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JP7347304B2 - 好気性生物膜処理方法および装置 - Google Patents
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JP7347304B2 - 好気性生物膜処理方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、生物学的に酸化できる汚濁物質を含む排水を、自己造粒グラニュールや流動床担体、固定床担体などにより生物膜処理する方法及び装置に係り、特にその曝気強度制御に関する。本発明においては微生物処理を行う生物膜の外部に存在する排水をバルク水と呼ぶ。
生物学的に酸化できる汚濁物質を含む排水の処理方法として、浮遊汚泥を用いる活性汚泥法のほか、自己造粒グラニュール法や流動床担体法、固定床担体法など、微生物が生物膜とよばれる集積増殖した様態で処理を行う生物膜法などが利用されている。
前者の浮遊汚泥を用いる活性汚泥法では、微生物フロックと称される典型的には1mm前後の微生物の凝集体内外において、微生物とバルク水相との接触面積が十分確保されているため、フロック内での酸素や汚濁物質の浸透性・拡散性が汚濁物除去速度の主要な処理性能の律速因子とならない。特許文献1には、汚濁物質の負荷を計器で計測し、これに比例して曝気風量を制御することが記載されている。
浮遊汚泥を用いる活性汚泥法、および自己造粒グラニュール法、流動床担体法、固定床担体法などの生物膜法においては、原水の負荷に比例した酸素供給量調整を簡易に行う手法として、液中の溶存酸素濃度(以下DOと記載する)を一定に保つ風量制御を行ういわゆるDO制御システムが広く用いられている。
自己造粒グラニュール法、流動床担体法に関して、特許文献2には、BOD容積負荷が所定値よりも小さいときは微生物担体の流動化を判断基準とし、BOD容積負荷が前記所定値よりも大きいときは廃水の酸素要求量を判断基準として廃水に対する曝気量を制御する廃水処理方法及び装置が記載されている。
各種水処理プラントにおいて、運転管理従事者は受変電盤で受ける電力量や薬剤の購入量を管理しており、水処理プラント全体としての収支からコスト、原単位の状態を把握している(特許文献3~6)。
特開2001-353496号公報 特開昭63-256185号公報 特開平9-318665号公報 特開2000-339002号公報 特開2002-86131号公報 特開2006-260519号公報
自己造粒グラニュール法、流動床担体法、固定床担体法など生物膜を利用した処理を行う方法では、原水負荷の指標として一般的である、原水の単位時間あたりの流量と原水の汚濁物質濃度との積により求められる流入負荷や、流入負荷を反応槽の容積で除算して求められる槽負荷のみに基づいて適切な酸素供給量調整を行うことは、厳密には困難である。その理由として以下が挙げられる。
(i) 原水負荷が同じで、原水中の有機物を酸化するために必要な酸素量が同じであっても、生物膜を利用した方法では、反応槽に生物膜の様態で保持されている微生物量が時間により変化するため、微生物自体の自己分解プロセスに起因して発生する酸素消費量が変化する。従って、装置に与える酸素供給量は同因子も考慮して決定する必要がある。
(ii) 生物膜を利用した処理方法では、微生物が集積している生物膜内に酸素を拡散させる必要がある。生物膜内への酸素の拡散性に影響を与える主な因子としては、微生物膜とバルク水との接触面積およびバルク水のDOの高低、微生物膜内の汚泥保持濃度や無機成分蓄積濃度などが知られており、自己造粒グラニュール法ではグラニュールの保持量およびグラニュールサイズが変化するため、微生物とバルク水との接触面積が変化する。
(iii) 流動床担体法では担体内外での微生物付着量の変化により、生物膜とバルク水の接触面積が変化する。特に、担体内部に空隙部がある構造で生物膜が空隙部に増殖する場合、担体への生物膜付着量が増加し、空隙部が全て閉塞した場合には、バルク水と生物膜との接触面積は顕著に低減する。
(iv) このようなバルク水と生物膜との接触面積の変化は、生物膜への酸素拡散性に大きな影響を与える。例えば、バルク水と生物膜との接触面積が低減した場合には、同一の酸素量を生物膜内に供給する場合でも、バルク水のDOを高める必要があり、バルク水の溶存酸素濃度を高めるためには、より大流量の空気吹き込みが必要となる。また、原水の負荷が高くなった場合、酸素消費量は増加する。そのため、必要な酸素を拡散現象で生物膜内に供給するためには、バルク水の溶存酸素濃度を高くする必要がある。
こういった要因により、負荷変動に応じて原水有機物の酸化に必要な酸素量は変化し、処理装置内に保持されている微生物膜の量により供給する必要がある酸素量は変化し、特に、酸素供給について拡散現象に依存している生物膜法の場合、生物膜に供給すべき酸素量に応じてバルク水のDOを調整する必要があり、バルク水のDOを維持するための曝気風量も調整する必要がある。
なお、曝気風量の負荷に応じた調整・制御をしない運転を行う場合は、高負荷時においてもバルク水のDOを高く維持し酸素供給量を維持できるように曝気風量を過剰に多くした状態での風量一定運転をする必要がある。
高負荷時において必要な高いDOを維持できる風量一定運転下では、負荷低下時の酸素消費低下時の酸素消費低下に応じた風量抑制をしないためエネルギーの無駄が発生することになる。
また高負荷時の酸素供給を想定し高めのDO目標値を設定した曝気制御を行った場合も、生物膜処理装置では負荷低下維持にはDOレベルを低下することができるため曝気制御の目標DOレベルをさげればさらに曝気風量を絞ることが可能であるが、通常の曝気制御ではこのようなDO目標値低下による風量抑制をしないためエネルギー消費の無駄はなお発生することになる。
一般的なDO一定の風量制御を行う場合も、高負荷時に生物膜内部への十分な酸素拡散量を確保することを想定したDO設定を行う必要がある。そのため、低負荷時には、必要な酸素供給量の維持に必要なDOレベル以上のDO設定に維持することになる。その結果、DOを維持するための曝気風量は必要量より多くなり、エネルギー消費の無駄が発生する。
従って、エネルギー消費の無駄は、負荷変動が大きな場合に特に顕著となる。
さらに、負荷変動に応じた適切な曝気制御をしていても、生物膜を活用した生物処理装置は長期間運転を継続すると処理水槽内の生物膜の保持量が増加する傾向にあり、生物膜の保持量が増加すると、生物膜とバルク水との接触面積が低下し、酸素透過性が低下し、生物膜への酸素供給量が低下し、処理水質が悪化する状況が発生する。生物膜の保持量の増加に伴い生物膜の処理水水質が所定値を逸脱したときに、曝気槽中の生物膜の保持量が必要以上に増加したと判定し、担体の生物膜保持量低減処理又はグラニュールの部分解体処理などの生物膜保持量低減処理を行うことが考えられる。しかし、生物膜保持量低減処理自体にも、実施の判断の手間と実施のためのコストがかかる。
本発明は、生物膜保持量低減処理を行う場合と行わない場合との電力費用を比較し、電力費用が安価な方を選択する好気性生物膜処理方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の好気性生物膜処理方法は、原水を曝気槽に供給し、曝気槽に充填された生物膜保持担体またはグラニュールにより原水中の除去対象物質を好気性生物膜処理する方法において、生物膜保持量低減処理を行わない場合における、その後の所定期間内の曝気電力費用Aを算出し、生物膜保持量低減処理を行った場合における、その後の所定期間内の曝気電力費用Bと生物膜保持量低減処理費用Cとの合計費用(B+C)を算出し、(B+C)とAとを比較し、(B+C)がAよりも小さいならば前記生物膜保持量低減処理を好適とする判定を行うことを特徴とする。
本発明の好気性生物膜処理装置は、原水が供給される曝気槽と、該曝気槽に充填された生物膜保持担体またはグラニュールと、該曝気槽を曝気する曝気装置とを有する好気性生物膜処理装置において、生物膜保持量低減処理を行わない場合における、その後の所定期間内の曝気電力費用Aを算出する手段と、生物膜保持量低減処理を行った場合における、その後の所定期間内の曝気電力費用Bと生物膜保持量低減処理費用Cとの合計費用(B+C)を算出する手段と、(B+C)とAとを比較し、(B+C)がAよりも小さいならば前記生物膜保持量低減処理を好適とする判定を行う手段とを有することを特徴とする。
本発明の一態様では、前記A,(B+C)の算出及び比較を定期的に又は実行指令が与えられたときに行う。
本発明の一態様では、前記(B+C)がAよりも所定金額以上小さいときに前記生物膜保持量低減処理を好適とする判定を行う。
本発明の一態様では、前記生物膜保持量低減処理費用は、前記担体の生物膜保持量低減処理又はグラニュールの部分解体処理の操作を行う費用と、該操作により生じた排出汚泥を処理する費用とを含む。
本発明の一態様では、前記コストの算定時の前の規定期間における曝気電力消費量から単位時間の電力消費量Hを求め、該算定時以降は、予め設定した逓増パターンに従って単位時間電力消費量が逓増するものとし、この逓増した単位時間電力消費量H’と、前記所定期間と、電力単価との積とによって前記曝気電力コストAを算出し、該単位時間電力消費量H’に、予め設定した規定比率α(ただしα<1)を乗じたα・H’を、生物膜保持量低減処理を行った後の単位時間電力消費量とみなして、α・Aを前記曝気電力コストBとする。
本発明の一態様では、前記曝気槽内のDO目標値及び/又は曝気強度設定値から曝気動力にかかる電力使用量を算出する数式モデルと、電力使用量に対応する単価データと、原水負荷または酸素消費速度と、DO目標値及び/または曝気強度設定値と、の相関関係を、酸素透過性の良否に関係づけて決定した2つ以上の相関関係グループとを設定しておき、原水負荷または酸素消費速度の計測値(別の測定項目の実測値から算出したものを含む)の変動に応じて、前記相関関係の1つに基づいて、該計測値に対応するDO目標値及び/または曝気強度設定値を調整して曝気制御を行う。
本発明の一態様では、選定した前記相関関係のDO目標値あるいはその実測値、及び/又は曝気強度設定値あるいはその実測値から、現状の単位期間当たりの曝気動力にかかる電力使用量の算出値を求め、今後の前記所定期間の曝気動力が該算出値で一定であるとするか、曝気動力の経時的な上昇を予測する数式モデルによって今後の曝気動力の予測値を求め、該算出値または予測値と、電力使用量の単価データとに基づいて、前記電力費用Aを算出し、使用していた前記相関関係よりも相対的に酸素透過性の良い相関関係を相関関係グループから選定し、この相関関係における曝気作用に基づいて今後の前記所定期間の前記費用Bを算出する。
本発明の一態様では、前記生物膜保持量低減処理を、回転撹拌羽根又は逆洗による強撹拌、強曝気、高流速循環、及び槽内水の破砕ポンプへの通水のいずれか1又は2以上により行う。
本発明の一態様では、前記生物膜保持量低減処理費用Cを定数として設定しておく。
本発明の一態様では、前記費用Aが前記費用(B+C)よりも小さい場合、費用Aと費用(B+C)とが等しくなるまでの期間を求める。
本発明によれば、原水負荷あたりの曝気動力効率が低下した場合に、流動床担体の性能向上策の実施の提案や、担体の更新、固定担体の強逆洗等のメンテナンス作業で得られる省エネルギー効果や、メンテナンス費用に対する費用対効果を定量的に示すことができる。
本発明が適用される生物処理装置の構成図である。 本発明が適用される生物処理装置の構成図である。 本発明が適用される生物処理装置の構成図である。 生物処理装置の構成図である。 生物処理装置の構成図である。
本発明では、現時点で生物膜保持量低減処理を行う方が、所定期間経過後に生物膜保持量低減処理を行うよりも電力費用が安価であると判定されるならば、担体の生物膜保持量低減処理(例えば、担体からの生物膜剥離、グラニュールの部分解体など)が適切との判断を行う。
すなわち、生物膜保持量低減処理を行わず現状の曝気制御を継続するときの費用(費用A:現状の単位時間の電力使用量に電力単価を乗じた単位時間の電力費を所定期間分だけ累積して算出した費用)と、生物膜保持量低減処理を行った後に曝気制御を継続するときの費用(費用B:現状よりも酸素透過性指標が良好である場合の単位時間の電力使用量に電力単価を乗じた単位時間の電力費を所定期間分だけ累積して算出した費用)に生物膜保持量低減処理費用Cを加算した費用(B+C)とを比較する。
そして、費用Aと費用(B+C)の大小を比較してコストメリットに基づいて生物膜保持量低減処理の実行の要否を決定する。
なお、費用(B+C)が費用Aを下回るまでの期間を求めるべく所定期間を変数とし、費用Aと費用(B+C)とが等しくなる(あるいは差が小額となる)までの期間の長短を比較してコストメリットを判定してもよい。
生物膜剥離やグラニュール部分解体の操作としては、以下の(1)~(4)のように剪断力を付与して強制的に汚泥を低減する操作が好適である。
(1) 回転撹拌羽根や逆洗により強撹拌する。
(2) 強曝気する。
(3) 高流速循環する。
(4) 槽内水を槽内又は槽外で破砕ポンプに通水する。
なお、担体から剥離された生物膜やグラニュールを部分解体することにより生じた汚泥は、SSとして処理水と共に槽外に排出され、固液分離(凝集沈殿、凝集加圧浮上、凝集濾過など)処理後、系外排出される。
生物膜の剥離手段、部分解体手段は、剥離又は部分解体の処理業務を行うときに仮設してもよく、常設の設備として設置してもよい。
生物膜保持量低減処理費用には、追加使用部材の単価データ、処理作業の労務費データ、ポンプの動力費用、強曝気時のブロワの増強分の動力費用などが含まれる。
以下に、図面を参照して流動床担体からの付着生物膜の剥離手段又は自己造粒グラニュール部分解体手段を備えた好気性生物処理装置の構成について説明する。
図1の生物処理装置では、被処理排水(原水)は、配管1を通じて曝気槽2に導入される。曝気槽2内には、グラニュール又は生物膜を担持した担体Cが充填されている。曝気槽2内の底部には散気管3が設置されており、ブロア4から配管5を通じて空気が供給され、曝気が行われる。
生物膜によって好気的に生物処理された水は、スクリーン6を通り抜け、配管7から処理水として取り出される。
この生物処理装置では、生物膜剥離手段として、曝気槽2のグラニュールや担体を吸引ポンプ11で引き抜き、撹拌水槽12に導入し、攪拌機13により強撹拌してグラニュール部分解体または担体付着生物膜剥離を実施した後、配管14を通じて曝気槽2に返送する。
グラニュールの部分解体又は担体付着生物膜の剥離の程度は、次の(a),(b),(c)などにより調整される。
(a) 吸引ポンプ11の吐出量を調節して、撹拌水槽12の滞留時間を調整する。
(b) 攪拌機13の回転速度を調節して、生物膜解体/剥離の強度を調整する。
(c) 上記2つを共に調整する。
なお、撹拌水槽12と攪拌機13を設ける代わりに、水中破砕ポンプを設置して代替することもできる。
図1では、吸引ポンプ11からの送水をそのまま撹拌水槽12に供給しているが、図2のように、吸引ポンプ11からの送水を、サイクロン等の沈降速度による処理対象担体の選別装置15に供給し、生物膜保持量が多く沈降速度が大きい担体やグラニュールのみを選択的に撹拌水槽12に供給してグラニュールの部分解体又は生物膜剥離処理を行うようにしてもよい。生物膜保持量が少なく、沈降速度が小さい担体やグラニュールは配管16を通じて曝気槽2に返送する。
図3は、強曝気により、グラニュールの部分解体又は担体付着生物膜の剥離を行うようにした生物処理装置を示している。
図3の生物処理装置では、被処理排水(原水)は、配管1を通じて曝気槽2に導入される。曝気槽2内には、グラニュール又は生物膜を担持した担体Cが充填されている。曝気槽2内の底部には散気管3が設置されており、ブロア4から配管5を通じて空気が供給され、曝気が行われる。配管5には、強曝気用のブロア17からも空気が供給可能とされている。
生物膜によって好気的に生物処理された水は、スクリーン6を通り抜け、配管7から処理水として取り出される。
この生物処理装置では、曝気槽2内のDOを測定するDO計19と、ブロア4から配管5へ供給される空気量を測定する風量計20が設けられており、これらの検出値が制御器21に入力される。制御器21によってブロア4が制御されることにより曝気強度が制御される。
グラニュールの部分解体又は担体付着生物膜の剥離を行うときには、ブロア17を作動させて強曝気する。
<酸素拡散性指標>
汚濁物質除去のために自己造粒微生物グラニュールや流動床もしくは固定床担体に付着させた生物膜を利用する生物膜処理の場合、浮遊法と比較して流動状態の液相と微生物とが接触する表面積が少なく、汚濁物質の生分解のためには生物膜の内部へ(厚み方向へ)酸素や汚濁物質が拡散浸透する必要があり、この拡散浸透プロセスの速度は微生物の増殖速度・酸素消費速度と比較して遅いため、拡散浸透プロセスが処理性能を決定する主要な要因の一つである。
生物膜がバルク水と接触する表面積は拡散浸透プロセスに影響を与える因子である。表面積が狭くなると、バルク水のDOが同じであっても、相対的に生物膜への酸素拡散総量が減り、処理性能が低下して処理水水質が悪化する傾向となる。逆に、表面積が広くなると、バルク水のDOが同じであっても、相対的に生物膜への酸素拡散総量が増加し、処理能力が上がり、処理水質が良好となる傾向となる。また、低いDOであっても十分な処理性能を発揮することができ、曝気量、曝気に関わる電力を削減できる。
自己造粒微生物グラニュールを利用する装置の場合、長期的な運用によりグラニュールが肥大した場合、自己造粒微生物グラニュールの充填容積あたりのバルク水と接触する比表面積が低下し、装置容積あたりのバルク水と接触する表面積が低下する。
担体を利用する装置の場合、特に担体内部に空隙部がある構造の担体を利用した場合、長期的な運用により担体が保持する生物膜保持量が増加すると、担体内部の空隙空間が微生物膜自体およびスケール成分等の生物活性のない固形分により閉塞するため、バルク水と生物膜の接触面積が低下する。この結果、担体充填容積あたりのバルク水と接触する比表面積が低下し、曝気槽容積あたりのバルク水と接触する表面積が低下する。また担体内部の空隙部の有無にかかわらず、長期間の運用を行った場合、生物膜内の汚泥密度が上昇する、もしくは、スケール成分等の生物活性のない固形物の蓄積により微生物膜の固形物密度が上昇することにより、酸素の拡散速度が低下する。
さらに、固定担体に付着させた生物膜を利用する処理の場合は、運用期間が長期に渡ると担体間の空間に過剰な生物膜が保持されていく傾向がある。このような状況では、生物膜保持量の増加に応じバルク水相の容量が相対的に低下する。また、この状態がさらに進むと、担体間の空間が生物膜により閉塞し、バルク水が流入できない空間が発生する。この結果、バルク水相と生物膜との接触面積が徐々に低下し、生物膜への酸素や汚濁物質の浸透透過性が経時的に低下する傾向がある。
<制御ロジックの構築例>
本発明で使用する曝気制御の手法として、高負荷時には一般的なDO制御を行い、低負荷時には弱曝気と強曝気を交互に繰り返すいわゆる間欠曝気を組み合わせた場合の事例を説明する。本事例の間欠曝気では、一定時間サイクル毎に、所定時間最低限の一定風量で曝風量の抑制を行う弱曝気工程と、残りの時間DO制御を行う強曝気工程をくりかえす。本事例の間欠曝気の説明では、弱曝気工程を状曝気工程から構成される制御サイクルの合計工程時間をサイクル時間と称し、弱曝気工程の工程時間を弱曝気工程時間、強曝気工程の工程時間を強曝気工程時間と称する。
原水負荷や反応槽の酸素消費速度と、DO目標値や曝気強度設定値(本事例では弱曝気工程時間の設定値)の適正値との相関関係を、複数の酸素拡散性指標において予め作成する。原水負荷とDO目標値および弱曝気工程時間との相関を制御表で整理した下記の表1を例に説明する。
下記の表1では、上から順番に5個の制御表(相関関係表)が示されている。各表は、それぞれ生物膜における酸素拡散性が異なる条件を想定して作成されており、1番目の表が最も酸素拡散性が高い条件で作成され、順次酸素拡散性が低下し、5番目の表がもっとも酸素拡散性が悪い想定での表となっている。各々の表はTOC担体容積負荷とDO目標値及び弱曝気工程時間設定値との関係を表わしている。
例えば、上から3番目の表では、担体充填容積当りTOC負荷[kgC/(m・d)。以下、単位を省略する場合がある。]が0.1以上~0.6未満の負荷条件では強曝気工程におけるDO目標値を3.1mg/Lとし、TOC負荷0.1以上~0.2未満の場合は弱曝気工程時間を2時間ごとに110分、TOC負荷0.2以上0.3未満の場合は弱曝気工程時間を2時間ごとに90分、TOC負荷0.3以上0.4未満の場合は弱曝気工程時間を2時間ごとに80分、TOC負荷0.4以上0.5未満の場合は弱曝気工程時間を2時間ごとに60分、TOC負荷0.5以上0.6未満の場合は弱曝気工程時間を2時間ごとに40分をそれぞれ適正値として設定しており、TOC負荷0.6以上0.7未満の場合は強曝気工程でのDO目標値を3.8mg/L弱曝気工程時間を2時間ごとに20分、TOC負荷0.7以上の場合は、間欠曝気を行わず(弱曝気時間を0分として)TOC負荷0.7以上0.9未満の場合はDO目標値を3.9とし、TOC負荷0.9以上1.0未満の場合はDO目標値を4.4、TOC負荷1.0以上の場合はDO目標値を4.8をそれぞれ適正値として設定している。他の表も同様である。
処理水水質(例えばTOC濃度)が所定時間にわたって良好なときは、1つ上の制御表に移行し、逆に処理水水質が所定時間にわたって不良なときは、1つ下の制御表に移行する。例えば、標準の制御表(上から3番目の表)を用いて適切に曝気制御を継続していたにも拘わらず処理水水質が悪化したときは酸素拡散性が悪化したとみなし、1つ下側の制御表(上から4番目の表)を用いた曝気制御に切り替える。逆に処理水水質が過度に良くなったときは曝気を弱めても安定処理できるとみなして1つ上側の制御表(上から2番目の表)を用いた曝気制御に切り替える。本制御手順の適用により、実機の生物膜の状態に応じた酸素拡散性を想定した制御表が自動的に選択されることになり、結果として酸素拡散性指標を推定していることになる。
なお酸素拡散性指標は実機で直接計測することは困難であるが、上記の操作により通常の運転データから推定することが可能となる。
Figure 0007347304000001
最も処理性能が低下した状況を想定した制御表(表1では最下段の制御表)を選択して制御しているときに処理水のTOCが制御目標のTOC上限値よりも高い場合、それよりも曝気強度を大きくした制御表は設定されていないので、生物膜保持量低減処理を行って性能を回復させる。
なお、処理性能が若干低下した段階(例えば上から4番目の制御表の状態)であっても、曝気強化のエネルギー効率やコストなどを考慮して、生物膜保持量低減処理を行うことにより性能を回復させるようにしてもよい。
<制御の管理指標>
原水負荷を管理指標とする場合の原水担体負荷の計算方法について、図4を用いて次に説明する。
[TOC計と流量計から原水負荷を算出する方法]
図4に示す生物処理装置は、原水のTOC濃度の計測値を利用した原水負荷に基づく曝気制御を行うものである。
図4の生物処理装置では、被処理排水(原水)は、配管1を通じて曝気槽2に導入される。曝気槽2内には、生物膜を担持した担体Cが充填されている。曝気槽2内の底部には散気管3が設置されており、ブロア4から配管5を通じて空気が供給され、曝気が行われる。
生物膜によって好気的に生物処理された水は、スクリーン6を通り抜け、配管7から処理水として取り出される。
この生物処理装置では、計測手段として、配管1を流れる原水の流量及びTOC濃度を測定する流量計22及びTOC計23と、曝気槽2内のDOを測定するDO計19と、ブロア14から散気管13へ供給される空気量を測定する風量計20が設けられており、これらの検出値が制御器21に入力される。制御器21によってブロア14が制御されることにより曝気強度が制御される。
原水流量を流量計22で測定し、TOC計23で原水のTOC濃度を測定することで、TOC負荷を算出する。
<原水負荷>
原水負荷は次式によって算出される。
Load=Q・Conc
Load:原水負荷[kg/d]
Q:原水流量[m/d]
Conc:原水濃度[kg/m
原水濃度としてはTOCに限らず、微生物による酸化処理の対象となる物質の濃度であれば処理目的に応じて他の指標を利用してもよい。典型的にはCODCr、CODMn、亜硝酸性窒素、アンモニア性窒素、有機アミン類等の特定化学物質の濃度を利用することが可能である。
<担体容積負荷>
担体容積負荷は次式によって算出される。
LoadCarrierVol=Load/VCarrier
LoadCarrierVol:担体容積負荷[kg/(m・d)]
Carrier:曝気槽内の担体充填容積[m
<担体表面積負荷>
担体表面積負荷は次式によって算出される。
LoadCarrierSurf=Load/SCarrier
LoadCarrierSurf:担体表面積負荷[kg/(m・d)]
Carrier:曝気槽内の担体群の総表面積[m
なお、曝気槽においては、原水負荷は経時的に分単位で急速に変動することがあるが、担体の性状(曝気槽内の担体充填容積又は曝気槽内の担体群の総表面積)の経時的変化は日から月単位で比較的緩慢に変化する。そのため、原水負荷の計算値は頻繁に更新するのが好ましい。また、曝気槽内の担体充填容積又は曝気槽内の担体群の総表面積については、担体を定期的に(例えば1~3ヶ月に1回程度の頻度で)サンプリングして解析し、担体充填容積、担体群の総表面積データを更新すればよい。
[酸素消費速度を管理指標とした制御]
[酸素消費速度の演算方法]
本発明の一態様では、酸素消費速度を管理指標として曝気制御を行う。即ち、酸素消費速度が所定値以下となる低負荷条件下において曝気強度を規定強度以上とする。このように酸素消費速度を管理指標とする場合の酸素消費速度の演算方法について、図5を用いて説明する。
図5の生物処理装置では、被処理排水(原水)は、配管1を通じて曝気槽2に導入される。曝気槽2内には、生物膜を担持した担体Cが充填されている。曝気槽2内の底部には散気管3a,3b,3cが設置されており、ブロア4から配管5及び分岐配管5a,5b,5cを通じて空気が供給され、曝気が行われる。曝気槽2には天蓋2rが設けられている。
生物膜によって好気的に生物処理された水は、スクリーン6を通り抜け、配管7から処理水として取り出される。
この生物処理装置では、計測手段として、曝気槽2上部かつ天蓋2r下側の気相部ガス中の酸素濃度を測定する排ガス計24と、曝気槽2内のDOを測定するDO計19と、ブロア4から散気管3a~3cへ供給される空気量を測定する風量計20が設けられている。
<ケース1:風量計と排ガス計から酸素消費速度を演算する方法>
曝気風量と排ガス中の酸素濃度を計測し、酸素消費速度qOを次式により直接的に演算する。
Figure 0007347304000002
Figure 0007347304000003
OTE:酸素移動効率[-]
:吹き込み空気中の酸素モル分率[-]
Z:排ガス中の酸素モル分率[-]
qO:酸素消費速度[kg/d]
Gν:標準状態換算の曝気空気の吹き込み流量[Nm/d]
ν:酸素の比容[Nm/kg]
<ケース2:DO計と曝気風量とから酸素消費速度を計算する方法>
曝気風量とDOを計測し、酸素消費速度qOを間接的に推算する。
(i) (制御装置実装前の準備)酸素消費速度の推算に必要な酸素溶解性指標φを次式により算出する。
Figure 0007347304000004
Figure 0007347304000005
OTE:酸素移動効率[-]
:吹き込み空気中の酸素モル分率[-]
Z:排ガス中の酸素モル分率[-]
φ:酸素溶解性指標[m]
ν:酸素の比容[Nm/kg]
h:散気装置の水深[m]
Cs:飽和溶存酸素濃度[kg/m
C:混合液中の溶存酸素濃度[kg/m
(ii) (装置稼働時)酸素消費速度の経時変化を連続計測する。
DO計と曝気風量の連続計測データ、および予め求めた酸素溶解性指標φから酸素消費速度qOを次式により連続推算する。
Figure 0007347304000006
qO:酸素消費速度[kg/d]
Gν:標準状態換算の曝気空気の吹き込み流量[Nm/h]
h:散気装置の水深[m]
Cs:飽和溶存酸素濃度[kg/m
C:混合液中の溶存酸素濃度[kg/m
φ:酸素溶解性指標[m]
[原水負荷又は酸素消費速度と、DO濃度目標値及び/又は曝気強度設定値との相関関係]
原水負荷又は酸素消費速度と、DO濃度目標値及び/または曝気強度設定値との相関関係は、予備実験の結果データ、実機の運転実績データ、生物膜における酸素の拡散性を考慮した機構モデルのシミュレーション結果などを用いて設定される。
この相関関係は、原水負荷とDO目標値および/又は曝気強度設定値の適正値との関数関係を記述した関数式、あるいは、制御表などで整理し利用する。
[制御表を作成するための生物膜機構モデル]
制御表を構築するための1手法として、汚濁物質と酸素を含む流動状態にあるバルク水相に生物膜が接したときの、汚濁物質の減少や生物膜中の活性汚泥菌体量の増減を推定する動力学モデル(以降、生物膜機構モデルと称する場合がある。)を利用することができる。このような動力学モデルは、菌体増殖と汚濁物質の消費・酸素消費が生物膜内で同時に発生する状況、バルク水相中の溶存酸素の生物膜への拡散およびエアレーションにより酸素がバルク水量に溶解する現象も考慮して構築する必要がある。また、生物膜の増加や縮小は、菌体の増殖および死滅に伴った菌体群の体積の増加および減少やバルク水からの菌体の付着およびバルク水への菌体の剥離により発生する。生物膜利用処理に動力学モデルを利用する場合これらの現象を数学モデル化する必要がある。このような現象は本来3次元空間で発生する現象のため、モデル化は複雑なものとなるが、生物膜の増加・縮小を厚さ方向のみの変化を考慮する1次元モデルで表現することでシミュレーションを比較的容易に行うことができる。活性汚泥による排水処理をシミュレーションするための数学モデルとしては、例えばInternational Water AssociationのTask groupが提案している一連の数学モデルが活用できる(下記報文1)。生物膜を対象とした数学モデル例としては、下記報文2などが報告されている。
1. M Henze; IWA. Task Group on Mathematical Modelling for Design andoperaton of Biological Wastewater Treatment; et al
2.Boltz, J. P., Johnson, B.R., Daigger, G.T., Sandino, J., (2009a). “Modeling Integrated Fixed-Film Activated Sludge and Moving Bed Biofilm Reactor Systems I: Mathematical Treatment and Model Development”. Water Environment Research, 81(6), 555-575
前項のような数学モデルを利用することで、例えば流動床担体の数学モデルを構築することができる。一般にこのような数学モデルは連立常微分方程式の形式で記述されることが多く、連立常微分方程式の数値積分ソフトウエアを利用して同プロセスの動的な挙動をシミュレーションすることができる。例えば、特定の装置構成、負荷想定、曝気強度により変化するバルク水相のDOの条件に応じた処理水質の予想を行うことが可能である。
前項のような数学モデルを利用することで、様々な負荷条件に対して、様々な曝気強度で処理を行った際の、例えば処理水のTOC濃度を予想することができる。シミュレーション結果を整理した表を作成し、本発明の制御システムで利用する制御表に活用できる。
[曝気強度の制御]
本特許実装の一様態として、高負荷時には一般的なDO制御を行い、低負荷時には弱曝気と強曝気を交互に繰り返すいわゆる間欠曝気を組み合わせた事例を説明する。本事例の間欠曝気では、一定の時間サイクル毎に、所定時間必要最低限の一定風量で曝気風量を抑制もしくは曝気停止を行う弱曝気工程と、残りの時間DO制御を行う強曝気工程とを繰り返す。曝気停止時間はいわゆる間欠曝気における一定の時間サイクルの内曝気を停止する時間を示す。曝気抑制時間とは、強曝気と弱曝気を交互に繰り返す運転における弱曝気の時間である。本事例の間欠曝気の説明では、弱曝気工程と強曝気工程から構成される制御サイクルの合計工程時間をサイクル時間と称し、弱曝気工程の工程時間を弱曝気工程時間、強気工程の工程時間を強曝気工程時間と称する。弱曝気工程の時間および強曝気工程におけるDO目標値は、原水負荷に応じて連続的又は段階的に制御する。強曝気工程時間はサイクル時間から弱曝気工程時間を引いた時間として自動的に決定される。また、弱曝気工程時間を調整する場合の最長時間を最長弱曝気工程時間と称する。
DO目標値、弱曝気工程時間は、原水負荷に応じて連続的又は段階的に制御する。
〔コスト対比〕
本発明では、生物膜保持量低減処理を現時点で行う場合と、現時点では行わず、その後所定期間f経過後に行う場合とについて、電力コスト及び生物膜保持量低減処理コストを対比する。
[所定期間]
所定期間fは、任意に設定できるが、通常は1カ月~36カ月、特に12カ月~24カ月の間から選定されることが好ましい。
[生物膜保持量低減処理を行わない場合の電力費用(コスト)Aの算定]
現時点で生物膜保持量低減処理を行わない場合の電力使用量予測を行うには、現時点と、現時点から規定時間遡った過去との間の規定期間における電力消費実績に基づいて単位時間当りの電力消費量H(該規定期間における平均実績値)を求める。
現時点からその後の所定期間fの間の電力消費量を予測する第1の予測方法は、所定期間fの間中、単位時間当りの電力消費量はそれまでと同じHで推移するとみなすものである。この場合、所定期間fの累計電力消費量はH・fとして算出され、これに電力単価aを乗じたH・f・aが所定期間fにおける電力費用Aとなる。
第2の予測方法は、所定期間fの間中、単位時間当りの電力消費量は予め設定した逓増パターンに従って逓増するとみなすものである。
この逓増パターンは、数式モデルであってもよく、生物処理装置の運転実績から求めた平均増加率にて単位時間当りの電力消費量が増加するパターンであってもよい。
いずれの逓増パターンの場合であっても、所定期間fにおける累計電力所定期間に電力単価aを乗算することにより、所定期間fにおける電力費用Aが算出される。
[生物膜保持量低減処理を行った場合の電力費用(コスト)Bの算定]
生物膜保持量低減処理を行うと、生物膜の酸素拡散性が向上するので、曝気量を少なくしてもTOCを良好に処理することができる。曝気量を減少させることにより、ブロア電力消費量が減少する。
電力消費量がどの程度減少するかは、生物膜保持量低減処理により上記制御表が何段階上のものにシフトするかに依存する。そこで、生物処理装置の運転実績から、制御表が生物膜保持量低減処理により何段階シフトするかを求めておくのが好ましい。
例えば、生物膜保持量低減処理により制御表が上位の表にシフトする場合、シフト後の制御表に従って制御したときの単位時間当りの平均電力消費量と、シフト前の制御表に従って制御したときの単位時間当りの平均電力消費量との比αを実績データから求めるか、又は予想値として設定しておく。そして、このαを上記金額Aに乗算することにより(すなわちB=α・Aとして)、Bを算出することができる。
[生物膜保持量低減処理費用C]
生物膜保持量低減処理費用Cには、処理作業で使用する部材の単価データ、処理作業の労務費データ、ポンプの動力費用、強曝気時のブロワの増強分の動力費用などが含まれる。
これらのデータは実績データから分かるが、初期には各費用の予測値の合計として設定しておけばよい。
[費用Aと費用(B+C)との対比]
費用(B+C)が費用Aよりも低い場合に生物膜保持量低減処理が好適と判断し、この処理を行う。なお、費用(B+C)が費用Aよりも予め設定した規定金額以上低い場合に、生物膜保持量低減処理が好適と判断し、この処理を行うようにしてもよい。
制御器21がこの対比を行い、生物膜保持量低減処理開始信号をポンプ11及び撹拌機13や強曝気用ブロア17等の生物膜保持量低減処理装置に作動信号を与えるようにしてもよく、別途設置したコスト比較回路が生物膜保持量低減処理開始信号を出力してもよく、作業員が比較結果に基づいて生物膜保持量低減処理操作を実行させてもよい。
コストAと(B+C)の算出及び対比は、連続的に行ってもよく、間欠的に行ってもよく、算出・対比指令信号が与えられたときに行ってもよい。
[流動床以外の生物処理]
図1では、流動床担体を用いた生物処理について説明したが、固定床担体やグラニュールを用いる場合も同様の手法で本発明を実施することができる。
本実施形態では、有機物を含む排水を、曝気を伴う好気性生物膜処理により処理するときに用いることを説明したが、他にも生物膜を用いた生物学的硝化脱窒処理など、曝気槽にて生物膜を用いた好気処理工程を含む生物処理を行う場合にも同じ手法で本発明を実施することができる。
[実施例1]
図1に示す、下記構成条件を有した流動床担体の好気性生物処理装置を用いる場合について上記費用を対比する。なお、所定期間fは1年間とする。
曝気槽の容量:2000m、水深5m、底面積400m
担体の充填率:50%
担体充填容積:反応槽容積2000m×担体充填率50%=1000m
平均TOC負荷:1000kgC/比
TOC担体容積負荷
=TOC負荷1000[kgC/日]÷担体充填容積1000[m
=1.0[kgC/(m・d)]
使用する制御表:下記の表2,3
表2は、現状の制御システムの設定から直接的に抽出した運転条件に基づいて作成した制御テーブルである。
表3は、生物膜保持量低減処理により生物膜保持量が低減されて酸素拡散の性能指標が高い状況、すなわち生物処理性能の良い状況を想定した制御表である。
生物膜保持量低減処理を行うことによって、底面積あたりの風量は、担体容積負荷1.0kgC/(m・d)において、風量が20.0m/(m・h)から14.0m/(m・h)に大幅に削減される。
Figure 0007347304000007
Figure 0007347304000008
風量1N-mあたりの電力消費を0.017[kWh/風量m]とし、原水負荷が向こう1年間一定であると仮定すると、表4の通り、現時点で生物膜保持量低減処理を行った場合、年間消費電力は、生物膜保持量低減処理を1年間行わない場合に比べて、1.19GWh/年から0.83GWh/年に削減される。
Figure 0007347304000009
生物膜保持量低減処理を行わなかった場合と生物膜保持量低減処理を行ったときのトータル費用はそれぞれ次の通りである。
A=[生物膜保持量低減処理を行わない場合の年間電力費用]
=1.19GWh/年×電力単価
B=[生物膜保持量低減処理した場合の年間電力費用]
=0.83GWh/年×電力単価
C=[生物膜保持量低減処理費用]
B+C= 0.83GWh/年×電力単価+[生物膜保持量低減処理費用]
このようにして算出したトータル費用を比較することにより、生物膜保持量低減処理を行った場合のコストメリットを知ることができ、生物膜保持量低減処理を実施することがコストメリット面から好適と判断できた。
2 曝気槽
3,3a,3b,3c 散気管
4,17 ブロア
12 撹拌水槽
13 撹拌機
15 選別装置

Claims (11)

  1. 原水を曝気槽に供給し、曝気槽に充填された生物膜保持担体またはグラニュールにより原水中の除去対象物質を好気性生物膜処理する方法において、
    生物膜保持量低減処理を行わない場合における、その後の所定期間内の曝気電力費用Aを算出し、
    生物膜保持量低減処理を行った場合における、その後の所定期間内の曝気電力費用Bと生物膜保持量低減処理費用Cとの合計費用(B+C)を算出し、
    (B+C)とAとを比較し、(B+C)がAよりも小さいならば前記生物膜保持量低減処理を好適とする判定を行うことを特徴とする好気性生物膜処理方法。
  2. 前記A,(B+C)の算出及び比較を定期的に又は実行指令が与えられたときに行う請求項1の好気性生物膜処理方法。
  3. 前記(B+C)がAよりも所定金額以上小さいときに前記生物膜保持量低減処理を好適とする判定を行う請求項1又は2の好気性生物膜処理方法。
  4. 前記生物膜保持量低減処理費用は、前記担体の生物膜保持量低減処理又はグラニュールの部分解体処理の操作を行う費用と、該操作により生じた排出汚泥を処理する費用とを含む請求項1~3のいずれかの好気性生物膜処理方法。
  5. 前記コストの算定時前の規定期間における曝気電力消費量から単位時間の電力消費量Hを求め、
    該算定時以降は、予め設定した逓増パターンに従って単位時間電力消費量が逓増するものとし、
    この逓増した単位時間電力消費量H’と、前記所定期間と、電力単価との積とによって前記曝気電力コストAを算出し、
    該単位時間電力消費量H’に、予め設定した規定比率α(ただしα<1)を乗じたα・H’を、生物膜保持量低減処理を行った後の単位時間電力消費量とみなして、α・Aを前記曝気電力コストBとする、請求項1~4のいずれかの好気性生物膜処理方法。
  6. 前記曝気槽内のDOの目標値及び/又は曝気強度設定値から曝気動力にかかる電力使用量を算出する数式モデルと、
    電力使用量に対応する単価データと、
    原水負荷または酸素消費速度と、DOの目標値及び/または曝気強度設定値と、の相関関係を、酸素透過性の良否に関係づけて決定した2つ以上の相関関係グループと
    を設定しておき、
    原水負荷または酸素消費速度の計測値(別の測定項目の実測値から算出したものを含む)の変動に応じて、前記相関関係の1つに基づいて、該計測値に対応するDOの目標値及び/または曝気強度設定値を調整して曝気制御を行う請求項1~5のいずれかの好気性生物膜処理方法。
  7. 選定した前記相関関係のDOの目標値あるいはその実測値、及び/又は曝気強度設定値あるいはその実測値から、現状の単位期間当たりの曝気動力にかかる電力使用量の算出値を求め、
    今後の前記所定期間の曝気動力が該算出値で一定であるとするか、曝気動力の経時的な上昇を予測する数式モデルによって今後の曝気動力の予測値を求め、
    該算出値または予測値と、電力使用量の単価データとに基づいて、前記電力費用Aを算出し、
    使用していた前記相関関係よりも相対的に酸素透過性の良い相関関係を相関関係グループから選定し、この相関関係における曝気作用に基づいて今後の前記所定期間の前記費用Bを算出する請求項6の好気性生物膜処理方法。
  8. 前記生物膜保持量低減処理を、回転撹拌羽根又は逆洗による強撹拌、強曝気、高流速循環、及び槽内水の破砕ポンプへの通水のいずれか1又は2以上により行う請求項1~7のいずれかの好気性生物膜処理方法。
  9. 前記生物膜保持量低減処理費用Cを定数として設定しておく請求項1~8のいずれかの好気性生物膜処理方法。
  10. 前記費用Aが前記費用(B+C)よりも小さい場合、費用Aと費用(B+C)とが等しくなるまでの期間を求める請求項1~9のいずれかの好気性生物膜処理方法。
  11. 原水が供給される曝気槽と、該曝気槽に充填された生物膜保持担体またはグラニュールと、該曝気槽を曝気する曝気装置とを有する好気性生物膜処理装置において、
    生物膜保持量低減処理を行わない場合における、その後の所定期間内の曝気電力費用Aを算出する手段と、
    生物膜保持量低減処理を行った場合における、その後の所定期間内の曝気電力費用Bと生物膜保持量低減処理費用Cとの合計費用(B+C)を算出する手段と、
    (B+C)とAとを比較し、(B+C)がAよりも小さいならば前記生物膜保持量低減処理を好適とする判定を行う手段と
    を有することを特徴とする好気性生物膜処理装置。
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