JP6809957B2 - フラットケーブル、該フラットケーブルを備える回転コネクタ装置、及びフラットケーブルの製造方法 - Google Patents
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また、小型化と同時に多チャンネル化のニーズに応えるためにフレキシブルフラットケーブルに用いられる導体の幅は減少傾向にある。そのため、フレキシブルフラットケーブルの製造難度は上がってきており、製造性の改善に寄与する導体が求められている。銅合金製の導体を用いれば製造性の改善に対しては有効であるが、銅合金製の導体は純銅製よりも電気抵抗が高いという問題がある。
また、タフピッチ銅の中で最も屈曲性に優れるのはCube方位が高集積した再結晶材(軟銅)であり、今後の小型化のニーズに対応できる導体の素材として有望である。しかしながら軟銅の機械的強度は集合組織の形成に伴って一般的な軟銅よりも下がることが知られており、狭幅化に伴う断面積の減少も伴い材料強度が著しく低下するためフラットケーブルの製造性への悪影響が顕著化することが想定される。
(1)タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなり、且つ{123}<634>の方位に許容ずれ角0°〜12.5°で配向する結晶粒の面積率が25%以上である圧延加工集合組織を有する所定数の導体を備えることを特徴とする、フラットケーブル。
(2)前記導体の厚み方向における結晶粒の寸法の平均値が3μm以下であり、且つ、前記導体の幅方向における前記結晶粒の寸法を前記導体の厚み方向における前記結晶粒の寸法で除した値の平均値が3以上であることを特徴とする、上記(1)記載のフラットケーブル。
(3)前記導体の0.2%耐力が400MPa以上であり、且つ160〜200℃、0.1s〜5sでの加熱処理後の前記導体の0.2%耐力が300MPa以上であることを特徴とする、上記(1)又は(2)記載のフラットケーブル。
(4)160〜200℃、0.1s〜5sの加熱条件で融解可能な材料からなる接着層と、前記加熱条件で融解しない材料からなる一対の絶縁シートとを更に備え、
前記導体は、前記接着層を介して前記一対の絶縁シートに挟み込まれるように配置されてラミネート構造を構成していることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のフラットケーブル。
(5)前記ベース層が、ポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフラットケーブル。
(6)50℃以上、ストローク長さ10mm〜15mm、屈曲速度10〜500回転/分の試験条件下にてIPC屈曲試験を行った結果、前記導体は、10万回屈曲試験後の被屈曲部の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が75%以上である集合組織を有することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のフラットケーブル。
(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のフラットケーブルを備える回転コネクタ装置。
(8)タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなる所定数の導体を備えるフラットケーブルの製造方法であって、
タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなる材料の鋳造工程、熱間圧延工程及び冷間圧延工程の後、熱処理工程と、最終圧延工程とを有し、
前記熱処理工程における熱処理条件が、200〜700℃、15s〜5hであり、
前記最終圧延工程における圧延率が75%以上である、
ことを特徴とする、フラットケーブルの製造方法。
(9)タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなる所定数の導体を備えるフラットケーブルの製造方法であって、
タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなる材料の鋳造工程、熱間圧延工程及び冷間圧延工程の後、第1熱処理工程と、第1圧延工程と、第2熱処理工程と、最終圧延工程とを有し、
前記第1熱処理工程における熱処理条件が、200〜700℃、15s〜5hであり、
前記第1圧延工程における圧延率が、75%以下であり、
前記第2熱処理工程における熱処理条件が、200〜700℃、15s〜5hであり、
前記最終圧延工程における圧延率が75%以上である、
ことを特徴とする、フラットケーブルの製造方法。
(10)前記最終圧延工程の後、当該最終圧延工程で得られた所定数の導体を、160〜200℃、0.1s〜5sの加熱条件で融解可能な接着剤を介して、前記加熱条件で融解しない2枚の絶縁シートで挟み込んでラミネート構造を形成するラミネート処理工程を更に有し、
前記ラミネート処理工程における加熱条件が、160〜200℃、0.1s〜5sであることを特徴とする、上記(8)又は(9)記載のフラットケーブルの製造方法。
本実施形態のフラットケーブル1は、図1に示すように、例えば複数の導体11−1,11−2,11−3,11−4,11−5,11−6(所要数の導体)と、該複数の導体を挟み込むように配置された一対の絶縁シート12,13と、一対の絶縁シート12,13間に設けられた接着層14とを備える。本実施形態のフラットケーブル1は、例えばフレキシブルフラットケーブル(FFC)である。
本発明で使用される導体の材料は、純銅であり、タフピッチ銅(TPC:Tough Pitch Copper)及び無酸素銅(OFC:Oxygen−Free Copper)のいずれかからなる。タフピッチ銅は、Cu≧99.90mass%、O(酸素)がJIS規定はないが一般的に0.01〜0.03mass%、及び残部を不可避不純物からなる。無酸素銅は、Cu≧99.96mass%、及び残部を不可避不純物からなる。
上述の導体の製造方法では、先ず、[1]溶解及び鋳造、[2]熱間圧延、[3]冷間圧延、[4]熱処理、[5]最終圧延、の各工程を経て導体を製造し、所望幅のスリット切断を実施して断面積が0.03mm2以下、好ましくは0.010mm2〜0.0195mm2である導体を複数個準備する。この所望断面積は信号系導体においてであり、大電流用途はこの限りでない。最終圧延後の導体幅は、例えば0.3mm〜0.8mmであり、導体厚さは、例えば0.02mm〜0.065mmである。尚、後述するプロセス1〜6では、[1]溶解及び鋳造、[2]熱間圧延、[3]冷間圧延、[4]熱処理、及び[5]最終圧延の5工程を共通条件とし、プロセス3〜6では[4]熱処理の後であって[5 ]最終圧延の前に、他の熱処理及び他の圧延の2工程を更に追加している。
溶解及び鋳造は、上述した同合金組成になるように各成分の分量を調整して溶製し、厚さ100mm〜200mmの鋳塊を製造する。
次いで、上記で製造された鋳塊を600〜1000℃で熱間圧延して、厚さ10mm〜20mmの板材を作製する。
更に、熱間圧延処理後の板材を冷間圧延して、厚さ0.04mm〜1.2mmの導体を作製する。本冷間圧延工程後、後述する熱処理前に、切削加工などの任意の加工処理を行うことができるが、値熱処理は行わない。
次に、熱処理条件200〜700℃、15s〜5hで、導体に熱処理を施す。20μm以下の再結晶粒径に制御にする熱処理が好ましい。
その後、熱処理後の導体に最終の冷間圧延を施して、厚さ0.02mm〜0.065mmの導体を作製する。最終圧延の圧延率(板圧減少率)は、75%以上、好ましくは75〜99%である。これにより、導体に{123}<634>の方位に許容ずれ角0°〜12.5°で配向する結晶粒の面積率が25%以上である圧延加工集合組織が形成される。また、上記[4]にて再結晶させた材料は本最終圧延によりその結晶粒が扁平し、導体の厚み方向における結晶粒の寸法の平均値は3μm以下となる。更に、導体の幅方向における結晶粒の寸法を導体の厚み方向における当該結晶粒の寸法で除した値の平均値が3以上となる。
上記[4]熱処理の後であって上記[5]最終圧延の前に、他の圧延及び他の熱処理の2工程を追加してもよい。具体的には、[1]溶解及び鋳造、[2]熱間圧延及び[3]冷間圧延を行った後、[4]熱処理(1回目熱処理)、上記他の圧延(1回目圧延)、上記他の熱処理(2回目熱処理)及び[5]最終圧延(2回目熱処理)の各工程をこの順に経て、導体が製造される。
本実施形態に係るフラットケーブルの製造方法では、導体が上記のような条形成工程で製造された場合、スリット切断を施し、幅0.3mm〜15mm、幅方向断面積が0.02mm2以下である導体を所要数準備する。この所望断面積は信号系導体(幅0.3〜2mm)においてであり、大電流用途(幅≧2mm)はこの限りでない。そして、所要数の導体の主面の両側に絶縁シートを配置し、これら所要数の導体一本あたりに所定の張力を付与しながら、上記所要数の導体を接着剤を介して一対の絶縁シートで挟み込む。そして、所要数の導体、接着剤及び一対の絶縁シートからなる積層体をプレスしてラミネート処理する。
上記方法によって製造されたフラットケーブルにおいて、導体の0.2%耐力は400MPa以上であり、且つ160〜200℃、0.1s〜5sでの加熱処理後の導体の0.2%耐力が、300MPa以上である。ラミネート処理前の導体の0.2%耐力を上記範囲内の値とすることにより、ラミネート処理時に導体の破断を生じ難くすることができ、また、160〜200℃、0.1s〜5sでの加熱処理後の導体の0.2%耐力を上記範囲内の値とすることにより、適度な耐力を保持しつつ、ラミネート処理後の曲げ性や耐座屈性を配慮し、良好な屈曲特性を得ることが可能となる。
また、発明例2のプロセス2では、処理温度170℃、処理時間2時間で、板材に熱処理を施した後、圧下率97%で圧延処理を施し、厚さ0.035mmの導体を得た。
前加工処理としてクロスセクションポリッシャ加工を導体断面に施して銅表面を露出させた後、200μm×35μmの範囲をステップ0.1μm〜0.3μmにて電子線後方散乱解析(EBSD:Electron Back Scatter Diffraction)を実施し、解析ソフトを用いて許容ずれ角12.5°以内として、{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率を解析した。
上記EBSDにて測定解析されたIPF MAPから、導体の厚み方向に沿って結晶粒の数をカウントし、導体厚みで除して、結晶粒の寸法の平均値を求めた。
導体の幅方向をTD方向(圧延方向に垂直な方向)とし、厚み方向の結晶粒の寸法と同様の方法にて幅方向の100μm長における結晶粒の寸法を求め、上記厚み方向の結晶粒の寸法で除して、(幅方向結晶粒寸法)/(厚み方向結晶粒寸法)の平均値を算出した。
0.035mm厚、0.8mm幅、160mm長の短冊材をスリット切断にて作製し、該短冊材について、試験片サイズ以外はJIS Z 2241に準拠し、試験数3本の平均値を算出した。0.2%耐力が400MPa以上である場合を良好、400MPa未満である場合を不良とした。上記の方法にて測定した結果を表1に示す。
また、発明例2では、導体の材料及び{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が本発明の範囲内であり、更に、導体の厚み方向における結晶粒の寸法の平均値が2μmであり、且つ、(幅方向結晶粒寸法)/(厚み方向結晶粒寸法)の平均値が5であり、0.2%耐力が455MPaであった。
発明例3では、導体の材料及び{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率が本発明の範囲内であり、0.2%耐力が430MPaであった。
ラミネート処理後の導体について、上記(A)と同様の方法にて、EBSDにより{123}<634>の方位に配向する結晶粒の面積率を求めた。
フラットケーブルにおいて所定の溶剤にて樹脂を溶解し、取り出した導体について、上記(D)と同様の方法にて、試験数3本の平均値を算出した。
ラミネート処理時に導体間が設計上の距離の1/10以上縮まったり離れたり、もしくは導体に1%以上の永久伸びが生じた場合、ラミネート性を不良「×」とし、導体間が設計上の距離の1/10以上縮まったり離れたりせず且つ導体に1%以上の永久伸びが生じなかった場合、ラミネート性を良好「〇」とした。
コネクタ接合時に導体が破断した場合を不良「×」とし、導体に破断が生じなかった場合を良好「〇」とした。
FPC屈曲試験機(上島製作所製、装置名「FT−2130」)を用い、試験サンプルとして、導体を4〜6本配列し、樹脂でラミネートしたフラットケーブルを作製し、該フラットケーブルの幅方向両端に配列された導体のいずれかが破断したときに寿命と判断した。試験条件は、ストローク±13mm、試験速度180rpm、屈曲半径5.5mm、室温は23℃、高温は85℃とした。寿命と判断したときの屈曲回数が30万回以上である場合を、回転コネクタが要求される疲労特性を満足するとして極めて良好「A」、15万回以上30万回未満である場合を良好「B」、15万回未満を不良「C」とした。
上記(I)と同様の方法にて高温(85℃)における10万回屈曲試験を行った後、上記(E)と同様の方法にて、{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率を求めた。上記の方法にて測定、評価した結果を表2に示す。
11−1,11−2,11−3 導体
11−4,11−5,11−6 導体
12,13 一対の絶縁シート
14 接着層
22 絶縁シート
22a ベース層
22b 接着層
23 絶縁シート
23a ベース層
23b 接着層
Claims (9)
- タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなり、且つ{123}<634>の方位に許容ずれ角0°〜12.5°で配向する結晶粒の面積率が25%以上である圧延加工集合組織を有する所定数の導体を備え、
50℃以上、ストローク長さ10mm〜15mm、屈曲速度10〜500回転/分の試験条件下にてIPC屈曲試験を行った結果、前記導体は、10万回屈曲試験後の被屈曲部の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が75%以上である集合組織を有することを特徴とする、フラットケーブル。 - 前記導体の厚み方向における結晶粒の寸法の平均値が3μm以下であり、且つ、前記導体の幅方向における前記結晶粒の寸法を前記導体の厚み方向における前記結晶粒の寸法で除した値の平均値が3以上であることを特徴とする、請求項1記載のフラットケーブル。
- 前記導体の0.2%耐力が400MPa以上であり、且つ160〜200℃、0.1s〜5sでの加熱処理後の前記導体の0.2%耐力が300MPa以上であることを特徴とする、請求項1又は2記載のフラットケーブル。
- 160〜200℃、0.1s〜5sの加熱条件で融解可能な材料からなる接着層と、前記加熱条件で融解しない材料からなる一対の絶縁シートとを更に備え、
前記導体は、前記接着層を介して前記一対の絶縁シートに挟み込まれるように配置されてラミネート構造を構成していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフラットケーブル。 - 前記絶縁シートが、ポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする、請求項4記載のフラットケーブル。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフラットケーブルを備える回転コネクタ装置。
- タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなり、且つ{123}<634>の方位に許容ずれ角0°〜12.5°で配向する結晶粒の面積率が25%以上である圧延加工集合組織を有する所定数の導体を備え、50℃以上、ストローク長さ10mm〜15mm、屈曲速度10〜500回転/分の試験条件下にてIPC屈曲試験を行った結果、前記導体は、10万回屈曲試験後の被屈曲部の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が75%以上である集合組織を有するフラットケーブルの製造方法であって、
タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなる材料の鋳造工程、熱間圧延工程及び冷間圧延工程の後、熱処理工程と、最終圧延工程とを有し、
前記熱処理工程における熱処理条件が、200〜700℃、15s〜5hであり、
前記最終圧延工程における圧延率が75%以上である、
ことを特徴とする、フラットケーブルの製造方法。 - タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなり、且つ{123}<634>の方位に許容ずれ角0°〜12.5°で配向する結晶粒の面積率が25%以上である圧延加工集合組織を有する所定数の導体を備え、50℃以上、ストローク長さ10mm〜15mm、屈曲速度10〜500回転/分の試験条件下にてIPC屈曲試験を行った結果、前記導体は、10万回屈曲試験後の被屈曲部の{001}<100>の方位に配向する結晶粒の面積率が75%以上である集合組織を有するフラットケーブルの製造方法であって、
タフピッチ銅及び無酸素銅のいずれかからなる材料の鋳造工程、熱間圧延工程及び冷間圧延工程の後、第1熱処理工程と、第1圧延工程と、第2熱処理工程と、最終圧延工程とを有し、
前記第1熱処理工程における熱処理条件が、200〜700℃、15s〜5hであり、
前記第1圧延工程における圧延率が、75%以下であり、
前記第2熱処理工程における熱処理条件が、200〜700℃、15s〜5hであり、
前記最終圧延工程における圧延率が75%以上である、
ことを特徴とする、フラットケーブルの製造方法。 - 前記最終圧延工程の後、当該最終圧延工程で得られた所定数の導体を、160〜200℃、0.1s〜5sの加熱条件で融解可能な接着剤を介して、前記加熱条件で融解しない2枚の絶縁シートで挟み込んでラミネート構造を形成するラミネート処理工程を更に有し、
前記ラミネート処理工程における加熱条件が、160〜200℃、0.1s〜5sであることを特徴とする、請求項7又は8記載のフラットケーブルの製造方法。
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