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JP5848556B2 - ポリエステル樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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JP5848556B2 - ポリエステル樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステル樹脂組成物及び成形体に関するものであり、さらに詳しくは、難燃性と色調に優れ、耐光変色性、耐熱変色性、耐トラッキング性等の電気特性にも優れ、さらに、耐金属腐食性及び耐金型汚染性にも優れるポリエステル樹脂組成物及びそれを成形してなる成形体に関するものである。
ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートに代表される熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的強度、耐薬品性及び電気絶縁性等に優れており、また優れた耐熱性、成形性、リサイクル性を有していることから、電気電子機器部品、自動車部品その他の電装部品、機械部品等に広く用いられている。
電気電子機器分野では、火災に対する安全を確保するため難燃性が極めて重要であり、また電気的負荷による発火に対する安全性の確保のため、電気的特性の一つである耐トラッキング性に優れていることが必要である。
そして、近年、電気電子機器部品や電装部品は、機器自体の小型化傾向から薄肉小型化されてきており、その結果、絶縁距離が小さくなり、これら部品(成形品)の耐トラッキング性等への要求スペックは、高度化してきている。絶縁材料は、通電中に装置から発生した熱により乾燥し帯電するため、絶縁材料の表面には埃が付着しやすい傾向がある。そのため、その絶縁材料から形成される部品は、装置停止中にその表面に埃が付着しやすく、その埃が空気中の水分を吸収し、吸収された水分により材料の表面抵抗が低下し、漏洩電流が増加する。一般に、電気部品は多かれ少なかれこのような状況にさらされており、絶縁材料の耐トラッキング特性が重要視されている。
電気電子機器部品は、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ社のUL94規格の難燃性や比較トラッキング指数(CTI:Comparative Tracking Index)等の要求事項を満たさねばならず、0.75mm厚みにてV−0以上の難燃性と、CTIがPLC(Performance Lebel Category)2レベル(250V≦CTI<400V)以上を満足することが望ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂を難燃化するには、通常、ハロゲン系難燃剤や無機系難燃剤等が配合されるが、これらは熱可塑性ポリエステル樹脂の耐トラッキング性等の電気特性を低下させる傾向にある。
耐トラッキング性の改良を試みた材料としては、例えば、特許文献1には、熱可塑性ポリエステル樹脂、α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるオレフィン系共重合体を含む樹脂組成物が開示されており、必要に応じて、慣用の難燃剤、タルク、カオリン、シリカ等の充填剤、ガラス繊維等の繊維状充填剤を添加してもよいことが記載されており、特許文献2には、ポリブチレンテレフタレート、臭素系難燃剤、アンチモン系難燃助剤、フッ化エチレン系重合体、ポリオレフィン及びケイ酸金属塩系充填剤とガラス繊維からなる樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献3には、熱可塑性ポリエステル樹脂、圧縮微粉タルク、ハロゲン化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤からなる樹脂組成物が開示されており、必要に応じて、繊維状強化剤を添加してもよいことが記載されている。
しかしながら、これらの樹脂組成物は、いずれも、難燃性、耐トラッキング性、機械的強度の点で必ずしも充分に満足できるものではなかった。
さらに、特許文献4には、熱可塑性ポリエステル樹脂に、圧縮微粉タルク及び臭素化ポリスチレンを配合した樹脂組成物が記載されている。しかしながら、この樹脂組成物は、CTIはPLC2を達成しているものの、金型等への金属腐蝕が生じたり、金属接点、端子を有する電気電子機器部品とした場合は、発生する金属腐食性のガスにより、金属接点や端子が腐食しやすく耐金属腐食性に劣るという問題がある。さらに、耐光変色性、耐熱変色性が悪いという欠点をも有している。
特開平7−196859号公報 特開平10−67925号公報 特開平10−158486号公報 特開2000−109657号公報
本発明の目的は、難燃性と色調に優れ、、耐光変色性、耐熱変色性、耐トラッキング性等の電気特性にも優れ、さらに耐金属腐食性及び耐金型汚染性にも優れるポリエステル樹脂材料を提供することにある。
本発明者は、熱可塑性ポリエステル樹脂に、臭素系難燃剤を特定量含有し、遊離の臭素量が特定量以下であり、樹脂組成物のイエローインデックスが23以下であるポリエステル樹脂組成物が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、以下のポリエステル樹脂組成物およびそれを用いた成形体が提供される。
[1]熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、臭素系難燃剤(B)を3〜60質量部含有する樹脂組成物であって、
臭素系難燃剤(B)が、臭素化スチレンの重合物であり、
樹脂組成物中の遊離の臭素含有量が800質量ppm以下であり、樹脂組成物のイエローインデックス(YI)が23以下であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
[2]樹脂組成物中の塩素含有量が500質量ppm以下であることを特徴とする上記[1]に記載のポリエステル樹脂組成物。
[3]樹脂組成物中の硫黄含有量が250質量ppm以下であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のポリエステル樹脂組成物。
]臭素系難燃剤(B)の質量平均分子量(Mw)が10,000〜70,000であることを特徴とする上記[1]〜[]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
]熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の主成分が、ポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする上記[1]〜[]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
]]上記[1]〜[]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
]成形体が、電気電子機器部品であることを特徴とする上記[]に記載の成形体。
]成形体が、コネクター、リレー、スィッチ及び電気電子機器部品の筐体からなる群より選ばれるものである、上記[]又は[]に記載の成形体。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、難燃性と色調に優れ、さらに、耐光変色性、耐熱変色性、耐トラッキング性等の電気特性及び耐金型汚染性、耐金属腐食性にも優れる。
このため、本発明のポリエステル樹脂組成物は、電気電子機器用の絶縁部品として、例えば、電子電気機器部品の筐体、コネクター、リレー、スィッチ、センサー、アクチュエーター、ターミナルスイッチ等に好適に使用することができる。
[1.発明の概要]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、臭素系難燃剤(B)を3〜60質量部含有する樹脂組成物であって、
臭素系難燃剤(B)が、臭素化スチレンの重合物であり、
樹脂組成物中の遊離の臭素量が800質量ppm以下であり、樹脂組成物のイエローインデックス(YI)が23以下であることを特徴とする。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
以下に記載する各構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。なお、本願明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用され、「ppm」は「質量ppm」を意味する。
[2.熱可塑性ポリエステル樹脂(A)]
本発明のポリエステル樹脂組成物の主成分である熱可塑性ポリエステル樹脂(A)とは、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物の重縮合、オキシカルボン酸化合物の重縮合あるいはこれらの化合物の重縮合等によって得られるポリエステルであり、ホモポリエステル、コポリエステルの何れであってもよい。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体が好ましく使用される。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1、5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2、2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3、3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4、4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4、4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4、4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−4、4’−ジカルボン酸、ジフェニルイソプロピリデン−4、4’−ジカルボン酸、1、2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4’−ジカルボン酸、アントラセン−2、5−ジカルボン酸、アントラセン−2、6−ジカルボン酸、p−ターフェニレン−4、4’−ジカルボン酸、ピリジン−2、5−ジカルボン酸、等が挙げられ、テレフタル酸が好ましく使用できる。
これらの芳香族ジカルボン酸は2種以上を混合して使用しても良い。これらは周知のように、遊離酸以外にジメチルエステル等のエステル形成性誘導体として重縮合反応に用いることができる。
なお、少量であればこれらの芳香族ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を1種以上混合して使用することができる。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を構成するジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、へキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプロパン−1、3−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサン−1、4−ジメタノール等の脂環式ジオール等、およびそれらの混合物等が挙げられる。なお、少量であれば、分子量400〜6,000の長鎖ジオール、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ−1、3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を1種以上共重合せしめてもよい。
また、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールも用いることができる。
また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)としては、通常は主としてジカルボン酸とジオールとの重縮合からなるもの、即ち樹脂全体の50質量%、好ましくは70質量%以上がこの重縮合物からなるものを用いる。ジカルボン酸としては芳香族カルボン酸が好ましく、ジオールとしては脂肪族ジオールが好ましい。
なかでも好ましいのは、酸性分の95モル%以上がテレフタル酸であり、アルコール成分の95質量%以上が脂肪族ジオールであるポリアルキレンテレフタレートである。その代表的なものはポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートである。これらはホモポリエステルに近いもの、即ち樹脂全体の95質量%以上が、テレフタル酸成分及び1.4−ブタンジオール又はエチレングリコール成分からなるものであるのが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、主成分がポリブチレンテレフタレートであることが好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の固有粘度は、0.5〜2dl/gであるのが好ましい。成形性及び機械的特性の点からして、0.6〜1.5dl/gの範囲の固有粘度を有するものが好ましい。固有粘度が0.5dl/gより低いものを用いると、得られる樹脂組成物が機械強度の低いものとなりやすい。また2dl/gより高いものでは、樹脂組成物の流動性が悪くなり成形性が悪化する場合がある。なお、熱可塑性ポリエステル樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定するものとする。
[3.臭素系難燃剤(B)]
本発明のポリエステル樹脂組成物が含有する臭素系難燃剤(B)としては、従来公知の任意の、熱可塑性ポリエステル樹脂に使用される臭素系難燃剤を用いることが出来る。この様な臭素系難燃剤としては、芳香族系化合物が挙げられ、具体的には、例えば、テトラブロモビスフェノールAのエポキシオリゴマー等の臭素化エポキシ化合物、ペンタブロモベンジルポリアクリレート等の臭素化ベンジル(メタ)アクリレート、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレン、N,N’−エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)(EBTPI)等の臭素化イミド化合物、臭素化ポリカーボネート、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA、グリシジル臭素化ビスフェノールA等が挙げられる。これらの中でも熱安定性の良好な点より、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)等の臭素化ベンジル(メタ)アクリレート、臭素化エポキシ化合物、臭素化ポリスチレン、臭素化イミド化合物が好ましく、臭素化ベンジル(メタ)アクリレート、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート及び臭素化イミド化合物がより好ましく、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート及び臭素化イミド化合物がさらに好ましく、特には臭素化ポリスチレンが好ましい。
臭素化ベンジル(メタ)アクリレートとしては、臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートを単独で重合、または2種以上を共重合、もしくは他のビニル系モノマーと共重合させることによって得られる重合体であることが好ましく、該臭素原子は、ベンゼン環に付加しており、付加数はベンゼン環1個あたり1〜5個、中でも4〜5個付加したものであることが好ましい。
該臭素原子を含有するベンジルアクリレートとしては、ペンタブロモベンジルアクリレート、テトラブロモベンジルアクリレート、トリブロモベンジルアクリレート又はそれらの混合物などが挙げられる。また、臭素原子を含有するベンジルメタクリレートとしては、上記したアクリレートに対応するメタクリレートが挙げられる。
臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートと共重合させるために使用される他のビニル系モノマーとしては、具体的には例えば、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレートのようなアクリル酸エステル類、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレートのようなメタクリル酸エステル類、スチレン、アクリロニトリル、フマル酸、マレイン酸のような不飽和カルボン酸又はその無水物、酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙げられる。
これらは通常、臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートに対して等モル量以下、中でも0.5倍モル量以下で用いることが好ましい。
また、ビニル系モノマーとしては、キシレンジアクリレート、キシレンジメタクリレート、テトラブロモキシレンジアクリレート、テトラブロモキシレンジメタクリレート、ブタジエン、イソプレン、ジビニルベンゼン等を使用することもでき、これらは通常、臭素原子を含有するベンジルアクリレートまたはベンジルメタクリレートに対し、0.5倍モル量以下で使用できる。
臭素化ベンジル(メタ)アクリレートとしては、ペンタブロモベンジルポリアクリレートが、高臭素含有量であること、耐トラッキング性が高い点で好ましい。
臭素化ポリスチレンとしては、好ましくは、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を含有する臭素化ポリスチレンが挙げられる。
Figure 0005848556
(式(1)中、tは1〜5の整数であり、nは繰り返し単位の数である。)
なお、前記一般式(1)において、臭素化ベンゼンが結合したCH基はメチル基で置換されていてもよい。また、臭素化ポリスチレンは、他のビニルモノマーが共重合された共重合体であってもよい。この場合のビニルモノマーとしてはスチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、ブタジエンおよび酢酸ビニル等が挙げられる。また、臭素化ポリスチレンは単一物あるいは構造の異なる2種以上の混合物として用いてもよく、単一分子鎖中に臭素数の異なるスチレンモノマー由来の単位を含有していてもよい。
臭素化ポリスチレンの具体例としては、例えば、ポリ(4−ブロモスチレン)、ポリ(2−ブロモスチレン)、ポリ(3−ブロモスチレン)、ポリ(2,4−ジブロモスチレン)、ポリ(2,6−ジブロモスチレン)、ポリ(2,5−ジブロモスチレン)、ポリ(3,5−ジブロモスチレン)、ポリ(2,4,6−トリブロモスチレン)、ポリ(2,4,5−トリブロモスチレン)、ポリ(2,3,5−トリブロモスチレン)、ポリ(4−ブロモ−α−メチルスチレン)、ポリ(2,4−ジブロモ−α−メチルスチレン)、ポリ(2,5−ジブロモ−α−メチルスチレン)、ポリ(2,4,6−トリブロモ−α−メチルスチレン)およびポリ(2,4,5−トリブロモ−α−メチルスチレン)等が挙げられ、ポリ(2,4,6−トリブロモスチレン)、ポリ(2,4,5−トリブロモスチレン)および平均2〜3個の臭素基をベンゼン環中に含有するポリジブロモスチレン、ポリトリブロモスチレンが特に好ましく用いられる。
臭素化ポリスチレンは、通常、ポリスチレンを臭素化することにより製造される。例えば、臭素又は塩化臭素等とポリスチレンを、ルイス塩基酸触媒の存在下、塩化炭化水素溶媒(例えば、塩化メチレン、ジクロロエタン等)中で反応させることで製造される。
また、一方、臭素化スチレンモノマー(例えば、2,4−ジブロモスチレン、2,6−ジブロモスチレン、2,5−ジブロモスチレン、3,5−ジブロモスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン、2,3,5−トリブロモスチレン等)を重合することにより製造することも可能である。
本発明における臭素化ポリスチレンは、上記臭素化反応によるもの或いは重合法によるものの何れであってもよいが、芳香環以外への臭素化反応の問題や遊離の臭素(原子又は化合物)の含有量が少なく、またその後の加熱や成形の過程で発生する遊離の臭素(原子又は化合物)が少ないので、重合法による臭素化ポリスチレンの方が好ましい。
臭素化ポリスチレンは、上記一般式(1)における繰り返し単位の数n(平均重合度)が30〜1,500であることが好ましく、より好ましくは150〜1,000、特に300〜800のものが好適である。平均重合度が30未満ではブルーミングが発生しやすく、一方1,500を超えると、分散不良を生じやすく、機械的性質が低下しやすい。また、臭素化ポリスチレンの質量平均分子量(Mw)としては、10,000〜200,000程度であることが好ましく、より好ましくは10,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜70,000である。
特に、上記したポリスチレンの臭素化物の場合は、質量平均分子量(Mw)は50,000〜70,000であることが好ましく、重合法による臭素化ポリスチレンの場合は、質量平均分子量(Mw)は10,000〜30,000程度であることが好ましい。なお、質量平均分子量(Mw)は、GPC測定による標準ポリスチレン換算の値として求めることができる。
臭素化ポリカーボネートとしては、臭素化ビスフェノールA、特にテトラブロモビスフェノールAから得られる、臭素化ポリカーボネートであることが好ましい。その末端構造は4−t−ブチルフェニル基や2,4,6−トリブロモフェニル基等が挙げられ、特に、末端基構造に2,4,6−トリブロモフェニル基を有するものが好ましい。
また臭素化ポリカーボネートにおける、カーボネート繰り返し単位数の平均は適宜選択して決定すればよいが、通常、2〜30である。カーボネート繰り返し単位数の平均が小さいと、溶融時にポリエステル樹脂の分子量低下を引き起こす場合がある。逆に大きすぎてもポリカーボネートの溶融粘度が高くなり、成形品内の分散不良を引き起こし成形品外観、特に光沢性が低下する場合がある。よってこの繰り返し単位数の平均は、中でも3〜15、特に3〜10であることが好ましい。
上記臭素化ビスフェノールAから得られる臭素化ポリカーボネートは、例えば臭素化ビスフェノールとホスゲンとを反応させる通常の方法で得ることができる。末端封鎖剤としては芳香族モノヒドロキシ化合物が挙げられ、これはハロゲン又は有機基で置換されていてもよい。
臭素化イミド化合物としては、好ましくは、下記一般式(2)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0005848556
(式(2)中、iは1〜4の整数である。)
中でも、上記式(2)におけるiが4である、N,N’−エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)が好ましい。
臭素系難燃剤(B)の質量平均分子量(Mw)は、10,000〜200,000程度であることが好ましく、より好ましくは10,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜70,000である。なお、質量平均分子量(Mw)は、GPC測定による標準ポリスチレン換算の値として求めることができる。
臭素系難燃剤(B)は、臭素濃度が52〜75質量%であることが好ましく、56〜70質量%であることがより好ましく、57〜70質量%であることがさらに好ましい。臭素濃度がこのような範囲とすることにより、難燃性を良好に保つことが容易である。
また、臭素系難燃剤(B)中の遊離臭素の含有量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.45質量%以下であることがより好ましく、0.4質量%以下であることがさらに好ましい。遊離臭素の含有量が0.5質量%を超えると、最終的に得られる樹脂組成物中の遊離臭素量が多くなり、樹脂組成物の処理時や成形時等の高温になる際に脱離し、樹脂組成物の耐熱変色性、色調及び耐光変色性を悪化させたり、成形時に金型等の金属腐食や金型汚染を引き起こす場合がある。また、遊離臭素の含有量を0質量%まで除去することは、経済性を度外視するような精製を必要とするので、含有量の下限は、通常0.001質量%であり、0.005質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%である。
また、臭素系難燃剤(B)中の塩素の含有量は、0.2質量%以下であることが好ましく、0.15質量%以下であることがより好ましく、0.08質量%以下であることがさらに好ましく、0.03質量%以下であることが特に好ましい。臭素系難燃剤(B)中の塩素の含有量が0.2質量%を超えると、最終的に得られる樹脂組成物中の塩素含有量が多くなりすぎ、耐トラッキング性、靭性、耐金属腐食性、耐金型汚染性が悪くなる傾向にある。
さらに、臭素系難燃剤(B)中の硫黄の含有量は、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.02質量%以下であることがさらに好ましい。臭素系難燃剤(B)中の硫黄の含有量が0.1質量%を超えると、最終的に得られる樹脂組成物中の硫黄含有量が多くなりすぎ、耐トラッキング性、耐金属腐食性、耐金型汚染性が悪くなる傾向にある。
なお、臭素系難燃剤(B)中の遊離臭素、塩素、硫黄の含有量は、燃焼イオンクロマトグラフィー法により測定することができる。具体的には、三菱化学アナリテック社製「AQF−100型」の自動試料燃焼装置を用い、アルゴン雰囲気下、270℃、10分の条件で臭素系難燃剤(B)加熱し、発生した臭素、塩素、硫黄の量を、日本ダイオネクス社製「ICS−90」を用いて定量することにより求めることができる。
臭素系難燃剤(B)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、3〜60質量部である。配合量が3質量部未満であると充分な難燃効果が得られず、また、60質量部を超えると機械的強度が低下する。臭素系難燃剤(B)の好ましい含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、5〜50質量部であり、より好ましくは10〜40質量部、特に好ましくは15〜30質量部である。
[4.樹脂組成物中の遊離の臭素の含有量]
本発明においては、ポリエステル樹脂組成物中の遊離臭素の含有量が800質量ppm以下である必要がある。遊離の臭素は、臭素系難燃剤(B)又はその製造用原材料に由来すると考えられるが、本発明において規定する遊離臭素は、どの様な状態・形態で樹脂組成物中に存在していたかは限定されない。
臭素系難燃剤(B)が含有する遊離の臭素が、樹脂組成物の処理時や成形時等の高温になる際に脱離すると考えられ、樹脂組成物中の遊離の臭素の含有量が800質量ppmを超えると、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)に悪影響を与え、樹脂組成物の耐熱変色性、色調及び耐光変色性を悪化させ、耐金属腐食性及び耐金型汚染性の低下を引き起こすためである。
該含有量の好ましい上限は、700質量ppm、より好ましくは650質量ppmであり、さらに好ましくは600質量ppmであり、特に好ましくは480質量ppmである。また、含有量を0質量ppmまでに除去することは、経済性を度外視するような精製を必要とするので、その下限量は、通常1質量ppmであり、好ましくは5質量ppmであり、より好ましくは10質量ppmである。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、樹脂組成物中の塩素の含有量が500質量ppm以下であることが好ましい。樹脂組成物中の塩素の含有量が500質量ppmを上回ると、、耐トラッキング性、靭性、耐金属腐食性、耐金型汚染性が悪くなる傾向にある。含有量の好ましい上限は、350質量ppm、より好ましくは200質量ppm、さらに好ましくは150質量ppm、特に好ましくは100質量ppmである。
なお、樹脂組成物中の塩素含有量は、塩素がどの様な状態・形態で樹脂組成物中に存在していたかは限定されない。塩素は、使用する原料、添加剤、触媒、重合雰囲気、樹脂の冷却水等、種々の環境より混入するので、それらの混入量の総計を、500質量ppm以下と制御することが好ましい。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物は、樹脂組成物中の硫黄の含有量が250質量ppm以下であることが好ましい。樹脂組成物中の硫黄の含有量が250質量ppmを上回ると、耐トラッキング性、耐金属腐食性及び耐金型汚染性が悪くなる傾向にある。含有量の好ましい上限は200質量ppmであり、より好ましくは150質量ppm、さらに好ましくは100ppm、特に好ましくは50質量ppmである。
なお、樹脂組成物中の硫黄含有量は、硫黄がどの様な状態・形態で樹脂組成物中に存在していたかは限定されない。硫黄は、使用する原料、添加剤、触媒、重合雰囲気等、種々の環境より混入するので、それらの混入量の総計を、250質量ppm以下と制御することが好ましい。
なお、ポリエステル樹脂組成物中の遊離臭素、塩素、硫黄の含有量は、燃焼イオンクロマトグラフィー法により測定することができる。具体的には、三菱化学アナリテック社製「AQF−100型」の自動試料燃焼装置を用い、アルゴン雰囲気下、270℃、10分の条件で樹脂組成物を加熱し、発生した臭素、塩素、硫黄の量を、日本ダイオネクス社製「ICS−90」を用いて定量することにより求めることができる。
[5.樹脂組成物のイエローインデックス(YI)]
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、厚み3mmにおけるイエローインデックス(YI)が23以下であるが必要である。YIが23を超えると、得られる成形品の色調が悪く、耐光変色性、耐金属腐食性が低下する。YIは、好ましくは18以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは13以下、特に好ましくは10以下である。
[6.安定剤(C)]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、さらに安定剤(C)を含有することが、熱安定性改良や、機械的強度、透明性及び色相の悪化を防止する効果を有するという点で好ましい。安定剤としては、リン系安定剤およびフェノール系安定剤が好ましい。
特にリン系安定剤を含有すると、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と臭素系難燃剤(B)との相互の相溶性を格段に向上させることができ、さらに、意外なことに、薄肉成形体においても優れた伸び性を発現することができる。
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物又は有機ホスホナイト化合物が好ましい。
有機ホスフェート化合物としては、好ましくは、下記一般式:
(RO)3−nP(=O)OH ・・・(2)
(式(2)中、Rは、アルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を示す。)
で表される化合物である。より好ましくは、Rが炭素原子数8〜30の長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物が挙げられる。炭素原子数8〜30のアルキル基の具体例としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。
長鎖アルキルアシッドホスフェートとしては、例えば、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
これらの中でも、オクタデシルアシッドホスフェートが好ましく、このものはADEKA社の商品名「アデカスタブ AX−71」として、市販されている。
有機ホスファイト化合物としては、好ましくは、好ましくは、下記一般式:
O−P(OR)(OR) ・・・(3)
(式(3)中、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素数6〜30のアリール基である。)
で表される化合物が挙げられる。
有機ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
有機ホスホナイト化合物としては、好ましくは、下記一般式:
−P(OR)(OR) ・・・(4)
(式(4)中、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素数6〜30のアリール基である。)
で表される化合物が挙げられる。
有機ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。
リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
リン系安定剤としては、前述したように、優れた相溶性を発揮し、伸びや薄肉靭性を飛躍的に向上させるオクタデシルアシッドホスフェートが特に好ましい。
フェノール系安定剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−ネオペンチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等が挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリト−ルテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
安定剤(C)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜1質量部である。安定剤(C)の含有量が0.001質量部未満であると、樹脂組成物の熱安定性や相溶性の改良が期待しにくく、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、1質量部を超えると、過剰量となりシルバーの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。リン系安定剤(C)の含有量は、より好ましくは0.001〜0.7質量部であり、更に好ましくは、0.005〜0.5質量部である。
[7.その他の難燃剤(D)及び難燃助剤(E)]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、臭素系難燃剤(B)以外の他の難燃剤(D)を含有することもできる。
リン系難燃剤としては、例えば、エチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛等の、(ジ)ホスフィン酸金属塩、ポリリン酸メラミンに代表されるメラミンとリン酸との反応生成物、リン酸エステル、ホスファゼン等が挙げられ、中でも、ジエチルホスフィン酸金属塩、ポリリン酸メラミン、環状フェノキシホスファゼン、鎖状フェノキシホスファゼン、架橋フェノキシホスファゼン等のホスファゼンが熱安定性に優れる点から好ましい。
さらに本発明のポリエステル樹脂組成物は、難燃助剤(E)を含有することが好ましい。難燃助剤(E)としては、例えば、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、アンチモン化合物、硼酸亜鉛等が挙げられ、2種以上併用してもよい。これらの中でも、難燃性がより優れる点からアンチモン化合物、硼酸亜鉛が好ましい。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン(Sb)、五酸化アンチモン(Sb)、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。特に、臭素系難燃剤(B)との相乗効果から、三酸化アンチモンを併用することが好ましい。
アンチモン化合物を併用する場合は、ポリエステル樹脂組成物中の臭素系難燃剤由来の臭素原子と、アンチモン化合物由来のアンチモン原子の質量濃度が、両者の合計で5〜16質量%であることが好ましく、6〜15質量%であることがより好ましい。5質量%未満であると難燃性が低下する傾向があり、16質量%を超えると機械的強度や耐トラッキング特性が低下する場合がある。また、臭素原子とアンチモン原子の質量比(Br/Sb)は、0.3〜5であることが好ましく、0.3〜4であることがより好ましい。
難燃助剤(E)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは0.7〜18質量部、さらに好ましくは1〜15質量部である。
また、本発明においては、特に、難燃助剤(E)として、上述したアンチモン化合物と硼酸亜鉛を併用してもよい。硼酸亜鉛は、アンチモン化合物と同様に難燃性を向上させる他、さらに比較トラッキング指数(CTI)を向上させ、絶縁性を改善するという効果を有する。
硼酸亜鉛を使用する場合の含有量は、臭素系難燃剤(B)に対し、硼酸亜鉛を0.3〜1(質量比)の割合で用いるのが好ましく、0.4〜0.8の割合で用いるのがさらに好ましい。
[8.無機充填材(F)]
本発明のポリエステル樹脂組成物には、無機充填材(F)を含有させてその機械的特性を向上させることができる。無機充填材(F)としては常用のものをいずれも用いることができる。具体的には例えば、ガラス繊維、炭素繊維、鉱物繊維等の繊維状無機充填材が挙げられるが、中でもガラス繊維を用いることが好ましい。本発明においては、無機充填材(F)は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、100質量部以下、中でも20〜80質量部を含有させることが好ましい。
[9.滴下防止剤(G)]
本発明のポリエステル樹脂組成物には、滴下防止剤(G)を含有させることも好ましい。滴下防止剤(G)としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましく、フィブリル形成能を有し、樹脂組成物中に容易に分散し、かつ樹脂同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示すものである。ポリテトラフルオロエチレンの具体例としては、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)より市販されている商品名「テフロン(登録商標)6J」又は「テフロン(登録商標)30J」、ダイキン化学工業(株)より市販されている商品名「ポリフロン」あるいは旭硝子(株)より市販されている商品名「フルオン」等が挙げられる。
滴下防止剤(G)の含有割合は、好ましくは、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.1〜20質量部である。滴下防止剤(G)が0.1質量部未満では難燃性が不十分になりやすく、20質量部を超えると外観が悪くなりやすい。滴下防止剤(G)の含有割合は、より好ましくは、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.3〜5質量部である。
[10.離型剤(H)]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、更に、離型剤(H)を含有することが好ましい。離型剤(H)としては、ポリエステル樹脂に通常使用される既知の離型剤が利用可能であるが、中でも、金属膜密着性を阻害しにくいという点で、ポリオレフィン系化合物、脂肪酸エステル系化合物及びシリコーン系化合物から選ばれる1種以上の離型剤が好ましい。
ポリオレフィン系化合物としては、パラフィンワックス及びポリエチレンワックスから選ばれる化合物が挙げられ、中でも、質量平均分子量が、700〜10,000、更には900〜8,000のものが好ましい。
脂肪酸エステル系化合物としては、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類等の脂肪酸エステル類やその部分鹸化物等が挙げられ、中でも、炭素数11〜28、好ましくは炭素数17〜21の脂肪酸で構成されるモノ又はジ脂肪酸エステルが好ましい。具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンジベヘネート、グリセリン−12−ヒドロキシモノステアレート、ソルビタンモノベヘネート等が挙げられる。
また、シリコーン系化合物としては、ポリエステル樹脂との相溶性等の点から、変性されている化合物が好ましい。変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖に有機基を導入したシリコーンオイル、ポリシロキサンの両末端及び/又は片末端に有機基を導入したシリコーンオイル等が挙げられる。導入される有機基としては、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基等が挙げられ、好ましくはエポキシ基が挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖にエポキシ基を導入したシリコーンオイルが特に好ましい。
離型剤(H)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、0.05〜2質量部であることが好ましい。0.05質量部未満であると、溶融成形時の離型不良により表面性が低下する傾向があり、一方、2質量部を超えると、樹脂組成物の練り込み作業性が低下し、また成形品表面に曇りが見られる場合がある。離型剤(H)の含有量は、好ましくは0.07〜1.5質量部、更に好ましくは0.1〜1.0質量部である。
[11.その他含有成分]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、紫外線吸収剤、染顔料、蛍光増白剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が挙げられる。
また、本発明におけるポリエステル樹脂組成物には、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂を、本発明の効果を損わない範囲で含有することができる。その他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えばポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンサルファイドエチレン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
[12.樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、樹脂組成物調製の常法に従って行うことができる。通常は各成分及び所望により添加される種々の添加剤を一緒にしてよく混合し、次いで一軸又は二軸押出機で溶融混練する。また各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フイーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、本発明の樹脂組成物を調製することもできる。さらには、ポリエステル樹脂の一部に他の成分の一部を配合したものを溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りのポリエステル樹脂や他の成分を配合して溶融混練してもよい。
なお、無機充填材としてガラス繊維等の繊維状のものを用いる場合には、押出機のシリンダー途中のサイドフイーダーから供給することも好ましい。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常220〜300℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、不透明化の原因になる場合がある。それ故、剪断発熱等に考慮したスクリュー構成の選定が望ましい。混練り時や、後行程の成形時の分解を抑制する為、酸化防止剤や熱安定剤の使用が望ましい。
[13.成形体]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して成形体として用いる。この成形体の形状、模様、色、寸法等に制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形体の製造方法は、特に限定されず、ポリエステル樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、電気特性に優れ、難燃性、機械的特性及び流動性に優れるポリエステル樹脂材料であるので、薄肉あるいは複雑な形状を必要とする用途にも広く採用することができ、電気機器、電子機器あるいはそれ等の絶縁性部品として特に好適である。
絶縁性部品としては、金属接点、銅版等と組み合わせることにより、リレー、スイッチ、コネクター、ターミナルスイッチ、センサー、アクチュエーター、マイクロスイッチ、マイクロセンサーおよびマイクロアクチュエーター等の有接点電気電子機器部品や電気電子機器の筐体として好ましく用いることができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
なお、以下の説明において[部]とは、特に断りのない限り、質量基準に基づく「質量部」を表す。
以下の実施例および比較例において、使用した成分は、以下の表1の通りである。
Figure 0005848556
(実施例1〜、比較例1〜10
以下の表2に記載の各成分を表2及び3に記載の配合割合(質量部)になるように配合し、2軸押出機(スクリュー径35mm)を用いて、バレル設定温度250℃、回転数200rpmで押出して、樹脂組成物のペレットを製造した。得られたペレットの特性は、射出成形機(住友重機械工業社製、ネスタールSG75−SYCAP−M3A)を用いてシリンダー温度255℃で射出成形した試験片について、評価した。評価結果を表2に示す。なお、成形に際して、樹脂組成物はその直前まで120℃にて6〜8時間乾燥した。
<評価方法>
各評価方法は、以下のとおりである。
(1)臭素系難燃剤及び樹脂組成物中の遊離臭素、塩素、硫黄含有量:
燃焼イオンクロマトグラフィー法により定量した。三菱化学アナリテック社製「AQF−100型」の自動試料燃焼装置を用い、アルゴン雰囲気下、270℃、10分の条件で臭素系難燃剤又はポリエステル樹脂組成物を加熱し、発生した臭素、塩素、硫黄の量を、日本ダイオネクス社製「ICS−90」を用いて測定した。
(2)イエローインデックス(YI):
日本電色工業社製の分光式色彩計SE−2000型を用い、60×60×厚さ3mmの試験片を使用してイエローインデックス(YI)を測定した。YI値が大きいほど着色していることを示す。
(3)難燃性(UL94):
アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト94(UL94)の方法に準じ、5本の試験片(厚み;0.75mm)を用いて難燃性を試験した。難燃性は、UL94記載の評価方法に従って、V−0、V−1、V−2に分類した。V−0が最も難燃性が高い。
(4)絶縁特性:(適用規格:UL746A 23項、耐トラッキング性試験方法はASTM D3638に準拠)
厚さ3.0mm、50φの円板の試験片を用い、試験法UL946A 23項で規定されている耐トラッキング性試験方法はASTM D3638に準拠して測定した。装置のノズルから電解液(塩化アンモニウム0.1%水溶液、23℃で抵抗率385Ω・cm)を30秒間隔で滴下させ、両白金電極間に600V以下(25Vステップ)の電圧を印加し、トラッキングが発生するまでの電解液滴下数を測定し、5回の平均値が50滴未満となる電圧を求めた。なお、数値が高いほど耐トラッキング性が良好であることを意味する。
PLC(Performance Lebel Category)の判定基準は、PLC2が、250V≦CTI<400V、PLC3が、175V≦CTI<250Vである。
(5)耐光変色性:
大きさ10×10cmで、厚みが3mmの平板試験片から大きさ5×5cm、厚み3mmの試験片を切り出し、キセノンアークウエザー試験機(波長340nm、照射エネルギー1200kJ/m)にて、ブラックパネル温度63℃、雨なしの条件で200時間の照射を行った。その試験片の試験前後の色差を下記の方法にて測定した。
分光測色色差計(コニカミノルタ社製「CM−3600d」)を使用し、耐光性試験前と試験後の色差(ΔE)を次式で評価した。
ΔE=((ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔEが小さいほど変色性が小さく、耐光変色性に優れているといえる。
(6)耐熱変色性:
大きさ10×10cmで、厚みが3mmの平板試験片から大きさ5×5cm、厚み3mmの試験片を切り出し、150℃の熱風オーブンで300時間処理を行った。その試験片の試験前後の色差を、上記(5)と同様の方法で測定した。
ΔEが小さいほど変色性が小さく、耐熱変色性に優れているといえる。
(7)耐金属腐食性:
上記(3)難燃性評価用試験片の上に1cm角の銀板(ニラコ社製)を置き、150℃の熱風オーブン中に静置した。200時間及び400時間後に試験片と銀板を取り出し、銀板の腐食状態を目視観察した。腐食がないものを「○」、腐食があり変色や光沢変化等があれば「×」と表記した。なお、「×」の評価結果のものに対しては、腐食部から検出される成分をSEM−EDX測定により同定した。
(8)耐金型汚染性:
上記(3)燃焼性試験用試験片をを連続100ショット射出成形し、100ショット後の金型表面の汚れを観察した。射出成形は、射出成形機(日本製鋼所社製「J75ED」)を使用し、シリンダー温度240〜270℃、金型温度80℃、射出速度10mm/秒、成形サイクル35秒の条件で行った。そして、汚れがないものを◎、汚れが僅かにあるが通常の連続成形に問題ないものを○、汚れがあるものを△、汚れが激しく連続成形不可能なものを×と表記した。
以上の評価結果を、以下の表2及び表3に示す。
Figure 0005848556
Figure 0005848556
表2及び表3より以下のことが明白となる。即ち、本発明のポリエステル樹脂組成物は、難燃性、絶縁性、色調、耐光変色性、耐熱変色性、耐金属腐食性及び耐金型汚染性の全てに優れていることがわかる。これに対し、比較例の樹脂組成物は、上記特性のいずれかが悪く、本発明の効果を全て満足するものではないことが分かる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、難燃性と色調に優れ、さらに、耐光変色性、耐熱変色性、耐トラッキング性等の電気特性にも優れ、かつ、耐金属腐食性及び耐金型汚染性にも優れる。したがって本発明のポリエステル樹脂組成物は、電気電子機器部品等における薄肉成形部品に特に好適に適用できる。また自動車部品や建材部品等にも好適に適用できるので、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (7)

  1. ポリブチレンテレフタレートを主成分とする熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、臭素系難燃剤(B)を3〜60質量部含有する樹脂組成物であって、
    臭素系難燃剤(B)が、臭素化スチレンの重合物であり、
    樹脂組成物中の遊離の臭素含有量が480質量ppm以下であり、樹脂組成物のイエローインデックス(YI)が23以下であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 樹脂組成物中の塩素含有量が500質量ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 樹脂組成物中の硫黄含有量が250質量ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 臭素系難燃剤(B)の質量平均分子量(Mw)が10,000〜70,000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
  6. 成形体が、電気電子機器部品であることを特徴とする請求項に記載の成形体。
  7. 成形体が、コネクター、リレー、スィッチ及び電気電子機器部品の筐体からなる群より選ばれるものである、請求項又はに記載の成形体。
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