JP6985854B2 - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、モノリス基材となる成形体を脱脂する際、有機分が温度の上昇に伴って周囲の酸素と結合して燃焼することによって発熱を伴って除去される。この時、OSCを有するセリア−ジルコニア複合酸化物から次の酸素が供給されるため、燃焼により有機分が除去された領域の周囲には、熱と酸素の両方が存在することとなり、有機分の燃焼が急激に進行する。その結果、モノリス基材となる成形体の一部が急激に加熱されてクラックや割れが発生すると考えられる。
さらに、本発明のハニカム構造体の製造方法では、200℃未満の温度において、少なくとも一度、ハニカム成形体を酸素濃度が0.5体積%以下の低酸素雰囲気に暴露することにより、ハニカム成形体を構成するセリア−ジルコニア複合酸化物が吸蔵する余剰の酸素を、有機分の分解が開始されるよりも前に放出させることができるため、セリア−ジルコニア複合酸化物から酸素が供給されることによる有機分の燃焼反応を抑制することができる。そのため、ハニカム成形体の急激な発熱を抑え、クラックの発生を抑制することができる。
従って、本発明のハニカム構造体の製造方法では、ハニカム成形体が急激に発熱することがなく、クラックや割れを抑制することができる。
なお、ハニカム成形体の周囲を酸素濃度が0.5体積%以下の低酸素雰囲気に暴露することを脱酸素工程ともいう。
脱脂炉内を還元性ガスにより置換することで、セリア−ジルコニア複合酸化物が吸蔵している余剰の酸素を奪いやすくなり、有機分の燃焼の局所的進行を大きく抑制することができる。
貫通孔内に雰囲気ガスを流通させながら加熱することにより、脱脂工程中におけるハニカム成形体の温度ムラを低減することができる。
[ハニカム構造体]
まず、本発明のハニカム構造体の製造方法により製造する対象物であるハニカム構造体について説明する。
図1に示すハニカム構造体10は、複数の貫通孔12が隔壁13を隔てて長手方向に並設された単一のハニカム焼成体11を備えている。ハニカム焼成体11は、セリア−ジルコニア複合酸化物粒子(以下、CZ粒子ともいう)とアルミナとを含み、押出成形体の形状を有している。
図1に示すように、ハニカム構造体10が単一のハニカム焼成体11からなる場合、ハニカム焼成体11はハニカム構造体そのものでもある。
ハニカム構造体が上記した成分を有していることは、X線回折(XRD)にて確認することができる。
アルミナバインダがベーマイトであり、ハニカム構造体にはベーマイト由来のアルミナが含まれることが望ましい。また、θ相のアルミナ粒子(以下、θ−アルミナ粒子ともいう)に由来するアルミナが含まれることが望ましい。
また、ハニカム構造体に含まれるアルミナ中の、θ相のアルミナの割合が15重量%以上であることが望ましい。
ハニカム構造体におけるセリア−ジルコニア複合酸化物の占める割合が25〜75重量%であると、セリウムの酸素吸蔵能(OSC)を高めることができる。
ハニカム構造体の直径を130mm以下にすることにより、ハニカム構造体内の温度分布を小さくすることができるため、使用中の熱衝撃による破損をおさえることができる。
(1)ハニカム構造体を10セル×10セル×10mmの大きさに切断して、測定試料とする。この試料をイオン交換水中およびアセトンを用いて超音波洗浄した後、オーブンにて100℃で乾燥する。
(2)測定顕微鏡(Nikon製 Measuring Microscope MM−40 倍率100倍)を用いて、試料の断面形状の寸法を計測し、幾何学的な計算から体積を求める(なお、幾何学的な計算から体積を求めることができない場合は、飽水重量と水中重量を実測して、体積を計測する)。
(3)計算上求められた体積およびピクノメーターで測定した試料の真密度から、試料が完全な緻密体であったと仮定した場合の重量を計算する。なお、ピクノメーターでの測定手順は以下の通りである。
(4)ピクノメーターによる真密度の測定方法
ハニカム構造体を粉砕し、23.6ccの粉末を調整し、得られた粉末を200℃で8時間乾燥させる。その後、Auto Pycnometer 1320(Micromeritics社製)を用いて、JIS−R−1620(1995)に準拠し真密度を測定する。なお、この時の排気時間は40分とする。
(5)次に、試料の実際の重量を電子天秤(A&D製 HR202i)にて測定する。
(6)気孔率は、以下の計算式(1)にて計算する。
100−(実際の重量/緻密体としての重量)×100(%)・・・(1)
ハニカム構造体の比表面積はN2を使用したBET比表面積測定により測定することができる。
貴金属の担持量は、0.1〜15g/Lであることが望ましく、0.5〜10g/Lであることがより望ましい。
本明細書において、貴金属の担持量とは、ハニカム構造体の見掛けの体積当たりの貴金属の重量をいう。なお、ハニカム構造体の見掛けの体積は、空隙の体積を含む体積であり、接着層を含む場合は接着層の体積を含むこととする。
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
本発明のハニカム構造体の製造方法を構成する混合工程について説明する。
混合工程では、セリア−ジルコニア複合酸化物粒子(以下、CZ粒子ともいう)、アルミナ粒子及びアルミナバインダを混合して原料ペーストを調製する。
原料ペーストには、さらに無機繊維、有機バインダ、造孔剤、成形助剤、分散媒等が含まれていてもよい。
θ相のアルミナ粒子をセリア−ジルコニア複合酸化物の仕切り材として用いることにより、アルミナ粒子が使用中に熱によって互いに焼結することを抑制できるため、触媒機能を維持することが可能となる。さらに、アルミナ粒子をθ相とすることにより、耐熱性を高くすることができる。
また、ハニカム構造体の原料となるCZ粒子及びアルミナ粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(MALVERN社製 MASTERSIZER2000)により求めることができる。
ベーマイトは、AlOOHの組成で示されるアルミナ1水和物であり、水等の媒体に良好に分散するので、ベーマイトをアルミナバインダとして用いることが望ましい。
また、ベーマイトを用いることで原料ペースト中の水分率を低くし、成形性を高めることができる。
なお、無機繊維とは、アスペクト比が5以上のものをいう。
造孔剤とは、焼成体を製造する際、焼成体の内部に気孔を導入するために用いられるものをいう。
また、ハニカム成形体の形状は角柱形状であってもよく、角柱形状である場合は、四角柱形状であることが望ましい。
脱脂工程の前に、必要により、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等の乾燥機を用いて、ハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を作製する。
本明細書においては、脱脂工程を行う前のハニカム成形体及びハニカム乾燥体をまとめてハニカム成形体とも呼ぶ。
脱脂工程では、ハニカム成形体の周囲を酸素濃度が1体積%以下の雰囲気にして加熱する。
ハニカム成形体の周囲を酸素濃度が1体積%以下の雰囲気にして加熱することにより、有機分の分解(燃焼)に伴う発熱によって、次の反応(周囲に存在する有機分の燃焼)に必要な酸素が供給されにくくなり、ハニカム成形体の急激な発熱を抑制することができる。
加熱は、後述する脱酸素工程と並行して行ってもよく、脱酸素工程の後に行ってもよい。
ただし、脱酸素工程を行っている場合、200℃以上に加熱しない。
ハニカム成形体の周囲を酸素濃度が0.5体積%以下の低酸素雰囲気に暴露することを脱酸素工程ともいう。
200℃未満の温度において、少なくとも一度、ハニカム成形体を酸素濃度が0.5体積%以下の低酸素雰囲気に暴露することにより、ハニカム成形体を構成するセリア−ジルコニア複合酸化物が吸蔵する余剰の酸素を、有機分の分解が開始されるよりも前に放出させることができるため、セリア−ジルコニア複合酸化物から酸素が供給されることによる有機分の燃焼反応を抑制することができる。
そのため、ハニカム成形体の急激な発熱を抑え、クラックの発生を抑制することができる。
従って、本発明のハニカム構造体の製造方法では、ハニカム成形体が急激に発熱することがなく、クラックや割れを抑制することができる。
これらの中では水素ガスや一酸化炭素ガス等の還元性ガスを用いることが望ましい。
還元性ガスを用いることにより、ハニカム成形体を構成するセリア−ジルコニア複合酸化物が吸蔵する余剰の酸素を放出させやすくなる。
続いて、ハニカム脱脂体を焼成してハニカム焼成体を得る焼成工程を行う。
焼成工程の温度は、800〜1300℃であることが望ましく、900〜1200℃であることがより望ましい。また、焼成工程の時間は、1〜24時間であることが望ましく、3〜18時間であることがより望ましい。焼成工程の雰囲気は特に限定されないが、酸素濃度が1〜20体積%であることが望ましい。
脱脂工程から連続して焼成工程を行う場合、脱脂炉として用いた炉を焼成炉として用いてもよい。
なお、脱脂工程においてハニカム成形体の脱脂が完了したかどうかは、重量変化率により確認する。具体的には、原料中に含まれる有機物の重量分だけ、成形体の重量に対して脱脂体の重量が変化していることを確認して、脱脂が完了したものとする。
続いて、該ハニカム構造体の隔壁に対して貴金属を担持させる担持工程について説明する。ハニカム構造体の隔壁に貴金属を担持させることによりハニカム触媒とすることができる。
上記担持工程では、貴金属の担持量が0.1〜15g/Lであることが望ましく、0.5〜10g/Lであることがより望ましい。
本発明のハニカム構造体の製造方法において、ハニカム焼成体の外周面に外周コート層を形成する場合、外周コート層は、ハニカム焼成体の両端面を除く外周面に外周コート層用ペーストを塗布した後、乾燥固化することにより形成することができる。外周コート層用ペーストとしては、原料ペーストと同じ組成のものが挙げられる。
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
CZ粒子(平均粒子径:2μm)を26.4重量%、θ−アルミナ粒子(平均粒子径:2μm)を13.2重量%、アルミナ繊維(平均繊維径:3μm、平均繊維長:60μm)を5.3重量%、アルミナバインダとしてベーマイトを11.3重量%、有機バインダとしてメチルセルロースを5.3重量%、造孔剤としてアクリル樹脂を2.1重量%、同じく造孔剤としてコークスを2.6重量%、成形助剤として界面活性剤であるポリオキシエチレンオレイルエーテルを4.2重量%、及び、イオン交換水を29.6重量%混合混練して、原料ペーストを調製した。
なお、得られたハニカム脱脂体は脱脂炉から出さずにそのまま焼成工程を行うため、脱脂炉は焼成炉を兼ねており、脱脂工程では脱脂炉、焼成工程では焼成炉と呼ぶ。
脱脂工程における一酸化炭素ガスを水素ガス(酸素濃度0.005体積%=50ppm)に変更したほかは、実施例1と同様の方法で実施例2に係るハニカム構造体を得た。
脱脂工程において、置換した一酸化炭素ガスに暴露させる時間を300分から180分に変更したほかは、実施例1と同様の方法で実施例3に係るハニカム構造体を得た。
脱脂工程において、脱脂炉内を一酸化炭素ガスにより置換する方法に変わって、脱脂炉内の酸素濃度が0.1体積%となるように、窒素ガス(酸素濃度0.005体積%=50ppm)を脱脂炉内に通気させたほかは、実施例1と同様の方法で実施例4に係るハニカム構造体を得た。ただし、脱酸素工程後の加熱保持時間が480分を経過しても、ハニカム成形体の脱脂が完了しなかったため、保持時間を720分に変更した。
脱脂炉内の酸素濃度が1.0体積%となるように窒素ガスの供給量を変更したほかは、実施例4と同様の方法により、比較例1に係るハニカム構造体を得た。
上記工程により製造された実施例1〜4及び比較例1のハニカム構造体を、アルミナ製マットを介して金属ケース内に封入し、ガスバーナーで熱せられた空気と室温の空気とを交互に通気させた。ハニカム焼成体の中心の温度が200℃及び950℃に交互になるように冷却と加熱を100サイクル繰り返すヒートサイクル試験を行った。結果を表1に示す。
ただし、還元性ガスではない窒素ガスを雰囲気ガスとして用いた実施例4については、脱脂工程においてより長時間の加熱が必要であった。
11 ハニカム焼成体
12 貫通孔
13 隔壁
Claims (6)
- セリア−ジルコニア複合酸化物粒子とアルミナ粒子とアルミナバインダを含む原料ペーストを押出成形して、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を得る成形工程と、
前記ハニカム成形体を800℃未満の温度で脱脂してハニカム脱脂体を得る脱脂工程と、
前記ハニカム脱脂体を800〜1300℃の温度で焼成する焼成工程と、を含むハニカム構造体の製造方法であって、
前記脱脂工程では、前記ハニカム成形体の周囲を酸素濃度が1体積%以下の雰囲気にして加熱し、さらに、200℃未満の温度において、少なくとも1度、前記ハニカム成形体を酸素濃度が0.5体積%以下の低酸素雰囲気に暴露し、
前記焼成工程における酸素濃度が1〜20体積%であることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。 - 前記脱脂工程において、脱脂炉内を還元性ガスで置換することにより、前記ハニカム成形体を酸素濃度が0.5体積%以下の低酸素雰囲気に暴露する請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記還元性ガスは、水素又は一酸化炭素である請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記脱脂工程において、前記ハニカム成形体を酸素濃度が0.5体積%以下の低酸素雰囲気に暴露する時間は30〜600分である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記脱脂工程において、前記ハニカム成形体を酸素濃度が0.5体積%以下の低酸素雰囲気に暴露したあと、前記貫通孔内に雰囲気ガスを流通させながら加熱する請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記脱脂工程において、前記ハニカム成形体を酸素濃度が0.5体積%以下の低酸素雰囲気に暴露したあと、前記貫通孔内に酸素濃度が1体積%以下のアルゴンガスを流通させながら前記ハニカム成形体を加熱する請求項5に記載のハニカム構造体の製造方法。
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