内のコーテッドサンド2を加熱する水蒸気を発生させる水蒸気発生装置29を具備するので、この水蒸気発生装置29から発生する水蒸気を熱交換器に通してコーテッドサンド2を予備加熱するようにすれば、コーテッドサンド2を予備加熱するための加熱源を別途設備するような必要がなくなるものである。
ここで、既述のように、型1内に水蒸気を吹き込んでコーテッドサンド2を加熱するにあたって、水蒸気の潜熱でコーテッドサンド2の温度を100℃付近にまで急速に上昇させることができるが、潜熱がコーテッドサンド2に奪われることによって水蒸気は凝縮し、凝縮水が型1内に生成される。そしてコーテッドサンド2を100℃以上の温度に上昇させるには、この凝縮水を蒸発させる必要がある。この凝縮水はその後に吹き込まれる水蒸気による加熱で蒸発されるが、凝縮水を蒸発させる効率が低い。これに対して、型1内に充填されるコーテッドサンド2がこのように予備加熱されていると、コーテッドサンド2に奪われる水蒸気の潜熱の熱量を少なくすることができるものであり、水蒸気が潜熱を奪われて生成される凝縮水の量を低減することができるものである。そしてこのように型1内に生成される凝縮水の量が少ないぶん、後から吹き込まれる水蒸気の潜熱で凝縮水を迅速に蒸発させることができるものであり、短時間で100℃以上の温度に上昇させることができるものである。
コーテッドサンド2を予備加熱する温度は、常温以上であればよく、特に限定されるものではないが、コーテッドサンド2の粘結剤として熱硬化性樹脂を使用する場合、熱硬化性樹脂が硬化を開始する温度以下であることが望ましい。特に粘結剤の熱硬化性樹脂がフェノール樹脂である場合、予備加熱温度はその融着点以下であることが、コーテッドサンド2を型1内に吹き込み易い点で望ましい。
このようにコーテッドサンド2の予備加熱温度は常温以上であればよいが、予備加熱温度が30℃以上であると、季節による製造条件の変化を少なくして、安定した品質で鋳型を製造することができることにもなるものである。すなわち従来、コーテッドサンド2は雰囲気温度のまま使用されることが一般的であり、夏場の雰囲気温度と冬場の雰囲気温度が大きく異なるために、夏場と冬場ではコーテッドサンド2の温度が大きく異なる状態で使用されることになって、季節による製造条件の変化が大きく、安定した品質で鋳型を製造することが難しい。そこで、予備加熱温度を30℃以上に設定すれば、冬場であっても夏場であってもコーテッドサンド2の温度を同じ条件にすることができるものであり、季節による製造条件の変化を少なくして、安定した品質で鋳型を製造することができるものである。
またコーテッドサンド2の予備加熱温度が50℃以上であると、型1内での凝縮水の生成を低減する効果を高く得ることができるものであり、型1内で生成される凝縮水を迅速に蒸発させて、型1内の温度上昇の速度をより速めることができるものである。
さらにコーテッドサンド2の予備加熱温度が100℃以上であると、型1内で凝縮水が殆ど生成されないようにすることが可能になり、型1内の温度上昇の速度をより速めることができるものである。
また、上記のように型1内に水蒸気を吹き込んでコーテッドサンド2を加熱し、コーテッドサンド2の温度が100℃付近にまで上昇した後に、加熱気体を型1内に吹き込むようにしてもよい。加熱気体は水分含有率が上記の水蒸気より低いものであればよく、加熱した空気を用いることができる。また上記の水蒸気に加熱空気を混合して含有水分量を低くすることによって、この混合気体を加熱気体として用いることもできる。この加熱気体の温度は特に限定されるものではなく、100℃以上であり、且つコーテッドサンド2の粘結剤が固化乃至硬化する温度以上のものであればよい。
このように加熱気体を型1内に吹き込むと、加熱気体は水蒸気よりも含有される水分量が少なく、湿度の低い乾燥気体であるので、型1内で上記のように生成された凝縮水を短時間で蒸発させて乾燥することができるものである。ここで、過熱水蒸気及び加熱空気の気流で水の蒸発実験を行なった場合、温度が170℃付近以下では、過熱水蒸気中への水の蒸発速度より、加熱空気中への水の蒸発が大きくなることが報告されている(T.Yosida,Hyodo,T.,Ind.Eng.Chem.Process Des.Dev.,9(2),207-214(1970))。この報告にもみられるように、加熱気体を型1内に吹き込むことによって、水蒸気を吹き込み続ける場合よりも、短時間で凝縮水を蒸発させて乾燥することができるものである。従って、より短時間で100℃以上にコーテッドサンド2の温度を上昇させることが可能になるものであり、短い加熱時間で強度の高い鋳型を製造することが可能になるものである。
尚、既述のように水蒸気で凝縮水を加熱して蒸発させる場合、この水蒸気は凝縮によって体積が小さくなり、圧力が低下して型1内に凝縮水が滞留したり、乾燥や温度上昇が遅くなったりするが、加熱気体は凝縮による体積収縮がなく、圧力低下が殆どないので、注入口4から排出口6に至るまで加熱気体が型1内に行き渡り、型1内の全体で均一に加熱気体の温度を作用させて、乾燥や温度上昇が速やかに行なわれるものである。
加熱気体を型1内に吹き込む時間は、加熱気体の温度や型1内への吹き込み流量、型1内のコーテッドサンド2の充填量、型1内の凝縮水の量などで変動するが、通常、5〜30秒程度の短時間である。従って、水蒸気を型1内に吹き込み始めてから、10秒〜1分程度の短時間で、鋳型を製造することが可能である。
また本発明において、型1を予め加熱しておいて、この予備加熱した型1内にコーテッドサンド2を充填するようにしてもよい。このように型1を予備加熱しておけば、型1内に吹き込んだ水蒸気の潜熱が型1に奪われることを低減することができ、凝縮水が生成されることを低減する効果をより高く得ることができるものであり、型1内の温度上昇の速度をより速めることができるものである。型1の加熱温度は、70℃以上に設定されるものである。型1の加熱温度の上限は特に限定されるものではないが、実用上250℃程度が上限である。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
図1の装置を用いて、鋳型の製造を行なった。
型1のキャビティ10は30cm×10cm×4cmの寸法であり、150℃に加熱して用いた。
ホッパー21には、ボイラーからなる水蒸気発生装置29と、過熱器(野村技工(株)製「GE−100」)30とを接続した。水蒸気発生装置29はゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を発生するものであり、過熱器30は、この飽和水蒸気を加熱して、350℃、0.45MPaの過熱水蒸気として80kg/hの流量で供給するものである。
サンド貯留タンク25には、次のようにして得たコーテッドサンド2を貯留した。まず145℃に加熱したフラタリーサンド30kgをワールミキサーに入れ、これにレゾール型フェノール樹脂(リグナイト(株)製「LT−15」)を540g加え、30秒間混練した後、さらに450gの水を添加して十分に混練した。次いでさらにステアリン酸カルシウム30gを添加して30秒間混練した後、エアーレーションを行なうことによって、粘結剤として融着点108℃のフェノール樹脂が1.8質量%付着したレジンコーテッドサンド2を得た。
そして、型1の上面の注入口11にホッパー21のノズル口22を接続し、まず、サンド供給パイプ26のコック27を開いて、サンド貯留タンク25内のコーテッドサンド2をホッパー21に2.1kg供給した。このようにホッパー21に2.1kgのコーテッドサンド2を供給するのに要した時間は2秒であった。
次に、サンド供給パイプ26のコック27を閉じた後、水蒸気供給パイプ23のコック24を開くことによって、過熱水蒸気をホッパー21内に供給した。このように水蒸気をホッパー21内に供給して吹き込むことによって、ホッパー21内のコーテッドサンド2は型1のキャビティ10内に吹き込まれ、型1内にコーテッドサンド2が充填された。このように型1内にコーテッドサンド2を充填するのに要した時間は6秒であった。
ここで、水蒸気供給パイプ23のコック24を開いてから閉じるまでの時間を17秒に設定して、型1内にコーテッドサンド2が充填された後も、型1内への過熱水蒸気の吹き込みを継続した。そして水蒸気供給パイプ23のコック24を閉じた後、型1を開いて、30cm×10cm×4cmの寸法に造型した鋳型を得た。
従って、実施例1では、鋳型の造型に要した総時間は19秒であった。
(実施例2〜4)
水蒸気供給パイプ23のコック24を開いてから閉じるまでの時間を実施例2では12秒、実施例3では22秒、実施例4では27秒に設定するようにした他は、実施例1と同様にして、鋳型を得た。
従って、鋳型の造型に要した総時間は、実施例2では14秒、実施例3では24秒、実施例4では29秒であった。
(実施例5〜7)
コーテッドサンド2として、次ようにして得たものを用いた。130℃に加熱したフラタリー硅砂30kgをワールミキサーに入れ、これにデキストリン(日澱化學(株)製「ND−S」)600gを水450gに溶解乃至分散させた水溶液を加え、約90秒間混練した。崩壊した後、滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを添加して15秒間混練し、さらにエアーレーションを行なうことによって、粘結剤として糖類が2.0質量%付着したコーテッドサンドを得た。
そして、水蒸気供給パイプ23のコック24を開いてから閉じるまでの時間を実施例5では17秒、実施例6では22秒、実施例7では27秒に設定するようにした他は、実施例1と同様にして、鋳型を得た。
従って、鋳型の造型に要した総時間は、実施例5では19秒、実施例6では24秒、実施例7では29秒であった。
(比較例1〜2)
図5の装置を用いて、鋳型の製造を行なった。型1の構成は上記の図1のものと同じである。またコーテッドサンド2として、実施例1と同じ、粘結剤としてフェノール樹脂が付着したレジンコーテッドサンド2を用いた。
そしてまず、図5(a)(b)のように、型1にホッパー14を接続し、ホッパー14から2.1kgのコーテッドサンド2を型1内に供給して、型1内にコーテッドサンド2を充填した。このように型1内にコーテッドサンド2を充填するのに要した時間は6秒であった。
次に図5(c)のように、型1に水蒸気パイプ19を接続し、コック18を開いて過熱水蒸気を型1内に吹き込んだ。過熱水蒸気の供給条件は実施例1と同じである。そして水蒸気供給パイプ23のコック24を開いてから閉じるまでの時間を、比較例1では13秒、比較例2では17秒に設定して、型1内に過熱水蒸気を吹き込み、水蒸気パイプ19のコック18を閉じた後、型1を開いて、30cm×10cm×4cmの寸法に造型した鋳型を得た。
従って、鋳型の造型に要した総時間は、比較例1では19秒、比較例2では23秒であった。
(比較例3〜4)
図5の装置を用いて、鋳型の製造を行なった。またコーテッドサンド2として、実施例5〜6と同じ、粘結剤として糖類が付着したレジンコーテッドサンド2を用いた。
そして、水蒸気供給パイプ23のコック24を開いてから閉じるまでの時間を比較例3では13秒、比較例4では17秒に設定するようにした他は、上記の比較例1〜2と同様にして、鋳型を得た。
従って、鋳型の造型に要した総時間は、比較例3では19秒、比較例4では23秒であった。
上記の実施例1〜7及び比較例1〜4で得た鋳型について、質量と、曲げ強さを測定した。曲げ強さの測定はJIS K6910に準拠して行なった。結果を表1に示す。
実施例1と比較例1の比較、及び実施例5と比較例3の比較から明らかなように、鋳型の造型時間が等しくなるように設定すると、比較例1や比較例3では水蒸気の吹き込み時間が短くなるため、鋳型の強度が低下した。一方、実施例1と比較例2の比較、及び実施例5と比較例4の比較から明らかなように、鋳型の強度が同じになるように水蒸気の吹き込み時間を同じに設定すると、比較例2や比較例4では鋳型の造型時間が長くなった。
尚、図5の装置では、型1にホッパー14を接続した図5(b)の状態から、図5(c)のように型1に水蒸気パイプ19を接続する、接続の切り換えに20秒を要するものであり、従って比較例1〜4のものでは、鋳型の造型時間は実際には表1の時間より20秒長いものであった。
そして表1にみられるように、各実施例のものは、鋳型の造型の時間を短くしても、比較例と同等あるいはそれ以上の曲げ強さを有する鋳型を得ることができるものであった。