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JP7775830B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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JP7775830B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JP7775830B2 JP2022546268A JP2022546268A JP7775830B2 JP 7775830 B2 JP7775830 B2 JP 7775830B2 JP 2022546268 A JP2022546268 A JP 2022546268A JP 2022546268 A JP2022546268 A JP 2022546268A JP 7775830 B2 JP7775830 B2 JP 7775830B2
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Description

本開示は、空気入りタイヤに関する。
近年、環境問題への関心の高まりや経済性の観点から、自動車に対して低燃費化の要求が強くなっており、自動車に装着される空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)に対しても低燃費性の向上が求められている。
従来、タイヤの低燃費性を向上させる具体的な手段としては、合成ゴムへ末端変性ポリマーを適用すると共に、変性効果を向上させるために、ポリマー分子量を抑えて末端数を増やした変性合成ゴムを含有するタイヤ用配合を用いて、トレッド部を形成することが一般的であった。
しかしながら、このようなタイヤ用配合では、配合に含まれるポリマーの分子量が低いため、製品タイヤの破壊強度や耐摩耗性が低下する恐れがある。
そこで、上記した変性合成ゴムに、破壊強度に優れるイソプレン系ゴムを加えてゴム成分とし、トレッド部を形成することにより、低燃費性(低転がり抵抗性)を維持しながら、破壊強度や耐摩耗性の向上を図ることが提案されている(例えば、特許文献1~4)。
特開2014-213836号公報 特開2017-52329号公報 特開2018-154181号公報 特開2019-85445号公報
しかしながら、これら従来技術に基づくタイヤは、路面に対するグリップ力が低下し、操縦安定性の悪化、特に、ウェット路面上を高速走行する際の操縦安定性の悪化をもたらす恐れがあり、さらなる改善が求められている。
そこで、本開示は、ウェット路面上を高速走行するに際しても十分な操縦安定性が確保された空気入りタイヤを提供することを課題とする。
本開示者は、上記課題の解決について鋭意検討を行い、以下に記載する開示により上記課題が解決できることを見出し、本開示を完成させるに至った。
本開示は、
スチレンブタジエンゴムおよびイソプレン系ゴムをゴム成分として含有すると共に、樹脂成分を含有するゴム組成物によってトレッド部が形成されており、
前記ゴム成分100質量部に対する前記樹脂成分の含有量をQ(質量部)とし、
正規リムに組み込まれ、内圧を250kPaとした際のタイヤの断面幅をWt(mm)、外径をDt(mm)としたとき、
前記ゴム成分100質量部に対する前記樹脂成分の含有量Q(質量部)が、25質量部超であり、
下記(式1)および(式2)を満足することを特徴とする空気入りタイヤである。
1600≦(Dt×π/4)/Wt≦2827.4 (式1)
Q/Wt≧0.26 ・・・・・・・・・・・・・・・(式2)
本開示によれば、ウェット路面上を高速走行するに際しても十分な操縦安定性が確保された空気入りタイヤを提供することができる。
以下、実施の形態に基づいて、本開示を具体的に説明する。
[1]本開示のタイヤの特徴について
最初に、本開示に係るタイヤの特徴について説明する。
本開示者は、ウェット路面上を高速走行するに際しても十分な操縦安定性が確保された空気入りタイヤを得るには、配合によりゴム物性を制御するだけの従来の技術では不十分であり、トレッド部を形成するゴム組成物(以下、「トレッドゴム組成物」ともいう)の物性に加えて、タイヤ形状についても検討する必要があると考え、種々の実験と検討の結果、本開示を完成するに至った。
まず、本開示に係るタイヤは、タイヤの形状として、タイヤの断面幅に対して、タイヤを横方向から見た際の面積が所定の範囲で大きくなるようにしている。これにより、単位時間当たりの変形の繰り返しが減り、その結果、熱交換に使える時間が長くなることで
サイド部の熱放出性を向上させることができ、十分な低燃費性を発揮することができる。
具体的には、正規リムに組み込まれ、内圧を250kPaとした際のタイヤの断面幅をWt(mm)、外径をDt(mm)としたとき、1600≦(Dt×π/4)/Wt≦2827.4を満足する形状のタイヤであれば、タイヤの断面幅Wt(mm)に対して、タイヤを横方向から見た際の面積(mm)、即ち、[(Dt/2)×π)=(Dt×π/4)]が適切に確保されて、サイド部の熱放出性が向上するため、転がり抵抗が十分に低減されて、低燃費性を実現できる。なお、1700以上であるとより好ましく、1865以上であるとさらに好ましい。また、1963.4以上であるとさらに好ましく、1979以上であるとさらに好ましく、1981以上であるとさらに好ましく、2018以上であるとさらに好ましく、2480以上であるとさらに好ましい。
なお、上記記載において、「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMA(日本自動車タイヤ協会)であれば「JATMA YEAR BOOK」に記載されている適用サイズにおける標準リム、ETRTO(The European Tyre and Rim
Technical Organisation)であれば「STANDARDS MANUAL」に記載されている“Measuring Rim”、TRA(The Tire and Rim Association, Inc.)であれば「YEAR BOOK」に記載されている“Design Rim”を指す。そして、規格に定められていないタイヤの場合には、リム組み可能であって、内圧が保持できるリム、即ちリム/タイヤ間からエア漏れを生じさせないリムの内、最もリム径が小さく、次いでリム幅が最も狭いものを指す。
そして、上記記載において、タイヤの外径Dt(mm)とは、タイヤを正規リムに組付け、内圧を250kPaにして無負荷とした状態のタイヤの外径であり、タイヤの断面幅Wtとは、タイヤを正規リムに組付け、内圧を250kPaにして無負荷とした状態のタイヤにおいて、タイヤ側面の模様や文字など全てを含むサイドウォール間の直線距離(タイヤの総幅)からタイヤの側面の模様、文字などを除いた幅である。
しかしながら、上記した形状のタイヤを作製した場合、転動時の遠心力が大きくなり、転動中にタイヤの半径が大きく成長するため、その結果として、接地圧の不均一化を招いて、ウェット路面上を高速走行する際、操縦安定性が悪化する恐れがあると考えられる。そして、特に、断面幅Wtが広いタイヤほど、トレッドセンター部における接地圧と、トレッドショルダー部における接地圧との差が大きくなり易く、操縦安定性の悪化を招き易いと考えられる。
この問題を解決するために、本開示者は、トレッド部を形成するゴム組成物として、発熱性が高く、グリップ力に優れるスチレンブタジエンゴム(SBR)、および、破壊強度に優れるイソプレン系ゴムを、ゴム成分として含有すると共に、より多くの樹脂成分が含有されたゴム組成物を使用することに思い至った。即ち、断面幅Wtの広さに応じて樹脂成分の量を増やした場合、接地圧が低くなり易いトレッドショルダー部の表面にまで、十分に樹脂成分を行き渡らせることができるため、高速走行中においても、樹脂成分の粘着性によって路面に対するグリップ性を確保して、操縦安定性の向上を図ることができる。
具体的には、ゴム成分100質量部に対する樹脂成分の含有量をQ(質量部)としたとき、Qを25質量部超と、1/4を超える量を含有させると共に、断面幅Wt(mm)に対するQ(質量部)の比率(Q/Wt)を0.26以上にすることにより、トレッド全体で操縦安定性の大きな向上を図ることができるため、ウェット路面上を高速走行する際の操縦安定性が十分に改善された空気入りタイヤを提供することができる。
なお、樹脂成分の粘着性による路面に対するグリップ性の十分な確保という観点から、Q(質量部)は、26質量部以上であると好ましく、30質量部以上であるとより好ましく、30質量部超であるとさらに好ましく、40質量部量部以上であるとさらに好ましく、40質量部超であるとさらに好ましく、50質量部以上であるとさらに好ましい。また、(Q/Wt)は、0.26以上であり、一方、0.35未満であることが好ましい。
[2]本開示に係るタイヤにおけるより好ましい態様
本開示に係るタイヤは、以下の態様を取ることにより、さらに大きな効果を得ることができる。
1.扁平率
本開示に係るタイヤは、扁平率が40%以上のタイヤであることが好ましく、これにより、タイヤのサイド部の高さを大きくして、タイヤの局所的な変形を抑制することができるため、タイヤの耐久性をさらに高めることができる。
なお、上記した扁平率(%)は、内圧を250kPaとしたときのタイヤの断面高さ(ビード部底面からトレッド最表面までの距離であり、タイヤの外径とリム径の呼びとの差の1/2)Ht(mm)と断面幅Wt(mm)とを用いて、下式により求めることができる。
(Ht/Wt)×100(%)
そして、前記した扁平率は、45%以上であるとより好ましく、47.5%以上であるとさらに好ましい。そして、50%以上であるとさらに好ましく、52.5%以上であるとさらに好ましく、55%以上であるとさらに好ましく、58%以上であるとさらに好ましく、70%以上であるとさらに好ましい。なお、上限は特にないが、例えば、100%以下である。
2.タイヤの形状
本開示に係るタイヤにおいて、正規リムに組み込み、内圧を250kPaとした際、具体的な外径Dt(mm)としては、例えば、515mm以上であることが好ましく、558mm以上であるとより好ましく、585mm以上であるとさらに好ましく、658mm以上であると特に好ましく、673mm以上であると最も好ましい。一方、843mm未満であることが好ましく、802mm以下であるとより好ましく、725mm未満であるとさらに好ましく、719mm以下であるとさらに好ましく、707mm未満であるとさらに好ましく、700mm以下であるとさらに好ましく、685mm未満であると特に好ましい。
そして、具体的な断面幅Wt(mm)としては、例えば、115mm以上であることが好ましく、130mm以上であるとより好ましく、150mm以上であるとさらに好ましく、155mm以上であるとさらに好ましく、170mm以上であるとさらにより好ましく、185mm以上であると特に好ましく、193mm以上であると最も好ましい。一方、305mm未満であることが好ましく、255mm以下であるとより好ましく、245mm未満であるとさらに好ましく、210mm未満であるとさらに好ましく、205mm以下であるとさらに好ましく、205mm未満であると特に好ましく、200mm未満であると最も好ましい。
そして、具体的な断面高さHt(mm)としては、例えば、37mm以上であることが好ましく、87mm以上であるとより好ましく、95mm以上であるとさらに好ましい。一方、180mm未満であることが好ましく、147mm以下であるとより好ましく、144mm以下であるとさらに好ましく、112mm未満であるとさらに好ましく、109mm以下であるとさらに好ましく、101mm未満であるとさらに好ましい。
そして、本開示において、走行時の乗り心地の安定性を考慮すると、(Dt-2×Ht)は、430(mm)以上であることが好ましく、432(mm)以上であるとより好ましく、450(mm)以上であるとさらに好ましく、470(mm)以上であるとさらに好ましく、480(mm)以上であるとさらに好ましく、483(mm)以上であるとさらに好ましい。一方、トレッド部の変形を考慮すると、560(mm)未満であることが好ましく、530(mm)未満であるとより好ましく、510(mm)未満であるとさらに好ましく、508(mm)以下であるとさらに好ましい。
また、正規リムに組み込まれ、内圧を250kPaとした際のタイヤが占める空間の仮想体積V(mm)は、断面幅Wt(mm)、外径Dt(mm)、断面高さHt(mm)に基づいて、下式より求めることができる。
V=[(Dt/2)-{(Dt/2)-Ht}]×π×Wt
そして、具体的な仮想体積Vとしては、例えば、13,000,000mm以上であることが好ましく、29,000,000mm以上であるとより好ましく、31,230,020mm以上であるとさらに好ましく、36,000,000mm以上であるとさらに好ましい。一方、88,000,000mm未満であることが好ましく、77,134,503mm以下であるとより好ましく、66,000,000mm未満であるとより好ましく、53,167,961mm以下であるとさらに好ましく、44,000,000mm未満であるとさらに好ましく、38,800,000mm未満であると特に好ましい。
また、本開示においては、さらに、タイヤの仮想体積V(mm)および断面幅Wt(mm)が、[(V+1.5×10)/Wt]≦4.02×10を満足していることが好ましい。なお、[(V+1.5×10)/Wt]は、3.62×10以下であるとより好ましく、3.33×10以下であるとさらに好ましく、2.99×10以下であるとさらに好ましい。
このように、タイヤの断面幅Wtの減少に合わせてタイヤの仮想体積Vを減少させ、タイヤそのものの体積を減らすことにより、遠心力による外径成長率を低減させることができるため、サイド部のビード部での変形量を減らすことができ、また、トレッド部のラウンド化も抑制することができると考えられる。
このとき、[(V+2.0×10)/Wt]≦4.02×10であるとより好ましく、[(V+2.5×10)/Wt]≦4.02×10であると、さらに好ましい。
なお、[(V+2.0×10)/Wt]は、3.81×10以下であることが好ましく、3.57×10以下であるとより好ましく、3.31×10以下であるとさらに好ましい。また、[(V+2.5×10)/Wt]は、4.01×10以下であることが好ましく、3.82×10以下であるとより好ましく、3.63×10以下であるとさらに好ましい。
[3]本開示の実施の形態
以下、実施の形態に基づいて、本開示を具体的に説明する。
1.トレッドゴム組成物
本実施の形態において、トレッドゴム組成物は、以下に記載するゴム成分、樹脂成分、およびその他の配合材料から得ることができる。
(1)ゴム成分
本実施の形態において、前記したように、トレッドゴム組成物は、ゴム成分として、SBRおよびイソプレン系ゴムを含有している。ゴム成分100質量部中におけるSBRおよびイソプレン系ゴムの含有量は、全体として60質量部以上であることが好ましく、この内、SBRは50質量部超、80質量部以下であることが好ましい。
(a)スチレンブタジエンゴム(SBR)
スチレンブタジエンゴムとしては、重量平均分子量が、例えば、10万以上、200万以下であるSBRが好ましく使用される。これにより、SBR相の歪みや応力に対する強度の向上を図ることができるため、タイヤの破壊強度を向上させることができる。
そして、本実施の形態に使用されるSBRにおけるスチレン含有量(以下、「スチレン量」ともいう)は、5質量%以上、25質量%以下であることが好ましい。また、ゴム組成物中におけるスチレン含有量は、1質量%以上、5質量%以下であることが好ましい。これにより、ゴム組成物におけるスチレン同士の凝集を抑えることができるため、トレッドの追従性を向上させることができる。また、SBRのブタジエン部に占めるビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、40質量%以下であることが好ましい。そして、SBRの構造同定(スチレン量、ビニル結合量の測定)は、例えば、日本電子(株)製JNM-ECAシリーズの装置を用いて行うことができる。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。そして、SBRは、非変性SBR、変性SBRのいずれであってもよいが、変性S-SBRを使用した場合、分散性が向上し、耐摩耗性や耐スリップ性のさらなる向上が見込まれるため好ましい。
変性SBRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖および末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。
また、変性SBRとして、例えば、下記式で表される化合物(変性剤)により変性されたSBRを使用できる。
なお、式中、R、RおよびRは、同一または異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(-COOH)、メルカプト基(-SH)またはこれらの誘導体を表す。RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはアルキル基を表す。RおよびRは結合して窒素原子と共に環構造を形成してもよい。nは整数を表す。
上記式で表される化合物(変性剤)により変性された変性SBRとしては、溶液重合のスチレンブタジエンゴム(S-SBR)の重合末端(活性末端)を上記式で表される化合物により変性されたSBR(特開2010-111753号公報に記載の変性SBR等)を使用できる。
、RおよびRとしてはアルコキシ基が好適である(好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基)。RおよびRとしてはアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基)が好適である。nは、好ましくは1~5、より好ましくは2~4、更に好ましくは3である。また、RおよびRが結合して窒素原子と共に環構造を形成する場合、4~8員環であることが好ましい。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基等)も含まれる。
上記変性剤の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、変性SBRとしては、以下の化合物(変性剤)により変性された変性SBRも使用できる。変性剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;ジグリシジル化ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4-ジグリシジルベンゼン、1,3,5-トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’-ジグリシジル-ジフェニルメチルアミン、4,4’-ジグリシジル-ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、N,N’-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル-p-フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物;ビス-(1-メチルプロピル)カルバミン酸クロリド、4-モルホリンカルボニルクロリド、1-ピロリジンカルボニルクロリド、N,N-ジメチルカルバミド酸クロリド、N,N-ジエチルカルバミド酸クロリド等のアミノ基含有酸クロリド;1,3-ビス-(グリシジルオキシプロピル)-テトラメチルジシロキサン、(3-グリシジルオキシプロピル)-ペンタメチルジシロキサン等のエポキシ基含有シラン化合物;(トリメチルシリル)[3-(トリメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリブトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジブトキシシリル)プロピル]スルフィド等のスルフィド基含有シラン化合物;エチレンイミン、プロピレンイミン等のN-置換アジリジン化合物;メチルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジ-t-ブチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、N,N,N’,N’-ビス-(テトラエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミノ基および/または置換アミノ基を有する(チオ)ベンゾフェノン化合物;4-N,N-ジメチルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジビニルアミノベンズアルデヒド等のアミノ基および/または置換アミノ基を有するベンズアルデヒド化合物;N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-フェニル-2-ピロリドン、N-t-ブチル-2-ピロリドン、N-メチル-5-メチル-2-ピロリドン等のN-置換ピロリドン;N-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-ピペリドン、N-フェニル-2-ピペリドン等のN-置換ピペリドン;N-メチル-ε-カプロラクタム、N-フェニル-ε-カプロラクタム、N-メチル-ω-ラウリロラクタム、N-ビニル-ω-ラウリロラクタム、N-メチル-β-プロピオラクタム、N-フェニル-β-プロピオラクタム等のN-置換ラクタム類の他、N,N-ビス-(2,3-エポキシプロポキシ)-アニリン、4,4-メチレン-ビス-(N,N-グリシジルアニリン)、トリス-(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン類、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルマレイミド、N,N-ジエチル尿素、1,3-ジメチルエチレン尿素、1,3-ジビニルエチレン尿素、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン、4-N,N-ジメチルアミノアセトフェン、4-N,N-ジエチルアミノアセトフェノン、1,3-ビス(ジフェニルアミノ)-2-プロパノン、1,7-ビス(メチルエチルアミノ)-4-ヘプタノン等を挙げることができる。なお、上記化合物(変性剤)による変性は公知の方法で実施可能である。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)、Versalis社等により製造、販売されているSBRを使用できる。なお、SBRは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上のSBRを組み合わせて用いる場合、上記したスチレン量、ビニル結合量などについては、各SBRの重量平均を使用する。
(b)イソプレン系ゴム
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられるが、これらのうちでも、NRが好ましく使用される。
具体的なNRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(c)ブタジエンゴム
トレッドゴム組成物は、必要に応じて、ゴム成分として、さらに、ブタジエンゴム(BR)を含んでいてもよく、BRを含む場合、ゴム成分100質量部中のBRの含有量は、例えば40質量部以下である。BRの重量平均分子量は、例えば、10万以上、200万以下である。BRのビニル結合量は、例えば1質量%以上、30質量%以下である。BRのシス含量は、例えば1質量%以上、98質量%以下である。BRのトランス含量は、例えば1質量%以上、60質量%以下である。
BRとしては特に限定されず、高シス含量(シス含量が90%以上)のBR、低シス含量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。BRは、非変性BR、変性BRのいずれでもよく、変性BRとしては、前述の官能基が導入された変性BRが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
(d)その他のゴム成分
また、その他のゴム成分として、必要に応じて、ニトリルゴム(NBR)などのタイヤの製造に一般的に用いられるゴム(ポリマー)を含んでもよい。
(2)ゴム成分以外の配合材料
(a)樹脂成分
本実施の形態において、トレッドゴム組成物は、粘着性付与の観点から樹脂成分を含有している。含有量は、前記したように、ゴム成分100質量部に対して25質量部超であり、断面幅Wt(mm)に対するQ(質量部)の比率(Q/Wt)が0.1を超える量(質量部)とする。そして、Q(質量部)は30質量部超であるとより好ましく、40質量部超であるとさらに好ましい。また、(Q/Wt)は、前記したように、0.12以上であると好ましく、0.15以上であるとより好ましく、0.15超であるとさらに好ましく、0.17以上であるとさらに好ましく、0.20以上であるとさらに好ましく、0.20超であるとさらに好ましく、0.24以上であるとさらに好ましく、0.26以上であるとさらに好ましい。一方、0.35未満であることが好ましい。なお、これらの樹脂成分は熱可塑性であるため、後述するオイルと共に、軟化剤としても機能する。
樹脂成分は、常温で固体であっても、液体であってもよく、具体的な樹脂成分としては、例えば、ロジン系樹脂、スチレン系樹脂、クマロン系樹脂、テルペン系樹脂、C5樹脂、C9樹脂、C5C9樹脂、アクリル系樹脂などの樹脂が挙げられ、2種以上を併用しても良い。
ロジン系樹脂は、松脂を加工することにより得られるロジン酸を主成分とする樹脂である。このロジン系樹脂(ロジン類)は、変性の有無によって分類可能であり、無変性ロジン(未変性ロジン)、ロジン変性体(ロジン誘導体)に分類できる。無変性ロジンとしては、例えば、トールロジン(別名トール油ロジン)、ガムロジン、ウッドロジン、不均斉化ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、その他の化学的に修飾されたロジンなどが挙げられる。ロジン変性体は無変性ロジンの変性体であって、例えば、ロジンエステル類、不飽和カルボン酸変性ロジン類、不飽和カルボン酸変性ロジンエステル類、ロジンのアミド化合物、ロジンのアミン塩などが挙げられる。
スチレン系樹脂は、スチレン系単量体を構成モノマーとして用いたポリマーであり、スチレン系単量体を主成分(50質量%以上)として重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、スチレン系単量体(スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-フェニルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン等)をそれぞれ単独で重合した単独重合体、2種以上のスチレン系単量体を共重合した共重合体の他、スチレン系単量体およびこれと共重合し得る他の単量体のコポリマーも挙げられる。
前記他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのアクリロニトリル類、アクリル類、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル類、クロロプレン、ブタジエンイソプレンなどのジエン類、1-ブテン、1-ペンテンのようなオレフィン類;無水マレイン酸等のα,β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物等が例示できる。
クマロン系樹脂の中でも、クマロンインデン樹脂が好ましい。クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成するモノマー成分として、クマロンおよびインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
クマロンインデン樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1.0質量部超、50.0質量部未満である。
クマロンインデン樹脂の水酸基価(OH価)は、例えば、15mgKOH/g超、150mgKOH/g未満である。なお、OH価とは、樹脂1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものであり、電位差滴定法(JIS K 0070:1992)により測定した値である。
クマロンインデン樹脂の軟化点は、例えば、30℃超、160℃未満である。なお、軟化点は、JIS K 6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
テルペン系樹脂としては、ポリテルペン、テルペンフェノール、芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。ポリテルペンは、テルペン化合物を重合して得られる樹脂およびそれらの水素添加物である。テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素およびその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
ポリテルペンとしては、上述したテルペン化合物を原料とするα-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β-ピネン/リモネン樹脂などのテルペン樹脂の他、該テルペン樹脂に水素添加処理した水素添加テルペン樹脂も挙げられる。テルペンフェノールとしては、上記テルペン化合物とフェノール系化合物とを共重合した樹脂、および該樹脂に水素添加処理した樹脂が挙げられ、具体的には、上記テルペン化合物、フェノール系化合物およびホルマリンを縮合させた樹脂が挙げられる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン樹脂を芳香族化合物で変性して得られる樹脂、および該樹脂に水素添加処理した樹脂が挙げられる。なお、芳香族化合物としては、芳香環を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、不飽和炭化水素基含有フェノールなどのフェノール化合物;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール、不飽和炭化水素基含有ナフトールなどのナフトール化合物;スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、不飽和炭化水素基含有スチレンなどのスチレン誘導体;クマロン、インデンなどが挙げられる。
市販品のテルペン系樹脂としては、例えば、ヤスハラケミカル(株)等の製品を使用でき、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
「C5樹脂」とは、C5留分を重合することにより得られる樹脂をいう。C5留分としては、例えば、シクロペンタジエン、ペンテン、ペンタジエン、イソプレン等の炭素数4~5個相当の石油留分が挙げられる。C5系石油樹脂としては、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)が好適に用いられる。
「C9樹脂」とは、C9留分を重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C9留分としては、例えば、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデン、メチルインデン等の炭素数8~10個相当の石油留分が挙げられる。具体例としては、例えば、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、および芳香族ビニル系樹脂が好適に用いられる。芳香族ビニル系樹脂としては、経済的で、加工しやすく、発熱性に優れているという理由から、α-メチルスチレンもしくはスチレンの単独重合体またはα-メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましく、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体がより好ましい。芳香族ビニル系樹脂としては、例えば、クレイトン社、イーストマンケミカル社等より市販されているものを使用することができる。
「C5C9樹脂」とは、前記C5留分と前記C9留分を共重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C5留分およびC9留分としては、前記の石油留分が挙げられる。C5C9樹脂としては、例えば、東ソー(株)、LUHUA社等より市販されているものを使用することができる。
アクリル系樹脂としては特に限定されないが、例えば、無溶剤型アクリル系樹脂を使用できる。
無溶剤型アクリル系樹脂は、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)が挙げられる。なお、本開示において、(メタ)アクリルは、メタクリルおよびアクリルを意味する。
上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体と共に、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルを使用してもよい。
上記アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル成分のみで構成される樹脂であっても、(メタ)アクリル成分以外の成分をも構成要素とする樹脂であっても良い。また、上記アクリル系樹脂は、水酸基、カルボキシル基、シラノール基等を有していても良い。
樹脂成分としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
(b)充填剤
本実施の形態において、ゴム組成物は、充填剤を含有することが好ましい。具体的な充填剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカなどが挙げられ、この内でも、低転がり抵抗性を発揮させるという観点から、シリカが、補強用充填剤として好ましく使用でき、シランカップリング剤と併用することが好ましい。また、必要に応じて、補強用充填剤として、カーボンブラックを使用することも好ましい。
(イ)シリカ
シリカのゴム成分100質量部に対する含有量としては、40質量部以上であることが好ましい。なお、上限は、ゴム組成物の混錬ができる限り、特に限定はされないが、例えば、200質量部程度が好ましい。これにより、シリカがNRやSBRいずれかに偏在することなく、ゴム系全体に分散されるため、耐摩耗性や耐スリップ性の向上を図ることができる。
シリカとしては、BET比表面積が180m/g以上、300m/g以下のシリカを好ましく使用することができる。これにより、シリカによる補強性をさらに高めることができるため、特に耐摩耗性が向上する。なお、このBET比表面積は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される窒素吸着比表面積(NSA)の値である。
具体的なシリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましく、例えば、エボニック社、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
(ロ)シランカップリング剤
ゴム組成物は、シリカと共にシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の好ましい含有量は、シリカ100質量部に対して、例えば、3質量部超、15質量部未満である。具体的なシランカップリング剤としては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。
(ハ)カーボンブラック
トレッドゴム組成物は、カーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、200質量部以下である。
カーボンブラックとしては特に限定されず、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCFおよびECFのようなファーネスブラック(ファーネスカーボンブラック);アセチレンブラック(アセチレンカーボンブラック);FTおよびMTのようなサーマルブラック(サーマルカーボンブラック);EPC、MPCおよびCCのようなチャンネルブラック(チャンネルカーボンブラック)などをあげることができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、例えば30m/g以上、250m/g以下である。カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、例えば50ml/100g以上、250ml/100g以下である。なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、ASTM D4820-93に従って測定され、DBP吸収量は、ASTM D2414-93に従って測定される。
具体的なカーボンブラックとしては特に限定されず、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(ニ)その他の充填剤
ゴム組成物には、上記したカーボンブラック、シリカの他に、タイヤ工業において一般的に用いられている、例えば、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ等の充填剤をさらに含有してもよい。これらの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部超、200質量部未満である。
(c)軟化剤
トレッドゴム組成物は、オイル(伸展油を含む)や液状ゴム等を軟化剤として含んでもよい。これらの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して1質量部超が好ましく、10質量部未満が好ましい。なお、オイルの含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイルの量も含まれる。
オイルとしては、例えば、鉱物油(一般にプロセスオイルと言われる)、植物油脂、またはその混合物が挙げられる。鉱物油(プロセスオイル)としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
具体的なプロセスオイル(鉱物油)としては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。
軟化剤として挙げた液状ゴムとは、常温(25℃)で液体状態の重合体であり、かつ、固体ゴムと同様のモノマーを構成要素とする重合体である。液状ゴムとしては、ファルネセン系ポリマー、液状ジエン系重合体及びそれらの水素添加物等が挙げられる。
ファルネセン系ポリマーとは、ファルネセンを重合することで得られる重合体であり、ファルネセンに基づく構成単位を有する。ファルネセンには、α-ファルネセン((3E,7E)-3,7,11-トリメチル-1,3,6,10-ドデカテトラエン)やβ-ファルネセン(7,11-ジメチル-3-メチレン-1,6,10-ドデカトリエン)などの異性体が存在する。
ファルネセン系ポリマーは、ファルネセンの単独重合体(ファルネセン単独重合体)でも、ファルネセンとビニルモノマーとの共重合体(ファルネセン-ビニルモノマー共重合体)でもよい。
液状ジエン系重合体としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)などが挙げられる。
液状ジエン系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、例えば、1.0×10超、2.0×10未満である。なお、本明細書において、液状ジエン系重合体のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値である。
液状ゴムの含有量(液状ファルネセン系ポリマー、液状ジエン系重合体等の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1質量部超、100質量部未満である。
液状ゴムとしては、例えば、クラレ(株)、クレイバレー社等の製品を使用できる。
(d)老化防止剤
トレッドゴム組成物は、老化防止剤を含むことが好ましい。老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、10質量部以下である。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、老化防止剤としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
(e)ステアリン酸
トレッドゴム組成物は、ステアリン酸を含んでもよい。ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、10.0質量部以下である。ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
(f)酸化亜鉛
トレッドゴム組成物は、酸化亜鉛(亜鉛華)を含んでもよい。酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、10質量部以下である。酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
(g)ワックス
トレッドゴム組成物は、ワックスを含むことが好ましい。ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5~20質量部、好ましくは1.0~15質量部、より好ましくは1.5~10質量部である。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックスなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
(h)架橋剤および加硫促進剤
トレッドゴム組成物は、硫黄等の架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、10.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、硫黄としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
硫黄以外の架橋剤としては、例えば、田岡化学工業(株)製のタッキロールV200、フレキシス社製のDURALINK HTS(1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物)、ランクセス社製のKA9188(1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)等の硫黄原子を含む加硫剤や、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。
トレッドゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.3質量部以上、10.0質量部以下である。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(i)その他
トレッドゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、脂肪酸金属塩、カルボン酸金属塩、有機過酸化物、グラファイト等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部超、200質量部未満である。
2.トレッドゴム組成物の作製
トレッドゴム組成物は、一般的な方法、例えば、ゴム成分とシリカやカーボンブラック等のフィラーとを混練するベース練り工程と、前記ベース練り工程で得られた混練物と架橋剤とを混練する仕上げ練り工程とを含む製造方法により作製される。
混練は、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの公知の(密閉式)混練機を用いて行うことができる。
ベース練り工程の混練温度は、例えば、50℃以上、200℃以下であり、混練時間は、例えば、30秒以上、30分以下である。ベース練り工程では、上記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、オイル等の軟化剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、加硫促進剤などを必要に応じて適宜添加、混練してもよい。
仕上げ練り工程では、前記ベース練り工程で得られた混練物と架橋剤とが混練される。仕上げ練り工程の混練温度は、例えば、室温以上、80℃以下であり、混練時間は、例えば、1分以上、15分以下である。仕上げ練り工程では、上記成分以外にも、加硫促進剤、酸化亜鉛等を必要に応じて適宜添加、混練してもよい。
3.タイヤの製造
本開示のタイヤは、前記仕上げ練り工程を経て得られた未加硫ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、未加硫ゴム組成物を、トレッドの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材と共に、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、まず、未加硫タイヤを作製する。
具体的には、成形ドラム上に、タイヤの気密保持性を確保するための部材としてのインナーライナー、タイヤの受ける荷重、衝撃、充填空気圧に耐える部材としてのカーカス、カーカスを強く締付けトレッドの剛性を高める部材としてのベルトなどを巻回し、両側縁部にカーカスの両端を固定すると共に、タイヤをリムに固定させるための部材としてのビード部を配置して、トロイド状に成形した後、外周の中央部にトレッド、径方向外側にカーカスを保護して屈曲に耐える部材としてのサイドウォール部を貼り合せることにより、未加硫タイヤを作製する。
なお、本実施の形態においては、ベルトとして、タイヤ周方向に対して、55°以上、75°以下の角度で傾斜して延びる傾斜ベルト層を設けることが好ましく、これにより、タイヤの耐久性を確保すると共に、トレッドの剛性を十分に維持することができる。
その後、作製された未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。加硫工程は、公知の加硫手段を適用することで実施できる。加硫温度としては、例えば、120℃以上、200℃以下であり、加硫時間は、例えば、5分以上、15分以下である。
このとき、前記タイヤは、上記した(式1)を満足する形状に成形される。
なお、上記(式1)を満足し得る具体的なタイヤとしては、145/60R18、145/60R19、155/55R18、155/55R19、155/70R17、155/70R19、165/55R20、165/55R21、165/60R19、165/65R19、165/70R18、175/55R19、175/55R20、175/55R22、175/60R18、185/55R19、185/60R20、195/50R20、195/55R20等のサイズ表記のタイヤが挙げられる。
本実施の形態においては、(式1)を満足し得るタイヤの内でも、乗用車用空気入りタイヤに適用することが好ましく、上記したトレッドゴム組成物を用いてトレッド部を形成し、(式1)を満足する形状とすることにより、雨天走行時における操縦安定性を向上させるという本開示における課題の解決に対して、より好適に貢献することができる。
なお、上記の乗用車用空気入りタイヤとは、四輪で走行する自動車に装着されるタイヤであって、最大負荷能力が1000Kg以下のタイヤを言う。ここで、最大負荷能力とは、そのタイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定める最大負荷能力であり、例えば、JATMA規格(日本自動車タイヤ協会規格)であればロードインデックス(LI)に基づく最大負荷能力、TRA(The Tire and Rim Association, Inc.)であれば“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”を指す。なお、これらの規格に定めのないタイヤについては、下記式に基づいて計算された値を最大負荷能力とする。
最大負荷能力(kg)=0.000011×V+175
V:タイヤの仮想体積(mm
最大負荷能力は、1000Kg以下であれば、特に限定されないが、一般的に最大負荷能力の増加に伴い、タイヤ重量が増加しやすく、それに合わせて慣性により制動距離も長くなることから、900Kg以下であることが好ましく、800Kg以下であることがより好ましく、さらに700Kg以下であることが好ましい。
タイヤ重量は、上記した慣性による制動距離の観点から、20Kg以下であることが好ましく、15Kg以下であることがより好ましく、さらに12Kg以下、10Kg以下、8Kg以下であることが好ましい。なお、本開示のタイヤには、電子部品が備えられていてもよく、この場合、ここで言うタイヤ重量とは、電子部品及び電子部品取付部材の重量を含むタイヤ重量である。また、内腔部にシーラント、スポンジなどを設けた場合には、それらも含めたタイヤ重量である。
以下、実施例により、本開示についてさらに具体的に説明する。
1.トレッド用ゴム組成物の製造
最初に、トレッド用ゴム組成物の製造を行った。
(1)配合材料
まず、以下に示す各配合材料を準備した。
(a)ゴム成分
(イ)NR:RSS#3
(ロ)SBR:JSR(株)製のNS116
(スチレン含量:20質量%)
(ハ)BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B
(b)ゴム成分以外の配合材料
(イ)カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220
(NSA:111m/g、DBP:115ml/100g)
(ロ)シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3
(NSA:175m/g)
(ハ)シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69
(ビス3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
(ニ)プロセスオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX-140
(アロマオイル)
(ホ)樹脂成分:クレイトン社製のSylvatraxx4401
(α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体)
(ヘ)亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
(ト)ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
(チ)老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C
(N-1,3-ジメチルブチル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
(リ)ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
(ヌ)架橋剤および加硫促進剤
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤-1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤-2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
(N,N’-ジフェニルグアニジン)
(2)ゴム組成物の製造
樹脂成分を除いた各配合材料の配合量(質量部)を表1に示す。そして、樹脂成分の配合量(質量部)は、表2~表4に示す量とした。
表1に示した配合材料のうち硫黄、加硫促進剤-1、加硫促進剤-2を除く各配合材料、および樹脂成分を、150℃の条件下で5分間混練りして、混練物を得た。
2.タイヤの製造
次に、得られた混練物に、硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、トレッドゴム組成物を得た。得られたトレッドゴム組成物を用いてトレッドを成形し、他のタイヤ部材と共に貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で10分間プレス加硫して、サイズが、155タイプ(表2)、205タイプ(表3)、245タイプ(表4)の各試験用タイヤを製造した。
そして、各試験用タイヤにおける断面幅Wt(mm)、外径Dt(mm)、断面高さHt(mm)、扁平率(%)を求めるとともに、仮想体積V(mm)を求めた。
そして、(Dt-2×Ht)、(V+1.5×10)/Wt、(V+2.0×10)/Wt、(V+2.5×10)/Wt、Q/Wtを算出した。結果を表2~表4に示す。
3.操縦安定性の評価
(1)試験方法
各試験用タイヤを車輌(国産のFF車、排気量2000cc)の全輪に装着させて、内圧が250kPaとなるように空気を充填した後、湿潤路面のテストコース上を、40km/hおよび120km/hで走行し、走行速度を変えたことによるハンドリング性の変化を、1(大幅な変化を感じる)から5(殆ど変化を感じない)までの5段階で、ドライバーが官能にて評価した。そして、20人のドライバーによる評価の合計点を算出した。
次いで、評価の基準とするタイヤ(表2では比較例1-2、表3では比較例2-2、表4では比較例3-3)における結果を100として、下式に基づいて指数化し、Wet操縦安定指数とした。数値が大きいほど、ウェット路面上を高速走行する際の操縦安定性が優れていることを示す。
Wet操縦安定指数
=[(試験用タイヤの結果)/(評価基準タイヤの結果)]×100
(2)評価結果
表2にサイズ155タイプにおける評価結果を、表3にサイズ205タイプにおける評価結果を、表4にサイズ245タイプにおける評価結果を示す。
表2~表4より、155サイズ、205サイズ、245サイズ、いずれのサイズのタイヤにおいても、樹脂成分量Qがゴム成分量の1/4、即ち、ゴム成分100質量部に対して25質量部を超えており、かつ、上記した(式1)、(式2)が満たされている場合には、Wet操縦安定指数が100を超えており、ウェット路面上を高速走行する際の操縦安定性が十分に改善された空気入りタイヤを提供できていることが分かる。
そして、本開示(2)以降に規定する各要件を満たすことにより、Wet操縦安定指数がさらに高くなり、ウェット路面上を高速走行する際の操縦安定性がさらに改善された空気入りタイヤを提供できていることが分かる。
一方、樹脂成分量Qがゴム成分量の1/4以下(ゴム成分100質量部に対して25質量部以下)である場合や、(式1)、(式2)のいずれかを満たしていない場合には、Wet操縦安定指数が100以下であり、ウェット路面上を高速走行する際の操縦安定性が十分に改善されているとは言えないことが分かる。
以上、本開示を実施の形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施の形態に限定されるものではない。本開示と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
本開示(1)は、
スチレンブタジエンゴムおよびイソプレン系ゴムをゴム成分として含有すると共に、樹脂成分を含有するゴム組成物によってトレッド部が形成されており、
前記ゴム成分100質量部に対する前記樹脂成分の含有量をQ(質量部)とし、
正規リムに組み込まれ、内圧を250kPaとした際のタイヤの断面幅をWt(mm)、外径をDt(mm)としたとき、
前記ゴム成分100質量部に対する前記樹脂成分の含有量Q(質量部)が、25質量部超であり、
下記(式1)および(式2)を満足することを特徴とする空気入りタイヤである。
1600≦(Dt×π/4)/Wt≦2827.4 (式1)
Q/Wt≧0.26 ・・・・・・・・・・・・・・・(式2)
本開示(2)は、
前記ゴム成分100質量部中におけるスチレンブタジエンゴムの量をR1(質量部)、前記イソプレン系ゴムの量をR2(質量部)としたとき、
下記(式3)、(式4)を満足することを特徴とし、本開示(1)に記載の空気入りタイヤである。
R1+R2≧60 ・・・・・・・・・・・・・・・・(式3)
50<R1≦80 ・・・・・・・・・・・・・・・・(式4)
本開示(3)は、
下記式を満足することを特徴とし、本開示(1)または本開示(2)に記載の空気入りタイヤである。
1865≦(Dt×π/4)/Wt
本開示(4)は、
前記ゴム成分100質量部に対する前記樹脂成分の含有量Q(質量部)が、30質量部超であることを特徴とし、本開示(1)ないし本開示(3)のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。
本開示()は、
下記(式6)を満足することを特徴とし、本開示(1)ないし本開示()のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。
Q/Wt<0.35・・・・・・・・・・・・・・・・(式6)
本開示()は、
前記スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量が、10万以上、200万以下であることを特徴とし、本開示(1)ないし本開示()のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。
本開示()は、
前記スチレンブタジエンゴムが、変性溶液重合スチレンブタジエンゴムであることを特徴とし、本開示(1)ないし本開示()のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。
本開示()は、
前記スチレンブタジエンゴム中におけるスチレン含有量が、5質量%以上、25質量%以下であることを特徴とし、本開示(1)ないし本開示()のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。
本開示()は、
前記ゴム組成物中におけるスチレン含有量が、1質量%以上、5質量%以下であることを特徴とし、本開示(1)ないし本開示()のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。
本開示(10)は、
前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部中に、さらに、ブタジエンゴムを、40質量部以下含有していることを特徴とし、本開示(1)ないし本開示()のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。
本開示(11)は、
前記樹脂成分が、C5系樹脂、C5-C9系樹脂、C9系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン-芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、アルキルフェノール系樹脂の群から選択される樹脂成分であることを特徴とし、本開示(1)ないし本開示(10)のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。
本開示(12)は、
前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して、40質量部以上のシリカを含有していることを特徴とし、本開示(1)ないし本開示(11)のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。
本開示(13)は、
前記シリカのBET比表面積が、180m/g以上、300m/g以下であることを特徴とし、本開示(12)に記載の空気入りタイヤである。
本開示(14)は、
前記シリカ100質量部に対して、3質量部超、15質量部未満のシランカップリング剤が含有されていることを特徴とし、本開示(12)または本開示(13)に記載の空気入りタイヤである。
本開示(15)は、
扁平率が、40%以上であることを特徴とし、本開示(1)ないし本開示(14)のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。
本開示(16)は、
前記外径Dt(mm)が、843mm未満であることを特徴とし、本開示(1)ないし本開示(15)のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。
本開示(17)は、
前記断面幅Wt(mm)が、305mm未満であることを特徴とし、本開示(1)ないし本開示(16)のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。
本開示(18)は、
正規リムに組み込み、内圧を250kPaとした際のタイヤの外径をDt(mm)、タイヤの断面高さをHt(mm)としたとき、(Dt-2×Ht)が、430(mm)以上であることを特徴とし、本開示(1)ないし本開示(17)のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。
本開示(19)は、
正規リムに組み込まれ、内圧を250kPaとした際のタイヤの断面幅をWt(mm)、外径をDt(mm)、断面高さをHt(mm)としたとき、
タイヤが占める空間の仮想体積V(mm)と、前記Wtとが、下式を満足することを特徴とし、本開示(1)ないし本開示(18)のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。
[(V+1.5×10)/Wt]≦4.02×10
本開示(20)は、
下式を満足することを特徴とし、本開示(19)に記載の空気入りタイヤである。
[(V+2.0×10)/Wt]≦4.02×10
本開示(21)は、
下式を満足することを特徴とし、本開示(20)に記載の空気入りタイヤである。
[(V+2.5×10)/Wt]≦4.02×10
本開示(22)は、
乗用車用空気入りタイヤであることを特徴とし、本開示(1)ないし本開示(21)のいずれかとの任意の組合せの空気入りタイヤである。

Claims (22)

  1. スチレンブタジエンゴムおよびイソプレン系ゴムをゴム成分として含有すると共に、樹脂成分を含有するゴム組成物によってトレッド部が形成されており、
    前記ゴム成分100質量部に対する前記樹脂成分の含有量をQ(質量部)とし、
    正規リムに組み込まれ、内圧を250kPaとした際のタイヤの断面幅をWt(mm)、外径をDt(mm)としたとき、
    前記ゴム成分100質量部に対する前記樹脂成分の含有量Q(質量部)が、25質量部超であり、
    下記(式1)および(式2)を満足することを特徴とする空気入りタイヤ。
    1600≦(Dt×π/4)/Wt≦2827.4 (式1)
    Q/Wt≧0.26 ・・・・・・・・・・・・・・(式2)
  2. 前記ゴム成分100質量部中におけるスチレンブタジエンゴムの量をR1(質量部)、前記イソプレン系ゴムの量をR2(質量部)としたとき、
    下記(式3)、(式4)を満足することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
    R1+R2≧60 ・・・・・・・・・・・・・・・・(式3)
    50<R1≦80 ・・・・・・・・・・・・・・・・(式4)
  3. 下記式を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
    1865≦(Dt×π/4)/Wt
  4. 前記ゴム成分100質量部に対する前記樹脂成分の含有量Q(質量部)が、30質量部超であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 下記(式6)を満足することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
    Q/Wt<0.35・・・・・・・・・・・・・・・・(式6)
  6. 前記スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量が、10万以上、200万以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記スチレンブタジエンゴムが、変性溶液重合スチレンブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記スチレンブタジエンゴム中におけるスチレン含有量が、5質量%以上、25質量%以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記ゴム組成物中におけるスチレン含有量が、1質量%以上、5質量%以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部中に、さらに、ブタジエンゴムを、40質量部以下含有していることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記樹脂成分が、C5系樹脂、C5-C9系樹脂、C9系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン-芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、アルキルフェノール系樹脂の群から選択される樹脂成分であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して、40質量部以上のシリカを含有していることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記シリカのBET比表面積が、180m/g以上、300m/g以下であることを特徴とする請求項12に記載の空気入りタイヤ。
  14. 前記シリカ100質量部に対して、3質量部超、15質量部未満のシランカップリング剤が含有されていることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の空気入りタイヤ。
  15. 扁平率が、40%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  16. 前記外径Dt(mm)が、843mm未満であることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  17. 前記断面幅Wt(mm)が、305mm未満であることを特徴とする請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  18. 正規リムに組み込み、内圧を250kPaとした際のタイヤの外径をDt(mm)、タイヤの断面高さをHt(mm)としたとき、(Dt-2×Ht)が、430(mm)以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  19. 正規リムに組み込まれ、内圧を250kPaとした際のタイヤの断面幅をWt(mm)、外径をDt(mm)、断面高さをHt(mm)としたとき、
    タイヤが占める空間の仮想体積V(mm)と、前記Wtとが、下式を満足することを特徴とする請求項1ないし請求項18のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
    [(V+1.5×10)/Wt]≦4.02×10
  20. 下式を満足することを特徴とする請求項19に記載の空気入りタイヤ。
    [(V+2.0×10)/Wt]≦4.02×10
  21. 下式を満足することを特徴とする請求項20に記載の空気入りタイヤ。
    [(V+2.5×10)/Wt]≦4.02×10
  22. 乗用車用空気入りタイヤであることを特徴とする請求項1ないし請求項21のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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