JP5937378B2 - ポリエステル樹脂組成物成形体 - Google Patents
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Description
耐トラッキング性の改良を試みた材料としては、例えば、特許文献1には、熱可塑性ポリエステル樹脂、α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるオレフィン系共重合体を含む樹脂組成物が開示されており、必要に応じて、慣用の難燃剤、タルク、カオリン、シリカ等の充填剤、ガラス繊維等の繊維状充填剤を添加してもよいことが記載されており、特許文献2には、ポリブチレンテレフタレート、臭素系難燃剤、アンチモン系難燃助剤、フッ化エチレン系重合体、ポリオレフィン及びケイ酸金属塩系充填剤とガラス繊維からなる樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献3には、熱可塑性ポリエステル樹脂、圧縮微粉タルク、ハロゲン化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤からなる樹脂組成物が開示されており、必要に応じて、繊維状強化剤を添加してもよいことが記載されている。
すなわち、本発明によれば、以下のポリエステル樹脂組成物成形体が提供される。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の相が連続相を形成し、臭素系難燃剤(B)の相とアンチモン化合物(C)の相は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中にそれぞれ独立して分散して存在しているモルフォロジーを有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物成形体。
[2]成形体コア部における臭素系難燃剤(B)分散相の平均径が5μm以下である上記[1]に記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
[3]熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の主成分が、ポリブチレンテレフタレートである上記[1]又は[2]に記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
[4]臭素系難燃剤(B)が、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ、臭素化ポリスチレンからなる群より選ばれ少なくとも1種である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
[5]アンチモン化合物(C)が、三酸化アンチモンである上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
このため、本発明のポリエステル樹脂組成物成形体は、電気電子機器用の絶縁部品として、例えば、電子電気機器部品の筐体、コネクター、リレー、スィッチ、センサー、アクチュエーター、ターミナルスイッチ等に好適に使用することができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物成形体は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、臭素系難燃剤(B)を3〜60質量部、アンチモン化合物(C)を0.5〜20質量部含有するポリエステル樹脂組成物からなる成形体であって、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の相が連続相を形成し、臭素系難燃剤(B)の相とアンチモン化合物(C)の相は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中にそれぞれ独立して分散して存在しているモルフォロジーを有することを特徴とする。
本発明のポリエステル樹脂組成物成形体は、このように臭素系難燃剤(B)の相とアンチモン化合物(C)の相が熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中にそれぞれ独立して分散して存在しているモルフォロジーを形成することで、成形時のヒケの問題が生じにくいものと推察される。
以下に記載する各構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。なお、本願明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用され、「ppm」は「質量ppm」を意味する。
本発明のポリエステル樹脂組成物成形体の主成分である熱可塑性ポリエステル樹脂(A)とは、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物の重縮合、オキシカルボン酸化合物の重縮合あるいはこれらの化合物の重縮合等によって得られるポリエステルであり、ホモポリエステル、コポリエステルの何れであってもよい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1、5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルイソプロピリデン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、アントラセン−2,5−ジカルボン酸、アントラセン−2,6−ジカルボン酸、p−ターフェニレン−4,4’−ジカルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、等が挙げられ、テレフタル酸が好ましく使用できる。
なお、少量であればこれらの芳香族ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を1種以上混合して使用することができる。
また、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールも用いることができる。
本発明において、ポリエステル樹脂組成物は、その主成分がポリブチレンテレフタレートであることが好ましい。
また、イソフタル酸、ダイマー酸、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリアルキレングリコール等が共重合されているものも好ましい。なお、これらの共重合体は、共重合量が、ポリブチレンテレフタレート全セグメント中の1モル%以上、50モル%未満のものをいう。中でも、共重合量が好ましくは2〜50モル%、より好ましくは3〜40モル%、特に好ましくは5〜30モル%である。
本発明において、ポリエステル樹脂組成物が含有する臭素系難燃剤(B)としては、従来公知の任意の、熱可塑性ポリエステル樹脂に使用される臭素系難燃剤を用いることが出来る。この様な臭素系難燃剤としては、具体的には、例えば、テトラブロモビスフェノールAのエポキシオリゴマー等の臭素化エポキシ、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、ペンタブロモポリベンジルアクリレート等の臭素化ベンジルポリ(メタ)アクリレート、N,N’−エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)(EBTPI)等の臭素化イミド、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA、グリシジル臭素化ビスフェノールA等が挙げられる。
このような臭素化エポキシは、従来公知の任意の方法により、合成することができ、例えば、臭素化ビスフェノールA、または必要に応じてビスフェノールAを併用し、これらにエピクロルヒドリンを縮合させて臭素化ビスフェノールAグリシジルエーテルとし、更にそのエポキシ基1当量に対して、臭素化ビスフェノールAをその水酸基が例えば0〜0.96当量になるように混合し、塩基性触媒、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、トリブチルアミン等の存在下で、100〜250℃程度の範囲で加熱反応させることにより得ることができる。
臭素化エポキシの質量平均分子量としては2,000〜60,000が好ましく、4,000〜40,000がより好ましく、6,000〜30,000がさらに好ましい。
また、一方、臭素化スチレンモノマー(例えば、2,4−ジブロモスチレン、2,6−ジブロモスチレン、2,5−ジブロモスチレン、3,5−ジブロモスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン、2,3,5−トリブロモスチレン等)を重合することにより製造することも可能である。
臭素化ポリスチレンは、上記臭素化反応によるもの或いは重合法によるものの何れであってもよいが、芳香環以外への臭素化反応の問題や遊離の臭素(原子又は化合物)の含有量が少なく、またその後の加熱や成形の過程で発生する遊離の臭素(原子又は化合物)が少ないので、重合法による臭素化ポリスチレンの方が好ましい。
特に、上記したポリスチレンの臭素化物の場合は、質量平均分子量(Mw)は50,000〜70,000であることが好ましく、重合法による臭素化ポリスチレンの場合は、質量平均分子量(Mw)は10,000〜30,000程度であることが好ましい。なお、質量平均分子量(Mw)は、GPC測定による標準ポリスチレン換算の値として求めることができる。
不純物である塩素化合物は、クロロベンゼン、塩素化スチレン、塩素化ビスフェノール化合物等であり、例えば、臭素系難燃剤(B)が臭素化ポリカーボネートや臭素化エポキシの場合は塩素化ビスフェノール化合物である。なお、塩素化合物含有量は、270℃で10分間加熱後に発生するガスを、ガスクロマトグラフィー法により分析し、デカン換算の値として定量することができる。
臭素系難燃剤(B)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、3〜60質量部である。含有量が3質量部未満であると充分な難燃効果が得られず、また、60質量部を超えると機械的強度が低下する。臭素系難燃剤(B)の好ましい含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、5〜50質量部であり、より好ましくは10〜40質量部、特に好ましくは15〜30質量部である。
本発明において、ポリエステル樹脂組成物は、難燃助剤であるアンチモン化合物(C)を含有する。
そして、アンチモン化合物(C)は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中に分散して存在しているモルフォロジーを構成し、アンチモン化合物(C)と臭素系難燃剤(B)とは、それぞれ独立して、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中に分散して存在している。
アンチモン化合物(C)としては、アンチモン化合物(Sb2O3)、五酸化アンチモン(Sb2O5)、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。特に、三酸化アンチモンが好ましい。
上記したように、本発明のポリエステル樹脂組成物成形体は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の相が連続相を形成し、臭素系難燃剤(B)の相とアンチモン化合物(C)の相は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中にそれぞれ独立して分散して存在しているモルフォロジーを有する。
本発明のポリエステル樹脂組成物成形体のモルフォロジーの観察は、光学顕微鏡、SEM(走査型電子顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)などにより成形体断面を観察することで測定でき、好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察される。
具体的には、SEM/EDX分析装置を用い、成形体断面のコア部(深さ0.2mm未満の表層部を除く部分で、断面の中心部、樹脂組成物流動方向に垂直な断面。)を、20kVの加速電圧下で、倍率3,000〜10,000倍の反射電子像により観察される。
また、成形体コア部におけるアンチモン化合物(C)の分散平均径は、4μm以下であることが好ましく、より好ましくは3μm以下、特には2μm以下である。
臭素系難燃剤(B)分散相やアンチモン化合物(C)相の粒径は、分散相の50個以上の粒子径を測定し、算術平均して算出される。分散相が円状でない場合は、長径と短径を測定し、平均値をその粒子の粒径とする。
図3において、成形時の樹脂の流れ方向は図3の上から下への方向であり、連続相(マトリックス相)を構成しているのは熱可塑性ポリエステル樹脂(A)であり、その中に存在する薄い白色の島状のものが臭素系難燃剤(B)(図3では臭素化ポリカーボネート)の分散相であり、特に上下の流れ方向に伸びているような傾向は見られず、明るい白色のアンチモン化合物(C)(図3では三酸化アンチモン)も同様であり、配向していることは観察されない。また、図4は同じく表層部の写真(倍率10,000倍、樹脂の流れ方向は図4の左から右への方向)であり、臭素系難燃剤(B)分散相、アンチモン化合物(C)とも流れ方向あるいはその他の方向にも配向していることは観察されない。
このように、本発明の成形体は特異なモルフォロジーを有する。
図5及び図6は、本発明の実施例2で得られた成形体の表層部の反射電子像の写真(それぞれ、倍率5,000倍及び10,000倍)であり、臭素系難燃剤(B)が臭素化エポキシの場合も同様であった。
本発明の成形体は、このようなモルフォロジー構造を有することによって、ヒケがない難燃性の成形体となる。
本発明の樹脂組成物成形体の製造に用いるポリエステル樹脂組成物は、押出機等の溶融混練機を用いた溶融混練法により製造することが好ましいが、ポリエステル樹脂組成物の原料各成分を混合して、単に混錬するだけでは、本発明で規定するモルフォロジー構造を安定して形成することは難しく、特別の方法により混錬することが推奨される。以下に、本発明で規定するモルフォロジー構造を安定して形成するための好ましい製造方法について、説明する。
この際、溶融混練機としては、二軸押出機を用いることが好ましい。中でも、スクリューの長さL(mm)と同スクリューの直径D(mm)の比であるL/Dが、20<(L/D)<100の関係を満足することが好ましく、30<(L/D)<70を満足することがより好ましい。かかる比が20以下では、アンチモン化合物(C)と臭素系難燃剤(B)が微分散しにくく、逆に100を超えても、臭素系難燃剤(B)の熱劣化が著しく、遊離臭素化合物の発生が増大し、微分散されにくくなる傾向があり好ましくない。
ダイノズルの形状も特に限定されないが、ペレット形状の点で、直径1〜10mmの円形ノズルが好ましく、直径2〜7mmの円形ノズルがより好ましい。
1×103<(γ・T)<9.9×105
の関係を満足することにより、アンチモン化合物(C)と臭素系難燃剤(B)とが独立して存在し、電気絶縁性、靱性、難燃性が向上する傾向にあり好ましい。(γ・T)の値を上記範囲とすることにより、本発明で規定するモルフォロジー構造を安定して形成しやすい傾向となる。また、樹脂組成物の各成分の分散不良による成形品表面の肌荒れ現象や、アンチモン化合物(C)、臭素系難燃剤(B)の再凝集による靱性の低下を抑制しやすく、さらに、機械的特性、難燃性及び絶縁特性等を良好に保つことが容易となる。(γ・T)の下限は1×104であることがより好ましく、上限は8.5×105であることがより好ましい。
(γ・T)の値を上記の範囲に調整するためには、上記のせん断速度とストランドの表面温度を調整すればよい。
1)臭素系難燃剤(B)として、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ又は臭素化ポリスチレンを、特には臭素化ポリカーボネート又は臭素化エポキシを使用する。これらのSP値はそれぞれ、23.6、24.4であり、熱可塑性ポリエステル樹脂とSP値が近く相溶性が良いので、分散性が向上し、微分散しやすい。
不純物である塩素化合物は、クロロベンゼン、塩素化スチレン、塩素化ビスフェノール化合物等であり、例えば、臭素系難燃剤(B)が臭素化ポリカーボネートや臭素化エポキシの場合は塩素化ビスフェノール化合物である。このような塩素化合物が上記量以上存在すると、本発明のモルフォロジー構造を安定して形成しにくくなる。なお、塩素化合物含有量は、270℃で10分間の加熱により発生したガスを、ガスクロマトグラフィー法により分析し、デカン換算の値として定量することができる。
遊離の塩素の量は、500ppm以下とすることが好ましく、350ppm以下がより好ましく、200ppm以下がさらに好ましく、150ppm以下が特に好ましい。なお、樹脂組成物中の塩素含有量は、塩素がどの様な状態・形態で樹脂組成物中に存在していたかは限定されない。塩素は、使用する原料、添加剤、触媒、重合雰囲気、樹脂の冷却水等、種々の環境より混入するので、それらの混入量の総計を、500ppm以下と制御することが好ましい。
また、遊離の硫黄の量は、250ppm以下とすることが好ましく、200ppm以下がより好ましく、150ppm以下がさらに好ましく、100ppm以下が特に好ましい。なお、樹脂組成物中の硫黄含有量は、硫黄がどの様な状態・形態で樹脂組成物中に存在していたかは限定されない。硫黄は、使用する原料、添加剤、触媒、重合雰囲気等、種々の環境より混入するので、それらの混入量の総計を、250ppm以下と制御することが好ましい。
これら1)〜4)の方法・条件は、これを単独でも、また複数を組み合わせて適用することも好ましく、また前記した樹脂組成物の製造条件と組み合わせて適用することでもより可能となる。
ポリエステル樹脂組成物は、さらに安定剤を含有することが、熱安定性改良や、機械的強度及び色相の悪化を防止する効果を有するという点で好ましい。安定剤としては、リン系安定剤およびフェノール系安定剤が好ましい。
特にリン系安定剤を含有すると、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と臭素系難燃剤(B)との相互の相溶性を格段に向上させることができ、さらに、意外なことに、厚肉成形体においてもヒケの少ない成形体が得られる。
(R1O)3−nP(=O)OHn
(式中、R1は、アルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を示す。)で表される化合物である。
より好ましくは、R1が炭素原子数8〜30の長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物が挙げられる。炭素原子数8〜30のアルキル基の具体例としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。
これらの中でも、オクタデシルアシッドホスフェートが好ましく、このものはADEKA(株)の商品名「アデカスタブ AX−71」として、市販されている。
R2O−P(OR3)(OR4)
(式中、R2、R3及びR4は、それぞれ水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基であり、R2、R3及びR4のうちの少なくとも1つは炭素数6〜30のアリール基である。)で表される化合物が挙げられる。
R5−P(OR6)(OR7)
(式中、R5、R6及びR7は、それぞれ水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基であり、R5、R6及びR7のうちの少なくとも1つは炭素数6〜30のアリール基である。)で表される化合物が挙げられる。
リン系安定剤としては、前述したように、優れた相溶性を発揮し、ヒケの改善が顕著にみられるオクタデシルアシッドホスフェートが特に好ましい。
ポリエステル樹脂組成物は、臭素系難燃剤(B)以外の他の難燃剤を含有することもできる。他の難燃剤としては、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤等があげられ、リン系難燃剤が好ましい。
ポリエステル樹脂組成物には、無機充填材を含有させてその機械的特性を向上させることができる。無機充填材としては常用のものをいずれも用いることができる。具体的には例えば、ガラス繊維、炭素繊維、鉱物繊維等の繊維状無機充填材が挙げられるが、中でもガラス繊維を用いることが好ましい。本発明においては、無機充填材は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、100質量部以下、中でも20〜80質量部を含有させることが好ましい。
ポリエステル樹脂組成物は、滴下防止剤を含有することも好ましい。滴下防止剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましく、フィブリル形成能を有し、樹脂組成物中に容易に分散し、かつ樹脂同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示すものである。ポリテトラフルオロエチレンの具体例としては、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)より市販されている商品名「テフロン(登録商標)6J」又は「テフロン(登録商標)30J」、ダイキン化学工業(株)より市販されている商品名「ポリフロン」あるいは旭硝子(株)より市販されている商品名「フルオン」等が挙げられる。
滴下防止剤の含有割合は、好ましくは、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.1〜20質量部である。滴下防止剤が0.1質量部未満では難燃性が不十分になりやすく、20質量部を超えると外観が悪くなりやすい。滴下防止剤の含有割合は、より好ましくは、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.3〜5質量部である。
ポリエステル樹脂組成物は、更に、離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、ポリエステル樹脂に通常使用される既知の離型剤が利用可能であるが、中でも、金属膜密着性を阻害しにくいという点で、ポリオレフィン系化合物、脂肪酸エステル系化合物及びシリコーン系化合物から選ばれる1種以上の離型剤が好ましい。
ポリエステル樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、紫外線吸収剤、染顔料、蛍光増白剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂組成物成形体は、その形状、模様、色、寸法等に制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形体の成形方法自体は、特に限定されず、ポリエステル樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられるが、特には射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法等の射出成形による方法が好ましく適用される。
絶縁性部品としては、金属接点、銅版等と組み合わせることにより、リレー、スイッチ、コネクター、ターミナルスイッチ、センサー、アクチュエーター、マイクロスイッチ、マイクロセンサーおよびマイクロアクチュエーター等の有接点電気電子機器部品や電気電子機器の筐体として好ましく用いることができる。
以下の表1に記載の各成分を表2に記載の配合割合(質量部)になるように、噛み合い型同方向2軸スクリュー式押出機(日本製鋼所(株)製「TEX30α」、スクリュー径32mm)、L/D=54.2)に25kg/hrにて供給した。押出機のバレル設定温度をC1〜C15、ダイを250℃、スクリュー回転数を200rpmとし、ノズル数4穴(円形(φ4mm)、長さ1.5cm)、せん断速度(γ)211sec−1の条件下でストランドとして押出した。押出した直後のストランド温度は270℃であった。
押出されたストランドを、温度を30〜50℃の範囲に調整した水槽に導入して冷却した。ストランド表面温度(T)は、赤外線温度計で測定される温度で65℃まで冷却され(γ・T=1.4×104)、ペレタイザーに挿入してカッティングして、樹脂組成物のペレットを製造した。
得られたペレットを、120℃で7時間加熱乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製「ネスタールSG75−SYCAP−M3A」)を用いてシリンダー温度250℃、金型温度60℃、射出圧150MPa、射出保圧時間15sec、冷却時間15sec、射出速度120mm/sec、背圧4MPa、スクリュー回転数80rpmの条件で、モルフォロジー観察用の60mm×60mm×厚さ3mmの平板状の試験片及び難燃性評価用の試験片を射出成形した。また、ヒケ評価用の大きさ60mm×60mm×6mm試験片は、上記乾燥後のペレットを、住友重機械工業社製「SE130DU−HP型」射出成形機を使用して、シリンダー温度260℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒の条件で射出成形して作製した。
以下の表1に記載の各成分を表2に記載の配合割合(質量部)になるように、噛み合い型同方向2軸スクリュー式押出機(日本製鋼所(株)製「TEX44αII」、スクリュー径47mm、L/D=55.2)に300kg/hrにて供給した。押出機のバレル設定温度をC1〜C15、ダイを250℃、スクリュー回転数を230rpmとし、ノズル数10穴(円形(φ4mm)、長さ1.5cm)、せん断速度(γ)1012sec−1の条件下でストランドとして押出した。押出した直後のストランド温度は290℃であった。
押出されたストランドを、温度を30〜50℃の範囲に調整した水槽に導入して冷却した。ストランド表面温度(T)は、赤外線温度計で測定される温度で125℃まで冷却され(γ・T=1.3×105)、ペレタイザーに挿入してカッティングして、樹脂組成物のペレットを製造した。
得られたペレットを、120℃で7時間加熱乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製「ネスタールSG75−SYCAP−M3A」)を用いてシリンダー温度250℃、金型温度80℃、射出圧150MPa、射出保圧時間15sec、冷却時間15sec、射出速度100mm/sec、背圧4MPa、スクリュー回転数100rpmの条件で、モルフォロジー観察用の60mm×60mm×厚さ3mmの平板状の試験片及び難燃性評価用の試験片を射出成形した。また、ヒケ評価用の大きさ60mm×60mm×6mm試験片は、上記乾燥後のペレットを、住友重機械工業社製「SE130DU−HP型」射出成形機を使用して、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒の条件で射出成形して作製した。
SEM/EDX分析装置を用い、得られた試験片断面のコア部(深さ0.2mm未満の表層部以外の部分で、断面の中心部の、樹脂組成物流動方向に垂直な断面)を、20kVの加速電圧下で、倍率3,000〜10,000倍の反射電子像により観察し、臭素系難燃剤(B)とアンチモン化合物(C)がそれぞれ独立して分散相を形成しているかどうかを観察した。また、臭素系難燃剤(B)分散相やアンチモン化合物(C)相の径は、各相の50個の粒子径を測定し、算術平均して算出した。なお、分散相が円状でない場合は、長径と短径を測定し、平均値をその径とした。
また、試験片表面から深さが0.2mmまでの表層部分について、加速電圧20kV、倍率3,000〜10,000倍の反射電子像により、臭素系難燃剤(B)とアンチモン化合物(C)がそれぞれ独立して分散相を形成しているかどうかを観察した。
さらに、前述したように、図3〜6から、表層部においても、臭素系難燃剤(B)相(白色部分)とアンチモン化合物(C)相(さらに白い部分)がそれぞれ独立して分散相を形成していることが確認できた。実施例3、4についても同様であった。
さらに、比較例1の成形体表層部では、図8(倍率:3,000倍)に示すように、臭素系難燃剤(B)分散相(白色部分)が流れ方向に数珠状に伸び、この中にアンチモン相(さらに白い部分)が入り込んで包埋していることも確認できた。
(2)ヒケ:
上記記載の方法で得られた60mm×60mm×6mmの厚肉試験片中のヒケの有無を、目視にて観察した。ヒケが確認されなったものを「○」、ヒケが確認されたものを「×」として評価した。
アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト94(UL94)の方法に準じ、5本の試験片(厚み:0.75mm)を用いて難燃性を試験した。難燃性は、UL94記載の評価方法に従って、V−0、V−1及びV−2に分類した。V−0が最も難燃性が高い。
燃焼イオンクロマトグラフィー法により定量した。三菱化学アナリテック(株)製「AQF−100型」の自動試料燃焼装置を用い、アルゴン雰囲気下、270℃、10分の条件で臭素系難燃剤又はポリエステル樹脂組成物を加熱し、発生した臭素、塩素、硫黄の量を、日本ダイオネクス(株)製「ICS−90」を用いて測定した。
臭素系難燃剤を約0.02g秤量し、サンプル管に入れ、島津製作所社製のTD−20、カラムUA1701を使用し、ヘリウム30ml/minの気流下、270℃で10分間熱処理し、−20℃に冷却したクライオトラップで発生ガス総量を捕集した。
条件としては、カラムUA1701(50℃×2分保持後、260℃まで10℃/10minで昇温後、さらに300℃まで5℃/10minで昇温)を使用し、注入口温度270℃で捕集したガスをGCに導入し、発生ガスのトータルイオンクロマトグラムを測定し、n−デカンを内部標準として検出量を作成し、塩素化合物含有量を定量した。
以上の評価結果を、表2に示す。
Claims (4)
- 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、臭素化ポリカーボネート及び臭素化エポキシから選ばれる少なくとも1種の臭素系難燃剤(B)を3〜60質量部、アンチモン化合物(C)を0.5〜20質量部含有し、ポリエステル樹脂組成物中の臭素系難燃剤(B)由来の臭素原子と、アンチモン化合物(C)由来のアンチモン原子の質量比(Br/Sb)が1.72〜5であるポリエステル樹脂組成物からなる成形体であって、
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の相が連続相を形成し、臭素系難燃剤(B)の相とアンチモン化合物(C)の相は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)連続相中にそれぞれ独立して分散して存在しているモルフォロジーを有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物成形体。 - 成形体コア部における臭素系難燃剤(B)分散相の平均径が5μm以下である請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
- 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の主成分が、ポリブチレンテレフタレートである請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
- アンチモン化合物(C)が、三酸化アンチモンである請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物成形体。
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