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JP7631809B2 - 金属ベース基板 - Google Patents
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Description

本発明は、金属ベース基板に関する。
半導体素子やLEDなどの電子部品を実装するための基板の一つとして、金属ベース基板が知られている。金属ベース基板は、金属基板と、絶縁層と、回路層とがこの順で積層された積層体である。絶縁層は、一般に、絶縁性や耐電圧性に優れる樹脂と、熱伝導性に優れる無機物フィラーとを含む絶縁性組成物から形成されている。電子部品は、回路層の上に、はんだを介して実装される。このような構成とされた金属ベース基板では、電子部品にて発生した熱は、絶縁層を介して金属基板に伝達され、金属基板から外部に放熱される。
金属ベース基板では、金属ベース基板と、その金属ベース基板にはんだを介して接合された電子部品との熱膨張率の差が大きいと、電子部品のオン/オフや外部環境による冷熱サイクルによって、電子部品と金属ベース基板とを接合しているはんだに付与される応力が大きくなり、はんだクラックが発生することがある。このため、金属ベース基板の絶縁層の弾性率を低くして、金属ベース基板の金属基板と電子部品の熱膨張率の差を、絶縁層で緩和させることが検討されている(特許文献1、2)。
特開平11-87866号公報 特開2016-111171号公報
電子部品を実装したときの冷熱サイクルによるはんだクラックの発生を抑制し、冷熱サイクルに対する信頼性を向上させるために、金属ベース基板の絶縁層の弾性率を低くして、絶縁層を変形しやすくすることにより、金属ベースの膨張による熱応力を緩和することは有効である。しかしながら、回路層の膨張によるはんだへの応力も存在しているため、金属ベース基板の絶縁層の弾性率を低くすることだけでは、冷熱サイクルに対する信頼性を向上させるのは限界がある。また、絶縁層の弾性率を過度に低くすると、絶縁層による回路層の拘束力が低下することによって、冷熱サイクルに対する信頼性が低下することがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、電子部品を実装したときの冷熱サイクルに対する信頼性に優れる金属ベース基板を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の金属ベース基板は、金属基板と、少なくとも1層の絶縁層と、回路層とがこの順で積層された金属ベース基板であって、前記絶縁層は、絶縁樹脂と無機物フィラーとを含み、前記無機物フィラーは平均粒子径が0.1μm以上20μm以下の範囲内にあり、下記の式(1)で定義されるEが、3.10×10以下であることを特徴としている。
Figure 0007631809000001
ただし、式(1)において、Sは、下記の式(2)より算出される数を表す。
Figure 0007631809000002
ただし、式(2)において、fは、3.14であり、fは、-3.25であり、Rは、下記の式(3-0)より算出される値を表し、Rは、下記の式(3-1)より算出される値を表す。
Figure 0007631809000003
ただし、式(3-0)及び式(3-1)において、dは-0.423であり、dは、-2.03であり、dは、0.804であり、eは5.23であり、eは、4.30であり、eは、-4.40であり、Qは、下記の式(4-0)より算出される値を表し、Qは、下記の式(4-1)より算出される値を表し、Qは、下記の式(4-2)より算出される値を表す。
Figure 0007631809000004
ただし、式(4-0)、式(4-1)及び式(4-2)において、aは、7.53であり、aは、3.09であり、aは、0.308であり、aは、-0.137であり、aは、0.0342であり、aは、0.451であり、bは、0.839であり、bは、-0.127であり、bは、0.0380であり、bは、-2.78であり、bは、-0.828であり、bは、-0.762であり、cは、-3.64であり、cは、6.98であり、cは、0.319であり、cは、-0.451であり、cは、-0.776であり、cは、0.189である。Pは、下記の式(5-0)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-1)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-2)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-3)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-4)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-5)より算出される値を表す。
Figure 0007631809000005
ただし、式(5-0)、式(5-1)、式(5-2)、式(5-3)、式(5-4)及び式(5-5)において、Kresinは、絶縁層の100℃における弾性率(単位:GPa)を表し、Kelectrodeは、回路層の100℃における弾性率(単位:GPa)を表し、Kbaseは、金属基板の100℃における弾性率(単位:GPa)を表し、Tresinは、絶縁層の厚み(単位:μm)を表し、Telectrodeは回路層の厚み(単位:μm)を表し、Tbaseは、金属基板の厚み(単位:μm)を表し、CTEbaseは、金属基板の100℃における熱膨張係数(単位:ppm)を表す。
本発明の金属ベース基板によれば、前記の式(1)によって算出されるEの値は、金属ベース基板にはんだを用いて半導体素子やLEDなどの電子部品を実装した際に、冷熱サイクル中にはんだに付与されるミーゼス応力と高い相関を有し、Eの値が3.10×10以下であるので、冷熱サイクルを付与したときに生じるはんだに付与されるミーゼス応力が小さくなる。また、絶縁層の弾性率を過度に低くする必要がないので、絶縁層による回路層の拘束力が低下しない。よって、本発明の金属ベース基板は、電子部品を実装したときの冷熱サイクルに対する信頼性に優れる。
ここで、本発明の金属ベース基板において、前記絶縁層は、100℃における弾性率(単位:GPa)に対する厚み(単位:μm)の比が10以上である構成とされていてもよい。
この場合、絶縁層の厚み/弾性率が10以上と大きいので、絶縁層が変形しやすくなり、冷熱サイクルによる金属基板と電子部品の熱膨張率の差を、絶縁層で緩和させやすくなる。よって、この金属ベース基板は、電子部品を実装したときの冷熱サイクルに対する信頼性がより向上する。
また、本発明の金属ベース基板において、前記絶縁層は、互いに100℃における弾性率が異なる2層以上の積層体である構成とされていてもよい。
この場合、絶縁層が2層であるので、それぞれ耐電圧が高い絶縁層と柔軟性が高い絶縁層とに分けることによって、熱抵抗を小さく抑えながら、耐電圧と信頼性の両方を向上させることが可能となる。
本発明によれば、電子部品を実装したときの冷熱サイクルに対する信頼性に優れる金属ベース基板を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る金属ベース基板の概略断面図である。 ミーゼス応力のシミュレーション値の計算に用いた接合構造体を模式的に示す断面図である。 図2に示す接合構造体の平面図である。 実施例で算出したE値とミーゼス応力のシミュレーション値との関係を示すグラフである。
以下に、本発明の一実施形態について添付した図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る金属ベース基板の概略断面図である。
図1において、金属ベース基板10は、金属基板20と、絶縁層30と、回路層40とがこの順で積層された積層体である。金属ベース基板10の回路層40の上には、はんだ50を介して、電子部品60の電極端子61が接続されている。
金属基板20は、金属ベース基板10のベースとなる部材である。金属基板20は、銅基板もしくはアルミニウム基板である。銅基板は、銅または銅合金からなる。アルミニウム基板は、アルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる。
絶縁層30は、金属基板20と回路層40とを絶縁するための層である。絶縁層30は、絶縁樹脂31と無機物フィラー32とを含む絶縁性樹脂組成物から形成されている。絶縁層30を、絶縁性が高い絶縁樹脂31と、熱伝導度が高い無機物フィラー32とを含む絶縁性樹脂組成物から形成することによって、絶縁性を維持しつつ、回路層40から金属基板20までの金属ベース基板10全体の熱抵抗をより低減させることができる。絶縁層30は、1層のみからなる単層体であってもよいし、2層以上を積層させた積層体であってもよい。絶縁層30は、単層体もしくは2層の積層体であることが好ましい。
絶縁樹脂31は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、またはこれらの混合物を含むことが好ましい。これらの樹脂は、絶縁性、耐電圧性、化学的耐性及び機械特性などの特性に優れるので、金属ベース基板10のこれらの特性が向上する。
無機物フィラー32は、平均粒子径が0.1μm以上20μm以下の範囲内にあることが好ましい。無機物フィラー32の平均粒子径が0.1μm以上であることによって、絶縁層30の熱伝導性が向上する。無機物フィラー32の平均粒子径が20μm以下であることによって、絶縁層30の耐電圧性が向上する。また、無機物フィラー32の平均粒子径が上記の範囲内にあると、無機物フィラー32が凝集粒子を形成しにくく、絶縁樹脂31中に無機物フィラー32を均一に分散させやすくなる。無機物フィラー32が凝集粒子を形成せずに、一次粒子もしくはそれに近い微細な粒子として絶縁樹脂31に分散していると、絶縁層30の耐電圧性が向上する。絶縁層30の熱伝導性を向上させる観点では、無機物フィラー32の平均粒子径は0.3μm以上20μm以下の範囲内にあることが好ましい。
絶縁層30の無機物フィラー32の含有量は、50体積%以上85体積%以下の範囲内にあることが好ましい。無機物フィラー32の含有量が50体積%以上であることによって、絶縁層30の熱伝導性が向上する。一方、無機物フィラー32の含有量が85体積%以下であることによって、絶縁層30の耐電圧性が向上する。また、無機物フィラー32の含有量が上記の範囲内にあると、絶縁樹脂31中に無機物フィラー32を均一に分散させやすくなる。無機物フィラー32が均一に絶縁樹脂31に分散していると、絶縁層30の機械的強度が向上する。絶縁層30の熱伝導性を向上させる観点では、無機物フィラー32の含有量は、50体積%以上80体積%以下の範囲内にあることが特に好ましい。
無機物フィラー32としては、アルミナ(Al)粒子、アルミナ水和物粒子、窒化アルミニウム(AlN)粒子、シリカ(SiO)粒子、炭化珪素(SiC)粒子、酸化チタン(TiO)粒子、窒化硼素(BN)粒子などを用いることができる。これらのフィラーの中では、アルミナ粒子が好ましい。アルミナ粒子は、α-アルミナ粒子であることがより好ましい。α-アルミナ粒子は、真密度に対するタップ密度の比(タップ密度/真密度)が0.1以上であることが好ましい。タップ密度/真密度は、絶縁層30中でのα-アルミナ粒子の充填密度と相関し、タップ密度/真密度が高いと、絶縁層30中でのα-アルミナ粒子の充填密度を高くすることができる。絶縁層30中でのα-アルミナ粒子の充填密度が高くなると、絶縁層30中でのα-アルミナ粒子の間隔が狭くなり、絶縁層30にボイド(気孔)が発生しにくくなる。タップ密度/真密度は、0.2以上0.9以下の範囲内にあることが好ましい。また、α-アルミナは、多結晶粒子であってもよいが、単結晶粒子であることが特に好ましい。
絶縁層30は、100℃における弾性率(単位:GPa)に対する厚み(単位:μm)の比(厚み/弾性率)が10以上であることが好ましい。絶縁層30の厚み/弾性率は、10以上200000以下の範囲内にあることが好ましく、20以上20000以下の範囲内にあることがより好ましく、50以上200以下の範囲内にあることがより好ましい。絶縁層30の100℃における弾性率は、0.001GPa以上20GPa以下の範囲内にあることが好ましい。また、絶縁層30の厚みは、10μm以上200μm以下の範囲内にあることが好ましい。
回路層40は、回路パターン状に形成される。その回路パターン状に形成された回路層40の上に、電子部品60の電極端子61がはんだ50等を介して接合される。回路層40の材料としては、銅、アルミニウム、金などの金属を用いることができる。回路層40は銅箔からなることが好ましい。回路層40は、弾性率が30GPa以上200GPa以下の範囲にあることが好ましい。また、回路層40は、厚みが2μm以上200μm以下の範囲にあることが好ましい。
本実施形態の金属ベース基板10は、下記の式(1)で定義されるEが、3.10×10以下とされている。
Figure 0007631809000006
ただし、式(1)において、Sは、下記の式(2)より算出される数を表す。
Figure 0007631809000007
ただし、式(2)において、fは、3.14であり、fは、-3.25である。Rは、下記の式(3-0)より算出される値を表し、Rは、下記の式(3-1)より算出される値を表す。
Figure 0007631809000008
ただし、式(3-0)及び式(3-1)において、dは-0.423であり、dは、-2.03であり、dは、0.804であり、eは5.23であり、eは、4.30であり、eは、-4.40である。Qは、下記の式(4-0)より算出される値を表し、Qは、下記の式(4-1)より算出される値を表し、Qは、下記の式(4-2)より算出される値を表す。
Figure 0007631809000009
ただし、式(4-0)、式(4-1)及び式(4-2)において、aは、7.53であり、aは、3.09であり、aは、0.308であり、aは、-0.137であり、aは、0.0342であり、aは、0.451であり、bは、0.839であり、bは、-0.127であり、bは、0.0380であり、bは、-2.78であり、bは、-0.828であり、bは、-0.762であり、cは、-3.64であり、cは、6.98であり、cは、0.319であり、cは、-0.451であり、cは、-0.776であり、cは、0.189であり、Pは、下記の式(5-0)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-1)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-2)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-3)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-4)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-5)より算出される値を表す。
Figure 0007631809000010
ただし、式(5-0)、式(5-1)、式(5-2)、式(5-3)、式(5-4)及び式(5-5)において、Kresinは、絶縁層30の100℃における弾性率(単位:GPa)を表し、Kelectrodeは、回路層40の100℃における弾性率(単位:GPa)を表し、Kbaseは、金属基板20の100℃における弾性率(単位:GPa)を表し、Tresinは、絶縁層30の厚み(単位:μm)を表し、Telectrodeは回路層40の厚み(単位:μm)を表し、Tbaseは、金属基板20の厚み(単位:μm)、金属基板20の100℃における熱膨張係数(単位:ppm)を表す。なお、上記の式は、絶縁層30の100℃における弾性率(単位:GPa)、回路層40の100℃における弾性率(単位:GPa)、金属基板20の100℃における弾性率(単位:GPa)、絶縁層30の厚み(単位:μm)、回路層40の厚み(単位:μm)、金属基板20の厚み(単位:μm)、金属基板20の100℃における熱膨張係数(単位:ppm)を入力変数とし、ミーゼス応力値を目的関数とした機械学習により求めることができる。
Eの値は、金属ベース基板10にはんだ50を用いて電子部品60を実装した際に、冷熱サイクル中にはんだ50に付与されるミーゼス応力と高い相関を有する。金属ベース基板10は、Eの値が3.10×10以下とされているので、冷熱サイクル中にはんだ50に付与されるミーゼス応力は3.10×10Pa以下に抑えられる。このため、冷熱サイクルを付与したときに、はんだ50にクラックが生じにくくなる。また、絶縁層30の弾性率を過度に低くする必要がないので、絶縁層30による回路層40の拘束力が低下しにくくなる。このため、回路層40からはんだ50に付与される応力を抑制することができる。Eの値は、2.30×10以下であることが好ましい。また、Eの値は、0.50×10以上であってもよい。
金属ベース基板10のEの値は、例えば、次のようにして算出することできる。
先ず、絶縁層30の100℃における弾性率(Kresin)、回路層40の100℃における弾性率(Kelectrode)、金属基板20の100℃における弾性率(Kbase)、金属基板20の100℃における熱膨張係数(CTEbase)、絶縁層30の厚み(Tresin)、回路層40の厚み(Telectrode)、金属基板20の厚み(Tbase)を測定する。
絶縁層30の100℃における弾性率は、例えば、次のようにして測定することができる。金属ベース基板10の金属基板20と回路層40をエッチングによって除去し、絶縁層30を単離する。得られた絶縁層30について、動的粘弾性測定(DMA)によって弾性率(引張弾性率)を測定する。
回路層40の100℃における弾性率は、共振法(装置:日本テクノプラス株式会社製TE-RTなど)によって測定することができる。金属基板20の100℃における弾性率(引張弾性率)は、引張試験(JIS Z2241:2011 金属材料引張試験方法)によって測定することができる。金属基板20の100℃における熱膨張係数は、熱機械分析装置(TMA)によって測定することができる。
金属ベース基板10の金属基板20、絶縁層30及び回路層40の厚みは、例えば、次のようにして測定することができる。金属ベース基板10を樹脂埋めし、機械研磨によって断面を露出させる。次いで、露出した金属ベース基板10の断面を、光学顕微鏡を用いて観察して、金属基板20、絶縁層30及び回路層40の厚みを測定する。
次に、得られたKresin、Kelectrode、Kbase、CTEbase、Tresin、Telectrode、Tbaseを、上記の式(5-0)~式(5-5)に代入して、P~Pを算出する。
絶縁層30が2層以上の積層体の場合、式(5-0)におけるΣTresin/Kresinは、各絶縁層30のTresin/Kresinの合計である。
次に、得られたP~Pを、上記の式(4-0)~式(4-2)に代入して、Q~Qを算出する。次に、得られたQ~Qを、上記の式(3-0)~式(3-1)に代入して、R~Rを算出する。次に、得られたR~Rを、上記の式(2)に代入して、Sを算出する。そして、得られたSを、上記の式(1)に代入して、Eを算出する。
本実施形態の金属ベース基板10に実装される電子部品60の例としては、特に制限はなく、半導体素子、抵抗、キャパシタ、水晶発振器などが挙げられる。半導体素子の例としては、MOSFET(Metal-oxide-semiconductor field effect transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、LSI(Large Scale Integration)、LED(発光ダイオード)、LEDチップ、LED-CSP(LED-Chip Size Package)が挙げられる。
以下に、本実施形態に係る金属ベース基板10の製造方法について説明する。
本実施形態に係る金属ベース基板10は、例えば、設計工程と、絶縁層形成工程と、回路層圧着工程とを含む方法によって製造することができる。
設計工程では、金属基板20の材料と厚み、絶縁層30の材料と厚み、回路層40の材料と厚みを設定する。
最初に、金属基板20の材料と厚み、絶縁層30の材料と厚み、回路層40の材料と厚みを仮設定する。金属基板20の材料と厚みは、例えば、金属ベース基板10に要求される放熱性やサイズなどに基づいて仮設定される。絶縁層30の材料と厚みは、例えば、金属ベース基板10に要求される絶縁性、耐電圧性に基づいて仮設定される。回路層40の材料と厚みは、例えば、金属ベース基板10に実装される電子部品60の電気特性に基づいて仮設定される。
次に、仮設定した金属基板20の100℃における弾性率(Kbase)と100℃における熱膨張係数(CTEbase)と厚み(Tbase)、絶縁層30の100℃における弾性率(Kresin)と厚み(Tresin)、回路層40の100℃における弾性率(Kelectrode)と厚み(Telectrode)を用いて、Eを算出する。得られたEの値が3.10×10を超えた場合は、金属基板20の材料と厚み、絶縁層30の材料と厚み、回路層40の材料と厚みを再度仮設定する。Eの値が3.10×10以下となった場合は、その金属基板20の材料と厚み、絶縁層30の材料と厚み、回路層40の材料と厚みで金属ベース基板10を製造する。
絶縁層形成工程では、金属基板20の上に絶縁層30を形成して、絶縁層付き金属基板を得る。絶縁層30の形成方法としては、塗布法または電着法を用いることができる。
塗布法は、溶媒と絶縁樹脂と無機物フィラーとを含む塗布液を、金属基板20の上に塗布して塗布層を形成し、次いで塗布層を加熱して絶縁層30を得る方法である。塗布液は、絶縁樹脂が溶解した樹脂材料溶液と、その樹脂材料溶液に分散されている無機物フィラーとを含む無機物フィラー分散樹脂材料溶液を用いることができる。塗布液を基板の表面に塗布する方法としては、スピンコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ディップコート法などを用いることができる。
電着法は、絶縁樹脂粒子と無機物フィラーとを含む電着液に金属基板20を浸漬して、基板の表面に絶縁樹脂粒子と無機物フィラーを電着させて電着膜を形成し、次いで得られた電着膜を加熱して絶縁層30を形成する方法である。電着液としては、絶縁樹脂溶液と、その絶縁樹脂溶液に分散されている無機物フィラーとを含む無機物フィラー分散絶縁樹脂溶液に、絶縁樹脂材料の貧溶媒を加えて絶縁樹脂を粒子として析出させることによって調製したものを用いることができる。
回路層圧着工程では、絶縁層付き金属基板の絶縁層30の上に金属箔を積層し、得られた積層体を加熱しながら加圧することによって回路層40を形成して、金属ベース基板10を得る。積層体の加熱温度は、例えば、200℃以上であり、250℃以上であることがより好ましい。加熱温度の上限は、絶縁樹脂の熱分解温度未満であり、好ましくは熱分温度よりも30℃低い温度以下である。圧着時に加える圧力は、例えば、1MPa以上30MPa以下の範囲内であり、3MPa以上25MPa以下の範囲内であることがより好ましい。圧着時間は、加熱温度や圧力によって異なるが、一般に60分間以上180分間以下である。
以上のような構成とされた本実施形態の金属ベース基板10によれば、前記の式(1)によって算出されるEの値は、金属ベース基板10にはんだ50を用いて電子部品60を実装した際に、冷熱サイクル中にはんだに付与されるミーゼス応力と高い相関を有し、Eの値が3.10×10以下であるので、冷熱サイクルを付与したときに生じるはんだ50に付与されるミーゼス応力が小さくなる。また、絶縁層30の弾性率を過度に低くする必要がないので、絶縁層30による回路層40の拘束力が低下しない。よって、本実施形態の金属ベース基板10は、電子部品60を実装したときの冷熱サイクルに対する信頼性に優れる。
本実施形態の金属ベース基板10において、絶縁層30の100℃における弾性率(単位:GPa)に対する厚み(単位:μm)の比(厚み/弾性率)が10以上と大きい場合は、絶縁層30が変形しやすくなり、冷熱サイクルによる金属基板20と電子部品60の熱膨張率の差を、絶縁層30で緩和させやすくなる。よって、この金属ベース基板10は、電子部品60を実装したときの冷熱サイクルに対する信頼性がより向上する。また、本実施形態の金属ベース基板10において、絶縁層30が、互いに100℃における弾性率が異なる2層以上の積層体である構成とされている場合は、絶縁層30をそれぞれ耐電圧が高い絶縁層と柔軟性が高い絶縁層とに分けることによって、熱抵抗を小さく抑えながら、耐電圧と信頼性の両方を向上させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
[本発明例1~88、比較例1~9]
金属基板の厚みと100℃における弾性率と100℃における熱膨張係数100℃、絶縁層の厚みと100℃における弾性率、回路層の厚みと100℃における弾性率がそれぞれ下記の表1~4に示す値である金属ベース基板を仮定した。仮定した金属ベース基板について、上記の式(1)のEを算出した。その結果を、表1~4に示す。
仮定した金属ベース基板に、はんだを介して電子部品を実装したときのはんだに付与されるミーゼス応力のシミュレーション値を算出した。図2及び図3に、ミーゼス応力のシミュレーション値の計算に用いた接合構造体の模式図を示す。図2は、接合構造体の断面図であり、図3は、図2に示す接合構造体の平面図である。図2及び図3に示すように、接合構造体1Sは、金属ベース基板10Sと、金属ベース基板10Sの角部に接合された電子部品60Sとを含む。金属ベース基板10Sは、金属基板20S、絶縁層30Sと、銅箔40Sとがこの順で積層された積層体である。銅箔40Sは絶縁層30Sの上に全体に形成されている。電子部品60Sは、AIN(窒化アルミニウム)部材62Sと端子S61を備える。電子部品60Sは、LEDチップとした。電子部品60Sと金属ベース基板10Sの銅箔40Sとは、はんだ50Sを介して接続されている。この接合構造体1Sのはんだ50Sに付与されるミーゼス応力のシミュレーション値を算出した。ミーゼス応力のシミュレーション値はLISA(Sonnenhof Holdings)を用いて計算した。接合構造体1Sの各部材の特性は、下記の通りとした。下記の熱膨張係数、弾性率及びポアソン比はすべて100℃における値とした。その結果を表1~4に示す。
(1)金属基板20S
銅基板
熱膨張係数:18ppm、弾性率:117GPa、ポアソン比:0.343
アルミニウム基板
熱膨張係数:24ppm、弾性率:72GPa、ポアソン比:0.343
(2)絶縁層30S
熱膨張係数:1.0×10-5、ポアソン比:0.343
(3)銅箔40S
熱膨張係数:1.8×10-5、ポアソン比:0.343
(4)はんだ50S
熱膨張係数:2.0×10-5、ポアソン比:0.38、弾性率:30GPa
(5)AIN(窒化アルミニウム)部材62S
熱膨張係数:0.3×10-5、ポアソン比:0.3、弾性率:170GPa
(6)被接合部材70S(LEDチップ)
熱膨張係数:0.7×10-5、ポアソン比:0.25、弾性率:470GPa
Figure 0007631809000011
Figure 0007631809000012
Figure 0007631809000013
Figure 0007631809000014
E値と、ミーゼス応力のシミュレーション値との関係を、図4に示す。図4において、横軸はE値を表し、縦軸はミーゼス応力のシミュレーション値を示す。E値とミーゼス応力のシミュレーション値の回帰直線は、y=0.9998xであり、決定係数(R2)は、0.9927であった。この結果から、E値とミーゼス応力のシミュレーション値とは高い相関と再現性を示すことがわかる。
[本発明例3]
(アルミナ粒子分散ポリイミド溶液の調製)
弾性率が1GPaのポリイミド樹脂とNMP(N-メチル-2-ピロリドン)とを混合し、ポリイミド樹脂を溶解させることによって、ポリイミド樹脂濃度が10質量%のポリイミド樹脂溶液を調製した。また、アルミナ粉末(平均粒子径:0.3μm)とNMPとを混合し、30分間超音波処理を行なうことによって、α-アルミナ粒子濃度が10質量%のα-アルミナ粒子分散液を調製した。ポリイミド樹脂溶液とアルミナ粒子分散液とを、アルミナ濃度が70体積%となる割合で混合した。得られた混合物を、株式会社スギノマシン社製スターバーストを用い、圧力50MPaの高圧噴射処理を10回繰り返すことにより分散処理を行なって、アルミナ粒子分散ポリイミド樹脂溶液を調製した。なお、アルミナ濃度は、アルミナ粒子分散ポリイミド樹脂溶液を加熱して乾燥したときに生成する固形物中のアルミナ粒子の含有量である。
(ポリイミド樹脂溶液の調製)
弾性率が0.27GPaのポリイミド樹脂とNMPとを混合し、ポリイミド樹脂を溶解させることによって、ポリイミド樹脂濃度が10質量%のポリイミド樹脂溶液を調製した。
(アルミニウムベース基板の作製)
金属基板として、アルミニウム基板(縦:30mm、横:20mm、厚み:1000μm、弾性率:72GPa、熱膨張係数:18ppm)を用意した。このアルミニウム基板の上に、上記で調製したアルミナ粒子分散ポリイミド樹脂溶液を、バーコート法により塗布して塗布膜を形成した。次いで、塗布膜を形成したアルミニウム基板をホットプレート上に配置して、室温から3℃/分で60℃まで昇温し、60℃で100分間加熱した後、さらに1℃/分で120℃まで昇温し、120℃で100分間加熱して、塗布層を乾燥させた。次いで、アルミニウム基板を250℃で1分間加熱した後、400℃で1分間加熱した。こうして、アルミニウム基板の表面に、アルミナ粒子が分散されたポリイミド樹脂からなる第1絶縁層(厚み:20μm、弾性率:20GPa)を形成して、第1絶縁層付きアルミニウム基板を得た。
次いで、第1絶縁層付きアルミニウム基板の第1絶縁層の上に、上記で調製したポリイミド樹脂溶液を、バーコート法により塗布して塗布膜を形成した。形成した塗布膜を、300℃で加熱乾燥して、ポリイミド樹脂からなる第2絶縁層(厚み:29μm、弾性率:0.27GPa)を形成した。こうして第1絶縁層と第2絶縁層とからなる絶縁層付きアルミニウムベース基板を得た。
得られた絶縁層付きアルミニウム基板の第2絶縁層の上に、回路層として銅箔(厚み:140μm、弾性率:125GPa)を重ね合わせて積層した。次いで、得られた積層体を、カーボン治具を用いて5MPaの圧力を付与しながら、真空中にて300℃の圧着温度で120分間加熱して、第2絶縁層と銅箔とを圧着した。こうして、アルミニウム基板と絶縁層と銅箔とがこの順で積層されたアルミニウムベース基板を作製した。
[本発明例25]
(アルミナ粒子分散エポキシ溶液の調製)
弾性率が1GPaのエポキシ樹脂とアルミナ粉末(平均粒子径:0.18μm)とをアルミナ濃度が50体積%となる割合で混合し、混錬機(ARE-501:THINKY社製)にて混錬を行ってアルミナ粒子分散エポキシ樹脂組成物を調製した。
(アルミニウムベース基板の作製)
アルミニウム基板の厚みを1600μmとし、このアルミニウム基板の上に、上記で調製したアルミナ粒子分散エポキシ樹脂組成物をバーコーターにて塗布し、得られた塗布膜を加熱乾燥して、絶縁層(厚み:110μm、弾性率:8GPa)を一層のみ形成し、回路層として、厚み:140μm、弾性率:75GPaの銅箔を用いたこと以外は、本発明例3と同様にしてアルミニウムベース基板を作製した。
[本発明例38]
金属基板として、厚み:1000μm、弾性率:117GPa、熱膨張係数:18ppmの銅基板を用いたこと、この銅基板の上に、弾性率が0.27GPaであるポリイミド樹脂のNMP溶液をバーコーターにて塗布し、得られた塗布膜を加熱乾燥して、絶縁層(厚み:30μm、弾性率:0.27GPa)を一層のみ形成し、回路層として厚み:140μm、弾性率:75GPaの銅箔を用いたこと以外は、本発明例3と同様にして銅ベース基板を作製した。
[本発明例47]
銅基板の厚みを1400μmとしたこと以外は、本発明例38と同様にして銅ベース基板を作製した。
[本発明例53]
回路層として、厚み:35μm、弾性率:100GPaの銅箔を用いたこと以外は、本発明例38と同様にして銅ベース基板を作製した。
[本発明例54]
金属基板として、厚み:1000μm、弾性率:117GPa、熱膨張係数:18ppmの銅基板を用いたこと、回路層として、厚み:35μm、弾性率:125GPaの銅箔を用いたこと以外は、本発明例3と同様にして銅ベース基板を作製した。
[本発明例60]
銅基板の上に、本発明例25と同様にして、絶縁層(厚み:110μm、弾性率:8GPa)を一層のみ形成したこと以外は、本発明例54と同様にして銅ベース基板を作製した。
[本発明例79]
銅基板の厚みを1800μmとしたこと、銅箔の厚みを140μmとしたこと以外は、本発明例60と同様にして銅ベース基板を作製した。
[比較例4]
金属基板として、厚み:1600μm、弾性率:72GPa、熱膨張係数:24ppmのアルミニウム基板を用いたこと以外は、本発明例60と同様にしてアルミニウムベース基板を作製した。
[評価]
本発明例3、25、38、47、53、54、60、79及び比較例4で作製した金属ベース基板について、冷熱サイクルに対する信頼性を下記の方法により測定した。その結果を、下記の表5に示す。
金属ベース基板の銅箔上に、Sn-Ag-Cuはんだを塗布して、縦2.5cm×横2.5cm×厚み100μmのはんだ層を形成し、そのはんだ層の上に、2.5cm角のSiチップを搭載して、試験体を作製した。作製した試験体に、1サイクルが-40℃×30分間~150℃×30分間の冷熱サイクルを3000サイクル付与した。冷熱サイクル付与後の試験体を、樹脂埋めし、研磨によって露出させた断面を観察して、はんだ層に生じたクラックの長さ(mm)を測定した。はんだ層の一辺の長さと、測定したクラックの長さとから下記式より算出した値を、信頼性とした。
信頼性(%)={(はんだ層の一辺の長さ(25mm)-2×クラックの長さ)/接合層の一辺の長さ(25mm)}×100
Figure 0007631809000015
上記の式(1)によって算出されるE値が3.10×10以下である本発明例3、25、38、47、53、54、60、79の金属ベース基板は、比較例4の金属ベース基板と比較して冷熱サイクルに対する信頼性が向上することがわかる。これは、E値が3.10×10以下となるように、絶縁層の100℃における弾性率、銅箔(回路層)の100℃における弾性率、金属基板の100℃における弾性率、絶縁層の厚み、銅箔の厚み、金属基板の厚み、金属基板の100℃における熱膨張係数が設定されていることによって、冷熱サイクルによって付与される金属ベース基板からはんだへの応力が低減するためである。また、特にE値が2.30×10以下である本発明例3、38、47、53、54、60の金属ベース基板は、冷熱サイクルに対する信頼性が顕著に向上することがわかる。
1S 接合構造体
10 金属ベース基板
10S 金属ベース基板
20 金属基板
20S 金属基板
30、30S 絶縁層
31 絶縁樹脂
32 無機物フィラー
40 回路層
40S 銅箔
50、50S はんだ
60、60S 電子部品
61、61S 電極端子
62S AIN(窒化アルミニウム)部材

Claims (3)

  1. 金属基板と、少なくとも1層の絶縁層と、回路層とがこの順で積層された金属ベース基板であって、
    前記絶縁層は、絶縁樹脂と無機物フィラーとを含み、
    前記無機物フィラーは平均粒子径が0.1μm以上20μm以下の範囲内にあり、
    下記の式(1)で定義されるEが、3.10×10以下である金属ベース基板。
    Figure 0007631809000016
    ただし、式(1)において、Sは、下記の式(2)より算出される数を表し、
    Figure 0007631809000017
    ただし、式(2)において、fは、3.14であり、fは、-3.25であり、Rは、下記の式(3-0)より算出される値を表し、Rは、下記の式(3-1)より算出される値を表し、
    Figure 0007631809000018
    ただし、式(3-0)及び式(3-1)において、dは-0.423であり、dは、-2.03であり、dは、0.804であり、eは5.23であり、eは、4.30であり、eは、-4.40であり、Qは、下記の式(4-0)より算出される値を表し、Qは、下記の式(4-1)より算出される値を表し、Qは、下記の式(4-2)より算出される値を表し、
    Figure 0007631809000019
    ただし、式(4-0)、式(4-1)及び式(4-2)において、aは、7.53であり、aは、3.09であり、aは、0.308であり、aは、-0.137であり、aは、0.0342であり、aは、0.451であり、bは、0.839であり、bは、-0.127であり、bは、0.0380であり、bは、-2.78であり、bは、-0.828であり、bは、-0.762であり、cは、-3.64であり、cは、6.98であり、cは、0.319であり、cは、-0.451であり、cは、-0.776であり、cは、0.189であり、Pは、下記の式(5-0)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-1)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-2)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-3)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-4)より算出される値を表し、Pは、下記の式(5-5)より算出される値を表し、
    Figure 0007631809000020
    ただし、式(5-0)、式(5-1)、式(5-2)、式(5-3)、式(5-4)及び式(5-5)において、Kresinは、絶縁層の100℃における弾性率(単位:GPa)を表し、Kelectrodeは、回路層の100℃における弾性率(単位:GPa)を表し、Kbaseは、金属基板の100℃における弾性率(単位:GPa)を表し、Tresinは、絶縁層の厚み(単位:μm)を表し、Telectrodeは回路層の厚み(単位:μm)を表し、Tbaseは、金属基板の厚み(単位:μm)を表し、CTEbaseは、金属基板の100℃における熱膨張係数(単位:ppm)を表す。
  2. 前記絶縁層は、100℃における弾性率(単位:GPa)に対する厚み(単位:μm)の比が10以上である請求項1に記載の金属ベース基板。
  3. 前記絶縁層は、互いに100℃における弾性率が異なる2層以上の積層体である請求項1または2に記載の金属ベース基板。
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