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JP6938221B2 - 印刷パターンの形成方法 - Google Patents
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Description

本発明は、印刷パターンの形成方法に関する。
印刷技術は、近年、様々な分野で利用されるようになってきており、汎用性が極めて高くなっている。特に最近では、細線の形成に利用されることが多く、複雑な印刷パターンが形成可能となってきている。
このような印刷パターンには、例えば、1本の細線が所定の角度を持って折れ曲がっているものや、2本以上の細線が所定の角度を持って交差しているものなどが挙げられる。このような細線の折れ曲がり部や交差部は、その形状のみに着目すると、屈曲部を含んでいるという、構造上の共通点を有する。
このような印刷パターンの形成には、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法等の、印刷版として凹版を用いる方法が汎用される。これらの方法では、印刷版(凹版)中の溝にインクを充填し、このインクを転写することで、印刷パターン形成する。
印刷版として凹版を用いる印刷パターンの形成方法は、近年では、導電性パターンの形成にも利用されるようになってきており、例えば、導電性細線(配線)を有する配線板等の製造に利用されることがある。
配線板は、各種電子機器におけるタッチパネル、電磁波シールド等の部材として有用であり、特に、タッチパネルは、携帯電話等の情報通信機器をはじめとする各種表示素子において需要が急増している。配線板は、透明基板上に電極として銀や銅等の金属細線を備えて構成され、金属細線は、例えば、網目(メッシュ)を形成している。
このような配線板の製造に、上記の印刷パターンの形成方法を利用すれば、配線板を安価且つ簡便に製造でき、極めて有用である。これに対して、グラビアオフセット印刷法を利用して導電性細線を形成した配線板が開示されている(特許文献1参照)。
国際公開第2015/111715号
しかし、このような印刷版(凹版)を用いる印刷パターンの形成時には、基板の表面に対して平行な方向における細線の屈曲部において、細線の幅が、凹版中の溝の幅よりも拡大してしまうという、不具合が発生する。これは、印刷直後のインクの形状が、インクの乾燥までの間に崩れてしまう(だれてしまう)ことが原因であると推測され、通常は、細線の幅が狭くなるほど、また、屈曲部の角度が小さくなるほど顕著になる。このように、凹版を用いて形成した細線の屈曲部では、目的とする形状を忠実に実現することが困難であるという問題点があった。
また、このように、細線の屈曲部において、細線の幅が目的とする幅よりも拡大してしまうと、単に目的外の線幅の細線が形成されてしまうということだけにとどまらず、さらに大きな不具合を引き起こすこともある。例えば、上記のようにタッチパネルでは、透明基板上に電極として金属細線を備えた配線板が利用されるが、上記のように、金属細線の屈曲部において、金属細線の幅が拡大してしまうと、通常、目視で視認されないように設計されている金属細線が、容易に視認可能となってしまう。
これに対して、特許文献1で開示されている導電性細線の形成方法では、このような不具合の発生を抑制できるか否かは、定かではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、屈曲部を有する細線を含む印刷パターンの形成方法として、前記屈曲部での細線の幅の拡大を抑制できる方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、印刷版として凹版を用いる印刷パターンの形成方法であって、前記印刷版は、その表面にインクを充填するための溝を有し、前記溝は、前記印刷版の表面に対して平行な方向において屈曲する屈曲部を有し、前記溝が、前記屈曲部の180°未満の角度を成す側において、くびれを有する、印刷パターンの形成方法を提供する。
本発明によれば、屈曲部を有する細線を含む印刷パターンの形成方法として、前記屈曲部での細線の幅の拡大を抑制できる方法が提供される。
本発明で用いる印刷版の一例について、その溝が形成されている領域を拡大して模式的に示す平面図である。 図1に示す溝が有する屈曲部を拡大して示す拡大平面図である。 本発明で用いる印刷版の他の例について、その溝が形成されている領域を拡大して模式的に示す平面図である。 本発明で用いる印刷版のさらに他の例について、その溝が形成されている領域を拡大して模式的に示す平面図である。 本発明で用いる印刷版のさらに他の例について、その溝が形成されている領域を拡大して模式的に示す平面図である。 図1又は図5に示す印刷版を用いて形成した印刷パターンの一例を、拡大して模式的に示す平面図である。 図3に示す印刷版を用いて形成した印刷パターンの一例を、拡大して模式的に示す平面図である。 図4に示す印刷版3を用いて形成した印刷パターンの一例を、拡大して模式的に示す平面図である。 従来の印刷版を用いて形成した印刷パターンの一例を、拡大して模式的に示す平面図である。
<<印刷パターンの形成方法>>
本発明の印刷パターンの形成方法は、印刷版として凹版を用いる印刷パターンの形成方法であって、前記印刷版は、その表面にインクを充填するための溝を有し、前記溝は、前記印刷版の表面に対して平行な方向において屈曲する屈曲部を有し、前記溝が、前記屈曲部の180°未満の角度を成す側において、くびれを有するものである。
本明細書において、印刷版中の前記溝が有する「屈曲部」とは、特に断りのない限り、上述のものを意味し、印刷版の溝を有する表面を上方から見下ろすように平面視したときに、溝は前記表面内において屈曲している。
本発明においては、印刷版中の屈曲部を有する溝が、前記屈曲部の180°未満の角度を成す側において、くびれを有することにより、前記屈曲部に対応する印刷パターン中の細線の屈曲部において、細線の幅の目的外の拡大を抑制できる。本発明においては、印刷時における、印刷パターン中の細線の屈曲部における細線の幅の拡大を見込んで、印刷版中の溝の屈曲部において、上記のくびれを持たせることで、溝の屈曲部に充填可能なインクの量を、溝の他の箇所よりもあらかじめ低減しておく。これにより、印刷パターン中の屈曲部においては、印刷版からのインクの転写量が、くびれを持たせない通常の場合よりも低減されるため、印刷直後のインクの形状が、インクの乾燥までの間に崩れてしまう(だれてしまう)ことの影響が低減され、細線の幅の目的外の拡大が抑制される。
本発明において、「屈曲部」とは、線状のものが折れ曲がっていると見做せる形状の部位全般を意味する。例えば、1本の線状のものの折れ曲がり部は、当然に屈曲部に相当する。それ以外にも、例えば、2本の折れ曲がり部を有しない線状のものが交差している場合のこの交差部も、線状のものが折れ曲がっていると見做せる形状を含んでおり、この場合の折れ曲がり部も屈曲部に相当する。このような交差部は、2本の折れ曲がり部を有する線状のものが、これらの折れ曲がり部で重なっていると見做すことができる。そして、このような交差部には、屈曲部が4箇所存在しており、そのうちの2箇所は、2本の折れ曲がり部を有する線状のものがそれぞれ単独で有しており、残りの2箇所は、2本のこれら線状のものが上記のように重なり、一体化していることで、これら一体化したものが有していると見做すことができる。
以下、図面を参照しながら、本発明について、詳細に説明する。
図1は、本発明で用いる印刷版の一例について、その溝が形成されている領域を拡大して模式的に示す平面図である。
なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1に示す印刷版1は、その表面1aに、印刷に供するインクを充填するための、細線状の溝9を有しており、凹版である。ここに示すように、溝9は、印刷版1の表面1aを上方から見下ろすように平面視したときに、表面1aにおいて開口しており、表面1a内において屈曲部90を有する。すなわち、溝9は、印刷版1の表面1aに対して平行な方向において屈曲する屈曲部90を有している。
溝9は、屈曲部90において、角度θ(0°<θ<180°)を成して、折れ曲がっている。
さらに、溝9は、屈曲部90の180°未満の角度(θ)を成す側において、くびれ91を有する。
くびれ91は、上記のように平面視したときに、溝9の内部において、屈曲部90の180°未満の角度(θ)を成す側から、これとは反対側(360°−θの角度を成す側)へ向けて、溝9を遮断しないように、多面体状の突出部が形成され、構成されている。本明細書においては、このように、溝が有する「くびれ」を「突出部」と称することもある。
図2は、溝9が有する屈曲部90を拡大して示す拡大平面図である。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図2に示すように、突出部91の長さはLであり、幅はLである。
ここで、「突出部91の長さ」とは、図2に示すように、突出部91が形成されておらず、屈曲部90の角度θを成す側において、溝9が所定の角度を持って折れ曲がっている(図2中、破線で該当する箇所を示している)と仮定した場合に特定される、溝9の前記折れ曲がり部位(角部)から、突出部91の突端までの距離を意味する。このときは、溝9が、屈曲部90以外の部位から屈曲部90へ向けて直線状に伸びて形成されていると仮定して、溝9の前記折れ曲がり部位(角部)を特定する。
多面体状の前記突出部は、四角柱状等の角柱状とすることができる。ただし、前記突出部の形状は、これに限定されない。
角度θは、0°<θ<180°の条件を満たしていれば特に限定されず、90°未満(換言すると鋭角)であってもよいし、90°(換言すると直角)であってもよいし、90°より大きくても(換言すると鈍角であっても)よい。
通常は、角度θが小さいほど、本発明の効果がより顕著に得られる。
印刷版1における溝9の数は、1本のみでもよいし、2本以上でもよい。
また、印刷版1は、溝9以外の溝を、1本又は2本以上有していてもよく、溝9以外の溝は、くびれを有していてもよいし、有していなくてもよい。
印刷版1において、溝9と、それ以外の溝が設けられている位置(配置位置)は、目的に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
印刷版1の表面1aにおける、溝9の屈曲部以外での開口部の幅Wは、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
前記幅Wは、1〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましく、3〜5μmであることが特に好ましい。幅Wが前記下限値以上であることで、印刷パターン(細線)を、断線等をはじめとする各種の形状異常を伴うことなく、より安定して形成できる。幅Wが前記上限値以下であることで、印刷時に細線の屈曲部において、細線の幅の目的外の拡大を抑制するより高い効果が得られる。
なお、本発明においては、溝の開口部の幅が、溝の長さ方向(長手方向)において一定でなはなく、変動する場合には、「溝の開口部の幅」とは、特に断りのない限り、溝の開口部が最も広い部位での幅を意味するものとする。
また、「溝の幅」とは、特に断りのない限り、「溝の開口部の幅」を意味するものとする。
溝9の深さは、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
溝9の深さは、0.5〜10μmであることが好ましく、0.8〜5μmであることがより好ましく、1.1〜3μmであることが特に好ましい。溝9の深さが前記下限値以上であることで、印刷パターン(細線)を、断線等をはじめとする各種の形状異常を伴うことなく、より安定して形成できる。溝9の深さが前記上限値以下であることで、印刷時に細線の屈曲部において、細線の幅の目的外の拡大を抑制するより高い効果が得られる。
なお、本発明においては、溝の深さが、溝の幅方向において一定でない場合や、溝の長さ方向(長手方向)において一定でない場合など、溝の部位によって変動する場合には、「溝の深さ」とは、特に断りのない限り、溝の最も深い部位での深さを意味するものとする。
印刷版1において、突出部91の長さL及び幅Lは、溝9の前記幅Wに応じて、適宜調節することが好ましい。
通常、例えば、幅Wが上述の数値範囲内である場合、突出部91の長さLは、1〜3μmであることが好ましく、突出部91の幅Lは、0.5〜2μmであることが好ましい。
本発明においては、L×L/Wの値は、0.46μm以下であることが好ましく、0.44μm以下であることがより好ましく、0.42μm以下であることが特に好ましい。前記値が前記上限値以下であることで、溝の幅Wに対して、溝のくびれの度合いが大き過ぎることによる、細線の屈曲部における形状異常の発生が、より抑制される。ここで、「細線の屈曲部における形状異常」とは、「細線の屈曲部における、細線がその機能を十分に発揮できない程度の、明らかな形状異常」を意味し、例えば、細線の断線が該当するが、断線が認められない細線の形状異常も該当する。
一方、L×L/Wの値は、0.35μm以上であることが好ましく、0.38μm以上であることがより好ましく、例えば、0.4μm以上であってもよい。前記値が前記下限値以上であることで、細線の屈曲部において、細線の幅の目的外の拡大を抑制するより高い効果が得られる。
本発明においては、L×L/Wの値は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて決定される数値範囲となるように、適宜調節できる。
例えば、L×L/Wの値は、好ましくは0.35〜0.46μm、より好ましくは0.38〜0.44とすることができるが、これら数値範囲は、L×L/Wの好ましい数値範囲の一例である。
図3は、本発明で用いる印刷版の他の例について、その溝が形成されている領域を拡大して模式的に示す平面図である。
ここに示す印刷版2は、その表面2aに、印刷に供するインクを充填するための、細線状の溝9A及び9Bを有しており、凹版である。
溝9A及び9Bは、印刷版2の表面2aを上方から見下ろすように平面視したときに、表面2aにおいて開口している。
溝9A及び9Bは、いずれも図1に示す溝9と同様のものであり、溝9と同様に折れ曲がっている。そして、印刷版2において、溝9A及び9Bは、互いに屈曲部90を共有していると見做すことができる。また、見方を変えると、印刷版2においては、2本の直線状の溝が交差していると見做すこともできる。
溝9A及び9Bは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
溝9A及び9Bは、それぞれ単独で屈曲部90を有し、さらに溝9A及び9Bは、一体となって2箇所の屈曲部90’を有していると見做すことができる。
すなわち、溝9A及び9Bは、全体として、これら屈曲部(屈曲部90及び屈曲部90’)において、角度θ、θ、θ又はθ(0°<θ、θ、θ、θ<180°)を成して、折れ曲がっていると見做すことができる。
印刷版2における溝9A及び9Bの数は、それぞれ1本のみでもよいし、2本以上でもよい。
印刷版2における溝9A及び9Bの数がそれぞれ2本以上である場合、これら溝9A及び9Bは、メッシュ(網目)状に設けられていることが好ましい。
さらに、溝9A及び9Bは、全体として、これら屈曲部(屈曲部90又は屈曲部90’)の180°未満の角度(θ、θ、θ、θ)を成す側において、くびれ911、くびれ912、くびれ913又はくびれ914を有する。
より具体的には、溝9Aは単独で、屈曲部90の180°未満の角度(θ)を成す側において、くびれ911を有する。
同様に、溝9Bは単独で、屈曲部90の180°未満の角度(θ)を成す側において、くびれ912を有する。
そして、溝9A及び9Bは、一体となって、屈曲部90’の180°未満の角度(θ、θ)を成す側において、くびれ913及びくびれ914を有する。
くびれ911、くびれ912、くびれ913及びくびれ914も、印刷版1におけるくびれ91の場合と同様に形成されている。
より具体的には、くびれ911は、上記のように平面視したときに、溝9Aの内部において、屈曲部90の180°未満の角度(θ)を成す側から、これとは反対側(360°−θの角度を成す側)へ向けて、溝9Aを遮断しないように、多面体状の突出部が形成され、構成されている。
くびれ912は、上記のように平面視したときに、溝9Bの内部において、屈曲部90の180°未満の角度(θ)を成す側から、これとは反対側(360°−θの角度を成す側)へ向けて、溝9Bを遮断しないように、多面体状の突出部が形成され、構成されている。
くびれ913は、上記のように平面視したときに、溝9A及び9Bが一体となった溝の内部において、屈曲部90’の180°未満の角度(θ)を成す側から、これとは反対側(360°−θの角度を成す側)へ向けて、この一体となった溝を遮断しないように、多面体状の突出部が形成され、構成されている。
くびれ914は、上記のように平面視したときに、溝9A及び9Bが一体となった溝の内部において、屈曲部90’の180°未満の角度(θ)を成す側から、これとは反対側(360°−θの角度を成す側)へ向けて、この一体となった溝を遮断しないように、多面体状の突出部が形成され、構成されている。
角度θ、θ、θ及びθは、0°<θ、θ、θ、θ<180°、及び、θ+θ+θ+θ=360°の条件を満たしていれば特に限定されず、90°未満(換言すると鋭角)であってもよいし、90°(換言すると直角)であってもよいし、90°より大きくても(換言すると鈍角であっても)よい。
通常は、角度θ、θ、θ又はθが小さいほど、本発明の効果がより顕著に得られる。
印刷版2は、このように溝9A及び9Bが互いに屈曲部90を共有している点以外は、図1に示す印刷版1と同じである。
図4は、本発明で用いる印刷版のさらに他の例について、その溝が形成されている領域を拡大して模式的に示す平面図である。
ここに示す印刷版3は、その表面3aに、細線状の溝9A及び9Bを有しており、凹版である。
溝9A及び9Bは、いずれも図1に示す溝9と同様のものであり、溝9と同様に折れ曲がっている。溝9A及び9Bは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
印刷版3は、溝9A及び9Bが互いに屈曲部90を共有せずに交差している点以外は、図3に示す印刷版2と同じである。
溝9Aは、屈曲部90において、角度θ(0°<θ<180°)を成して、折れ曲がっている。
溝9Bは、屈曲部90において、角度θ(0°<θ<180°)を成して、折れ曲がっている。
印刷版3における溝9A及び9Bの数は、それぞれ1本のみでもよいし、2本以上でもよい。
印刷版3における溝9A及び9Bの数がそれぞれ2本以上である場合、これら溝9A及び9Bは、メッシュ(網目)状に設けられていることが好ましい。
溝9Aは、屈曲部90の180°未満の角度(θ)を成す側において、くびれ911を有する。
同様に、溝9Bは、屈曲部90の180°未満の角度(θ)を成す側において、くびれ912を有する。
くびれ911及びくびれ912も、印刷版1におけるくびれ91の場合と同様に形成されている。
より具体的には、くびれ911は、上記のように平面視したときに、溝9Aの内部において、屈曲部90の180°未満の角度(θ)を成す側から、これとは反対側(360°−θの角度を成す側)へ向けて、溝9Aを遮断しないように、多面体状の突出部が形成され、構成されている。
くびれ912は、上記のように平面視したときに、溝9Bの内部において、屈曲部90の180°未満の角度(θ)を成す側から、これとは反対側(360°−θの角度を成す側)へ向けて、溝9Bを遮断しないように、多面体状の突出部が形成され、構成されている。
なお、溝9A及び9Bは、上記の屈曲部90の近傍に、互いに交差する交差部を有しており(図4においては、屈曲部90の上下に2箇所の交差部を有している)、この交差部においても、溝9A及び9Bは屈曲部を有しているといえる。これら交差部における屈曲部は、図3に示す屈曲部(屈曲部90又は屈曲部90’)と同様のものである。
図5は、本発明で用いる印刷版のさらに他の例について、その溝が形成されている領域を拡大して模式的に示す平面図である。
図1〜図4においては、上記のように平面視したときに、くびれの形状は、直線の組み合わせだけで形作られている。これに対して、図5に示す印刷版4の屈曲部80においては、上記のように平面視したときに、溝8のくびれ81が、曲線だけで形作られている。印刷版4は、このようにくびれの形状が異なる点以外は、図1に示す印刷版1と同じである。なお、符号4aは、印刷版4の表面を示している。
くびれ81は、上記のように平面視したときに、溝8の内部において、屈曲部80の180°未満の角度(θ)を成す側から、これとは反対側(360°−θの角度を成す側)へ向けて、溝8を遮断しないように、非多面体状の突出部が形成され、構成されている。
印刷版4の溝8においては、図1及び図2に示す印刷版1の溝9の場合と同様に、突出部81が形成されていないと仮定した場合の、溝8の折れ曲がり部位(角部)と、突出部81の突端と、を特定できる。したがって、突出部81の長さは、印刷版1の突出部91の長さと同様に定義される。
一方、突出部81の幅は、突出部81の突端に向けて漸次狭くなっている。このように、突出部の幅が変動するときには、本発明のより高い効果が得られるように、突出部の最大幅(図4においては、突出部81の突端から最も遠い部位での幅)を、適宜調節することが好ましい。
なお、突出部81は、その幅が突出部81の突端に向けて、このように漸次狭くならずに、代わらない領域を有していてもよい。
上記のように平面視したときに、くびれの形状が曲線だけで形作られている印刷版としては、図5に示すもの以外に、例えば、図3及び図4において、図5に示すものと同様にくびれの形状が変えられているものも挙げられる。この場合、1枚の印刷版がくびれを複数個所に(突出部を複数個)有する場合、すべてのくびれの形状が変えられていてもよいし、一部のくびれの形状だけが変えられていてもよい。
本発明で用いる印刷版は、図1〜図5に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1〜図5に示す印刷版において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、図1〜図5においては、上記のように平面視したときに、くびれの形状が直線だけ又は曲線だけで形作られている溝を有する印刷版を示しているが、例えば、前記くびれの形状が直線と曲線の組み合わせで形作られている印刷版であってもよい。
また、図1〜図4においては、くびれを形成している前記突出部が多面体状である印刷版を示しているが、例えば、前記突出部が多面体状の角部が丸められた形状等の他の形状となっている印刷版であってもよい。
また、図3〜図4においては、1枚の印刷版が有する複数個所のくびれは、すべて同じ形状であるが、例えば、1枚の印刷版が有する複数個所のくびれは、一部のみ同じ形状であってもよいし、すべて異なる形状であってもよい。
本発明で用いる印刷版は、上記のような溝を形成する点以外は、公知の印刷版(凹版)の場合と同じ方法で、フォトリソグラフィ法等により製造できる。
例えば、目的とする、くびれを有する溝を備えた印刷版の、設計図となる製版データを作製する。別途、印刷版の母材となる金属板の表面に、レジスト層を形成しておき、このレジスト層に、上記の製版データを反映させてレーザー光を照射することにより感光させ、レジスト膜を形成し、このレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する。次いで、現像後のレジスト膜で被覆されていない金属板の表面をエッチングし、さらにすべてのレジスト膜(レジストパターン)を除去する。以上により、金属板の表面に、上記の製版データを反映させて、くびれを有する溝を形成することで、目的とする印刷版が得られる。印刷版の表面は、必要に応じてメッキや研磨等の処理を行ってもよい。
印刷版において、くびれを有する溝を形成するためには、同様のくびれを有する溝を、前記製版データにおいて設計すればよい。例えば、図1〜図5に示すような印刷版を製造する場合には、これらの図で示しているくびれを有する溝と、同様の溝を、製版データにおいて設計すればよい。すなわち、図1〜図5は、印刷版を製造するための製版データと見做すこともできる。
ただし、場合によっては、製版データに基づいて印刷版を製造するときに、製版データに対して忠実に溝を形成できないことがある。一例を挙げれば、図1に示すよう溝を形成しようとし場合に、同様の溝を設計した製版データを用いても、図1に示すよう溝ではなく、図5に示すよう溝が形成されることがある。このような場合には、製版データの段階で、例えば、くびれとなる突出部の幅を広めにしたり、突出部の長さを長めにするなど、くびれを強調して溝を設計するとよい。
本発明の印刷パターンの形成方法においては、前記印刷版を用いて印刷を行えばよく、例えば、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法等の、凹版を用いる方法全般を適用できる。印刷時には、前記印刷版(凹版)中の溝にインクを充填し、このインクを、印刷対象物に直接転写するか、又はオフセットロールに転写した後、このオフセットロールから印刷対象物に転写することで、印刷パターンを形成する。
図6は、図1に示す印刷版1、又は図5に示す印刷版4を用いて形成した印刷パターンの一例を、拡大して模式的に示す平面図である。
ここに示す印刷パターンは、印刷対象物109の表面109aにおいて、屈曲部909を有する細線99によって形成されており、屈曲部909が成す角度は、印刷版1又は印刷版4において、屈曲部90が成す角度と同じである。
細線99は、印刷版1又は印刷版4によって転写されたインクが乾燥されて形成された印刷層である。
細線99は、印刷版1又は印刷版4の溝の形状を反映して形成されており、印刷パターンにおいて、屈曲部909での細線99の幅Dは、完全に又はほぼ、拡大が抑制されている。なお、図6においては、屈曲部909以外での細線99の幅を、符号Wを付して示している。
屈曲部909において、細線99の幅Dの拡大が完全に抑制されている場合には、「D=W/sin(θ/2)」となる。
一方、図9は、従来の印刷版を用いて形成した印刷パターンの一例を、拡大して模式的に示す平面図である。ここで、「従来の印刷版」とは、溝がくびれを有していない点以外は、図1に示す印刷版1、又は図5に示す印刷版4と同じものである。
この場合の印刷パターンは、屈曲部909’を有する細線99’によって形成されており、細線99’はインクが乾燥されて形成された印刷層である。
ここに示すように、屈曲部909’での細線99’の幅D’は、図6に示す細線99の幅Dよりも顕著に広く(D<D’)、拡大してしまっている。
図7は、図3に示す印刷版2を用いて形成した印刷パターンの一例を、拡大して模式的に示す平面図である。
ここに示す印刷パターンは、印刷対象物109の表面109aにおいて、細線99A及び99Bによって形成されている。
細線99A及び99Bは、印刷版2によって転写されたインクが乾燥されて形成された印刷層である。
細線99A及び99Bは、それぞれ単独で屈曲部909を有し、さらに細線99A及び99Bは、一体となって2箇所の屈曲部909’を有していると見做すことができる。細線99A及び99Bは、全体として、これら屈曲部(屈曲部909及び屈曲部909’)において、折れ曲がっていると見做すことができ、これら屈曲部909及び屈曲部909’が成す角度は、印刷版2において、屈曲部90及び屈曲部90’が成す角度と同じである。
細線99A及び99Bは、印刷版2の溝の形状を反映して形成されており、印刷パターンにおいて、屈曲部909での細線99A及び99Bの幅DL1と、屈曲部909’での、細線99A及び99Bが一体となった細線の幅DL2は、いずれも完全に又はほぼ、拡大が抑制されている。
屈曲部909において、細線99A及び99Bの幅DLの拡大が完全に抑制されている場合には、「DL1=W/sin(θ/2)」又は「DL1=W/sin(θ/2)」となる。
また、屈曲部909’において、細線99A及び99Bが一体となった細線の幅DLの拡大が完全に抑制されている場合には、「DL2=W/sin(θ/2)」又は「DL2=W/sin(θ/2)」となる。
図8は、図4に示す印刷版3を用いて形成した印刷パターンの一例を、拡大して模式的に示す平面図である。
ここに示す印刷パターンは、印刷対象物109の表面109aにおいて、屈曲部909を有する細線99A及び99Bによって形成されており、屈曲部909が成す角度は、印刷版3において、屈曲部90が成す角度と同じである。
細線99A及び99Bは、印刷版3によって転写されたインクが乾燥されて形成された印刷層である。
印刷パターンにおいて、屈曲部909での細線99A及び99Bの幅DL3は、完全に又はほぼ、拡大が抑制されている。
屈曲部909において、細線99A及び99Bの幅DLの拡大が完全に抑制されている場合には、「DL3=W/sin(θ/2)」又は「DL3=W/sin(θ/2)」となる。
また、細線99A及び99Bは、上記の屈曲部909の近傍に、互いに交差する交差部を有しており(図8においては、屈曲部909の上下に2箇所の交差部を有している)、この交差部においても、細線99A及び99Bは屈曲部を有しているといえる。これら交差部における屈曲部は、図7に示す屈曲部(屈曲部909又は屈曲部909’)と同様のものであり、この屈曲部での、細線99A及び99Bが一体となった細線の、幅DL4及びDL5も、完全に又はほぼ、拡大が抑制されている。
図6〜図8に示す印刷パターンにおいては、細線(細線99、細線99A、細線99B)の幅が、屈曲部以外の部位では同じである場合を示しているが、屈曲部以外の部位での細線の幅は、その部位によらず変動していてもよい。
また、図6〜図8に示す印刷パターンにおいては、細線(細線99、細線99A、細線99B)は、印刷版の溝の形状を反映して形成されている。そのため、細線の屈曲部においては、これら細線の幅の拡大が、完全に又はほぼ認められない。ただし、これは一例である。本発明によれば、細線の屈曲部において、細線の幅の拡大が僅かに認められる場合もある。ただし、例えば、図9に示すような場合とは異なり、この場合の幅の拡大は微小である。
形成された印刷パターンがメッシュ状であり、例えば、図7又は図8に示すように、2本の同じ幅の細線がそれぞれ単独で、さらにこれら細線が一体となって、屈曲部を共有している(換言すると、2本の直線状の細線が交差している)場合を考える。この場合には、前記交差部における屈曲部での細線の幅の拡大が完全に抑制されている(換言すると、印刷版の溝の形状を反映して、完全に目的とする形状の細線が形成されている)と仮定すると、前記屈曲部の面積S’は、前記屈曲部以外での細線の幅Wによって、下記式:
S’=W×W=W
により算出できる。
一方、前記屈曲部での細線の幅の拡大が完全には抑制されていないときに、前記屈曲部での細線の幅Dを特にDL0とした場合、この幅DL0によって、前記屈曲部の面積Sは、下記式:
S=DL0×DL0/2=DL0 /2
により算出できる。
したがって、この場合の前記屈曲部の面積の拡大比Eは、下記式(M1)によって算出できる。この面積の拡大比Eは、例えば、細線の幅の拡大に伴う、前記屈曲部の目立ちの目安となり、後述するタッチパネルにおける金属細線の視認抑制効果の指標となる。
E=S/S’=DL0 /2W ・・・・(M1)
本発明により形成された印刷パターンにおいて、細線(印刷層)の屈曲部以外での幅は、特に限定されないが、1〜10μmであることが好ましく、2〜7μmであることがより好ましく、3〜5μmであることが特に好ましい。前記幅が前記下限値以上である細線は、断線等をはじめとする各種の形状異常を伴うことなく、より安定して形成できる。前記幅が前記上限値以下である細線は、その屈曲部における幅の、目的外の拡大の抑制効果がより高くなる。
本発明により形成された印刷パターンにおいて、細線の高さ(印刷層の厚さ)は、特に限定されないが、0.01〜0.5μmであることが好ましく、0.05〜0.3μmであることがより好ましく、0.07〜0.1μmであることが特に好ましい。高さが前記下限値以上である細線は、断線等をはじめとする各種の形状異常を伴うことなく、より安定して形成できる。高さが前記上限値以下である細線は、その屈曲部における幅の、目的外の拡大の抑制効果がより高くなる。
細線の高さは、印刷版の溝に対するインクの充填量、すなわち、印刷版の溝の深さを調節することで、調節できる。
本発明で用いる、前記印刷版の溝に充填するためのインクは、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
ただし、温度が25℃、せん断速度が0.1s−1〜1000s−1の場合の前記インクのせん断粘度は、0.1Pa・s以上であることが好ましく、0.5Pa・s以上であることがより好ましく、1Pa・s以上であることが特に好ましい。インクのせん断粘度が前記下限値以上であることで、細線の屈曲部において、細線の幅の目的外の拡大を抑制するより高い効果が得られる。
一方、前記インクのせん断粘度は、20Pa・s以下であることが好ましく、10Pa・s以下であることがより好ましく、3Pa・s以下であることが特に好ましい。インクの粘度が前記上限値以下であることで、細線(印刷パターン)の形成がより容易となる。
本発明においては、温度が25℃、せん断速度が0.1s−1〜1000s−1の場合の前記インクのせん断粘度は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて決定される数値範囲となるように、適宜調節できる。
例えば、前記インクのせん断粘度は、好ましくは0.1〜20Pa・s、より好ましくは0.5〜10Pa・s、特に好ましくは1〜3Pa・sとすることができるが、これら数値範囲は、前記インクのせん断粘度の好ましい数値範囲の一例である。
本発明の印刷パターンの形成方法は、前記印刷版を用いて印刷を行う印刷工程を有していればよく、当該分野で公知の、前記印刷工程以外の他の工程を有していてもよい。
また、形成された印刷パターンは、必要に応じて、乾燥処理、加熱処理等の後処理を行ってもよい。前記後処理は、印刷パターンを構成しているインクの固化を目的としたものであってもよい。
本発明の印刷パターンの形成方法は、例えば、インクとして、金属層を形成するための原料となる組成物(本明細書においては、「金属インク組成物」と略記することがある)を用いて金属層を形成するときに適用するのに好適である。この場合、細線状の金属層のパターン、すなわち導電性パターンを基板上に形成することで、導電性細線(配線)を有する配線板を製造できる。このような配線板は、各種電子機器におけるタッチパネル、電磁波シールド等の部材として有用である。この場合の配線板の一例としては、例えば、透明基板上に電極として銀や銅等の金属細線を備えて構成され、金属細線が、網目(メッシュ)を形成しているものが挙げられる。
金属細線の屈曲部において、金属細線の幅が目的とする幅よりも拡大してしまうと、そのこと以外の問題が生じることがある。例えば、配線板をタッチパネルの部材として用いる場合には、透明基板上の電極として金属細線を用いるが、この場合の金属細線の屈曲部において、金属細線の幅が拡大してしまうと、通常、目視で視認されないように設計されている金属細線が、屈曲部において容易に視認可能となってしまう。
これに対して、本発明の印刷パターンの形成方法を適用することで、このような金属細線の幅の拡大が抑制され、タッチパネル用の配線板を良好に製造できる。
以下、金属細線を形成するための金属インク組成物について説明する。
<金属インク組成物>
前記金属細線の金属種は特に限定されず、例えば、単体金属及び合金のいずれであってもよい。
なかでも、金属細線を形成して配線板を製造する場合には、前記金属種は、銀又は銅であることが好ましく、銀であることがより好ましい。
金属細線(金属層)は、上述の本発明の印刷パターンの形成方法により、基材(基板)上の目的とする箇所に、印刷パターンとして、金属インク組成物の層(組成物層)のパターンを形成した後、この組成物層に対して、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理を適宜選択して行うことで形成できる。加熱処理は、乾燥処理を兼ねて行ってもよい。
金属細線(金属層)のパターンは、その前段階の前記組成物層のパターンと同じとなる。
前記金属インク組成物としては、例えば、金属及び金属の形成材料のいずれか一方又は両方が配合されてなる金属インク組成物が挙げられる。
金属インク組成物中の金属及び金属の形成材料は、いずれも、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
配合される前記金属(単体金属又は合金)は、粒子状又は繊維状(チューブ状、ワイヤー状等)であることが好ましく、ナノ粒子又はナノワイヤーであることがより好ましく、銀ナノ粒子、銀ナノワイヤー、銅ナノ粒子又は銅ナノワイヤーであることがさらに好ましく、銀ナノ粒子又は銀ナノワイヤーであることが特に好ましい。
なお、本明細書において、「ナノ粒子」とは、粒径が1nm以上1000nm未満、好ましくは1〜100nmである粒子を意味し、「ナノワイヤー」とは、幅が1nm以上1000nm未満、好ましくは1〜100nmであるワイヤーを意味する。
配合される前記金属の形成材料は、該当する金属原子(元素)を有し、分解等の構造変化によって金属を生じるものであればよい。このような金属の形成材料としては、例えば、金属塩、金属錯体、有機金属化合物(金属−炭素結合を有する化合物)等が挙げられる。前記金属塩及び金属錯体は、有機基を有する金属化合物及び有機基を有しない金属化合物のいずれであってもよい。なかでも金属の形成材料は、金属塩であることが好ましく、銀塩又は銅塩であることがより好ましく、銀塩であることが特に好ましい。
金属インク組成物は、液状のものが好ましく、少なくとも前記金属の形成材料が配合されてなるものが好ましく、バインダー等の樹脂成分を含有しないものがより好ましく、前記金属の形成材料が均一に分散されたものが特に好ましい。
金属の形成材料を用いることで、この材料から金属が生じ、この金属を主成分として含む金属層が形成される。この場合の金属層においては、好ましくは前記樹脂成分を用いないことにより、前記金属の比率を、金属層が見かけ上金属だけからなるとみなし得る程度に十分に高くすることができる。この場合、例えば、金属層中の金属の比率は、好ましくは97質量%以上、より好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。金属層中の金属の比率の上限値は、例えば、100質量%、99.9質量%、99.8質量%、99.7質量%、99.6質量%、99.5質量%、99.4質量%、99.3質量%、99.2質量%及び99.1質量%のいずれかとすることができるが、これらに限定されない。
金属インク組成物は、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物であることが好ましい。
前記金属銀の形成材料は、加熱等によって分解し、金属銀を形成するものである。
・銀インク組成物
[カルボン酸銀]
金属銀の形成材料としては、例えば、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀等が挙げられる。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、1分子中の式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
本発明において、カルボン酸銀は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀(以下、「β−ケトカルボン酸銀(1)」と略記することがある)及び下記一般式(4)で表されるカルボン酸銀(以下、「カルボン酸銀(4)」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Figure 0006938221
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり;
はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
Figure 0006938221
(式中、Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基又は式「−C(=O)−OAg」で表される基であり、前記脂肪族炭化水素基がメチレン基を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。)
(β−ケトカルボン酸銀(1))
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表わされるものであれば、特に限定されない。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、アセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−エチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、プロピオニル酢酸銀(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、カプロイル酢酸銀(CH(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−n−ブチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCHCHCH)−C(=O)−OAg)、2−ベンジルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−アセチルピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、2−アセチルイソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、又はアセトンジカルボン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)を用いて、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された導電体(金属銀)においては、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。このような導電体においては、原料や不純物が少ない程、例えば、形成された金属銀同士の接触が良好となり、導通が容易となり、抵抗率が低下する。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、好ましくは60〜210℃、より好ましくは60〜200℃という低温で分解し、金属銀を形成できる。そして、β−ケトカルボン酸銀(1)は、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。還元剤については後ほど説明する。
本発明において、β−ケトカルボン酸銀(1)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(カルボン酸銀(4))
カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表されるものであれば、特に限定されない。
カルボン酸銀(4)は、ピルビン酸銀(CH−C(=O)−C(=O)−OAg)、酢酸銀(CH−C(=O)−OAg)、酪酸銀(CH−(CH−C(=O)−OAg)、イソ酪酸銀((CHCH−C(=O)−OAg)、2−エチルへキサン酸銀(CH−(CH−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、ネオデカン酸銀(一例を挙げれば、CH−(CH−C(CH−C(=O)−OAg)、シュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)、又はマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。また、上記のシュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)及びマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)の2個の式「−COOAg」で表される基のうち、1個が式「−COOH」で表される基となったもの(HO−C(=O)−C(=O)−OAg、HO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)も好ましい。
カルボン酸銀(4)も、β−ケトカルボン酸銀(1)と同様に、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された導電体(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。そして、カルボン酸銀(4)も、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。
本発明において、カルボン酸銀(4)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、カプロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀、アセトンジカルボン酸銀、ピルビン酸銀、酢酸銀、酪酸銀、イソ酪酸銀、2−エチルへキサン酸銀、ネオデカン酸銀、シュウ酸銀及びマロン酸銀からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
そして、これらカルボン酸銀の中でも、2−メチルアセト酢酸銀及びアセト酢酸銀は、後述する含窒素化合物(なかでもアミン化合物)との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に、特に適したものとして挙げられる。
[含窒素化合物]
銀インク組成物は、特に前記金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合、前記金属銀の形成材料以外に、さらに含窒素化合物が配合されてなるものが好ましい。
前記含窒素化合物は、炭素数25以下のアミン化合物(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩(以下、「第4級アンモニウム塩」と略記することがある)、アンモニア、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アミン化合物由来のアンモニウム塩」と略記することがある)、及びアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上のものである。すなわち、配合される含窒素化合物は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(アミン化合物、第4級アンモニウム塩)
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれであってもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
前記アミン化合物のうち、前記第1級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいモノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が挙げられる。
前記アミン化合物のうち、前記第2級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(ヘテロアリール)アミン等が挙げられる。
前記アミン化合物のうち、前記第3級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいトリアルキルアミン、ジアルキルモノアリールアミン等が挙げられる。
前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、それぞれ鎖状のアミン化合物及び第4級有機アンモニウム塩であってもよいし、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子が環骨格構造(複素環骨格構造)の一部であるようなヘテロ環化合物であってもよい。すなわち、前記アミン化合物は環状アミンでもよく、前記第4級アンモニウム塩は環状アンモニウム塩でもよい。この時の環(アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子を含む環)構造は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されず、脂肪族環及び芳香族環のいずれであってもよい。
環状アミンであれば、好ましいものとして、例えば、ピリジン等が挙げられる。
前記第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び第4級アンモニウム塩において、「置換基で置換されていてもよい水素原子」とは、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子に結合している水素原子以外の水素原子である。この時の置換基の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよく、前記水素原子のすべてが置換基で置換されていてもよい。置換基の数が複数個である場合には、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数個の置換基はすべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。また、置換基の位置も特に限定されない。
前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩における前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、トリフルオロメチル基(−CF)等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記アミン化合物は、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン又はN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンであることが好ましい。
そして、これらアミン化合物の中でも、2−エチルヘキシルアミンは、前記カルボン酸銀との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に特に適しており、さらに導電層の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。
(アミン化合物由来のアンモニウム塩)
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩である。前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸であってもよいし、酢酸等の有機酸であってもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、例えば、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
(アンモニア由来のアンモニウム塩)
前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩である。ここで酸としては、例えば、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じもの等が挙げられる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム等が挙げられるが、これに限定されない。
本発明においては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩は、それぞれ1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記含窒素化合物を用いる場合、銀インク組成物において、前記含窒素化合物の配合量は、金属銀の形成材料の配合量1モルあたり、0.3〜15モルであることが好ましく、0.3〜12モルであることがより好ましく、0.3〜8モルであることが特に好ましい。前記含窒素化合物の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は安定性がより向上し、金属銀の品質がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して金属銀を形成できる。
[アルコール]
銀インク組成物は、特に前記金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合、金属銀の形成材料以外に、さらにアルコールが配合されてなるものが好ましい。
前記アルコールは、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類(以下、「アセチレンアルコール(2)」と略記することがある)であることが好ましい。
Figure 0006938221
(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
(アセチレンアルコール(2))
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表されるものであれば、特に限定されない。
好ましいアセチレンアルコール(2)としては、例えば、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、2−プロピン−1−オール、4−エチル−1−オクチン−3−オール、3−エチル−1−ヘプチン−3−オール等が挙げられる。
アセチレンアルコール(2)を用いる場合、銀インク組成物において、アセチレンアルコール(2)の配合量は、金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.01〜0.7モルであることが好ましく、0.02〜0.5モルであることがより好ましく、0.02〜0.3モルであることが特に好ましい。アセチレンアルコール(2)の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物の安定性がより向上する。
(他のアルコール)
前記アルコールとしては、アセチレンアルコール(2)以外の他のアルコールを用いてもよい。
前記アルコールとしては、例えば、エタノール、2−プロパノール等の飽和脂肪族アルコール等が挙げられる。
前記アルコールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
[還元剤]
銀インク組成物は、特に前記金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合、金属銀の形成材料以外に、さらに還元剤が配合されてなるものが好ましい。
前記還元剤は、シュウ酸(HOOC−COOH)、ヒドラジン(HN−NH)及び下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上のものである。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
すなわち、配合される還元剤は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記還元剤としてのヒドラジンは、一水和物(HN−NH・HO)であってもよい。
前記還元剤で好ましいものとしては、例えば、ギ酸(H−C(=O)−OH);ギ酸メチル(H−C(=O)−OCH)、ギ酸エチル(H−C(=O)−OCHCH)、ギ酸ブチル(H−C(=O)−O(CHCH)等のギ酸エステル;プロパナール(H−C(=O)−CHCH)、ブタナール(H−C(=O)−(CHCH)、ヘキサナール(H−C(=O)−(CHCH)等のアルデヒド;ホルムアミド(H−C(=O)−NH)、N,N−ジメチルホルムアミド(H−C(=O)−N(CH)等のホルムアミド類(式「H−C(=O)−N(−)−」で表される基を有する化合物);シュウ酸等が挙げられる。
還元剤を用いる場合、銀インク組成物において、還元剤の配合量は、金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.04〜3.5モルであることが好ましく、0.06〜2.5モルであることがより好ましい。還元剤の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は、より容易に、より安定して金属銀を形成できる。
[その他の成分]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、アルコール及び還元剤以外の、その他の成分が配合されてなるものでもよい。
銀インク組成物における前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。前記その他の成分としては、例えば、アルコール以外の溶媒等が挙げられ、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。
銀インク組成物における前記その他の成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(溶媒)
前記溶媒は、アルコール以外のもの(水酸基を有しないもの)であれば、特に限定されない。
ただし、前記溶媒は、常温で液状であるものが好ましい。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
前記溶媒としては、例えば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、グルタル酸モノメチル、グルタル酸ジメチル等のエステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられる。
前記その他の成分を用いる場合、銀インク組成物における前記その他の成分の配合量は、前記その他の成分の種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、前記その他の成分がアルコール以外の溶媒である場合、前記溶媒の配合量は、銀インク組成物の粘度等、目的に応じて選択すればよい。ただし通常は、銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記溶媒の配合量の割合は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
また、前記その他の成分が前記溶媒以外の成分である場合、銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合が0質量、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物は十分にその効果を発現する。
銀インク組成物において、配合成分はすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
本発明で用いる、好ましい銀インク組成物としては、例えば、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、アルコール及び還元剤が配合されてなる銀インク組成物;前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、アルコール、還元剤、及びアルコール以外の溶媒が配合されてなる銀インク組成物等が挙げられる。
・銀インク組成物の製造方法
前記銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料及びそれ以外の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま銀インク組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを銀インク組成物としてもよい。本発明においては、特に金属銀の形成材料としてβ−ケトカルボン酸銀(1)を用いた場合、上記の各成分の配合時において、導電性を低下させる不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できる。したがって、精製操作を行っていない銀インク組成物を用いても、十分な導電性を有する金属銀が得られる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。各成分の好ましい配合方法の一例を以下に示す。
例えば、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、アルコール及び還元剤が配合されてなる銀インク組成物を製造する場合には、含窒素化合物に、金属銀の形成材料を添加し、次いで還元剤を添加し、次いでアルコールを添加することが好ましい。また、このような銀インク組成物を製造する場合には、前記還元剤を滴下により配合することが好ましく、さらに滴下速度の変動を抑制することで、金属銀の表面粗さをより低減できる傾向にある。
例えば、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、アルコール、還元剤、及びアルコール以外の溶媒が配合されてなる銀インク組成物を製造する場合には、上記の製造方法において、含窒素化合物に前記溶媒を添加した後に、金属銀の形成材料を添加するようにした方法で製造することが好ましい。
配合成分の混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
銀インク組成物において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用することが好ましい。
上述の製造方法において、配合成分の添加及び撹拌等を行う、銀インク組成物を得るまでの各工程における温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。そして、前記温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
上述の製造方法において、配合成分の添加及び撹拌を行うときの合計時間(添加時間及び撹拌時間の合計)は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10分〜36時間であることが好ましい。
[二酸化炭素]
銀インク組成物は、さらに二酸化炭素が供給されてなるものでもよい。このような銀インク組成物は高粘度となり、インクを厚盛りすることが必要な印刷法への適用に好適である。
二酸化炭素は、銀インク組成物製造時のいずれの時期に供給してもよい。
そして、本発明においては、例えば、前記金属銀の形成材料及び含窒素化合物が配合されてなる第1混合物に、二酸化炭素を供給して第2混合物とし、必要に応じて前記第2混合物に、さらに、前記還元剤を配合して、銀インク組成物を製造することが好ましい。また、前記アルコール又はその他の成分を配合する場合、これらは、第1混合物及び第2混合物のいずれか一方又は両方の製造時に配合でき、目的に応じて任意に選択できる。
供給される二酸化炭素(CO)は、ガス状及び固形状(ドライアイス)のいずれであってもよく、ガス状及び固形状の両方であってもよい。第1混合物に二酸化炭素が供給された場合、この二酸化炭素が第1混合物に溶け込み、第1混合物中の成分に作用することで、得られる第2混合物の粘度が上昇すると推測される。
また、本発明においては、前記金属銀の形成材料、アルコール及び含窒素化合物が配合されてなる混合物に、二酸化炭素を供給して、銀インク組成物を製造することも好ましい。この場合、二酸化炭素の供給方法としては、上記と同様の方法が採用できる。
<金属細線の形成方法>
インクとして、前記銀インク組成物等の金属インク組成物を用いる場合には、まず、先に説明したように、金属インク組成物と、前記印刷版と、を用いて印刷を行い、基材(基板)等の印刷対象物上に、印刷パターンとして、金属インク組成物の層(組成物層)のパターンを形成する。
次いで、得られた組成物層のパターンに対して、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理を行うことで、金属細線(細線状の金属層)を形成する。前記固化処理により、組成物層のパターンと同じパターンを有する金属細線が得られる。
金属細線の形成時においては、金属インク組成物の印刷前に、基材を加熱処理(アニール処理)してもよい。基材を加熱処理しておくことで、例えば、金属インク組成物を加熱(焼成)処理したときに、基材の収縮が抑制され、寸法安定性が向上する。
金属インク組成物の印刷前の、基材の加熱処理の条件は、基材の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されないが、60〜200℃で10〜60分間加熱処理することが好ましく、例えば、金属細線の形成時における、金属インク組成物の加熱(焼成)処理の条件と同じであってもよい。
また、金属細線の形成時においては、金属インク組成物の印刷前に、基材の表面をプラズマ処理してもよい。基材をプラズマ処理しておくことで、金属インク組成物の滲みが抑制されることがある。
プラズマ処理は公知の方法で行えばよく、例えば、大気圧プラズマ処理の場合には、電圧290〜300W、気流速度1.0〜5.0m/分等の条件で行うことができる。
基材上に印刷された金属インク組成物を乾燥処理する場合には、公知の方法で行えばよい。すなわち前記乾燥処理は、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれで行ってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれであってもよい。加熱処理が不要な場合の好ましい乾燥方法としては、例えば、18〜30℃で大気下において乾燥させる方法等が挙げられる。
前記組成物層を加熱(焼成)処理する場合、その条件は、金属インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよい。例えば、金属インク組成物が前記銀インク組成物である場合には、通常、加熱温度が60〜370℃であることが好ましく、70〜280℃であることがより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜24時間であることが好ましく、1分〜12時間であることがより好ましい。前記金属銀の形成材料の中でも前記カルボン酸銀、特にβ−ケトカルボン酸銀(1)は、例えば、酸化銀等の金属銀の形成材料とは異なり、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、低温で分解する。そして、このような分解温度を反映して、前記銀インク組成物は、上記のように、従来のものより極めて低温で金属銀を形成できる。
金属インク組成物を耐熱性が低い基材に印刷して加熱(焼成)処理する場合には、加熱温度は130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
金属インク組成物の加熱処理の方法は、特に限定されない。前記加熱処理は、例えば、電気炉による加熱、感熱方式の熱ヘッドによる加熱、遠赤外線照射による加熱、高熱ガスの吹き付けによる加熱等で行うことができる。また、前記加熱処理は、大気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、加湿条件下で行ってもよい。そして、前記加熱処理は、常圧下、減圧下及び加圧下のいずれで行ってもよい。
本明細書において「加湿」とは、特に断りのない限り、湿度を人為的に増大させることを意味し、好ましくは相対湿度を5%以上とすることである。加熱処理時には、処理温度が高いことによって、処理環境での湿度が極めて低くなるため、5%という相対湿度は、明らかに人為的に増大されたものであるといえる。
以下、金属インク組成物が銀インク組成物である場合の、加熱処理の方法について説明する。
銀インク組成物の加熱処理を加湿条件下で行う場合の相対湿度は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましく、90%以上であってもよいし、100%であってもよい。そして、加湿条件下での加熱処理は、100℃以上に加熱した高圧水蒸気の吹き付けにより行ってもよい。このように加湿条件下で加熱処理することにより、短時間でより高純度の金属銀を形成できる。
銀インク組成物の加熱処理は、二段階で行ってもよい。例えば、一段階目の加熱処理では、金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理で、金属銀の形成を最後まで行う方法が挙げられる。
一段階目の加熱処理において、加熱温度は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、5秒〜12時間であることが好ましく、30秒〜2時間であることがより好ましい。
二段階目の加熱処理において、加熱温度は、金属銀が良好に形成されるように、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜280℃であることが好ましく、70〜260℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜12時間であることが好ましく、1分〜10時間であることがより好ましい。
銀インク組成物を耐熱性が低い基材に印刷して加熱(焼成)処理する場合には、一段階目及び二段階目の加熱処理における加熱温度は、130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
ここまでで説明した銀インク組成物の加熱処理は、いずれも気相中で行うものであるが、銀インク組成物の加熱処理を二段階で行う場合、二段階目の加熱処理は、気相中ではなく液相中で行ってもよい。一段階目の加熱処理を経て、完全に又はある程度乾燥した銀インク組成物は、加熱した液体と接触させることで、その形状を損なうことなく、二段階目の加熱処理を行うことができる。そして、銀インク組成物の、一段階目の加熱処理を行った後の二段階目の液相中での加熱処理は、加熱した液体に銀インク組成物を浸漬することで行うことが好ましい。この液相中での加熱処理における加熱温度及び加熱時間は、先に説明した二段階目の加熱処理における加熱温度及び加熱時間と同じである。
上記の加熱した液体は湯(加熱した水)であることが好ましく、二段階目の加熱処理は、一段階目の加熱処理を行った銀インク組成物を湯中に浸漬すること、すなわち湯煎によって行うことが好ましい。
二段階目の加熱処理を液相中で行った場合には、この加熱処理によって形成された金属銀を、さらに乾燥させればよい。
銀インク組成物の二段階目の加熱処理を液相中で行う場合、銀インク組成物の一段階目の加熱処理は、非加湿条件下で行うことが好ましい。
なお、本明細書において「非加湿」とは、上述の「加湿」を行わないこと、すなわち、湿度を人為的に増大させないことを意味し、好ましくは相対湿度を5%未満とすることである。
加湿条件下での加熱処理を採用する場合、銀インク組成物の加熱処理は、以下に示す二段階の方法で行うことが特に好ましい。すなわち、一段階目の加熱処理において、非加湿条件下で、上述のように金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理において、加湿条件下で、上述のように金属銀の形成を最後まで行うことにより、銀インク組成物の加熱処理を行うことが特に好ましい。
二段階目の加熱処理を加湿条件下で行う場合、一段階目の非加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、5秒〜1時間であることが好ましく、30秒〜30分であることがより好ましく、30秒〜10分であることが特に好ましい。
一段階目の非加湿条件下での加熱処理に次いで行う、二段階目の加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、1分〜2時間であることが好ましく、1分〜1時間であることがより好ましく、1分〜30分であることが特に好ましい。
銀インク組成物を耐熱性が低い基材に印刷して加熱(焼成)処理する場合には、一段階目の非加湿条件下での加熱処理及び二段階目の加湿条件下での加熱処理における加熱温度は、いずれも130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
以上のように、好ましい金属細線の形成方法としては、例えば、銀インク組成物を用いて、印刷パターンとして、銀インク組成物の層(組成物層)のパターンを形成する工程と、前記組成物層から、金属銀の細線(銀細線)を形成する工程と、を有するものが挙げられる。
なかでも、好ましい金属細線の形成方法としては、例えば、前記金属銀の細線を形成する工程において、前記カルボン酸銀、好ましくはβ−ケトカルボン酸銀(1)が配合されてなる銀インク組成物の層を、非加湿条件下で加熱処理した後、さらに加湿条件下で、又は加熱した液体と接触させて、加熱処理することで、銀細線を形成するものが挙げられる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
<<印刷パターンの形成、銀細線の形成>>
[実施例1]
<印刷版の製造>
以下に示す手順により、図3に示すような、くびれを有する溝をメッシュ状に備えた印刷版を製造した。
すなわち、印刷版の母材となる銅板の表面に、感光性レジスト組成物を塗布してレジスト層を形成した。次いで、目的とする配置形態の溝がこの銅板に形成されるように、前記レジスト層にレーザー光を照射して感光させることで、レジスト膜を形成した。次いで、このレジスト膜の現像を行うことで、目的とするレジストパターンを形成した。次いで、このレジストパターンを形成した銅板の表面をエッチング液と接触させ、現像後のレジスト膜で被覆されていない銅板の表面をエッチングし、さらにすべてのレジスト膜(レジストパターン)を除去することで、銅板の表面に目的とする配置形態の溝を形成した。次いで、この溝を形成した銅板の表面に対して、クロムメッキを行い、さらに形成したクロムメッキ膜の表面を研磨することで、印刷版として、くびれを有する溝を、目的とする配置形態で表面に備えた、厚さが150μmの凹版を得た。
なお、この印刷版の製造に際しては、溝の幅Wが5μm、溝の深さが1.9μm、溝のくびれを形成している前記突出部の長さLが2.0μm、前記突出部の幅Lが1.0μm、とそれぞれなるように製版データを作製し、ほぼそのとおりの印刷版を得た。
<銀インク組成物の製造>
ビーカー中に2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1.45倍モル量)と、n−ヘキサン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1.63倍モル量)と、をこの順に加えて、メカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、液温が50℃以下となるように、ビーカー中に2−メチルアセト酢酸銀を添加した。
2−メチルアセト酢酸銀の添加終了後、同様の状態を維持したまま、ビーカー中にシリンジポンプを用いて、ギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.5倍モル量)を10分かけて滴下し、ギ酸の滴下終了後、さらにそのままの状態で1.5時間撹拌した。
次いで、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(以下、「DMHO」と略記することがある)(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.032倍モル量)及び4−エチル−1−オクチン−3−オール(以下、「EOO」と略記することがある)(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.004倍モル量)の混合物をビーカー中に添加し、添加終了後、さらにそのままの状態で5分撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
なお、DMHOとしては、エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」を用い、EOOとしては、東京化成工業社製のものを用いた。
各配合成分の種類と配合比を表1に示す。表1中、「含窒素化合物(モル比)」とは、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの含窒素化合物の配合量(モル数)([含窒素化合物のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。「還元剤(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの還元剤の配合量(モル数)([還元剤のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。「アセチレンアルコール(2)(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりのアセチレンアルコール(2)の配合量(モル数)([アセチレンアルコール(2)のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。「溶媒(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの溶媒の配合量(モル数)([溶媒のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。
なお、本実施例において「金属銀の形成材料」とは、「β−ケトカルボン酸銀(1)」のことである。
レオメータ(Anton Paar社製「MCR−301」)を用いて、得られた銀インク組成物の、温度が25℃、せん断速度が0.1s−1〜1000s−1の場合のせん断粘度を測定した。その結果、せん断速度0.1s−1におけるせん断粘度は2.1Pa・sであり、せん断速度1000s−1におけるせん断粘度は1.3Pa・sであった。
<印刷パターンの形成>
グラビアオフセット印刷法により、上記で得られた印刷版及び銀インク組成物を用いて、ポリカーボネート製基板(厚さ0.4mm)の一方の主面(表面)上に印刷を行い、図7に示すようなメッシュ状の印刷パターンを形成した。より具体的には、印刷版の溝を有する表面に、銀インク組成物を供給し、余分の銀インク組成物をドクターブレードによって除去することで、溝に銀インク組成物を充填した。そして、この充填された銀インク組成物を、オフセットロールのブランケット材の表面に転写した後、ベルトコンベヤユニットで運搬されてきた前記基板の表面に対して、この銀インク組成物を転写することで印刷を行った。オフセットロールとしては、金属製の筒体の表面がシリコーン樹脂製のブランケット材で被覆されたものを用いた。
<銀細線の形成>
次いで、上記で得られた、印刷パターンを備えた基板を、120℃で10分加熱し、さらに温度120℃、相対湿度90%の加湿雰囲気下に10分置いて、前記印刷パターンを加熱(焼成)処理した。以上により、前記印刷パターン(銀インク組成物のパターン)から金属銀を形成させることで、基板上に図7に示すメッシュ状の銀細線を形成した。
[参考例1]
表2に示すように、溝のくびれを形成している前記突出部の長さLが、2.0μmではなく1.5μmとなるように製版データを作製した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で印刷版を製造した。すなわち、本参考例では、印刷版の製造に際して、溝の幅Wが5μm、溝の深さが1.9μm、溝のくびれを形成している前記突出部の長さLが1.5μm、前記突出部の幅Lが1.0μm、とそれぞれなるように製版データを作製し、ほぼそのとおりの印刷版を得た。
そして、この印刷版を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、印刷パターン及び銀細線を形成した。
[比較例1]
表2に示すように、溝のくびれを形成しないように製版データを作製した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で印刷版を製造した。
そして、この印刷版を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、印刷パターン及び銀細線を形成した。
[参考例2]
表2に示すように、溝の幅Wが5μmではなく4μm、溝の深さが1.9μmではなく1.5μm、とそれぞれなるように製版データを作製した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で印刷版を製造した。すなわち、本参考例では、印刷版の製造に際して、溝の幅Wが4μm、溝の深さが1.5μm、溝のくびれを形成している前記突出部の長さLが2.0μm、前記突出部の幅Lが1.0μm、とそれぞれなるように製版データを作製し、ほぼそのとおりの印刷版を得た。
そして、この印刷版を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、印刷パターン及び銀細線を形成した。
[実施例2]
表2に示すように、溝の幅Wが5μmではなく4μm、溝の深さが1.9μmではなく1.5μm、とそれぞれとなるように、さらに溝のくびれを形成している前記突出部の長さLが、2.0μmではなく1.5μmとなるように、製版データを作製した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で印刷版を製造した。すなわち、本実施例では、印刷版の製造に際して、溝の幅Wが4μm、溝の深さが1.5μm、溝のくびれを形成している前記突出部の長さLが1.5μm、前記突出部の幅Lが1.0μm、とそれぞれなるように製版データを作製し、ほぼそのとおりの印刷版を得た。
そして、この印刷版を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、印刷パターン及び銀細線を形成した。
[比較例2]
表2に示すように、溝のくびれを形成しないように、かつ溝の幅Wが5μmではなく4μmとなるように製版データを作製した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で印刷版を製造した。
そして、この印刷版を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、印刷パターン及び銀細線を形成した。
<<印刷パターン(銀細線)の評価>>
<銀細線の屈曲部における幅の拡大の抑制効果>
レーザー顕微鏡(キーエンス社製「VK−X100」)を用いて、上記の各実施例、参考例及び比較例の銀細線を観察した。そして、銀細線について、すべての屈曲部において幅D(幅DL1及び幅DL2)を測定し、屈曲部以外での幅Wを測定して、これら測定値の最大値を求めた。そして、幅DL1又は幅DL2が最大となっている銀細線の屈曲部において、幅の拡大の抑制効果を、観察結果から下記評価基準に従って評価した。結果を表2に示す。表2中、「拡大抑制効果」の欄の記載が、該当する結果である。
(評価基準)
A:拡大抑制効果が高い。
B:Aには劣るが、拡大抑制効果が認められる。
C:拡大抑制効果が低いか、又は認められない。
<銀細線の屈曲部の視認抑制効果>
上記の各実施例、参考例及び比較例で得られた、銀細線を備えた基板の、銀細線が形成されていない側の表面(裏面)を、樹脂成分としてポリカーボネート/ABS樹脂アロイを含有する黒色基材(厚さ2mm)の一方の表面に接触させて、前記基板を前記黒色基材上に載置した。この状態で、前記基板上の銀細線は露出している。
次いで、4人の観察者によって、この状態の前記基板を、その上方(換言すると銀細線側)から目視観察し、銀細線の屈曲部の視認抑制効果を、下記評価基準に従って評価した。結果を表2に示す。表2中、「視認抑制効果」の欄の記載が、該当する結果である。
(評価基準)
A:視認抑制効果が高い。
B:Aには劣るが、視認抑制効果が認められる。
C:視認抑制効果が低いか、又は認められない。
<銀細線の屈曲部の形状>
上記の「銀細線の屈曲部における幅の拡大の抑制効果」の評価時に、同時に、銀細線の屈曲部の形状を観察し、銀細線の導電性の観点から、下記評価基準に従って、形状異常の有無を評価した。結果を表2に示す。表2中、「形状」の欄の記載が、該当する結果である。
(評価基準)
A:銀細線が顕著に大きい抵抗値を有する原因となる、断線又はその他の明らかな形状異常が認められない。
B:銀細線が顕著に大きい抵抗値を有する原因となる、断線又はその他の明らかな形状異常が認められる。
Figure 0006938221
Figure 0006938221
上記結果から明らかなように、実施例1〜2においては、印刷版の溝にくびれを形成したことにより、銀細線の屈曲部において、銀細線の幅の拡大の抑制効果と、視認抑制効果と、が認められ、明らかな形状異常は認められなかった。このように、実施例1〜2においては、完全に又はほぼ、目的とする形状で銀細線が形成されていた。特に実施例1で、その効果が高かった。実施例1〜2においては、銀細線のパターンを形成する前の、銀インク組成物のパターンを形成した段階で、前記組成物で形成された細線の屈曲部において、細線の幅の拡大が十分に抑制されていたと推測される。
これに対して、比較例1〜2においては、印刷版の溝にくびれを形成しなかった(従来の印刷版を用いた)ことにより、銀細線の屈曲部において、明らかな形状異常は認められなかったものの、銀細線の幅の拡大の抑制効果と、視認抑制効果と、が認められなかった。このように、比較例1〜2においては、目的とする形状で銀細線が形成されていなかった。比較例1〜2においては、実施例1〜2の場合とは異なり、銀インク組成物で形成された細線の屈曲部において、細線の幅の拡大が抑制されていなかったことは、明らかである。
一方、参考例1においては、印刷版の溝にくびれを形成したものの、溝の幅Wに対して、くびれの度合いが小さ過ぎ(前記突出部の長さLが短過ぎ)、銀細線の幅の拡大の抑制効果と、視認抑制効果と、がいずれも低かった。参考例1においては、実施例1〜2の場合とは異なり、銀インク組成物で形成された細線の屈曲部において、細線の幅の拡大抑制効果が不十分であったと推測される。
参考例2においては、印刷版の溝にくびれを形成したことにより、銀細線の屈曲部において、銀細線の幅の拡大の抑制効果と、視認抑制効果と、が認められたものの、明らかな形状異常が認められた。より具体的には、銀細線の屈曲部において、銀細線の体積が極めて小さく、断線に近い状態となっている箇所が存在した。これは、溝の幅Wに対して、くびれの度合いが大き過ぎた(前記突出部の長さLが長過ぎた)ことが原因であると推測される。参考例2においては、銀インク組成物で形成された細線の屈曲部において、すでに、銀インク組成物の層の体積が極めて小さくなっている箇所が存在したと推測される。
本発明は、印刷版として凹版を用いる印刷パターンの形成時に利用可能であり、例えば、金属の形成材料が配合されてなる金属インク組成物と、前記印刷版と、を用いて印刷技術を利用して、金属細線を形成するのに好適である。基板上にこのような金属細線を備えた配線板は、例えば、タッチパネル、電磁波シールド等の各種電子機器における部材として有用であり、本発明は、これら部材の製造時に適用するのに好適である。
1,2,3,4・・・印刷版(凹版)、1a,2a,3a,4a・・・印刷版の表面、8,9・・・溝、80,90,90’・・・溝の屈曲部、81,91,911,912,913,914・・・溝のくびれ(突出部)、θ、θ、θ、θ、θ・・・溝の屈曲部の屈曲角度

Claims (3)

  1. 印刷版として凹版を用いる印刷パターンの形成方法であって、
    前記印刷版は、その表面にインクを充填するための溝を有し、
    前記溝は、前記印刷版の表面に対して平行な方向において屈曲する屈曲部を有し、
    前記溝が、前記屈曲部の180°未満の角度を成す側において、くびれを有し、
    前記印刷版の前記溝を有する表面を上方から見下ろすように平面視したとき、前記くびれは、前記溝の内部において、前記屈曲部の180°未満の角度を成す側から、これとは反対側へ向けて、前記溝を遮断しないように、多面体状の突出部が形成され、構成されており、
    前記突出部の長さをL とし、前記突出部の幅をL とし、前記印刷版の前記表面における、前記溝の前記屈曲部以外での開口部の幅をW としたとき、L ×L /W の値が0.35〜0.46μmである、印刷パターンの形成方法。
  2. 前記L が1〜3μmであり、前記L が0.5〜2μmであり、前記W が1〜20μmである、請求項1に記載の印刷パターンの形成方法。
  3. 前記突出部の形状が角柱状である、請求項1又は2に記載の印刷パターンの形成方法。
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