以下、本発明の実施形態について説明する。同一又は対応する要素には、全ての図を通じて同一の符号を付し、重複する説明を省略する。以下の説明における方向の概念は、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両の一例として示す自動二輪車に騎乗した運転者から見た方向を基準としている。
(自動二輪車の全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両の一例として示す自動二輪車1の左側面図である。図1に示すように、自動二輪車1は、前輪2と、後輪3と、前後方向において前後輪2,3間に配置される車体フレーム4とを備えている。車体フレーム4は、ヘッドパイプ5と、ヘッドパイプ5から後方に延びてから屈曲し、後傾しながら下方へ延びる左右一対のサイドフレーム6(右サイドフレームは図4参照)とを有する。
前輪2は、前輪2から上方へ延びるフロントフォーク7を介してハンドル8に連結されている。ヘッドパイプ5は、ブラケット9を介してハンドル8に連結されたステアリングシャフト10を回転可能に支持し、これにより前輪2が車体フレーム4に転向可能に支持される。左右のサイドフレーム6は、下端部且つ後端部にて、左右のピボットブラケット11(右ピボットブラケットは図4参照)それぞれに連結されている。ピボットブラケット11は、スイングアーム12の前端部を挟み且つ揺動可能に支持している。スイングアーム12は、後端部にて後輪3を回転可能に支持し、これにより後輪3が車体フレーム4に揺動可能に支持される。
自動二輪車1は、駆動輪を回転駆動する動力源としてエンジン13を備えており、動力源で発生された回転を駆動輪に伝達する動力伝達装置として変速機14及びチェーン15を備えている。本実施形態では、後輪3が駆動輪、前輪2が従動輪である。動力伝達装置には、その他、エンジン13を変速機14に係脱可能に接続するためのクラッチや、エンジン13で発生された回転を減速してクラッチに伝達する一次減速機構が含まれる。エンジン13により発生された回転は、一次減速機構及びクラッチを介して変速機14に伝達され、変速機14は、エンジン13により発生された回転を変速して出力する。変速機14から出力された回転は、チェーン15を介して後輪3に伝達される。
エンジン13は、1以上のピストン(図示せず)を往復可能に収容したエンジン本体16と、エンジン本体16の下端部に接続されてクランクシャフト41(図2参照)を回転可能に支持するクランクケース17とを備えている。本実施形態に係るエンジン13は左側面視でL形であり、クランク軸線が左右方向に延び、シリンダ軸線がクランク軸線から見て上方に延び、エンジン11の上端部が左右のサイドフレーム6の前端部に懸架されている。
変速機14は、クランクケース17の後部に一体に設けられた変速機ケース18に収容され、変速機ケース18は、後端部にて左右のピボットブラケット11の前部に締結されている。変速機14は、後述するチェンジシャフト33の回転を利用して運転者の変速要求に応じて変速段を切替え可能であれば、どのような方式でもよい。本実施形態では一例として、変速機14に、手動式、多段式(例えば前進5段及び中立段)、シーケンシャル式、平行軸式、ノンシンクロ式且つ常時噛合い式を適用している。
チェーン15は、変速機14に取り付けられた駆動スプロケット19a(図2参照)と、後輪3に取り付けられた従動スプロケット19bとの間に巻き掛けられる。駆動スプロケット19aは、変速機ケース18の外左方に配置され、チェーン15の張り側ライン15a及び弛み側ライン15bは、従動スプロケット19bから上下に離れて前方に延び、左右のピボットブラケット11の間を通り抜け、駆動スプロケット19aに到達している。
変速機ケース18の左壁には、チェーンカバー20が取り付けられている。チェーンカバー20は、左ピボットブラケット11よりも前方に配置され、駆動スプロケット19aと、チェーン15のうち左ピボットブラケット11よりも前方の部分とを左から覆う。
自動二輪車1は、エンジン13の燃料を溜める燃料タンク21と、運転者を騎乗姿勢で着座させるシート22と、シート22の下方に配置された左右一対のフットステップ23(左のみ図示する)とを備えている。燃料タンク21は、ハンドル8の後方に配置されて左右のサイドフレーム6上に支持され、エンジン13を上から覆う。シート22は、燃料タンク21の後方に配置されている。左右のフットステップ23は、左右のピボットブラケット11の下端部にそれぞれ取り付けられ、車幅方向外側に突出している。運転者は、自動二輪車1を操縦するとき、シート22に跨って着座し、ハンドル8の左端部及び右端部それぞれに取り付けられた左右一対のグリップを握り、両膝を燃料タンク21の後部に押し当て、両足裏を左右のフットステップ23それぞれに置く。運転者は、ハンドル8をステアリングシャフト10の軸線回りに回動操作することにより、前輪2を転向させることができる。運転者は、ハンドル8の右グリップ(スロットルグリップ)を捻り操作することにより、エンジン13に供給される吸気量(ひいては、エンジン回転数及び車体速度)を調節することができる。運転者は、ハンドル8の左グリップの前に取り付けられたクラッチレバー24を引き操作することにより、通常係合状態にあるクラッチを非係合状態にし、変速機14をエンジン13から切り離すことができる。
自動二輪車1は、運転者の操作に応じて変速機14を動作させる変速操作機構30を備えている。変速操作機構30は、運転者により操作されるシフトペダル31と、運転者によるシフトペダル31の操作に応じて回転駆動されるチェンジシャフト33と、シフトペダル31に入力された運転者の操作をチェンジシャフト33の回転に変換する変換機構32とを有している。
シフトペダル31は、左フットステップ23よりも前に配置されている。運転者がシフトペダル31を左足で操作すると、変速操作機構30の作用により変速機14が動作し、それにより変速機14に設定されている変速段が切り替わる。このようにシフトペダル31は、運転者が変速要求を入力するための変速操作入力部材である。シフトペダル31は、チェーンカバー20と側面視で重なり、チェーンカバー20よりも左方(車幅方向外方)に配置される。このため、チェーンカバー20で、運転者の左足をチェーン15及び駆動スプロケット19aから保護することができる。
変速機ケース18は、変速操作機構30の一部を収容している。図示のとおり、シフトペダル31は、運転者により操作される必要があるので、変速機ケース18の外左方に配置される。変換機構32も、シフトペダル31に機械的に連結される必要があるので、変速機ケース18の外左方に配置される。チェンジシャフト33は、左端部が変速機ケース18の左壁から突出しており、変速機ケース18の外左方で変換機構32に機械的に連結されている。チェンジシャフト33の右端部は、変速機ケース18を貫通して変速機ケース18の右壁から突出する(図4及び図5参照)。チェンジシャフト33の右端部は、変速操作機構30の他の構成要素(例えば、シフトレバー34、シフトドラム35等)に連結され、当該構成要素が、チェンジシャフト33の回転に応じて変速機14を動作させる。
(変速機ケース左側の構成)
図2は、図1に示す変速機ケース18周辺の左側面図である。図2に示すように、クランクケース17は、左右方向に延びるクランクシャフト41を回転可能に支持している。クランクシャフト41は、左端部及び右端部を除き、クランクケース17内に収容される。変速機14は、入力シャフト42、出力シャフト43及び変速ギヤ44(図5参照)を有している。入力シャフト42及び出力シャフト43は、クランクシャフト41と略平行に配置され、左右方向に延びている。入力シャフト42は右端部を除き変速機ケース18に収容され(図4も参照)、出力シャフト43は左端部を除き変速機ケース18に収容される(図3及び図4も参照)。なお、本実施形態では、一体化されたクランクケース17及び変速機ケース18が、クランク軸線と直交する方向に概略二分割可能に結合され、分割線が側面視で前後方向に延びている。クランクシャフト41、入力シャフト42及び出力シャフト43は、前からこの順で並んでおり、いずれも分割線上に位置している。
クランクシャフト41の左端部には、クランクシャフト41により駆動されるAC発電機45が取り付けられる。AC発電機45は、クランクケース17の外左方に配置され、クランクケース17の左壁には、クランクシャフト41の左端部及びAC発電機45を覆う発電機カバー46が締結される。発電機カバー46は、一体化されたクランクケース17及び変速機ケース18の左壁の前部や上部を広範に覆う。発電機カバー46は、チェーンカバー20よりも前に配置されており、本実施形態では、発電機カバー46の被覆範囲とチェーンカバー20の被覆範囲とが、互いに重なることなく前後方向に隣接している。チェーンカバー20は、前後方向において発電機カバー46と左ピボットブラケット11とに挟まれ、上下方向に比較的長尺である。
チェーンカバー20は、出力シャフト43、駆動スプロケット19a及びチェーン15を左側から覆っている。更に、チェーンカバー20は、変速機ケース18の左壁に締結されたブラケット100、及びブラケット100に取り付けられた速度センサ47(図3参照)やケーブル50等を左側から覆っている。ブラケット100の周辺構成については、図3等を参照しながら後に詳述する。
シフトペダル31及び変換機構32は、チェーンカバー20よりも外左方に配置されている。チェンジシャフト33は、前後方向において入力シャフト42と出力シャフト43との間に且つ駆動スプロケット19aの外周縁よりも下方に配置され、発電機カバー46及びチェーンカバー20によって覆われていない。チェーンカバー20は、その前下端部を上方に切り欠くことによって形成されたブラケット挿通部20aを有し、ブラケット100の下端部は、ブラケット挿通部20aを介してチェーンカバー20の内側から下方に突出し、左方に露出した露出部分を成している。
チェンジシャフト33の左端部は、変換機構32への連結のため変速機ケース18の左壁から左方に突出しており、ブラケット挿通部20aの下方に配置されている。チェンジシャフト33の左端部は、チェーンカバー20に直接的に支持されてはおらず、ブラケット100の前記露出部分に回転可能に支持されている。このように、ブラケット100には、チェンジシャフト33の左端部を支持する支持部107が一体に設けられており、当該露出部分が支持部107を成している。
(ブラケットの周辺構成)
図3は、図2からチェーンカバー20を取り外した状態を示す左側面図である。図4は、図3に示すブラケット100、駆動スプロケット19a及びチェンジシャフト33を拡大して示す左側面図である。図5は、図3のV−V線に沿って切断して示す変速機ケース18の断面図である(図6の右側面図にもV−V線を示す)。図3及び図4に示すように、チェーンカバー20の内側に、出力シャフト43の回転速度を検出する速度センサ47と、前述のブラケット100とが設けられている。ブラケット100は、変速機ケース18の左壁から突出する出力シャフト43の近傍に速度センサ47を位置決めし、速度センサ47を変速機ケース18の左壁に取り付けるための部品である。
ブラケット100は、鋼、鋳鉄又はアルミニウム合金製等の金属製であり、上下方向に比較的長尺である。ブラケット100は、上端部及び下端部それぞれに、変速機ケース18の左壁に締結される締結部101〜103を有している。締結部101〜103は、左からボルト91を挿し通すため左右方向に延びる断面円形の貫通穴(詳細図示を省略する)を有する。上側の締結部101,102は、駆動スプロケット19aの外周縁よりも上方に配置され、下側の締結部103は、駆動スプロケット19aの外周縁よりも下方に配置されている。ブラケット100は、駆動スプロケット19aを左外側から部分的に覆うように配置されている。
ブラケット100は、左右方向に貫通した開口部104を中央部に有し、開口部104の奥に、出力シャフト43が配置されている。開口部104は、円形状の断面を有し、出力シャフト43と略同軸上に配置される。上側の締結部101,102は、前後方向に並ぶようにして配置され、下側の締結部は103がこれら締結部101,102の下方に配置されるところ、開口部104の少なくとも一部が、3つの締結部103を結んで形成される側面視三角形の領域内に配置される。これにより、開口部104が当該領域外に配置される場合と対比して、開口部104の出力シャフト43及びナット49に対する位置精度が高くなる。これにより、開口部104を介した出力シャフト43の視認性が良好になるし、速度センサ47の検出精度を高くすることもできる。
図5に示すように、出力シャフト43の左端部は、変速機ケース18の左壁に設けられたジャーナル部48から左方に突出する。出力シャフト43の左端部の外周面には、スプライン43aと雄ねじ43bとが左右方向(軸線方向)に並ぶように形成されている。右側のスプライン溝43aには駆動スプロケット19aが嵌合し、左側の雄ねじ溝43bにはナット49が締め付けられる。ナット49の締付けにより、駆動スプロケット19aが出力シャフト43上で固定される。出力シャフト43が回転すると、駆動スプロケット19a及びナット49は、出力シャフト43と共に回転する。ブラケット100の内面(右側面)は、駆動スプロケット19aよりも左方に配置されており、ナット49が、ブラケット100の開口部104に受容されている。
図4に示すように、ナット49は、多角形状の外形を有している。なお、図4には、ナット49の外形を概略四角形とした場合を例示しているが、六角形等の他の形状としてもよい。速度センサ47は、ブラケット100の外面(左側面)にボルト92で固定される。速度センサ47は、出力シャフト43と共に回転するナット49の回転位相を検出する。このため、速度センサ47は、開口部104の周囲に配置される。速度センサ47は、給電及び信号伝送のため、ケーブル50と機械的且つ電気的に接続されている。電源バッテリ(図示せず)や速度センサ47からの信号を入力する制御器(図示せず)は、変速機ケース18よりも上方の適宜箇所に配設されており、ケーブル50は、速度センサ47から概ね上方に延びるようにして取り回される。そこで、速度センサ47は、開口部104の周囲のうち上縁部に配置されている。
図5に示すように、ブラケット100は、開口部104の上縁部に速度センサ47が取り付けられるセンサステー部105を有している。本実施形態に係る速度センサ47は、ブラケット100に設置される平面状の取付面47aを有し、センサステー部105は、当該取付面47aと面接触する平面状のステー面105aを有する。ステー面105aは、センサステー部105の周辺部分の外面(左側面)から左右方向に変位している。本実施形態では、ステー面105aが周辺部分から左方に突出しており、そのためセンサステー部105が全体として、その周辺部分から左方に隆起している。
本実施形態に係る速度センサ47は、電磁ピックアップ式であり、取付面47aから突出するピックアップ部47bを有し、ブラケット100は、センサステー部105を貫通したスリット106を有している。スリット106の左側はステー面105aに開放され、スリット106の右側は開口部104の内側に開放される。速度センサ47は、ピックアップ部47bをスリット106に挿通させ且つ取付面47aをステー面105aに面接触させた状態で、ボルト92(図4参照)を用いてブラケット100に結合される。これによりピックアップ部47bが、開口部104の内側でナット49の側面と出力シャフト43の半径方向に近接対向する。速度センサ47は、ナット49の頂点位置をピックアップ部47bで検出し、それによりナット49と共に回転する出力シャフト43の回転角及び/又は回転速度を検出する。
速度センサ47の検出精度を高くするには、ピックアップ部47bのナット49に対する位置ズレが極力小さくなるようにして速度センサ47を変速機ケース18に設けることが求められる。そこで、ブラケット100の変速機ケース18に対する寸法公差は厳しく設定されており、ブラケット100は、ノックピン等の位置決め手段(図示せず)を用いて変速機ケース18の左壁に精緻に位置決めされる。なお、出力シャフト43は、変速機ケース18に回転可能に支持されており、出力シャフト43の変速機ケース18に対する寸法公差も厳しく設定されている。
速度センサ47は、ピックアップ部47bの根元部に、先端部よりも大きい断面を有した固定部47cを有している。固定部47cはスリット106に圧入され、それにより速度センサ47がブラケット100に精緻に位置決めされる。このように、ブラケット100が変速機ケース18に対して精緻に位置決めされ、速度センサ47が変速機ケース18に対して精緻に位置決めされるので、ピックアップ部47bのナット49に対する位置ズレを小さくすることができる。このため、速度センサ47の検出精度を高くすることができる。本実施形態では、ブラケット100が、速度センサ47の取付けのためセンサステー部106を有し、スリット107がこのセンサステー部106に設けられている。よって、センサステー部106のみ加工精度を上げれば、速度センサ47のブラケット100及び変速機ケース18に対する位置精度を上げることができる。ブラケット100全体の加工精度を上げなくても、速度センサ47の位置精度を担保することができるので、ブラケット100の製造及び速度センサ47の位置管理が煩雑になるのを抑えることができる。
前述したとおり、ブラケット100には、変速機ケース18の左壁から突出したチェンジシャフト33の左端部を回転可能に支持する支持部107が一体に設けられている。チェンジシャフト33が、上記のように変速機ケース18に対して精緻に位置決めされたブラケット100の支持部107に支持されるので、チェンジシャフト33の変速機14に対する位置精度が高くなる。また、ブラケット100は、金属製であるので比較的撓み変形しにくく、そのためチェンジシャフト33の支持剛性が高くなる。これにより、変速操作感を改善することができる。このように、ブラケット100がチェンジシャフト33を支持する機能を果たすようになれば、従来当該機能を果たしていたチェーンカバー20(図2参照)の取付け精度を下げることができる。このため、自動二輪車1の製造工程を単純化することができる。なお、ブラケット100は速度センサ47の位置精度担保のため、従来から高い位置精度で変速機ケース18に取り付けられている。
更に、従来当該機能を果たしていたチェーンカバー20(図2参照)の剛性を高くしなくてもよくなる。すると、チェーンカバー20(図2参照)の材料の選択自由度が向上し、より軽量で且つより廉価な材料を選択可能になる。本実施形態では、チェーンカバー20(図2参照)がチェンジシャフト33の支持に利用されておらず、チェーンカバー20(図2参照)を合成樹脂製としている。これにより、自動二輪車1の重量及びコストを抑えることができる。
図4に示すように、ブラケット100は、上部、特にセンサステー部106よりも上方の部分に、二股に分かれた第1分岐部108及び第2分岐部109を有している。第1分岐部108及び第2分岐部109は、左右に並んで上下方向に延びている。本実施形態では、入力シャフト42及び出力シャフト43の下方にチェンジシャフト33が配置される一方、入力シャフト42及び出力シャフト43の上方に後述するシフトドラム装置35(図6参照)が配置されており、後述するように、変速機ケース18の左壁にはシフトドラム装置36のドラム本体63(図7参照)の左端部を回転可能に支持する非貫通のボス孔66(図7参照)が設けられている。ブラケット100の上部を二股に分けたことで、入力シャフト42及び出力シャフト43の上方にシフトドラム装置35を配置しながら、この配置のための構造とブラケット100とが干渉するのを避けることができる。
前述のとおり、ブラケット100の上部には、2つの締結部101,102が設けられている。一方の締結部101は、第1分岐部108の先端部に設けられており、他方の締結部102は、第2分岐部109の先端部に設けられている。このような構造とすることで、ブラケット100の軽量化を図りながら、ブラケット100の上部を変速機ケース18の左壁に強固に固定することができる。
一方、ケーブル50は、速度センサ47から上方に延びており、前後方向において第1分岐部108と第2分岐部109との間に形成されたスペースに配置されている。このように、ケーブル50は、第1分岐部108と第2分岐部109との間のスペースを有効活用して取り回されており、それによりケーブル50を円滑に上下方向に延びるように配置することができるし、ケーブル50を分岐部108,109によって保護することもできる。
第1分岐部108の先端は、第2分岐部109の先端と上下方向の位置が異なる。本実施形態では、右側の第1分岐部108の先端が、第2分岐部109の先端よりも上方に位置している。高位に配置された分岐部(例えば、第1分岐部108)の締結部101には、ケーブルクランプ51が共締めされている。ケーブルクランプ51は、前後方向に延びており、この締結部101から、他方の分岐部(例えば、第2分岐部109)が配置されている側に向かっている。ケーブル50は、ケーブルクランプ51により保持される。この構造を採用すると、ケーブルクランプ51を変速機ケース18に固定するための部品を削減することができる。また、ケーブルクランプ51は、一方の分岐部(例えば、第1分岐部108)の先端部から他方の分岐部(例えば、第2分岐部109)に向かうように延びるので、一対の分岐部108,109の間を上下方向に延びるケーブル50を良好に保持することができる。更に、ケーブルクランプ51は、高位に配置された分岐部(例えば、第1分岐部108)の先端部に固定されるので、低位に配置された分岐部(例えば、第2分岐部109)と干渉するおそれもない。また、このケーブルクランプ51には、ギヤポジション(特に、N位置)を検出するためのセンサに接続される配線51も共に保持されている。
第1分岐部108の根元部及び第2分岐部109の根元部それぞれに、貫通した第1上側覗き窓110及び第2上側覗き窓111が設けられている。これら覗き窓110,111は、駆動スプロケット19aの外周縁の上部と左右方向に重なるように配置されている。このため、メンテナンス作業者は、チェーンカバー20(図2参照)を取り外した状態において、これら覗き窓110,111を介して駆動スプロケット19a及びチェーン15を視認したりアクセスしたりすることができる。これにより、駆動スプロケット19a及びチェーン15のメンテナンス作業を簡便に行うことができる。なお、第1分岐部108に設けられた第1上側覗き窓110は、張り側ライン15aが駆動スプロケット19aに噛込み始める部分と左右方向に重なっており、第1上側覗き窓110を介して当該部分を視認可能である。
ケーブル50は、前後方向において第1上側覗き窓110及び第2上側覗き窓111の間で上下方向に延び、これら覗き窓110,111とは左右方向に重なっていない。このため、ケーブル50がメンテナンス作業の邪魔にならないし、チェーン15で掻き上げられた泥等の異物が覗き窓110,111を介してケーブル50にかかってケーブル50が汚損するのを抑えることもできる。
ブラケット100の下部は、開口部104から僅かに前方に傾きながら下方に延びた後に屈曲し、下方に傾きながら後方に向かっている。当該屈曲部分の周辺及び当該屈曲部分から下方に傾きながら後方に延びる部分が、前述した支持部107を成している。ブラケット100の下部には、開口部104と支持部107との間に下側覗き窓112が設けられている。下側覗き窓112は、駆動スプロケット19aの外周縁の下部と左右方向に重なるように配置されている。このため、メンテナンス作業者は、チェーンカバー20(図2参照)を取り外した状態において、下側覗き窓112を介して駆動スプロケット19a及びチェーン15を視認したりアクセスしたりすることができる。これにより、駆動スプロケット19a及びチェーン15のメンテナンス作業を簡便に行うことができる。なお、下側覗き窓112は、弛み側ライン15bが駆動スプロケット19aから離れていく部分と左右方向に重なっているので、下側覗き窓112を介して当該部分を視認可能になっている。
このように3つの覗き窓110〜112を利用してメンテナンス作業を簡便に行うことができる。また、このような覗き窓110〜112を設けると、ブラケット100を軽量化することもできる。ただし、非貫通でも軽量化可能であるので、これら3つの覗き窓のうち少なくとも一つが、非貫通の薄肉部に置き換えられてもよい。
図2に示すように、前述したとおり、チェーンカバー20は、ブラケット挿通部20aを有し、当該ブラケット100の下部が、ブラケット挿通部20aから概略下方に延び、支持部107がチェーンカバー20の下方に配置されている。下側覗き窓112の下半部は、ブラケット挿通部20aよりも下方に位置し、チェーンカバー20が取り付けられている状態であっても、左方に露出する。このため、メンテナンス作業者は、チェーンカバー20を取り外したときは勿論、取り付けた状態のままであっても、下側覗き窓112を介して駆動スプロケット19a及び弛み側ライン15bのメンテナンス作業を簡便に行うことができる。
一方、チェーンカバー20は、第1分岐部108及び第2分岐部109(図4参照)の略全体を覆う。このため、その間に配置されたケーブル50及びケーブルクランプ51(図3参照)もチェーンカバー20で覆われる。したがって、ケーブル50をチェーンカバー20によっても保護することができる。
チェーンカバー20は、開口部104の少なくとも一部を露出させるように貫通した第1スリット20bと、第1上側覗き窓110の少なくとも一部を露出させるように貫通した第2スリット20cとを有する。第1スリット20bは、開口部104の下部を露出させるように設けられている。これにより、速度センサ47をチェーンカバー20で保護することと開口部104を露出させることとを両立可能である。第2スリット20cは、第1スリット20bよりも上方に位置し、第1上側覗き窓110の下半部を露出させるように設けられている。このため、メンテナンス作業者は、チェーンカバー20を取り外したときは勿論、取り付けた状態のままでも、第1スリット20b及び開口部104を介しナット49のメンテナンス作業を行うことができる。同様に、第2スリット20c及び第1上側覗き窓110を介して駆動スプロケット19a及び張り側ライン15aのメンテナンス作業を簡便に行うことができる。
(チェンジシャフトの支持構造)
図4に示すように、ブラケット100の支持部107は、チェンジシャフト33の左端部を挿通させて回転可能に支持するジャーナル部113と、ジャーナル部113から下方に傾きながら後方に延びる延在部114と、を有している。ジャーナル部113は、ブラケット100の下部であって前述した屈曲部分に設けられ、下側覗き窓112よりも下方に配置されている。
図5に示すように、チェンジシャフト33は、クランクシャフト41(図2参照)、入力シャフト42及び出力シャフト43と同様、左右方向に延びている。チェンジシャフト33の右端部は、変速機ケース18の右壁に設けられた右ジャーナル部52で回転可能に支持され、且つ、当該右ジャーナル部52から右方に突出している。チェンジシャフト33の左端部は、変速機ケース18の左壁に設けられた左ジャーナル部53で回転可能に支持され、且つ当該左ジャーナル部53から左方に突出している。なお、左右のジャーナル部52,53は、上下方向に概略二分割可能な変速機ケース18の下半部に設けられ、円形断面を有している。
駆動スプロケット19aは変速機ケース18の左壁の外左方に配置されるところ、チェンジシャフト33の左端部は、ブラケット100で覆われる駆動スプロケット19aよりも左方にまで延出する必要がある。このため、チェンジシャフト33の左端部の左壁からの突出量は、右端部の右壁からの突出量よりも大きい。チェンジシャフト33の左端部は、駆動スプロケット19aよりも左方へ延出し、ブラケット100のジャーナル部113に挿通され、ブラケット100の外面(左側面)から更に左方に突出する。ブラケット100のジャーナル部113は、左右両端が開放された円筒状に形成され、円形断面を有する。ジャーナル部113には、円筒状の金属製カラー54が嵌合し、チェンジシャフト33の左端部は、カラー54の内側に回転可能に挿通される。これにより、チェンジシャフト33の左端部が、変速機ケース18の左ジャーナル部53と、ブラケット100のジャーナル部113とによって回転可能に支持される。このようにチェンジシャフト33の左端部は、左右方向に離れた2つのジャーナル部53,113によって支持されるため、左壁からの突出量が大きいにも関わらず回転に伴う捩れや曲げを抑えることができる。したがって、変速操作感を改善することができる。
図4に示すように、チェンジシャフト33の左端部は、ジャーナル部113から左方に突出しており、当該突出部分に変換機構32と機械的に接続されるレバー55が固定されている。変換機構32は、シフトペダル31の操作に応じて略前後方向に移動するリンク部材56を有しており、レバー55は、当該リンク部材56の前端部に滑動自在に連結されている。シフトペダル31が操作されてリンク部材56が動作すると、レバー55がリンク部材56に引っ張られ、チェンジシャフト33が回転する。ブラケット100の支持部107は、チェンジシャフト33に回転力が入力される箇所極近傍でチェンジシャフト33を支持している。そのため、前述のとおり変速操作感の改善が図られるところ、ジャーナル部113には、ラジアル荷重、特にリンク部材56がレバー55を引っ張る方向(すなわち、リンク部材56の動作方向である略前後方向)の荷重が作用する。
本実施形態に係るブラケット100の支持部107は、前述のとおり、ジャーナル部113から下方に傾きながら後方に延びる延在部114を有している。この延在部114の延在方向は、シフトペダル31が操作されたときにブラケット100の支持部107に作用する主要荷重の方向と略一致する。すると、ブラケット100の支持部107は、当該荷重を延在部114の圧縮によって受け止めることができる。このため、チェンジシャフト33の支持剛性が高くなり、変速操作感を良好に改善することができる。
延出部114は、その周辺部分に比べて板厚の小さい肉抜き部115を有し、逆に、ジャーナル部113の直ぐ後方の屈曲部分の板厚は、肉抜き部115の板厚よりも大きい。これにより、ブラケット100を極力軽量にすることができるとともに、チェンジシャフト33の回転に伴い屈曲部分に応力集中が生じてもこれに良好に耐えることができる。
(変速機ケース右側の構成)
図6は、図1に示す変速機ケース18周辺の右側面図である。図6に示すように、一体化されたクランクケース17及び変速機ケース18の右壁からは、側面視で環状の周壁61が右方に突出している。これら一体化されたケース17,18の右壁と周壁61とにより囲まれた領域は、周壁61の右端部に取り付けられるクラッチカバー(図示せず)で覆われ、それにより閉じたクラッチ室62を形成する。図6では、クラッチ室62内の図示のため、クラッチカバーの図示を省略する。クランクシャフト41の右端部及び入力シャフト42の右端部は、一体化されたケース17,18の右壁から右方に突出し、クラッチ室46内に配置される。入力シャフト42の右端部には、前記クラッチ(図示せず)及び前記一次減速機構(図示せず)の従動要素が設けられ、クラッチ及び一次減速機構はクラッチ室62内に配置される。
変速操作機構30は、チェンジシャフト33の回転に応じて変速機14を動作させるため、チェンジレバー34、シフトドラム装置35、シフトフォーク36及びシフトスリーブ37(図5参照)を有している。なお、図7〜9では、説明の便宜のため、チェンジレバー34の図示を省略する。チェンジシャフト33の右端部は、右ジャーナル部52から右方に突出し、クラッチ室62内に配置される。また、変速操作機構30のうちチェンジシャフト33よりも動力伝達方向下流側の要素34〜37を側面視で投影すると、これら要素34〜37も周壁61の内側の領域に配置される。チェンジレバー34は、基端部にてチェンジシャフト33の右端部と係合し、先端部にてシフトドラム装置35の右端部と係合する。
図7は、図3及び図6のVII−VII線に沿って切断して示す変速機ケース18の断面図である。図7に示すように、シフトドラム装置35は、変速機ケース18に回転可能に支持されるドラム本体63と、ドラム本体63の右端部に取り付けられたラチェットプレート64と、ラチェットプレート64の右端面を覆うカバープレート65とを有する。ドラム本体63の左端部は、変速機ケース18の左壁の内面側に設けられた非貫通のボス孔66に回転可能に嵌合される。ドラム本体63の右端部は、変速機ケース18の右壁に設けられたドラムジャーナル部67内に受容されている。ドラムジャーナル部67は断面円形の貫通穴であり、ドラムジャーナル部67には、ドラム本体63の右端部を回転可能に支持するベアリング68が嵌め込まれる。ベアリング68は、円環状の右端面を有し、当該右端面を変速機ケース18の右壁の外面(右側面)と略面一にして配置されている。ドラム本体63の右端部の中心部及びラチェットプレート64の中心部それぞれには、ねじ穴及びねじ挿通穴が設けられ、カバープレート65の右側から挿し通されるボルト93でカバープレート65をドラム本体63に締結すると同時に、ラチェットプレート64がドラム本体63に共締めされる。前述したチェンジレバー34(図6参照)の先端部は、ラチェットプレート64と共にラチェット機構を構成し、チェンジレバー34は、チェンジシャフト33(図6参照)の回転に応じてラチェットプレート64を予め定めた角度範囲だけ回転させる。
図6に示すように、シフトドラム装置34の上方には、ラチェットプレート64の回転を規制するレバー機構75(図7にも図示する)が設けられている。シフトドラム装置34の下方には、前後一対のシフトロッド69,70が設けられている。いずれのシフトロッド69,70も左右方向に延びている。前シフトロッド69は、1つのシフトフォーク(図示せず)を左右方向に摺動可能に支持しており、後シフトロッド70は、2つのシフトフォーク36(図5及び図8参照)を左右方向に摺動可能に支持している。これらシフトフォーク36はいずれも、基端部にてドラム本体63の周面上に形成されたカム溝に嵌合し、先端部にてシフトスリーブに係合している。前側のシフトフォークは、入力シャフト42上のシフトスリーブ(図示せず)に係合し、後側の2つのシフトフォーク36は、出力シャフト43上で左右に並ぶように配置された2つのシフトスリーブ37(図5参照)にそれぞれ係合している。本実施形態に係る変速機14は、前述したとおり、多段式且つシーケンシャル式であり、ドラム本体63が予め定められた角度範囲だけ回転すると、所要のシフトフォークがカム作用で左右方向に移動して所要のシフトスリーブが左右方向に移動し、それにより変速段が1つ隣の段に切り替わる。
図8は、図3及び図6のVIII−VIII線に沿って切断して示す変速機ケース18の断面図である。図8に示すように、前シフトロッド69及び後シフトロッド70は、シフトフォーク36を摺動可能に支持する枢軸部材であり、回転不能でもよい。前シフトロッド69の左端部は、変速機ケース18の左壁に設けられたピン挿通穴71に挿通され、変速機ケース18の左壁から突出して発電機ケース46内に収容されている。前シフトロッド69の右端部は、変速機ケース18の右壁に設けられたピン挿通穴72に挿通されている。前シフトロッド69は、その右端面が右壁の外面(右側面)と略面一となるようにして配置されている。後シフトロッド70の左端部は、変速機ケース18の左壁に形成された円筒状のボス73内に受容されている。後シフトロッド70の左端部は、変速機ケース18の右壁に設けられたピン挿通穴74に挿通され、右壁から右方に突出する。
なお、図5に示すように、後シフトロッド70は、中空シャフトであり、軸線方向に貫通したアキシャル孔76と、変速機ケース18の右壁のジャーナル部74に開口したラジアル穴77とを有する。これらアキシャル孔76及びラジアル穴77は、変速機ケース18の上半部に形成された油路18aと連通し、出力シャフト43上の変速ギヤ44及びシフトスリーブ36に潤滑油を供給するための潤滑油路78を構成する。潤滑油のリークを防ぐため、アキシャル孔76の左端部及び右端部それぞれに、一対のプラグ79a,79bが圧入される。
図9は、図6からチェンジレバー34、ラチェットプレート64及びカバープレート65を取り外した状態でのシフトドラム装置35周辺の右側面図である。つまり、図9は、変速操作機構30の組立て途中の段階(ドラム本体63、ベアリング68及び前後のシフトロッド69,70を取り付けた後であって、チェンジレバー34、ラチェットプレート64及びカバープレート65を取り付ける前の段階)を示す右側面図である。図9に示すように、変速機ケース18の右壁には、ベアリング68(ドラム本体63)及び前後のシフトロッド69,70が左右方向に移動するのを規制するため、これら要素68〜70が変速機ケース18から右方に脱落するのを阻止するため、押えプレート80が結合されている。押えプレート80は、変速機ケース18の右壁の外面(右側面)に当接する。
押えプレート80は、ベアリング68の脱落を阻止するためのドラム押え部81と、前シフトロッド69の脱落を阻止する前ロッド押え部82と、後シフトロッド70の脱落を阻止する後ロッド押え部83とを有している。逆に言えば、3つの要素68〜70それぞれの脱落を阻止する3つの押え部81〜83が、単一の部品である押えプレート80に一体的に設けられている。このため、部品点数を削減しながら、変速操作機構30の左右の位置ズレを抑制して変速操作感を維持することができる。
ベアリング68の右端面は、前述したとおり円環状に形成されているところ、ドラム押え部81は、下に凸の円弧状に形成されている。ドラム押え部81の円弧外径は、ベアリング68の右端面の外径よりも大きく、ドラム押え部81の円弧内径は、ベアリング68の右端面の外径よりも小さい。このため、ドラム押え部81は、ベアリング68の右端面の下部且つ径方向外側部を右側から覆うことができる。これにより、ベアリング68が右方に移動するのを規制し、ベアリング68及びドラム本体63が変速機ケース18から右方に脱落するのを防止することができる。なお、ベアリング68の右端面は、前述したとおり変速機ケース18の右壁の外面(右側面)と略面一とされるので、押えプレート80で良好にベアリング68の移動を規制可能である。
前ロッド押え部82は、ドラム押え部81の前先端部から前方に突出し、前シフトロッド69の右端面の後半部を右側から覆っている。これにより、前シフトロッド69が右方に移動するのを規制し、前シフトロッド69が変速機ケース18から右方に脱落するのを防止することができる。なお、前シフトロッド69の右端面は、前述したとおり変速機ケース18の右壁の外面(右側面)と略面一とされるので、押えプレート80で良好に前シフトロッド69の移動を規制することができる。
後シフトロッド70の右端部は、変速機ケース18の右壁から右方に突出している。このように配置される後シフトロッド70の移動を規制するため、後ロッド押え部83は、ドラム押え部81の後上部を外周側から半円弧状に切り欠くことによって形成される。後シフトロッド70は、右端部の外周面に円周方向に連続する係止溝70aを有している(図8も参照)。係止溝70aの内径は、後ロッド押え部83の曲率半径と略等しい。このため、後ロッド押え部83は、係止溝70a内に食い込み、後シフトロッド70に係止されることができる。
押えプレート80は、ボルト94,95を用いて変速機ケース18の右壁に結合される。本実施形態では、2つのボルト94,95が用いられ、押えプレート80は、一方のボルト94が挿し込まれる第1締結部84と、他方のボルト95が挿し込まれる第2締結部85とを有している。第1締結部84は、ドラム押え部81の外周部から下方に突出し、ボルト94は、ベアリング68から半径方向外側に離れた箇所で、第1締結部84を貫通するようにして左右方向に挿し込まれる。第1締結部84は、円弧状のドラム押え部81の円周方向において、前ロッド押え部82と後ロッド押え部83との中間に配置される。第2締結部85は、ドラム押え部81の後先端部に設けられており、後ロッド押え部83よりも上方に配置されている。ボルト95は、ベアリング68からも後シフトロッド70からも半径方向外側に離れた箇所で、第2締結部85を貫通するようにして左右方向に挿し込まれる。このようにして押えプレート80を変速機ケース18に結合することにより、3つの要素68〜70との干渉を避けながらボルト94,95を変速機ケース18に螺合させることができる。第2締結部85の上端部は、周壁の内周面に近接する。そこで、第2締結部85は、上端部を側面視で直線的に切り落とすことによって形成された直線部86を有している。一方、周壁61の内周面は、シフトドラム装置35が配置されている箇所周辺において、側面視で直線状に延びている。このため、直線部86を周壁61の内周面に沿わせて上下方向且つ前後方向に移動することが可能である。これにより、後ロッド押え部83と係止溝70aとの係止を簡単に行うことができ、押えプレート80の位置を簡単に調整することができる。
これまで本発明の実施形態について説明したが、上記構成は単なる一例に過ぎず、本発明の範囲内で適宜変更可能である。上記実施形態では鞍乗型車両の一例として自動二輪車を例示したが、四輪バギー車及び自動三輪車のように他の形態の鞍乗型車両にも本発明を適用することができる。また、動力源にエンジンを適用した場合を例示したが、動力源には、エンジンに替えて電気モータを適用してもよいし、エンジンに加えて電気モータを適用してもよい。すなわち、エンジンで駆動される車両だけでなく電動車両及びハイブリッド車両にも本発明を適用することができる。