JP6436562B2 - 抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物および抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートならびに製造方法 - Google Patents
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Description
そこで上記のような状況に鑑み、本発明は抗ウイルス性に優れるとともに、成形加工による変色、特に初期着色性が改善された抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物および抗ウイルス性シートを提供することを目的とする。
さらに具体的には、10〜49重量部のペースト用塩化ビニル系樹脂と、90〜51重量部のサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを混合してなるポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、スルホン酸系界面活性剤0.5〜10.0重量部とを含有することを特徴とする抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物とすることである。
また、ポリ塩化ビニル系樹脂は、スルホン酸系界面活性剤が添加されているペースト用塩化ビニル系樹脂とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを混合してなる抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物であってもよい。
そして、前記スルホン酸系界面活性剤が前記ペースト用塩化ビニル系樹脂の製造段階で添加された抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製組成物とすることが好ましい。
また、これらの抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製組成物を成形して得られた抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートとすることができる。
さらに、ペースト用塩化ビニル系樹脂10〜49重量部とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂90〜51重量部とを混合する工程と、前記ペースト用塩化ビニル系樹脂と前記サスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを含むポリ塩化ビニル系樹脂を溶融賦形する工程を備え、前記ペースト用塩化ビニル系樹脂がスルホン酸系界面活性剤を含有し、前記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に前記スルホン酸系界面活性剤0.5〜10.0重量部が添加されている抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法を用いることができる。
また、ペースト用塩化ビニル系樹脂10〜49重量部とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂90〜51重量部とを混合する工程と、前記ペースト用塩化ビニル系樹脂と前記サスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを含むポリ塩化ビニル系樹脂を溶融賦形する工程を備え、前記ペースト用塩化ビニル系樹脂がスルホン酸系界面活性剤を含有し、前記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に前記スルホン酸系界面活性剤0.5〜10.0重量部が添加されている抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートの製造方法を用いることができる。
本発明の実施形態としては、10〜90重量部のペースト用塩化ビニル系樹脂と、90〜10重量部のサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを混合してなるポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、スルホン酸系界面活性剤0.5〜10.0重量部とを含有することを特徴とする抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物である。
このように、ペースト用塩化ビニル系樹脂の製造段階は、重合を行う重合工程と重合後の後工程を有している。
すなわち、スルホン酸系界面活性剤が微分散されることで、より効率よく抗ウイルス性を発揮することができる。そして、それによって成形加工時の初期着色を強くさせるスルホン酸系界面活性剤の添加量を低く抑えることができ、その結果さらに、成形加工時の変色を低減できるものと推定している。
したがって、ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂を用いる場合に、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂とブレンドし固体状の樹脂組成物とすることで、上記のような溶融賦形法において抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製組成物を容易に成形加工することができる。
本発明で用いるスルホン酸系界面活性剤において、スルホン酸基は例えばインフルエンザウイルスのノイライミダーゼとの親和性が高く、阻害作用を現すことができる。また官能基の構造はノイライミダーゼへの接近に関して影響を示し、嵩高くなく立体障害を受け難い構造が肝要となる。その点において、アルキルベンゼンスルホン酸系界面活性剤は好適であり、特にドデシルベンゼンスルホン酸系界面活性剤が好ましい。
さらに、上記のスルホン酸系界面活性剤としては、スルホン酸塩系界面活性剤が好ましく、具体的にはナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩を好適に用いることができる。特にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)が好ましい。
また、複数のスルホン酸系界面活性剤を抗ウイルス性が阻害されない限りにおいて添加してもよく、その他の種類の界面活性剤を加えることも制限されない。
0.5〜7.0重量部が好ましく、1.5〜7.0重量部がより好ましく、1.5〜4.2重量部がさらに好ましい。0.5重量部未満では抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートにした場合の抗ウイルス性に乏しく、10.0重量部を超える場合、加工が困難となる。
例えば、DOP(ジ‐2‐エチルヘキシルフタレート)、DINP(ジイソノニルフタレート)、DIDP(ジイソデシルフタレート)などのフタル酸エステル系可塑剤や、DOA(ジ‐2‐エチルヘキシルアジペート)、DIDA(ジイソデシルアジペート)などのアジピン酸エステル系可塑剤、DOS(ジ‐2‐エチルヘキシルセバケート)などのセバシン酸エステル系可塑剤、DOZ(ジ‐2‐エチルヘキシルアゼレート)などのアゼライン酸エステル系可塑剤といった脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシレニル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリス(イソプロピル化フェニル)、リン酸トリス(ジクロロプロピル)等などのリン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、スルホン酸エステル系可塑剤などが挙げられる。塩化ビニル系樹脂との相溶性が良い可塑剤としてフタル酸エステル系可塑剤や分子量の高いポリエステル系可塑剤などが挙げられる。可塑剤は単独で用いても複数の種類を複合して用いてもよい。
アクリル系高分子加工助剤を添加することで、ロール成形やカレンダー成形時のバンク内の回転流動や脱気が良好となり、プレートアウトが抑制されることから外観の良好なシートが得られる。
また多層構造である場合、積層される層には特に制限はない。例えば、抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物から成る層には、ポリ塩化ビニル系樹脂層や他の熱可塑性樹脂層、各種樹脂発泡層、印刷層や着色層などの意匠層、織布や不織布などの基材層などを、使用する用途や要求される物性に応じて積層することができる。
塩化ビニル系樹脂A−1:サスペンジョン塩化ビニル系樹脂 平均重合度 1000
塩化ビニル系樹脂A−2:サスペンジョン塩化ビニル系樹脂 平均重合度 700
塩化ビニル系樹脂B−1:ペースト用塩化ビニル系樹脂 平均重合度 850
(ドデシルベンゼンスルホン酸Na含有量5.0重量%)
塩化ビニル系樹脂B−2:ペースト用塩化ビニル系樹脂 平均重合度 850
(ドデシルベンゼンスルホン酸Na含有量7.5重量%)
塩化ビニル系樹脂B−3:ペースト用塩化ビニル系樹脂 平均重合度 850
(ドデシルベンゼンスルホン酸Naを含有しない)
可塑剤C−1:ジ‐2‐エチルヘキシルフタレート
安定剤D−1:金属石鹸
添加剤E−1:ドデシルベンゼンスルホン酸Na
表1、3に示した実施例および比較例の配合物を150℃に設定したバッチ式ミキサーで3分混練した。その後、190℃に設定した二本ロールにて、厚さ50μmのシート状に成形し、塩化ビニル系樹脂製シートを作製した。各塩化ビニル系樹脂製シートについて抗ウイルス性、及び加工性の評価を行った。
表2、4に示した実施例および比較例の配合物を150℃に設定したバッチ式ミキサーで3分混練した。その後、180℃に設定した二本ロールにて厚さ200μmのシート状に成形し、塩化ビニル系樹脂製シートを作製した。塩化ビニル系樹脂製シートについて抗ウイルス性、及び加工性の評価を行った。
被検ウイルスとして、鳥インフルエンザウイルスA/whistling swan/Shimane/499/83(H5N3)株を使用した。(以下、H5N3株という)。
発育鶏卵の漿尿膜腔内で増殖させたウイルスを滅菌リン酸緩衝食塩液(PBS;pH7.2)で1.0×106EID50/0.1mLになるように希釈して試験用ウイルス液を調製した。
またブランクとして試験前(塩化ビニル系樹脂製シートに接触させる前)の試験用ウイルス液のウイルス力価(log10EID50/0.1ml )も上記手順で算出し、塩化ビニル系樹脂製シートの抗ウイルス性は試験前のウイルス液のウイルス力価から塩化ビニル系樹脂製シートに接触させて1時間後のウイルス液のウイルス力価を引いた差で評価した。この差が大きいほど塩化ビニル系樹脂製シートの抗ウイルス性が強いことを示す。
○:ウイルス力価(試験前)とウイルス力価(1時間後)の差が3以上4未満
△:ウイルス力価(試験前)とウイルス力価(1時間後)の差が2以上3未満
×:ウイルス力価(試験前)とウイルス力価(1時間後)の差が2未満
二本ロールにて塩化ビニル系樹脂製シートを成形した時のロール加工性について評価した。
◎:良好
○:問題なく加工できる
△:やや低下するが加工は可能
×:加工不可能
二本ロールにて塩化ビニル系樹脂製シートを成形した時のロール面へのプレートアウトについて評価した。
◎:プレートアウトなし
○:わずかにプレートアウトある
△:プレートアウトがある
×:ロール全面にプレートアウトがある。
二本ロールにて成形した塩化ビニル系樹脂製シートの初期着色性は黄色度によって評価した。
スガ試験機社製 「SMカラーコンピューター」を用い、JIS K 7373(2006 年)に準拠し塩化ビニル系樹脂製シートの黄色度を求めた。そしてサスペンジョン塩化ビニル系樹脂:ペースト用塩化ビニル系樹脂=100:0、かつドデシルベンゼンスルホン酸Naを含まない基準サンプルの黄色度を基準として、塩化ビニル系樹脂製シートの黄色度との差を以下の評価基準で評価した。
黄色度差=(塩化ビニル系樹脂製シートの黄色度)−(基準サンプルの黄色度)
◎:黄色度差が +1.0未満
○:黄色度差が +1.0以上+2.0未満
△:黄色度差が +2.0以上+3.0未満
×:黄色度差が +3.0以上
二本ロールにて成形した際のシート化、プレートアウト、初期着色性の評価を総合して加工性を評価した。
◎:良好
○:問題なく加工できる
△:やや悪いが加工は可能
×:加工不可能
表1に示す如く、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂とドデシルベンゼンスルホン酸Naを5.0重量%含有したペースト用塩化ビニル系樹脂を混合した配合物を上記<成形条件1>の方法で成形して、スルホン酸系界面活性剤含有量を0.5〜4.2重量部とした内装用の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートを作成し、抗ウイルス性、および加工性の評価を行った。
サスペンジョン塩化ビニル系樹脂とドデシルベンゼンスルホン酸Naを含有しないペースト用塩化ビニル系樹脂を混合し、さらにドデシルベンゼンスルホン酸Naを添加してスルホン酸系界面活性剤含有量を2.0重量部とした配合物を、上記<成形条件1>の方法で成形して内装用の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートを作製し、評価を行った。
なお、表1の実施例は可塑剤を添加しない、硬質の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートである。
表2に示す如く、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂とドデシルベンゼンスルホン酸Naを5.0重量%含有したペースト用塩化ビニル系樹脂を混合した配合物を、上記<成形条件2>の方法で成形して、スルホン酸系界面活性剤含有量を1.0〜4.2重量部とした内装用の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートを作製し、評価を行った。
表2に示す如く、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂とドデシルベンゼンスルホン酸Naを7.5重量%含有したペースト用塩化ビニル系樹脂を混合した配合物を、上記<成形条件2>の方法で成形して、スルホン酸系界面活性剤含有量を1.0〜2.1重量部とした内装用の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートを作製し、評価を行った。
なお、表2の実施例は可塑剤を添加した、軟質の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートである。
表3に示す如く、上記<成形条件1>の方法でスルホン酸系界面活性剤含有量を0〜0.25、および5.0〜5.3重量部とした内装用の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートを作成し、抗ウイルス性、および加工性の評価を行った。
なお、表3の比較例は可塑剤を添加しない、硬質の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートである。
表4に示す如く、上記<成形条件2>の方法で、スルホン酸系界面活性剤含有量を0〜0.25、および5.0〜5.3重量部とした内装用の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートを作製し、評価を行った。
なお、表4の比較例は可塑剤を添加した、軟質の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートである。
また、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部において、ペースト用塩化ビニル系樹脂が90重量部を超え、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂が10重量部未満となるとシート化できなくなる(比較例3)。
また、硬質の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートと同様に、ペースト用塩化ビニル系樹脂が90重量部を超え、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂が10重量部未満となるとシート化できなくなる(比較例7)。
また、パンデミック発生時の備えとして、備蓄用の防護衣、防護服、さらに、発熱外来用、感染症用、または飛沫感染用のテント等の内装シートとして使用することができる。
Claims (6)
- 10〜49重量部のペースト用塩化ビニル系樹脂と、90〜51重量部のサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを混合してなるポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、スルホン酸系界面活性剤0.5〜10.0重量部とを含有することを特徴とする抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物。
- 前記ポリ塩化ビニル系樹脂は、前記スルホン酸系界面活性剤が添加されている前記ペースト用塩化ビニル系樹脂と前記サスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを混合してなる請求項1記載の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物。
- 前記スルホン酸系界面活性剤が、前記ペースト用塩化ビニル系樹脂の製造段階で添加されている請求項1または請求項2に記載の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物を成形して得られた抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シート。
- ペースト用塩化ビニル系樹脂10〜49重量部とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂90〜51重量部とを混合する工程と、
前記ペースト用塩化ビニル系樹脂と前記サスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを含むポリ塩化ビニル系樹脂を溶融賦形する工程を備え、
前記ペースト用塩化ビニル系樹脂がスルホン酸系界面活性剤を含有し、
前記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に前記スルホン酸系界面活性剤0.5〜10.0重量部が添加されている抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法。 - 前記溶融賦形する工程がシート成形法であり、前記抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂成形体が抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートである請求項5に記載の製造方法。
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