JP7638473B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
表面に溝が形成されたトレッド部を有する空気入りタイヤであって、
前記トレッド部は、溝底部を構成する第1のゴム組成物と、前記溝底部よりもタイヤ半径方向内側で前記第1のゴム組成物と隣接する第2のゴム組成物とを備えて形成されており、
前記第1のゴム組成物及び第2のゴム組成物は、SBRを60質量%以上含有し、かつ、BRを5質量%以上含有し、
前記第1のゴム組成物のアセトン抽出可能分をE1質量%とし、前記第2のゴム組成物のアセトン抽出可能分をE2質量%としたとき、(E1-E2)<20であり、
正規リムに組み込み、内圧を250kPaとした際のタイヤの断面幅をWt(mm)、外径をDt(mm)とし、タイヤが占める空間の体積を仮想体積V(mm3)としたとき、下記(式1)および(式2)を満足することを特徴とする空気入りタイヤである。
1700≦(Dt2×π/4)/Wt≦2827.4 ・・・・・・・(式1)
[(V+1.5×107)/Wt]≦2.88×105 ・・・・・・(式2)
また、請求項2に記載の発明は、
表面に溝が形成されたトレッド部を有する空気入りタイヤであって、
前記トレッド部は、溝底部を構成する第1のゴム組成物と、前記溝底部よりもタイヤ半径方向内側で前記第1のゴム組成物と隣接する第2のゴム組成物とを備えて形成されており、
前記第1のゴム組成物および前記第2のゴム組成物は、ジエン系ゴムを90質量%以上含有し、かつ、前記ジエン系ゴムとして、SBR、BRおよびNRの少なくとも1種を含有し、
前記第1のゴム組成物のアセトン抽出可能分をE1質量%とし、前記第2のゴム組成物のアセトン抽出可能分をE2質量%としたとき、(E1-E2)<20であり、
正規リムに組み込み、内圧を250kPaとした際のタイヤの断面幅をWt(mm)、外径をDt(mm)とし、タイヤが占める空間の体積を仮想体積V(mm 3 )としたとき、下記(式1)および(式2)を満足することを特徴とする空気入りタイヤである。
1700≦(Dt 2 ×π/4)/Wt≦2827.4 ・・・・・・・(式1)
[(V+1.5×10 7 )/Wt]≦2.88×10 5 ・・・・・・(式2)
下記(式3)を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤである。
[(V+2.0×107)/Wt]≦2.88×105 ・・・・・・(式3)
下記(式4)を満足することを特徴とする請求項3に記載の空気入りタイヤである。
[(V+2.5×107)/Wt]≦2.88×105 ・・・・・・(式4)
正規リムに組み込み、内圧を250kPaとした際のタイヤの外径をDt(mm)、タイヤの断面高さをHt(mm)としたとき、(Dt-2×Ht)が、470(mm)以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
温度0℃、周波数10Hz、初期歪10%、動歪率2.5%の条件下で測定された前記第1のゴム組成物の損失正接(0℃tanδ)が、0.72以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
前記0℃tanδが、0.75以上であることを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤである。
扁平率が、40%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
扁平率が、45%以上であることを特徴とする請求項8に記載の空気入りタイヤである。
扁平率が、47.5%以上であることを特徴とする請求項9に記載の空気入りタイヤである。
前記E1、E2およびWtが、下記(式5)を満足することを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
(E1-E2)×Wt<5×103 ・・・・・・・・・・・・・・・(式5)
下記(式6)を満足することを特徴とする請求項11に記載の空気入りタイヤである。
(E1-E2)×Wt<4×103 ・・・・・・・・・・・・・・・(式6)
下記(式7)を満足することを特徴とする請求項12に記載の空気入りタイヤである。
(E1-E2)×Wt<3×103 ・・・・・・・・・・・・・・・(式7)
タイヤ周方向に連続して延びる複数本の周方向溝をトレッド部に有しており、
前記複数本の周方向溝の断面積の合計が、前記トレッド部の断面積の10~30%であることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
タイヤ軸方向に延びる複数本の横溝をトレッド部に有しており、
前記複数本の横溝の容積の合計が、前記トレッド部の体積の2.0~5.0%であることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
正規リムに組み込み、内圧を250kPaとした際のタイヤの外径をDt(mm)としたとき、Dtが、685(mm)未満であることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
前記断面幅Wt(mm)が、205mm未満であることを特徴とする請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
前記断面幅Wt(mm)が、200mm未満であることを特徴とする請求項17に記載の空気入りタイヤである。
温度0℃、周波数10Hz、初期歪10%、動歪率2.5%の条件下で測定された前記第1のゴム組成物の損失正接(0℃tanδ)の、前記溝底部の厚みGd(mm)に対する比0℃tanδ/Gdが、0.16以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項18のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
前記0℃tanδ/Gdが、0.14以下であることを特徴とする請求項19に記載の空気入りタイヤである。
最初に、本発明に係るタイヤの特徴について説明する。
本発明に係るタイヤは、表面に溝が形成されたトレッド部を有しており、トレッド部は、溝底部を構成する第1のゴム組成物と、溝底部よりもタイヤ半径方向内側で第1のゴム組成物と隣接する第2のゴム組成物とを備えて形成されており、前記第1のゴム組成物及び第2のゴム組成物は、SBRを60質量%以上含有し、かつ、BRを5質量%以上含有していること、または、ジエン系ゴムを90質量%以上含有し、かつ、前記ジエン系ゴムとして、SBR、BRおよびNRの少なくとも1種を含有していることを特徴としている。
1700≦(Dt2×π/4)/Wt≦2827.4 ・・・・・・(式1)
[(V+1.5×107)/Wt]≦2.88×105 ・・・・・・(式2)
Technical Organisation)であれば「STANDARDS MANUAL」に記載されている“Measuring Rim”、TRA(The Tire and Rim Association, Inc.)であれば「YEAR BOOK」に記載されている“Design Rim”を指す。そして、規格に定められていないタイヤの場合には、リム組み可能であって、内圧が保持できるリム、即ちリム/タイヤ間からエア漏れを生じさせないリムの内、最もリム径が小さく、次いでリム幅が最も狭いものを指す。
V=[(Dt/2)2-{(Dt/2)-Ht}2]×π×Wt
本発明に係るタイヤにおける効果発現のメカニズム、即ち、耐クラック性能および耐久性能が十分に改善されるメカニズムについては、以下のように推測される。
上記したように、本発明においては、前記タイヤの断面幅Wt(mm)と外径Dt(mm)とが、1700≦(Dt2×π/4)/Wt≦2827.4(式1)を満足するようにしている。
前記したように、本発明に係るタイヤは、溝底部を構成する第1のゴム組成物と、溝底部よりもタイヤ半径方向内側で第1のゴム組成物と隣接する第2のゴム組成物とを備えたトレッド部を有し、第1のゴム組成物のアセトン抽出可能分E1質量%と、第2のゴム組成物のアセトン抽出可能分E2質量%との間には、(E1-E2)<20の関係がある。
なお、ゴム組成物のアセトン抽出可能分の測定は、JIS K 6229:2015に準拠して行うことができる(抽出時間:10時間)。
また、第1のゴム組成物および第2のゴム組成物における具体的なAE量は、上記(E1-E2)<20を、好ましくは(E1-E2)<19を、より好ましくは(E1-E2)<18を、さらに好ましくは(E1-E2)<17を満足する限り、特に限定されないが、E1およびE2のいずれについても、0以上であり、3以上が好ましく、5以上がより好ましい。また、E1およびE2のいずれについても、通常は40以下であり、37以下が好ましく、35以下がより好ましい。
本発明に係るタイヤは、以下の態様を取ることにより、さらに大きな効果を得ることができる。
本発明に係るタイヤは、扁平率が40%以上のタイヤであることが好ましい。これにより、サイド部の面積を大きくすることができるため、タイヤ全体の熱放出性がより向上し、トレッド部およびサイド部における剛性の低下を抑制することができ、タイヤの耐久性が向上すると考えられる。
(Ht/Wt)×100(%)
前記したように、AE量は、ゴム組成物における成分において、軟化剤などの移行し易い成分の量を示す指標であり、第1のゴム組成物と第2のゴム組成物とにおけるAE量の差(E1-E2)を小さくすることにより、両ゴム組成物間での移行を抑制して割れの発生を抑制することができる。
本発明に係るタイヤは、タイヤ周方向に連続して延びる周方向溝をトレッド部に有しており、トレッド部の接地面における周方向溝の溝幅L0に対する周方向溝の最大の深さの80%の深さにおける溝幅L80の比(L80/L0)が、0.3~0.7であることが好ましい。これにより、トレッド部の陸部の底面で陸部全体の動きを抑制することが可能となり、トレッド部の欠けを抑制して、耐久性能が向上すると考えられる。0.35~0.65であるとより好ましく、0.40~0.60であるとさらに好ましく、0.45~0.55であると特に好ましい。
本発明に係るタイヤにおいて、正規リムに組み込み、内圧を250kPaとした際、具体的な外径Dt(mm)としては、例えば、515mm以上であることが好ましく、558mm以上であるとより好ましく、585mm以上であるとさらに好ましく、658mm以上であると特に好ましく、673mm以上であると最も好ましい。一方、843mm未満であることが好ましく、725mm未満であるとより好ましく、707mm未満であるとさらに好ましく、685mm未満であると特に好ましく、655mm未満であると最も好ましい。
本発明において溝底部を構成する第1のゴム組成物は、温度0℃、周波数10Hz、初期歪10%、動歪率2.5%の条件下で測定された損失正接(0℃tanδ)が、0.72以上であることが好ましい。これにより、耐クラック性能および耐久性能の改善という本発明の効果を、十分に発揮させることができる。0.75以上であるとより好ましく、0.78以上であるとさらに好ましい。
以下、実施の形態に基づいて、本発明を具体的に説明する。
本発明に係るタイヤのトレッド部を形成するゴム組成物は、以下に記載するゴム成分、充填剤、軟化剤、加硫剤および加硫促進剤などの各種配合材料について、その種類や量を、適宜、調整することにより得ることができ、特に、軟化剤や樹脂成分を適宜、調整することにより、前記したAE量が調整されたゴム組成物とすることができる。
本実施の形態において、ゴム成分としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)も含むイソプレン系ゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)など、タイヤの製造に一般的に用いられるゴム(ポリマー)を用いることができる。そして、これらのゴム(ポリマー)を用いれば、ゴム成分の種類によらず、(E1-E2)<20、好ましくは(E1-E2)<19を、より好ましくは(E1-E2)<18を、さらに好ましくは(E1-E2)<17を満たし、さらに(式1)および(式2)を満たすことにより、空気入りタイヤの耐クラック性能および耐久性能を改善することができる。
中でも、第1のゴム組成物および第2のゴム組成物のいずれについても、ジエン系ゴムを主成分(90質量%以上)としたゴム成分を用いることが好ましい。ここで、ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)も含むIR、SBR、BR、NBR、およびこれらを変性したものを挙げることができ、これらから選ばれる1種を単独で用いてもよくまたは2種以上のブレンドを用いることもできる。ジエン系ゴムの中でも、特に、SBRおよびBRを用いることが好ましい。
ゴム成分100質量部中のSBRの含有量は、60質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であるとより好ましく、80質量部以上であるとさらに好ましい。一方、100質量部以下であることが好ましく、95質量部以下であるとより好ましい。
ゴム成分100質量部中のBRの含有量は、5質量部以上、15質量部以下が好ましい。
本実施の形態においては、前記したように、その他のゴム成分として、イソプレン系ゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)などのタイヤの製造に一般的に用いられるゴム(ポリマー)を含んでもよい。
(a)充填剤
本実施の形態において、ゴム組成物は、充填剤を含有することが好ましい。具体的な充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカなどが挙げられ、この内でも、シリカやカーボンブラックが、補強剤として好ましく使用できる。なお、シリカを使用する場合には、シランカップリング剤と併用することが好ましい。
ゴム組成物には、充填補強剤としてシリカを含むことが好ましい。シリカのBET比表面積は、良好な耐久性能が得られる観点から140m2/g超が好ましく、160m2/g超がより好ましい。一方、良好な高速走行時の転がり抵抗性を得られる観点からは250m2/g未満が好ましく、220m2/g未満であることがより好ましい。なお、上記したBET比表面積は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定されるN2SAの値である。
ゴム組成物は、シリカと共にシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物は、カーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックの含有量は、第1のゴム組成物では、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1質量部超、200質量部未満である。そして、第2のゴム組成物の場合には、カーボンブラックの含有量の増減とは逆に、AE量も増減するため、所望するAE量に合わせて、適宜、含有量を調整する。
ゴム組成物には、上記したカーボンブラック、シリカの他に、タイヤ工業において一般的に用いられている、例えば、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ等の充填剤をさらに含有してもよい。これらの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部超、200質量部未満である。
ゴム組成物は、オイル(伸展油を含む)や液状ゴム等を軟化剤として含んでもよい。これらの合計含有量は、第1のゴム組成物の場合、ゴム成分100質量部に対して、例えば、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、25質量部以上がさらに好ましい。また、100質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。なお、オイルの含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイルの量も含まれる。そして、第2のゴム組成物の場合には、軟化剤の含有量の増減に合わせてAE量も増減するため、所望するAE量に合わせて、適宜、含有量を調整する。
ゴム組成物は、必要に応じて、樹脂成分を含有することが好ましい。樹脂成分は、常温で固体であっても、液体であってもよく、具体的な樹脂成分としては、スチレン系樹脂、クマロン系樹脂、テルペン系樹脂、C5樹脂、C9樹脂、C5C9樹脂、アクリル系樹脂などの樹脂が挙げられ、2種以上を併用しても良い。樹脂成分の含有量は、第1のゴム組成物の場合、例えば、ゴム成分100質量部に対して、20質量部超が好ましく、30質量部超がより好ましい。また、70質量部未満が好ましく、50質量部未満がより好ましい。そして、第2のゴム組成物の場合には、樹脂成分の含有量の増減に合わせてAE量も増減するため、所望するAE量に合わせて、適宜、含有量を調整する。
ゴム組成物は、老化防止剤を含むことが好ましい。老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1質量部超、10質量部未満である。
ゴム組成物は、ステアリン酸を含んでもよい。ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部超、10.0質量部未満である。ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物は、酸化亜鉛を含んでもよい。酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部超、10質量部未満である。酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
各ゴム組成物においては、ワックスを含むことが好ましい。ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5~20質量部、好ましくは1.5~15質量部、より好ましくは3.0~10.0質量部である。
ゴム組成物は、硫黄等の架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部超、10.0質量部未満である。
ゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、脂肪酸金属塩、カルボン酸金属塩、有機過酸化物等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部超、200質量部未満である。
前記ゴム組成物は、一般的な方法、例えば、ゴム成分とシリカやカーボンブラック等のフィラーとを混練するベース練り工程と、前記ベース練り工程で得られた混練物と架橋剤とを混練する仕上げ練り工程とを含む製造方法により作製される。
本発明のタイヤは、前記仕上げ練り工程を経て得られた未加硫ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。具体的には、まず、例えば、第1のゴム組成物を、溝底部を構成するキャップゴムとして成形し、第2のゴム組成物を、タイヤ半径方向内側に隣接させてベースゴムとして成形することにより、トレッドを得る。
なお、後述するシーリング材の層やスポンジ材、またセンサー等の電子部品をタイヤ内に設ける場合は、前記加硫後のタイヤの内面に、これらを、貼り付けることが好ましい。
また、本発明の空気入りタイヤは、トレッド部の内周面にパンク防止用のシーラント層を有するものであってもよく、シーラント層の内周面にさらにスポンジ材を接着したものであってもよい。さらに、空気入りタイヤ内にセンサー等の電子部品が設けられているものでもよい。
下記の実験1~4にて評価される各試験用タイヤの製造に先立って、まず、各試験用タイヤの製造に使用するトレッド用ゴム組成物の製造を行った。
まず、第1のゴム組成物の配合材料として、SBR(JSR(株)製のJSR1502)90質量部、BR(宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B)10質量部、オイル(三共油化工業(株)製のプロセスオイル A/OMIX)30質量部、カーボンブラック(キャボットジャパン(株)製のショウブラックN134)5質量部、シリカ(エボニック社製のウルトラシル9100GR)100質量部、シランカップリング剤(デグサ社製のSi363)9質量部、樹脂(クレイトン社製のα-メチルスチレン樹脂)40質量部、ワックス(日本精蝋(株)製のオゾエース0355)1.5質量部、ステアリン酸(日油(株)製のステアリン酸「椿」)2質量部、酸化亜鉛(三井金属鉱業社製の亜鉛華1号)2質量部、老化防止剤(大内新興化学工業(株)製のノクラック 6C)1質量部、加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製のノクセラー CZ-G(CZ))1質量部、加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製のノクセラー D(DPG)1質量部、硫黄(鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄)2質量部を準備した。
上記した第1のゴム組成物および第2のゴム組成物の配合材料を、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りして、混練物を得、その後、硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、第1のゴム組成物および第2のゴム組成物を得た。
本実験においては、175サイズのタイヤを作製し、評価した。
上記で得られた第1のゴム組成物および第2のゴム組成物の内、第1のゴム組成物を用いてキャップゴムとし、第2のゴム組成物を用いてベースゴムとすることにより、2層構造のトレッドを作製し、他のタイヤ部材と共に貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で10分間プレス加硫して、サイズが175タイプの各試験用タイヤ(実施例1-1~実施例1-5および比較例1-1~比較例1-5)を製造した。
その後、各試験用タイヤの外径Dt(mm)、断面幅Wt(mm)、断面高さHt(mm)、扁平率(%)を求めるとともに、仮想体積V(mm3)を求めた。
(1)耐クラック性能の評価
各試験用タイヤをオゾン雰囲気下に保持するオゾン劣化処理を施した後、車輌(国産のFF車、排気量2000cc)の全輪に装着させて、内圧が250kPaとなるように空気を充填し、乾燥路面のテストコース上を、120km/hの速度で10km周回した後、トレッドの所定範囲内の溝に発生した長さ0.1mm以上のクラックを測定し、その長さの合計値を求めた。評価は、比較例1-5の計測結果を基準にして、下式に基づいて指数化し、相対的な評価とした。数値が大きいほど、耐クラック性能が優れていることを示す。
耐クラック性能=(比較例1-5の計測結果)/(試験用タイヤの計測結果)×100
各試験用タイヤを車輌(国産のFF車、排気量2000cc)の全輪に装着させて、内圧が250kPaとなるように空気を充填した後、過積載状態にて、乾燥路面のテストコース上を、50km/hの速度で10周走行し、80km/hの速度で路面に設けた凹凸に乗り上げる動きを繰り返し行った。そして、再度、50km/hの速度で周回を行い、その後、速度を徐々に上げて、ドライバーが異変を感じた時点における速度を計測した。
耐久性=(試験用タイヤの計測結果)/(比較例1-5の計測結果)×100
上記(1)、(2)の評価結果を合計して総合評価とした。
各評価の結果を表1、2に示す。
本実験においては、195サイズのタイヤを作製し、評価した。
本実験においては、225サイズのタイヤを作製し、評価した。
実験1~3の結果(表1~表6)より、175サイズ、195サイズ、225サイズ、いずれのサイズのタイヤにおいても、(E1-E2)<20であり、かつ上記した(式1)および(式2)が満たされている場合、耐クラック性能、および耐久性能が十分に改善された空気入りタイヤを提供できることが分かった。
次に、仮想体積Vと断面幅Wtの関係性に大きな差がない3種類(実施例4-1~実施例4-3)のタイヤを、同じ配合で作製し、同様に評価した。なお、ここでは、耐クラック性能および耐久性能の評価に加えて、低燃費性能についても評価した。
低燃費性能=[(試験用タイヤの計測結果)/(実施例4-3の計測結果)]×100
SBR90質量部およびBR10質量部の代わりに、SBR(JSR(株)製のJSR1502)60質量部、NR(RSS#3)20質量部およびBR(宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B)20質量部を用いた以外は、前記のトレッド用ゴム組成物の製造1と同条件、同様にして、実験5の試験用タイヤの製造に使用した第1のゴム組成物を得た。
また、SBR90質量部およびBR10質量部の代わりに、NR(RSS#3)100質量部を用い、前記の第1のゴム組成物とはAE量が異なるように、オイル、樹脂、シリカ、カーボンブラックの配合量を調整した以外は、前記のトレッド用ゴム組成物の製造1と同条件、同様にして、実験5の試験用タイヤの製造に使用した第2のゴム組成物を得た。
トレッド用ゴム組成物の製造2にて製造した第1のゴム組成物および第2のゴム組成物を用いて実験1と同様にして、表8に示すサイズの、実施例5および比較例5の各試験用タイヤを製造した後、実験1と同様に、各パラメータを求め、同様に、性能評価試験を行い評価した。なお、本実験においては、比較例5における結果を100として評価を行った。各評価の結果を、表8に示す。
SBR90質量部およびBR10質量部の代わりに、NR(RSS#3)50質量部およびBR(宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B)50質量部を用いた以外は、前記のトレッド用ゴム組成物の製造1と同条件、同様にして、実験6の試験用タイヤの製造に使用した第1のゴム組成物を得た。
また、SBR90質量部およびBR10質量部の代わりに、NR(RSS#3)50質量部およびSBR(JSR(株)製のJSR1502)50質量部を用い、前記第1のゴム組成物とはAE量が異なるように、オイル、樹脂、シリカ、カーボンブラックの配合量を調整した以外は、前記のトレッド用ゴム組成物の製造1と同条件、同様にして、実験6の試験用タイヤの製造に使用した第2のゴム組成物を得た。
トレッド用ゴム組成物の製造3にて製造した第1のゴム組成物および第2のゴム組成物を用いて実験1と同様にして、表8に示すサイズの、実施例6および比較例6の各試験用タイヤを製造した後、実験1と同様に、各パラメータを求め、同様に、性能評価試験を行い評価した。なお、本実験においては、比較例6における結果を100として評価を行った。各評価の結果を、表8に示す。
Claims (20)
- 表面に溝が形成されたトレッド部を有する空気入りタイヤであって、
前記トレッド部は、溝底部を構成する第1のゴム組成物と、前記溝底部よりもタイヤ半径方向内側で前記第1のゴム組成物と隣接する第2のゴム組成物とを備えて形成されており、
前記第1のゴム組成物及び第2のゴム組成物は、SBRを60質量%以上含有し、かつ、BRを5質量%以上含有し、
前記第1のゴム組成物のアセトン抽出可能分をE1質量%とし、前記第2のゴム組成物のアセトン抽出可能分をE2質量%としたとき、(E1-E2)<20であり、
正規リムに組み込み、内圧を250kPaとした際のタイヤの断面幅をWt(mm)、外径をDt(mm)とし、タイヤが占める空間の体積を仮想体積V(mm3)としたとき、下記(式1)および(式2)を満足することを特徴とする空気入りタイヤ。
1700≦(Dt2×π/4)/Wt≦2827.4 ・・・・・・・(式1)
[(V+1.5×107)/Wt]≦2.88×105 ・・・・・・(式2) - 表面に溝が形成されたトレッド部を有する空気入りタイヤであって、
前記トレッド部は、溝底部を構成する第1のゴム組成物と、前記溝底部よりもタイヤ半径方向内側で前記第1のゴム組成物と隣接する第2のゴム組成物とを備えて形成されており、
前記第1のゴム組成物および前記第2のゴム組成物は、ジエン系ゴムを90質量%以上含有し、かつ、前記ジエン系ゴムとして、SBR、BRおよびNRの少なくとも1種を含有し、
前記第1のゴム組成物のアセトン抽出可能分をE1質量%とし、前記第2のゴム組成物のアセトン抽出可能分をE2質量%としたとき、(E1-E2)<20であり、
正規リムに組み込み、内圧を250kPaとした際のタイヤの断面幅をWt(mm)、外径をDt(mm)とし、タイヤが占める空間の体積を仮想体積V(mm 3 )としたとき、下記(式1)および(式2)を満足することを特徴とする空気入りタイヤ。
1700≦(Dt 2 ×π/4)/Wt≦2827.4 ・・・・・・・(式1)
[(V+1.5×10 7 )/Wt]≦2.88×10 5 ・・・・・・(式2) - 下記(式3)を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
[(V+2.0×107)/Wt]≦2.88×105 ・・・・・・(式3) - 下記(式4)を満足することを特徴とする請求項3に記載の空気入りタイヤ。
[(V+2.5×107)/Wt]≦2.88×105 ・・・・・・(式4) - 正規リムに組み込み、内圧を250kPaとした際のタイヤの外径をDt(mm)、タイヤの断面高さをHt(mm)としたとき、(Dt-2×Ht)が、470(mm)以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 温度0℃、周波数10Hz、初期歪10%、動歪率2.5%の条件下で測定された前記第1のゴム組成物の損失正接(0℃tanδ)が、0.72以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記0℃tanδが、0.75以上であることを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
- 扁平率が、40%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 扁平率が、45%以上であることを特徴とする請求項8に記載の空気入りタイヤ。
- 扁平率が、47.5%以上であることを特徴とする請求項9に記載の空気入りタイヤ。
- 前記E1、E2およびWtが、下記(式5)を満足することを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
(E1-E2)×Wt<5×103 ・・・・・・・・・・・・・・・(式5) - 下記(式6)を満足することを特徴とする請求項11に記載の空気入りタイヤ。
(E1-E2)×Wt<4×103 ・・・・・・・・・・・・・・・(式6) - 下記(式7)を満足することを特徴とする請求項12に記載の空気入りタイヤ。
(E1-E2)×Wt<3×103 ・・・・・・・・・・・・・・・(式7) - タイヤ周方向に連続して延びる複数本の周方向溝をトレッド部に有しており、
前記複数本の周方向溝の断面積の合計が、前記トレッド部の断面積の10~30%であることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。 - タイヤ軸方向に延びる複数本の横溝をトレッド部に有しており、
前記複数本の横溝の容積の合計が、前記トレッド部の体積の2.0~5.0%であることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。 - 正規リムに組み込み、内圧を250kPaとした際のタイヤの外径をDt(mm)としたとき、Dtが、685(mm)未満であることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記断面幅Wt(mm)が、205mm未満であることを特徴とする請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記断面幅Wt(mm)が、200mm未満であることを特徴とする請求項17に記載の空気入りタイヤ。
- 温度0℃、周波数10Hz、初期歪10%、動歪率2.5%の条件下で測定された前記第1のゴム組成物の損失正接(0℃tanδ)の、前記溝底部の厚みGd(mm)に対する比0℃tanδ/Gdが、0.16以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項18のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記0℃tanδ/Gdが、0.14以下であることを特徴とする請求項19に記載の空気入りタイヤ。
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