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JP6101426B2 - ハイポイド歯車装置 - Google Patents
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この発明は、歯の剛性を高めたギヤおよび高剛性ギヤを備えたディファレンシャル装置に関するものである。
ディファレンシャル装置は、自動車の左右の駆動輪に差動を与えて曲がりやすくなるためのものであり、典型的には、入力軸に接続されたドライブピニオンと、このドライブピニオンに噛み合うように配置されたリングギヤとで構成されるハイポイド歯車装置を備える。ハイポイド歯車は、例えば、特開2003−300423号公報(特許文献1)、特開平8−74967号公報(特許文献2)、特開平9−229167号公報(特許文献3)等に開示されている。
ハイポイド歯車装置を含むディファレンシャル装置の一例を図1に示す。この図を参照して、従来のハイポイド歯車装置を含むディファレンシャル装置の構造を説明する。ディファレンシャル装置は、入力軸(プロペラシャフト)に接続されたドライブピニオン1と、ドライブピニオン1に噛み合うように配置されたリングギヤ2と、リングギヤ2の背面にボルト3等を介して固定されたデフケース4と、デフケース4に保持されたピニオンシャフト5と、ピニオンシャフト5に回転自在に保持された一対のデフピニオン6と、一対のデフピニオン6に噛み合うように配置され、左右の出力軸に接続された一対のサイドギヤ7とを備える。ドライブピニオン1とリングギヤ2とによってハイポイド歯車装置が構成される。
デフケース4は、転がり軸受8,9を介してデフキャリア10に回転可能に支持されている。ピニオンシャフト5、一対のデフピニオン6および一対のサイドギヤ7は、デフケース4内に収容される。図2はドライブピニオン1を示し、図3はリングギヤ2を示す。
入力軸からの駆動力は、ドライブピニオン1、リングギヤ2、デフケース4、ピニオンシャフト5、デフピニオン6、サイドギヤ7、出力軸へと順に伝わる。自動車の直進状態では、一対のデフピニオン6は自転せずに公転運動だけを行うので、一対のサイドギヤ7は同方向に同速度で回転する。自動車の進行方向を変更する際には、左右のサイドギヤ7に回転差が生じ、一対のデフピニオン6が自転運動を行うので、回転差を吸収してコーナリングをスムーズに行うことができる。
近年、自動車に対する燃費向上および低価格化のニーズが高まってきている。このニーズに応えるために、車輪駆動機構であるディファレンシャル装置に対して、軽量化および高効率化の要請が高い。ディファレンシャル装置の主要な構成要素はギヤなので、ギヤを小型にして軽量化を図れば、ディファレンシャル装置の小型・軽量化を実現できる。
ギヤの歯は、典型的には、歯切りカッターを備えた歯切り盤によって形成される。特開2005−238408号公報(特許文献4)は、歯切りカッターで被加工物にギヤ歯を加工する装置および方法を開示している。図4は、この公報に示された加工法を示す図である。
図4に示すように、被加工物20の第1番目のギヤ歯21aを形成するための加工溝22aは、歯切りカッター23の凸状歯面加工用ブレード24a1と凹状歯面加工用ブレード24b1とを組み合わせた第1番目の異種ブレード対24a1b1によって切削加工される。続いて、第2番目のギヤ歯21bを形成するための加工溝22bは、次に配置された凸状歯面加工用ブレード24a2と凹状歯面加工用ブレード24b2とを組み合わせた第2番目の異種ブレード対24a2b2によって切削加工される。そして、次の第3番目のギヤ歯21cを形成するための加工溝22cは、その次に配置された第3番目の異種ブレード対24a3b3によって切削加工される。このように、各異種ブレード対によって各ギヤ歯21が切削加工されることにより、最終的に被加工物は所望の歯車(フェースホブハイポイドギヤ)となる。
図5は、加工後のピニオン1を示している。図5に示すように、歯切りカッター23のブレード24の軌跡はピニオンの大径側端部Aから小径側端部Bを通過するので、歯溝は隣接する歯の間を大径側端部から小径側端部まで貫通している。
特開2003−300423号公報 特開平8−74967号公報 特開平9−229167号公報 特開2005−238408号公報
ディファレンシャル装置の小型・軽量化を目指してギヤのサイズを小さくした場合、高負荷時に歯車間の噛み合わせ部分の反力によってギヤの歯が回転方向または逆方向に撓んで歯当たり不良が発生し、局所的に応力が集中して歯の破損に至ることがある。図6を参照してこの現象を説明する。
図6は、ドライブピニオン1の歯1aとリングギヤ2の歯2aとの噛み合わせ部分を模式的に示している。(a)はドライブピニオン1が加速方向(正転方向)に回転している様子を示し、(b)ドライブピニオン1が減速方向(逆転方向)に回転している様子を示している。
ギヤのサイズを単純に小さくした従来のドライブピニオン1の場合、歯1aの剛性が劣るようになるので、加速時に高負荷でリングギヤ2の歯2aに噛み合うと、図6(a)に示すように、噛み合い部分の反力により歯1aの歯先が逆転方向に倒れ込み歯1aが撓み変形し、歯元干渉や、歯当たりが片当たりとなるため、歯面の一部に負担が集中し、破損に至ることがある。
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、歯の剛性を高めて撓み変形を抑制することのできるギヤを備えたハイポイド歯車装置を提供することである。
[課題を解決するための手段]
この発明に従ったハイポイド歯車装置は自動車のディファレンシャル装置に動力を伝えるためのものであって、入力軸に接続され、まがりばかさ歯車の形態のドライブピニオンと、ディファレンシャル装置のデフケースに固定され、ドライブピニオンに噛み合うように配置されたまがりばかさ歯車の形態のリングギヤとを備える。ドライブピニオンは、隣接する歯の長さ方向の少なくとも一方端部分を連結するように円周方向に延びる円周リブを備えたことを特徴としている。
隣接する歯の端部間を連結する円周リブの存在により、高負荷で歯車間が噛み合う場合でも歯の撓み変形を抑制することができる。
上記の円周リブは、隣接する歯の長さ方向の一方の端部にのみ設けてもよいし、両方の端部に設けてもよい。
一つの実施形態では、ディファレンシャル装置のデフケースに固定されたリングギヤに噛み合うピニオンに円周リブを設けている。他の実施形態では、リングギヤにも円周リブを設けている。
円周リブを備えたピニオンまたはリングギヤは小型・軽量化しても高剛性であるので、ディファレンシャル装置全体を小型・軽量化することができる。
一つの実施形態では、ピニオンが円周リブを備え、リングギヤが円周リブを備えていない。他の実施形態では、ピニオンは、その両端部分のうち小径側端部にのみ円周リブを備え、リングギヤは、その両端部分のうち外径側端部にのみ円周リブを備える。
以上のように、この発明によれば、円周リブの存在によって歯の撓み変形を抑制することのできる高剛性のドライブピニオンを得ることができる。また、このような高剛性ドライブピニオンを主要な構成要素として備えたハイポイド歯車装置によれば、小型・軽量化を進めることができる。従来と同サイズのものであれば、剛性が飛躍的に増大するのでより伝達効率の優れたハイポイド歯車装置とすることができる。
従来のディファレンシャル装置の断面図である。 ドライブピニオンの斜視図である。 リングギヤの斜視図である。 歯切りカッターで被加工物にギヤ歯を形成する加工法を示す図である。 歯切りカッターで加工されたのちの従来のドライブピニオンの斜視図である。 従来技術の問題点を説明するための図であり、ドライブピニオンの歯とリングギヤの歯とが噛み合っている部分を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係るドライブピニオンの斜視図である。 本発明の他の実施形態に係るリングギヤの斜視図である。 ハイポイド歯車装置として、円周リブ付きドライブピニオンと円周リブ無しリングギヤとの組み合わせを示す図である。 ハイポイド歯車装置として、円周リブ無しドライブピニオンと円周リブ付きリングギヤとの組み合わせを示す図である。 円周リブ無し平歯車と円周リブ付き平歯車とが噛み合っている状態を示す斜視図である。
典型的な実施形態として、自動車のディファレンシャル装置のハイポイド歯車に適用した例を説明する。
図7は、ハイポイド歯車装置の主要構成要素であるまがりばかさ歯車の形態のドライブピニオン30を示している。ドライブピニオン30は、軸部31と切頭円錐台形状の頭部32とを備えている。頭部32には、多数の歯33と、歯33の長さ方向の両端部において円周方向に延びている円周リブ34,35とが形成されている。一方の円周リブ34は、小径側端部に位置し、隣接する歯33の一方端部分を連結し、他方の円周リブ35は、大径側端部に位置し、隣接する歯33の他方端部分を連結している。
図示した実施形態では、一方の円周リブ34と歯33の一方端部分とは同じ高さであり、他方の円周リブ35と歯33の他方端部分とは同じ高さである。また、円周リブ34,35の外周面は、凹凸のない滑らかな面となっている。他の実施形態として、円周リブ34,35の高さを、歯33の端部高さよりも若干低くなるようにしてもよいし、凹凸のある外周面を持つようにしてもよい。
円周リブ34,35を備えたドライブピニオンの加工法として、従来の歯切りカッターによる加工に代えて、他の方法を採用する。たとえば、エンドミル加工、マシニングセンターによる加工、焼結加工等を採用できる。
図7に示した実施形態では、円周リブが歯の一方端部および他方端部の両方に設けられているが、他の実施形態として、いずれか一方の端部にのみ円周リブを設けるようにしてもよい。隣接する歯の端部間を連結する円周リブの存在により、歯の撓み変形は抑制されるので高剛性のドライブピニオンとすることができる。
図8は、ハイポイド歯車装置の主要構成要素であるまがりばかさ歯車の形態のリングギヤ40を示している。リングギヤ40は、放射状に延びる多数の歯41と、歯の内径側端部において円周状に延びる内側円周リブ42と、歯の外径側端部において円周状に延びる外側円周リブ43とを備える。内側円周リブ42は、隣接する歯41の内径側端部を連結し、各歯41の撓み変形を抑制する。外側円周リブ43は、隣接する歯の41の外径側端部を連結し、各歯41の撓み変形を抑制する。
図示した実施形態では、内側円周リブ42と歯41の内径側端部とは同じ高さであり、外側円周リブ43と歯41の外径側端部とは同じ高さであり、円周リブ42,43の表面は、凹凸のない滑らかな面となっている。他の実施形態として、円周リブ42,43の高さを、歯41の端部高さよりも若干低くなるようにしてもよいし、凹凸のある表面を持つようにしてもよい。円周リブ42,43を備えたリングギヤ40の加工法として、例えば、エンドミル加工、マシニングセンターによる加工、焼結加工等を採用できる。
図8に示した実施形態では、円周リブが歯41の内径側端部および外径側端部の両方に設けられているが、他の実施形態として、いずれか一方の端部にのみ設けるようにしてもよい。
本発明が適用されるべきディファレンシャル装置は、入力軸に接続されたドライブピニオンと、ドライブピニオンに噛み合うように配置されたリングギヤとで構成されるハイポイド歯車装置を備えるものであり、特徴とするところは、ドライブピニオンおよびリングギヤのうちの少なくともいずれか一方のギヤが、隣接する歯の長さ方向の少なくともいずれか一方の端部分を連結するように円周方向に延びる円周リブを備えた点にある。
図9は、歯の長さ方向の両端部に円周リブを備えたドライブピニオン50と、円周リブを備えていないリングギヤ60との組み合わせによって、ハイポイド歯車装置を構成した例を示している。図10は、円周リブを備えていないドライブピニオン70と、歯の内径側端部および外径側端部の両方に円周リブを備えたリングギヤ80との組み合わせによって、ハイポイド歯車装置を構成した例を示している。
図示していないが、他の例として、歯の両端部分のうち小径側端部にのみ円周リブを備えたドライブピニオンと、歯の両端部分のうち外径側端部にのみ円周リブを備えたリングギヤとの組み合わせによって、ハイポイド歯車装置を構成するようにしてもよい。ドライブピニオンの小径側端部における歯の厚みは大径側端部よりも小さいので、より撓みやすい小径側端部の歯の撓みを抑制するために小径側端部にのみ円周リブを設けることに意義がある。
ハイポイド歯車装置の場合、オフセット量をゼロにすれば、歯の噛み合い部分における滑りが無くなるので伝達効率が高まる。一方、オフセット量をゼロにすれば、ギヤの強度を高める必要がある。ギヤの強度を高める場合には、オフセット量を大きくする必要がある。オフセット量が大きくなれば、歯の噛み合い部分における滑りが大きくなり、伝達効率が劣るようになる。本発明の円周リブを備えたギヤを備えたハイポイド歯車装置であれば、ギヤを小型・軽量化しても歯の撓み変形を抑制して高剛性化を実現できるので、オフセット量をゼロにして伝達効率を高め、ひいては車両の燃費を向上させることができる。また、高剛性化に伴って噛み合い誤差を低減できるので、ノイズの減少も図れる。さらに、円周リブが存在しているので、ギヤの熱処理歪みも低減できる。
本発明の実施形態では、歯の撓み変形を抑制するための円周リブを設けるギヤの種類としては、ハイポイド歯車装置のドライブピニオンやリングギヤに限定した。本発明の範囲外であるが、円周リブを他の種類の歯車にも適用可能である。図11は、円周リブを平歯車に適用した例を示している。図11は、大径歯車90と小径歯車100とが噛み合っている状態を示している。小径歯車100は円周リブを備えていないが、大径歯車90は、歯91の長さ方向両端に隣接する歯を連結するように円周方向に延びる円周リブ92,93を備えている。円周リブ92,93の存在により、大径歯車90の各歯91の撓み変形が抑制される。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
本発明は、小型・軽量化に適した高剛性ギヤとして、また小型・軽量化に適したディファレンシャル装置として有利に利用され得る。
1 ドライブピニオン、1a 歯、2 リングギヤ、2a 歯、3 ボルト、4 デフケース、5 ピニオンシャフト、6 デフピニオン、7 サイドギヤ、8,9 転がり軸受、10 デフキャリア、20 被加工物、21a、21b、21c ギヤ歯、22a、22b、22c 加工溝、23 歯切りカッター、24a1、24a2、24a3 凸状歯面加工用ブレード、24b1、24b2、24b3 凹状歯面加工用ブレード、30 ドライブピニオン、31 軸部、32 頭部、33 歯、34、35 円周リブ、40 リングギヤ、41 歯、42、43 円周リブ、50 ドライブピニオン、60 リングギヤ、70 ドライブピニオン、80 リングギヤ、90 大径平歯車、91 歯、92、93 円周リブ、100 小径平歯車。

Claims (3)

  1. 自動車のディファレンシャル装置に動力を伝えるためのハイポイド歯車装置であって、
    入力軸に接続され、まがりばかさ歯車の形態のドライブピニオンと、
    前記ディファレンシャル装置のデフケースに固定され、前記ドライブピニオンに噛み合うように配置されたまがりばかさ歯車の形態のリングギヤとを備え、
    前記ドライブピニオンは、隣接する歯の長さ方向の一方端部分を連結するように円周方向に延びる第1円周リブと、隣接する歯の長さ方向の他方端部分を連結するように円周方向に延びる第2円周リブとを備えている、ハイポイド歯車装置。
  2. 自動車のディファレンシャル装置に動力を伝えるためのハイポイド歯車装置であって、
    入力軸に接続され、まがりばかさ歯車の形態のドライブピニオンと、
    前記ディファレンシャル装置のデフケースに固定され、前記ドライブピニオンに噛み合うように配置されたまがりばかさ歯車の形態のリングギヤとを備え、
    前記ドライブピニオンは、その両端部分のうち小径側端部においてのみ、隣接する歯の長さ方向の一方端部分を連結するように円周方向に延びる円周リブを備えている、ハイポイド歯車装置。
  3. 前記リングギヤは、円周方向に延びる円周リブを備えていない、請求項1または2に記載のハイポイド歯車装置。
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