本開示の一形態に係るデータ生成装置は、建物を構成する構造物、前記建物に配置される換気設備、及び前記建物に配置される家具を含む前記建物のオブジェクトに関する情報を用いて、前記建物のモデルを生成するモデル生成装置であって、プロセッサと、メモリと、を備え、前記プロセッサは、前記メモリを用いて、前記オブジェクトのうち、人が滞在する可能性があるオブジェクトである人属性オブジェクトに対応づけられた前記人に関する情報である人属性情報を取得し、前記構造物のオブジェクトに関する情報、及び前記構造物のオブジェクトの前記建物内の配置を示す配置情報に基づいて、前記構造物で区画された前記建物の少なくとも一つの空間における前記換気設備による風速分布を特定し、前記風速分布と予め定められた空質条件とを用いて、前記空質条件を満たす前記空間内の領域を示す情報である空質情報を作成し、前記空質情報、及び、前記人属性情報を用いて、前記人属性オブジェクトが前記空間内で配置可能な領域を示す配置可能領域を作成し、前記人属性オブジェクトを前記配置可能領域に配置する。
このように、人属性情報と風速分布に基づいて、人属性オブジェクトの配置可能領域を作成することにより、建物の空間内に滞在する可能性がある人周辺の空質を考慮した人属性オブジェクトの配置を設計することができる。これにより、建物の設計段階において、建物の空間内に滞在する可能性がある人周辺の空質を保つ設計を行うことができるモデルを生成することができる。
また、例えば、前記プロセッサは、前記配置可能領域を作成する際、前記風速分布を用いて、前記空間において滞在を許容できる人数の分布領域を示す許容人数分布を特定し、特定した前記許容人数分布を用いて、配置可能領域を作成してもよい。
これにより、許容人数分布を用いて、建物の空間内に滞在する可能性がある人周辺の空質を保つ設計を行うことができるモデルを生成することができる。
また、例えば、前記プロセッサは、さらに、作成した前記配置可能領域を用いて、前記人属性オブジェクトが現在配置されている位置が許容されるかを判定し、前記位置が許容される場合、前記モデルに前記位置の前記人属性オブジェクトを含め、前記位置が許容されない場合、前記空質情報、及び、前記位置に基づいて、前記位置が許容されるために必要な換気量である必要換気量を算出して、出力してもよい。
また、例えば、前記前記建物のモデルは、BIM(Building Information Modeling)データに含まれてもよい。
これにより、BIMを利用して、図面等のデータの整合性を向上させることができるだけでなく、修正が発生した場合の手間及び時間を削減することができる。
また、本開示の一形態に係るモデル生成方法は、建物を構成する構造物、前記建物に配置される換気設備、及び前記建物に配置される家具を含む前記建物のオブジェクトに関する情報を用いて、前記建物のモデルを生成するモデル生成方法であって、前記オブジェクトのうち、人が滞在する可能性があるオブジェクトである人属性オブジェクトに対応づけられた前記人に関する情報である人属性情報を取得し、前記構造物のオブジェクトに関する情報、及び前記構造物のオブジェクトの前記建物内の配置を示す配置情報に基づいて、前記構造物で区画された前記建物の少なくとも一つの空間における前記換気設備による風速分布を特定し、前記風速分布と予め定められた空質条件とを用いて、前記空質条件を満たす前記空間内の領域を示す情報である空質情報を作成し、前記空質情報、及び、前記人属性情報を用いて、前記人属性オブジェクトが前記空間内で配置可能な領域を示す配置可能領域を作成し、前記人属性オブジェクトを前記配置可能領域に配置する。
また、本開示の一形態に係るプログラムは、建物を構成する構造物、前記建物に配置される換気設備、及び前記建物に配置される家具を含む前記建物のオブジェクトに関する情報を用いて、前記建物のモデルを生成するモデル生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記オブジェクトのうち、人が滞在する可能性があるオブジェクトである人属性オブジェクトに対応づけられた前記人に関する情報である人属性情報を取得し、前記構造物のオブジェクトに関する情報、及び前記構造物のオブジェクトの前記建物内の配置を示す配置情報に基づいて、前記構造物で区画された前記建物の少なくとも一つの空間における前記換気設備による風速分布を特定し、前記風速分布と予め定められた空質条件とを用いて、前記空質条件を満たす前記空間内の領域を示す情報である空質情報を作成し、前記空質情報、及び、前記人属性情報を用いて、前記人属性オブジェクトが前記空間内で配置可能な領域を示す配置可能領域を作成し、前記人属性オブジェクトを前記配置可能領域に配置する、ことをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
(実施の形態)
[ハードウェア構成]
図1は、本実施の形態におけるモデル生成装置1の一例を示す図である。
モデル生成装置1は、パーソナルコンピュータなどから構成され、オブジェクトデータ及び配置情報を取得する。そして、本実施の形態におけるモデル生成装置1は、取得したオブジェクトデータ及び配置情報に基づいて、BIMで生成されるモデルを生成する。
図2は、本実施の形態におけるモデル生成装置1の構成を示す図である。
モデル生成装置1は、入力部10、演算回路11、メモリ12、出力部13、記憶部14、通信部15、及び、データベース16を備える。
通信部15は、モデル生成装置1の外部にある機器と通信する。その通信は、無線通信であっても、有線通信であってもよい。無線通信の方式は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、またはZigBeeであってもよく、その他の方式であってもよい。例えば、通信部15は、外部にある機器と通信し、その機器が有するデータセットDsを受信する。
入力部10は、ユーザによる入力操作を受け付けるHMI(Human Machine Interface)としての機能を有し、例えばキーボード、マウス、タッチセンサ、タッチパッドなどを備える。
出力部13は、画像または文字などを表示するディスプレイを有し、そのディスプレイは、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。なお、出力部13は、画像または文字などを印刷するプリンタを有していてもよく、演算回路11から出力されるデータを記憶部14に格納する機能を有していてもよい。
記憶部14は、演算回路11への各命令が記述されたプログラム(すなわちコンピュータプログラム)104aを格納している。また、記憶部14には、その演算回路11の処理によって一時的に生成される各テンポラリーデータ104bが格納されてもよい。なお、このような記憶部14は、不揮発性の記録媒体であって、例えば、ハードディスクなどの磁気記憶装置、光ディスク、半導体メモリなどである。なお、プログラム104aは、例えば、リムーバブルメディアまたはネットワークを介して、モデル生成装置1に提供され、記憶部14に格納される。リムーバブルメディアは、例えばCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フラッシュメモリなどである。このため、通信部15は、リムーバブルメディアのプログラム104aを読み込むインターフェースを備えていてもよい。
メモリ12には、演算回路11によって読み出されて展開されたプログラム104aが一時的に保存される。このようなメモリ12は、例えば揮発性のRAM(Random Access Memory)である。
演算回路11は、メモリ12に展開されたプログラム104aを実行する回路であって、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などである。演算回路11は、プログラム104aを実行するときには、記憶部14に格納されている各テンポラリーデータ104bを用いてもよい。
データベース16は、記憶部14と同様に、不揮発性の記録媒体であって、例えば、ハードディスクなどの磁気記憶装置、光ディスク、半導体メモリなどである。例えば、演算回路11は、外部の機器からネットワーク及び通信部15を介してBIMデータ及び人属性情報を取得して、取得したBIMデータ及び人属性情報をデータベース16に格納する。
なお、本実施の形態では、記憶部14とデータベース16とは互に異なる記録媒体であるが、記憶部14及びデータベース16は、それらを含む1つの記録媒体として構成されていてもよい。
[BIMデータ]
図2に示すデータベース16に含まれるBIMデータ及び人属性情報は、外部にある機器から取得できる。BIMデータは、オブジェクトデータ、配置情報、及び建物の3Dモデルを含む。
BIMは、オブジェクトデータ及びオブジェクトデータに対応付けられた配置情報に基づいて、建物をコンピュータ上の仮想3次元空間(3D空間)で構築し、建物の3Dモデルをコンピュータ上に作成する。BIMでは、企画、設計、施工、及び、維持管理に関する情報が一元化して活用される。このため、BIMを利用することで、設計時の図面の整合性を向上させることができ、さらに修正の手間及び時間を削減することができる。
BIMで作成される建物の3Dモデルは、例えば、建材パーツ、建具といったオブジェクトを含む。オブジェクトは、建材パーツ及び建具等の基礎構造オブジェクト、給気口及び排気口等の換気設備オブジェクト、並びに、机及び椅子等の家具オブジェクトを含む。
基礎構造オブジェクトは、壁、柱、建具などの建物の構造を構成するオブジェクトである。建物の設計段階では、初めに、例えば建物の構想を図面化するために建築物の構造に関する基本設計図を作成する。基本設計において基礎構造オブジェクトの配置は決定される。BIMデータに含まれる配置情報は、建物内のオブジェクトの位置を示す情報を含んでおり、基礎構造オブジェクトデータと対応づけられている。基礎構造オブジェクトデータ及び基礎構造オブジェクトデータに対応付けられた配置情報に基づいて、建物の3Dモデルが生成される。
換気設備オブジェクトは、給気口、排気口、及び空調機器などの建物の換気に関するオブジェクトである。換気設備オブジェクトのオブジェクトデータは、HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)データとも称する。HVACとは、暖房、換気、及び空調を含む空調システムを示す。換気設備オブジェクトは、基礎構造オブジェクトに固定される換気設備のオブジェクトである。換気設備オブジェクトの配置は、実施設計において、決定される。実施設計では、基本設計図に基づいて、換気設備オブジェクトおよび家具オブジェクトの具体的な仕様を決定し、決定した仕様を反映した詳細設計図(モデル)を作成する。なお、基本設計時に換気設備オブジェクトの位置が決定されてもよい。
家具オブジェクトは、椅子、机、及び収納棚などの建物に配置される家具に関するオブジェクトである。家具オブジェクトは、扇風機、空気清浄器等の基礎構造オブジェクトに固定されない換気に関するオブジェクトを含む。すなわち、家具オブジェクトは、建物の設計後、建物を使用している際に配置を変更することができるようなオブジェクトである。家具オブジェクトの配置は、基本設計時に、換気設備オブジェクトの配置が決定された後に決定される。
オブジェクトは、モデル生成装置1で処理の対象となる何らかの実体を示し、オブジェクトデータは、そのオブジェクトを符号と数値とで構成されるまとまりとして表現したものである。オブジェクトデータは、オブジェクトの3D情報、並びに、寸法、素材、性能、材料単価等の属性情報を含む。属性情報は、属性を示す情報であり、オブジェクトに関する固有の情報、特性を示す情報である。図3A及び図3Bに家具オブジェクトの一例である椅子オブジェクトのオブジェクトデータを示す。図3Aに示す椅子オブジェクトは、例えばRevit User Group(RUG)により提供されているオブジェクトの一つである。図3Aに示す椅子の3D形状が、椅子オブジェクトの3D情報である。また、図3Bに示す拘束、マテリアル/仕上げ、寸法、及び識別情報が椅子オブジェクトの属性情報である。図3Bに示す属性情報は、例えばRUG(Revit User Group)により提供される1人で座る椅子オブジェクトに含まれる属性情報である。
オブジェクトデータには、複数のオブジェクトデータが含まれる。
[人属性情報]
人属性情報は、BIMデータに含まれるオブジェクトのうち、人が滞在する可能性のあるオブジェクトに対応づけられている。人属性情報が対応付けられたオブジェクトを人属性オブジェクトと称する。人属性オブジェクトは、例えば机、椅子、ベッドなどの人が滞在する可能性のあるオブジェクトである。人属性オブジェクトは家具オブジェクトであってもよく、換気設備オブジェクトであってもよく、基礎構造オブジェクトであってもよい。従来のBIMデータに加えて、本開示では人属性情報を用いる。
人属性情報は、例えば、人数、向き、人座標、及び、滞在率を含む。人数とは、人属性オブジェクト周辺に滞在すると想定される最大人数であってよい。向きとは、人属性オブジェクト周辺に人が滞在する場合に滞在する人が向くと想定される顔の向きであってよい。人座標とは、人属性オブジェクト周辺に人が滞在する場合に滞在する人の顔の座標であってよい。滞在率とは、人属性オブジェクト周辺に人が滞在する場合に所定の時間の間にどのくらい人属性オブジェクトに滞在すると想定されるかをパーセントで示してよい。滞在率は、例えば換気設備機器の電力消費量の算出に用いることができ、さらに生涯電力量及び初期コストを用いることにより総コストを算出することができる。このため、滞在率は、換気設備機器の選定時に有益な情報として用いることができる。なお、人属性オブジェクト周辺に人が滞在するとは、人属性オブジェクトの中心または端部から所定の距離に人が滞在することを意味し、所定の距離はユーザが設定してもよい。
図3Cに、図3Aに示す椅子オブジェクトの属性情報、及び椅子オブジェクトに対応付けられた人属性情報を示す。人属性情報として人数、向き、人座標X~Z、及び、滞在率が含まれている。人数は、図3Aに示す椅子オブジェクトに座ると想定される人数を示しており、図3Cに示す例では1人である。向きは、図3Aに示す椅子オブジェクトに人が座ったときのその人の顔の向きを示しており、図3Cに示す例では正面方向である。人座標X、Y及びZは、図3Aに示す椅子オブジェクトに人が座ったときのその人の顔の座標であり、図3Cに示す例では0、0及び1200である。図3Aに示す椅子オブジェクトの人座標X、Yは0の数値になっている。XY座標は椅子オブジェクトの中心を原点としている。一方で、人座標Zは、図3Aに示す椅子オブジェクトに人が座ったときのその人の顔の高さであることから、1200(mm)の数値となっている。滞在率は、1時間の間にどのくらい図3Aに示す椅子オブジェクトに滞在しているか(座っているか)をパーセントで示しており、図3Cに示す例では80%である。
図3Aに示すような人属性オブジェクトの人属性情報は、例えば図3Bに示すような従来の属性情報を取得後に、BIMのアドオン機能などにより取得することができる。この場合、モデル生成装置1は、BIMのアドオン機能を利用して、インターネットを介して、人属性オブジェクトの人属性情報を提供するサーバから、人属性オブジェクトの人属性情報を取得する。
[機能構成]
図4は、演算回路11の機能構成を示すブロック図である。
演算回路11は、プログラム104aを実行することによって、建物のモデルを生成するための複数の機能を実現する。具体的には、演算回路11は、取得部112、演算部113、及び結果出力部114を備える。これらの構成要素は、演算回路11によるプログラム104aの実行によって実現される。
演算回路11は、プログラム104aを実行することによって、建物を構成する構造物に関する情報、並びに、建物に配置される換気設備及び家具を含む建物のオブジェクトに関する情報を用いて、BIMで建物のモデルを生成するための複数の機能を実現する。
[取得部112]
取得部112は、オブジェクトデータ及び人属性情報を取得する。より具体的には、取得部112は、オブジェクトデータ、及びオブジェクトのうちの人属性オブジェクトに対応付けられた人属性情報を、少なくとも取得する。
本実施の形態では、取得部112は、BIMを生成するためのデータを取得する。取得部112は、BIMを生成するためのデータとして、例えば、建物を構成する構造物に関する情報、並びに、建物に配置される換気設備及び家具を含む建物のオブジェクトに関する情報を取得する。また、取得部112は、BIMを生成するためのデータとして、予め定められた空質条件を取得する。
[演算部113]
演算部113は、BIMで建物のモデルを生成する演算を行う。なお、演算部113は、当該モデルの生成を、クラウド上で行ってもよい。
本実施の形態では、演算部113は、取得部112が取得したBIMを生成するためのデータを用いて、当該モデルの生成を行う。
演算部113は、例えば、取得部112が取得した構造物及びオブジェクトに関する情報を用いて、構造物で区画された建物の少なくとも一つの空間における換気設備による風速分布を特定する。構造物及びオブジェクトに関する情報とは、例えばオブジェクトデータ、オブジェクトデータに対応付けられた配置情報、及び人属性情報などである。また、演算部113は、特定した風速分布と予め定められた空質条件とを用いて、当該空質条件を満たす当該空間内の領域を示す情報である空質情報を作成する。また、演算部113は、空質情報、及び、人属性情報を用いて、人属性オブジェクトを空間内で配置可能な領域を示す配置可能領域を作成する。
なお、演算部113は、配置可能領域を作成する際、特定した風速分布を用いて、当該空間において滞在を許容できる人数の分布領域を示す許容人数分布を特定し、特定した許容人数分布を用いて、配置可能領域を作成してもよい。配置可能領域は、人属性オブジェクトを配置可能か否か示す領域であり、空質を保った上で人が滞在できるような家具の配置領域である。
また、演算部113は、作成した配置可能領域を用いて、人属性オブジェクトが現在配置されている位置が許容されるかを判定してもよい。演算部113は、当該位置が許容されると判定した場合、当該位置の人属性オブジェクトを含めてモデルを生成してもよい。一方、演算部113は、当該位置が許容されないと判定した場合、作成した空質情報、及び、当該位置に基づいて、当該位置が許容されるために必要な換気量である必要換気量を算出して、結果出力部114に出力してもよい。演算部113は、必要換気量だけでなく、その他の情報も出力可能である。具体的な態様は後述する動作例で説明する。
[結果出力部114]
結果出力部114は、演算部113により得たモデルを出力する。また、結果出力部114は、例えば演算部113により作成された配置可能領域を出力してもよいし、演算部113により作成された配置可能領域に基づき配置された人属性オブジェクトを含むモデルを出力してもよい。
[モデル生成装置1の動作]
上記のように構成されたモデル生成装置1の動作例について以下説明する。
図5Aは、本実施の形態に係るモデル生成装置1の動作例を示すフローチャートである。図5Bは、図5AのステップS5の詳細動作を示すフローチャートである。
図6は、本実施の形態の動作例に係る形状データの一例を示す図である。図7は、本実施の形態の動作例に係る空間情報の一例を示す図である。図8は、本実施の形態の動作例に係る換気情報の一例を示す図である。
図5A及び図5Bに示される動作例は、実施設計時に行われるため、建物の建築物の構造に関する基本設計図の作成は終了している。すなわち、基礎構造オブジェクトの配置情報は決定されている。基本設計後の建物の3Dモデルを初期モデルと定義する。初期モデルとは、基礎構造オブジェクトのデータ及びこれらに対応付けられた配置情報から生成されるモデルである。初期モデルは、換気設備オブジェクト及び家具オブジェクトを含んでいなくてもよい。本動作例では、平面図または立面図により部屋及び廊下などにより区画される建物の部屋の形状が決定されており、例えば図6に示す部屋平面図100を含む初期モデルが決定されている。図6に示す例では、部屋の形状が決定されており、当該部屋の空間を示す空間103に、給気口のオブジェクトを示す給気口オブジェクト102と、排気口のオブジェクトを示す排気口オブジェクト101が配置されている。ここで、給気口オブジェクト102の配置及び排気口オブジェクト101の配置は、モデル生成のために一旦決定されているが、モデル生成後に配置を変更することも可能である。
まず、モデル生成装置1はBIMデータから対象となる空間の空間情報を生成取得する(S1)。具体的には、モデル生成装置1の取得部112は、BIMデータ内の初期モデルに基づいて空間情報を生成する。本動作例では、対象となる空間は、配置可能領域を特定したい部屋である。空間情報は、オブジェクトの示す情報と空間の大きさとを示す情報である。モデル生成装置1の取得部112は、基本設計時に生成した図6に示す部屋平面図100を含む初期モデルから、例えば図7に示す空間情報を、オブジェクトの空間的な配置に関する情報と形状に関する情報として取得する。図7に示す空間情報の例では、建物ID、部屋ID、空間ID、面積及び体積などの情報と、当該空間IDに紐づく空間103に存在する排気口オブジェクト101の排気口ID、給気口オブジェクト102の給気口IDとが示されている。なお、モデル生成装置1は、初期モデルから、図6に示すような部屋平面図100を取得しているが、これに限られず、初期モデルから当該部屋の立体図を取得してもよい。
次に、モデル生成装置1は、HVACデータから、当該空間の換気情報を取得する(S2)。なお、本動作例では、ユーザは、モデル生成装置1を用いて、事前に当該設備機器のおおよその配置位置を仮決めし、仮決めした該設備機器の配置位置をHVACデータに含めている。換気情報は、当該空間の換気を行うオブジェクトについての情報である。
本実施の形態では、モデル生成装置1の取得部112は、HVACデータから対象となる空間の換気情報を取得する。本動作例では、モデル生成装置1は、基本設計時に生成したHVACデータに含まれるHVACオブジェクトから、例えば図8に示す換気情報すなわちHVACオブジェクトの空間的な配置と換気能力とを取得する。図8に示す換気情報の例では、O01のIDで示される給気口オブジェクト102に関する換気属性IN、風量QA及び風向DAの制御情報と、I01のIDで示される排気口オブジェクト101についての換気属性OUT、風量QB及び風向きDBの制御情報とが示されている。なお、OUTとは排気を示し、INとは給気を意味する。また、図8には、O01のIDで示される給気口オブジェクト102及びI01のIDで示される排気口オブジェクト101の配置情報として図6に示す部屋平面図100におけるX座標及びY座標が示されている。なお、モデル生成装置1は、換気情報として、図8に示すような平面上の配置と平面的な換気能力とを取得する場合に限らない。モデル生成装置1は、換気情報として立体的な配置と立体的な換気能力を取得してもよい。以下、図5Aに戻って動作例の続きを説明する。
次に、モデル生成装置1は、ステップS1及びステップS2で取得した情報すなわち空間情報及び換気情報を用いて、当該空間における風速の分布を示す風速分布を特定する(S3)。
図9は、本実施の形態の動作例に係る風速分布の一例を示す図である。
本動作例では、モデル生成装置1の演算部113は、BIMを生成するためのデータを用いて、すなわち、ステップS1及びステップS2で取得した空間情報及び換気情報を用いて、当該空間における換気設備による風速分布を特定する。モデル生成装置1は、平均風速を用いて風速分布を特定する。なお、平均風速は、例えば10mなどの空間内の所定の高さにおける例えば10分間などの所定時間の風速の平均値である。また、モデル生成装置1は、例えば図9に示すような、当該空間のうち所定の平均風速が確保できる領域を示す風速分布を特定する。図9に示す例では、風速分布として、図6に示す部屋平面図100における風速(平均風速)が0.007m/s以上の領域を示す風速分布図200が示されている。なお、モデル生成装置1は、風速分布として、図9に示すような2次元の風速分布を特定する場合に限らず、3次元の風速分布を特定してもよい。以下、図5Aに戻って動作例の続きを説明する。
次に、モデル生成装置1は、ステップS2で特定した風速分布と予め定められた空質条件とを用いて、当該空質条件を満たす当該空間内の領域を示す情報である空質情報を作成する(S4)。予め定められた空質条件は、例えば法令などにより定められた空気の質を保つための条件であり、本動作例では必要換気量であるとして説明する。なお、必要換気量は、CDC基準、WHO基準及び厚生労働省基準により定められる。CDC基準は、米国疾病予防管理センタ(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)により2003年に定められ、感染症の患者を隔離する医療施設の換気を毎時12回(新規の建物)、毎時6回(既存の建物)を上回る換気回数を要求する。WHO基準は、世界保健機関(World Health Organization:WHO)により2009年に定められ、安全率としてCDC基準を2倍にした換気回数を要求する。つまり、WHO基準では、毎時24回(新規の建物)または毎時12回(既存の建物)の換気回数を要求する。なお、日本の厚生労働省基準は、厚生労働省が推奨しているビル管理法の基準であり、1時間あたりの必要換気量を30m3/hとしている。30m3/hは、換気回数に換算すると、1時間あたり3回となる(人容積を10m3としている)。必要換気量は、公的機関の基準に限られず、例えば、ユーザが設定した値であってもよい。
図10は、本実施の形態の動作例に係る予め定められた空質条件の一例を示す図である。図11は、本実施の形態の動作例に係る空質情報の一例を示す図である。
本動作例では、ステップS4において、まず、モデル生成装置1の演算部113は、例えばCDC基準、WHO基準及び厚生労働省基準により定められた必要換気量などの予め定められた空質条件を取得する。次いで、モデル生成装置1は、取得した予め定められた空質条件を、例えば図10に示すような許容人数における風速条件に換算する。なお、図10に示す表はユーザにより編集可能である。
ここで、必要換気量を許容人数における風速(平均風速)に換算する方法について説明する。
例えば、人が存在する空間の面積をA(m2)、高さをh(m)とすると、必要換気量は、以下の(式1)のように表すことができる。
必要換気量(m3/h)=毎時必要換気回数(回/h)×空間の容積(m3)=毎時必要換気回数(回/h)×空間の面積A(m2)×空間の高さh(m)…(式1)
また、当該空間における平均風速をVF(m/sec)とすると、必要換気量は、以下の(式2)のように表すことができる。
必要換気量(m3/h)=空間の面積A(m2)×平均風速VF(m/sec)×3600…(式2)
(式1)及び(式2)から、平均風速は以下の(式3)のように表すことができる。
平均風速VF(m/sec)=毎時必要換気回数(回/h)×空間の高さh(m)/3600…(式3)
この(式3)から、例えばCDC基準で定められる換気回数12回を許容人数における風速(平均風速)に換算すると、許容人数1人の場合における風速は、おおよそ0.007m/secとなる。ここで、空間の高さh(m)は2mとしている。
次いで、モデル生成装置1は、ステップS3で特定した風速分布と、例えば、図10に示すような許容人数における風速(平均風速)に換算した空質条件とを用いて、図11に示すような空質情報を作成する。なお、図11に示す例では、CDC基準で定められる空質情報の一例が示されており、図6に示す部屋平面図100において風速(平均風速)が0.007m/s以上、0.014m/s以上及び0.028m/s以上である領域を示す空質情報図400が示されている。以下、図5Aに戻って動作例の続きを説明する。
次に、モデル生成装置1は、ステップS4で作成した空質情報とBIMを生成するためのデータの属性情報とに基づいて、所定のオブジェクトが配置できる配置可能領域を作成して出力する(S5)。本実施の形態では、モデル生成装置1の演算部113は、ステップS4で作成した当該空間の空質情報と、当該空間に配置予定であるBIMを生成するためのデータの人属性オブジェクトの人属性情報を用いて、人属性オブジェクトが当該空間内で配置可能な領域を示す配置可能領域を作成する。
図12は、本実施の形態の動作例に係る許容人数分布の一例を示す図である。許容人数分布は、対象となる空間において滞在が許容できる人数の領域の分布である。
より詳細には、ステップS5では、モデル生成装置1は、図5Bに示すように、まず、当該空間において滞在を許容できる人数の分布領域を示す許容人数分布を特定する(S51)。本動作例では、モデル生成装置1は、ステップS4で作成した例えば図11に示す空質情報を用いて、例えば図12に示す当該空間における許容人数分布を特定する。なお、図12に示す許容人数は、図10に示す空質条件に基づき算出することができる。また、図12に示す許容人数分布図500の例では、領域503と領域505は、図6に示す部屋平面図100において、1人までなら人周辺の空質(平均風速)を保つことができる領域であることを示す。同様に、領域502と領域504は、図6に示す部屋平面図100において、2人までなら人周辺の空質(平均風速)を保つことができる領域であることを示す。領域501は、図6に示す部屋平面図100において、4人までなら人周辺の空質(平均風速)を保つことができる領域であることを示す。
次いで、モデル生成装置1は、図5Bに示すように、ステップS51で特定した許容人数分布を用いて、人属性オブジェクトの配置可能領域を作成する(S52)。
本動作例では、モデル生成装置1は、ステップS51で特定した図12に示す許容人数分布を用いて、1人で座る椅子オブジェクトの配置可能領域として、図13に示すような配置可能領域を作成する。ここで、図13は、本実施の形態の動作例に係る1人で座る椅子オブジェクトの配置可能領域を示す図である。図13に示す例では、図6に示す部屋平面図100において1人で座る椅子オブジェクトの配置可能領域を示す配置可能領域図600が示されている。図13に示す例では、椅子オブジェクトの人属性情報が1人であるため、図12に示す許容人数分布図500において、1人が許容される領域501~領域505を、配置可能領域図600に示される配置可能領域として特定している。
以下、モデル生成装置1が、図13に示すような1人で座る椅子オブジェクトの配置可能領域を作成する方法について具体的に説明する。
本動作例では、モデル生成装置1は、例えば図3Aに示す椅子オブジェクトを配置する場合、BIMを生成するためのデータから、図3Aに示す椅子オブジェクトに対応する図3Cに示すような人属性情報を取得し、図3Aに示す椅子オブジェクトの人数が1人であると判定する。すると、モデル生成装置1は、ステップS51で特定した図12の許容人数分布図500に示されるすべての領域(領域501~領域505)において、1人で座る椅子オブジェクトが配置可能であることがわかる。このため、モデル生成装置1は、許容人数分布図500に示されるすべての領域(領域501~領域505)に相当する広さの領域が配置可能領域であるように、図13に示す配置可能領域図600を作成することができる。
なお、図13に示す配置可能領域図600を作成するために用いた平均風速は、空間内の所定の高さにおける平均風速であるため、モデル生成装置1に、人が椅子オブジェクトに座った際の顔の高さ(人座標Z)を考慮した配置可能領域を作成させてもよい。以下、この場合について説明する。
図14は、本実施の形態の動作例に係る高さ方向の空質情報の一例を示す図である。図14に示す一点鎖線は、顔の高さ(座標Z=1200)を表している。図15は、本実施の形態の動作例に係る1人で座る椅子オブジェクトの高さ方向を考慮した配置可能領域を示す図である。
すなわち、本動作例では、ステップS4において、モデル生成装置1は、ステップS3で特定した3次元の風速分布と、図10に示す許容人数における風速(平均風速)に換算した空質条件とを用いて、図11に示す平面上の空質情報とともに、図14に示す高さ方向の空質情報を作成する。
次いで、ステップS5において、モデル生成装置1は、1人で座る椅子オブジェクトの配置可能領域として、図13に示すような平面上の配置可能領域とともに図15に示すような高さ方向を考慮した配置可能領域を作成する。図15に示す例では、モデル生成装置1は、図14に示す空質情報で示される領域のうち顔の高さに一致する領域(幅)を、高さ方向を考慮した配置可能領域として作成する。
そして、モデル生成装置1は、図13に示す平面上の配置可能領域と図15に示す高さ方向を考慮した配置可能領域とが重なる領域のみを、1人で座る椅子オブジェクトの配置可能領域として便宜的に2次元で表示させてもよいし、3次元で表示させてもよい。
図16は、本実施の形態の動作例に係る高さ方向の空質情報の別の一例を示す図である。図16には、顔の高さ(座標Z=1200)を示す一点鎖線とともに、当該顔の向きを示す矢印が示されている。
なお、上記の動作例では、ステップS4において、モデル生成装置1は、図14に示す高さ方向の空質情報を作成する場合について説明したが、これに限らない。ステップS4において、モデル生成装置1は、図16に示すように、顔の高さ及び顔の向きが示された高さ方向の空質情報を作成してもよい。この場合、ステップS5において、モデル生成装置1は、1人で座る椅子オブジェクトの高さ方向を考慮した配置可能領域を、顔の向きと給気口及び排気口による換気の風向との関係に基づき、図15に示す高さ方向を考慮した配置可能領域を調整して作成すればよい。図16に示す例では、換気の風向411aは、顔の高さ(座標Z=1200)を示す一点鎖線上において左から右へ向かう方向であり、顔の向き411bは、一点鎖線上において右から左へ向かう方向である。このように、顔の高さ方向において、換気の風向411aと顔の向き411bとが反対方向であれば、モデル生成装置1は、図16における風速を1.2倍にするなどして、ステップS4において作成する空質情報示す領域を重み付けて広げればよい。一方、顔の高さ方向において、換気の風向と顔の向きとが同じ方向であれば、モデル生成装置1は、ステップS5において、図15に示す高さ方向を考慮した配置可能領域をそのまま作成すればよい。
上記では、モデル生成装置1は、1人で座る椅子オブジェクトの配置可能領域を作成する場合について説明したが、これに限らない。モデル生成装置1が、机オブジェクトの配置可能領域を作成してもよい。以下、この場合について説明する。
図17は、本実施の形態の動作例に係る4人同時に使用可能な机オブジェクトの配置可能領域を示す図である。図17に示す例では、図6に示す部屋平面図100において4人同時に使用可能な机オブジェクトの配置可能領域を示す配置可能領域図620が示されている。
すなわち、本動作例では、ステップS52において、モデル生成装置1は、ステップS51で特定した図12に示す許容人数分布を用いて、4人同時に使用可能な机オブジェクトの配置可能領域として、図17に示すような配置可能領域を作成してもよい。
続いて、モデル生成装置1が、図17に示すような、4人同時に使用可能な机オブジェクトの配置可能領域を作成する際に用いる机オブジェクトの属性情報等の一例について説明する。
図18Aは、本実施の形態の動作例に係る4人同時に使用可能な机オブジェクトを示す図である。図18Bは、図18Aに示す椅子オブジェクトの本実施の形態に係る属性情報を示す図である。
図18Aに示す椅子オブジェクトは、例えばRUGにより提供されているオブジェクトの一つである。図18Bに示される本実施の形態に係る属性情報には、図18Aに示す机オブジェクトに対応する人属性情報が含まれている。図18Bに示す例では、人数、向き、人座標X~Z、及び、滞在率などの識別情報の項目に関する内容が含まれている。これらの内容については上述した通りであるのでここでの詳細な説明は省略する。
モデル生成装置1は、例えば図18Aに示す机オブジェクトを配置しようとする場合、BIMを生成するためのデータから、図18Aに示す机オブジェクトに対応する図18Bに示すような人属性情報を取得する。モデル生成装置1は、取得した人属性情報から、図18Aに示す机オブジェクトの人数(許容人数)が、机オブジェクト周辺に滞在すると想定される最大人数である4人であると判定する。すると、モデル生成装置1は、ステップS51で特定した図12の許容人数分布図500に示される領域501において、4人で座る椅子オブジェクトが配置可能であることがわかる。これにより、モデル生成装置1は、許容人数分布図500に示される領域501に相当する広さの領域が配置可能領域であるように、図17に示す配置可能領域図620を作成することができる。
なお、机オブジェクトの人数(許容人数)として、机オブジェクト周辺に滞在すると想定される最大人数と、机オブジェクトにおける滞在率との積を用いてもよい。すなわち、図18Bに示す机オブジェクトの場合は、最大人数4人×滞在率0.2=0.8人を机オブジェクトの許容人数として用いてもよい。
なお、図17に示す配置可能領域図620を作成するために用いた平均風速は、空間内の所定の高さにおける平均風速であるため、当該高さと、人が机オブジェクトに座った際の顔の高さ(人座標Z)との差が大きい場合がある。この場合、上記同様に、モデル生成装置1に、人が机オブジェクトに座った際の顔の高さ(人座標Z)を考慮した配置可能領域を作成させてもよい。以下、図5Aに戻って動作例の続きを説明する。
次に、モデル生成装置1は、ステップS5で作成した人属性オブジェクトの配置可能領域を用いて、人属性オブジェクトを配置する(S6)。本動作例では、モデル生成装置1の演算部113は、ステップS5で作成した、家具などの人属性オブジェクトの配置可能領域を用いて、図6に示す部屋平面図100に人属性オブジェクトを自動的に配置する。ここで、例えばAutodesk社のBIMツールであるRevitでは、Dynamoと呼ばれるスクリプト言語またはAutodesk Revit APIといった機能を用いることで各種作業の自動化を図ることができることが知られている。モデル生成装置1は、この機能を利用することで、ステップS5で作成した人属性オブジェクトの配置可能領域を用いて、図6に示す部屋平面図100に人属性オブジェクトを自動的に配置することができる。
なお、ステップS4またはステップS5において、モデル生成装置1は、作成結果として、配置可能領域図と空質情報図とを得ているが、配置可能領域と空質情報を識別できればこれらを得ることは必須ではない。例えば、モデル生成装置1は、ステップS3の特定結果として得た風速分布図を用いて、ステップS6の処理を上記同様に行ってもよい。
また、図5Aに示される動作後、すなわちステップS6の処理後、モデル生成装置1は、配置した人属性オブジェクトを含むモデルを生成する。
[効果等]
以上のように、本実施の形態によれば、建物の設計段階において、建物の空間内に滞在する可能性がある人周辺の空質を保つ設計を行うことができるBIMモデルを生成することができる。
より具体的には、建物に配置された特定の家具、または特定の家具の周辺では、人が滞在する可能性が高い。例えば、家具が椅子の場合には、椅子の上に人が座る(滞在する)可能性が高く、家具が机の場合には、その周辺に人が滞在する可能性が高い。このため、人が滞在する可能性が高い家具辺で、或る一定以上の空質を維持することが望ましい。
しかしながら、従来の建物の設計では、建物内の空気の一定量を常に換気するための換気設備機器の配置の設計しか行うことをしていなかった。
それに対して、本実施の形態では、人が滞在する可能性のある机やいす等の家具を示すオブジェクト(人属性オブジェクト)の属性情報に、人に関する属性情報(人属性情報)をさらに含める。そして、モデル生成装置1は、換気設備による風速分布を特定して得た空質情報と、人属性情報とを用いて、人属性オブジェクトの配置可能領域を作成する。これにより、モデル生成装置1または設計者は、作成した人属性オブジェクトの配置可能領域を用いて、建物の空間内に滞在する可能性がある人周辺の空質を考慮した人属性オブジェクトの配置を容易に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、モデル生成装置1は、特定した風速分布を、形状データに含まれる部屋平面図に重ねて表示してもよい。この場合、モデル生成装置1または設計者は、HVAC機器の配置及び能力の設計を容易に行うことができる。さらに、モデル生成装置1または設計者は、図面化させた空質情報を用いることで、人が長く滞在する場合でも人周辺の空質を保つことができる人属性オブジェクトの配置を容易に行うことが可能となる。
なお、上記では、部屋平面図で示される空間には、給気設備及び排気設備のみ配置されるとして説明し、換気風速は一定値であるとして説明したが、これに限らない。換気風速が制御できる場合にはその最大値を算出して用いれば同様のことができる。また、エアコンなどの給気設備及び排気設備以外の設備機器がある場合、その風速及び風向を考慮した上で、上述した風速分布の特定を行えばよい。これにより、上記の動作例等で説明した処理と同様の処理を行うことができる。
なお、上記では、例えば図13等で人属性オブジェクトの配置可能領域を作成して、人属性オブジェクトの配置を決定するとして説明したがこれに限らない。人属性オブジェクトを配置しても空質を確保できない配置不可能領域を代わりに作成して人属性オブジェクトの配置を決定してもよく、同様な効果が得られる。
(変形例)
モデル生成装置1の動作例は、上記で説明したものに限らない。以下では、モデル生成装置1の別の動作例を変形例として説明する。
図19は、変形例に係るモデル生成装置1の動作例を示すフローチャートである。図20は、変形例に係る形状データの一例を示す図である。図21は、変形例に係る空間情報の一例を示す図である。図22は、変形例に係る換気情報の一例を示す図である。図23は、変形例に係る人属性情報の一例を示す図である。
図19に示される動作例は、設計者が実施設計中または実施設計後において、家具等のレイアウト(配置)を手動にて行う配置設計中に行われる。このため、本動作例が行われる前に、建物の建築物の構造に関する基本設計図の作成は終了しており、建物の部屋の形状も決定されている。また、本変形例では、図19に示される動作例が行われる前には、さらにHVACの設備機器の配置及び能力の設計と椅子及び机といった家具のレイアウトも仮決定されているとする。すなわち、図20に示されるように、部屋平面図150では、図6に示す部屋平面図100と比較して、H01のIDで示される椅子オブジェクトと、H02のIDで示される机オブジェクトがさらに仮決定(仮配置)されている。また、仮配置されたオブジェクト机オブジェクトには、使用可能人数と配置位置といった配置情報が人属性情報として属性情報に予め設定されている。
なお、以下では、上記の実施の形態において既に説明した事項については適宜省略し、上記の実施の形態との相違点を中心に動作例の説明を行う。
まず、モデル生成装置1は、形状データから対象となる空間の空間情報を取得する(S11)。本変形例では、モデル生成装置1は、図20に示す部屋平面図150を含む形状データから、例えば図21に示す空間情報すなわち、部屋平面図150に位置するオブジェクトの空間的な配置に関する情報と形状に関する情報とを取得する。なお、図21に示す空間情報は、図7に示した空間情報と同一のため、ここでの詳細説明は省略する。
次に、モデル生成装置1は、仮配置されたHVACオブジェクトから、当該空間の換気情報を取得する(S12)。本変形例では、モデル生成装置1は、図20に示すように仮配置されたHVACオブジェクトから、図22に示す換気情報を取得する。なお、図22に示す換気情報は、図8に示した換気情報と同一のため、ここでの詳細説明は省略する。
次に、モデル生成装置1は、仮配置された人属性オブジェクトから、人属性情報を取得する(S13)。本変形例では、モデル生成装置1は、図20に示すように仮配置された机オブジェクト及び椅子オブジェクトから、これらに対応付けられた人属性情報に含まれる図23に示す配置情報を取得する。図23には、H01のIDで示される机オブジェクトの配置情報として、4人同時に使用可能であることと、図20に示す部屋平面図150における机オブジェクトを人が使用する場合の人のX座標及びY座標とが示されている。また、図23には、H02のIDで示される椅子オブジェクトの配置情報として、1人が使用可能であることと、図20に示す部屋平面図150における椅子オブジェクトを使用する場合の人のX座標及びY座標とが示されている。
次に、モデル生成装置1は、ステップS11及びステップS12で取得した情報を用いて、当該空間における風速分布を特定する(S14)。
図24は、本変形例に係る風速分布の一例を示す図である。図24に示す例では、風速分布として、図20に示す部屋平面図150における風速(平均風速)が0.007m/s以上の領域を示す風速分布図250が示されている。なお、図24に示す風速分布は、図9に示した風速分布と同様のため、ここでの詳細説明は省略する。
次に、モデル生成装置1は、ステップS14で特定した風速分布と予め定められた空質条件とを用いて、当該空質条件を満たす当該空間内の領域を示す情報である空質情報を作成する(S15)。本変形例でも、モデル生成装置1は、例えばCDC基準により定められた必要換気量などの予め定められた空質条件を、例えば図10に示すような許容人数における風速条件に換算すればよい。そして、モデル生成装置1は、ステップS14で特定した風速分布と例えば図10に示すような許容人数における風速(平均風速)に換算した空質条件とを用いて、図25に示すような空質情報を作成する。図25は、本変形例に係る空質情報の一例を示す図である。図25に示す例でも、図11と同様に、図20に示す部屋平面図150において風速(平均風速)が0.007m/s以上、0.014m/s以上及び0.028m/s以上である領域を示す空質情報図450が示されている。
次に、モデル生成装置1は、ステップS15で作成した空質情報と、ステップS13で取得した人属性オブジェクトの人属性情報とに基づいて、人属性オブジェクトが配置できる配置可能領域を作成する(S16)。
図26Aは、本変形例に係る1人で座る椅子オブジェクトの配置可能領域を示す図である。図26Bは、本変形例に係る4人同時に使用可能な机オブジェクトの配置可能領域を示す図である。
本変形例では、モデル生成装置1は、ステップS15で作成した例えば図25に示す空質情報を用いて、当該空間における許容人数分布(不図示)を特定し、特定した許容人数分布を用いて、人属性オブジェクトの配置可能領域を作成する。より具体的には、モデル生成装置1は、ステップS13で取得した机オブジェクト及び椅子オブジェクトの人属性情報から、1人~4人における人周辺の空質(平均風速)を保つことができる領域を示す許容人数分布を特定すればよい。
例えば、モデル生成装置1は、特定した許容人数分布を用いて、H01のIDで示される1人で座る椅子オブジェクトの配置可能領域として、図26Aの配置可能領域図650で示されるような配置可能領域を作成する。また、例えば、モデル生成装置1は、特定した許容人数分布を用いて、H02のIDで示される4人同時に使用可能な机オブジェクトの配置可能領域として、図26Bの配置可能領域図651で示されるような配置可能領域を作成する。以下、図19に戻って動作例の続きを説明する。
次に、モデル生成装置1は、仮決定された現在の人属性オブジェクトの配置が許容されるかどうかを判定する(S17)。本変形例では、モデル生成装置1は、ステップS16で作成した配置可能領域を用いて、人属性オブジェクトが現在配置されている位置が許容されるかを判定する。
ステップS17において、現在の人属性オブジェクトの配置が許容される場合(S17でYes)、モデル生成装置1は、図19に示される処理を終了し、現在の人属性オブジェクトの配置を含むモデルを生成する。本変形例では、図26Aの配置可能領域図650から、H01の椅子オブジェクトの現在の配置で、空質を確保できるのがわかる。つまり、当該現在の配置は許容される。
一方、ステップS17において、現在の人属性オブジェクトの配置が許容されない場合(S17でNo)、モデル生成装置1は、現在の人属性オブジェクトの配置を許容するための必要換気量を算出する(S18)。
本変形例では、図26Bの配置可能領域図651から、H02の机オブジェクトの現在の配置では空質を確保できないのがわかる。つまり、当該現在の配置は許容されない。このため、モデル生成装置1は、H02の机オブジェクトの現在の配置を許容するための必要換気量を算出する。例えば、モデル生成装置1は、図25に示すような現在の空質情報から、H02の机オブジェクトの現在の配置を許容するためには換気量がどれだけで必要であるかを示す必要風速を算出し、現在の空質情報により示される現在の風速と必要風速と比率を必要換気量として算出する。
次に、モデル生成装置1は、図22に示すような換気情報を修正するか否かをユーザに確認する(S19)。
ステップS19において、換気情報を修正する場合(S19でYes)、ユーザまたはモデル生成装置1が修正した換気情報を用いて、ステップS14からやり直す。
一方、ステップS19において、換気情報を修正しない場合(S19でNo)、配置が許容されない現在の人属性オブジェクトの配置を修正し(S20)、ステップS11からやり直す。
なお、H02の机オブジェクトの現在の配置における空質情報に示される風速が0.004m/sであったとする。この場合、H02の机オブジェクトの位置において必要な風速(空質)が0.028m/sであることから、必要風速は現在の約7倍である。したがって、換気設備機器の能力または配置を再決定する必要がある。
ここで、モデル生成装置1はまたは設備設計者は、例えば、給気能力及び排気能力が7倍となるように、換気設備機器を再選択したり、給気口及び排気口を再配置したりして、図22に示す換気情報を修正してもよい。または、モデル生成装置1はまたは設備設計者は、H02の机オブジェクトの配置を、必要な風速(空質)を満たす位置に修正してもよい。なお、モデル生成装置1は、これらの修正方法の候補を設備設計者に提示して設備設計者に選択させてもよいし、設備設計者が自ら修正してもよい。
なお、ステップS17において、現在の人属性オブジェクトの配置が許容されない場合(S17でNo)、モデル生成装置1は、配置が許容されない現在の人属性オブジェクトの配置を許容される位置に自動的に修正してもよい。上述したように、例えばAutodesk社のBIMツールであるRevitでは、Dynamoと呼ばれるスクリプト言語またはAutodesk Revit APIといった機能を用いることで各種作業の自動化を図ることができることが知られている。そこで、モデル生成装置1は、この機能を利用することで、配置が許容されない現在の人属性オブジェクトの配置を許容される位置に自動的に修正することが可能になる。これにより、空質を確保することができる位置に人属性オブジェクトを配置するといった配置設計を容易に行うことができる。
[効果等]
以上のように、本変形例によれば、モデル生成装置1は、現在の人属性オブジェクトの配置可否を判定することで、人属性オブジェクトの配置が許容される位置となるように修正することができる。これにより、モデル生成装置1は、許容される位置に配置された人属性オブジェクトを含むBIMモデルを生成することができる。
また、本変形例によれば、モデル生成装置1は、人属性オブジェクトの配置可能領域を作成するので、作成した配置可能領域を用いることで、空質を確保することができる位置に人属性オブジェクトを容易に配置できる。よって、モデル生成装置1または設計者HVAC機器設計を容易に行えるだけでなく、人周辺の空質を保つように家具を容易に配置することができる。
なお、本開示では、人属性オブジェクトとして机、椅子、ベッドなどの家具のオブジェクトを例に挙げて説明を行ったが、これに限らない。
例えば、人が長時間滞在するスペースなどのオブジェクトを、人属性オブジェクトとして人属性情報を付与してもよく、同様な効果が得られる。人が長時間滞在するスペースとしては、例えば、廊下、トイレなどの不特定多数の人が入れ替わり、結果として人が長時間滞在することなるスペースなどがある。そして、このようなスペースなどのオブジェクトに対して、滞在期待値(人数)を人属性情報として設定することで、当該オブジェクトを人属性オブジェクトと取り扱えばよい。当該スペースの滞在期待値は、例えば当該スペースがトイレであれば、衛生器具の数、当該スペースが廊下であれば、各部屋の収容人数より、設定または算出すればよい。このようにすれば、当該スペースが対象の空間に配置可能かを、上記の動作例に従って判定することができるので、空質を確保したスペースの配置設計を容易に行うことができる。
さらに、本開示では、設計時において、人属性オブジェクトを考慮して、換気設備機器などのオブジェクトの配置を行うことで最適な換気量を実現できるので、空調にかかるエネルギーを最小限とすることも可能となる。
なお、本開示は、上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本開示の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本開示の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
また、本開示は、さらに、以下のような場合も含まれる。
(1)上記の装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
(2)上記の装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(3)上記の装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
(4)また、本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
(5)また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。