JP6440369B2 - フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質 - Google Patents
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Description
(a) 配列番号1または2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号1または2に記載のアミノ酸配列からシグナルペプチドを除いたアミノ酸配列からなるタンパク質
(c) 上記(a)または(b)のタンパク質のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、付加または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(d) 上記(a)〜(c)のいずれかのタンパク質のアミノ酸配列と70%以上の相同性を有し、かつ、フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質
なお、このタンパク質もThermoascus aurantiacus由来であることが好ましい。
また、本発明は、上記のタンパク質をコードする遺伝子にも関する。
(B) 配列番号3または4に記載の塩基配列からシグナルペプチドをコードする塩基配列を除いた塩基配列からなるDNA
(C) 上記(A)または(B)のDNAの塩基配列と、イントロンとを含むDNA
(D) 上記(A)〜(C)のいずれかのDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
また、本発明は、上記の遺伝子を含む形質転換体にも関する。
また、本発明は、上記のタンパク質を用いたグルコースセンサにも関する。
また、本発明は、上記のタンパク質を用いたバイオ燃料電池にも関する。
本実施形態の発明は、好熱性糸状菌であるThermoascus aurantiacus(Th.aurantiacus)由来のタンパク質であって、FADGDH活性を有するタンパク質(酵素)である。
(A) 5’−TAYGAYTAYATCGTTYTKGGAGGCGG−3’(配列番号5)、
(B) 5’−CAAGTKCTNCGTGCRGGRAAGGCCCTTGG−3’(配列番号6)、
(C) 5’−ACSCGCGCMGAGGATGTCCAGAT−3’(配列番号7)
が挙げられる。
(D) 5’−CATCATGGCAGCMGTKCCGACGGGRTGGAAGTT−3’(配列番号8)、
(E) 5’−GTGCTMACCAARTGGCCGCARACCTGGAA−3’(配列番号9)
が挙げられる。
本実施形態の発明は、以下の(a)〜(d)のいずれかのタンパク質である。
(b) 配列番号1または2に記載のアミノ酸配列からシグナルペプチドを除いたアミノ酸配列からなるタンパク質
(c) 上記(a)または(b)のタンパク質のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、付加または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(d) 上記(a)〜(c)のいずれかのタンパク質のアミノ酸配列と70%以上の相同性を有し、かつ、フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質。
本実施形態の発明は、上記実施形態1または2のタンパク質をコードする遺伝子である。具体的には、以下の(A)〜(D)のいずれかのDNAからなる遺伝子が挙げられる。
(B) 配列番号3または4に記載の塩基配列からシグナルペプチドをコードする塩基配列を除いた塩基配列からなるDNA
(C) 上記(A)または(B)のDNAの塩基配列と、イントロンとを含むDNA
(D) 上記(A)〜(C)のいずれかのDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
本実施形態の発明は、実施形態3の遺伝子を含む組換えベクターである。実施形態3の遺伝子は、例えば、プラスミドベクターと連結された状態にて宿主微生物に導入され、該宿主はFADGDHを生産する形質転換体となる。
本実施形態の発明は、実施形態3の遺伝子を含む形質転換体である。形質転換体の宿主としては、大腸菌、酵母、糸状菌、動物細胞、昆虫細胞など目的に応じて様々な宿主を用いることができるが、好ましくは大腸菌、酵母、糸状菌等の微生物由来の真核生物である。生産効率の点からは大腸菌を用いることが好ましい。大腸菌としては、例えば、大腸菌JM109、大腸菌DH5α、大腸菌W3110、大腸菌C600などが使用できる。また、糖鎖が付加されたタンパク質を生産するためには、宿主として真核生物を用いることが好ましい。真核生物の中でも酵母は産業上多くの利用実績があり、例えば、Pichia pastoris(P.pastoris)、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombeが使用できる。
本実施形態の発明は、実施形態3の遺伝子を用いた好熱性糸状菌由来のFADGDHの製造方法である。本実施形態では、例えば、実施形態5の形質転換体を用いることにより、FADGDHを製造することができる。具体的には、例えば、以下に示すような手順で製造することが可能である。
本実施形態の発明は、実施形態1または2のタンパク質を含むグルコース濃度測定試薬を用いたグルコースセンサである。
本実施形態の発明は、実施形態1または2のタンパク質を用いたグルコース濃度測定方法である。グルコース濃度の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
本実施形態の発明は、実施形態1または2のタンパク質(FADGDH)を用いたバイオ燃料電池である。FADGDHは、グルコースの脱水素反応を触媒し、この反応により生じた電子が電力として供給される。
独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部生物資源部門(NBRC)より購入した好熱性糸状菌であるTh.aurantiacus(6766)〔Thermoascus aurantiacus(NBRC6766)〕およびTh.aurantiacus(9748)〔Thermoascus aurantiacus(NBRC9748)〕を、ポテトデキストロース培地(Difco Laboratories)または麦芽エキス培地(2%麦芽エキス、2%グルコース、0.1%ペプトン)を用いて好気的に培養した。培養後の好熱性糸状菌からWizard Genomic DNA Purification Kit(Promega)を用いてゲノムDNAを抽出した。
プライマーA(5’−TAYGAYTAYATCGTTYTYGGAGGCGG−3’)、
プライマーB(5’−CAAGTKCTNCGTGCRGGRAAGGCCCTTGG−3’)、
プライマーC(5’−ACSCGCGCMGAGGATGTCCAGAT−3’)
のいずれかを用いた。
プライマーD(5’−CATCATGGCAGCMGTKCCGACGGGRTGGAAGTT−3’)、
プライマーE(5’−GTGCTMACCAARTGGCCGCARACCTGGAA−3’)のいずれかを用いた。
本実施例では、Th.aurantiacus(Th.aurantiacus(6766)およびTh.aurantiacus(9748))由来FADGDHを大腸菌を用いて製造した。以下、詳細について説明する。
クローニングに先立ち、Th.aurantiacus由来FADGDH遺伝子部分断片をプローブとするゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーション解析を行なった。Th.aurantiacusゲノムDNAを各種制限酵素(New England BioLabs)で切断し、アガロースゲル電気泳動に供した。泳動後、ゲルに含まれているDNA断片を20 X SSC(3M NaCl、0.3M クエン酸三ナトリウム、pH7.0)を用いたキャピラリー法によりナイロンメンブレン(Hybond−N+; GE Healthcare)に転写した。転写後のナイロンメンブレンとジゴキシゲニン標識プローブDNA(DIG DNA Labeling and Detection Kit; Roche)を混合し、65℃でハイブリダーゼーションを行なった。プローブとハイブリダイズしたDNA断片はアルカリホスファターゼ標識抗DIG抗体(DIG DNA Labeling and detection Kit)を用いて検出した。
Th.aurantiacus由来FADGDH遺伝子全領域を含むDNA断片の塩基配列はプライマーウォーキング法により決定した。Th.aurantiacus(6766)由来FADGDH遺伝子全領域を含むDNA断片の塩基配列を図2に示す。また、Th.aurantiacus(9748)由来FADGDH遺伝子全領域を含むDNA断片の塩基配列を図4に示す。
Th.aurantiacus〔Th.aurantiacus(6766)およびTh.aurantiacus(9748)〕由来のFADGDH遺伝子のコーディング領域をOverlap extension PCRにより合成した。
Th.aurantiacus〔Th.aurantiacus(6766)およびTh.aurantiacus(9748)〕由来FADGDH遺伝子発現型プラスミドを大腸菌BLR(DE3)株(Novagen)に導入した。発現型プラスミドを保有するBLR(DE3)をLB培地(100μg/mLアンピシリン含有)で一晩培養した(前培養)。本培養用LB培地(100μg/mLアンピシリン含有)に前培養液を1%植菌し、4時間ほど37℃で好気的に培養した。その後、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を終濃度0.1%となるように添加し、25℃で約20時間培養を続けた。
本実施例では、Th.aurantiacus由来FADGDHを酵母(Pichia pastoris)を用いて製造した。以下、詳細について説明する。
<SDS−PAGE>
実施例2および3で得られた計4種のFADGDH精製標品〔大腸菌で発現し、精製されたTh.aurantiacus(6766および9748)由来FADGDHを含む溶液、および、酵母で発現し、精製されたTh.aurantiacus(6766および9748)由来FADGDHを含む溶液〕中のタンパク質濃度を測定した。タンパク質濃度は、市販のタンパク質定量キット(Pierce BCA Protein Assay Reagent; サーモフィッシャーサイエンティフィック)を用いたBCA法により測定した。なお、該キットでは、標準タンパク質としては牛血清アルブミンを使用している。得られた濃度測定値に基づいて、FADGDH5μgを含む精製標品を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に供した。
<吸収スペクトル計測>
実施例2および3で得られたFADGDH精製標品を実施例4での濃度測定値に基づいて希釈し、2mg/mLの酵素溶液(FADGDH溶液)を調製した。該FADGDH溶液の吸収スペクトルを、UV/可視分光光度計DU−800(Beckman Coulter)用いて計測した。また、上記FADGDH溶液にグルコースを終濃度150mMとなるように添加した溶液、および、上記FADGDH溶液に還元剤である亜二チオン酸ナトリウム粉末を添加した溶液についても同様に吸収スペクトルを計測した。得られた吸収スペクトルを図9(実施例2の精製標品)および図10(実施例3の精製標品)に示す。
本実施例では、実施例2および3で得られたFADGDH精製標品について、FADGDHの酵素活性に関する以下の各種特性(温度安定性、温度依存性、pH安定性、pH依存性、固定化酵素電極での応答性)に関する評価試験を行った。なお、本実施例における酵素活性測定原理、酵素活性の定義、活性測定方法は次のとおりである。
D−グルコース + 1−methoxyPMS + FADGDH
→ D−グルコノ−1,5−ラクトン + 1−methoxyPMS(還元型)
+ FADGDH(酸化型)
1−methoxyPMS(還元型) + DCPIP
→ 1−methoxyPMS + DCPIP(還元型)
還元型1−メトキシフェナジンメトサルフェート(1−methoxyPMS)による2,6−ジクロロフェノリンドフェノール(DCPIP)の還元により生じた還元型DCPIP量は、分光光度計を用いて600nmの吸光度を測定することにより計測した。
酵素の活性(FADGDH活性)は、37℃、pH7.0の条件下において還元型DCPIPを1分あたりに1マイクロモル形成させるFADGDH量を1ユニットとして定義する。
FADGDH活性(U/mL)
=[(ΔODTEST−ΔODBLANK)×3.1]/(16.3×0.1×希釈率)
なお、式中の各定数は、
3.1 : FADGDH溶液混和後の反応液の容量(mL)
16.3 : DCPIPのミリモル分子吸光係数(mM−1・cm−1)
0.1 : FADGDH溶液の容量(mL)
である。
(1) キュベット内で以下の組成で反応液を混合する。
0.1M リン酸カリウムバッファー(pH7.0) 1.5mL
1M グルコース溶液 0.9mL
1.75mM 2,6-Dichlorophenolondophenol(DCPIP) 0.12mL
20mM 1-Methoxy-5-methylphenazium methylsulfate(1-mPMS) 0.021mL
10% TritonX−100 0.06mL
H2O 0.399mL
(2) 37℃で10分間プレインキュベートする。
(3) FADGDH溶液を0.1mL加えて転倒混和し、37℃で反応させる。この間、吸光光度計を用いて600nmでの吸光度を記録し、1分間あたりの吸光度変化(ΔODTEST)を算出する。
(4) 対照として、酵素液(上述の反応液にFADGDH溶液を加えた液)の代わりに等量の酵素希釈用液(50mMのリン酸バッファー(pH7.0)に0.01%のTritonX−100を添加した液)について、(3)と同様に吸光度変化を記録し、1分間あたりの吸光度変化(ΔODBLANK)を算出する。
ここでは、酵素活性の温度安定性の評価を行った。まず、上記pH安定性の評価試験と同様にして、酵素活性が7U/mLとなるように酵素溶液(FADGDH溶液)を調製した。これらのFADGDH溶液をマイクロチューブに分注し、PCRマシーンを用いて40℃〜70℃の範囲の数種の温度で15分間加熱した。加熱前後の酵素活性を測定し、加熱前の酵素活性に対する加熱後の酵素活性の比率(残活性率)を求めた。結果を図11に示す。なお、ECは大腸菌で発現したもの、PPは酵母で発現したものを示す。
ここでは、酵素活性の温度依存性の評価を行った。まず、上記pH安定性の評価試験と同様にして、酵素活性が0.05〜0.2U/mLとなるように酵素溶液(FADGDH溶液)を調製した。これらのFADGDH溶液について、4℃〜70℃の範囲で酵素活性を測定し、37℃での活性を100(%)としたときの相対活性を求めた。結果を図13に示す。
ここでは、酵素活性のpH安定性の評価を行った。まず、実施例2および3で得られたFADGDH精製標品の各々について、上記活性測定方法により酵素活性を測定した。それらの測定値に基づいて各精製標品を水で希釈することで、酵素活性が14U/mLとなるような酵素溶液(FADGDH溶液)を調製した。
ここでは、酵素活性のpH依存性の評価を行った。上記pH安定性の評価試験と同様にして、酵素活性が0.2U/mLとなるような酵素溶液(FADGDH溶液)を調製した。pHを4.0〜9.0の範囲で変化させた複数の酵素活性測定溶液を調製し、それぞれのpH条件における酵素活性を測定した。最も活性が高かったpH条件における酵素活性を100(%)とし、他の各pH条件における酵素活性の比率を相対活性として求めた。結果を図15に示す。
白金電極表面に、実施例2および3で得られたTh.aurantiacus(6766および9748)由来のFADGDH精製標品を東洋合成工業(株)社製のUV架橋性高分子であるBiosurfine−AWP−MRHと混合したものを塗布し、自然乾燥ののちにUVを照射して固定化酵素電極(計2種)を作製した。この固定化酵素電極を用いて、水溶液中のグルコース濃度に対する応答性を評価した。
Claims (13)
- 以下の(a)〜(d)のいずれかのタンパク質。
(a) 配列番号1または2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号1または2に記載のアミノ酸配列からシグナルペプチドを除いたアミノ酸配列からなるタンパク質
(c) 上記(a)または(b)のタンパク質のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、付加または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、かつ、フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質
(d) 上記(a)または(b)のタンパク質のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し、かつ、フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質。 - Thermoascus aurantiacus由来である、請求項1に記載のタンパク質。
- 糖鎖が付加された、請求項1または2に記載のタンパク質。
- 請求項1または2に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
- 以下の(A)〜(D)のいずれかのDNAからなる遺伝子。
(A) 配列番号3または4に記載の塩基配列からなるDNA
(B) 配列番号3または4に記載の塩基配列からシグナルペプチドをコードする塩基配列を除いた塩基配列からなるDNA
(C) 上記(A)または(B)のDNAの塩基配列と、イントロンとを含むDNA
(D) 上記(A)〜(C)のいずれかのDNAと90%以上の相同性を有し、かつフラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA - 請求項4または5に記載の遺伝子を含む組換えベクター。
- 請求項4または5に記載の遺伝子を含む形質転換体。
- 請求項4または5に記載の遺伝子を用いたフラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素の製造方法。
- 請求項7に記載の形質転換体を用いたフラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のタンパク質を含むグルコース濃度測定試薬。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のタンパク質を用いたグルコースセンサ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のタンパク質を用いたグルコース濃度測定方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のタンパク質を用いたバイオ燃料電池。
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