JP6533560B2 - アンテナ装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、指向制御可能な指向性ビームを形成する多素子フェイズドアンテナアレイを備える無線通信のための送信電力制御機器が記載されている。
特許文献1に記載の技術のような多素子フェイズドアンテナアレイによるビームフォーミングにおいては、最大利得値は、放射角度に応じてコサイン則にしたがって変化する。すなわち、放射角度0度で最大放射利得が得られ、放射角度の絶対値が大きくなるにつれてそれぞれの最大利得値が低下する。このため、ビームフォーミングを行うアンテナ装置(以下、ビームフォーミングアンテナ装置と称する)では、最大放射利得をできるだけ大きくしておくことが、良好な無線通信を行うために重要である。
例えば、ビームフォーミングアンテナ装置では、複数のパッチアンテナが格子状に配列され、列方向に並ぶパッチアンテナが給電線によって一括給電される。各列における給電位相が変えられることによって、各列に直交する方向における放射角度が制御される。
このとき、各列の給電線は、導体インピーダンスを有するため、導体損によって利得が低下する。
導体損を低減するために、導体インピーダンスを低減することも考えられるが、導体幅が広くなると、装置サイズが大きくなってしまうという問題がある。
また各給電線上の給電点のピッチおよび各パッチアンテナの大きさは、通信に使用する周波数帯域によって決まる設計波長に基づく適正な値に設定する必要がある。この点でも、小型化が難しいという問題がある。
を備えてもよい。
前記地導体板を挟んで前記第1の誘電体層と対向するように前記地導体板に固定された第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層を挟んで前記地導体板と対向するように前記第2の誘電体層に形成され、前記パッチアンテナ列ごとにそれぞれ対向して配置され、前記第1の表面の法線方向から見て、前記スロットのそれぞれと交差する位置に形成される配線側給電部から、前記パッチアンテナ列内の前記パッチアンテナのそれぞれに電磁結合給電する線状の給電用導体と、を備え、前記パッチアンテナのぞれぞれは、前記第1の方向において互いに離間して配置された2つの放射素子と、前記2つの放射素子の中間部において前記配線側給電部と対向して配置され、前記配線側給電部から電磁結合給電可能に設けられた電極部と、前記電極部と前記2つの放射素子とを前記第1の方向において、それぞれ電気的に接続する配線部と、を備えており、前記給電用導体は、前記法線方向から見て、前記パッチアンテナ列において前記第1の方向の中心部から、前記第1の方向における第1給電方向に延びる第1給電配線部と、前記第1給電配線部の基端に接続され、前記基端から前記第1給電配線部の反対側に延びる第2給電配線部と、前記第1給電配線部および前記第2給電配線部の接続部に電気的に接続され、前記第1給電配線部または前記第2給電配線部と並行して配置された第3給電配線部と、前記第1給電配線部または前記第2給電配線部において最も基端側の前記配線側給電部と、前記接続部と、の間に形成され、前記第1給電配線部における前記配線側給電部のそれぞれの位相と、前記第2給電配線部における前記配線側給電部のそれぞれの位相と、に、互いに180度の位相差を形成する位相調整部と、を備える。
上記アンテナ装置では、前記位相調整部は、前記位相調整部が形成された前記第1給電配線部または前記第2給電配線部の中心軸線を中心とする波形パターンによって形成されていてもよい。
図1は、本発明の実施形態のアンテナ装置の一例を示す模式的な平面図である。図2は、図1におけるA−A断面図である。図3は、本発明の実施形態のアンテナ装置のパッチアンテナの一例を示す模式的な平面図である。図4(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態のアンテナ装置のパッチアンテナ列、地導体板、および給電用導体の一例をそれぞれ示す模式的な平面図である。図5は、本発明の実施形態のアンテナ装置に用いるスロットの開口形状の一例を示す模式的な平面図である。図6(a)は、図4(c)におけるB部の給電用導体の拡大図である。図6(b)は、図4(c)におけるC部の給電用導体の拡大図である。
なお、各図面は模式図のため、寸法や形状は誇張または簡略化されている(以下の図面も同様)。
アンテナ装置100は、IoT(Internet of Things)分野における通信、あるいはWiGig(Wireless Gigabit)などの高速無線通信などにおけるアンテナ装置として用いることが可能である。
図2に示すように、アンテナ装置100は、パッチアンテナ1、第1の誘電体層2、地導体板3、第2の誘電体層4、および給電用導体層50が、この順に積層して構成されている。
以下では、積層方向をZ軸方向とし、Z軸方向に直交しかつ互いに直交する2軸方向をX軸方向(第2の方向)、Y軸方向(第1の方向)と称する。なお、ここでの座標系は右手系である。Z軸方向に見ることは平面視と称される場合がある。
パッチアンテナ1は、後述する給電用導体5(図2参照)から電磁結合給電される平面アンテナである。本実施形態では、パッチアンテナ1は、一例として、X軸方向およびY軸方向に並ぶ矩形格子状に複数配列されて、アンテナアレー10を構成している。図1に示す例では、アンテナアレー10は、Y軸方向に8個、X軸方向に16個が並んだ計128個のパッチアンテナ1によって構成されている。パッチアンテナ1のX軸方向の配列ピッチはPX、Y軸方向の配列ピッチはPYである。
配列ピッチPYは、後述する給電点の間隔に等しい。配列ピッチPYは、電磁誘導された際の特性を利用して、パッチアンテナ1において、2つの放射素子1aに流れる電流方向を揃えるために適正値に設定される。本実施形態では、配列ピッチPYは、設計上の通信波の波長の0.8倍に合わされている。
Y軸方向に配列された8個のパッチアンテナ1は、パッチアンテナ列1Yを構成している。各パッチアンテナ列1Yは、後述する給電用導体層50(図2参照)における一列の給電用導体5(図2参照)から電磁結合給電を受けることが可能である。
各放射素子1aのY軸方向の幅はWaY、X軸方向の幅はWX(ただし、0<WX<PX)である。各放射素子1aの中心(図心)は、Y軸方向に延びる軸線O上に位置する。
電極部1bは、X軸方向およびY軸方向にそれぞれ延びる辺を有する矩形状に形成されている。電極部1bのY軸方向の幅はWbY(ただし、0<WbY<2×dY)、X軸方向の幅はWbX(ただし、0<WbX<WX)である。
電極部1bの中心(図心)は、軸線O上に配置され、かつ各放射素子1aの中心に対して等距離に配置されている。
各配線部1cは、軸線Oを中心軸線とする線状の配線からなり、放射素子1aと電極部1bとを互いに電気的に接続している。各配線部1cの線幅(X軸方向の幅)は、Wc(0<Wc<WbX)である。各配線部1cの配線長は互いに等しく、dY−WbY/2である。
パッチアンテナ1の配列ピッチであるPY、PXは、それぞれ4mm、4mmである。ここで、PY=4(mm)は、通信周波数が60GHzの場合の波長5mmの0.8倍になっている。
放射素子1aの幅寸法であるWX、WaYは、それぞれ1.33mm、1.33mmである。dYは0.205mmである。
電極部1bの幅寸法であるWbX、WbYは、それぞれ0.5mm、0.6mmである。
配線部1cの線幅であるWcは、0.13mmである。
このような数値例では、パッチアンテナ1は、X軸方向の幅が1.33mm、Y軸方向の幅が3.57mmの矩形領域の範囲内に形成されている。
図4(a)に示すように、各パッチアンテナ1の間のY軸方向における隙間GYは、0.43mm(=4mm−3.57mm)である。各パッチアンテナ列1Yの間のX軸方向における隙間GXは、0.38mmである。
パッチアンテナ1は、例えば、銅などの金属材料によって形成される。
図2に示す例では、第1の誘電体層2は、それぞれ適宜の層厚および比誘電率を有する誘電体2A、2C、2Eが、誘電体である樹脂接着層2B、2Dによって接合されて構成された場合の例が示されている。第1の誘電体層2における第1面2aと反対側の表面である第2面2b(第2の表面)は、樹脂接着層2Fで構成されている。第2面2bを構成する樹脂接着層2Fは、後述する地導体板3を接合するために用いられている。
このように、第1の誘電体層2が複数層からなる場合に、第1の誘電体層2の誘電率および層厚の変更が容易になるため、パッチアンテナ1の各部における導体形状と併せて、各部のインピーダンスを所定値に設定することがより容易となる。
第1の誘電体層2の層厚は、電磁結合給電部のインピーダンスに関わるため適正な層厚に正確に合わせられることが重要である。
例えば、第1の誘電体層2の比誘電率が2.2の場合、層厚は0.1mmとすることがより好ましい。
地導体板3は、第2面2bを構成する樹脂接着層2Fを介して、第1の誘電体層2に固定されている。
本実施形態におけるスロット6は、平面視でH字状に開口している。具体的には、図5に示すように、スロット6は、X軸方向に長い矩形状の第1の開口部6aと、第1の開口部6aの長手方向の両端部においてY軸方向にそれぞれ延びる第2の開口部6bと、によって構成される。第1の開口部6aは、信号が通過する通過信号部を構成する。各第2の開口部6bは、通過信号部の両端部におけるインピーダンスを増大させるための開口部である。
図4(b)に示すように、例えば、パッチアンテナ列1Yの各パッチアンテナ1に対応して形成されたスロット6における各中心点(点C6)は、平面視では、パッチアンテナ列1Yの軸線O上にピッチPYで等間隔に並んでいる。
図5に示すように、スロット6の長手方向(X軸方向)の長さd3は、整合インピーダンスが同じ値となるような寸法に合わされることがより好ましい。例えば、d3は、1.35mmであってもよい。
第1の開口部6aの短手方向の幅W6aは、例えば、結合インピーダンスを200Ωにするため、0.3mmに設定することがより好ましい。
図5に示す例では、各第2の開口部6bは、X軸方向の長さがd2、Y軸方向の幅がW6b(ただし、W6b>W6a)の矩形状に開口している。
例えば、第2の開口部6bにおいて、d2、W6bは、それぞれ、0.3mm、0.6mmとされてもよい。この場合、第1の開口部6aの長さd1は、0.75mm(=1.35mm−2×0.3mm)になっている。
このため、第2の誘電体層4の第1面4aには地導体板3が配置されており、第2の誘電体層4の第2面4bには、後述する給電用導体5が配置されている。
給電効率を向上するため、第2の誘電体層4の比誘電率εrはなるべく小さいことが好ましい。例えば、第2の誘電体層4の比誘電率εrは、1以上2.5以下であることがより好ましい。
例えば、第2の誘電体層4の比誘電率εrが2.2の場合、第2の誘電体層4の層厚は、130μmにすることがより好ましい。
各給電用導体5の形状はいずれも同一であるため、以下では、図4(a)に示す1つのパッチアンテナ列1Yに対応して描かれた図4(c)に示す給電用導体5を例にして説明する。
給電用導体5は、パッチアンテナ列1Yを構成する各パッチアンテナ1を第1アンテナ群1Aと、第2アンテナ群1Bと、に分けて、それぞれのパッチアンテナ1に電磁結合給電を行う。ここで、第1アンテナ群1Aは、パッチアンテナ列1YにおいてY軸正方向側に並ぶ半数のパッチアンテナ1で構成される。第2アンテナ群1Bは、パッチアンテナ列1YにおいてY軸負方向側に並ぶ半数のパッチアンテナ1で構成される。
給電用導体5は、図示略の外部回路と所定のインピーダンスを有する接続路を介して電気的に接続可能である。図示略の外部回路との接続路の例としては、例えば、インピーダンスが50Ωの同軸ケーブルが挙げられる。
第1給電配線部5eは、第1アンテナ群1Aの各パッチアンテナ1に電磁結合給電を行うための配線である。
第1給電配線部5eは、平面視では、図示点M4から、Y軸正方向(第1給電方向)の先端5gまで軸線Oに沿って略直線状に延びている。ここで、点M4は、パッチアンテナ列1YにおけるX軸方向およびY軸方向の中心(図心)である点M1(図4(a)参照)とZ軸方向に対向する第2面4b上の点である。
具体的には、第1給電配線部5eは、平面視では、点M4の近傍におけるY軸負方向の端部に形成された後述する位相調整部5dを除いて、軸線O上に延びる直線状に形成されている。平面視における軸線Oは、位相調整部5dを除く第1給電配線部5eの中心軸線になっている。本明細書では、位相調整部5dを除く第1給電配線部5eの中心軸線を、単に第1給電配線部5eの中心軸線と称する。
第1給電配線部5eの先端部は、平面視では、第1アンテナ群1Aに対向するスロット6のうち、最もY軸正方向寄りのスロット6(図4(b)の最左端のスロット6)と交差して、スロット6からY軸正方向に突き出ている。第1給電配線部5eの先端5gのスロット6からの突き出し量はdsである。突き出し量dsは、第1アンテナ群1Aにおける最もY軸正方向側の第1給電配線部5eと電極部1bとの間の結合インピーダンスが適正になるように決められる。
位相調整部5dは、平面視において、第1給電配線部5eと重なるスロット6のうち最も基端側のスロット6と点M4との間に形成されている。このため、平面視にて第1アンテナ群1Aの各パッチアンテナ1と重なる4つのスロット6は、第1給電配線部5eにおいて位相調整部5dを除く直線状の部位(以下、第1給電配線部5eの本体と称する)と交差している。第1給電配線部5eの本体において各スロット6と重なる部位は、それぞれ第1給電配線部5eにおける配線側給電部を構成している。以下では、第1給電配線部5eにおける配線側給電部において、平面視で点C1、C6と重なる点C5Aを第1給電配線部5eにおける配線側給電点と称する場合がある。
第2給電配線部5fは、平面視では、点M4から、Y軸負方向(第2給電方向)の先端5hまで軸線O上に延びる直線状に形成されている。平面視における軸線Oは、第2給電配線部5fの中心軸線になっている。
第2給電配線部5fは、平面視では、第2アンテナ群1Bに対向するスロット6のうち、最もY軸負方向寄りのスロット6(図4(b)の最右端のスロット6)と交差して、スロット6からY軸負方向に突き出ている。第2給電配線部5fの先端5hのスロット6からの突き出し量は、第1給電配線部5eの場合と同様のdsである。
このため、給電用導体5において、点M4から先端5g、5hまでの距離は、互いに等しい。
平面視にて第2アンテナ群1Bの各パッチアンテナ1と重なる4つのスロット6は、第2給電配線部5fと交差している。第2給電配線部5fにおいて各スロット6と重なる部位は、それぞれ配線側給電部を構成している。以下では、第2給電配線部5fにおける配線側給電部において、平面視で点C1、C6と重なる点C5Bを第2給電配線部5fにおける配線側給電点と称する場合がある。
第3給電配線部5bは、第2の誘電体層4のY軸正方向側の基端部から、第1給電配線部5eと並行してY軸方向に直線状に延び、先端部が点M4に対向する位置においてX軸正方向に屈曲している。第3給電配線部5bの先端部は、X軸方向において点M4に対向する位置に配置されており、後述するインピーダンス整合部5cを介して、第1給電配線部5eおよび第2給電配線部5fの各基端(接続部)と電気的に接続している。
このため、第3給電配線部5bから見ると、第1給電配線部5eおよび第2給電配線部5fは、信号電流がY軸正方向とY軸負方向とに分岐する略T字状の分岐線路になっている。点M4は配線路の分岐点である。
本実施形態では、位相調整部5dは、第1給電配線部5eの本体と同一の線幅の配線がX軸方向に屈曲された全体として波形の形状を有する。波形の形状は、特に限定されないが、図6(a)に示す例では、矩形波状である。第1給電配線部5eの本体および位相調整部5dの線幅は、W5である。
位相調整部5dの配線長は、点M4から、第1給電配線部5eの最も基端側の給電点C5Aまでの直線距離よりも、設計上の通信波長の2分の1だけ長くなるように決められる。このため、位相調整部5dの配線長は、点M4から、図示略の第2給電配線部5fにおける最も基端側の給電点C5Bまでの第2給電配線部5fの配線長よりも、設計上の通信波長の2分の1だけ長くなっている。
第1線状部L1は、点M4からY軸正方向に延びる第1給電配線部5eの本体からX軸正方向に屈曲した直線部分である。第1線状部L1の長さはd11である。
第2線状部L2は、第1線状部L1におけるX軸正方向の端部からY軸正方向に屈曲した直線部分である。第2線状部L2の長さはd12である。
第3線状部L3は、第2線状部L2におけるY軸正方向の端部からX軸負方向に屈曲した直線部分である。第3線状部L3の長さはd13である。ただし、d13は、矩形波形状を形成するため、d13>d11である。さらに、d13は、位相調整部5dが第3給電配線部5bからX軸方向において離間するために、d13−d11<d4を満足する必要がある。
第4線状部L4は、第3線状部L3におけるX軸負方向の端部からY軸正方向に屈曲した直線部分である。第4線状部L4の長さはd14である。
第5線状部L5は、第4線状部L4におけるY軸正方向の端部からX軸正方向に屈曲し、第1給電配線部5eの本体と接続する直線部分である。第5線状部L5の長さはd15(=d13−d11−W5)である。
位相調整部5dにおいて第4線状部L4は、第3給電配線部5bに最も近づく線状部であり、信号電流の向きが第3給電配線部5bと反対になっている。このため、カップリングが生じて給電効率が低下しないように、第4線状部L4と第3給電配線部5bとの間の隙間の大きさH(=d4−d15−W5)は所定値H0以上にする必要がある。
さらに、位相調整部5dにおいては、軸線Oから第2線状部L2までの距離と、軸線Oからの第4線状部L4までの距離と、が互いに等しいことがより好ましい。
インピーダンス整合部5cは、第1給電配線部5eおよび第2給電配線部5fで構成される分岐線路の分岐点におけるインピーダンスと、第3給電配線部5bのインピーダンスと、のインピーダンス整合をとるために設けられている。
インピーダンス整合部5aは、図示略の外部回路との接続路とのインピーダンスと、第3給電配線部5bのインピーダンスと、のインピーダンス整合をとるために設けられている。
インピーダンス整合部5cの長さは、図6(a)に示す例では、d4に等しい。ただし、インピーダンス整合部5cの長さは、設計上の通信波の4分の1実効波長であることがより好ましい。
第3給電配線部5bの先端部では、線幅がW5からW5cに変化することによってインピーダンスが変化する。
本発明者の検討結果によれば、例えば、アンテナ装置100が使用する周波数帯域が60GHz帯域の場合、インピーダンス整合部5cにおける線幅の変化部におけるインピーダンスの変化量が50Ω以下であれば、分岐点における電流反射によるリターンロスが良好に抑制される。このため、インピーダンスの変化は、50Ω以下であることがより好ましい。
さらに、インピーダンスの変化を50Ω以下にするため、インピーダンス整合部5cは、第3給電配線部5bの本体から2段以上に拡幅するように形成されてもよい。この場合には、分岐点に接続する長手方向の末端に最も近い拡幅段におけるインピーダンスの変化量は、30Ω以下であることがさらに好ましい。
第1線状部A1は、線幅がW5a1(ただし、W5a1>W5)、長さがd21である。d21は、特に限定されないが、例えば、1mmとされてもよい。
第2線状部A2は、線幅がW5a2(ただし、W5<W5a2<W5a1)、長さがd22である。d22は、特に限定されないが、例えば、0.9mmとされてもよい。
インピーダンス整合部5aにおいても、インピーダンス整合部5cと同様、インピーダンスの変化は50Ω以下であることがより好ましい。また、インピーダンス整合部5aは、第3給電配線部5bの本体から2段に拡幅されているため、基端(長手方向の末端)に最も近い拡幅段におけるインピーダンスの変化量は30Ω以下であることがさらに好ましい。なお、インピーダンス整合部5aは、第3給電配線部5bの本体から基端側に向かって3段以上に拡幅するように形成されてもよい。
第1給電配線部5eにおける各配線側給電点C5Aと、第2給電配線部5fにおける各配線側給電点C5Bと、は、点M4を通りX軸方向に延びる対称軸に関して線対称な位置に形成されている。ただし、上述の位相調整部5dを有するため、線対称な位置に存在する配線側給電点C5Aと、配線側給電点C5Bの位相と、は、それぞれ等しい。
第1給電配線部5eおよび第2給電配線部5fの先端部における突き出し量dsは、0.75mmである。
給電用導体5における各本体の線幅は、W5=0.1(mm)である。
位相調整部5dの各寸法例は、d11、d12、d13、d14、d15がそれぞれ0.55mm、0.3mm、1.1mm、0.4mm、0.45mmである。位相差に対応する配線長Δは、2.4mm[=(0.55+0.1)mm+(1.1+0.1)mm+(0.45+0.1)mm]である。
この場合、位相調整部5dは、62.5GHzの通信波の半波長2.4mm(180度)の位相差を形成している。
第4線状部L4と第3給電配線部5bとの間の隙間Hは、0.3mm(=0.85mm−0.45mm−0.1mm)である。通信周波数が62.5GHzの場合、配線間でカップリングが許容範囲となる隙間であるH0は、0.3mmであるため、本数値例の隙間Hによれば、カップリングを防止できる。
インピーダンス整合部5aにおいて、線幅W5a1、W5a2は、0.38mm、0.2mmである。長さd21、d22は、1.0mm、0.9mmである。これにより、第3給電配線部5bの本体から、インピーダンス整合部5aの基端(長手方向の末端)に向かって、インピーダンスが、120Ω、78Ω、50Ωのように、2段に変化している。各段におけるインピーダンスの変化量は、42Ω、28Ωである。
まず、第2の誘電体層4の第1面4a、第2面4bにそれぞれ導体膜が形成された後、例えば、エッチングなどによって、それぞれ地導体板3、給電用導体層50がパターニングされる。さらに、地導体板3上に、誘電体2A、2Cおよび2Eが貼り合わされた第1の誘電体層2が貼り合わせられる。この後、第1の誘電体層2の第1面2aに、導体膜が成膜され、例えば、エッチングなどによって、アンテナアレー10がパターニングされる。
なお、第1の誘電体層2にアンテナアレー10がパターニングされてから、第1の誘電体層2と地導体板3が貼り合わせられてもよい。
図7は、本発明の実施形態のアンテナ装置の作用の説明図である。図8は、矩形状のパッチアンテナを有する比較例の構成の一例を示す模式図である。
各第3給電配線部5bは、基端部にインピーダンス整合部5aを有するため、図示略の外部回路の接続路とはインピーダンス整合がとられている。
このとき、本実施形態では、インピーダンス整合部5aの線幅が第3給電配線部5bの本体に向かって2段階に縮幅されてインピーダンスが段階的に増大する。このため、リターンロスが低減され、給電効率が良好になる。特に上記数値例の場合、各段のインピーダンスの変化量が50Ω以下であり、かつ基端に最も近い拡幅段のインピーダンスの変化量が30Ω以下であるため、さらにリターンロスが低減される。
このため、点M4を通りX軸方向に延びる対称軸に関して線対称な位置に存在する第1給電配線部5e上の配線側給電点C5Aと、第2給電配線部5f上の配線側給電点C5Bと、にそれぞれ同位相の信号電流が供給される。
このとき、各配線側給電部と各電極部1bとの間の電磁結合給電部は、スロット6によってインピーダンス整合がとられているため、給電損失が低減される。
このとき、本実施形態では、アンテナ側給電点のピッチPYが適正にされているため、各放射素子1aに流れる電流方向がY軸方向において略同じ向きになる。
図7には、点M1を挟んで互いに対向する第1アンテナ群1Aにおける最も基端側のパッチアンテナ1と、第2アンテナ群1Bにおける最も基端側のパッチアンテナ1と、における電流方向が模式的に描かれている。
例えば、第1アンテナ群1Aにおける最も基端側のパッチアンテナ1は、Y軸正方向側の放射素子1aである放射素子EA1と、Y軸負方向側の放射素子1aである放射素子EA2と、を有している。放射素子EA1における電流方向が、例えば、矢印CUR1、CUR5のようにY軸正方向であるとすると、上述のように、放射素子EA2における電流方向は、例えば、矢印CUR2、CUR6のように、Y軸正方向となる。
しかし、第1給電配線部5eは位相調整部5dを有するため、各アンテナ側給電点C1の位相は、第1アンテナ群1Aと第2アンテナ群1Bとの間でも同位相になっている。このため、図7に示すように、放射素子EB1における電流方向は矢印CUR3、CUR7、放射素子EB2における電流方向は矢印CUR4、CUR8のように、いずれもY軸正方向となる。
このため、一端部から給電される直線状の給電配線によって、パッチアンテナ列1Yのすべてのパッチアンテナ1に給電する場合に比べて、給電配線の最大の線路長を半分以下にすることができる。これにより、本実施形態では、導体損失が半減されるため、高利得が得られる。
各放射素子1aにおける電流方向がY軸方向において略同じ向きになることによって、隣り合うパッチアンテナ1の間の電磁波の干渉による利得の低下が抑制できる。このため、放射素子EA2と放射素子EB1との間のY軸方向の隙間GYが狭くなっても利得が低下することはない。
例えば、上記数値例では、隙間GYは、0.43mmのような微小隙間になっている。
パッチアンテナ301の形状は、例えば、X軸方向の幅がW301X、Y軸方向の幅がW301Yの矩形状である。パッチアンテナ301は、本実施形態と同様配列ピッチPYで配列される。各パッチアンテナ301におけるアンテナ側給電点C1は、各パッチアンテナ301の中心部に位置する。
パッチアンテナ301では、W301X、W301Yは通信周波数に応じて決まる所定値にする必要がある。このため、通信周波数が60GHzの場合、W301X、W301Yは、2.24mm、2.24mmとなり、各パッチアンテナ301の間のY軸方向の隙間gYは2.24mmとなる。
このように、パッチアンテナ301は、本実施形態のパッチアンテナ1に比べるとY軸方向により大きな隙間が生じ、パッチアンテナ301を格子状に配列するには、X軸方向の配列ピッチPXもより大きくする必要が生じる。このため、アンテナ装置のX軸方向の大きさが大きくなってしまう。
図9は、比較例2のアンテナ装置のパッチアンテナ列の構成を示す模式的な裏面図である。図10は、本発明の実施形態のアンテナ装置の実施例のパッチアンテナ列の放射パターンを示すグラフである。図11は、比較例2のアンテナ装置におけるパッチアンテナ列の放射パターンを示すグラフである。図12は、実施例のアンテナ装置のパッチアンテナ列における利得および反射損失S11の周波数特性を示すグラフである。図13は、比較例2のアンテナ装置のパッチアンテナ列における利得および反射損失S11の周波数特性を示すグラフである。
以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
給電配線部405bのY軸正方向側の端部(基端部)には、上記実施形態と同様のインピーダンス整合部5aが形成されている。このため、給電配線部405bは、図示略の外部回路と所定のインピーダンスを有する接続路を介して電気的に接続可能である。
給電用導体405は、上記実施形態と同様の位置の配線側給電点の位置から、パッチアンテナ列1Yを構成する8つのパッチアンテナ1に対して電磁結合給電することができる。ただし、給電配線部405bは途中で分岐していないため、各パッチアンテナ1までの給電経路における配線長は、パッチアンテナ1ごとにすべて異なる。各アンテナ側給電点の配列ピッチは、上記実施形態と同様のPYであるため、分割回路パターン1dで接続された2つの放射素子1aにおける信号電流の位相は互いに等しい。
図10、11において、横軸は仰角θ(度)、縦軸は利得(dBi)である。図10、11において、実線(曲線201、203)は、周波数は、60GHzの場合のXZ面における全利得を、破線(曲線202、204)はYZ面における全利得を表す。ここで、XZ面は電気面(E面)であり、YZ面は磁気面(H面)である。
曲線201、203を比べると分かるように、実施例のXZ面における利得は、θ=0(度)において、比較例2の利得に比べて約6dBほど高かった。他の仰角における利得も略同様であった。
曲線202、204を比べると分かるように、実施例のYZ面における利得は、サイドローブが略見られないのに対して、比較例ではサイドローブが顕著であった。また、比較例では、最大利得がθ=0(度)からずれている。
図12、13において、横軸は周波数(GHz)、縦軸は、左側が利得(dBi)、右側が反射損失S11(dB)である。図12、13において、実線(曲線205、207)は、全利得を、破線(曲線206、208)は反射損失S11を表す。
曲線205で示されるように、実施例の全利得は57.5GHzから62GHzまでの間で、許容範囲の10dBi以上であった。これに対して、曲線207で示されるように、比較例2の全利得は、10dBi以上となる範囲が57.5GHzから60GHzのように格段に狭くなっていた。特に、比較例2では、通信波長である60GHzおよびそれ以上において全利得が許容範囲外になっていた。
曲線206で示されるように、実施例の反射損失S11は、約58.8GHzから約62.6GHzまでの間で、許容範囲の−10dB以下であった。これに対して、曲線208で示されるように、比較例2の反射損失S11は、−10dB以下となる範囲が約60.3GHzから約61.0GHzのように格段に狭くなっていた。
図14は、実施例のアンテナ装置における全利得を示すグラフである。図15は、実施例のアンテナ装置における最大利得の周波数特性を示すグラフである。図16は、実施例のアンテナ装置における最大利得のスキャンアングル特性を示すグラフである。
図14における曲線211、212に示されたように、アンテナ装置100では、XZ面およびYZ面とも25dBi以上の良好な全利得が得られていることが分かる。
図15における曲線213に示されたように、アンテナ装置100では、約58.4GHzから約61.5GHzの間で、23dBi以上の良好な最大利得が得られた。
図16における曲線214に示されたように、アンテナ装置100では、約−50度から約+51度の範囲で、23dBi以上の良好な最大利得が得られた。特に、スキャンアングルが0度の場合、最大利得は約25.8dBiであった。
アンテナ装置100では、上述したように、スキャンアングルが0度の場合の最大利得が向上されているため、スキャンアングルの絶対値が増大するとともにコサイン則にしたがって最大利得が低下しても、約±50度の範囲で、良好な最大利得が得られた。
次に、上記実施形態の変形例のアンテナ装置について説明する。
図17は、本発明の実施形態の変形例のアンテナ装置の主要部の構成および電流方向のシミュレーション結果を示す模式図である。
以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
第1給電配線部15eは、第1給電配線部5eから位相調整部5dが削除されて構成されたY軸方向に延びる直線状の配線部である。
第2給電配線部15fは、第2給電配線部5fの基端部に位相調整部15dを備えて構成される。具体的には、本変形例の位相調整部15dは、平面視において、第2給電配線部15fと重なるスロット6のうち最も基端側のスロット6と点M4との間に形成されている。
位相調整部15dは、上記実施形態の位相調整部5dを、Y軸方向において反転させたように構成されている。
このように、本変形例は、位相調整部15dが第2給電配線部15fの基端部に設けられているため、位相調整部15dは第3給電配線部5bと並行しない場合の例になっている。
図17には、実線矢印によって、アンテナ装置110のパッチアンテナ列1Yのパッチアンテナ1における電流方向のシミュレーション結果が示されている。
図17から分かるように、上記実施形態と同様、各放射素子1aでは、Y軸方向における電流の向きは、それぞれ略同一である。このため、白抜き矢印CURA、CURBで示すように、第1アンテナ群1Aおよび第2アンテナ群1Bにおける全体としての電流方向も同方向になっている。
特に、本変形例では、位相調整部15dが、第3給電配線部5bと並行しない配置関係になっているため、上記実施形態における位相調整部5dよりも設計上の制約が少なくなる。このため、本変形例では、位相調整部15dは、位相調整部5dと線対称をなす形状の場合で説明したが、位相調整部15dの形状は、180度の位相差を形成できれば、この形状には限定されない。
また、本変形例では、上記実施形態に比べて、位相調整部15dが、第3給電配線部5bから離れているため、第3給電配線部5bと位相調整部15dとのカップリングがより発生しにくくなっている。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
Claims (6)
- 第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層の第1の表面に配置され、第1の方向に整列して配列された複数のパッチアンテナからなるパッチアンテナ列が、前記第1の方向と交差する方向に複数配列されたアンテナアレーと、
前記第1の誘電体層において前記第1の表面と反対側の第2の表面に配置され、前記パッチアンテナと対向する位置に、無導体部を構成するスロットが形成された地導体板と、
前記地導体板を挟んで前記第1の誘電体層と対向するように前記地導体板に固定された第2の誘電体層と、
前記第2の誘電体層を挟んで前記地導体板と対向するように前記第2の誘電体層に形成され、前記パッチアンテナ列ごとにそれぞれ対向して配置され、前記第1の表面の法線方向から見て、前記スロットのそれぞれと交差する位置に形成される配線側給電部から、前記パッチアンテナ列内の複数の前記パッチアンテナのそれぞれに電磁結合給電する直線状の給電用導体と、
を備え、
前記パッチアンテナのぞれぞれは、
前記第1の方向において互いに離間して配置された2つの放射素子と、
前記2つの放射素子の中間部において前記配線側給電部と対向して配置され、前記配線側給電部から電磁結合給電可能に設けられた電極部と、
前記電極部と前記2つの放射素子とを前記第1の方向において、それぞれ電気的に接続する配線部と、
を備える、
アンテナ装置。 - 前記給電用導体は、
前記法線方向から見て、前記パッチアンテナ列において前記第1の方向の中心部から、前記第1の方向における第1給電方向に延びる第1給電配線部と、
前記第1給電配線部の基端に接続され、前記基端から前記第1給電配線部の反対側に延びる第2給電配線部と、
前記第1給電配線部および前記第2給電配線部の接続部に電気的に接続され、前記第1給電配線部または前記第2給電配線部と並行して配置された第3給電配線部と、
前記第1給電配線部または前記第2給電配線部において最も基端側の前記配線側給電部と、前記接続部と、の間に形成され、前記第1給電配線部における前記配線側給電部のそれぞれの位相と、前記第2給電配線部における前記配線側給電部のそれぞれの位相と、に、互いに180度の位相差を形成する位相調整部と、
を備える、
請求項1に記載のアンテナ装置。 - 第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層の第1の表面に配置され、第1の方向に整列して配列された複数のパッチアンテナからなるパッチアンテナ列が、前記第1の方向と交差する方向に複数配列されたアンテナアレーと、
前記第1の誘電体層において前記第1の表面と反対側の第2の表面に配置され、前記パッチアンテナと対向する位置に、無導体部を構成するスロットが形成された地導体板と、
前記地導体板を挟んで前記第1の誘電体層と対向するように前記地導体板に固定された第2の誘電体層と、
前記第2の誘電体層を挟んで前記地導体板と対向するように前記第2の誘電体層に形成され、前記パッチアンテナ列ごとにそれぞれ対向して配置され、前記第1の表面の法線方向から見て、前記スロットのそれぞれと交差する位置に形成される配線側給電部から、前記パッチアンテナ列内の前記パッチアンテナのそれぞれに電磁結合給電する線状の給電用導体と、
を備え、
前記パッチアンテナのぞれぞれは、
前記第1の方向において互いに離間して配置された2つの放射素子と、
前記2つの放射素子の中間部において前記配線側給電部と対向して配置され、前記配線側給電部から電磁結合給電可能に設けられた電極部と、
前記電極部と前記2つの放射素子とを前記第1の方向において、それぞれ電気的に接続する配線部と、
を備えており、
前記給電用導体は、
前記法線方向から見て、前記パッチアンテナ列において前記第1の方向の中心部から、前記第1の方向における第1給電方向に延びる第1給電配線部と、
前記第1給電配線部の基端に接続され、前記基端から前記第1給電配線部の反対側に延びる第2給電配線部と、
前記第1給電配線部および前記第2給電配線部の接続部に電気的に接続され、前記第1給電配線部または前記第2給電配線部と並行して配置された第3給電配線部と、
前記第1給電配線部または前記第2給電配線部において最も基端側の前記配線側給電部と、前記接続部と、の間に形成され、前記第1給電配線部における前記配線側給電部のそれぞれの位相と、前記第2給電配線部における前記配線側給電部のそれぞれの位相と、に、互いに180度の位相差を形成する位相調整部と、
を備える、
アンテナ装置。 - 前記位相調整部は、前記位相調整部が形成された前記第1給電配線部または前記第2給電配線部の中心軸線を中心とする波形パターンによって形成されている、請求項2または3に記載のアンテナ装置。
- 前記第3給電配線部は、
長手方向の端部において末端に向かうにつれて線幅が2段以上拡幅されたインピーダンス整合部を有する、
請求項2〜4のいずれか1項に記載のアンテナ装置。 - 前記インピーダンス整合部は、
隣り合う各段のインピーダンスの変化が50Ω以下になっており、かつ、前記末端に最も近い拡幅段のインピーダンスの変化が30Ω以下になっている、請求項5に記載のアンテナ装置。
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