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JP5920972B2 - 配線形成方法およびエッチング液 - Google Patents
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Description

本発明は、銅層と金属酸化物層とを含む配線を形成する配線形成方法およびエッチング液に関する。
電子機器に用いられているタッチパネル式の表示装置等は、表示エリアと、該表示エリアの周囲の額縁エリアとを有する。前記額縁エリアには、タッチ位置を検出する回路に接続するために表示エリアから引き出された複数の配線が形成されている。
前記額縁エリアの配線を形成する方法としては、金属酸化物等からなる電極層の上面に銀ペーストを塗布して配線を形成する方法がある(特許文献1)。
しかし、近年、スマートフォンやタブレット端末等のように小型であって高性能が要求される端末の表示装置に対応するために、配線材料の抵抗値を低くすることが要求されている。そこで、前記銀ペーストよりも低抵抗である銅を配線材料として用いることが検討されている。
銅を配線材料として用いた場合の配線を形成する方法としては、銅配線を形成してから、銅配線間に露出する前記電極層である金属酸化物をエッチングで除去する方法が行われている。
前記電極層は、酸化インジウムスズ(ITO)や、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の金属酸化物を含む層であり、塩酸等を用いてエッチングすることが可能である。
しかし、前記のように銅を配線材料として用いた場合、塩酸で前記金属酸化物をエッチングすると、銅を腐食させるおそれがあり、選択的に前記金属酸化物をエッチングすることが難しい。
前記のような小型の表示装置においては、特に、額縁エリアを狭くすることを要求されており、額縁エリアの配線幅も狭幅化が要求される。かかる幅の狭い配線において、銅層を腐食させずに、狭い部分に露出している前記金属酸化物を選択的にエッチングすることはより困難である。
特開2008−77332号公報
本発明は、前記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、選択的に金属酸化物層をエッチングできる配線形成方法および配線形成用のエッチング液を提供する。
本発明にかかる配線形成方法は、
銅層を含む導体パターンが表面に形成された金属酸化物層の前記導体パターンが積層されていない部分にエッチング液を接触させて、前記部分の金属酸化物層をエッチングするエッチング工程を実施して、前記金属酸化物層と前記銅層とを含む配線を形成する配線形成方法であって、
前記金属酸化物層は、亜鉛、スズ、アルミニウム、インジウム及びガリウムからなる群から選ばれる一種以上の金属の酸化物を含み、
前記エッチング液は、チオカルボニル化合物及びハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液である。
本発明によれば、前記特定のエッチング液を用いるため、前記銅層を含む導体パターンの腐食を抑制しながら、前記導体パターンが積層されていない部分の金属酸化物層を選択的にエッチングすることができる。
尚、本発明における「銅層」は、銅のみからなる層であってもよく、銅とその他の金属とを含む銅合金からなる層であってもよい。
本発明の一態様として、前記金属の酸化物(以下、金属酸化物ともいう)は、結晶質であってもよい。
前記金属酸化物が結晶質である場合は、従来のエッチング液では、金属酸化物よりも銅の方がエッチングされ易いので、特に選択的に金属酸化物層をエッチングすることが困難であった。本発明によれば、前記金属酸化物が結晶質であっても選択的に金属酸化物層をエッチングすることができる。
尚、本発明における「結晶質」とは、電界放出型透過電子顕微鏡(FE−TEM)により表面を画像解析した場合に、前記画像において結晶粒の占める面積が50%を超えることをいう。
本発明の他の態様として、前記エッチング液は、前記チオカルボニル化合物の濃度が、0.05質量%以上50質量%以下であってもよい。
前記チオカルボニル化合物の濃度が前記範囲である場合には、前記金属酸化物の選択エッチング性が向上する。
本発明の他の一態様として、前記エッチング液は、前記ハロゲン化物イオンの濃度が、1質量%以上35質量%以下であってもよい。
前記ハロゲン化物イオンの濃度が前記範囲である場合には、前記金属酸化物のエッチング性が向上する。
本発明の他の一態様として、前記導体パターンが、前記銅層の前記金属酸化物層側とは反対側の面に設けられたキャップメタル層を更に含み、前記キャップメタル層が、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、モリブデン、銀、及びこれらの金属と銅との合金からなる群から選ばれる1種以上の金属を含むものであってもよい。
前記導体パターンが前記キャップメタル層を含む場合、従来のエッチング液を用いた場合には、前記キャップメタル層と前記銅層との間で電位差が生じて腐食を進行させる、いわゆる、ガルバニック腐食によって導体パターンの腐食が進行するため、特に選択的に金属酸化物層をエッチングすることが困難であった。本発明によれば、前記導体パターンが前記キャップメタル層を含んでいても選択的に金属酸化物層をエッチングすることができる。
尚、本発明におけるキャップメタル層の金属は、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、モリブデン、銀、及びこれらの金属と銅との合金からなる群から選ばれる1種以上の金属であって、前記銅層とは異なる材質の金属をいう。
本発明のエッチング液は、前記本発明の配線形成方法において、前記導体パターンが積層されていない部分の金属酸化物層をエッチングするエッチング液であって、チオカルボニル化合物及びハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液である。
本発明によれば、選択的に金属酸化物層をエッチングできる配線形成方法およびエッチング液を提供できる。
(a)実施例で用いるサンプル基材を示す模式断面図、(b)実施例でエッチング処理を行ったサンプル基材を示す模式断面図。 実施例の表面のSEM写真を示す図。
以下に、本発明に係る配線形成方法について説明する。
本実施形態の配線形成方法は、銅層を含む導体パターンが表面に形成された金属酸化物層の前記導体パターンが積層されていない部分にエッチング液を接触させて、前記部分の金属酸化物層をエッチングするエッチング工程を実施して、前記金属酸化物層と前記銅層とを含む配線を形成する配線形成方法であって、前記金属酸化物層は、亜鉛、スズ、アルミニウム、インジウム及びガリウムからなる群から選ばれる一種以上の金属の酸化物を含み、前記エッチング液は、チオカルボニル化合物及びハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液である方法である。
(金属酸化物層)
本実施形態において、前記エッチング工程で除去する金属酸化物層は、亜鉛、スズ、アルミニウム、インジウム及びガリウムからなる群から選ばれる1種以上の金属の酸化物を含む層である。
前記金属酸化物は、単一の金属酸化物であっても複合金属酸化物であってもよい。
例えば、ZnO、SnO2、Al23、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、あるいはZnOに異種金属をドープした複合金属酸化物等が挙げられる。前記ZnOに異種金属をドープした複合金属酸化物としては、アルミニウムをドープしたAZOや、ガリウムをドープしたGZO等が挙げられる。
前記金属酸化物の中でも、亜鉛、スズ及びアルミニウムからなる群から選ばれる1種以上の金属の酸化物がパターン形成性の観点から好ましく、ITO、IZO、AZO及びGZOから選ばれる1種以上の金属酸化物がより好ましい。
前記金属酸化物は、非晶質または結晶質のいずれの金属酸化物であってもよいが、結晶質である場合には、金属酸化物層が形成される基材等との密着性が向上し、導電性及び耐久性も向上するため好ましい。
尚、金属酸化物が結晶質であるかどうかは、例えば、電界放出型透過電子顕微鏡(FE−TEM)によって前記金属酸化物層の表面を観察することで、判別可能である。
前記金属酸化物が結晶質である場合には、例えば、多角形又は長円形状の結晶粒として観察されうる。
本実施形態において、結晶質の金属酸化物とは、前記電界放出型透過電子顕微鏡(FE−TEM)により金属酸化物の表面を観察した場合に、前記結晶粒が占める面積割合が50%を超えるものをいい、前記結晶粒が占める面積割合が70%から100%である金属酸化物が好ましい。
前記金属酸化物層は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)等の樹脂基材や、ガラス基材上に直接、又は、これらの基材上にSiO2等からなるアンダーコート層等を介して設けられていてもよい。
前記金属酸化物層を前記基材上に設ける方法は、例えば、真空蒸着、スパッタリング等公知の方法を採用することができる。
前記金属酸化物層の好ましい厚みは、5〜200nm程度である。
(導体パターン)
本実施形態における導体パターンは、前記金属酸化物層上に備えられた前記銅層と、必要に応じて前記銅層上に備えられたキャップメタル層とを含んでいる。
[銅層]
前記銅層は、前記金属酸化物層の上面に、例えば、真空蒸着、スパッタリング等の公知の方法によって形成することができる。
前記銅層の好ましい厚みは、20〜1000nm程度である。
前記銅層は、純銅からなる層であってもよく、あるいは銅とその他の金属とを含む銅合金からなる層であってもよい。
[キャップメタル層]
本実施形態の銅層上面には、前記銅層の防錆等のために前記キャップメタル層を設けてもよい。
前記キャップメタル層の材質としては、例えば、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、モリブデン、銀、及びこれらの金属と銅との合金等が挙げられる。但し、前記銅層が銅合金からなる場合には、キャップメタル層は、銅層の材質とは相違する銅合金、又は銅以外の金属からなることが好ましい。
中でも、前記銅層の防錆性の観点、及びパターン形成性の観点から、ニッケル、モリブデン、及びこれらの金属と銅との合金から選ばれる1種以上が好ましい。
特に、ニッケル/銅の重量比率が30/70〜70/30のニッケル−銅合金が好ましい。
前記キャップメタル層は、単層からなるものでも、複数層からなるものでもよい。
前記キャップメタル層の厚みは好ましくは5〜200nm程度である。キャップメタル層の形成方法としては、例えば、真空蒸着、スパッタリング等の公知の方法が挙げられる。
前記銅層および必要に応じてキャップメタル層を含む導体パターンは、通常、ライン/スペース=1μm/1μm〜100μm/100μm程度のパターンに形成する。
《導体パターン形成工程》
本実施形態の配線形成方法では、前記エッチング工程を実施する前に、前記導体パターンを形成する導体パターン形成工程を実施してもよい。
導体パターン形成方法としては、例えば、パターン形成前の前記銅層又は前記キャップメタル層上面にドライフィルム等のエッチングレジストを設けてパターニングして、前記エッチングレジストで覆われていない部分に、金属をエッチング可能なエッチング組成物を接触させてエッチングする方法が挙げられる。
前記エッチング組成物としては、前記銅層をエッチング可能な組成物であれば特に限定されないが、例えば、塩化銅を含む酸性水溶液や、塩化鉄を含む酸性水溶液、あるいは従来公知の銅パターン形成用エッチング組成物等が挙げられる。
以下、前記キャップメタル層が設けられた導体パターンを形成する場合について説明する。導体パターンを形成するためには、前記キャップメタル層の金属をエッチング可能なエッチング組成物を用いて、前記キャップメタル層をエッチングし、その後、銅をエッチング可能なエッチング組成物で銅層をエッチングすることで、導体パターンを形成してもよい。
あるいは、銅層とキャップメタル層とを両方同時にエッチング可能な組成物を用いてエッチングしてもよい。
前記キャップメタル層として、ニッケル−銅合金を含むキャップメタル層を設けた場合には、特に、酸化性金属イオン源と、無機酸および有機酸からなる群から選ばれる1種以上の酸と、ヘテロ環のヘテロ原子として窒素原子のみを有するアゾールとを含む水溶液からなるエッチング剤をエッチング組成物として用いることが好ましい。
かかるエッチング剤を用いた場合には、前記銅層とキャップメタル層とを同時にエッチングできるため好ましい。
前記エッチング剤の各成分としては具体的には、以下のような成分であることが好ましい。
前記酸化性金属イオン源としては、例えば、第二銅塩等の第二銅イオン源や、第二鉄塩等の第二鉄イオン源が挙げられる。前記第二銅イオン源の具体例としては、塩化銅、硫酸銅、臭化銅、有機酸の銅塩、水酸化銅等が挙げられる。
また、前記第二鉄イオン源の具体例としては、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、有機酸の鉄塩等が挙げられる。前記酸化性金属イオン源の中では、エッチング速度の安定性の観点から、第二銅イオン源を用いることが好ましい。特に、塩化銅(塩化第二銅)を用いた場合は、エッチング速度が速くなるため好ましい。
前記無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。
前記有機酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸等が挙げられる。
前記酸の中では、エッチング速度の安定性及び銅の溶解安定性の観点から、塩酸を用いることが好ましい。
前記ヘテロ環のヘテロ原子として窒素原子のみを有するアゾールとしては、単環式化合物であってもよく、環が縮合した化合物であってもよい。
特に、イミダゾール系化合物、トリアゾール系化合物、テトラゾール系化合物が好ましく、導体パターンの細りを抑制するという観点から、テトラゾール系化合物がより好ましい。これらのアゾールの2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記イミダゾール系化合物としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、ベンゾイミダゾール、2−メチルベンゾイミダゾール、2−ウンデシルベンゾイミダゾール、2−フェニルベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール類が挙げられる。
中でも、ベンゾイミダゾールを用いることが好ましい。
前記トリアゾール系化合物としては、例えば、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、5−フェニル−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−メチルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール等が挙げられる。
中でも、ベンゾトリアゾールを用いることが好ましい。
前記テトラゾール系化合物としては、例えば1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、5,5'−ビス−1H−テトラゾール等が挙げられる。
中でも、1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾールを用いることが好ましい。
前記酸化性金属イオン源の濃度は、金属イオン濃度で0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。前記酸の濃度は0.5質量%以上15質量%以下であることが好ましい。前記アゾールの濃度は0.1質量%以上1質量%以下であることが好ましい。
例えば、前記エッチング剤として、第二銅イオン源、塩酸、およびテトラゾール系化合物を含むエッチング剤を用いる場合には、第二銅イオン濃度が0.5質量%以上3質量%以下、塩酸濃度が塩化水素濃度で1質量%以上10質量%以下、テトラゾール系化合物濃度が0.2質量%以上0.4質量%以下であることが好ましい。
かかる各成分濃度である場合には、前記銅層とキャップメタル層を同時にエッチングした場合でも、導体パターンの細り等を抑制することができる。
前記エッチング剤の使用方法に特に限定はないが、例えば、前記キャップメタル層のエッチングレジストで被覆されていない部分に前記エッチング剤をスプレーする方法や、前記キャップメタル層および銅層が形成された基板を前記エッチング剤中に浸漬する方法等が挙げられる。
中でも、スプレーによりエッチングする方法が好ましい。
前記エッチング剤を用いてスプレーにより前記導体パターンを形成する場合は、前記エッチング剤の温度を20〜50℃に保ち、0.03〜0.3MPaのスプレー圧で行うのが好ましい。また、スプレーの流量や、前記キャップメタル層表面におけるスプレーの打力等のその他の条件についても適宜設定すればよい。
《エッチング工程》
本実施形態において、前記導体パターンが形成された前記金属酸化物層の前記導体パターンが積層されていない部分にエッチング液を接触させて、前記露出部分の金属酸化物層をエッチングするエッチング工程を実施して、前記金属酸化物層と前記銅層とを含む配線を形成する。
(エッチング液)
前記金属酸化物をエッチングするのに用いられるエッチング液としては、チオカルボニル化合物及びハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液を用いる。
[チオカルボニル化合物]
チオカルボニル化合物には、チオカルボニル基(>C=S)の炭素が鎖状構造で結合している鎖状チオカルボニル化合物と、環状構造で結合している環状チオカルボニル化合物がある。
具体的には、例えば、鎖状チオカルボニル化合物としては、チオ尿素化合物、チウラム化合物、ジチオカルバミン酸化合物、キサントゲン酸化合物、エチルメチルチオケトン、2,4−ペンタンジチオン、チオアセトアミド等が挙げられる。
また、環状チオカルボニル化合物としては、2−チオウラシル、2−チオバルビツール酸、2−チオキサンチン、2−チオクマリン、チオバルビタール、シクロヘキサンチオン、2−チオキソ−4−チアゾリジノン(ローダニン:Rhodanine)等が挙げられる。
本実施形態のエッチング液に使用するのは、鎖状チオカルボニル化合物および環状チオカルボニル化合物のいずれであってもよいが、鎖状チオカルボニル化合物が溶解性の観点から好ましい。さらに、具体的には以下のような化合物が挙げられる。
チオ尿素化合物としては、1−アセチル−2−チオ尿素、1−アリル−3−(2−ヒドロキシエチル)−2−チオ尿素、1−アミジノ−2−チオ尿素、1,3−ジエチルチオ尿素、1,3−ジフェニルチオ尿素、1,3−ジブチルチオ尿素、1,3−ジメチルチオ尿素、チオ尿素、トリブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素、テトラメチルチオ尿素、N−メチルチオ尿素等が挙げられる。
チウラム化合物としては、テトラメチルチウラムジスルフィルド、テトラエチルチウラムジスルフィルド、テトラブチルチウラムジスルフィルド等が挙げられる。
ジチオカルバミン酸化合物としては、2−(N,N'−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバン酸ナトリウム等が挙げられる。
キサントゲン酸化合物としては、ブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸等が挙げられる。
選択的に金属酸化物層をエッチングするという観点から、前記チオカルボニル化合物としてチオ尿素化合物を用いることが好ましい。
さらに、前記チオ尿素化合物の中でも、特に、置換基としてアルキル基を有するアルキルチオ尿素化合物が好ましく、テトラメチルチオ尿素、1,3−ジエチルチオ尿素等のアルキル基の合計炭素数が4以上のアルキルチオ尿素化合物がより好ましい。
アルキル基の合計炭素数が4以上のアルキルチオ尿素化合物を前記エッチング液に使用した場合には、導体パターンを形成する際に設けられたドライフィルム等のエッチングレジストが、エッチング中に剥離することを抑制しうる。
前記チオカルボニル化合物の濃度は、0.05質量%以上50質量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.05質量%以上30質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以上20質量%以下の範囲である。前記濃度が0.05質量%以上であれば、より容易に前記金属酸化物層の選択エッチングが可能となる。また、前記濃度が50質量%以下であれば、前記エッチング液中における前記チオカルボニル化合物の析出を防止できる。
本実施形態のエッチング液が銅の腐食を抑制できるメカニズムは、以下のようなメカニズムであると考えられる。
一般的に、酸性溶液で銅を含む材料をエッチングすることによって、銅がエッチング液中にCu2+の形でわずかでも溶出すると、かかるCu2+は強力な銅の酸化剤として働くため、銅を腐食することになる。
チオカルボニル化合物のチオカルボニル基は、銅に配位して錯体を形成するものである。従って、前記のようにエッチング液を使用した際、特に、連続的にエッチングを行い銅層からCu2+が一定量以上溶出した場合でも、Cu2+にチオカルボニル基が配位することで、Cu2+による酸化作用を抑制する。
このようなメカニズムにより、銅層を腐食することを抑制しつつ、金属酸化物を選択的にエッチングすることができると考えられる。
[ハロゲン化物イオン]
本実施形態のエッチング液に使用するハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられ、金属酸化物のエッチング性、及び取扱い性の観点から、塩化物イオン、臭化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。ハロゲン化物イオンは、例えば、塩酸、臭化水素酸等の酸や、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、臭化カリウム、フッ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等の塩等をハロゲン化物イオン源として配合することにより、エッチング液に含有させることができる。
前記ハロゲン化物イオンの濃度は、1質量%以上35質量%以下が好ましく、さらに好ましくは5質量%以上32質量%以下、特に好ましくは10質量%以上30質量%以下の範囲である。前記濃度が1質量%以上であれば、前記金属酸化物層のエッチング性が向上する。また、前記濃度が35質量%以下であれば、前記エッチング液中におけるハロゲン化物の析出を防止できる。
[酸]
本実施形態のエッチング液は酸性水溶液である。
酸性にするために添加する酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、タウリン等のスルホン酸化合物、塩酸、硫酸、硝酸、ホウフッ化水素酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸を挙げることができる。
酸の好ましい濃度はH+濃度として0.001質量%以上1質量%以下であり、さらに好ましくは0.3質量%以上0.9質量%以下、特に好ましくは0.4質量%以上0.8質量%以下の範囲である。
中でも、塩酸を使用する場合には、酸性に調整すると同時に、前記ハロゲン化物イオン源にもなるため好ましい。
塩酸を使用する場合の好ましい濃度としては、塩化水素濃度として、1質量%以上36質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上33質量%以下、特に好ましくは15質量%以上31質量%以下の範囲である。
本実施形態のエッチング液には、必要に応じて界面活性剤、安定剤等の添加剤を添加してもよい。
尚、本実施形態において使用する前記エッチング液は、使用する温度によって金属酸化物のエッチング性能に影響があるため、使用するエッチング液の温度によって、各成分、特に前記ハロゲン化物イオン濃度を適切な濃度範囲に設定することが好ましい。
例えば、前記ハロゲン化物イオン源として塩酸を使用した場合、エッチング液の温度が25〜45℃の場合では、塩酸濃度を塩化水素濃度で17.5質量%以上28質量%以下の範囲に調整すると、金属酸化物のエッチング性能がより向上するため好ましい。
特に、金属酸化物のエッチング性能の観点から、塩酸濃度は、エッチング液の温度が25℃の場合には塩化水素濃度で28質量%程度、30℃の場合には塩化水素濃度で24.5質量%以上、35〜40℃の場合には塩化水素濃度で21質量%以上、45℃の場合には塩化水素濃度で17.5質量%以上であることが好ましい。
本実施形態において前記エッチング液を用いて前記金属酸化物層をエッチングする方法としては、特に限定はないが、例えば、前記エッチングレジストが形成された導体パターン間に露出する金属酸化物層に、前記エッチング液をスプレーする方法や、前記導体パターンが形成された基板を前記エッチング液中に浸漬する方法等が挙げられる。
前記エッチング液でエッチングする際の処理温度は、金属酸化物のエッチング性能の観点から25〜50℃が好ましい。例えば、スプレーにより前記エッチング工程を実施する場合は、前記エッチング液を0.03〜0.3MPaのスプレー圧でスプレーするのが好ましい。この際のスプレーの流量や、前記金属酸化物表面におけるスプレーの打力等のその他の条件についても適宜設定すればよい。
前記エッチング液を用いてエッチング工程を実施することで、導体パターンの間に露出する金属酸化物をエッチングすることができる。
前記導体パターンは、前記銅層、および必要に応じて前記キャップメタル層を含むが、前記エッチング液は、前記金属酸化物を選択的にエッチングするため、前記導体パターンの銅層の腐食を抑制しつつ、金属酸化物をエッチングすることができる。
前記銅層上に前記キャップメタル層が形成されている場合には、前記キャップメタル層は、前記銅層とは相違する材質からなる層であるため、従来のエッチング液でエッチングすると、ガルバニック腐食によって前記銅層の腐食が進行するおそれがある。
しかし、本実施形態のエッチング液を用いた場合には、異種金属である前記キャップメタル層と前記銅層とが混在していても、銅層の腐食の進行を抑制することができる。
本実施形態の配線の形成方法は、金属酸化物層及び銅層を含む配線の形成方法に適用される限り、用途は特に限定されないが、液晶素子、有機EL素子、タッチパネル、電子ペーパー、光電変換素子等の各種デバイスの配線形成に有用であり、特に、表示装置の額縁エリアの配線形成に好適である。
尚、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は前記説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
次に、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定して解釈されるものではない。
《ITOの選択エッチング性》
(サンプル基材の作製)
厚み100μmのPETフィルム上に、結晶質のITOを含む層(厚み20nm)、銅層(厚み150nm)、ニッケル/銅重量比=70/30のニッケル−銅合金層(厚み20nm)をこの順に形成したサンプル基材を準備した。
前記サンプル基材を用いて以下の手順で導体パターンの形成を行った。
前記基材を10質量%硫酸水溶液に、25℃、1分間浸漬処理し、ニッケル−銅合金層表面の酸化物を除去した。
前記基材のニッケル−銅合金層表面に、ドライフィルム(品番SPG−152、旭化成イーマテリアルズ株式会社製)を用いてライン/スペース=31μm/31μmのドライフィルムレジストパターンを形成した。
前記基材に、塩化水素5.3質量%と塩化第二銅4.0質量%と5−アミノ−1H−テトラゾール0.3質量%を含む水溶液からなるエッチング剤を用いて、液温25℃、スプレー圧0.1MPaにて20秒処理して、ニッケル−銅合金層及び銅層をエッチングし、断面図が図1(a)に示すようなサンプル基材を作製した。
すなわち、PETフィルム1の上面に、ITOからなる金属酸化物層2が形成され、該金属酸化物層2の上面に、ライン(L)/スペース(S)=31μm/31μmの導体パターン6が形成されており、該導体パターン6は、銅層3およびニッケル−銅合金層であるキャップメタル層4を備えてなる。該キャップメタル層4にはドライフィルムレジストパターン5が形成されている。
前記サンプル基材を表1に示すエッチング液で以下の条件で処理した。
尚、各エッチング液は、1質量%塩化第二銅水溶液を用いて第二銅イオン濃度が2ppmになるように調整した。
また、ニッケル−銅合金層を設けなかったこと以外は前記と同様の方法でサンプル基材を作製し、比較例2として下記の処理を行った。
(銅層の幅の保持性の評価)
各サンプル基材を、表1に記載の各エッチング液に40℃で1分間浸漬処理した後、水洗・乾燥させた。このとき、各サンプル基材について、一部サンプリングし、走査型電子顕微鏡(型式JSM−7000F、日本電子社製)による表面観察をしたところ、いずれも導体パターン6の間における露出部分7(図1(a)参照)のITO層は除去されていた。一例として、実施例2のエッチング液でエッチングした際の導体パターン6の間の表面SEM写真を図2に示す。図2に示すように、ITOの結晶粒(多角形状の結晶粒)が見られないことから、ITOが完全に除去されていることが分かる。
次いで、前記基材を、1質量%水酸化ナトリウム水溶液で30℃、2分間浸漬処理してドライフィルムを溶解除去した。
次いで、各基材の一部を10mm×10mmにサンプリングし、埋め込み樹脂に埋め込み、図2(b)に示すような導体パターン6の断面が見えるように研磨加工を行った後、走査型電子顕微鏡(型式JSM−7000F、日本電子社製)による画像計測により、銅層3の幅(w)の最も細い箇所の幅を測定した。
結果を表1に示す。
(レジストパターン密着性の評価)
各サンプル基材を、表1に記載の各エッチング液に40℃で1分間浸漬処理した後、水洗・乾燥させた。乾燥後のレジストパターンを目視で観察し、レジストパターンが導体パターン上面から完全に剥離していたサンプル基材のレジストパターン密着性をCと評価した。
前記レジストパターンが剥離していなかったサンプル基材は、レジストパターンの上にセロハンテープ(商品名セロテープNo.405、ニチバン株式会社製)を指で押して密着させた後、引き剥がした際にレジストパターンがはがれたサンプル基材のレジストパターン密着性をBと評価し、はがれなかったサンプル基材をAと評価した。
結果を表1に示す。
《AZOの選択エッチング性》
厚み2mmのガラス基材上に、結晶質のAZOを含む層(厚み20nm)、銅層(厚み150nm)、モリブデン層(厚み20nm)をこの順に形成したサンプル基材を準備した。
前記サンプル基材を用いて以下の手順で導体パターンの形成を行った。
前記基材を10質量%硫酸水溶液に、25℃、1分間浸漬処理し、モリブデン層表面の酸化物を除去した。
前記基材のモリブデン層表面に、液状レジスト(品番OFPR−800、東京応化工業株式会社製)を用いてライン/スペース=31μm/31μmのレジストパターンを形成した。
前記基材に、塩化水素10.0質量%と塩化第二銅4.0質量%と5−アミノ−1H−テトラゾール0.3質量%を含む水溶液からなるエッチング剤を用いて、液温25℃、スプレー圧0.1MPaにて20秒処理して、モリブデン層及び銅層をエッチングした。
前記サンプル基材を用いて、前記ITOの選択エッチング性評価において表1に記載のエッチング液への浸漬時間を30秒としたこと以外は、同様の手順で処理し、同様に評価した。尚、各エッチング液は、1質量%塩化第二銅水溶液を用いて第二銅イオン濃度が2ppmになるように調整した。また、モリブデン層を設けなかったこと以外は前記AZOの選択エッチング性評価と同様の方法でサンプル基材を作製し、比較例2として同様の評価を行った。結果を表1に示す。尚、各サンプル基材について、一部サンプリングし、走査型電子顕微鏡(型式JSM−7000F、日本電子社製)による表面観察をしたところ、いずれも導体パターンの間において露出しているAZO層は除去されていた。
《GZOの選択エッチング性》
厚み2mmのガラス基材上に、結晶質のGZOを含む層(厚み20nm)、銅層(厚み150nm)、ニッケル/銅重量比=30/70のニッケル−銅合金層(厚み20nm)をこの順に形成したサンプル基材を準備した。
前記サンプル基材を用いて以下の手順で導体パターンの形成を行った。
前記基材を10質量%硫酸水溶液に、25℃、1分間浸漬処理し、ニッケル−銅合金層表面の酸化物を除去した。
前記基材のニッケル−銅合金層表面に、ドライフィルム(品番SPG−152、旭化成イーマテリアルズ株式会社製)を用いてライン/スペース=31μm/31μmのドライフィルムレジストパターンを形成した。
前記基材に、塩化水素5.3質量%と塩化第二銅4.0質量%と5−アミノ−1H−テトラゾール0.3質量%を含む水溶液からなるエッチング剤を用いて、液温25℃、スプレー圧0.1MPaにて20秒処理して、ニッケル−銅合金層及び銅層をエッチングした。
前記サンプル基材を用いて、前記ITOの選択エッチング性評価において表1に記載のエッチング液への浸漬時間を30秒としたこと以外は、同様の手順で処理し、同様に評価した。尚、各エッチング液は、1質量%塩化第二銅水溶液を用いて第二銅イオン濃度が2ppmになるように調整した。また、ニッケル−銅合金層を設けなかったこと以外は前記GZOの選択エッチング性評価と同様の方法でサンプル基材を作製し、比較例2として同様の評価を行った。結果を表1に示す。尚、各サンプル基材について、一部サンプリングし、走査型電子顕微鏡(型式JSM−7000F、日本電子社製)による表面観察をしたところ、いずれも導体パターンの間において露出しているGZO層は除去されていた。
各実施例は各比較例に比べて、表1のエッチング液で処理した後にも、銅層の幅は保持されていた。
また、各実施例は表1のエッチング液で処理した後にもレジストパターンが残っており、中でも、実施例2〜4および7ではレジストパターンの密着性が良好であった。
1:PETフィルム、2:金属酸化物層、3:銅層、4:キャップメタル層、5:ドライフィルムレジストパターン、6:導体パターン、7:露出部分。

Claims (8)

  1. 銅層を含む導体パターンが表面に形成された金属酸化物層の前記導体パターンが積層されていない部分にエッチング液を接触させて、前記部分の金属酸化物層をエッチングするエッチング工程を実施して、前記金属酸化物層と前記銅層とを含む配線を形成する配線形成方法であって、
    前記金属酸化物層は、亜鉛、スズ、アルミニウム、インジウム及びガリウムからなる群から選ばれる一種以上の金属の酸化物を含み、
    前記エッチング液は、チオカルボニル化合物及びハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液である配線形成方法。
  2. 前記金属の酸化物は、結晶質である請求項1に記載の配線形成方法。
  3. 前記エッチング液は、前記チオカルボニル化合物の濃度が、0.05質量%以上50質量%以下である請求項1又は2に記載の配線形成方法。
  4. 前記エッチング液は、前記ハロゲン化物イオンの濃度が、1質量%以上35質量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線形成方法。
  5. 前記導体パターンは、前記銅層の前記金属酸化物層側とは反対側の面に設けられたキャップメタル層を更に含み、
    前記キャップメタル層は、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、モリブデン、銀、及びこれらの金属と銅との合金からなる群から選ばれる1種以上の金属を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線形成方法。
  6. チオカルボニル化合物及びハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液であって、
    亜鉛、スズ、アルミニウム、インジウム及びガリウムからなる群から選ばれる一種以上の金属の酸化物を含む金属酸化物層及び銅層を含む基板をエッチングするエッチング液。
  7. 前記チオカルボニル化合物の濃度が、0.05質量%以上50質量%以下である請求項6に記載のエッチング液。
  8. 前記ハロゲン化物イオンの濃度が1質量%以上35質量%以下である請求項6又は7に記載のエッチング液。
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