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JP6809957B2 - フラットケーブル、該フラットケーブルを備える回転コネクタ装置、及びフラットケーブルの製造方法 - Google Patents
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JP6809957B2 - フラットケーブル、該フラットケーブルを備える回転コネクタ装置、及びフラットケーブルの製造方法 - Google Patents

フラットケーブル、該フラットケーブルを備える回転コネクタ装置、及びフラットケーブルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フラットケーブル、フラットケーブルを備える回転コネクタ装置、及びフラットケーブルの製造方法に関し、特に車両用の回転コネクタ装置内に配置される屈曲特性及び製造性に優れるフレキシブルフラットケーブルに関する。
従来、四輪自動車などの車両において、操舵用のステアリングホイールとステアリングシャフトの連結部に、エアバッグ装置等に電力を供給するための回転コネクタ装置(SRC)が装着されている。回転コネクタ装置は、ステータと、該ステータに回転自在に組み付けられたロテータと、ステータとロテータとによって形成される環状の内部空間に巻かれて収容されたフレキシブルフラットケーブル(FFC)とを備えており、FFCの端部には、当該FFCと外部とを電気的に接続する接続構造体を備えている。
FFCは、並列配置された複数本の導体と、該複数本の導体を挟み込むように配置された一対の絶縁シートと、該一対の絶縁シート間に設けられた接着剤層とを備え、上記複数の導体、一対の絶縁シート及び接着剤層で構成されるラミネート構造を有している。導体は、例えば、タフピッチ銅、無酸素銅等からなる。また、絶縁シートは、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリスチレン系の樹脂からなる接着剤層を有し、複数の導体が挟み込まれた状態で、上記一対の絶縁シートを、接着剤層を介して接着することにより、導体同士、或いは導体と外部とが絶縁される。
上記導体としては、例えば、無酸素銅に、0.3wt%以下のSnと0.3wt%以下のIn或いはMgを添加した銅合金、又は、無酸素銅に10wt%以下のAgを添加した銅合金を母材とし、その表面にSnをめっきした平板状の導体に熱処理を行い、引張り強さ350MPa以上、伸び5%以上、導電率70%IACS以上である平角導体が提案されている(特許文献1)。また、タフピッチ銅や無酸素銅といった純銅において、圧延面の(200)面のX線回折強度を高めること、この場合においては同義であるCube方位を高発達させることにより、屈曲特性を改善させることが提案されている(特許文献2)。
特許第4734695号公報 特許第3009383号公報
特許文献2のような無酸素銅、或いはタフピッチ銅などのCu純度の高い銅材料を用い、Cube方位の結晶粒を高集積制御した高屈曲性導体並びにその製造方法は既に知られている。しかしながら、このような製造方法では、FFC全体の製造時、すなわちラミネート処理中、もしくはラミネート処理後の熱処理によって導体が再結晶し方位制御(再結晶集合組織)が完了するものであり、導体の製造が完了した段階、すなわちラミネート処理前には加工集合組織を有している。この段階では導体は十分な屈曲性を有してはいない。
回転コネクタ装置は小型化のニーズがあり、内部のフレキシブルフラットケーブルはより小さい屈曲半径で耐久性を有することを求められる。タフピッチ銅を代表とする純銅の一般製法にて製造された硬銅、軟銅は、現在回転コネクタ装置のケーブル導体として使用されているが、装置の小型化のニーズに伴い、より屈曲耐性の高い導体が求められている。
また、小型化と同時に多チャンネル化のニーズに応えるためにフレキシブルフラットケーブルに用いられる導体の幅は減少傾向にある。そのため、フレキシブルフラットケーブルの製造難度は上がってきており、製造性の改善に寄与する導体が求められている。銅合金製の導体を用いれば製造性の改善に対しては有効であるが、銅合金製の導体は純銅製よりも電気抵抗が高いという問題がある。
また、タフピッチ銅の中で最も屈曲性に優れるのはCube方位が高集積した再結晶材(軟銅)であり、今後の小型化のニーズに対応できる導体の素材として有望である。しかしながら軟銅の機械的強度は集合組織の形成に伴って一般的な軟銅よりも下がることが知られており、狭幅化に伴う断面積の減少も伴い材料強度が著しく低下するためフラットケーブルの製造性への悪影響が顕著化することが想定される。
また、従来、FFCの絶縁シートの材料にはポリエチレンテレフタレート(PET)及びその内側により融点の低い接着層が設けられた樹脂が用いられることが多く、このPETを例えばポリイミド(PI)に変更し、先述したCube方位を高発達させることが出来る程度のラミネートの高温熱処理が可能となるが、コスト競争力が大きく低下し、製品競争力が劣る。一方、PETは再結晶処理に相当する高温処理をすると接着層において流動を伴うような溶融を引き起こしてしまうため、ラミネート時に再結晶処理を施すのであればPET製絶縁シートを用いるのは困難である。また、ラミネート処理の加熱時にCube方位が高配向する再結晶が起きると導体の強度が極端に低下するため、ラミネート処理制御の困難化をもたらすと共に、その後のFFC−コネクタ接合時や回転コネクタ装置へのFFC収容時の形状変化および破導体断の原因にもなり、生産性を低下させる。
本発明の目的は、製造性、生産性及び導電性を損なうこと無く、従来よりも屈曲特性に優れ、長寿命化を実現することができるフラットケーブル、該フラットケーブルを備える回転コネクタ装置、及びフラットケーブルの製造方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、硬銅の集合組織における結晶粒の適切な組織制御を行うことで、屈曲中に長寿命を示すCube方位高集積化が可能な硬銅を導体の材料として用い、フラットケーブルや回転コネクタの製造時に硬銅強度を維持して生産性を担保すると共に、フラットケーブル屈曲時には導体におけるCube方位粒が優先成長することで、従来よりも高屈曲性を付与し、長寿命化を実現できることを見出した。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなり、且つ{123}<634>の方位に許容ずれ角0°〜12.5°で配向する結晶粒の面積率が25%以上である圧延加工集合組織を有する所定数の導体を備えることを特徴とする、フラットケーブル。
(2)前記導体の厚み方向における結晶粒の寸法の平均値が3μm以下であり、且つ、前記導体の幅方向における前記結晶粒の寸法を前記導体の厚み方向における前記結晶粒の寸法で除した値の平均値が3以上であることを特徴とする、上記(1)記載のフラットケーブル。
(3)前記導体の0.2%耐力が400MPa以上であり、且つ160〜200℃、0.1s〜5sでの加熱処理後の前記導体の0.2%耐力が300MPa以上であることを特徴とする、上記(1)又は(2)記載のフラットケーブル。
(4)160〜200℃、0.1s〜5sの加熱条件で融解可能な材料からなる接着層と、前記加熱条件で融解しない材料からなる一対の絶縁シートとを更に備え、
前記導体は、前記接着層を介して前記一対の絶縁シートに挟み込まれるように配置されてラミネート構造を構成していることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のフラットケーブル。
(5)前記ベース層が、ポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフラットケーブル。
(6)50℃以上、ストローク長さ10mm〜15mm、屈曲速度10〜500回転/分の試験条件下にてIPC屈曲試験を行った結果、前記導体は、10万回屈曲試験後の被屈曲部の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が75%以上である集合組織を有することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のフラットケーブル。
(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のフラットケーブルを備える回転コネクタ装置。
(8)タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなる所定数の導体を備えるフラットケーブルの製造方法であって、
タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなる材料の鋳造工程、熱間圧延工程及び冷間圧延工程の後、熱処理工程と、最終圧延工程とを有し、
前記熱処理工程における熱処理条件が、200〜700℃、15s〜5hであり、
前記最終圧延工程における圧延率が75%以上である、
ことを特徴とする、フラットケーブルの製造方法。
(9)タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなる所定数の導体を備えるフラットケーブルの製造方法であって、
タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなる材料の鋳造工程、熱間圧延工程及び冷間圧延工程の後、第1熱処理工程と、第1圧延工程と、第2熱処理工程と、最終圧延工程とを有し、
前記第1熱処理工程における熱処理条件が、200〜700℃、15s〜5hであり、
前記第1圧延工程における圧延率が、75%以下であり、
前記第2熱処理工程における熱処理条件が、200〜700℃、15s〜5hであり、
前記最終圧延工程における圧延率が75%以上である、
ことを特徴とする、フラットケーブルの製造方法。
(10)前記最終圧延工程の後、当該最終圧延工程で得られた所定数の導体を、160〜200℃、0.1s〜5sの加熱条件で融解可能な接着剤を介して、前記加熱条件で融解しない2枚の絶縁シートで挟み込んでラミネート構造を形成するラミネート処理工程を更に有し、
前記ラミネート処理工程における加熱条件が、160〜200℃、0.1s〜5sであることを特徴とする、上記(8)又は(9)記載のフラットケーブルの製造方法。
本発明のフラットケーブルによれば、導体がタフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなり、{123}<634>の方位に許容ずれ角0°〜12.5°で配向する結晶粒の面積率が25%以上である圧延加工集合組織を有するので、硬銅の強度を有しており、フラットケーブルや回転コネクタ装置の製造時に導体に外力が付与される場合に導体の変形及び破断を防止することができる。また、回転コネクタ装置の車両への組み付け後、車両においてステアリングホイールの操舵がなされ、時計回り或いは反時計回りの回転に伴って回転コネクタ装置内のフラットケーブルが繰り返して屈曲運動する場合に、屈曲を与えられる比較的早い段階でCube方位の結晶粒が優先的に成長することによりフラットケーブルの屈曲特性を向上することができ、耐久性、ひいては信頼性、安全性を向上したフラットケーブルを提供することが可能となる。
また、本発明のフラットケーブルの製造方法によれば、導体の組織制御を行うべく、鋳造工程、熱間圧延工程及び冷間圧延工程を従来の導体の製造工程と共通とし、その後の熱処理工程における熱処理条件及び最終圧延工程における圧延率を規定しているので、従来の導体の製造工程の一部を変更するだけで本発明のフラットケーブルを得ることができ、コスト増大を抑制することが可能となる。また、屈曲特性向上によって設計の自由度が増大するため、屈曲半径を小径化させることによる回転コネクタ装置の小径化、導体の狭幅化による多チャンネル化若しくは同一チャンネルによるコネクタ薄型化、又は多チャンネル化によるフラットケーブル枚数の削減を実現することができる。また、本発明のフラットケーブルの導体がタフピッチ銅又は無酸素銅であることから、純銅の優れた導電性を有しており、特許文献1のような合金化による導電率の低下を伴うことはなく、設計の自由度を制限することなく導体の断面積を減らすことができる。
また、本発明のフラットケーブルは、ステアリング・ローリング・コネクタ(SRC)と称される回転コネクタ装置のみならず、例えばルーフハーネス、ドアハーネス、フロアハーネス等の自動車用部品、折り畳み式携帯電話の折り曲げ部、デジタルカメラやプリンターヘッドなどの可動部、HDD(Hard Disk Drive)、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu−ray(登録商標) Disc、CD(Compact Disc)の駆動部などの配線体として有用である。
本発明の実施形態に係るフラットケーブルの構成を示す幅方向断面図である。 図1のフラットケーブルの好適な例を示す部分拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
[フラットケーブルの構成]
本実施形態のフラットケーブル1は、図1に示すように、例えば複数の導体11−1,11−2,11−3,11−4,11−5,11−6(所要数の導体)と、該複数の導体を挟み込むように配置された一対の絶縁シート12,13と、一対の絶縁シート12,13間に設けられた接着層14とを備える。本実施形態のフラットケーブル1は、例えばフレキシブルフラットケーブル(FFC)である。
導体11−1〜11−6は、接着層14を介して一対の絶縁シート12,13に挟み込まれるように配置されてラミネート構造を構成している。この導体11−1〜11−6は、圧延面の面内方向がほぼ同一となるように並べて配置されており、これら導体の一方の圧延面側に絶縁シート12が設けられ、他方の圧延面側に絶縁シート13が設けられている。導体11−1〜11−6は、幅0.3mm〜15mm、厚さ0.02mm〜0.065mmである。導体は、6〜30枚(6〜30チャンネル)であり、用途に応じて4〜6枚(4〜6チャンネル)であり、特に大電流用途の場合、1枚(1チャンネル)である。
一対の絶縁シート12,13は、接着層14及び/又は複数の導体11−1〜11−6との良好な密着性を発現することができる樹脂からなる。絶縁シート12,13は、例えば幅6mm〜15mm、厚さ0.01mm〜0.05mmである。絶縁シート12,13は、接着層を融解する際の後述する所定の加熱条件で融解しない材料からなり、例えば融点が200℃〜300℃であるポリエチレンテレフタレートからなるのが好ましい。
接着層14は、複数の導体11−1〜11−6を埋設するのに十分な厚みを有しており、絶縁シート12,13によって挟持されている。接着層14は、160〜200℃、0.1s〜5sの加熱条件で融解可能な材料からなり、例えばポリエステル系樹脂からなる。
好適な例として、絶縁シート22が、後述する加熱条件で融解可能な層状の接着部22aと、同加熱条件で融解しない層状のベース部22bとを有し、絶縁シート23が、所定の加熱条件で融解可能な層状の接着部23aと、該加熱条件で融解しない層状のベース部23bとをそれぞれ有していてもよい。この場合、接着部22a,23aが融解して一体化することにより、ベース部22b,23b間に接着層が形成される。
上記のように構成されるフラットケーブル1は、好ましくは回転コネクタ装置に適用される。回転コネクタ装置は、不図示のステータとロテータとによって形成される環状の内部空間に巻かれて収容されたフラットケーブル1を備える。例えばこの回転コネクタ装置において、フラットケーブル1の長手方向の中間部分に、湾曲して折り返された不図示の折り返し部が設けられ、フラットケーブル1は、折り返し部にて屈曲を維持した状態で巻き締め又は巻き戻しされる。そして、上記折り返し部は、所定の屈曲半径、例えば4mm〜8mmを維持した状態で、折り返しを伴って巻き締め又は巻き戻しされる。
[導体の化学組成及び構造]
本発明で使用される導体の材料は、純銅であり、タフピッチ銅(TPC:Tough Pitch Copper)及び無酸素銅(OFC:Oxygen−Free Copper)のいずれかからなる。タフピッチ銅は、Cu≧99.90mass%、O(酸素)がJIS規定はないが一般的に0.01〜0.03mass%、及び残部を不可避不純物からなる。無酸素銅は、Cu≧99.96mass%、及び残部を不可避不純物からなる。
また、上記導体は、{123}<634>の方位(S方位ともいう)に許容ずれ角0°〜12.5°で配向する結晶粒の面積率が25%以上である圧延加工集合組織を有している。許容ずれ角0°〜12.5°で{123}<634>の方位に配向する結晶粒とは、{123}<634>の方位に配向する結晶粒、及び{123}<634>の方位に対して12.5°以内の許容ずれ角で配向する結晶粒の双方を示す。該集合組織において{123}<634>の方位に許容ずれ角0°〜12.5°で配向する結晶粒の面積率が上記範囲内の値であると、フラットケーブルの屈曲時に導体におけるCube方位粒を優先的に成長させることができ、その成長が望めない導体よりも高屈曲性を付与することができる。
また、上記導体の幅方向をTDとしたとき、上記導体の厚み方向における結晶粒の寸法の平均値は3μm以下であり、且つ、導体の幅方向における結晶粒の寸法を導体の厚み方向における当該結晶粒の寸法で除した値の平均値が3以上である。導体の厚み方向における結晶粒寸法の平均値が3μm以下であると耐力を更に向上することができる。また、導体の幅方向における結晶粒の寸法を導体の厚み方向における当該結晶粒の寸法で除した値の平均値が3未満であると、耐力が低下し、好ましくない。よって本発明では、導体の厚み方向における結晶粒の寸法の平均値、及び上記導体の幅方向における当該結晶粒の寸法を上記導体の厚み方向における前記結晶粒の寸法で除した値の平均値を、それぞれ上記範囲内の値とする。
[導体の製造方法]
上述の導体の製造方法では、先ず、[1]溶解及び鋳造、[2]熱間圧延、[3]冷間圧延、[4]熱処理、[5]最終圧延、の各工程を経て導体を製造し、所望幅のスリット切断を実施して断面積が0.03mm以下、好ましくは0.010mm〜0.0195mmである導体を複数個準備する。この所望断面積は信号系導体においてであり、大電流用途はこの限りでない。最終圧延後の導体幅は、例えば0.3mm〜0.8mmであり、導体厚さは、例えば0.02mm〜0.065mmである。尚、後述するプロセス1〜6では、[1]溶解及び鋳造、[2]熱間圧延、[3]冷間圧延、[4]熱処理、及び[5]最終圧延の5工程を共通条件とし、プロセス3〜6では[4]熱処理の後であって[5 ]最終圧延の前に、他の熱処理及び他の圧延の2工程を更に追加している。
[1]溶解及び鋳造
溶解及び鋳造は、上述した同合金組成になるように各成分の分量を調整して溶製し、厚さ100mm〜200mmの鋳塊を製造する。
[2]熱間圧延
次いで、上記で製造された鋳塊を600〜1000℃で熱間圧延して、厚さ10mm〜20mmの板材を作製する。
[3]冷間圧延
更に、熱間圧延処理後の板材を冷間圧延して、厚さ0.04mm〜1.2mmの導体を作製する。本冷間圧延工程後、後述する熱処理前に、切削加工などの任意の加工処理を行うことができるが、値熱処理は行わない。
[4]熱処理
次に、熱処理条件200〜700℃、15s〜5hで、導体に熱処理を施す。20μm以下の再結晶粒径に制御にする熱処理が好ましい。
[5]最終圧延
その後、熱処理後の導体に最終の冷間圧延を施して、厚さ0.02mm〜0.065mmの導体を作製する。最終圧延の圧延率(板圧減少率)は、75%以上、好ましくは75〜99%である。これにより、導体に{123}<634>の方位に許容ずれ角0°〜12.5°で配向する結晶粒の面積率が25%以上である圧延加工集合組織が形成される。また、上記[4]にて再結晶させた材料は本最終圧延によりその結晶粒が扁平し、導体の厚み方向における結晶粒の寸法の平均値は3μm以下となる。更に、導体の幅方向における結晶粒の寸法を導体の厚み方向における当該結晶粒の寸法で除した値の平均値が3以上となる。
[6]その他
上記[4]熱処理の後であって上記[5]最終圧延の前に、他の圧延及び他の熱処理の2工程を追加してもよい。具体的には、[1]溶解及び鋳造、[2]熱間圧延及び[3]冷間圧延を行った後、[4]熱処理(1回目熱処理)、上記他の圧延(1回目圧延)、上記他の熱処理(2回目熱処理)及び[5]最終圧延(2回目熱処理)の各工程をこの順に経て、導体が製造される。
この場合、[4]熱処理(1回目熱処理)の熱処理条件は、200〜700℃、15s〜5hであり、上記他の圧延(1回目圧延)の圧延率は75%以下である。1回目圧延の圧延率が75%を超えると、その後の2回目熱処理時に{001}<100>(Cube方位)に配向する結晶粒が成長する。一度熱処理にて{001}<100>が配向してしまうと次の熱処理においては{001}<100>の発達は望めないため、本発明で規定する範囲内の組織制御は不可能となる。よって、1回目圧延の圧延率を上記範囲内の値とする。
また、上記他の熱処理(2回目熱処理)の熱処理条件は、200〜700℃、15s〜5hであり、最終圧延(2回目圧延)の圧延率は75%以上である。2回目圧延の圧延率が75%以下であると、2回目圧延後の導体における{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が低下し、フラットケーブルの屈曲時に長寿命を示すCube方位集積を十分に発生させることができず、好ましくない。よって、2回目圧延の圧延率を上記範囲内の値とする。
[フラットケーブルの製造方法]
本実施形態に係るフラットケーブルの製造方法では、導体が上記のような条形成工程で製造された場合、スリット切断を施し、幅0.3mm〜15mm、幅方向断面積が0.02mm以下である導体を所要数準備する。この所望断面積は信号系導体(幅0.3〜2mm)においてであり、大電流用途(幅≧2mm)はこの限りでない。そして、所要数の導体の主面の両側に絶縁シートを配置し、これら所要数の導体一本あたりに所定の張力を付与しながら、上記所要数の導体を接着剤を介して一対の絶縁シートで挟み込む。そして、所要数の導体、接着剤及び一対の絶縁シートからなる積層体をプレスしてラミネート処理する。
具体的には、上記ラミネート処理では、上記最終圧延工程の後、160〜200℃、0.1s〜5sの加熱条件で融解可能な接着剤を介して、上記加熱条件で融解しない2つの絶縁シートで上記最終圧延工程で得られた所定数の導体を挟み込んでラミネート構造を形成する。本ラミネート処理では、例えば一対のロール間で積層体を挟持し、ラミネート処理時の加熱条件(ロール温度)は、160〜200℃、0.1s〜5sであるのが好ましく、160〜200℃、0.5s〜5sであるのがより好ましい。ラミネート処理時の加熱条件が上記範囲内の値であると、PETなどの融点が低い樹脂からなる絶縁シートを用いても、絶縁シートがラミネート処理時に融解することが無く、コストの増大を抑えつつ生産性を向上することができる。
本ラミネート処理時において導体に熱が付与されるとき、上記加熱条件を上記範囲内の値とすることで、導体における{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が低下せず、上記2回目圧延後の導体における{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率を維持した状態でラミネート処理が行われる。
また、上記加熱条件により、ラミネート処理の加熱時にCube方位が高発達する再結晶が起きることが無く、導体の強度が低下しないので、ラミネート処理時はもとより、その後のフラットケーブルとコネクタとの接合或いは回転コネクタ装置へのフラットケーブルの収納時に導体の変形及び破断が生じ難く、生産性の低下を防止することができる。
また、本実施形態に係る導体の場合、一本あたり所定の張力を付与しながら一対の絶縁シートで当該複数の導体を挟み込んでも、導体の塑性変形が起きずにラミネート作製が可能となる。また、ラミネート処理条件が定められた所定のガイドラインに沿ってフラットケーブルを製造する場合にも、同ガイドライン通りに安全性、信頼性の高いフラットケーブルを提供することができる。
上記ラミネート処理において、上記加熱条件で融解可能な層状の接着部と同加熱条件で融解しない層状のベース部とからなる一対の絶縁シートで所定数の導体を挟み込み、所要数の導体、一対の接着部及び一対のベース部からなる積層体をプレスしてラミネート処理してもよい。
[フラットケーブルにおける導体の特性]
上記方法によって製造されたフラットケーブルにおいて、導体の0.2%耐力は400MPa以上であり、且つ160〜200℃、0.1s〜5sでの加熱処理後の導体の0.2%耐力が、300MPa以上である。ラミネート処理前の導体の0.2%耐力を上記範囲内の値とすることにより、ラミネート処理時に導体の破断を生じ難くすることができ、また、160〜200℃、0.1s〜5sでの加熱処理後の導体の0.2%耐力を上記範囲内の値とすることにより、適度な耐力を保持しつつ、ラミネート処理後の曲げ性や耐座屈性を配慮し、良好な屈曲特性を得ることが可能となる。
また、50℃以上、ストローク長さ10mm〜15mm、屈曲速度10〜500回転/分の試験条件下にてIPC屈曲試験を行った結果、上記導体は、10万回屈曲試験後の被屈曲部の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が75%以上である集合組織を有している。更に、50〜150℃、屈曲半径4.5mm〜6.5mm、ストローク長さ10mm〜15mm、屈曲速度10〜500回転/分の試験条件下にてIPC屈曲試験を行った結果、上記導体は、10万回屈曲試験後の被屈曲部の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が75%以上である集合組織を有するのが好ましい。上記のような屈曲により、導体における上記圧延加工集合組織の少なくとも一部が変化して加工集合組織が形成される。またラミネート処理後の導体における許容ずれ角12.5°以内で{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が上記範囲内の値であると、屈曲試験前は成長していない{001}<100>方位粒が{123}<634>方位粒に隣接した場合、他の方位粒よりも低エネルギーで粒界移動が可能であるため、その結果Cube粒を優先的に成長させることができる。したがって、10万回屈曲試験後の被屈曲部の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が上記範囲内の値であれば、フラットケーブルが回転コネクタ装置などの機器に組み付けられて実際に使用された際、長寿命化を実現することができる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
先ず、鋳造機を用いて、タフピッチ銅からなる厚さ100mm〜200mmの鋳塊を作製した。次いで、600〜1000℃の熱間圧延により厚さ10〜20mmの板材を作製し、その後冷間圧延を施した。
上記共通工程を経た後、表1に示すように、発明例1のプロセス1では、処理温度300℃、処理時間2時間で板材に熱処理を施した後、圧下率97%で最終圧延を施し、厚さ0.035mmの導体を得た。
また、発明例2のプロセス2では、処理温度170℃、処理時間2時間で、板材に熱処理を施した後、圧下率97%で圧延処理を施し、厚さ0.035mmの導体を得た。
発明例3のプロセス3では、処理温度200℃、処理時間2時間で、板材に1回目熱処理を施した後、1回目熱処理後の板材に圧下率67%で1回目圧延を施して厚さ0.4mmの導体を得、その後処理温度300℃、処理温度2時間で、導体に2回目熱処理を施し、更に2回目熱処理後の板材に圧下率91%で2回目圧延を施して厚さ0.035mmの導体を得た。
比較例1のプロセス4では、1回目圧延の圧下率を83%、2回目圧延の圧下率を83%としたこと以外は、プロセス3と同様にして厚さ0.035mmの導体を得た。
比較例2のプロセス5では、1回目圧延の圧下率を92%、2回目圧延の圧下率を65%としたこと以外は、プロセス3と同様にして厚さ0.035mmの導体を得た。
比較例3のプロセス6では、1回目圧延の圧下率を96%、2回目圧延の圧下率を30%としたこと以外は、プロセス3と同様にして厚さ0.035mmの導体を得た。
そして、作製された発明例1〜3、比較例1〜3の各導体について、{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率、導体の厚み方向における結晶粒の寸法の平均値、及び導体の幅方向における結晶粒の寸法を導体の厚み方向における当該結晶粒の寸法で除した値の平均値を、それぞれ下記(A)〜(C)の方法で測定し、また0.2%耐力を下記(D)の方法で測定した。
(A){123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率
前加工処理としてクロスセクションポリッシャ加工を導体断面に施して銅表面を露出させた後、200μm×35μmの範囲をステップ0.1μm〜0.3μmにて電子線後方散乱解析(EBSD:Electron Back Scatter Diffraction)を実施し、解析ソフトを用いて許容ずれ角12.5°以内として、{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率を解析した。
(B)導体の厚み方向における結晶粒の寸法の平均値
上記EBSDにて測定解析されたIPF MAPから、導体の厚み方向に沿って結晶粒の数をカウントし、導体厚みで除して、結晶粒の寸法の平均値を求めた。
(C)導体の幅方向における結晶粒の寸法を導体の厚み方向における当該結晶粒の寸法で除した値の平均値
導体の幅方向をTD方向(圧延方向に垂直な方向)とし、厚み方向の結晶粒の寸法と同様の方法にて幅方向の100μm長における結晶粒の寸法を求め、上記厚み方向の結晶粒の寸法で除して、(幅方向結晶粒寸法)/(厚み方向結晶粒寸法)の平均値を算出した。
(D)0.2%耐力
0.035mm厚、0.8mm幅、160mm長の短冊材をスリット切断にて作製し、該短冊材について、試験片サイズ以外はJIS Z 2241に準拠し、試験数3本の平均値を算出した。0.2%耐力が400MPa以上である場合を良好、400MPa未満である場合を不良とした。上記の方法にて測定した結果を表1に示す。
Figure 0006809957
表1の結果より、発明例1では、導体の材料及び{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が本発明の範囲内であり、0.2%耐力が440MPaであった。
また、発明例2では、導体の材料及び{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が本発明の範囲内であり、更に、導体の厚み方向における結晶粒の寸法の平均値が2μmであり、且つ、(幅方向結晶粒寸法)/(厚み方向結晶粒寸法)の平均値が5であり、0.2%耐力が455MPaであった。
発明例3では、導体の材料及び{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が本発明の範囲内であり、0.2%耐力が430MPaであった。
一方、比較例1〜3ではいずれも、1回目圧延で高圧延率であったため、2回目熱処理時に{001}<100>の方位に配向する結晶粒が成長し、最終圧延後における{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が本発明の範囲外であり、0.2%耐力が310MPaと劣った。
次に、発明例4として、表1のプロセス1で得られた導体を、1本当り0.3kgfの張力を付与しながら、2枚の接着層付PET絶縁シート(リケンテクノス社製、エアバッグ用フレキシブルフラットケーブル(絶縁フィルム)、ベース層厚25μm、接着層厚20μm)で挟み込み、両面からプレスしてラミネート処理を施し、フラットケーブルを作製した。接着層として、160〜200℃、0.1s〜5sの加熱条件で融解可能なポリエステル系樹脂を選定し、ベース層として、上記加熱条件で融解しないPET樹脂を選定した。ラミネート処理条件は、ロール温度170℃、加熱時間(プレス時間)5s、プレス圧力0.5MPaとした。
発明例5として、プロセス2で得られた導体を用いたこと以外は、発明例4と同様にして、フラットケーブルを作製した。また、発明例6として、プロセス3で得られた導体を用いたこと以外は、発明例4と同様にして、フラットケーブルを作製した。
次に、比較例4として、表1のプロセス1で得られた導体を、0.3kgfの張力を付与しながら、PI絶縁シート(東レデュポン社製、製品名「カプトンFタイプ」、もしくは宇部興業社製、製品名「ユーピレックス(登録商標)−VT/NVT」、厚さ10〜50μm)で挟み込み、両面からプレスしてラミネート処理を施し、フラットケーブルを作製した。ラミネート処理条件は、ロール温度300℃、加熱時間(プレス時間)180s、プレス圧力0.5MPaとした。
比較例5として、ラミネート処理時のロール温度を170℃に変えたこと以外は、比較例4と同様にして、フラットケーブルを作製した。また、比較例6として、接着層付PET絶縁シートを用いたこと以外は、比較例4と同様にして、フラットケーブルを作製した。
比較例7として、プロセス2で得られた導体を用いたこと以外は、比較例4と同様にして、フラットケーブルを作製した。また、比較例8として、プロセス2で得られた導体を用いたこと以外は、比較例5と同様にして、フラットケーブルを作製した。また、比較例9として、プロセス2で得られた導体を用いたこと以外は、比較例6と同様にして、フラットケーブルを作製した。
比較例10として、プロセス3で得られた導体を用いたこと以外は、比較例4と同様にして、フラットケーブルを作製した。
比較例11として、プロセス4で得られた導体を用いたこと以外は、比較例4と同様にして、フラットケーブルを作製した。また、比較例12として、プロセス4で得られた導体を用いたこと以外は、比較例5と同様にして、フラットケーブルを作製した。
比較例13として、プロセス5で得られた導体を用いたこと以外は、比較例4と同様にして、フラットケーブルを作製した。また、比較例14として、プロセス5で得られた導体を用いたこと以外は、比較例5と同様にして、フラットケーブルを作製した。
比較例15として、プロセス6で得られた導体を用いたこと以外は、比較例4と同様にして、フラットケーブルを作製した。また、比較例16として、プロセス6で得られた導体を用いたこと以外は、比較例5と同様にして、フラットケーブルを作製した。
そして、作製された発明例4〜6、比較例4〜16の各フラットケーブルについて、ラミネート処理後の{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率、ラミネート処理後の導体の0.2%耐力、ラミネート性、コネクタ接合性、室温試験寿命、高温試験寿命、及び高温時10万回屈曲試験後の{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率を、それぞれ下記(E)〜(J)の方法で測定、評価した。
(E)ラミネート処理後の{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率
ラミネート処理後の導体について、上記(A)と同様の方法にて、EBSDにより{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率を求めた。
(F)ラミネート処理後の0.2%耐力
フラットケーブルにおいて所定の溶剤にて樹脂を溶解し、取り出した導体について、上記(D)と同様の方法にて、試験数3本の平均値を算出した。
(G)ラミネート性
ラミネート処理時に導体間が設計上の距離の1/10以上縮まったり離れたり、もしくは導体に1%以上の永久伸びが生じた場合、ラミネート性を不良「×」とし、導体間が設計上の距離の1/10以上縮まったり離れたりせず且つ導体に1%以上の永久伸びが生じなかった場合、ラミネート性を良好「〇」とした。
(H)コネクタ接合性
コネクタ接合時に導体が破断した場合を不良「×」とし、導体に破断が生じなかった場合を良好「〇」とした。
(I)室温屈曲寿命及び高温屈曲寿命
FPC屈曲試験機(上島製作所製、装置名「FT−2130」)を用い、試験サンプルとして、導体を4〜6本配列し、樹脂でラミネートしたフラットケーブルを作製し、該フラットケーブルの幅方向両端に配列された導体のいずれかが破断したときに寿命と判断した。試験条件は、ストローク±13mm、試験速度180rpm、屈曲半径5.5mm、室温は23℃、高温は85℃とした。寿命と判断したときの屈曲回数が30万回以上である場合を、回転コネクタが要求される疲労特性を満足するとして極めて良好「A」、15万回以上30万回未満である場合を良好「B」、15万回未満を不良「C」とした。
(J)10万回高温屈曲試験後の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率
上記(I)と同様の方法にて高温(85℃)における10万回屈曲試験を行った後、上記(E)と同様の方法にて、{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率を求めた。上記の方法にて測定、評価した結果を表2に示す。
Figure 0006809957
表2に示すように、発明例4では、プロセス1で製造された導体を用い、ラミネート材が上記接着層付きPET絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が170℃、3sであるので、ラミネート性及びコネクタ接合性の双方が良好であった。また、ラミネート処理後の{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が本発明の範囲内であり、ラミネート処理後の0.2%耐力が420MPaであり、室温屈曲寿命が良好であると共に高温屈曲寿命が極めて良好であった。更に、10万回高温屈曲試験後の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が97%であり、屈曲によりCube方位の結晶粒が成長していることが分かった。
発明例5では、プロセス2で製造された導体を用い、ラミネート材が上記接着層付きPET絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が170℃、3sであるので、ラミネート性及びコネクタ接合性の双方が良好であった。また、ラミネート処理後の{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が本発明の範囲内であり、ラミネート処理後の0.2%耐力が420MPaであり、更に、導体の厚み方向における結晶粒の寸法の平均値が2μmであり、且つ、(幅方向結晶粒寸法)/(厚み方向結晶粒寸法)の平均値が5であり、高温屈曲寿命のみならず室温屈曲寿命も極めて良好であった。更に、10万回高温屈曲試験後の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が95%であり、屈曲によりCube方位の結晶粒が十分に成長していることが分かった。
発明例6では、プロセス3で製造された導体を用い、ラミネート材が上記接着層付きPET絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が170℃、3sであるので、ラミネート性及びコネクタ接合性の双方が良好であった。また、ラミネート処理後の{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が本発明の範囲内であり、ラミネート処理後の0.2%耐力が430MPaであり、室温屈曲寿命が良好であると共に高温屈曲寿命が極めて良好であった。更に、10万回高温屈曲試験後の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が80%であり、屈曲によりCube方位の結晶粒が成長していることが分かった。
一方、比較例4では、プロセス1で製造された導体を用い、ラミネート材がPI絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が300℃、3sであるので、ラミネート処理時に導体が軟化し、ラミネート性及びコネクタ接合性の双方が不良であった。
比較例5では、プロセス1で製造された導体を用い、ラミネート材がPI絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が170℃、3sであるので、ラミネート処理時にPI絶縁シートが融解せず、フラットケーブルを作製することができなかった。
比較例6では、プロセス1で製造された導体を用い、ラミネート材が接着層付きPET絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が300℃、3sであるので、ラミネート処理時に接着層のみならずベース層が融解し、制御不能となってフラットケーブルを成形することができなかった。
比較例7では、プロセス2で製造された導体を用い、ラミネート材がPI絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が300℃、3sであるので、比較例4と同様、ラミネート処理時に導体が軟化し、ラミネート性及びコネクタ接合性の双方が不良であった。
比較例8では、プロセス2で製造された導体を用い、ラミネート材がPI絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が170℃、3sであるので、比較例5と同様、ラミネート処理時にPI絶縁シートが融解せず、フラットケーブルを作製することができなかった。
比較例9では、プロセス2で製造された導体を用い、ラミネート材が接着層付きPET絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が300℃、3sであるので、比較例6と同様、ラミネート処理時に接着層のみならずベース層が融解し、制御不能となってフラットケーブルを成形することができなかった。
比較例10では、プロセス3で製造された導体を用い、ラミネート材がPI絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が300℃、3sであるので、比較例4と同様、ラミネート処理時に導体が軟化し、ラミネート性及びコネクタ接合性の双方が不良であった。
比較例11では、プロセス4で製造された導体を用い、ラミネート材がPI絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が300℃、3sであるので、比較例4と同様、ラミネート処理時に導体が軟化し、ラミネート性及びコネクタ接合性の双方が不良であった。
比較例12では、プロセス4で製造された導体を用い、ラミネート材が接着層付きPET絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が170℃、3sであるので、ラミネート性及びコネクタ接合性の双方が良好であったものの、ラミネート処理後の{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が本発明の範囲外であり、ラミネート処理後の0.2%耐力が310MPaであり、室温屈曲寿命及び高温屈曲寿命の双方が不良であった。また、10万回高温屈曲試験後の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が15%であり、屈曲によってCube方位の結晶粒がほとんど成長していないことが分かった。
比較例13では、プロセス5で製造された導体を用い、ラミネート材がPI絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が300℃、3sであるので、比較例4と同様、ラミネート処理時に導体が軟化し、ラミネート性及びコネクタ接合性の双方が不良であった。
比較例14では、プロセス5で製造された導体を用い、ラミネート材が接着層付きPET絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が170℃、3sであるので、ラミネート処理前の{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が本発明の範囲外であり、ラミネート処理前の導体の0.2%耐力が250MPaであるので、ラミネート性及びコネクタ接合性の双方が不良であった。
比較例15では、プロセス6で製造された導体を用い、ラミネート材がPI絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が300℃、3sであるので、比較例4と同様、ラミネート処理時に導体が軟化し、ラミネート性及びコネクタ接合性の双方が不良であった。
比較例16では、プロセス6で製造された導体を用い、ラミネート材が接着層付きPET絶縁シートであり、ラミネート処理における加熱条件が170℃、3sであるので、ラミネート処理前の{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が本発明の範囲外であり、ラミネート処理前の0.2%耐力が230MPaであるので、ラミネート性及びコネクタ接合性の双方が不良であった。
1 フレキシブルフラットケーブル
11−1,11−2,11−3 導体
11−4,11−5,11−6 導体
12,13 一対の絶縁シート
14 接着層
22 絶縁シート
22a ベース層
22b 接着層
23 絶縁シート
23a ベース層
23b 接着層

Claims (9)

  1. タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなり、且つ{123}<634>の方位に許容ずれ角0°〜12.5°で配向する結晶粒の面積率が25%以上である圧延加工集合組織を有する所定数の導体を備え
    50℃以上、ストローク長さ10mm〜15mm、屈曲速度10〜500回転/分の試験条件下にてIPC屈曲試験を行った結果、前記導体は、10万回屈曲試験後の被屈曲部の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が75%以上である集合組織を有することを特徴とする、フラットケーブル。
  2. 前記導体の厚み方向における結晶粒の寸法の平均値が3μm以下であり、且つ、前記導体の幅方向における前記結晶粒の寸法を前記導体の厚み方向における前記結晶粒の寸法で除した値の平均値が3以上であることを特徴とする、請求項1記載のフラットケーブル。
  3. 前記導体の0.2%耐力が400MPa以上であり、且つ160〜200℃、0.1s〜5sでの加熱処理後の前記導体の0.2%耐力が300MPa以上であることを特徴とする、請求項1又は2記載のフラットケーブル。
  4. 160〜200℃、0.1s〜5sの加熱条件で融解可能な材料からなる接着層と、前記加熱条件で融解しない材料からなる一対の絶縁シートとを更に備え、
    前記導体は、前記接着層を介して前記一対の絶縁シートに挟み込まれるように配置されてラミネート構造を構成していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフラットケーブル。
  5. 前記絶縁シートが、ポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする、請求項記載のフラットケーブル。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフラットケーブルを備える回転コネクタ装置。
  7. タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなり、且つ{123}<634>の方位に許容ずれ角0°〜12.5°で配向する結晶粒の面積率が25%以上である圧延加工集合組織を有する所定数の導体を備え、50℃以上、ストローク長さ10mm〜15mm、屈曲速度10〜500回転/分の試験条件下にてIPC屈曲試験を行った結果、前記導体は、10万回屈曲試験後の被屈曲部の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が75%以上である集合組織を有するフラットケーブルの製造方法であって、
    タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなる材料の鋳造工程、熱間圧延工程及び冷間圧延工程の後、熱処理工程と、最終圧延工程とを有し、
    前記熱処理工程における熱処理条件が、200〜700℃、15s〜5hであり、
    前記最終圧延工程における圧延率が75%以上である、
    ことを特徴とする、フラットケーブルの製造方法。
  8. タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなり、且つ{123}<634>の方位に許容ずれ角0°〜12.5°で配向する結晶粒の面積率が25%以上である圧延加工集合組織を有する所定数の導体を備え、50℃以上、ストローク長さ10mm〜15mm、屈曲速度10〜500回転/分の試験条件下にてIPC屈曲試験を行った結果、前記導体は、10万回屈曲試験後の被屈曲部の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が75%以上である集合組織を有するフラットケーブルの製造方法であって、
    タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなる材料の鋳造工程、熱間圧延工程及び冷間圧延工程の後、第1熱処理工程と、第1圧延工程と、第2熱処理工程と、最終圧延工程とを有し、
    前記第1熱処理工程における熱処理条件が、200〜700℃、15s〜5hであり、
    前記第1圧延工程における圧延率が、75%以下であり、
    前記第2熱処理工程における熱処理条件が、200〜700℃、15s〜5hであり、
    前記最終圧延工程における圧延率が75%以上である、
    ことを特徴とする、フラットケーブルの製造方法。
  9. 前記最終圧延工程の後、当該最終圧延工程で得られた所定数の導体を、160〜200℃、0.1s〜5sの加熱条件で融解可能な接着剤を介して、前記加熱条件で融解しない2枚の絶縁シートで挟み込んでラミネート構造を形成するラミネート処理工程を更に有し、
    前記ラミネート処理工程における加熱条件が、160〜200℃、0.1s〜5sであることを特徴とする、請求項7又は8記載のフラットケーブルの製造方法。
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