JP6449038B2 - ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
そして、近年、電気電子機器部品や電装部品は、機器自体の小型化高密度化が急速に進行しており、その結果、絶縁距離が小さくなり、これら部品(成形品)の耐トラッキング性等への要求スペックはますます厳しくなってきている。
電気電子機器部品では、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ社の比較トラッキング指数(CTI:Comparative Tracking Index)等の要求事項を満たさねばならず、CTIがPLC2レベル(250V≦CTI<400V)を満足することが最近では要求される。
また、特許文献3には、熱可塑性ポリエステル樹脂、圧縮微粉タルク、ハロゲン化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤からなる樹脂組成物が開示されており、必要に応じて、繊維状強化剤を添加してもよいことが記載されている。
しかしながら、これらの樹脂組成物は、いずれも、耐トラッキング性は十分ではなく、また、反りも大きく、機械的強度の点でも必ずしも満足できるものではなかった。
本発明は、以下のとおりである。
[2](C)三酸化アンチモンがマスターバッチとして配合される上記[1]に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[3](D)硼酸金属塩中のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有量が2,000質量ppm以下である上記[1]または[2]に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[4](D)硼酸金属塩の平均粒子径が4μm以上である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[5](D)硼酸金属塩が硼酸亜鉛である上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[6]さらに、含フッ素樹脂を含有する場合、その含有量が1質量%を超えない上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を成形してなる成形体。
[8]成形体のコア部において、(C)三酸化アンチモンが、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂マトリックス中に分散して存在する(B)臭素系難燃剤相中に存在するモルフォロジーを有する上記[7]に記載の成形体。
[9](D)硼酸金属塩の少なくとも一部が(B)臭素系難燃剤相に接しているモルフォロジーを有する上記[7]または[8]に記載の成形体。
[10](B)臭素系難燃剤がポリ臭素化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤を含む上記[7]〜[9]のいずれかに記載の成形体。
[11]成形体が、金属接点・端子を有する電気電子機器部品である上記[7]〜[10]のいずれかに記載の成形体。
[12]成形体が、コネクター用部品、リレー用部品、スイッチ用部品、ブレーカー用部品、電磁開閉器用部品及び端子台用部品からなる群より選ばれるものである上記[7]〜[11]のいずれかに記載の成形体。
このため、本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、電気電子機器用の絶縁部品として、例えば、電子電気機器部品の筐体、コネクター、リレー、スイッチ、ブレーカー、電磁開閉器、端子台、センサー、アクチュエーター、ターミナルスイッチ等に特に好適に使用することができる。
以下に記載する各構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。なお、本願明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明の樹脂組成物に用いる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸単位及び1,4−ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有するポリエステル樹脂であって、ポリブチレンテレフタレート樹脂(ホモポリマー)の他に、テレフタル酸単位及び1,4−ブタンジオール単位以外の、他の共重合成分を含むポリブチレンテレフタレート共重合体や、ホモポリマーと当該共重合体との混合物を含む。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分とを、連続式で溶融重縮合する製造法で得られたものが好ましい。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂として共重合体を用いる場合は、中でも、ポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂を用いることが好ましい。共重合中のテトラメチレングリコール成分の割合は3〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%がより好ましく、10〜25質量%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、流動性、靱性、耐トラッキング性が向上しやすい傾向にあり好ましい。
なお、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は(B)臭素系難燃剤を含有する。(B)臭素系難燃剤としては各種のものが使用出来る。この様な臭素系難燃性としては、芳香族系化合物が挙げられ、具体的には例えば、ポリペンタブロモベンジルアクリレート等のポリ臭素化ベンジル(メタ)アクリレート、ポリブロモフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレン、テトラブロモビスフェノールAのエポキシオリゴマー等の臭素化エポキシ化合物、N,N’−エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)(EBTPI)等の臭素化イミド化合物、臭素化ポリカーボネート等が挙げられる。
ポリ臭素化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤含む場合、(B)臭素系難燃剤中のポリ臭素化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤の含有割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、(B)臭素系難燃剤の全てがポリ臭素化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤であることが最も好ましい。
臭素化エポキシ化合物は、そのエポキシ当量が3,000〜40,000g/eqであることが好ましく、中でも4,000〜35,000g/eqが好ましく、特に10,000〜30,000g/eqであることが好ましい。
なお、前記一般式(1)において、臭素化ベンゼンが結合したCH基はメチル基で置換されていてもよい。また、臭素化ポリスチレンは、他のビニルモノマーが共重合された共重合体であってもよい。この場合のビニルモノマーとしてはスチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、ブタジエンおよび酢酸ビニル等が挙げられる。また、臭素化ポリスチレンは単一物あるいは構造の異なる2種以上の混合物として用いてもよく、単一分子鎖中に臭素数の異なるスチレンモノマー由来の単位を含有していてもよい。
特に、上記したポリスチレンの臭素化物の場合、質量平均分子量(Mw)は50,000〜70,000であることが好ましく、重合法による臭素化ポリスチレンの場合、質量平均分子量(Mw)は10,000〜30,000程度であることが好ましい。なお、質量平均分子量(Mw)は、GPC測定による標準ポリスチレン換算の値として求めることができる。
中でも、上記式(3)におけるiが4である、N,N’−エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)が好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、(C)三酸化アンチモンを含有する。アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン(Sb2O3)、五酸化アンチモン(Sb2O5)およびアンチモン酸ナトリウム等が挙げられるが、本発明ではこれらの中でも三酸化アンチモンを含有する。
マスターバッチ中の(C)三酸化アンチモンの含有量は20〜90質量%であることが好ましい。(C)三酸化アンチモンが20質量%未満の場合は、難燃剤マスターバッチ中のアンチモン化合物の割合が少なく、これを配合する(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂への難燃性向上効果が小さくなりやすい。一方、(C)三酸化アンチモンが90質量%を超える場合は、(C)三酸化アンチモンの分散性が低下しやすく、これを(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂に配合すると樹脂組成物の難燃性が不安定になり、またマスターバッチ製造時の作業性が低下しやすく、例えば、押出機を使用して製造する際に、ストランドが安定せず、切れやすい等の問題が発生しやすいため好ましくない。
マスターバッチ中の(C)三酸化アンチモンの含有量は、好ましくは20〜85質量%であり、より好ましくは25〜80質量%である。
本発明の樹脂組成物は(D)硼酸金属塩を、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、0.3〜10質量部含有し、かつ(C)三酸化アンチモンと(D)硼酸金属塩の含有量の質量比(C/D)が1〜20の範囲にあることを特徴とする。(D)硼酸金属塩をこのような量と質量比で含有することで、難燃性、反り性、耐トラッキング性(CTI)の全てを高いレベルでバランスさせることが可能となり、また、レーザー印字性にも優れる。C/D比は好ましくは2〜18、より好ましくは4〜16である。
これら硼酸亜鉛類や硼酸カルシウム類の中でも特に水和物が好ましい。
硼酸金属塩中のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有量は、蛍光X線分析により測定することができる。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物には、燃焼性改良のため滴下防止剤を含有させることも好ましく、滴下防止剤としては、含フッ素樹脂、代表的にはポリテトラフルオロエチレン系樹脂(PTFE)が挙げられる。
しかし、難燃性を向上させるために、難燃助剤として含フッ素樹脂を含有すると、特に薄肉の成形体においては、反りが発生する等、寸法安定性に劣る傾向にあることが判明した。そして、この寸法安定性の問題は、含フッ素樹脂の含有量が多くなると顕著になる傾向にあるため、本発明においては、含フッ素樹脂を多く含まないことが好ましく、含フッ素樹脂を含有する場合は、その含有量が1質量%を超えないことが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、中でも0.3質量%以上、とりわけ0.1質量%以上、特には0.05質量%以上の量で含有しないことが好ましい。
なお、本発明において、含フッ素樹脂を実質的に含有しないとは、具体的にはポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物が含フッ素樹脂を1質量%を超える量で含有しないことを意味し、より好ましくは0.5質量%以上、中でも0.3質量%以上、とりわけ0.1質量%以上、特には0.05質量%以上の量で含有しないことをいう。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、さらに安定剤を含有することが、熱安定性改良や、機械的強度、透明性及び色相の悪化を防止する効果を有するという点で好ましい。安定剤としては、リン系安定剤およびフェノール系安定剤が好ましい。
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でもホスファイト、ホスホナイトが好ましい。
リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
なお、フェノール系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、更に、離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、ポリエステル樹脂に通常使用される既知の離型剤が利用可能であるが、中でも、離型性に優れるという点で、ポリオレフィン系化合物、脂肪酸エステル系化合物及びシリコーン系化合物から選ばれる1種以上の離型剤が好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、更に、強化充填材を含有することも好ましい。
強化充填材としては、常用のプラスチック用無機充填材を用いることができる。好ましくはガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、ウォラストナイト、チタン酸カリウム繊維などの繊維状の充填材を用いることができる。また炭酸カルシウム、酸化チタン、長石系鉱物、クレー、有機化クレー、ガラスビーズなどの粒状または無定形の充填材;タルクなどの板状の充填材;ガラスフレーク、マイカ、グラファイトなどの鱗片状の充填材を用いることもできる。
なかでも、レーザー光透過性、機械的強度、剛性および耐熱性の点からガラス繊維を用いるのが好ましい。
これらの中では、アミノシラン系表面処理剤が好ましく、具体的には例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい例として挙げられる。
シラン系表面処理剤とエポキシ樹脂は、それぞれ単独で用いても複数種で用いてもよく、両者を併用することも好ましい。
断面形状は、断面が長方形又は長円形のものであり、また長径/短径比が2.5〜8、更には3〜6の範囲にあるものが好ましい。長径をD2、短径をD1、平均繊維長をLとするとき、アスペクト比((L×2)/(D2+D1))が10以上であることが好ましい。このようにこのような扁平状のガラス繊維を使用すると、成形品の反りが抑制され、特に箱型の溶着体を製造する場合に効果的である。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、成形品を黒色等の所望の色調にする目的で、カーボンブラックを含有することも好ましい。
カーボンブラックは、その種類、原料種、製造方法に制限はなく、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のいずれをも使用することができる。その数平均粒径には特に制限はないが、5〜60nm程度であることが好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、更に、エラストマーを含有することも好ましい。
本発明で用いるエラストマーとしては、ポリブチレンテレフタレート樹脂に配合してその耐衝撃性を改良するのに用いられている熱可塑性エラストマーを用いればよく、例えばゴム性重合体やゴム性重合体にこれと反応する化合物を共重合させたものを用いる。エラストマーのガラス転移温度は0℃以下、特に−20℃以下であるのが好ましい。
尚、本発明において(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートを意味し、(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸を意味する。
アクリル及び/又はブタジエン成分を含有する耐衝撃性改良剤の具体例としては、例えばアクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリル・ブタジエンゴム、また、これらゴム性重合体に単量体化合物を重合した共重合体が挙げられる。この単量体化合物としては例えば、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物等が挙げられる。また、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)も挙げられる。これらの単量体化合物は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、紫外線吸収剤、染顔料、蛍光増白剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が挙げられる。
その他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンサルファイドエチレン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂組成物の成形体は、好ましくは、成形体のコア部において、(C)三酸化アンチモンが、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂マトリックス中に分散して存在する(B)臭素系難燃剤相中に存在するモルフォロジーを有する。また、さらに、(D)硼酸金属塩の少なくとも一部が(B)臭素系難燃剤相に接しているモルフォロジーを有することが好ましい。
具体的には、SEM/EDS分析装置を用い、成形体断面のコア部(深さ20μm未満の表層部を除く部分で、断面の中心部、樹脂組成物流動方向に垂直な断面。)を、1.5〜5kVの加速電圧下で、倍率1,500〜30,000倍の反射電子像により観察される。
図1中、連続相(マトリックス相)を構成しているのは(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂であり、その中に薄い色で島状に存在しているのが(B)臭素系難燃剤(図1ではペンタブロモベンジルポリアクリレート)の分散相であり、その分散相の中に、やや白くなった部分が見えるが、これが(C)三酸化アンチモンであり、(B)臭素系難燃剤の分散相中に存在していることが確認される。
また、コア部における(B)臭素系難燃剤分散相中に存在している(C)三酸化アンチモンの分散平均径は、4μm以下であることが好ましく、より好ましくは3μm以下、特には2μm以下である。下限は好ましくは0.1μm、より好ましくは0.3μm、さらに好ましくは0.5μmである。
さらに(D)硼酸金属塩のコア部における分散平均径は、4μm以上であることが好ましく、6μm以上であることがより好ましく、8μm以上であることがさらに好ましい。上限は通常30μm、好ましくは20μm、より好ましくは15μmである。
このような分散平均径とすることにより、難燃性、耐トラッキング性、機械的物性が良好となりやすい傾向となり好ましい。
(B)臭素系難燃剤分散相の分散径や(C)三酸化アンチモンの粒子径は、50個以上の分散径や粒子径を測定し、算術平均して算出される。分散相、粒子が円状でない場合は、最長径と最短径を測定し、平均値をその分散相、粒子の平均径とする。
さらに、上記したポリ臭素化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤の強い電子吸引性のために、(D)硼酸金属塩(硼酸亜鉛)をも吸引し、(D)硼酸金属塩が(B)臭素系難燃剤相に接しやすいくなると考えられる。
SP値(δ)=(ΣΔE/ΣΔV)1/2[(cal/cm3)1/2]・・(I)
但し、ΔEは、物質に含まれる原子又は原子団の蒸発エネルギー(cal/mol)を示し、ΔVは、該原子又は原子団のモル容積(cm3/mol)を示す。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を製造する方法としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物調製の常法に従って行うことができる。通常は各成分及び所望により添加される種々の添加剤を一緒にしてよく混合し、次いで一軸又は二軸押出機で溶融混練する。また各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、本発明の樹脂組成物を調製することもできる。さらには、ポリブチレンテレフタレート樹脂の一部に他の成分の一部を配合したものを溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りのポリブチレンテレフタレート樹脂や他の成分を配合して溶融混練してもよい。なお、強化充填材としてガラス繊維等の繊維状のものを用いる場合には、押出機のシリンダー途中のサイドフィーダーから供給することも好ましい。
三酸化アンチモンマスターバッチを専用のフィーダーから供給する場合は、押出機のホッパーに、専用のフィーダーから他の原料と同時にフィードしてもよいし、押出機の途中にフィードしてもよい。押出機の途中にフィードする場合は、ニーディングゾーンよりもホッパー側にフィードすることが好ましい。
より具体的には、(i)ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット、(ii)三酸化アンチモンマスターバッチペレット、(iii)(D)硼酸金属塩、粉状の(B)臭素系難燃剤及び必要に応じて配合されるその他の粉状の添加剤成分の予備ブレンド物を、それぞれ別々のフィーダーからフィードすることがより好ましい。また、ガラス繊維等の繊維状の強化充填材は、押出機の途中からサイドフィードすることが好ましい。本発明においては、(iii)粉状の予備ブレンド物中に(D)硼酸金属塩が存在することにより、粉状成分の流動性が向上し、フィード性がより向上する傾向となる。
この際、溶融混練機としては、二軸押出機を用いることが好ましい。中でも、スクリューの長さL(mm)と同スクリューの直径D(mm)の比であるL/Dが、10<(L/D)<150の関係を満足することが好ましく、15<(L/D)<100を満足することがより好ましい。かかる比が10以下では、ポリブチレンテレフタレート樹脂と三酸化アンチモンや臭素系難燃剤が微分散しにくく、逆に150以上でも臭素系難燃剤の熱劣化が著しくなり、遊離化合物によるガスの問題が発生したり、熱劣化することにより樹脂組成物の機械的強度が低下する傾向があり好ましくない。
本発明の成形体は、前記したような特異なモルフォロジー構造を有することによって、難燃性、耐トラッキング性、機械的物性により優れた成形体となる。
本発明の樹脂組成物成形体の製造に用いるポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、押出機等の溶融混練機を用いた溶融混練法により製造することが好ましいが、ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物の原料各成分を混合して、単に混練するだけでは、本発明で規定するモルフォロジー構造を安定して形成することは難しく、特別の方法により混練することが推奨される。
以下に、本発明で規定するモルフォロジー構造を安定して形成するための好ましい製造方法について、説明する。
この際、溶融混練機としては、二軸押出機を用いることが好ましい。中でも、スクリューの長さL(mm)と同スクリューの直径D(mm)の比であるL/Dが、15<(L/D)<100の関係を満足することが好ましく、20<(L/D)<80を満足することがより好ましい。かかる比が15以下では、(C)三酸化アンチモンが(B)臭素系難燃剤相に取り込まれにくくなり、逆に100以上でも、(B)臭素系難燃剤の熱劣化が著しく、(C)三酸化アンチモンが(B)臭素系難燃剤相に取り込まれにくくなる傾向がある等好ましくない。
ダイノズルの形状も特に限定されないが、ペレット形状の点で、直径1〜11mmの円形ノズルが好ましく、直径2〜8mmの円形ノズルがより好ましい。
1.5×103<(γ・T)<1.5×106
の関係を満足することにより、(C)三酸化アンチモンが(B)臭素系難燃剤相中に存在しやすく、電気絶縁性、靱性、難燃性が向上する傾向にあり好ましい。(γ・T)の値が1.5×103以下の場合は、(C)三酸化アンチモンが(B)臭素系難燃剤に取り込まれにくく、また、樹脂組成物の各成分の分散不良により成形品表面が肌荒れ現象を起こしやすく、機械的特性、難燃性、絶縁特性等が安定しない傾向がある。また、逆に1.5×106以上となる場合は、(C)三酸化アンチモンが(B)臭素系難燃剤に存在しにくくなったり、(C)三酸化アンチモンが凝集し、それを内部に含む(B)臭素系難燃剤の分散相が肥大化し、靱性が低下する場合があるので好ましくない。(γ・T)の下限は3.3×103であることがより好ましく、上限は9.5×105であることがより好ましい。
(γ・T)の値を上記の範囲に調整するためには、上記のせん断速度とストランドの表面温度を調整すればよい。
1)(B)臭素系難燃剤として、ポリ臭素化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤を含む、特には、ペンタブロモベンジルポリアクリレートを含む難燃剤を使用する。前記したように、ベンゼン環に臭素原子が集中して結合しており、さらに1つのベンゼン環に5つの臭素原子が存在しているので、他の臭素系難燃剤に比べて電子吸引性が強いと考えられる。そのために、活性の高い(C)三酸化アンチモンが(B)臭素系難燃剤分散相に取り込まれやすく、(C)三酸化アンチモンが(B)臭素系難燃剤相に存在しやすくなる。また、ペンタブロモベンジルポリアクリレートのSP値は26.0であり、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂のSP値23.4よりも大きい。そのために、(C)三酸化アンチモンが(B)臭素系難燃剤相に取り込まれやすくなるとも考えられる。
さらに、上記したポリ臭素化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤の強い電子吸引性のために、(D)硼酸金属塩(硼酸亜鉛)をも吸引し、(D)硼酸金属塩が(B)臭素系難燃剤相に接しやすいくなると考えられる。
(B)臭素系難燃剤としては、より好ましくは(B)臭素系難燃剤中の70質量%以上がポリ臭素化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤であり、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは(B)臭素系難燃剤の全てがポリ臭素化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤である。このようにすることで、(C)三酸化アンチモンが(B)臭素系難燃剤相中に存在しやすくなり、さらに、(D)硼酸金属塩も(B)臭素系難燃剤相に接しやすくなる。
また、(D)硼酸金属塩中のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有量が2,000質量ppm以下であるものを用いることにより、硼酸金属塩が(B)臭素系難燃剤相により接しやすくなる。
(D)硼酸金属塩の平均粒子径が4μm以上であるもさらに好ましい。このような平均粒子径の硼酸金属塩を用いることにより、硼酸金属塩のより多くの部分が(B)臭素系難燃剤相と接しやすくなる。
不純物である塩素化合物は、クロロベンゼン、塩素化スチレン、塩素化ビスフェノール化合物等であり、例えば(B)臭素系難燃剤がポリ臭素化ベンジル(メタ)アクリレートの場合はクロロベンゼンであり、クロロベンゼンが上記量以上存在すると、本発明の好ましいモルフォロジー構造を安定して形成しにくくなる。なお、塩素化合物含有量は、270℃×10分間に加熱により発生したガスを、ガスクロマトグラフィー法により分析し、デカン換算の値として定量することができる。
遊離の塩素の量は、500質量ppm以下とすることが好ましく、350質量ppm以下がより好ましく、200質量ppm以下がさらに好ましく、150質量ppm以下が特に好ましい。なお、樹脂組成物中の塩素含有量は、塩素がどの様な状態・形態で樹脂組成物中に存在しているかは限定されない。塩素は、使用する原料、添加剤、触媒、重合雰囲気、樹脂の冷却水等、種々の環境より混入するので、それらの混入量の総計を、500質量ppm以下と制御することが好ましい。
また、遊離の硫黄の量は、250質量ppm以下とすることが好ましいく、200質量ppm以下がより好ましく、150質量ppm以下がさらに好ましく、100質量ppm以下が特に好ましい。なお、樹脂組成物中の硫黄含有量は、硫黄がどの様な状態・形態で樹脂組成物中に存在しているかは限定されない。硫黄は、使用する原料、添加剤、触媒、重合雰囲気等、種々の環境より混入するので、それらの混入量の総計を、250質量ppm以下と制御することが好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して成形体として用いる。この成形体の形状、模様、色、寸法等に制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形体の製造方法は、特に限定されず、ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられ、中でも射出成形法が好ましい。
絶縁性部品としては、金属接点、銅版等と組み合わせることにより、リレー、スイッチ、コネクター、ターミナルスイッチ、センサー、アクチュエーター、マイクロスイッチ、マイクロセンサーおよびマイクロアクチュエーター等の有接点電気電子機器部品や電気電子機器の筐体等を好ましく挙げることができる。
なお、以下の説明において[部]とは、特に断りのない限り、質量基準に基づく「質量部」を表す。
以下の実施例および比較例において、使用した成分は、以下の表1の通りである。
なお、上記(C2)の三酸化アンチモンマスターバッチ(「MB1」)は、以下の方法で製造した。
予め120℃で3時間熱風乾燥した、ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名ノバデュラン(登録商標)5020、固有粘度1.20dl/gと、同ノバデュラン5008、固有粘度0.85dl/gの1:1混合物)30質量部と、三酸化アンチモン(鈴裕化学社製、商品名:AT3−CN)70質量部を、噛み合い型同方向2軸スクリュー式押出機(日本製鋼所社製「TEX44αII」、スクリュー径47mm、L/D=55.2)に300kg/hrにて供給した。
押出機のバレル設定温度を、C1〜C15を260℃、ダイを250℃、スクリュー回転数を230rpmとし、ノズル数10穴(円形(φ4mm)、長さ1.5cm)、せん断速度(γ)1012sec−1の条件下で溶融混練した。なお、押出した直後のストランド温度は290℃であった。
溶融混練後、ダイノズルから樹脂組成物を押出してストランド状とした後に冷却し、切断して、ポリブチレンテレフタレート樹脂と三酸化アンチモンとが混練された、三酸化アンチモンを70質量%含有するマスターバッチ(以下、「MB1」という。)を得た。
表1に記載の各成分の中、(B1)、(C1)、(D1)または(D2)、(DX1)〜(DX3)、(E)及び(F)成分を、表2、表4に記載の割合(全て質量部)で予めブレンダーでブレンドした(ブレンド物1)。また(A1)、(A2)及び(H)成分についても、表2、表4に記載の割合(全て質量部)で予めブレンダーでブレンドした(ブレンド物2)。
得られたブレンド物1とブレンド物2とを、それぞれ独立した2つ専用のフィーダーから、表2、表4に示される割合(全て質量部)となるようにホッパーへ供給し、これを30mmのベントタイプ二軸押出機(日本製鋼所社製、二軸押出機「TEX30α」)を使用し、(G)ガラス繊維はホッパーから7番目のサイドフィーダーより供給し、押出機のバレル設定温度C1〜C15を270℃、ダイを260℃、吐出80kg/hr、スクリュー回転数280rpm、ノズル数5穴(円形(φ4mm)、長さ1.5cm)、せん断速度(γ)664sec−1の条件にて溶融混練し、ストランドに押し出した。押出した直後のストランド温度は281℃であった。
押出されたストランドを、温度を40〜80℃の範囲に調整した水槽に導入して冷却した。ストランド表面温度(T)は、赤外線温度計で測定される温度で110℃まで冷却され(γ・T=7.3×104)、ペレタイザーに挿入してカッティングして、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを得た。
表1に記載の各成分の中、(B1)〜(B5)、(D1)、(E)及び(F)成分を表2に記載の割合(全て質量部)で予めブレンダーでブレンドした(ブレンド物1)。また、(A1)、(A2)及び(H)成分についても、表2に記載の割合(全て質量部)で予めブレンダーでブレンドした(ブレンド物2)。得られたブレンド物1、ブレンド物2、(C2)三酸化アンチモンマスターバッチ(MB1)を、それぞれ独立した3つの専用のフィーダーから、表2に示される割合(全て質量部)となるようにホッパーへ供給し、これを30mmのベントタイプ二軸押出機(日本製鋼所社製、二軸押出機「TEX30α」)を使用し、ガラス繊維はホッパーから7番目のサイドフィーダーより供給し、押出機バレル設定温度C1〜C15を270℃、ダイを250℃、吐出80kg/hr、スクリュー回転数280rpm、ノズル数5穴(円形(φ4mm)、長さ1.5cm)、せん断速度(γ)664sec−1の条件にて溶融混練し、ストランドに押し出した。押出した直後のストランド温度は274℃であった。
押出されたストランドを、温度を40〜80℃の範囲に調整した水槽に導入して冷却した。ストランド表面温度(T)は、赤外線温度計で測定される温度で95℃まで冷却され(γ・T=6.3×104)、ペレタイザーに挿入してカッティングして、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを得た。
表1に記載の各成分の中、(B1)または(B2)、(C1)、(D2)または(D3)、(E)及び(F)成分を表3に記載の割合(全て質量部)で予めブレンダーでブレンドした(ブレンド物1)。また、(A1)、(A2)成分についても、表3に記載の割合(全て質量部)で予めブレンダーでブレンドした(ブレンド物2)。得られたブレンド物1とブレンド物2とを、それぞれ独立した2つの専用のフィーダーから、表3に示される割合(全て質量部)となるようにホッパーへ供給し、これを30mmのベントタイプ二軸押出機(日本製鋼所社製、二軸押出機「TEX30α」)を使用し、ガラス繊維はホッパーから7番目のサイドフィーダーより供給し、バレル設定温度C1〜C15を270℃、ダイを280℃、吐出80kg/hr、スクリュー回転数280rpm、ノズル数5穴(円形(φ4mm)、長さ1.5cm)、せん断速度(γ)664sec−1の条件にて溶融混練し、ストランドに押し出した。押出した直後のストランド温度は290℃であった。
押出されたストランドを、温度を40〜80℃の範囲に調整した水槽に導入して冷却した。ストランド表面温度(T)は、赤外線温度計で測定される温度で120℃まで冷却され(γ・T=8.0×104)、ペレタイザーに挿入してカッティングして、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを得た。
評価方法は、以下のとおりである。
厚み0.38mm及び1.5mmの垂直燃焼試験片を射出成形して得られた燃焼試験片を用い、UL94規格に準じ難燃性の評価を行った。1.5mm厚の試験片での評価では、合計の燃焼時間(単位:秒)も測定した。
ISO試験片(厚さ4.0mm)を射出成形し、試験片から厚さ4.0mmのノッチ付試験片を作製し、10本の試験片に対して、ISO179規格に準拠してノッチ付きシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m2)を測定し、その際のシャルピー衝撃強度のばらつきを標準偏差値で評価した。
試験片(厚さ3mm、大きさ60mm×60mmの平板)について、国際規格IEC60112に定める試験法によりCTIを決定した。CTIは固体電気絶縁材料の表面に電界が加わった状態で湿潤汚染されたとき、100Vから600Vの間の25V刻みの電圧におけるトラッキングに対する対抗性を示すものであり、数値が高いほど良好であることを意味する。
CTIが、PLC2レベル(250V≦CTI<400V)を満足するものを「○」、満足しないものを「×」と判定した。
縦100mm、横100mm、厚み2mmの平板をフィルムゲート金型により成形し、流れの直角方向の成形収縮率(TD、単位:%)及び流れ方向の成形収縮率(MD、単位:%)をそれぞれ測定し、TD方向収縮率をTD方向収縮率とMD方向収縮率の和で割った収縮率比[TD/(TD+MD)]を求めた。収縮率比が小さいほど寸法安定性が良好であることを示す。
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物ペレット製造終了後の押出機ホッパー内壁について、付着物の有無を目視で観察した。ホッパー内壁に原料の粉状物の付着がない場合を「○」、ブレンド物1のフィード性があまり良くなく、ホッパー内壁に粉状物の付着が確認され分級しているおそれがあるものを「△」、ブレンド物1のフィード性が悪く、ホッパー内壁に粉状物の付着が多く確認され分級しているおそれがあるものを「×」として、押出生産性の評価を行った。
得られたペレットを、120℃で6〜8時間乾燥した後、住友重機械工業社製「型式SE−50D」射出成形機を使用し、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、図3に示す直方体状の箱型成形体を成形した。
図3は、反り性の評価のために使用した箱型成形体の斜視図であり、底面を下にした状態を示す。箱型成形体は、横25mm、縦30mm、高さ25mm、肉厚は底面が1mm、その他の側面は0.5mmである。ゲートは長径2.0mm、短径1.5mmの略楕円形の1点ゲートで、図3の手前側の側面の中央のサブマリンゲート(図3中、GATE)である。
この値が小さい程、成形品の内反り量が小さいため寸法精度が良いことを示す。
評価用試験片としては、100mm×100mm×2mm厚みの平板状成形品を用いた。SUNX社製「レーザーマーカー LP−Z130」を用い、レーザー発振方式はファイバー方式にて、レーザーパワー:100、印字パルス周期:50μs、線幅:0.07mm、塗り潰し間隔:0.035mm、重ね印字回数:1回の条件で、上記平板状成形品に20mm×20mmの正方形を塗りつぶすようにレーザーマーキングを施した。レーザーマーキングに際し、そのスキャンスピードは5,000mm/secにて行った。
レーザー印字性の判定は、レーザー印字処理を施した試験片を目視にて観察し、次の判断基準に基づき◎、○、△、×のランクに分けた。
◎:極めて、鮮明な印字が成されており、良好。
○:鮮明な印字が成されており、容易に認識が可能。
△:印字の認識は可能。
×:全く印字が成されてない、若しくは印字の認識が困難である。
得られたペレットを、窒素雰囲下で265℃の溶融状態とし、大きさ3×10×10mmの鋼材(SKD11)を溶融状態の樹脂組成物に18時間浸漬させて、鋼材の腐食具合を目視で観察した。
鋼材の腐食がそれほど進行しておらず、鋼材表面に光沢が残っているものを「○」、鋼材の腐食が著しく、光沢が確認されないものを「×」として評価した。
前記燃焼性試験の垂直燃焼試験片と同様の成形条件で燃焼試験用試験片(厚さ0.75mm)を成形し、そのコア部(試験片断面の中心部の、樹脂組成物流動方向に平行な断面)から、Leica社製「UC7」を用い、ダイヤモンドナイフで厚さ200nmの超薄切片を切り出した。得られた超薄切片を、四酸化ルテニウムで120分染色後、日立ハイテク社製走査型電子顕微鏡「SU8020」を用い、加速電圧1.5〜5kVの条件で、SEM観察した。なお、各成分の同定のために、必要に応じてEDS分析(堀場製作所社製「EMAX80mm2」、10kV、エミッション電流20μA)も行った。
i)(C)三酸化アンチモンが(B)臭素系難燃剤相中に存在しているか否かを確認した。
(B1)FR1025相中に存在している場合は「B1」、
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂マトリックス中に存在している場合は「A」
と記載した。
ii)(D)硼酸金属塩が(B)臭素系難燃剤相に接しているか否かを確認した。
(B)臭素系難燃剤相に接している場合を「○」、
(B)臭素系難燃剤相に接していない場合を「×」
と表に記載した。
また、臭素系難燃剤としてポリ臭素化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤を使用した場合は、他の臭素系難燃剤を使用した場合に比べて、1.5mm厚の合計燃焼時間が短く難燃性により優れることがわかる。
さらに、硼酸金属塩として平均粒子径4μm以上のものを用いることにより、1.5mm厚の合計燃焼時間が短く難燃性により優れ、また、レーザー印字性もより優れることがわかる。
一方、表4の比較例においては、上記の全ての点に優れるものではないことが分かる。
硼酸金属塩を含有しない比較例1は難燃性がV−2と悪く、フィード性、耐金属腐食性も悪く、レーザー印字性も劣る。臭素系難燃剤を増量した比較例2は、難燃性はV−0達成可能であるが、硼酸金属塩を含有しないため、耐トラッキング性がPLC2ランクに未達であり、フィード性、耐金属腐食性も悪く、レーザー印字性も劣る。
さらに、硼酸金属塩のかわりに、その他の難燃助剤を配合(比較例3〜5)しても、難燃性V−0、耐トラッキング性PLC2ランクに未達であり、耐金属腐食性が悪く、フィード性、レーザー印字性も劣る結果となった。
Claims (12)
- (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、(B)臭素系難燃剤5〜50質量部、(C)三酸化アンチモン3〜15質量部および(D)硼酸金属塩0.3〜4.0質量部を含有し、(C)三酸化アンチモンと(D)硼酸金属塩の質量比(C/D)が2.2〜20の範囲にあることを特徴とするポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
- (C)三酸化アンチモンがマスターバッチとして配合される請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
- (D)硼酸金属塩中のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有量が2,000質量ppm以下である請求項1または2に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
- (D)硼酸金属塩の平均粒子径が4μm以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
- (D)硼酸金属塩が硼酸亜鉛である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
- さらに、含フッ素樹脂を含有する場合、その含有量が1質量%を超えない請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を成形してなる成形体。
- 成形体のコア部において、(C)三酸化アンチモンが、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂マトリックス中に分散して存在する(B)臭素系難燃剤相中に存在するモルフォロジーを有する請求項7に記載の成形体。
- (D)硼酸金属塩の少なくとも一部が(B)臭素系難燃剤相に接しているモルフォロジーを有する請求項7または8に記載の成形体。
- (B)臭素系難燃剤がポリ臭素化ベンジル(メタ)アクリレート系難燃剤を含む請求項7〜9のいずれか1項に記載の成形体。
- 成形体が、金属接点・端子を有する電気電子機器部品である請求項7〜10のいずれか1項に記載の成形体。
- 成形体が、コネクター用部品、リレー用部品、スイッチ用部品、ブレーカー用部品、電磁開閉器用部品及び端子台用部品からなる群より選ばれるものである請求項7〜11のいずれか1項に記載の成形体。
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