JP6728964B2 - 電池電極用組成物用増粘剤、電池電極用組成物、電池電極及び電池 - Google Patents
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Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2] 繊維状セルロースの平均重合度は360以上である[1]に記載の電池電極用組成物。
[3] 繊維状セルロースの含有量は、電池電極用組成物中に含まれる全固形分量に対して、0.15質量%以上2.0質量%以下である[1]又は[2]に記載の電池電極用組成物。
[4] 3000rpmにて3時間撹拌後の粘度低下率が10%未満である[1]〜[3]のいずれかに記載の電池電極用組成物。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の電池電極用組成物を含む電池電極。
[6] [5]に記載の電池電極を備える電池。
[7] 繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロースを含む電池電極用組成物用増粘剤。
[8] 前記繊維状セルロースの平均重合度は360以上である[7]に記載の電池電極用組成物用増粘剤。
[9] 繊維幅が1000nmよりも大きい粗大繊維状セルロースの含有量が、前記電池電極用組成物中に含まれるセルロース繊維の全質量に対して、5質量%未満である[7]又は[8]に記載の電池電極用組成物用増粘剤。
なお、本明細書において、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを微細繊維状セルロースと呼び、繊維幅が1000nmよりも大きい繊維状セルロースを粗大繊維状セルロースと呼ぶ。また、本明細書において、セルロース繊維には、特に記載した場合を除き、微細繊維状セルロースと、粗大繊維状セルロースが含まれるものとする。
本発明は、繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロースと、活物質と、導電助剤と、バインダと、を含む電池電極用組成物に関する。本発明の組成物は電池電極を形成する際に、集電体上に塗工する塗液として用いられるものであることが好ましく、本発明の組成物は電池電極用塗液と呼ぶこともできる。中でも、本発明の組成物は、リチウムイオン電池の電池電極用組成物であることが好ましい。なお、本発明の電池電極用組成物は、正極電極用組成物であってもよく、負極電極用組成物であってもよいが、負極電極用組成物として用いられることが好ましい。
TAPPI International Standard; ISO/FDIS 5351, 2009.
Smith, D. K.; Bampton, R. F.; Alexander, W. J. Ind. Eng. Chem.,Process Des. Dev. 1963, 2, 57‐62.
まず、50ml容量のアルミカップに電池電極用組成物20±5gを量り取る。同様に電池電極用組成物を量り取ったアルミカップを複数個用意する。なお、微細繊維状セルロース中に粗大繊維状セルロースを含む場合などには、たとえば電池電極用組成物30gを遠沈管に分取した後、12000G×10minの条件で遠心分離して得られた上澄み液を回収し、当該上澄み液を50ml容量のアルミカップに20±5gを量り取ることができる。粗大繊維状セルロースは遠心分離により沈殿物となるため、上澄み液には含まれないこととなる。
リファレンスを測定するために、空の50ml容量のスクリュー管に純水15mlと1mol/Lの銅エチレンジアミン15mlを加え、0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液を調製する。キャノンフェンスケ粘度計に上記の0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液10mlを入れ、5分置いた後、落下時間を測定して溶媒落下時間とする。
測定に用いた絶乾状態の微細繊維状セルロース質量:a(g)(但し、aは0.14以上0.16以下)
溶液のセルロース濃度:c=a/30(g/mL)
溶媒落下時間:t0(sec)
微細繊維状セルロース溶液の落下時間:t(sec)
溶液の相対粘度:ηrel=t/t0
溶液の比粘度:ηsp=ηrel―1
固有粘度:[η]=ηsp/c(1+0.28ηsp)
重合度:DP=[η]/0.57
粘度低下率(%)=(撹拌前の粘度−撹拌後の粘度)/撹拌前の粘度×100
電池電極用組成物を調製する際には、各成分を均一に分散させるために強撹拌を行うことがある。本発明は、上述した通り、電池電極用組成物の粘度低下率が低いため、電池電極用組成物を調製する際に強撹拌を行った場合であっても増粘効果を発揮することができ、微粒子分散性や塗工適性を高く維持することができる。
リン酸化微細繊維状セルロース(以下、微細繊維状セルロースともいう)を得るための繊維状セルロース原料としては特に限定されないが、入手しやすく安価である点から、パルプを用いることが好ましい。パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを挙げることができる。木材パルプとしては例えば、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられるが、特に限定されない。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中で、入手のしやすさという点で、セルロースを含む木材パルプ、脱墨パルプが好ましい。木材パルプの中でも化学パルプはセルロース比率が大きいため、繊維微細化(解繊)時の微細繊維状セルロースの収率が高く、またパルプ中のセルロースの分解が小さく、重合度の高い長繊維の微細繊維状セルロースが得られる点で好ましい。中でもクラフトパルプ、サルファイトパルプが最も好ましく選択される。重合度の高い微細繊維状セルロースを用いると高粘度が得られる傾向がある。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料に対し、リン酸基を有する化合物及びその塩から選択される少なくとも1種(以下、「リン酸化試薬」又は「化合物A」という)を反応させることにより行うことができる。このようなリン酸化試薬は、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料に粉末や水溶液の状態で混合してもよい。また別の例としては、繊維原料のスラリーにリン酸化試薬の粉末や水溶液を添加してもよい。
微細繊維状セルロースを製造する場合、リン酸基導入工程と、後述する解繊処理工程の間にアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液中に、リン酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、特に限定されないが、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。アルカリ溶液における溶媒としては水または有機溶媒のいずれであってもよい。溶媒は、極性溶媒(水、またはアルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
また、アルカリ溶液のうちでは、汎用性が高いことから、水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液が特に好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液への浸漬時間は特に限定されないが、5分以上30分以下が好ましく、10分以上20分以下がより好ましい。
アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量は特に限定されないが、リン酸基導入繊維の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以上10000質量%以下であることがより好ましい。
微細繊維状セルロースを製造する場合、リン酸基導入工程と、後述する解繊処理工程の間に酸処理を行ってもよい。また、リン酸基導入工程、酸処理、アルカリ処理及び解繊処理をこの順で行ってもよい。
酸処理工程における酸溶液への浸漬時間は特に限定されないが、5分以上30分以下が好ましく、10分以上20分以下がより好ましい。
酸処理における酸溶液の使用量は特に限定されないが、リン酸基導入繊維の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以上10000質量%以下であることがより好ましい。
リン酸基導入繊維は、解繊処理工程で解繊処理される。解繊処理工程では、通常、解繊処理装置を用いて、繊維を解繊処理して、微細繊維状セルロース含有スラリーを得るが、処理装置、処理方法は、特に限定されない。
解繊処理装置としては、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミルなどを使用できる。あるいは、解繊処理装置としては、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなど、湿式粉砕する装置等を使用することもできる。解繊処理装置は、上記に限定されるものではない。好ましい解繊処理方法としては、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミの心配が少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーが挙げられる。
上述したように微細繊維状セルロースを得る工程においては、繊維原料(粗大繊維状セルロース)を微細化する工程を含む。このとき粗大繊維状セルロースの大部分は微細化されるが、その一部は微細化されずに残る場合がある。このような場合、本発明の電池電極用組成物には、粗大繊維状セルロースが含まれることとなる。
本発明の電池電極用組成物は活物質を含む。活物質は、電池反応の中心的役割を担う物質であり、電子を送り出し受け取る酸化/還元反応を行う物質である。例えば、リチウムイオン電池において、活物質として正極にLiCoO2、負極に黒鉛を用いた場合、電極反応は下記のように表される。
正極:LiCoO2⇔Li1-xCoO2+xLi++xe-
負極:C+xLi++xe-⇔LixC
本発明の電池電極用組成物は導電助剤を含む。導電助剤は、電極塗膜において活物質と集電体の間に導電経路を形成する働きをする。導電助剤は、導電性を有していれば特に限定されることはないが、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料であることが好ましい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末を挙げることができる。導電助剤としては、このような導電助剤から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。
また、導電助剤の含有量は、活物質の全質量に対して、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
本発明の電池電極用組成物はバインダを含む。バインダは、活物質と導電助剤の各粒子を結着させたり、これらの粒子と集電体を結着させる働きをする。このようなバインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水系溶媒を用いた電池電極用組成物においては、ゴム類(酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等)の水溶性または水分散性ポリマーを用いることができる。また、非水溶媒を用いた電池電極用組成物においては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリルニトリル(PAN)等を用いることができる。
電池電極用組成物は分散媒を含む。分散媒としては、水や有機溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。中でも分散媒は水であることが好ましい。有機溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。なお、本明細書において分散媒とは、電池電極用組成物中において、電極塗膜形成時の乾燥の際に残る固形分を除いた残りの部分を指す。
本発明は、繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロースを含む電池電極用組成物用増粘剤に関するものであってもよい。電池電極用組成物用増粘剤は、上述したリン酸化微細繊維状セルロースを全固形分の質量に対して60質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことがさらに好ましく、90質量%以上含むことが特に好ましい。また、電池電極用組成物用増粘剤は、上述したリン酸化微細繊維状セルロースからなるものであってもよい。
なお、電池電極用組成物用増粘剤に含まれる微細繊維状セルロースの平均重合度の好ましい範囲は、電池電極用組成物に含まれる微細繊維状セルロースの平均重合度の好ましい範囲と同様であり、平均重合度は電池電極用組成物における平均重合度の測定方法と同様にして測定できる。
粗大繊維状セルロースの含有量(質量%)=100−(上澄み液中の固形分濃度/0.2(質量%)×100)
ここで、微細繊維状セルロース含有スラリー(微細繊維状セルロース濃度0.2質量%)のヘーズは、光路長1cmの液体用ガラスセル(藤原製作所製、MG−40、逆光路)に微細繊維状セルロース含有スラリーを入れ、JIS K 7136に準拠し、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて測定される値である。なお、ゼロ点測定は、同ガラスセルに入れたイオン交換水で行う。
本発明の電池電極用組成物の製造方法は、繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロース(リン酸化微細繊維状セルロース)と、活物質と、導電助剤と、バインダと、を混合する工程を含む。電池電極用組成物の製造方法では、リン酸化微細繊維状セルロースのスラリーに、活物質と導電助剤を添加し、分散をさせた後にバインダを添加し、さらに撹拌を行うことが好ましい。すなわち、電池電極用組成物の製造方法は、リン酸化微細繊維状セルロースのスラリーに、活物質と導電助剤を添加して混合する工程と、リン酸化微細繊維状セルロース、活物質及び導電助剤を含むスラリーにさらにバインダを添加し混合する工程と、を含むことが好ましい。
本発明は、上述した電池電極用組成物を用いて形成した電池電極に関するものでもある。図2は、本発明の電池電極の構成の一例を説明する概略図である。図2に示されたように、電池電極10は、電極塗膜12と集電体14を含む。電池電極10において、電極塗膜12と集電体14は接した状態で積層されている。集電体14としては、金属箔が好ましく用いられる。
活物質密度の厚さ方向のバラツキ(%)は下記式により算出する。
活物質密度の厚さ方向のバラツキ(%)=活物質密度の標準偏差/活物質密度の算術平均値
本発明では、電極塗膜における活物質密度のばらつきは5%未満であることが好ましい。
100マス中の剥離箇所の割合(%)=剥離したマス目の個数/100×100
本発明においては、上記の試験を10回行い、平均値を算出した場合、100マス中の剥離箇所の割合は15%未満であることが好ましい。
本発明は上述した電池電極を備える電池に関するものでもある。電池としては、例えば、有機電解液を用いるリチウムイオン電池(一次電池および二次電池)を挙げることができる。リチウムイオン電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形など)や金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ形とすることもできる。
乾燥質量100質量部の針葉樹クラフトパルプに、リン酸二水素アンモニウムと尿素の混合水溶液を含浸させ、リン酸二水素アンモニウムが49質量部、尿素が130質量部となるように圧搾し、薬液含浸パルプを得た。得られた薬液含浸パルプを105℃の乾燥機で乾燥し、水分を蒸発させてプレ乾燥させた。その後、140℃に設定した送風乾燥機で、10分間加熱し、パルプ中のセルロースにリン酸基を導入し、リン酸化パルプを得た。
湿式微粒化装置における245MPaの圧力処理の回数を3回とした以外は、微細繊維状セルロース含有物1の製造と同様にして、微細繊維状セルロース含有物2を得た。X線回折により、この微細繊維状セルロース含有物2にはセルロースI型結晶を維持した微細繊維状セルロースが含まれていることが確認された。
微細繊維状セルロース含有物1の製造と同様にしてリン酸化パルプを得た後、リン酸化パルプの脱水シート1の絶乾質量として100質量部に5000質量部のイオン交換水を加え、希釈した。次いで、撹拌しながら、1N塩酸を少しずつ添加し、pHが2以上3以下のパルプスラリーを得た。その後、このパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、再びイオン交換水を注ぎ、撹拌して均一に分散させた。次いで、濾過脱水して脱水シートを得る操作を繰り返すことにより、余剰の塩酸を十分に洗い流し、リン酸化パルプ(H型)を得た。
得られたリン酸化パルプ(TBA型)に、イソプロパノール/水の混合溶媒(質量比率:70/30)を添加し、リン酸化パルプ(TBA)の絶乾固形分濃度が1質量%となるように調製した。このようにして、微細化前スラリーを得た。
得られた微細化前スラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、アルティマイザー)で245MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース含有物3を得た。
乾燥質量100質量部相当の未乾燥の針葉樹晒クラフトパルプと、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル)1.25質量部と、臭化ナトリウム12.5質量部とを水10000質量部に分散させた。次いで、13質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が8.0mmolになるように加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10以上11以下に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なした。
湿式微粒化装置における245MPaの圧力処理の回数を1回とした以外は、微細繊維状セルロース含有物Aの製造と同様にして、微細繊維状セルロース含有物Bを得た。X線回折により、この微細繊維状セルロース含有物BにはセルロースI型結晶を維持した微細繊維状セルロースが含まれていることが確認された。
<繊維幅の測定>
微細繊維状セルロース含有物の繊維幅を下記の方法で測定した。
湿式微粒化装置にて処理をした微細繊維状セルロース含有物の上澄み液を、微細繊維状セルロース含有物の濃度が0.01質量%以上0.1質量%以下となるように水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。乾燥後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEOL−2000EX)により観察した。微細繊維状セルロース含有物1〜3および微細繊維状セルロース含有物A、Bには、繊維幅4nm程度の微細繊維状セルロースが主成分として含まれていることを確認した。
置換基導入量は、繊維原料へのリン酸基もしくはカルボキシル基の導入量であり、この値が大きいほど、多くのリン酸基もしくはカルボキシル基が導入されている。置換基導入量は、対象となる微細繊維状セルロース含有物をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈した後、イオン交換樹脂による処理、アルカリを用いた滴定によって測定した。イオン交換樹脂による処理では、0.2質量%繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った。その後、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂とスラリーを分離した。アルカリを用いた滴定では、イオン交換後の微細繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えながら、スラリーが示す電気伝導度の値の変化を計測した。すなわち、図1(リン酸基)及び図3(カルボキシル基)に示した曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して、置換基導入量(mmol/g)とした。算出した結果は以下の表1に示した。
微細繊維状セルロース含有物に含まれる微細繊維状セルロースの平均重合度の評価は下記の論文を参考に行なった。
TAPPI International Standard; ISO/FDIS 5351, 2009.
Smith, D. K.; Bampton, R. F.; Alexander, W. J. Ind. Eng. Chem.,Process Des. Dev. 1963, 2, 57‐62.
リファレンスを測定するために、空の50ml容量のスクリュー管に純水15mlと1mol/Lの銅エチレンジアミン15mlを加え、0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液を調製した。キャノンフェンスケ粘度計に上記の0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液10mlを入れ、5分置いた後、落下時間を測定して溶媒落下時間とした。
測定に用いた絶乾状態の微細繊維状セルロース質量:a(g)(但し、aは0.14以上0.16以下)
溶液のセルロース濃度:c=a/30(g/mL)
溶媒落下時間:t0(sec)
微細繊維状セルロース溶液の落下時間:t(sec)
溶液の相対粘度:ηrel=t/t0
溶液の比粘度:ηsp=ηrel―1
固有粘度:[η]=ηsp/c(1+0.28ηsp)
重合度:DP=[η]/0.57
微細繊維状セルロース含有物1〜3および微細繊維状セルロース含有物A、Bそれぞれに、水を添加して繊維固形分濃度を0.2質量%に調整した。次いで12000G×10minの条件で遠心分離し、得られた上澄み液を回収した。そして、回収した上澄み液を50ml容量のアルミカップに40±5gを量り取った。同様に上澄み液を量り取ったアルミカップを複数個用意した。送風定温乾燥機にて105℃で16時間加熱し上澄み液を乾燥させた。乾燥前後の重量から回収した上澄み液の固形分濃度を測定した。得られた上澄み液の固形分濃度に基づき、下記式により、粗大繊維状セルロースの含有量を算出した。
粗大繊維状セルロースの含有量(質量%)=100−(上澄み液中の固形分濃度/0.2(質量%)×100)
算出した結果は以下の表1に示した。
固形分濃度が0.2質量%の微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液100質量部(微細繊維状セルロース含有物1の固形分0.2質量部と水99.8質量部の懸濁液)に対して、活物質として黒鉛粉末(日本黒鉛工業社製、CGB−10、平均粒径10μm)95質量部、導電助剤としてカーボンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)5質量部、バインダとして固形分濃度が40質量%のスチレン・ブタジエンゴム(SBR)粒子の水分散液(日本ゼオン社製、BM−400B)5質量部を加え、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業社製)で3000rpmにて1時間撹拌し電池電極用組成物を得た。
実施例1において、固形分濃度が0.2質量%の微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液に代えて、固形分濃度が0.4質量%の微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液100質量部(微細繊維状セルロース含有物1の固形分0.4質量部と水99.6質量部の懸濁液)を用いた以外は全て実施例1と同様にして、電池電極用組成物を得た。
実施例1において、固形分濃度が0.2質量%の微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液に代えて、固形分濃度が1質量%の微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液100質量部(微細繊維状セルロース含有物1の固形分1質量部と水99質量部の懸濁液)を用いた以外は全て実施例1と同様にして、電池電極用組成物を得た。
実施例1において、固形分濃度が0.2質量%の微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液に代えて、固形分濃度が1.5質量%の微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液100質量部(微細繊維状セルロース含有物1の固形分1.5質量部と水98.5質量部の懸濁液)を用いた以外は全て実施例1と同様にして、電池電極用組成物を得た。
実施例1において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、微細繊維状セルロース含有物2を用いた以外は全て実施例1と同様にして、電池電極用組成物を得た。
実施例2において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、微細繊維状セルロース含有物2を用いた以外は全て実施例2と同様にして、電池電極用組成物を得た。
実施例3において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、微細繊維状セルロース含有物2を用いた以外は全て実施例3と同様にして、電池電極用組成物を得た。
実施例2において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、微細繊維状セルロース含有物3を用いた以外は全て実施例2と同様にして、電池電極用組成物を得た。
実施例1において、微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液の固形分濃度を0.3質量%のものに代え、さらに懸濁液量を200質量部(微細繊維状セルロース含有物1の固形分0.6質量部と水199.4質量部の懸濁液)とした以外は実施例1と同様にして、電池電極用組成物を得た。
実施例1において、微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液の固形分濃度を0.5質量%のものに代え、さらに懸濁液量を200質量部(微細繊維状セルロース含有物の固形分1.0質量部と水199質量部の懸濁液)とした以外は実施例1と同様にして、電池電極用組成物を得た。
実施例4において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、微細繊維状セルロース含有物Aを用いた以外は全て実施例4と同様にして、電池電極用組成物を得た。
比較例1において、固形分濃度が1.5質量%の微細繊維状セルロース含有物Aの懸濁液量を200質量部(微細繊維状セルロース含有物Aの固形分3.0質量部と水197質量部の懸濁液)に代えた以外は比較例1と同様にして、電池電極用組成物を得た。
実施例3において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、微細繊維状セルロース含有物Bを用いた以外は実施例3と同様にして、電池電極用組成物を得た。
実施例4において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、カルボキシメチルセルロース(株式会社テルナイト製、テルポリマーH)を用いた以外は全て実施例4と同様にして、電池電極用組成物を得た。
比較例4において、カルボキシメチルセルロースの懸濁液量を200質量部(カルボキシメチルセルロースの固形分3.0質量部と水197質量部の懸濁液)に代えた以外は比較例4と同様にして、電池電極用組成物を得た。
実施例4において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、固形分濃度が1.5質量%のキサンタンガム(東京化成社製)の懸濁液100質量部(キサンタンガムの固形分1.5質量部と水98.5質量部の懸濁液)を用いた以外は全て実施例4と同様にして、電池電極用組成物を得た。
電池電極用組成物については、以下の評価を行なった。通常、電池電極用組成物においては、撹拌後も粘度低下が小さく、微粒子分散性が良好なものが好ましいとされ、このような電池電極用組成物は塗液安定性が高い。
実施例及び比較例で得られた電池電極用組成物を23℃で12時間静置した。次いで、電池電極用組成物の粘度をB型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて回転数3rpm、測定時間3分、液温25℃にて測定した。その後、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業社製)で3000rpmにて3時間撹拌し、23℃で12時間静置したのち、再度粘度の測定を行なった。粘度低下率は、下記式で算出し、以下の基準で評価した。
粘度低下率(%)=(撹拌前の粘度−撹拌後の粘度)/撹拌前の粘度×100
○:粘度低下率が10%未満
△:粘度低下率が10%以上20%未満
×:粘度低下率が20%以上
電池電極用組成物を23℃で1日静置した後、粒子の沈降の有無を確認し、以下の基準で評価した。
○:微粒子の沈降がなく、上澄み層が存在しない。
×:微粒子の沈降があり、上澄み層が存在する。
<電池電極の作製>
厚み10μmの電解銅箔(集電体)の片面上に、乾燥後の付着量が30g/m2となるように電池電極用組成物を塗工して電池電極を作製した。その際の塗工適性(塗工できるか否か)を以下の基準で評価した。
○:塗工後の外観観察で全面にムラがない。
△:塗工後の外観観察で一部にムラ部分がある。
×:塗工後の外観観察で全面にムラがみられる。もしくは塗工自体が出来ない。
得られた電池電極(電極塗膜)に対して垂直スライサー(日本分光(株)製、スライスマスター HS‐1)を用いて断面の切り出しを行なった。電池電極の厚み方向の断面の活物質密度分布を電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)にて測定し、活物質密度の厚さ方向のバラツキを確認し、以下の基準で評価した。なお、活物質密度の厚さ方向のバラツキの値は、以下の式で算出した。
活物質密度の厚さ方向のバラツキ(%)=活物質密度の標準偏差/活物質密度の算術平均値
○:5%未満
△:5%以上10%未満
×:10%以上
カッターを使用し、作製した電池電極の塗工面に、直行する縦横11本ずつの平行線を1mmの間隔でひき、1cm2の範囲内に100個のマス目を形成した。マス目上にメンディングテープを貼り付けた後に45°の角度で剥離し、メンディングテープに貼り付き剥離したマス目の個数を計測し、下記式により剥離箇所の割合を算出した。
100マス中の剥離箇所の割合(%)=剥離したマス目の個数/100×100
上記の試験を10回行い、平均値を算出し、以下の基準で評価した。
○:15%未満
△:15%以上35%未満
×:35%以上
一方で、比較例1、2及び4〜6で得られた電池電極用組成物においては、微粒子分散性が悪く、電池電極では活物質密度のばらつきが見られた。また、比較例3で得られた電池電極用組成物を用いた場合、電池電極における活物質密度のばらつきが大きく、電気抵抗のばらつきが大きくなっていた。これは、粗大繊維状セルロースの含有量が多いことに起因するものと考えられる。
12 電極塗膜
14 集電体
Claims (7)
- 繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロースと、活物質と、導電助剤と、バインダと、を含む電池電極用組成物であって、
前記繊維状セルロースはI型結晶構造を有し、
前記繊維状セルロースの平均重合度は360以上である、電池電極用組成物。 - 前記繊維状セルロースの含有量は、前記電池電極用組成物中に含まれる全固形分量に対して、0.15質量%以上2.0質量%以下である請求項1に記載の電池電極用組成物。
- 3000rpmにて3時間撹拌後の粘度低下率が10%未満である請求項1又は2に記載の電池電極用組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池電極用組成物を含む電池電極。
- 請求項4に記載の電池電極を備える電池。
- 繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロースであって、I型結晶構造を有し、かつ平均重合度が360以上の繊維状セルロースを含む電池電極用組成物用増粘剤。
- 繊維幅が1000nmよりも大きい粗大繊維状セルロースの含有量が、前記電池電極用組成物中に含まれるセルロース繊維の全質量に対して、5質量%未満である請求項6に記載の電池電極用組成物用増粘剤。
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