JP6586546B2 - 高分子薄膜、フィルム状積層体、および、高分子薄膜の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、ポリメチルペンテン系樹脂を含むオレフィン系樹脂シートが記載されている。
このオレフィン系樹脂シートは、ポリメチルペンテン系樹脂を、炭化水素類とエーテル類とを特定の割合で混合した溶媒で溶解した液状組成物を用いて、塗膜を形成して乾燥することにより、製造できる。
しかしながら、特許文献1に記載のオレフィン系樹脂シートは、被着物に対して密着させることができなかった。また、特許文献1には、オレフィン系樹脂シートの平均厚さは0.2μm以上10μm以下が好ましいとの記載があるが、特許文献1に記載のオレフィン系樹脂シートの製造方法では、フィルムの厚さをナノオーダーにすることはできなかった。
前述の本発明の一態様において、前記高分子薄膜が、前記メチルペンテン系ポリマー(A)を50質量%以上含むことが好ましい。
前述の本発明の一態様において、前記メチルペンテン系ポリマー(A)の融点が、130℃以上199℃以下であることが好ましい。
前述の本発明の一態様において、前記高分子薄膜の表面炭素濃度が、95原子%以上であることが好ましい。
前述の本発明の一態様において、前記工程フィルムの表面自由エネルギーが、40mJ/m2以下であることが好ましい。
前述の本発明の一態様において、前記工程フィルムの表面の算術平均粗さが、40nm以下であることが好ましい。
前述の本発明の一態様において、前記工程フィルムの表面自由エネルギーが、40mJ/m2以下であることが好ましい。
前述の本発明の一態様において、前記工程フィルムの表面の算術平均粗さが、40nm以下であることが好ましい。
本実施形態に係る高分子薄膜1は、図1に示すように、自己支持性を有する薄膜である。なお、本明細書において「自己支持性」とは、高分子薄膜1が他の支持体に積層されていない場合に、高分子薄膜1が単独で膜を形成できる性質のことを言い、より具体的には膜強度が5mN/mmφ以上であることを言う。また、「自己支持性」を有する膜においては、膜強度が、10mN/1mmφ以上であることが好ましく、15mN/1mmφ以上であることがより好ましい。膜強度は、クリープメーター(例えば、株式会社山電製の商品名「クリープメーターRE2−3305CYAMADEN」)にて測定できる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
高分子薄膜1の厚さは、好ましくは30nm以上であり、より好ましくは50nm以上であり、よりさらに好ましくは100nm以上であり、特に好ましくは150nm以上である。また、高分子薄膜1の厚さは、好ましくは900nm以下であり、より好ましくは700nm以下であり、よりさらに好ましくは550nm以下であり、特に好ましくは400nm以下である。
メチルペンテン系ポリマー(A)は、メチルペンテン系ホモポリマーであってもよく、メチルペンテン系コポリマーであってもよい。
メチルペンテン系ポリマー(A)は、前記一般式(1)で表される構成単位以外の構成単位として、例えば、エチレンおよび4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数3から20のα−オレフィンを含んでもよい。
かかる炭素数3から20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンなどが挙げられる。
これらのうち、好ましくは4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数6から20のα−オレフィンであり、さらに好ましくは炭素数8から20のα−オレフィンである。これらのα−オレフィンは1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
かかる反応性官能基としては、例えば、カルボキシ基、酸無水物構造、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、イミド基、およびニトリル基からなる群から選択される少なくともいずれかの反応性官能基が挙げられる。
また、脂肪族ポリイソシアネート化合物により架橋可能な反応性官能基としては、カルボキシ基、酸無水物構造、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、イミド基並びにニトリル基などが挙げられる。これらの中でも、カルボキシ基および酸無水物構造が好ましい。
また、これらの反応性官能基を有する構成単位、すなわちエチレン性不飽和結合含有モノマーとしては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の誘導体(酸無水物、酸アミド、酸イミド、エステル、酸ハロゲン化合物および金属塩など)、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、およびスチレン系モノマーが挙げられる。
これらの中でも、エチレン性不飽和結合含有モノマーとしては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の誘導体、水酸基含有エチレン性不飽和化合物並びにエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物が好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、不飽和カルボン酸およびその誘導体としては、塩化マロニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、アクリル酸、ナジック酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチルおよびメタクリル酸メチルなどが好ましく、アクリル酸、マレイン酸、ナジック酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸並びにメタクリル酸メチルがより好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加えて、上記観点より、脂肪族ポリイソシアネート化合物により架橋可能な反応性官能基を有する構成単位の割合を、全構成単位100質量%に対して0.3質量%以上7質量%以下の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5質量%以上5質量%以下の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、脂肪族ポリイソシアネート化合物により架橋可能な反応性官能基を有する構成単位以外の構成単位として、炭素原子数3〜20のα−オレフィンを含んでもよい。
メチルペンテン系ポリマー(A)の融点が130℃以上であれば、高分子薄膜を作成する際に加熱工程で軟化することを防止できる。一方、メチルペンテン系ポリマー(A)の融点が199℃以下であれば、高分子薄膜形成用溶液の塗布性を向上できる。
加えて、上記観点より、メチルペンテン系ポリマー(A)の融点を140℃以上190℃以下の範囲内の値とすることがより好ましく、150℃以上185℃以下の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、高分子薄膜の主成分となるメチルペンテン系ポリマー(A)は、高分子薄膜形成用溶液の構成要素の一種であることから、溶剤に対して溶解可能である。
高分子薄膜1は、メチルペンテン系ポリマー(A)以外のオレフィン系ポリマー(B)(以下、場合により「非MPオレフィン系ポリマー(B)」と称する)を含んでいてもよい。
非MPオレフィン系ポリマー(B)を使用する場合、自己支持性および撥水性の観点から、メチルペンテン系ポリマー(A)の含有量は、ポリマー全量基準で、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
非MPオレフィン系ポリマー(B)は、オレフィンを単量体の少なくとも一種とするオレフィン系ポリマーであって、メチルペンテン系化合物を単量体として有さないオレフィン系ポリマーである。したがって、非メチルペンテン系ポリマー(B)は、高分子中にメチルペンテンを含まない限り、特に限定されず、芳香族環式ポリオレフィンであっても、非環式ポリオレフィンあってもよい。芳香族環式ポリオレフィンとしては、芳香族環の環状構造を有するオレフィンを単量体の少なくとも一種とするポリオレフィンが挙げられる。非MPオレフィン系ポリマー(B)は、ホモポリマーであってもよく、コポリマーであってもよい。
高分子薄膜1は、接着剤などを用いずとも、被着物に対して密着させることができる。被着物としては、特に限定されない。例えば、被着物としては、ステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ガラス、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、および半導体回路基板などが挙げられる。これらを被着物とすることで、任意の被着物に対して簡便に撥水性を付与することができる。また、上記以外の被着物としては、人、動物、衣類、帽子、靴および装飾品などが挙げられる。これらを被着物とすると、高分子薄膜1は、非常に薄いために、貼付部位が目立たず、また軽量であるために好ましい。
また、高分子薄膜1は、高い撥水性を有するので、汗または雨などへの耐性もある。そのため、高分子薄膜1は、ウェアラブル端末などを皮膚に密着させるためにフィルムとして特に好適に用いることができる。
本実施形態に係る高分子薄膜の製造方法は、高分子薄膜1を製造する高分子薄膜の製造方法である。そして、本実施形態に係る高分子薄膜の製造方法は、工程フィルム上に、前記メチルペンテン系ポリマー(A)を含む高分子薄膜形成用溶液を塗布し、乾燥して、前記高分子薄膜を形成する工程(高分子薄膜形成工程)と、前記高分子薄膜を、前記工程フィルムから剥離する工程(剥離工程)と、を備える方法である。
図2は、本実施形態に係る高分子薄膜の製造方法で用いる工程フィルム2を示す断面概略図である。工程フィルム2は、第一の面2Aおよび第二の面2Bを有する。
高分子薄膜形成工程においては、図2に示すような工程フィルム2の第一の面2Aおよび第二の面2Bのうち、第一の面2A上に、前記メチルペンテン系ポリマー(A)を含む高分子薄膜形成用溶液を塗布し、乾燥して、高分子薄膜1を形成して、図3に示すようなフィルム状積層体100を得る。
ここで、高分子薄膜形成工程で用いる工程フィルムおよび高分子薄膜形成用溶液について説明する。
工程フィルム2としては、特に限定されない。例えば、取り扱い易さの観点から、工程フィルム2は、剥離基材21と、剥離基材21の少なくとも一方の面上に形成された剥離剤層22とを備えることが好ましい。本実施形態では、剥離剤層22の表面が第一の面2Aに相当し、剥離基材21の剥離剤層22が形成された面とは反対側の面が第二の面2Bに相当する。
剥離基材21としては、例えば、紙基材、この紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、並びにプラスチックフィルムなどが挙げられる。
紙基材としては、グラシン紙、上質紙、コート紙、およびキャストコート紙などが挙げられる。プラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートなど)、並びにポリオレフィンフィルムなど(例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレンなど)が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
剥離剤層22は、剥離剤が塗布されて形成されてもよい。剥離剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、ゴム系エラストマー(例えば、ブタジエン系樹脂、イソプレン系樹脂など)、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂、およびシリコーン系樹脂が挙げられる。これらの中でも剥離剤としては、オレフィン系樹脂、ゴム系エラストマー(例えば、ブタジエン系樹脂、イソプレン系樹脂など)、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、およびフッ素系樹脂からなる群から選択されるいずれかの剥離剤であることが好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。剥離剤層は、帯電防止剤をさらに含有してもよく、帯電防止剤を含有していなくてもよい。
工程フィルム2の第一の面2Aの表面自由エネルギーは、40mJ/m2以下であることが好ましく、20mJ/m2以上40mJ/m2以下であることがより好ましい。表面自由エネルギーが20mJ/m2以上であれば、工程フィルム2上に高分子薄膜形成用溶液を良好に塗布でき、また、表面自由エネルギーが40mJ/m2以下であれば、工程フィルム2から高分子薄膜1を容易に剥離でき、生産性を向上できる。表面自由エネルギーは、各種液滴の接触角(測定温度:25℃)を測定し、その値をもとに北崎・畑理論により求めることができる。
工程フィルム2の第一の面2Aの表面の算術平均粗さ(Ra)は、40nm以下であることが好ましく、0.1nm以上30nm以下であることがより好ましく、0.5nm以上25nm以下であることが特に好ましい。表面の算術平均粗さが前記範囲内であれば、高分子薄膜1に形成される凹凸を十分に抑制でき、高分子薄膜1の膜強度を向上できる。算術平均粗さは、例えば、Veeco instruments社製、光干渉顕微鏡NT1100を用いて測定できる。
剥離剤層22の厚さは、特に限定されない。剥離剤を含む溶液を剥離基材21の上に塗布して剥離剤層22を形成する場合、剥離剤層22の厚さは、0.01μm以上2.0μm以下であることが好ましく、0.03μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。
剥離基材21としてプラスチックフィルムを用いる場合、当該プラスチックフィルムの厚さは、3μm以上50μm以下であることが好ましく、5μm以上90μm以下であることがより好ましく、10μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
高分子薄膜形成用溶液における溶質としての高分子薄膜形成用の材料物質は、上記の高分子薄膜のメチルペンテン系ポリマー(A)である。なお、この材料物質としては、非MPオレフィン系ポリマー(B)をさらに用いてもよい。メチルペンテン系ポリマー(A)および非MPオレフィン系ポリマー(B)については、既に説明したため、省略する。
また、溶剤の沸点としては、30℃以上160℃以下の範囲内の値とすることが好ましく、35℃以上120℃以下の範囲内の値とすることがより好ましい。
高分子薄膜形成用溶液中の材料物質の濃度が0.1質量%以上であれば、必要な厚さが得られなくなる場合があるという不具合、および、溶液の粘度が最適にならないという不具合を抑制できる。一方、高分子薄膜形成用溶液中の材料物質の濃度が20質量%以下であれば、均一な塗膜が得られなくなる場合があるという不具合を抑制できる。
また、上記観点より、高分子薄膜形成用溶液中の材料物質の濃度を0.3質量%以上15質量%以下の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5質量%以上10質量%以下の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
高分子薄膜形成用溶液の粘度が1mPa・s以上であれば、塗膜のハジキが発生するという不具合を抑制できる。一方、高分子薄膜形成用溶液の粘度が500mPa・s以下であれば、均一な塗膜が得られなくなるという不具合を抑制できる。
また、上記観点より、高分子薄膜形成用溶液の粘度(測定温度:25℃)を2mPa・s以上400mPa・s以下の範囲内の値とすることがより好ましく、3mPa・s以上300mPa・s以下の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、高分子薄膜形成用溶液の粘度は、JIS K7117−1の4.1(ブルックフィールド型回転粘度計)に準拠して測定されたものである。
乾燥温度が40℃以上であれば、乾燥に時間がかかり過ぎたり乾燥不足になったりする不具合を抑制できる。一方、乾燥温度が120℃以下であれば、皺またはカールが生じたりする不具合を抑制できる。
また、乾燥時間が6秒以上であれば、乾燥不足になるという不具合を防止できる。一方、乾燥時間が300秒以下であれば、皺またはカールが生じたりする不具合を抑制できる。
また、上記観点より、高分子薄膜形成用溶液の塗布層を高分子薄膜1とするための乾燥条件を、50℃以上110℃以下の温度条件、かつ12秒間以上180秒間以下の乾燥時間とすることがより好ましく、60℃以上100℃以下の温度条件、かつ18秒間以上120秒間以下の乾燥時間とすることがさらに好ましい。
この理由は、ロールツーロール法であれば、所定の厚さを有する高分子薄膜1を、より効率的に形成することができることから、フィルム状積層体100をより効率よく大量生産することができるためである。
また、ロールツーロール法を実施するにあたり、塗布装置として、バーコータ、グラビアコータまたはダイコータが好ましく、特にリバースグラビアコータまたは、スロットダイコータがより好ましい。
この理由は、これらの塗布装置であれば、所定の厚さを有する高分子薄膜1を、さらに効率的に形成することができるためである。
すなわち、バーコータ、リバースグラビアコータおよびスロットダイコータであれば、ナノメートルオーダーの厚さの高分子薄膜1を、その表面に皺を発生させることなく、かつ、均一な厚さで形成できる。しかも、バーコータ、リバースグラビアコータおよびスロットダイコータは、その構造が簡単である上、経済性にも優れる。
剥離工程においては、図3に示すようなフィルム状積層体100における高分子薄膜1を、工程フィルム2から剥離して、自己支持性を有する高分子薄膜1を得る。
剥離工程における工程フィルム2の高分子薄膜1からの剥離力は、5mN/20mm以上、100mN/20mm以下であることが好ましく、10mN/20mm以上、70mN/20mm以下であることがより好ましく、15mN/20mm以上、50mN/20mm以下であることが特に好ましい。
上記の剥離力が5mN/20mm以上であれば、高分子薄膜形成工程において、工程フィルムと高分子薄膜とが剥がれやすくなるという不具合を抑制できる。また、上記の剥離力が100mN/20mm以下であれば、剥離工程において、高分子薄膜から工程フィルムが剥離しにくくなり、高分子薄膜が破断するという不具合を抑制できる。
上記の剥離力は、例えば、工程フィルム2に用いる剥離剤の種類を変更することで調整できる。
本実施形態に係るフィルム状積層体100は、図3に示すように、高分子薄膜1と、工程フィルム2とを備えている。このフィルム状積層体100は、工程フィルム2上に前記高分子薄膜形成用溶液を塗布し、塗布層を乾燥して、高分子薄膜1を形成することによって得られる。すなわち、このフィルム状積層体100は、前述の本実施形態に係る高分子薄膜の製造方法における高分子薄膜形成工程により得られる。
本実施形態によれば、次のような作用効果を奏することができる。
(1)前記一般式(1)で表されるメチルペンテン系ポリマー(A)を含み、厚さが10nm以上1000nm以下であり、かつ、自己支持性を有する高分子薄膜1を効率よく製造できる。
(2)接着剤などを用いずとも、被着物に対して密着させることができ、高い撥水性を有する高分子薄膜1を提供できる。
本実施形態は前述の実施形態に限定されず、本実施形態の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本実施形態に含まれる。
例えば、前述の実施形態では、剥離基材21および剥離剤層22を備える工程フィルム2を用いたが、これに限定されない。例えば、剥離基材21の少なくともいずれかの面の表面自由エネルギーおよび表面の算術平均粗さが、適当な範囲内にある場合には、剥離基材21のみからなる単層のフィルムを工程フィルム2として使用してもよい。
1.工程フィルムの選定
(1) 工程フィルムの製造
試験例1の工程フィルムは、剥離基材と、剥離基材上に設けられた剥離剤層とを有する。
シリコーン変性アルキッド樹脂とアミノ樹脂の混合物(信越化学工業株式会社製:商品名「KS−882」)100重量部と、p−トルエンスルホン酸(硬化剤)1重量部とをトルエンで希釈し、固形分濃度2質量%の塗布液を調製した。
次いで、得られた塗布液を、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱ケミカル株式会社製の「ダイアホイルT100」)上に、マイヤーバーにて塗布し、140℃、60秒間加熱して乾燥させ、平均厚さ0.1μmの剥離剤層を形成した工程フィルムを得た。
酢酸エチルで溶解したポリ(4−メチル−1−ペンテン)樹脂(三井化学株式会社製、融点180℃)溶液(固形分10質量%)を、トルエンおよび酢酸エチルの混合溶媒(トルエン/酢酸エチル=85質量%/15質量%)で、固形分3質量%に希釈して高分子薄膜形成用溶液を調製した。
次いで、リバースグラビアコータを用いて、準備した工程フィルム上に乾燥後の高分子薄膜の厚さが800nmとなるように、高分子薄膜形成用溶液を塗布した後、100℃で60秒間乾燥させフィルム状積層体を得た。
(1)工程フィルムの表面自由エネルギーの測定
工程フィルムにおける高分子薄膜形成用溶液を塗布する面(高分子薄膜との接触面)における表面自由エネルギー(mJ/m2)は、各種液滴の接触角(測定温度:25℃)を測定し、その値をもとに北崎・畑理論により求めた。
すなわち、「分散成分」としてのジヨードメタン、「双極子成分」としての1−ブロモナフタレン、「水素結合成分」としての蒸留水を液滴として使用し、協和界面科学(株)製、DM−70を用いて、静滴法により、JIS R3257に準拠して接触角(測定温度:25℃)を測定し、その値をもとに北崎・畑理論により、表面自由エネルギー(mJ/m2)を求めた。
(2)工程フィルムの算術平均粗さRaの測定
剥離シートにおける高分子薄膜形成用溶液を塗布する面(高分子膜膜との接触面)における算術平均粗さRa(nm)は、Veeco Instruments社製、光干渉顕微鏡NT1100を用いて、250,000μm2(500μm×500μm)の領域について観察し、算術平均粗さ(Ra)を求めた。
(3)工程フィルムに対する高分子薄膜形成用溶液の塗布性
フィルム状積層体を形成する際の塗布性を評価した。工程フィルムに対して高分子薄膜形成用溶液が均一に塗布できた場合を「A」と判定し、工程フィルムにハジキなどが発生して均一に塗布できなかった場合を「B」と判定した。得られた結果を表1に示す。
(4)高分子薄膜の剥離性
フィルム状積層体における、工程フィルムから高分子薄膜を剥離する際の剥離性を評価した。工程フィルムから高分子薄膜を容易に剥離できた場合を「A」と判定し、高分子薄膜が破れたりして剥離できなかった場合を「B」と判定した。得られた結果を表1に示す。
試験例2では、工程フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル株式会社製の「ダイアホイルT100」、厚さ38μm)を用いた以外は、試験例1と同様の方法で、フィルム状積層体および高分子薄膜を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。また、試験例2で用いた工程フィルムの表面における表面自由エネルギー、および、算術平均粗さを表1に示す。
試験例3では、工程フィルムとしてリンテック株式会社製の「SP−PET381031」を用いた以外は、試験例1と同様の方法で、フィルム状積層体および高分子薄膜を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。また、試験例3で用いた工程フィルムの剥離剤層の表面における表面自由エネルギー、および、算術平均粗さを表1に示す。
試験例4では、工程フィルムとしてリンテック株式会社製の「SP−PET38T100X」に変更した以外は、試験例1と同様の方法で、フィルム状積層体および高分子薄膜を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。また、試験例4で用いた工程フィルムの剥離剤層の表面における表面自由エネルギー、および、算術平均粗さを表1に示す。
1.高分子薄膜の製造方法
(1) 工程フィルムの製造
実施例1の工程フィルムは、剥離基材と、剥離基材上に設けられた剥離剤層とを有する。
シリコーン変性アルキッド樹脂とアミノ樹脂の混合物(信越化学工業株式会社製:商品名「KS−882」)100重量部と、p−トルエンスルホン酸(硬化剤)1重量部とをトルエンで希釈し、固形分濃度2質量%の塗布液を調製した。
次いで、得られた塗布液を、厚み38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂株式会社製の「ダイアホイルT100」)上に、マイヤーバーにて塗布し、140℃、60秒間加熱して乾燥させ、平均厚さ0.1μmの剥離剤層を形成した工程フィルムを得た。
酢酸エチルで溶解したポリ(4−メチル−1−ペンテン)樹脂(PMP樹脂、三井化学株式会社製、融点180℃)溶液(固形分10質量%)をトルエン/酢酸エチル=85質量%/15質量%混合溶媒で固形分3質量%に希釈して高分子薄膜形成用溶液(粘度10.5mPa・s)を調製した。
次いで、リバースグラビアコータを用いて、準備した工程フィルム上に乾燥後の高分子薄膜の厚みが700nmとなるように、高分子薄膜形成用溶液を塗布した後、100℃で60秒間乾燥させフィルム状積層体を得た。
次いで、フィルム状積層体の工程フィルムを剥離することによって、高分子薄膜を得た。
(1)高分子薄膜の剥離力
得られたフィルム状積層体における、工程フィルムから高分子薄膜を剥離する際の剥離力を測定した。
すなわち、フィルム状積層体における高分子薄膜に対して粘着テープ(日東電工株式会社製、No.31B)を貼合した後、粘着テープが貼合された状態の高分子薄膜を工程フィルムから180°剥離する際の剥離力(mN/20mm)を測定した。得られた結果を表2に示す。
(2)高分子薄膜の表面炭素濃度
高分子薄膜の表面炭素濃度を求めるため、高分子薄膜の表面のXPS測定を行った。測定には、PHI Quantera SXM(アルバック・ファイ株式会社製)を使用した。X線源に単色化Al・Kαを用い光電子取り出し角度45°にて測定を行い、表面に存在する炭素の元素濃度(単位:原子%)を算出した。得られた結果を表2に示す。
(3)高分子薄膜の貼付性
先ず、支持基材(東洋紡株式会社製の「クリスパー75K2323」)の四方の端部に両面テープを貼付して、両面テープ貼付部を有する支持体を作製した。次に、この支持体の両面テープ貼付部を、フィルム状積層体の高分子薄膜上に貼付した。そして、支持体および高分子薄膜を、工程フィルムから剥離して、高分子薄膜を、支持体の表面に転移させた。次いで、高分子薄膜が転移した支持体から両面テープ貼付部を切り落とし、高分子薄膜と支持基材との積層体を作製した。この積層体を、高分子薄膜側が下記の被着物と接するように、被着物上に配置し、支持基材の上から2kgローラーを2往復して、高分子薄膜と被着物とを圧着させた。その際の貼付性を評価した。圧着後、高分子薄膜全面が被着物に貼り付いたまま、剥離しない場合を「A」と判定し、圧着後、高分子薄膜が被着物に貼り付かない、浮き、または剥がれがある場合を「B」と判定した。得られた結果を表2に示す。
PP:ポリプロピレン板(日立化成株式会社製の「PP−N−BN」、大きさ2mm×70mm×150mm)
ガラス:フロート板ガラス(旭硝子株式会社製の「フロート板ガラス R3202 糸面加工」、大きさ2mm×70mm×150mm)
(4)高分子薄膜上の水の接触角
高分子薄膜の水に対する濡れ性を評価するため、高分子薄膜上の水の接触角の測定を行った。測定には、接触角計(協和界面科学株式会社製、DM−701)を用いた。水に対する接触角を測定した(23℃、50%RH)。得られた結果を表2に示す。
(5)高分子薄膜上の水の滑落角
高分子薄膜の水に対する撥水性を評価するため、高分子薄膜上の水の滑落角の測定を行った。高分子薄膜を水張りにて傾斜角0°にした試料台(ガラス板)上に載置した。次いで、純水14μLを上記防汚性シートの防汚層表面に滴下して液滴を形成させた後、上記試料台を傾斜させた際に、液滴の後退角が動いた際の試料台の傾斜角を水の滑落角とした。得られた結果を表2に示す。
(6)膜強度
膜強度は、クリープメーター(株式会社山電製の商品名「クリープメーターRE2−3305CYAMADEN」)にて測定した。具体的には、温度23℃、湿度50%RHの環境下にて24時間静置したフィルム状積層体の高分子薄膜面を直径1cmの穴の開いた冶具に貼り付け、工程フィルムを剥離した。直径1mmφの円柱型プランジャーを、高分子薄膜の治具の穴の中心部に対応する箇所に進入させた。なお、プランジャーの進入速度は、0.5mm/秒とした。プランジャーを穴の深さ方向に深度5mmまで進入させたときの最大応力(単位:mN/1mmφ)を測定した。なお、測定は10回行い、平均値を高分子薄膜の膜強度とした。得られた結果を表2に示す。
PMP樹脂の融点およびの高分子薄膜の厚さを表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム状積層体および高分子薄膜を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。また、実施例2〜4で用いたPMP樹脂の融点および高分子薄膜形成用溶液の粘度を表2に示す。
PMP樹脂の融点およびの高分子薄膜の厚さを表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム状積層体および高分子薄膜を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。また、比較例1および2で用いたPMP樹脂の融点および高分子薄膜形成用溶液の粘度を表2に示す。なお、比較例1では、ポリマーを所望の濃度に溶解させることができず、実施例1と同様の方法でフィルム状積層体および高分子薄膜を製造することはできなかった。
Claims (10)
- 請求項1に記載の高分子薄膜において、
前記メチルペンテン系ポリマー(A)が、メチルペンテン系コポリマーである
ことを特徴とする高分子薄膜。 - 請求項1または請求項2に記載の高分子薄膜において、
前記高分子薄膜が、前記メチルペンテン系ポリマー(A)を50質量%以上含む
ことを特徴とする高分子薄膜。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の高分子薄膜において、
前記高分子薄膜の表面炭素濃度が、95原子%以上である
ことを特徴とする高分子薄膜。 - 工程フィルムと、前記工程フィルム上に形成された、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の高分子薄膜とを備える
ことを特徴とするフィルム状積層体。 - 請求項5に記載のフィルム状積層体において、
前記工程フィルムの表面自由エネルギーが、40mJ/m2以下である
ことを特徴とするフィルム状積層体。 - 請求項5または請求項6に記載のフィルム状積層体において、
前記工程フィルムの表面の算術平均粗さが、40nm以下である
ことを特徴とするフィルム状積層体。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の高分子薄膜を製造する高分子薄膜の製造方法であって、
工程フィルム上に、前記メチルペンテン系ポリマー(A)を含む高分子薄膜形成用溶液を塗布し、乾燥して、前記高分子薄膜を形成する工程と、
前記高分子薄膜を、前記工程フィルムから剥離する工程と、を備える
ことを特徴とする高分子薄膜の製造方法。 - 請求項8に記載の高分子薄膜の製造方法において、
前記工程フィルムの表面自由エネルギーが、40mJ/m2以下である
ことを特徴とする高分子薄膜の製造方法。 - 請求項8または請求項9に記載の高分子薄膜の製造方法において、
前記工程フィルムの表面の算術平均粗さが、40nm以下である
ことを特徴とする高分子薄膜の製造方法。
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